長門「総員!全力を挙げて提督を捜索しろ!」 (52)


でも主役は曙である。仕方ないね
思い付きなのでたぶんきっと短め


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長門「くっ、2時間もの間我々の司令部施設のあらゆる箇所を捜索しても提督が見つからないとはどういうことだ!」

陸奥「焦らないで長門。 必ず何処かにいるわよ。 きっとね」

長門「そう願いたいものだが……何十人もの艦娘が探しに探し尽くして尚提督の影すら誰も見ていないのだぞ!?」

陸奥「流石に不思議よね。 だけど、前もそうだった……諦めるにはまだ早いわ」

長門「その通りだな……ああ、必ず見つけてみせる、待っていろ提督……!」


霧島「お姉様!」

金剛「比叡!霧島! テートクはいましたカ!?」

霧島「それが……やはり何処にも」

比叡「自販機の裏とか下とかまで見たんですけど……」

金剛「そうデスか……私も同じデース、いつもならテートクのいる場所なんてスグに分かるのデスが……」

霧島「……あ、榛名? そっちはどう?」

榛名『今、演習場を暁ちゃん達と捜索しているところですが……ああ、やっぱりダメみたい。 何度も見落としが無いか確かめているんだけど』

霧島「そう……分かったわ、何かあったら報告して」ピッ

比叡「榛名の方も手掛かり無し、か……」

金剛「……諦めまセン」

比叡「お姉様?」

金剛「諦めまセンよ、1回探していなければ2回探して、2回探していなければ4回探して! 4回探していなければ16回探しマス! 何度でも何度でも! 提督を見つけるまで探し続けマスよー!」

霧島「……やはり頼もしいですね、金剛お姉様は」

比叡「うん……よーし! 私も気合!入れて!行きます!」

金剛「絶対ワタシが見つけますカラ、待っていてヨネー! テートクー!」


木曾「よう天龍、首尾はどうだ?」

天龍「木曾か、残念ながらさっき顔を合わせた時と何一つ変わらねぇよ」

木曾「そうか……俺の方もそんなもん、いや、誰に訊いても同じだろうな?」

天龍「だろうよ、ったく提督の奴何処に姿くらましやがったんだよ」

木曾「それを知るのは提督だけだろうな……俺達に知る術はない」

天龍「んなこた分かってんだよ! 大体お前はどうしてそう落ち着いていられんだよ!?」

木曾「慌てふためく時こそ冷静に、な。 よく言うだろ?」

天龍「そりゃそうだろうけどよ……」

木曾「頭に血が昇ると些細なことも見落とすようになる。 例えばお前が踏んでいる花のように」

天龍「お? おお……」

木曾「次に顔を合わせる時には手ぶらじゃないことを祈るぜ、これでも相当焦っているからな」タッタッタッ

天龍「……冷静に……か、難しいこと言ってくれるな、オイ」

天龍「けどその通りかもしんねえな。 とりあえず今まで探したところをもう一度探してみるか!」


江風「はっ、はっ、はっ、ホントに見つかんのかよ? 鎮守府全域だとすっと、もう探し出すのは現実的じゃ、ねえだろ?」

時雨「それなら大丈夫だよ、鎮守府全域じゃなくてこの司令部の敷地内にはいるはずだから。 それでも充分広いけど」

江風「はっ、はっ、……ちゅーか姉貴は何で息一つ切らしてねぇんだよ……こっちゃヘトヘトだぜ」

時雨「鍛え方が違うから、かな?」

江風「そいつを言われちゃあぐうの音も出ねぇや……」

漣「おーいしぐりーん!アンド小川ー!」タッタッタッ

時雨「漣、どう? 提督は見つかった?」

漣「やーダメだわ、正直諦めたくなるレベルで見つかんないね。 ウォーリーより探すの難しいぜ、これは」

時雨「そっか、これだけ探して皆で情報を共有してもまだ探していない場所があるのかな……」

江風「なー漣サン、毎度毎度思うンだけどその小川ってのはもしかしなくても」

漣「もち、小川こと江風ことカワさんのことだけど?」

江風「やっぱか、もうちょいどーにかなンないの? ってか何で小川」

漣「小っちゃい川内さんっぽいから小川」

江風「せめて呼び捨てるかカワさんにしておくれよ」

時雨「2人共、無駄話してる暇があるなら足を動かすか目を動かそうか?」


時雨「ところで漣、曙は? 一緒じゃないの?」

漣「さっきまではね、でも追い付けないくらい全速だし全力だから分かれた方がいいかなって」

江風「そんなになのかよ……何がそこまであの人を駆り立てるんだ?」

漣「うーん……」

時雨「それはきっと、」

曙「随分、悠長ね、アンタら」ゼーハー

漣「おおう、噂をすればぼのやんだ」

時雨「本当だね……でも大丈夫? 息が上がってる、余程本気みたいだけど」

曙「うっさい、あの馬鹿を、見つけるのは私だから」ゼーハー

江風「いやっ、てか何で薄着……」

曙「走って、たら暑くなって、それで」ゼーハー

漣「汗もすげーよぼのやん……風邪ひくよ? 部屋戻ってコート着てくるか、もう休むかしたらどーよ? どう足掻いたって健康が第一だぜ?」

曙「……流石に体力も限界だし、そうする、後は適当に任せたから」フラフラ

江風「……意外にアッサリ退いたな?」

時雨「流石に身体を壊しちゃ元も子もない、と思ったのかな」

漣「ところでさ、しぐりんはさっき何を言いかけたん? きっとー、何?」

時雨「ん、ああ、それは曙のみが知ることだろうねって、ありきたりなことをね」


第七駆逐隊の部屋へと続く道中——


白露「あれ? 曙? どしたの?」

叢雲「ちょっと、アンタ具合悪いの?」

曙「いや、ちょっと疲れたのと寒いのとで……」

叢雲「そりゃそんな薄着じゃ寒いに決まってるじゃない? 今何月だと思ってるのよ?」

白露「ま、ま、抑えて抑えて。 とにかく暖かくして寝た方がいいよ? 後は私達皆に任してさ」

叢雲「なんなら、アンタの代わりにクソ提督って言ってあげようか?」

曙「はは、頼もしいわね……後はまあ、よろしく」フラフラ

白露「……ほっといて平気かな」

叢雲「眠るだけなら誰にでも出来るでしょ。 でも一応……そうね、潮でも見かけたら教えておこうかしら」


足柄「コラァー! 提督ゥー! 出てきなさーい!」

那智「何だろうな、日曜夕方の国民的アニメを思い出すな」

足柄「何よそれどーいう意味!? ってかアンタも探しなさいよ!」

那智「いや私は……うん? 曙?」

足柄「探すのは曙じゃなくて提督、ってあらホント曙じゃない」

曙「けたたましい声がするかと思ったらアンタ達か……」

那智「……訊くまでもなく顔色が悪いが」

曙「あー……ちょっと冷えてきて」

足柄「おバカねー、そんな薄着でいるからでしょうが! 上着はどうしたの?」

曙「漣に預けたまんま……」

那智「そうするつもりだろうがとにかく身体を温めろ、こんなことで身体を壊していては末代まで笑われるぞ」

足柄「こんなことでなんて言うと他の皆も含めて貶してることになるわよ……あ、身体を温めると言っても物理的に温めるだけじゃダメよ! 生姜湯を飲みなさい生姜湯!」

那智「そうだな、今日はもう寝るといい。 何、提督にはキツく言ってやるさ。 貴様のせいで曙が身体を壊したってな」

足柄「そのためにも早く見つけるわよー! カツあげるから出てきなさーい!」


第七駆逐隊の部屋——


曙「…………」フラフラ

曙「……あー、本格的にマズったかしら、これは」

曙「……でもまあ仕方ないか、一世一代の名演技の結果よ。 前にもした気がするけど気にしない」

曙「どいつもこいつも必死で、本気でアンタを探してる」

曙「見つかりっこないのを知ってると滑稽よね、正直笑いを堪えるのに苦労してたわ」

曙「そんなわけでクソ提督ー、おとなしくしてたー?」クローゼットオープン

提督「ここめっちゃ窮屈なんですけど。 でもなんでか落ち着くんですけど」

曙「ならそこ執務室にする?」

提督「それは勘弁」

曙「まあいいや、しばらく誰も来ないと思うし出てきていいわよ」

提督「あ、そう? そりゃあ助かる」

曙「こたつも電源入れようか」

提督「冷えた身体に最適! おこたー!」

曙「でもあんまり騒ぐな、他の奴らが嗅ぎ付けて来るわよ」

提督「おっと、そうだったそうだった」


数時間前・食堂——


曙「今日イブだけど、今年もやるの? アレ」

提督「アレ? ああ、やるよ、"提督を探せ!"」

漣「ウォーリーかよ」

潮「えっと、何の行事でしたっけ……」

朧「司令部の敷地内のどこかに隠れた提督を探し出すんだったよね。 去年大ブーイングだったのにまたやるんだ」

曙「演習場の深度の深いとこに潜水装備完備で制限時間いっぱい逃げ切ったというか、隠れ切ったものね」

漣「皆クリスマスのお遊戯かと思ってたのに1人だけガチ勢なんだもんね、潜水艦の子達ですら呆れてたよ」

提督「遊ぶからには本気に決まってるじゃないか」

漣「本気出し過ぎやっちゅうねん」

提督「それに見つけて捕まえるだけでなく制限時間までペイント弾当てるだけでもプレゼントやるってんだから出血大サービスレベルだぞ」

潮「プレゼント?」

提督「そ、クリスマスプレゼントな。 この時期になると暁とかならまだしも、金剛やら足柄やら、果てには加賀さんまでもがねだってくるからな、全員分クリスマスプレゼント用意したら俺のお財布がブレイクしちまうって」

漣「とゆーか潮ちゃんはどんだけ覚えてないのさ」

潮「去年は早寝してたから……早寝しないとサンタさんがプレゼントをくれませんし」

提督「…………」

曙「…………」

朧「…………」

潮「え、どうしたの? 提督まで……」

漣「今日から君を純真ミラクル100%と名付けよう」

潮「それはちょっと嫌かな」


提督「まあ流石にな、そこは反省して海中には隠れないことにしたよ」

漣「ろーちゃん達が今年は徹底的に海底を探し尽くすぞーって息巻いてたのにね、ご主人様の気まぐれに翻弄されて可哀想に」

提督「俺にどうしろと言うのか」

漣「おとなしく全員分クリスマスプレゼント用意すればいいんでねーです?」

提督「だから俺の自腹だっての、皆が何欲しがるのか分からん上に何人いると思ってんだ」

漣「ちなみに漣ちゃんの欲しいものは年中いつでも好きな時にお休み取ってもいい権利ね!」

提督「クリスマスプレゼントの皮被ってれば何要求してもいいと思ってんじゃねーぞ」

潮「提督もクリスマスプレゼントをくれるんですか?」

提督「え、まあ、うん俺を見つけたらね……」

曙「アンタは何か欲しいのあるの?」

潮「うーん……今は、下着かな……」

提督「下着」

曙「下着」

漣「下着」

朧「それクリスマスに頼むものじゃないよね、というか自分で買いに行けば……」

潮「購買部に売っているのはその、デザインが他の子と被ることもあるから……」

漣「サイズが合わないとかだったらどうしようかと思った」

曙「ホントよね」

提督「ていうか仮に潮が俺を見つけても、買いに行くの俺なんだけど何なのそれ? 変質者かな? 羞恥プレイ?」

漣「いや、通販使えよアンタら」


潮「朧ちゃんは何か、欲しいものはある?」

朧「私? そうだな……不意に言われると思い付かないね」

漣「何でもいいって言われると逆に困るっちゅー奴だねー、困ったら欲しいのはお前の心臓だーとかなんとか言っとけば?」

朧「そんな猟奇的な趣味はないよ。 曙は?」

曙「私? 私も別に……」

提督「意外と無欲だよなあ君ら。 1人除いて」

漣「全くだよね、下着が欲しいなんて言っちゃってご主人様の困った顔をもう手に入れてるんだぜ?」

提督「鎖付きブーメランのカードを漣へのプレゼントにしようか?」

漣「B押しっぱで操作できるマジカルブーメランのが欲しいー!」

曙「ま、今の段階だとただの皮算用よね」

朧「提督を見つけられるとも決まってないしね。 今年はどこに隠れるのやら」

提督「まああんまり屋外にはいたくないよな、彩雲や二式偵察機飛びまくるもん」

漣「なんてことを拡散されることを見越して漣達に嘯いて、敢えて外に隠れたりとかね、高度な情報戦は既に始まっているのだ……」

曙「大人気ないわねホント」

潮「提督、まだちっさな子もいるんですし……」

提督「おう、漣のせいでガクンと好感度が落ちた気がするぞ」

漣「責任転嫁とか引くわー」

提督「いや6割くらいお前のせいだろに」

朧「ところでいつから始めるの? もうそろそろ8時だけど」

提督「ん、もうそんな時間か。 じゃあ俺は隠れに行くとしようかな」

漣「なんかすげー適当な始まり方すんのね」

提督「進行は大淀に放送でやってもらうから。作戦開始時刻はフタマルマルゴー、終了時刻はフタサンマルマルな。 じゃあまたそのうち!」ダッシュ


第七駆逐隊の部屋・フタマルヨンマル——


鈴谷「ねー、ナミちゃん達提督探し行かんのー? もー皆チョー本気出してるけど? 出遅れちゃってるよ?」

漣「あー、いーのいーの。 皆が探すような所には基本いないと思うから、皆の持つ情報を集めてからニッチなエリアをしらみ潰しするつもりなんすー」

鈴谷「へー、頭使うんだ? ま、いいや、鈴谷はそーゆーの性に合わないから行ってくんねー、ばいにー」トタタッ

漣「ばいにーすずやんパイセーン」

朧「……漣の方が先にこの司令部にいるのに先輩呼び?」

漣「そら年功序列よあーた、JKではJDには勝てんぜ」

曙「高校行ってもないのに女子高生って言うのも変よね」

漣「ぼのやん先生、ブーメラン突き刺さってるぜ」

曙「というかさ、私達って一目見られてまず言われるのが」

漣「思ったよりも大きい」

曙「だもんね、他の曙とかってどんだけちっさいのよ」

朧「背の話でもあるけど背の話だけではないと思う」

漣「駆逐艦娘としては年齢重ねすぎちゃいましたかね……女としてはこれから脂がノるところなんだけど」

潮「他の七駆の皆を見たことあるけど、なんというか、可愛かったよ?」

曙「でしょうね」

漣「せやろな」

朧「まあ……私達よりは幼いだろうね」


曙「ところで、そろそろ行くべきじゃない? こんだけ時間も経てば情報は充分あるでしょ」

漣「うーんそうだにゃー。 聞き込みする時間ロスと照らし合わせもあるし、9時に出よかと思ってたけど、ぼちぼち行くべ」

朧「私はいつでも出られるよ」

潮「わ、私もです」

曙「あ、ちょっと待って。 髪まとめ直すから」

漣「ポニテも似合っちょるのに」

曙「いつものじゃないと気分が出ないのよ……あっ、とと」ポロッ

漣「上着も忘れちゃダメやでぼのやん。……案外クローゼットの中にご主人様がいたりしてねーっと!」オープゥゥン

曙「ああもう、ベッドの下にまで転がらないでよ……」ノゾキコミーノ

提督「」メトメガアウー

曙「」

漣「ちぇ、流石にいないか。 って2人共先に行っちゃってるしー? 漣ちゃんを無断で置いてくことは国際条約第7条か何かに違反してるんだゾ! ぷんすか! 行こーぜぼのやん!」

曙「——えっ、ああ、ちょい待ってってか先に行っててくれる? なんかこう、拘りの比率にならなくて」

漣「初耳やで……? まあいっか、先行ってんねー」パタパタ

曙「…………」ドアガチャ

曙「そこはないと思う」

提督「灯台デモクラシー的なのを狙ったんだが……まさかこうも早く看破されるとは」

曙「してないから」


提督「よもやこんな分かりやすいところには隠れていまいと思わせて逃げ切るつもりだったんだが……」

曙「無理があるというか無謀というか、こんなのが作戦を立案してるのだと思うと素晴らしく不安になるわね」

曙「さて、どうしてくれようか。 皆を呼んだらアンタの財布のキャパオーバーは間違いないわよね?」

提督「お、おう……その通りです……」

曙「正直自業自得だしね。 破産まではしないだろうけど、アンタの懐がどれだけ寒くなろうと私の知ったことじゃない」

提督「くっ……要求はなんだ、言ってみろ」

曙「椅子に縛り付けられたりとかならまだしも、ベッドの下で這いつくばってると全く様にならないわねその台詞」

提督「うるせー!」

曙「まあいいわ、匿ってあげる」

提督「へ」

曙「部屋に鍵かけて行けば誰も入ってこれないし安全でしょ。 漣とかが戻ってこないとも限らないけど、とりあえずそうね、クローゼットの中にでも突っ込まれといて」

提督「あの、せめて布団の中とかに」

曙「何十人からプレゼントを請求されることから救ってやるってんのよ、多少の不便は我慢しなさいよ。 ってか布団なんて絶対嫌」

提督「匂い嗅いだりとかそーいうことなんざしませんから! 考えたこともない!」

曙「そういう発想が浮かぶ時点で尚更よ」

提督「ぐう……で、結局要求は何なんだ」

曙「まだ決めてない」

提督「まだて」

曙「しばらく待ってなさい、何か考えとくから。 ま、十数人分くらいのスペシャルな要求でも構わないわよね?」

提督「えっ」

曙「滅多にない機会だからねー、たっぷり悩まさせてもらいましょうか」ニヤニヤ

提督「財布の紐握られた夫か彼氏ってこんな感じなのかな……おのれ小悪魔……」

曙「何言ってんの、アンタはATMよ」

提督「もっと酷かった」


————
——


提督「で、いつの間にやら残り30分な訳だ。 あーこたつぬくい」

曙「皆焦ってたわよ? どこを探しても見つからないもんだからって」

提督「にしても我ながらなんで誰もここに来ないんだろうな感はある」

曙「確か一度だけ朧がマフラー取ってくるって部屋に戻ったはずだけど」

提督「あー、確かに来たな。 クローゼットに入れてはなかったみたいだからニアミスのニの字もなかったがな」

曙「本当に気付かないもんなのね。 私がヘアゴム落としてなかったら多分アンタそのままだったかもね」

提督「そんでもってそのまま皆この部屋で寝ちまって俺が部屋を出るタイミング無くすまであるんだな」

曙「よくよく考えたら私達の部屋に勝手に忍び込むとか最低ねこの変質者」

提督「今更言うのは反則だぞ、後出しじゃんけんじゃん」

曙「至極当然のことを言ったまでよ、女子の部屋に隠れるって変質者そのものじゃない」

提督「でもあけぼのちゃんの寝顔とか見てみたいかもしれない」

曙「…………」スッ

提督「わあ、なんて冷たい笑顔で背後に回り込むんだ」

曙「そういうのが変質者だってんのよこのクソ提督」グリグリグリグリ

提督「痛いだいだいだいだいいろこれ実際食らうと痛だだだだだ」

潮「曙ちゃん、具合は大丈夫?」ドアガチャ

曙「ぜぇええええええええい!!」ズムゥオオオオ

提督「むぎゅん!?」

潮「……曙ちゃん?」

曙「あら潮、どうしたの?」

潮「いや……今何してたの、というか何したの?」

曙「ハエが目の前飛んでたからこう、グイッと上から押し潰す感じで」

潮「もっと豪快だった気がするけど……それに、他の誰かの声がしたような」

曙「気のせいじゃない? まさかこの部屋にクソ提督が隠れてるなんて言わないわよね?」

潮「それは無いんじゃないかな……気のせいならそれでいいんだけど」

提督(気のせいじゃないんだよなあ)


提督(しかし今の俺はどうなっているんだ、ありのまま起こったことを思い返してみよう)

提督(曙に三十路手前の二児の母ばりのグリグリ攻撃を食らっていたと思ったら一瞬の間に力技でこたつの中に押し込められてしまった、何を言ってるのかわからねーと思うが俺にも何をされたのかさっぱり——)

提督(うん、分かってんじゃねえかってね)

提督(でもね、分からないこともあるんですよ、後頭部にある感触は床じゃない、カーペットでもない何か、視界もすこぶる不明瞭。 こたつ布団が眼前にあるだけだろうけどさ)

提督(こたつの中はこたつの中でもどこだよ)

潮「でも曙ちゃん、体調が良くないならこたつじゃなくて布団に入った方がいいよ?」

曙「あーうん、そうね、しばらく温まったら移動するから」

提督(潮はええ子やな、純情ミラクル100%って呼ぼう)

潮「あれ……?」

曙「ん、どうかした?」

潮「曙ちゃん、そんなに足長かったっけ? こたつからはみ出してる……」

曙「…………」

提督「…………」

提督「…………」ススス…

曙「成長期なのよ」

提督(無理だろ)

潮「成長期なら仕方ない、のかな?」

提督(なんでやねん)


曙「ほら、早くクソ提督探しに戻りなさいよ。 あと30分もないわよ?」

潮「うーん、でも私はそんなに……」

提督(身体動かせるかな……足は曲げられたけど……)カオグリッ

曙「ひゃ」

潮「ひゃ?」

提督(あ、これ太ももだ)

提督(太もも)

提督(……つまり、今、俺は、曙のスカートの中にいる……!?)ドギャァァァァン

潮「……そうだ、私が提督を見つけたらそのクリスマスプレゼントの権利を曙ちゃんにあげるね」

曙「いやーいいのよそんな遠慮しなくても」

潮「だって曙ちゃん、あんなに一生懸命だったでしょ? なのに途中でリタイアなんて悔しいよね、だから、ね?」

曙「あーとりあえず気持ちだけは受け取っとくわ、それならほら、急がないと」

潮「そうだね、それじゃ行ってきます」ドアガチャ

曙「…………」

曙「クソ提督」

提督「はい」

曙「後で殺す」

提督「そんな殺生な」

曙「ていうかさっさと出ろ」

提督「アッハイ」


提督「そう言えば何気に提督業始めてからラッキースケベに遭ったのこれが初めてだよ俺」

曙「何回殴ったら記憶ってなくなると思う?」

提督「そんな物騒なこと言わんといてください」

曙「てかさ、こたつそのものから出ろってんのよ、何よその体勢、亀か、こたつむりか」

提督「だってさー、こたつの魔翌力には争えませんよー」

曙「他の連中呼び込むわよ」

提督「くそ、そのカードを切られると言うこと聞くしかねえんだよな……あだ、つっかえた」ガタカタ

曙「もうちょっとスムーズに動けないもんなの?」

提督「突っ込んだのはぼのやんでしょうが……いでで、そういや要求、ってかプレゼント決まった?」

曙「そう言えばまだ——」

漣「ぼのやん大丈夫ー? なっちゃんさんから聞いたよー」ドアガチャ

曙「ぬぁん!!」ズッドンギュゥウウウン

提督「ぬ゛む゛ん!!」

漣「何だ今の」

曙「あ゛ー、何? 漣? どっだの?」

漣「いやそりゃこっちのセリフだぜボノエッティーヌ……何今の音ってか、何? 何したの?」

曙「くしゃみ」

漣「どんだけ器用なくしゃみしてんのさ」

曙「私レベルととなるとくしゃみ1つで地球を揺るがすことも出来るのよ」

漣「天災じゃったか」


提督(OKOK、落ち着こうぜ皆。 こういう時こそクレバーな判断が求められる。 今の俺はなんだ? どういう状況だ? 教えてくれ俺)

提督(ああ、今の俺はこたつむりからあけぼのちゃんのの抱き枕へとスタイルチェンジを遂げている。 何故なら漣がドアを開けた瞬間、あけぼのちゃんは俺の顎下に膝を滑り込ませ、こたつ布団で俺の頭部を覆いそのまま強く抱きしめたからだ)

提督(抱きしめてるってーか抱き押さえられてる感じだがな。 顔が殆どぼのやんの腹部に埋もれていると言ってもいい。 いい匂いする)

提督(あ? 嗅ぐな、だって? 嗅いでるんじゃねえ、鼻で息をすると必然的にそうなるだろ、仕方ないだろ)

漣「ぼのやん顔赤くない? こたつでのぼせた?」

曙「は、はは、そうかもね、そろそろ寝ようかな」

提督(ああ、分かっているさ隊長。 こんな時こそクレバーに、落ち着いて気を静めるんだ。 誰だよ隊長って。 知るか)

漣「…………」ジー

曙「な、何よ」

漣「……せっかくだし漣ちゃんもおこたであったまってきましょうかね」

曙「はあ!?」

提督(エマージェンシー! エマージェンシー! 何事だ! ハッ! おこたファイアウォールに侵入者がやって来る模様です! とか言ってる場合じゃないね!!!)


曙「いやアンタ、そんな悠長にしてる場合じゃ」

漣「こんなに探してもご主人様見つからないってんなら残り時間も以降もぬくぬくしていたいじゃーん? アゼルバイジャン? そゆことでおじゃましまうまー」

曙(あ、もうダメねコレ)

漣「ふー、いやあおっきなこたつで良かったよねえ、2人入って足伸ばしても窮屈じゃないって素晴らしい」

曙(……あれ? どうなってんの)

提督(導入したのがおっきなこたつで助かったぜ……漣の入った辺の対辺まで身体を逃がせばなんとか足を避けられる!)

提督(え? 頭も一緒に逃げた方が楽だろうって? なんでこの感触から離れなきゃいけないの? 俺のくせに何言ってんだよ俺はHAHAHA)

漣「ぼのやんの脚はどこかなーっと、お、あったあった」ガサゴソ

曙「あっちょ、やめてよ!」

漣「よいではないかよいではないか、っとい」ツンツンゲシゲシ

提督(よくない)ツンツンゲシゲシサレーノ


一旦中断。眠い
今更ながら関連スレ。でも別に読まなくても平気な内容にしてるます
提督「あけぼのちゃんはツンドラ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446847278/)


漣「ぼのやん弄りも程々にしとくかー、なんかテキトーに氷枕か何か持ってくんねー」ヨッコラセ

提督(わざとじゃねえのってくらい蹴られたんだけど)

曙「いやもういいから1人にしてよ……」

漣「あーっと突然足が滑ってしまったー」ガバッ

曙「重っ!?」ギュウッ

提督(あああああああばばばば)

曙「ちょっ、何してんの馬鹿! 重い!」

漣「はー、ぼのやん湯たんぽはええのう、あったけーなー」

曙「暑苦しいからさっさとどきなさい!」

漣「へーへー。 そんじゃま何か持ってくるついでに、お熱出てるぼのやんの邪魔をされないよう言いふらしときましょうかねー、ウェヒヒ」ドアガチャ

曙「……あの馬鹿絶対わざとだ、どう気付いたかは分からないけど知った上でスルーしたわね」

提督「」

曙「アンタもいつまでくっついてんの、離れろ」グイー

提督「動くならぼのやんが動いてください。 私はここから出られません、リヴァイアサンを封印している最中なのです」

曙「何を訳のわからないことを」


提督「ところでさ? この人生単位で数えたら須臾とも言える間にぼのやんに抱きしめられたり生太もも膝枕されたりとかってさ、なんなん? 俺死ぬの?」

曙「そうね、十数分後にはアンタの命を絶ってやろうかしら」

提督「クリスマスプレゼントを棒に振ることになるがよろしいか」

曙「……もう何をもらっても割に合わない気がしてきた」

提督「でもちゃんとしてない方法で俺を隠してるのはぼのやんだからな? プレゼントの権利を独り占めしようと欲を張ってる結果だかんね? 恨んだら逆恨みだぜ?」

曙「だったらアンタを部屋の外に放り投げるだけよ、アンタの財布事情なんざ知ったことないしそれでもいいや」

提督「でも今は出られないのです、許せ」

曙「わけわかんないわね、アンタって奴は」

提督「男には見せてはいけないものがそこそこまあまああるんよ……ところでさっきの続きだけど、プレゼントどんなのにするか決まりました?」

曙「え、ああ……数十人分のを集約したのって考えると思い付かないわね」

提督「待って、十数人分じゃなかったっけ」

曙「私の自尊心が傷付けられたから上乗せしたの」

提督「脆いな自尊心」

曙「傷付かない方がおかしい」


提督「そろそろ、ってかさっきからずっとだけど暑くなってきた」

曙「いっそのことそのまま干からびてしまうのもいいんじゃないかしら」

提督「わぁい、北極圏のような目線で見下ろされたお陰で相殺されたかもーってんなわけねーよ暑苦しいよ」

曙「ならさっさと出なさいよ、出たら出たらで鬱憤晴らすけど」

提督「出るも地獄、出ないも地獄とは一体」

曙「1発くらい大目に見るべき」

提督「だから逆恨みやっちゅうねん、それにこれ以上誰が来るってこともないだろ。 でもどうせなら今踏んでくれてもいいんですよ」

曙「何のぼせたこと言ってんの、こたつに熱され過ぎて脳みそ腐った? 大体そんなこと言うと大概——」

朧「曙、大丈夫?」ドアガチャ

曙「」ズボッ

朧「漣や潮から熱っぽいとか聞いたけど、ダメじゃないこたつなんかに入ってちゃ」

曙「そうね、うん」

朧「……何かあった?」

曙「別に? 何もないけど」

朧「そう……? 考えるのをやめたような、諦めたような何か変な顔してるけど」

曙「気のせいよ」


提督(曙さん、3回目にしてスマートに俺の存在を隠すことに成功したことは認めましょう)

提督(ただね、俺の顔を太ももで挟み込むのはどうかと思うの)

提督(どうかと思うの)

提督(…………)

提督(パンツ! パンツです! とかってふざけてないとやってられませんね、何かと)

提督(果たして俺に明日は来るのだろうか)


朧「ところで提督はどこにいるんだろうね、本当」

曙「さあね、案外身近にいるんじゃないのあのガラパゴスゾウリムシは」

朧「何それ……にしても、とうとう天井裏まで探し始めてる人までいるしね。 残り時間はそうないけど」

曙「排水溝の中でも潜んでんじゃないの、文字通りのクソ提督ってね、けっ」

朧「曙は何でそんなに荒んでいるのかな……」

曙「熱のせいよ、このくだらないかくれんぼが終わったら私の鋼鉄の右足でアイツの黄金を蹴り砕いてやる」

朧「色々とシャレになってないよそれ」


大淀『フタサンマルマルです、ただいまを持ちまして当司令部行事"提督を探せ!"を終了とします。 皆さん、お疲れ様でした』

朧「あ、終わった」

曙「いいや、始まりよ」

朧「え? どこ行くの曙?」

曙「艤装つけてくる、第2ラウンドはこれからだから」ドアガチャ

朧「……? どういうこと? でもせめてこたつの電源切っていきなy」

提督「」

朧「うわ」

提督「ああ、すまん、驚かせたな」

朧「提督、こんなところに……まさかずっとこたつに?」

提督「ここに入ったのはぼのやんが部屋に戻ってきてからだな……よいしょっと、ああ狭くて熱くて、そして何にも代え難い時間だった」

朧「はあ……? 曙は知ってたの?」

提督「おう、匿ってやる代わりにプレゼントは十数人分……いや、数十人分相当のものを要求するってな」

朧「なるほどね、曙のやりそうなことだよ」

朧「だけど、やり切ったわりにはそういう風に見えなかったけど……第2ラウンドって、何?」

提督「決まってる、俺と奴との第2ラウンドさ」

朧「そんなルールあったっけ」

提督「いや、ない。 けど人は争わなければならない時がある」

提督「さあ、楽しませてもらおうか! 曙ォ!」

朧「提督、膝が笑ってるよ」

膝「ウェーヒヒヒwwwww」


司令部本館正面入り口前——


長門「クッ、今年も見つけることは出来なかったか……!」

天龍「どこに隠れたんだって話だよなあ……ところでアンタは何が欲しかったんだ? プレゼント」

長門「む、それは……秘密だ」

陸奥(テディベアのカタログを見てたの知ってるんだから)

提督「」猛ダッシュ

天龍「あ?」

陸奥「提督?」

曙「逃がすかぁっ!!」ズドンッ

長門「曙!?」

提督「当たるかぁっ!」グレイズッ

長門「なっ、提督に向けて……!? 何をしている曙! 提督に向けて発砲するなど」

曙「邪魔すんな!」
提督「邪魔をするんじゃない!」

長門「えっ」


提督「艦娘ファイト第3条! ファイトに介入していいのはレフェリーのみ、それ以外の人物による介入は一切禁ずる!」

天龍(なんだそれ)

長門「何を馬鹿な事を……駆逐艦の物とはいえ主砲の一撃を受けてみろ! 生身の人間の身体を吹き飛ばすには充分な威力だぞ!」

曙「模擬弾だから当たってもカラフルになるだけだし! 最悪打撲か骨折で済むから平気! 当たりどころが悪ければ死ぬだけよ!」

長門「どこが平気なものか! 取り返しのつかない事になる前に止めろ!」

提督「でぇじょうぶだ! ドラゴンボールがある!」

長門「何処にあるんだそんな物!!」

提督「それも2つ目の願いでなんとかなる! ドラゴンボールをおくれってな!」

曙「そういうわけだからほっといて! さあ覚悟なさいクソ提督! アンタの頭に集中砲火を浴びせて前世の記憶まで吹き飛ばしたげる!」

提督「やってみやがれファッキンガール! さっきまでの数十分の出来事は俺の脳内メモリにしかと焼き付けてやったからな!」ダッシュ

曙「やっぱ殺す!!」ダッシュ

長門「いい加減にしろ2人共ーッ!!」


——————
————
——


漣「まあその後はね、イカゲーよろしくそこら中を塗りたくるぼのやんと逃げ走るご主人様と羅刹を思わせる殺気で追いかけるながもんさんの三つ巴になってね」

漣「ながもんさんが2人をゴッドフィンガーして捕まえて無理矢理終わらせたわけですよ」

漣「そんでさー、それでもご主人様を見つけたのはぼのやんだけだからさ、プレゼントどーするのかな? ってのが皆の話題になったんだけど」

漣「保留だってさ、ほ・りゅ・う。 つまんねー幕切れしてくれたよねー、どうせなら結婚指輪でも請求してやりゃあよかったのにさ? または漣ちゃんの無期限有給休暇とかー」

漣「って、こんなことYouにお話ししても仕方ないよねー?」

レ級「」


漣「…………」

レ級「」ニッコリ

漣「……ねーぼのやーん」

曙『何よ』

漣「なんで漣ちゃんぼっちでサーモン海来てんだっけ? 教えてちょんまげ」

曙『私からのお仕置き』

提督『それとしばらく前、俺からお仕置きするのを忘れてたからそれも合わせて』

曙『季節外れの肝試しね』

漣「あーそっかー、はははー」

レ級「」ニッコリ

漣「……逃げ出したい、この笑顔」

レ級「」主砲ステンバーイ

漣「肝試しで命落としちゃシャレならんですけどォ!?」

曙『肝の味を試すんじゃなかったっけ』

提督『さあ』

ハ級「ウィッス」

リ級「ソウカヤルノカ」

レ級「ヤルナラヤラネバ」

漣「土下寝でもなんでも全力で謝罪するから許してってか助けてー!!」



おわれ


くぅ疲 メリークルシミマス
せっかくの日なんだからなんかしたいなって思ったのと深夜テンションが合わさり変なのが思いつきました
現行スレであるツンドラの方で書いても良かったんだけど、脳内的に時間軸が随分違うので別に建ててやるかーってなった次第
にしても深夜テンションで考えるもんじゃないねっていう。1日で終わらせたかったけど都合がつかなかったり

そんなわけでメリクリ。お付き合いいただきありがとうございました
よろしければ現行スレの方もよろしくお願いします

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月27日 (日) 10:22:06   ID: 1p1GjCZw

乙です。おい、深海棲艦の中にシベリアンハスキーが混じって無いか?「俺はやるぜ!」って叫ぶ奴(笑)。

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