「私は噴水」 (35)
「私は噴水
今日完成してついに明日仕事場に運ばれる」
業者「注文していたヤツ、取りにきました~」
職人「うん、いらっしゃい
この噴水は自分の人生の中で一番の出来だ
大事に運んでくれよ?」
業者「任せてください
あっ、運ばれる公園の名前と住所書いときますんで見に来てくださいね?」
職人「えぇ、こいつの晴れ姿、しっかり見に行きますよ」
「こうして私は生みの親から旅立った」
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「私は真新しい公園の噴水
今日は公園の完成記念式典の日だ」
市長「~~であるからして~~」
「退屈な話を始めてもう一時間ぐらいたつ
真面目に聞いているのは私と私の親ぐらいだろうか」
市長「~~公園の完成を祝いたいと思います」
職人「やぁ、元気かい?綺麗な公園でよかったじゃないか
時々は僕も歩きに来ようと思うよ」
幼女「わぁ、おっきな噴水だーきれいー」
男の子「ホントだねーすごいなー」
職人「ふふっ、こういう声はいくつ聞いても照れるものだね」
「そう言いながらの笑顔には照れと喜びが混ざっているように思う
親が褒められて私も嬉しかった」
「私は綺麗な公園の噴水
この公園にも少しだが歴史が出来てきた」
父親「ほらっちゃんととれよー」
子供「おとーさんの投げるボールはやいんだもんー」
「微笑ましい父と子の触れ合い」
赤ちゃん「だーだーばぶー」
母親「あらあら、そんなにはしゃいじゃってー」
「初めてだろう公園の砂遊び」
おじさん「キャッ、ケータイ噴水におとしちゃったー、サイアクー」
「悲しい事件もあった」
職人「やぁ、今日もいい天気だね」
青年「はいっ!おじさんもランニングですか?」
職人「うん、それともう一つ」
青年「何ですか?」
職人「この噴水を見にね」
「私の親もこの公園によく来てくれる
最近は青年ともよく話しているみたいだ」
すまない
青年から見ておじさんってだけで30前半のつもりだったんだ
「私は綺麗な公園の噴水
今日はこの公園で初めてのことが起きた」
女「わあ、キレイな噴水!」
青年「この辺りを走っている時に見つけてね
君と来たいと思っていたんだ」
女「連れて来てくれてありがとね
公園が出来たことは知ってたけど来たことはなかったんだー」
青年「そっか、それはよかった
で、なんだけど…あのさ…
よかったら僕と付き合ってほしい!」
女「へ?今度はどこ行くの?買い物?」
青年「いや、そうじゃなくてさ」
女「あっそういうアレかー
こちらこそよろしくお願いします」
「見ていたほうが照れくさくなった
でも、どちらも幸せそうでなんだか私まで幸せになれた気がしたんだ
2人は顔を真っ赤にして手をつないで帰って行ったよ」
そっちでしたか
おじさんにしたこと忘れてた…
「私は公園の噴水
あの告白から5年経った今日、また良いことが起こった」
青年「覚えているかい?5年前この噴水の前で君に告白したんだ」
女「えぇもちろんよ、良い思い出だわ」
青年「聞いてほしいんだ」
女「え?どうしたの?」
青年「毎朝、君の作った味噌汁が飲みたいんだ!」
女「明日から味噌汁にするの?」
青年「そうじゃない!立派とは言えないけど指輪も買った!結婚してくれ!」
女「え?えと?
こちらこそ不束者ですがよろしくお願いします」
「彼女、5年前にもかんちがいをしたんだよ
彼の言葉の選択がいけないんだろうね
なんだかとても懐かしい気持ちになった
私の親にも彼はたくさん相談していたから
そろそろかとは思っていたけどね
この2人には幸せを分けて貰ってばかりだよ」
「私は公園の噴水
今日は私の親が来ていたんだ」
職人「そうか、そうか結婚するのか
それはおめでとう」
青年「はい!ありがとうございます!」
職人「幸せにしてあげるんだよ」
青年「もちろんですよ
ところでおじさんは結婚しているんですか?」
職人「いや、今は仕事が恋人だよ
プロポーズの予定はないけどね」
女「そうそう、プロポーズで思い出しました
彼、プロポーズなんて言ったと思います?」
職人「そういえば聞いてないね
色々考えてたみたいだけど何にしたんだい?」
青年「えっいや、あのですね
緊張で頭真っ白でしてとっさに…」
女「味噌汁がどーとかって言ったんですよ」
職人「フフッそうなのかい
またわかりにくいのを選んだんだね」
青年「もういいじゃないですかぁ…」
「この3人はこの公園でよく話していたよ
プロポーズが終わってからは初めて会ったようだったけどね
私の親も青年も女も楽しそうないい笑顔をしていたよ
申し訳ないですが2週間ほど投稿出来ないかもです
時間を見つけて1レスは頑張りたいですが、どうなるかわかりません
「私は公園の噴水
最近私の親が来ていないんだ」
サラリーマン「はい、はい、その件につきましては~~~」
おじさん「フッフッフ、5年前ケータイをこの噴水に落としてやっと嫁さんから買っていいと言われたんだ」
おじ嫁「誰に言ってんのよ、大体10台全部水没で壊すってどういう事よ、次水没させたら10年は買わないからね」
おじさん「分かってますよーだ、もう2度と落としませキャッ……噴水に…」
男の子「ちょっと待ってよーー」
女の子「遅ーーい!」
男の子「自転車と走りで比べるなーー!」
「しかし公園は相変わらず賑やかだよ
出来立ての頃に来てくれていた赤ちゃんももう小学生になったみたいだ
時の流れは速いね」
「私は公園の噴水
今日は私の親が来たんだ、何ヶ月ぶりだろうか」
職人「心配かけてすまなかったね」
青年「本当ですよ、もう大丈夫なんですか?」
職人「あぁ、ばっちりだよ。ところで君はお父さんになる予定はないのかい?」
青年「今はないですねぇ
ゆくゆくはなりたいと思いますけど」
職人「そうかい、なら楽しみに待つとするかな」
青年「はい!ゆっくり待っていてくださいね」
女「あっやっぱりここにいた、ケータイを携帯しないんだから」
青年「あっ!もうこんな時間か!」
女「帰ってこないから先に食べちゃおうかと思ったわよ」
青年「あぁ、ごめんごめん」
女「お望みの味噌汁も冷めちゃうよ?」
職人「まだそのネタでからかわれているのかい?」
女「えぇ、一生このネタは使っていきます!」
青年「そろそろ忘れてくれよぉ」
「ご飯ができたと呼びに来たのにこのあと1時間近く話していたよ
青年はとても心配していたからね
もちろん私も」
「私は古い公園の噴水
青年と女が結婚してからもう3年だ」
青年「あっ、おじさんこんにちは」
職人「やぁ、久しぶりだね」
女「おじさん、見てくださいよ」
職人「おや、太ったかい?」
女「なっ、違いますよー」
職人「冗談だよ、おめでた、かな?」
女「はいっ!そうなんです」
青年「それとは別枠で太ったような…」
女「そんなに晩御飯要らない?」
青年「ごめん、ごめんなさい」
職人「すっかり尻に敷かれているね」
青年「とっても怖いんですよー」
女「晩御飯抜きね?」
「私の親は時々姿を見せなくなるんだ
だからこの3人の挨拶はいつも久しぶりなんだよ
それにしても妊娠か、時が過ぎるのは本当に早いよ」
「私は古い公園の噴水
今日は私の親も青年も女も来なかった、けどね」
業者「そろそろ、ですかね?」
市長「やはりかい?これ、私はとても好きなのだけどね」
業者「とくにここのひび割れが致命的ですね
いつ、水が噴き出しても不思議じゃありませんよ?」
市長「子供達もボール遊びをよくするからね
ボールがぶつかったのも原因だろうね」
業者「なるほどー、でどうします?」
市長「そうだな、残念だが取り壊すことになると思う」
業者「そうですか、わかりました、詳しい日程決まりましたらご連絡下さい」
「どうやら私は壊されるようだ
せめてあの2人の子供は見てみたいな」
「私は古い公園の噴水
私の親が会いに来たんだ」
市長「ああ、頼んだよ」
職人「市長さん、こんにちは
歩きながらの電話は危ないですよ?」
市長「そうだね、気をつけるよ
ところでなんだがね?この噴水の取り壊しの日が決まったよ、1週間後だそうだよ」
職人「そう、ですか」
市長「次に置く噴水も君に作って欲しいと思うんだがどうかね?」
職人「今ある噴水が私の限界ですよ
せっかくのお話ですが断らせていたただきます」
市長「そうかね、ではまたな」
職人「えぇ、さよなら」
職人「情けない話だよね、自信を持って送り出した子供が10年経たずに取り壊しか…
驚くことにね、1週間後私は手術なんだよ
ガン、だそうだ。成功率も低いし転移の可能性もある、ただ君と一緒に逝けるなら悪くないのかもね」
「時々姿を見せないのはこれが理由だったんだね
どうやら青年達に教えるつもりは無いみたいだ
私が言葉を話せたならば…
これほど悔しかったことは無いよ」
「私は古い公園の噴水
女の勘、なんてよく言うけど恐ろしいものだね」
職人「おっと、女さんか、一人なのは珍しいね」
女「えぇ、散歩、ですよ
この噴水ともお別れみたいですし」
職人「そうだね、寂しいものだ」
女「おじさん、何か隠し事してません?」
職人「なんでそう思うんだい?」
女「なんとなく、ですかね?」
職人「そうだね、君たちにはまだ、秘密だよ」
女「そうですか、なら写真を一枚いいですか?」
職人「珍しいね、どうしたんだい?」
女「なんとなく、ですよ」
「まるで気づいているかのような感じだったね
恐ろしい、ね全く
それでも聞き出そうとし無いのは女のいいところさ」
「私は古い公園の噴水
今日ついに取り壊しだよ
と、同時に私の親の手術の日でもあるんだ」
業者「それではあとは運ぶだけ、です」
市長「そうかい、今までお疲れ様」
「そう言う市長さんの目は私の方が年下にもかかわらず、長く生きたものを見送る、尊敬のようなものを感じたよ」
「そして私は運ばれていく
粉々に砕かれるのだろうか
そのままだろうか、砕かれた方がスッキリしていいかもしれないな」
「最後の時、願わくば、私の親に幸運を……」
「どれほどの時が経っただろうか
私は過ごしてきた、長い長い時を
たくさんの喜びを感じてきた
ある時は悲しみも感じた
しかし、その分の優しさもあった
私の親、青年、女、おじさん、市長さん、業者さん
みんな幸せな時を過ごしたんだよ、あの公園で」
「私は河原の小石」
子供「見てみてーおとーさん、おかーさんー」
父親「綺麗な石だね、そこで見つけたのかい?」
母親「まぁ、ほんとね」
子供「へへーん、いーでしょー
持って帰るんだー」
父親「なんだかあの噴水を思い出すね」
子供「ふんすいー?」
母親「うん、おかーさんとおとーさんの思い出の場所」
子供「へー、見てみたいなー」
母親「もうなくなっちゃてるんだ」
子供「ざんねんだなー」
父親「うちに帰れば写真はあると思うよ」
子供「ほんとーに?じゃあはやくかえろー」
「なんだか懐かしい声が聞こえたような気がするな」
「私は幸せな家庭の小石」
母親「ほら、見てごらん、この噴水だよ」
子供「わー、きれー」
父親「おっと、そろそろ時間だね」
ピンポーン
子供「きたー?」
父親「来たみたいだね」
母親「いらっしゃい」
老人「おじゃまするね、その写真は?」
母親「懐かしい、ですよね」
老人「そうだね、本当に」
「これからはこの家で幸せな時間を見守っていく
自分に許される限りはね」
おしまい
これにておしまい
ほんとはもっとネタはあったんだろうけど1レス分にならなかった
時間がないとか言いつつ別のss書いてごめんなさい
誕生日ss書きたかったんだ
次作の宣伝だけさせてください
オリジナル
マグロ「俺が一番人気だな!」
少女「ねぇ、おにーさん」
モバマス
楓「聞いてください」
ネタがまとまり次第投下予定
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