ザ☆短レス
だいぶ前に書いたやつ
靖子「え、いや、結婚してますけど」
靖子「え、いや、結婚してますけど」 - SSまとめ速報
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咏「いやー、結婚自体はまだっつーか」
咏「いやー、結婚自体はまだっつーか」 - SSまとめ速報
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健夜 「買い物帰りに見えるけど」
はやり「うん、すこやんの言うとおりだよ。八百屋さんからの帰りなんだ」
健夜 「へえ、お夕飯の材料?」
はやり「今日は肉じゃがとアスパラのベーコン巻きにしようかなって」
健夜 「すごい家庭的というか所帯じみているというか……」
はやり「前半部分だけでよかったと思うんだけど」
健夜 「……ねえ、はやりちゃん。つかぬことを聞くんだけど」
はやり「なぁに?」
健夜 「旦那様かそれに類する存在がいない?」
はやり「もうちょっと日常会話に近づける努力をしようよ」
健夜 「い、いるの!?」
はやり「結婚なんてしてないぞ☆ はやりはみんなのアイドルだからね☆」
健夜 「ここ最近ね、その辺りの常識を壊されてて……。よかったよ……、本当に」
はやり「何があったの」
健夜 「あれ、でも一人分にしてはずいぶん買ったね」
はやり「ん? まとめて買っちゃったほうが安いから」
健夜 「今日つくるの本当に一人分だよね?」
はやり「なんで疑うの」
健夜 「一瞬だけどかわいい新妻オーラを嗅いだような気が」
はやり「だいじょうぶ?」
.
健夜 「あれ、よく見たらはやりちゃんの格好……」
はやり「このタイミングでそっち行くんだ」
健夜 「後ろにまとめてある髪は……、まあいいか、似合ってるし変装の意味もあるし」
はやり「ありがと☆ さすがにテレビ以外でツインテールはね」
健夜 「ねこちゃんのアップリケのついたエプロン……?」
はやり「ワンポイントが気に入ったんだ☆」
健夜 「エコバッグ……?」
はやり「環境には一人ひとりの意識が大事だよね」
健夜 「この格好で八百屋さん行ってきたんだよね?」
はやり「うん」
健夜 「旦那様かそれに類する存在はほんとうにいない?」
はやり「なんで歯をがちがち鳴らしてるの」
健夜 「待って、いったん確認しよう」
はやり「うん」
健夜 「いちおう私も麻雀プロ、はやりちゃんも麻雀プロ。そうだよね?」
はやり「そうだね」
健夜 「つまり結婚なんてできないんだよ」
はやり「それはちょっとおかしいような」
健夜 「そうかなあ……?」
はやり「そうだよ」
.
健夜 「そういえばはやりちゃん、最近お昼はお弁当だって聞いたんだけど」
はやり「うん、そうだよ。そんなに手間にもならないし、栄養面を考えてもね」
健夜 「早起きとかしなくて大丈夫なの?」
はやり「早起きって言っても十分とか十五分だし、問題ないかなあ」
健夜 「…………最近なにか映画観た? レンタルでもいいけど」
はやり「すこやんホント自由だよね」
健夜 「なに観たの?」
はやり「んー、……かもめ食堂」
健夜 「はやりちゃん、趣味変わった?」
はやり「そんなことないよ、もともと映画好きだし」
健夜 「もっと、こう、恋愛系の作品じゃなかったっけ。守備範囲」
はやり「そういうのも好きだよ」
健夜 「……あっ、はやりちゃんの家にお邪魔すればいいのか」
はやり「何がどうしてそうなったのかを説明してくれるかな?」
健夜 「はやりちゃんがもし結婚を隠していたとしたら大きな砦がひとつ崩れるからだよ」
はやり「うん、なんかすごい失礼な括りに入れられてる気がした」
健夜 「というわけで今からいいかな?」
はやり「その図太さはどこから来るの」
健夜 「さあ、早く私を安心させて!」
はやり「なんでちょっと楽しくなってるの、ダメだよ」
健夜 「えっなんで」
はやり「友達招くにもいろいろと準備が要るでしょ?」
健夜 「私とはやりちゃんの仲ならそんな」
はやり「そういうことじゃないぞ☆」
.
健夜 「あれ? はやりちゃんってお仕事忙しいよね?」
はやり「おかげさまで、って感じかな☆ プレイヤーとしても牌のおねえさんとしてもうれしい悲鳴だよ」
健夜 「そうだよね、咏ちゃんが自分より忙しいって言ってたもんね」
はやり「咏ちゃんとは忙しさの種類が違うような気もするけどね」
健夜 「なんだ、不安になることなんてなかったんだ」
はやり「何に対しての不安がどうして解消されたのかまるでわからないんだけど」
健夜 「ところでさっきから気になってるんだけど」
はやり「ちょくちょく話聞かなくなるよね?」
健夜 「今日のはやりちゃん、素とおねえさんモードが混じってるよね」
はやり「話題による部分が大きいと思うなあ」
健夜 「……やっぱり、そういうことなのかな」
はやり「その自己完結するクセはどうにかしたほうがいいと思うよ」
健夜 「このあいだ靖子ちゃんにも似たようなこと言われたよ」
はやり「靖子ちゃんも被害者なの……」
健夜 「はやりちゃんさっき “結婚なんてしてないぞ☆” って言ったよね?」
はやり「うん」
健夜 「やさしい嘘とかじゃないよね?」
はやり「なんで歯を食いしばりながら」
健夜 「あのね、やさしい嘘が致命傷になることもあるんだよ」
はやり「わかるけどはやりの想定してた状況とだいぶ差があるなあ」
健夜 「でも私ははやりちゃんを信じるよ」
はやり「その信頼はいろんな意味で困るんだけど」
健夜 「こんど合コンとか設定してよ」
はやり「やだよ」
おしまい
うまく仕上がればまた明日か明後日に
淡「ねえテルー、スミレが超モテるってホント?」
照「……急にどうしたの?」
淡「あのね、亦野先輩がね、たぶん私の想像なんかよりずーっとすごいって言ってたの!」
照「なるほど」
淡「で、どうなのテルー!? 実際スゴいの!?」
照「スゴいなんてもんじゃない。ちょっとした事件のレベル」
淡「なんでモテて事件になるの」
照「それはもうとんでもないから。淡、たとえばすごくモテる人が近くにいるとしたらどう思う?」
淡「……うーん、よくわかんない」
照「大抵の場合はその人に対して羨望を抱いたり嫉妬したりするんだけど」
淡「するんだけど?」
照「菫の場合は違う。菫の魅力を周囲に布教しようとする人が出てくる」
淡「ちょっとした集団催眠だよねそれ」
照「しかも菫がただ普通に振る舞ってるだけでそんな事態になる」
淡「事件だね」
照「もちろんそれもすごいけど、男女問わないことが輪をかけてすごい」
淡「!?」
照「実際わたしたちが一年のころは大変なことになりかけた」
淡「なになにそれ! どうなったの!?」
照「そればっかりは話せない」
淡( チクショウ )
.
淡「それよりさ、今はそんなことになってないみたいだけどどうやったの?」
照「それを話すとなると菫について話しておかないとだめ」
淡「? うん、いいけど」
照「まず見た目について。淡はどう思う?」
淡「すっごいスタイルいいよねー、背も高いし。肌も髪もちょーキレイだよね」
照「そう。第一段階として菫の見た目はそこらの読モとかを余裕で凌ぐことを知っておかないといけない」
淡「カオ小っちゃいのにカッコイイ系ってずるいよね」
照「太宰治が “人間失格” で触れたような邪淫の美貌ではなく正しい美しさと言えると思う」
淡「じゃ、ん? なにそれ?」
照「そのイメージを崩すことなく運動も勉強もできる。ついでに麻雀も強い」
淡( そこついでなんだ )
照「しかも面倒見までいいから必然的に関わり合いになる人間も増える。もちろん大人気」
淡「これまでの話でそうならないほうがおかしいよね」
照「よって我々麻雀部は菫が二年生になると同時にある計画を実行に移した」
淡「ほほう、それでなんとか事件のレベルからは下げることができたんだね!」
照「そう。それは菫の下に人をつけることで菫自身が動く回数を減らすという手段」
淡「あー、たしか今も部の運営のメインは副部長?がやってるんだっけ。スミレは虎姫中心で」
照「その効果は抜群だった。それは淡も今の部の様子を見ればわかると思う」
淡「どっちかっていうと私はモテすぎてヤバいほうが想像できないしね」
照「でもそれはまたひとつ別の問題を生んだ」
淡「えっ」
照「部下を使うことを覚えた菫がまた完璧超人に一歩近づいてしまった」
.
淡「……なんかスミレの伝説とかってないの?」
照「たとえばバレンタインデーに」
淡「おおっ、それっぽい!」
照「菫にチョコとかを渡すために列ができる」
淡「むしろトラックで届いた、とかのほうが笑い飛ばせたのに」
照「それでも量が量だからお返しは丁重にお断りさせていただいている」
淡「受け取ることは受け取るんだ」
照「そのときだけ見られる困ったような笑顔がまた驚くほど可愛い」
淡( 基本的にテルーもやられてるって考えたほうがいいなこれ )
照「実際にクラスメイトの二割が鼻血をこらえきれなかった」
淡「えーと、ひとクラス四十人だから、……八人も!?」
照「もちろん菫は全員の介抱に走った」
淡「いっそスミレが病的なんじゃないのそれ」
照「鼻血が流せなかった残りの八割は涙を流した」
淡「阿鼻叫喚だね」
照「鼻血と阿鼻をかけたんだね、上手い。座布団一枚」
淡「わぁい」
照「あっ、座布団見当たらない」
淡「本気で持ってくるつもりだったの」
照「それでまあ、どう見ても一人じゃ食べきれない量のチョコを菫はもらうんだけど」
淡「テルーってけっこう強引に話を戻すよね」
照「それをだいたい二ヶ月とかかけて食べるんだよ」
淡「えっ、体重とかウエストとかヤバいことにならないの?」
照「原理はよくわからないけど菫に数値上の変化は見られなかった」
淡「すっご。裏で走ったりとかしてるのかな」
照「ニキビのひとつもできなかったのはさすがにおかしいと私も思う」
.
淡「聞いてると見た目にも中身にも隙が見当たらないね、スミレ」
照「そう。だから正直なところ懸念していることがひとつある」
淡「バレンタイン級の何かがあるの?」
照「卒業式とか盛大にまずいことになりそうな気がする」
淡「あっ」
照「菫の名前が呼ばれたらきっとすすり泣きどころじゃすまないだろうし」
淡「また鼻血が流れるの」
照「在校生じゃなくて卒業生なのに花束を持っていくひとも出てくると思う」
淡「スミレから卒業する意味で重要な気がするよ」
照「第二ボタンどころかボタンというボタンが狙われるはず」
淡「一気にヤバい匂いがしてきた!」
照「部のほうで完全にガード体制を敷こうかなって今は考えてる」
淡「あっ、待ってテルー」
照「なに?」
淡「部での超絶人気は収まったんでしょ? それなら卒業式も大丈夫なんじゃないの?」
照「違う。あくまでその効果は部だけのもの。菫の学校生活は誰にも止められない」
淡( それつまりあんまり意味はないってことじゃ…… )
照「むしろファン同士が微妙なバランスで均衡を保っている」
淡「そう聞くとあらためてスミレの人気ヤバいね」
照「白糸台に菫を知らない人がいればそれはモグリ。でも白糸台にモグリはいない」
.
淡「じゃあさ、スミレって彼氏とかいないの?」
照「……そっ、そそ、それは……」
淡「えっ、どうしたのテルー」
照「そんなことになれば……」
淡「そんなことになれば?」
照「海の向こうで戦争が始まる」
淡「なんで!?」
照「もちろん菫も女子高生だから、たまにはそういう話もする」
淡「その映像超見たいんだけど」
照「菫は謙虚だから自分が別段モテると思ってはいない。卑屈になるんじゃなくて素でそう思ってる」
淡「鏡を見て、っていうのを逆の意味で使いたいのは初めてだよ」
照「だから菫は自分の周りにいる人がみんないい人なんだと本気で思ってる」
淡「そういうマンガ私知ってるよ」
照「そのうえで恋バナをしたときに」
淡「大事なところ!」
照「“私か? タイプとかは正直わからないな、きっと恋に落ちた相手がタイプになるんじゃないか” って」
淡「普通のトークでそれ出てくるのおかしいでしょ」
照「その場にいた面子は一斉に手で口を覆ったよね」
淡「なんで!?」
照「だって頬染めながら目線逸らして言うんだもん」
淡「なにそれヤバい超見たい」
照「淡にはまだ早い」
淡( チクショウ )
照「つまり菫に彼氏ができるということは」
淡「ということは?」
照「周りに布教したくなるレベルのモテ方をしてる女が誰かひとりのものになるということ」
淡「……せ、戦争だ……!」
照「つまり、そういうこと」
ガチャ ギィー
菫「……お前たちなあ、なんでわざわざ屋上まで来てるんだよ、夏だぞ今」
照「夏の空は高くてきれいだよ」
菫「やかましい。休憩時間は終わりだ、ほらさっさと行くぞ。みんな待ってる」
淡「あー、振り向く後ろ姿とかたしかにかっこいいかも」
照「でしょ?」
おしまい
チョコは常温保存だと意外と保つ
お疲れさまでした
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