希 「特別なクリスマスの夜に」(21)
希 「エリチ! 屋上行くで!!」
絵里「ふぇ? 突然なに?」
希 「うちのマンションの屋上! あそこなら綺麗に見える!!」
絵里「だから、なに? ケーキ切ったわよ? 食べないの?」
希 「ケーキ食べるのは後で!! 早く!!」
絵里「えっ? せっかく紅茶淹れたのに…」
希 「紅茶も後で!! 早く!!」
絵里「だから、なんでよ?」
希 「38年振りなんやてっ!!」
絵里「…なにが?」
希 「満月のクリスマス!!」
絵里「ん?」
希 「やからっ! クリスマスに満月なのが38年振りなんやてっ!!」
絵里「そうなの?」
希 「そうなの!! なんでエリチはそんなに落ち着いてるん!?」
絵里「逆になんで希はそんなに慌てているのよ?」
希 「これが落ち着いていられるかいな!?
めっちゃ素敵やん!?」
絵里「確かに素敵だとは思うけど…
せっかくふたりきりなんだから私は希とのんびり過ごしたいわ」
希 「ふたりきりやからお月さん見たいんよ!!」
絵里「だから… 満月は見に行くわよ。
見るけど 、希はもっと落ち着いて?」
希 「落ち着いていられるか?! 早く!! 手 、貸して!!」
ぎゅっ!
絵里「きゃっ!」
希 「うちのマンションの屋上行こう!」
絵里「ねぇ、屋上だと寒いんじゃない? ベランダからでも…」
希 「じゃあちょっと部屋行って毛布取ってくるから!!
エリチは屋上行く準備してて!!」
バタバタバタッ
絵里「はぁ… 分かったわよ」
「コートも着ときやー?!」>
絵里「はーい」
絵里「…」
絵里「ずいぶん必死ね…」
絵里「なにが希をあそこまで駆り立てるのかしら…?」
絵里「まぁ… 確かにそんな満月は素敵だけど…」
「エリチー、準備まだー?」>
絵里「はーい。 今行くわよー」
【 屋 上 】
満月(^^)
希 「うわぁ~ 見事なお月さんやぁ」
絵里「本当… まん丸だし、なんと言っても明るいわね…」
希 「えっと…」
絵里「ん?」
希 「やっぱ、ちょっと寒いね?」
絵里「そうね。 毛布は? 持ってるだけじゃ意味ないわよ?」
希 「毛布はエリチに使って貰おうと思ったから…」
絵里「なによそれ?」
希 「だって… うち、無理矢理エリチを連れてきたし… せめてエリチに寒い思いさせたくないし…」
絵里「なにうじうじしてるのよ? さっきまでの勢いはどこに行ったのよ?」
希 「うー… お月さんを見ると勇気がなくなったと言おうか… うちがヘタレと言おうか…」
絵里「…? よく分からないけど、じゃあこうしましょ?」
ふわっ
希 「えええエリチっ?///」
絵里「ほら? こうやって一緒に毛布にくるまれば、もっと暖かいでしょ?」
希 「うっ、うん///」
絵里「ふふっ♪」
希 「ん? どしたん? なに笑ってるん?////」
絵里「月が明るくて、いいもの見れちゃった♪」
希 「…いいもの? なに?」
絵里「希の真っ赤なお顔♪」
希 「えぇっ?!////」
絵里「本当に顔が真っ赤よ? なに緊張してるのよ?」
希 「きき緊張っ?!////」
絵里「違うの? 熱は… ないわよね?
じゃあなんでそんなに顔が真っ赤なの? 緊張じゃないの?」
希 「ちがっ…!」
絵里「ん?」
希 「…違わないっ!////」
絵里「そう。 じゃあなんで緊張して顔を真っ赤にしているのかしら?」
希 「あのっ…」
絵里「ん?」
希 「次に、満月のクリスマスは2034年ねんて」
絵里「そんなに先なの?」
希 「それでも前回は1977年。 うちらが生まれるずっと前の38年前…」
絵里「それに比べれば次は…」
希 「19年後。 38年の半分や」
絵里「半分…。 でも19年後って私たち、37歳か…」
希 「それでも38年の年月には届かない」
絵里「そうね… じゃあやっぱり今日の満月はとても貴重なものなのね」
希 「そう。 やから、この満月を見たかった…」
絵里「そっか… だからあんなに必死だったのね?」
希 「例え無理矢理でも、エリチと…」
絵里「えっ?」
希 「エリチとこの満月を見たかった」
絵里「どうしたの? 急に真面目な顔して…?」
希 「月が綺麗ですね」
絵里「えっと、それって…?」
希 「クリスマスの夜に、エリチとこの満月を見られるなんて…」
絵里「……」
希 「うち、死んでもいいわ」
絵里「それって…」
希 「今日はありがとう」
絵里「やっぱり…」
希 「突然こんなこと言うてごめん」
絵里「えっ? 謝らなくても…」
希 「やけど… うち、エリチに返事は求めてないから…」
絵里「えっ?」
希 「伝えたかってん… ただ、それだけ…」
絵里「…それだけ、なの?」
希 「ほんとは一生伝えるつもりやなかってんで。 だってうちらは親友やし、うちらどっちも…」
絵里「そうね… 女同士だものね」
希 「うん。 やけど自分を抑えられなくなった。
だって38年振りって知ってしまったから」
絵里「…うん」
希 「やから、伝えた…」
絵里「…うん」
希 「特別なクリスマスの夜に」
絵里「素敵な日だものね…」
希 「それだけやから、これからも今まで通りの親友でいてね?」
絵里「希はそれでいいの?」
希 「うん。 だってエリチが側にいてくれるならどんな形であれ、うちは嬉しいし…」
絵里「ねぇ、希?」
希 「ん?」
絵里「死んでもいいわ、は 私の台詞だったと思うの」
希 「…えっ?」
絵里「例え希が親友のままでいたくても、私はそれを認める訳にはいかないわ」
希 「えっと… それって…」
絵里「だって、希の気持ちを知ってしまったから…」
希 「あの… うち、なんかよく分からなくて…」
絵里「それなら私だってもう我慢はしないわ」
希 「…我慢? えっと…?」
絵里「ねぇ、希?」
希 「えっ? なに?」
絵里「2034年は私が先に言うからね?」
希 「えっと…?」
絵里「月が綺麗ですね、って…」
希 「……!」
絵里「その時に『19年前も同じこと言い合ったね』って言いながらふたりでクリスマスを過ごせるかしら?」
希 「…エリチっ!」
絵里「もし、それが叶うなら… 私、死んでもいいわ」
希 「エリチ…!」
絵里「それが私の返事…」
希 「…うん」
絵里「だから親友のままで、なんて認められないわ」
希 「うん…」
絵里「この先もずっと、一緒にいてくれる?」
希 「この先もずっと、一緒にいたいです…」
絵里「親友のままで?」
希 「違う…!」
絵里「じゃあ、どんな形で?」
希 「うちの…」
絵里「ん? うちの、…なに?」
希 「恋人に、なって… くれますか…?////」
絵里「ふふっ♪ 嬉しいわ♪
勿論、よろしくお願いします」
希 「エリチ…////」
絵里「でも…」
希 「…でも?」
絵里「私、希の気持ちをちゃんと聞きたいわ?」
希 「えぇっ?!////」
絵里「なによ? ストレートに言ってくれてもいいんじゃない?」
希 「…エリチ、なんか楽しんでるやろ?////」
絵里「ほら、また顔が真っ赤よ?」
希 「そらそうなるわっ!////」
絵里「ふふっ♪」
希 「あぁ~ なんか色々恥ずかし過ぎるっ////」
絵里「結局聞かせてくれないの?」
希 「あ…////」
絵里「…あ?」
希 「愛してます…////」
絵里「ふふっ♪ やっぱりストレートに言われると嬉しいわね♪」
希 「めっちゃ恥ずかしいけどね////」
絵里「じゃあ次は私が恥ずかしくなる番ね?」
希 「…えっ?」
絵里「私も、愛してます」
希 「……っ!!/////」
絵里「あぁ… これ本当恥ずかしいわね////」
希 「言われた方も、恥ずかしい////」
絵里「本当ね? さっきより顔が真っ赤よ?」
希 「やけど…////」
絵里「ん?」
希 「めっちゃ幸せや////」
終わろう
ちょっと遅れたけどクリスマス満月が38年振りと知って慌てて書いた。
後悔はちょっとしている。
なんかおかしなことがあってもスルーしてください。
最後になりましたが、読んでくれてありがとうございました。
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