男「よこしま」(31)

家の玄関を出るとすぐに、何かが僕の頭に触れたのがわかった。

雨でも降ってきたのかと思い空を見上げると、絵の具を薄めず塗りたくったような濃い青空を背景に、地上へと降り注ぐ無数のしましまぱんつが視界に入る。

しまぱんはますます雨脚、いや、しま脚を増すばかりだ。もうあちこちに、しま溜まりができてきている。

手のひらを前方に差し出す。そこへひらひらと舞い降りる、一片のしまぱん。

男「……時には傘も差さずに、しまぱんに包み込まれてみるのもいいかもしれないな」

女「よくねーよ」

男「女、おはようじょ」

女「黙れ。それにしても、何でパンツが雨みたいに降ってるのよ……」

男「フィクションの世界ではよくあることだよ、気にしないで」

女「フィクションでもあってたまるか! てか、メタっぽい発言すんな!」

男「さっきからずいぶん興奮してるね。生理? それとも発情期?」

女「ちげーよ! あんたのせいよ!」

男「僕のせいで発情期なのか……まいったな。とりあえずこれでも被って落ち着いて」

女「発情期じゃねぇっつってんだよ! あと、人の頭にパンツ被せようとすんな! 意味わからん!」

男「そうか……」

女「だからって自分でパンツ被んな! しかも変○仮面みたいに!」

男「まいったな。パンツ被ったりなんかしちゃったら、○態仮面とキャラ被っちゃうよね」

女「ドヤ顔やめろや! 自分では上手いこと言ったつもりかもしれんが、全然まったくだ!」

男「さっきからずいぶん興奮してるね。発情期? それとも発情期?」

女「会話がループしてっから! しかも今度の選択肢は発情期しかないのかよ!」

男「僕は常に君に欲情してるけれどもね」キリッ

女「うっさいわ! 早くズボン上げて股間のテントを隠せ!」

男「パンツだから恥ずかしいもん!」

女「なら、やめれ! 何で下げたんだよ!」

男「まったく君はツンデレだね。そんなところもso cuteなんだけど」

女「ぶっ殺すぞ」

友「いい加減走らないと、お前らも遅刻するぞ!」

女「お前も突然現れたかと思えば、パンツ咥えて登校すんな!」

ドンッ!

友「oh!」

後輩「きゃっ!」

友「すまない、余所見をしていたせいでぶつかってしまったね。さあ、どうぞ俺の手をつかんで立って……怪我はないかい、お嬢さん(フロイライン)?」

後輩「え、あ……はい」ポッ

後輩(やだ……紳士的でかっこいい)

女「そいつ、明らかに変態よ?」

後輩「あ……」ハッ

後輩「その……見えちゃったり、しませんでした?」
友「フッ……」

友「くまさんのバックプリントのかわいらしい純白パンツなんて見てないよ」

後輩「///」

女「しっかり見てんじゃねーか! それ以前にあの体制でどうやって後ろの柄とかわかるんだよ!?」

友「目で見たわけじゃない」

女「?」

友「心眼で見たのさ」キリッ

女(何言ってんだ、こいつ……)

後輩「素敵……抱いて」ジュン

女「ねーよ」

ssを投稿したのは初めてですが、こんな感じでよければまったり続けていこうと思います。

男「ふう、どうにか遅刻せずに着いたね」

友「そうだな」

女「お前ら、そのハンカチ代わりに使ってるパンツ捨てろ」

男「安心して、僕は君のパンツにしか興味ないから」

女「今の言葉に一ミクロンたりとも安心できる要素が無いわ! 不安になる!」

男「パンツもそうなんだけど、僕はパンツという宝箱の中に隠された君の大切なものが欲しいよ」

女「お前いろいろ最低だな」

先生「出席取るぞー」

女「先生もパンツで眼鏡拭きながら登場した!? しかも頭にも被ってるし!」

男「女――君が好きだ」

女「何で、このタイミングで告白してくんの!?」

友「何か小説十冊ぐらい出せそうなぐらいいろんなことがあった学校が終わって放課後だな」

友「パンツの歴史がまた一ページ……」

女「お前いちいちあざといよ」

男「女、そろそろ返事を」
女「よし、用事もないし帰宅部の私は速やかに帰るぞー」

男「ハニーは恥ずかしがり屋さんだね」

友「ヒューヒュー」

女「お前ら黙れ。それにナチュラルに私のパーティになろうとすんな」

男「……女!」

女「あんだよ?」

男「いっ、いいい一緒に帰ってもいい……?///」

女「今まで散々恥ずかしいこと繰り返してんのに、今更そこで照れるのかよ!」

男「」ドキドキ

女「だが断る!」

友「おいで子猫ちゃん……かわいいね」ナデナデ

後輩「もう、からかわないでくださいよぅ///」

男「女は今度の休みとか暇かな?」

妹「残念でした、女さんはボクとデートだよ! でも安心して、男兄ちゃんにはお土産話を聞かせてあげるから」

男「くやしいのうwwwくやしいのうwww」

姉「女ちゃんとあんたが……? おい妹、後であたしの部屋に来い」

先輩「コラコラあなたたち、姉妹で喧嘩しないの」

女(勝手に着いてきてるし、なんか増えてるし、わけわからんことになっちょる)

男「ん……?」

男「!」

男「に、にわかパンツだ!」
女「空から突然、男物のパンツが降ってきた! この話の設定はどうなってるんだよ!?」

男「うぐぅぅぅぅぅ!」

友「が、がお……」

女「どうしてお前らはダメージ受けてんだよ!」

友「このパンツのやばさは超ド級! ちょうどよくなんて考えじゃダメージダメージ!」

女「何でラップなんだよ! しかも元ネタが古いよ!」

妹「女さん助けて!」

女「スカートの中に非難すんな!」

姉「女ちゃんはあたしが命に代えても守る!」

女「どさくさに紛れて胸を揉むな!」

先輩「みんな落ち着いてぇぇぇぇぇ!」ハァハァ

女「あんたが一番落ち着け! 男物のパンツ被って鼻血とよだれ垂れ流しで恍惚とした表情でハァハァすんな!」

後輩「わたしの家がもうすぐですから、そこまで走りましょう!」

支援どもっす。あと、所々改行し忘れてサーセン。

真面目なお話を創作してた傍らに息抜きで書いてたssなんだけど、紳士的な内容のせいかこっちの執筆の方がすらすら進んでいくという罠。

執事「お帰りなさいませ、お嬢様(フロイライン)」

後輩「ただいま、執事」

女「執事!? それにここ、家っていうか城じゃん! 普通の住宅街にまるで溶け込めてないよ! あと、フロイラインって言葉は流行ってんのかよ!?」

後輩「とりあえず皆さんお風呂に入られてください」
女「なんで!?」

先輩「よかったわー、もうアソコがずぶ濡れだもの」

女「あんたもいろいろひどいな」

後輩「わたしは後で友さんとしっぽり入りますから、皆さんお先に一斉にどうぞ」

女「嫌だよ! それにあんたも露骨過ぎるよ!」

後輩「大丈夫ですよ、うちの浴室は銭湯並みに広いですし」

女「そういう問題じゃねーよ! 何か入浴する流れになってるけど、入る必要まったくねーよ!」

姉「女ちゃん、流しっこしようね!」

女「しねーよ! あと妹、そろそろ私のスカートから出ろ」

姉「流しっこって、別に浴室の排水溝におしっこ流すことじゃないからね?」

女「知ってるよ!」

妹「女さん、触りっこしましょうね///」

女「しねーし」

女(私が風呂に入らないことを知ると、姉・男・妹の変態一族も行かなかった)

女(そんでさっき変態先輩が一人で入って……)

友「後輩ちゃん……俺、後輩ちゃんのこと、絶対大事にするからね///」テレテレ

後輩「はい……///」モジモジ

女「やっぱりお前ら一緒に入ったのかよ! どうどうと事後の空気を晒すんじゃねーよ!」

男「友よ、一足先に大人の階段を登ってしまったのだな」

友「心はまだシンデレラさ」

男「浴場で欲情したのか」

女「うるさいよ!」

姉「あたしも女ちゃんに常に欲情してるよ!」

女「男からも同じ言葉聞いてるよ! 妹も隙あらば人のスカートの中に入るのはやめろ! あんたらの家族、本当にみんな変態だな!」

男「くっ、僕も女性だったら女のスカートに突っ込んでパンツに顔を埋めてクンカクンカするのに!」

女「同姓でも完璧アウトだよ! 妹もパンツの匂い嗅ぐのやめろ! それに次、舐めようとしたらホントに殺すぞ!」

後輩「では皆さん、気をつけて……」

友「アディオス、後輩ちゃん……」

後輩「とっ、友……さん……!」ポロポロ

友「……後輩ちゃん――いや、後輩!」ギュ

後輩「あ……」

友「近い将来、絶対迎えに来るから」

後輩「……――はい!」

女「」

女(何この茶番)

友「これが涙。泣いているのは俺?」グスッ

男「お前は今泣いていい。泣いていいんだ!」

女(うぜぇ)

男「!」

男「子供パンツだ! 空からもこもこのパンツが降ってきた!」

女「もう何があっても驚かん」

男「セットアップ」キリッ

女「被んなや! いろんな意味で今までで一番危ねぇよ!」

先輩「みんな落ち着けぇぇぇぇぇ!」

女「だからあんたが落ち着けや! 何であんたまでパンツ被ってんだよ! 体から出てるピンク色の蒸気と変な液体は有害っぽいから止めろ!」

女「何で私以外全員パンツ被ってんだよ!」

女「お前らナチュラルに人の家の中まで着いてくんな!」

女「だあぁっ、引っ付くな! スカートの中に入んな! ちゅーしようとすんな!」

女「お前ら――」

女「いい加減にしやがれぇぇぇぇぇ!!!」

………………

…………

……。

?「」ハッ

?「夢か……」

?「…………」

妹「私の夢かよ!」

目覚めきった頭で思い起こせば、たいそう不可解な内容だった。

妹「何だかなぁ」

ぼやきながらの身支度。もう着慣れた高校指定のブレザーを纏い、後ろ髪をゴムで結ぶ。

妹「…………」

鏡の中の住人が、じっと私のことを見ている。彼女の姿は夢の中でも見たはずなのだが、ほんの少しだけ大人っぽく成長していた。

両親は仕事で各地を飛び回っており、家を空けることのほうが多い。よって、私たちは“きょうだい”で力を合わせて生活をしてきた。

姉「妹、おはよう!」

妹「おはよう、お姉ちゃん。いつもご飯ありがとう」

姉「ふふ、かわいい妹の為なら苦痛にならないものよ。さあ、冷めないうちに食べましょう」

食卓に並ぶのは姉が早起きをして用意してくれた朝食だ。悔しいが他の家事はこなせても、私の料理の腕前は一向に上達せず、こうして姉に頼りきってしまっている。

妹「美味しい美味しい」モグモグ

姉「もう、口にものを入れたまま喋るのは行儀が悪いわよ?」

妹「あはは……」

姉「ふふ……」

妹「…………」

――この食卓に、一人分の空席が増えたのはいつからだっただろうか。

姉「……月日が流れるのも早いものね」

妹「…………」モグモグ

姉「男がいなくなって、もう一年が経つのね」

妹「…………」ピタッ

姉「……バカだけど優しくて、バカなぐらい優しくて……最後だって子供を車から庇って、自分が死んじゃうなんて」グスッ

妹「…………」

妹「……お兄ちゃんは、さ」

姉「…………」

妹「あのバカ兄貴はさ、きっと今でも幽霊になって私たちのこと見てるんじゃないかって思うよ」

姉「……そうね。でも、バカ兄貴っていうのはひどいわ」クスッ

妹「バカだよ」

男『妹、おはようじょ! 姉ちゃんは聞こえてないだろうけど、おはようじょ。今日のハムエッグも美味そうだなぁ。畜生、いくら幽霊は腹が減らないとはいっても目の前の飯が食えないのはつらいなぁ』

妹(……ホントにバカ)

男『フッ』

男『誰だ!? お、お前はまさか――鳳凰星座の一輝!』

男『兄さん! やっぱり来てくれたんだね!』

男『瞬よ、下がっていろ。この男は俺が倒す!』

男『くっ、たかが青銅が一人増えたぐらいでこの戦況が引っ繰り返せるものか!』

男『くらえ、鳳凰の羽ばたき! 鳳翼天翔ー!』

男『ぐわぁぁぁぁぁー!』

妹「…………」

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