コナン「クリスマススイッチ?」 (67)
コナン「って、漠然とし過ぎて良くわかんねーな。どんなスイッチなんだ?」
阿笠「よく聞いてくれた、バーーーローー!このスイッチを押すと、押した人間の一番望むモノをプレゼントしてくれるんじゃよ!」
コナン「スゲーなそれ!プレゼントって、例えばオモチャとかケーキとかか?」
阿笠「いや、物理的なモノだけでなく、例えばアイドルとデートしたいとか、そう言う事も可能じゃ!」
コナン「マジかよ!凄すぎるぜ!どんな仕組みなんだ?」
阿笠「ホッホッホ、作ったワシにも分からんぞい!」
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阿笠「じゃが、1つ欠陥があってな」
コナン「どんな?」
阿笠「あまりに強力な効果じゃからな、クリスマスイブとクリスマスにそれぞれ1度しか使えんのじゃよ」
コナン「い?!じゃあ、1日1人の計2人しか使えねーのか?!」
阿笠「そう言う事じゃな、そこでじゃ。イブの日に君が、クリスマスにワシが使うと言う事でどうじゃろうか?」
コナン「え?良いのか?たった2回しか使えねーのに俺が使っても」
阿笠「構わんよ。ワシと君の仲じゃからな」
コナン「あ、ありがとう博士!」
阿笠「なあに。それより、イブは明日じゃ。願いを考えておくと良い」
コナン「っし、分かった!ん?これ元の身体に戻りたいとかでも出来んのか?」
阿笠「出来るとは思うが、永続的に効果が続くとは限らんぞい。ある程度無難な願いが良いじゃろうな」
コナン「そっか、まあそうだよな。分かった!願い考えておくぜ!」
阿笠「うむ。ワシも自分の願いを考えておくわい」
阿笠(まあ、シチュエーション的な願いは1日程度しか持続しないのが本当じゃがな。クリスマスの一夜の夢を叶えるスイッチじゃからの。ワシはこのスイッチでJKやJCと酒池肉林の夢を叶えるぞい!)ニヤニヤ
コナン(さて、どんな願いにすっかな......。せめて一晩だけでも、元の身体で組織の事とか気にせず蘭とデートしたい、とでも願うかな?)
コナン(それともプレゼントにしたいものを出して貰うか......。悩むぜ!)
灰原「何をしてるの?2人とも?」
コナン「は、灰原?!いたのかよ?!」
灰原「自分の住まいに私がいてはいけない理由でも?」
コナン「い、いや。ねーよ。ハハハ......」
灰原「で?博士の持ってるそれは何?また良からぬモノを作ったの?」
阿笠「い、いや!何でも無いんじゃよ、ハハハ......」
灰原「どうだか......」チラッ
コナン「な、何だよ?」
灰原「別に。まあ、とにかく。あまり悪さはしない事ね。クリスマス目前だからって、浮かれ過ぎない様にね。工藤君は特に」
コナン「何で俺だけ?」
灰原「後先考えず解毒薬を飲んで、誰かさんとデートしかねないからよ」
コナン「し、しねーよ!(す、鋭いな......)」
灰原「とにかく。年の瀬も近いし。問題だけは起こさないようにね」スタスタ......
コナン「......ふぅ。寿命が縮むぜ」
阿笠「全くじゃ。哀君に全容がバレたら、哀君に願いを譲らねばならんかもしれんからのう」
コナン「アイツがクリスマスに願い?ないない!あり得ねーって。柄じゃねーよ!」
阿笠「そうかのう......?」
夜。日付変わってイブの深夜。
灰原「......あったわ。博士がさっき持ってたスイッチ」
灰原「話を全部聞いていた訳では無いけれど、クリスマスにプレゼントをくれるとか聞こえたのよね......」
灰原「ヒソヒソ話していたと言う事は、回数制限があるのね。探偵団の子にあげないで自分達だけプレゼントを貰おうなんて。大人気ないわね」
灰原「別に私は欲しいモノは無いけど......。あの2人だけに良い思いをさせるのもシャクね。罰として押してしまいましょう」ポチッ
灰原「......」シーン......
灰原「何も起きないわね。所詮博士の説明、また失敗作かもね」
灰原「バカみたいね、寝ましょう......」
朝。
コナン「......えーっ?蘭姉ちゃん今日いないの?」
蘭「ごめんねコナン君!今日園子の家のクリスマスに誘われてて!うちのクリスマスは明日やるからね!」
コナン「う、うん分かった!」
コナン(おいおいマジかよ......。いや、あのスイッチをこれから押せば良いだけだ!それで俺の望む通りになるはずだ!)
阿笠宅。
コナン「よー博士!スイッチ押しに来たぜ!」
阿笠「おお新一!待っておったぞ。願いは決まったかの?」
コナン「ああ、勿論!早く押させてくれ!」ワクワク
阿笠「急かすな急かすな。ホレ、スイッチじゃ」
コナン「っし、じゃあ早速......。おりゃ!」ポチッ
シーン......
コナン「......ん?」
阿笠「ん?どうしたんじゃ?」
コナン「あ、あれ?何も起きねーぞ?」
阿笠「そんなハズは無いぞ?何を願ったんじゃ?」
コナン「今日1日元の身体に戻って、蘭と気兼ね無く出掛けてーって......。壊れてんのか?」
阿笠「壊れてるハズは......」
灰原「あら、残念そうね。願いが叶わなくて」
コナン「は、灰原?何で願いって?!」
灰原「昨日全てでは無いけど、あなた方の話聞こえてたのよ。良からぬ事を企んでるみたいだったから、私が先にスイッチを押したのよ。何も起きなかったけどね」
コナン「マ、マジかよ?!」
灰原「ええ。欠陥品みたいね。それ」
阿笠「そんなハズは......」
灰原「とにかく。自分達だけ良い目を見ようと言うのが土台間違いなのよ。反省する事ね」
コナン「クソ......。せっかくのチャンスを......」
コナン(確かに俺達が悪かったかも知れねーが、せっかくの蘭とのデートの機会を潰されたこの怒りはどうなるんだよ!?クソ、文句言ってやる!)
コナン「おい、灰原!」
灰原「何?」
コナン「あのなあ......?!」ピキーン!!
灰原「何よ?」
コナン「......あのな、灰原。今日、暇か?」
灰原「え?ええ。用事は無いけど」
コナン「じゃあ、今日1日俺に付き合わねーか?暇なんだろ?」
灰原「え?!」
コナン「良いだろ?今日俺も予定無いし。2人でどっか行こうぜ?」
灰原「......本気?」
コナン「ああ。本気だよ」
灰原「......い、良いわ。そこまで言うなら」
コナン「ありがとう。博士!そう言う訳だから灰原1日借りるぜ」
阿笠「え?あ、ああ。構わんが......」
コナン「っし、じゃあ解毒薬くれ。俺んちで着替えてくっから」
灰原「え?!」
コナン「ガキの姿のままじゃ出掛けるのも不便だろ?」
灰原「正気?!組織に見られたら......」
コナン「1日!1日だけだから!な?」
灰原「......そこまで言うなら」
コナン「っし、決まりだ。じゃ、1時間後にここでな!」
灰原「......分かったわ」
灰原(一体、どうなってるの?彼があんな事言うなんて......?それに普通、断らなきゃいけないのに......。断れなかった)
灰原(私、ちょっと喜んでる?まさか......)
阿笠(あの新一の言動、ひょっとしたら哀君の願いは......?)
コナン(......何で俺あんな事言ったんだ?急に何故か灰原をデートに誘いたくなって)
コナン(デート?灰原と?俺が?何故?)
コナン(......わかんねー。とにかく着替えてこなきゃ。俺が言い出したんだから)
1時間後。阿笠宅玄関先。
灰原「......結局、着替えてしまったわ。薬も飲んで」
灰原「未完成の薬をホイホイ飲むものでは無いし、どう考えても危険だと分かっているのに」
灰原「......何故私は化粧までしているの?」ハァ
新一「おーい!」タタタッ
灰原「工藤君......」
新一「待たせちまったな、ワリーな」
灰原「いえ。丁度今出てきた所よ」
新一「そっか......」ドキッ
灰原「何?その顔?」
新一「あ、いや。その......。改めて見たらオメーって可愛いなと思って......」
灰原「は、はぁっ?!」ドキッ
新一「いや、何を言ってんだかな。ハハ......」
灰原「ホントにどうしたの?あなた。大丈夫?」
新一「大丈夫に決まってんだろ?それより行こうぜ!」
灰原「え、ええ」
新一(俺は何を口走ってるんだ?灰原に......)
新一(でも実際、マジマジとみたら可愛いんだよな......)ドキッ
灰原(ホントに工藤君、どうしたの?)
灰原(......でも、可愛いなって言われて正直嫌な気分はしなかった)クスッ
灰原(......何言ってるのかしら、私)
中心街。
ガヤガヤ......
新一「いや、しかしスゲー人だな」
灰原「当たり前よ。クリスマスなのよ?世の中の浮かれた人間達はこの日当然買い物なり何なりと街に出るわ」
新一「まあ、そりゃそうか」
灰原(これだけの人混みなら私達の存在も目立たないと思うけど......。彼も一応サングラスしてるし、私も帽子はしてるけど......)
灰原(やはり元の姿で彷徨くのは不安だわ......。しかも、この人混みに押されるし......)
ドンッ
灰原(っ?!押されて足が......)
新一「危ねぇ!」ガシッ
灰原「!!」
新一「大丈夫か?!灰原?!」
灰原「だ、大丈夫よ、それより......」ドキドキ
新一「どうした?足でも捻ったか?」
灰原「そうじゃなくて......」
灰原(近い近い近い近い!!顔が近いのよ!身体も!!)ドキドキ
新一「ん?顔が赤けーな。熱でも?解毒薬のせいか?」
灰原「だ、だ、大丈夫!!それよりここを離れましょう?また押されて転ぶかも」
新一「そうだな、じゃ」スッ
灰原「え」
新一「はぐれっと困るからな。手、繋いでろよ」
灰原「え......」
新一「ほら」ギュッ
灰原「あ......」ドキッ
新一「良し、行こう」
灰原「ん、うん......」
灰原(これは、夢?工藤君と手を繋いで歩くなんて......)ドキドキ
灰原(工藤君の手、暖かいわ......)ドキドキ
新一(......何だろう、これじゃマジでデートみてーじゃねーか。彼女との)
新一(蘭に見られたら殺されちまう......)
新一(でも、誘ったのは俺だしな。まあ普段世話になってる借りを返すと思えば良いか)
アクセサリーショップ。
新一「っと、ここだ」
灰原「......」
新一「ん?どうした?」
灰原「え、あ......」
灰原(夢見心地で歩いてたから意識が半分......)
新一「大丈夫かよ?」
灰原「ええ。ここは......?」
新一「ん?まあ、その。クリスマスだしな。もしここで気に入るモノあったら、プレゼントするよ」
灰原「私に......?」
新一「まあ、日頃世話になってる礼さ」
灰原「......でも、悪いわ」
新一「気にすんなよ。な?」
灰原「......そ、そこまで勧めるならとりあえず選んであげるわ。あなたにしては殊勝な行いだしね」
新一「ったく、一言多いんだよ」
新一(と言いつつ照れてやがんな?コイツ。意外と可愛いトコあんじゃねーか)ニヤニヤ
灰原「......何よ、その顔?」
新一「いや、別に?」
灰原(絶対何か含みのある顔ね......。何故か悔しいわ。でも心から腹の立たない自分が情けないわ......)
新一「さ、どれにするよ?」
灰原「んん。待って......。いきなり言われても」
灰原(そうよ、いきなり言われても......。あ、そうだわ)
灰原「じゃあ、これで......」
新一「ん?こ、これか?ぺ、ペアリングじゃねーかよ?!」
灰原「そうだけど、気に入ったのよ」
灰原(本当にデザイン気に入ったのだけど......。まあ、恥ずかしがって断るでしょう。高い買い物させるのも悪いし。ちょっとしたさっきの含み笑いに対する仕返しね)クスッ
新一「......」
灰原「ま、まあ。ペアリングだし、あなたが嫌なら止めても......」
新一「良いぞ」
灰原「はっ?!」ドキッ
新一「オメーが嫌じゃ無いならい、良いぞ」ドキドキ
灰原「い、良いの?ぺ、ペアリングよ?」
新一「気に入ったんだろ?」
灰原「え、うん......。まあ......」
新一「じゃあ、これで行こうぜ」
灰原「は、はい......。あ、ありがとう」ドキドキ
新一(おいおい意味分かってんのか俺!?ペアリングだぞ?何で断らねーんだ?何で......)
新一(でも、コイツの嬉しそうな恥ずかしそうなカオみたらつい......)
灰原(工藤君が......。私にプレゼント......。しかも、ペアリング......)
灰原(きっと夢よ......。これは夢に違いない)
灰原(私にこんな幸運が続く筈が......)
灰原(......あっ)
灰原(昨日......。そう言えばスイッチを押した時......)
昨夜。
灰原「罰として押してしまいましょう」
灰原(クリスマスに願いなんて無いけど......)
灰原(まあ、女の子としては好きな人と邪魔されず心から幸せなクリスマスを過ごしてみたい、なーんてね)ポチッ
灰原「......あれがもし、私の本心でそれが叶ったなら」ボソッ
新一「あ?何か言ったか?」
灰原「い、いえ。何でも」
灰原(......あれが、不良品でなく願いを叶えてくれたなら)
灰原(私の好きな人はやっぱり......)チラッ
新一「ん?どした?」
灰原「いえ、別に」
灰原(まさか......。いえ、そこを否定しても仕方無いわよね)
灰原(やっぱり私は......。彼が好きなんだわ。工藤君が......)
灰原(でも、それじゃあこれはスイッチの見せる夢なの......?それとも彼の本心?)
灰原(いずれにせよスイッチがきっかけなら、私はそれに甘えて良いの?)
灰原「......ね、ねぇ工藤君」
新一「ん?どした?」
灰原「あ、あの......。次はどこに連れて行ってくれるの......?」モジモジ
新一「え、あ、そだな......」ドキッ
新一「とりあえず疲れたし、お茶でもすっか」
灰原「分かったわ......」ニコッ
新一「じゃあ、とりあえず会計済ませようか」
灰原「ええ。ありがとう」
新一(何だよあの恥じらったカオ......。何だかスゲー)
新一(スゲー可愛いって思っちまった......)
灰原(......言えなかった。私がスイッチを押したせいで、あなたを巻き込んでるかも知れない事)
灰原(でも無理......。どうせ今日しか見られない夢なら)
灰原(短い時間でも幸せな夢を見ていたい......)
灰原(それくらい、許される?神様......)
喫茶店。
新一「ふぅ。ここまで来んのも一苦労だな、やっぱり混んでるぜ」
灰原「こうして座れただけ運が良いわ」
新一「そうだな。疲れてないか?」
灰原「大丈夫よ。あなたは?」
新一「俺は平気さ、この位は」
灰原「そう。良かった」
新一「ん。なあ、今日はまだ行けんのか?」
灰原「言ったハズよ。用事はないわ。あなたが連れて行ってくれるのなら、1日付き合うわ」
新一「そっか、良かった」
灰原「え?」ドキッ
新一「え、あ、その......。無理に付き合わせてねーかな、と」ドキドキ
灰原「無理なんかしてないわ。久々に普通の身体で楽しませて貰ってるわ」
新一「なら、良いんだけどな。薬、いつまで保つかな」
灰原「今回のは計算上は1日保つわ。恐らく、だけど」
新一「そっか、改良したんだな。ありがとな」
灰原「お礼なんて。お互い様だもの」
新一「へ?」
灰原「まあ、一応あなたにはお世話になってる訳だし。一応ね」
新一「いちいち取って付けたみてーにイヤミ言わなくていーっつーの......」
灰原「......そうね。ごめんなさい」
新一「あ、いや。謝らなくても。そ、そうだ。さっきの付けてみようぜ」
喫茶店。
新一「ふぅ。ここまで来んのも一苦労だな、やっぱり混んでるぜ」
灰原「こうして座れただけ運が良いわ」
新一「そうだな。疲れてないか?」
灰原「大丈夫よ。あなたは?」
新一「俺は平気さ、この位は」
灰原「そう。良かった」
新一「ん。なあ、今日はまだ行けんのか?」
灰原「言ったハズよ。用事はないわ。あなたが連れて行ってくれるのなら、1日付き合うわ」
新一「そっか、良かった」
灰原「え?」ドキッ
新一「え、あ、その......。無理に付き合わせてねーかな、と」ドキドキ
>>31は誤りです。
灰原「え、今つけるの?リングを?」ドキッ
新一「ダメかよ?」
灰原「別にダメじゃ......」
新一「じゃ、良いだろ?ホラ」スッ
灰原「......けて」
新一「は?」
灰原「どうせなら、渡すんじゃなくてあなたが付けて
新一「い?!」
灰原「出来ないの?」
新一「バ、バーロ!出来らぁ!!」ドキッ
灰原「じゃあ、早くして」スッ
新一「うっ......。わ、わーったよ」ドキドキ
灰原「......ぴったりね」
新一「そりゃあの場で試したんだからそうだろ。で、感想は?」
灰原「......嬉しいわ」ニコッ
新一「え」ドキッ
灰原「どうしたの?」
新一「あ、何か......。段々イヤミ言わなくなってるっつーか。素直なリアクションが増えて意外っつーか」
灰原「......あなたは一体人を何だと思ってるの?」ハァ
新一「あ、ワリー。でも悪い意味じゃなくてよ、いつもそうしてりゃ良いのにさ」
灰原「え?」
新一「素直なオメーの笑顔、凄く良いと思うぜ」ニカッ
灰原「そ、うかしら」
新一「ああ、保証するよ。ぜってーその方が良いって。もっかい笑ってみ?」ニカッ
灰原「......こ、こう?」ニコッ
新一「......」ドキッ
灰原「どうしたの?」
新一「いや......。見とれちまったよ。綺麗だなと思ってよ」
灰原「え」
新一「あ......」
5分後。
新一「......」
灰原「......」
新一(クソ、変な事言っちまったから顔が真っ赤だぜ。マトモに灰原の顔見れねー......)
灰原(心臓が破裂しそう......。工藤君に......。あの工藤君に......)
新一「......そ、そろそろ出ようか」
灰原「......待って」
新一「ん?」
灰原「あなたもちゃんと付けてよ、リング」
新一「え」
灰原「あなたが言い出したんだから......。今日位、付けてよ。一緒に」
新一「......そうだな、そりゃそうだ」スッ
灰原「......!!」
新一「......やっぱ、照れくせぇな」ポリポリ
灰原「......」クスッ
新一「なんだよ?」
灰原「そこまで情けない姿のあなた、なかなか見れないもの」ニコッ
新一「ったく、どんだけ胸がドキドキしてんのか分かってんのかよ......」
灰原「ごめんなさい。ありがとう。もう外して良いわよ。無理に付けなくて......」ガシッ
灰原「え?」
新一「せっかく付けたんだから、外さねーよ。行くぜ」
灰原「え、何、あの......。手......」ドキドキ
新一「「ペア」リングだぜ?なら、ペアらしくすんだよ」ニカッ
灰原「あ、う......」カーッ
新一「へへ、おあいこだな。オメーのそんな面もなかなか拝めねーからな」ニカッ
灰原「......見せたくないわよ、でも」
新一「あ?」
灰原「とにかく、行く先があるなら連れて行って」
新一「お、おう」
灰原(今どんな顔してるのかしら、私......。顔も身体も火照って熱い)
灰原(こんな情けない姿、見られたくなかったけど......。無理よ......)
灰原(ああ、時間が止まれば良いのに。このまま)
灰原(この夢を見続けていられたら......。なーんてね......)
灰原(キリの良いところで、彼を解放してあげなきゃね。だって、これは束の間の......。夢なんだから......)
その後......。
灰原「ふぅ、疲れたわね。流石に」
新一「ま、色々動き回ったからな」
灰原「そうね......。でも面白かったわ」
新一「何が?」
灰原 「リングを買った時に貰った福引券、あなた全部外すんだもの。運が意外と無いのね」クスッ
新一「っせーな。オメーだって交代でやって外してんじゃねーか」
灰原「私はこんな下らない事で運を使わないのよ」
新一「んとに口の減らねーこって......。写真の中のオメーはこんなに和やかなのによ」ピラッ
灰原「ちょっ、それ、しまいなさいよ!」
新一「オメーが撮ろうって言ったんだろ?記念にってよ」
灰原「そうだけど、見ないで」
新一「ハァ?意味がわかんねーな?」
灰原(あくまで私が後で見る為に撮ったのよ!まさか2枚出るなんて......)
灰原「良い?誰かに見せたらタダじゃおかないわよ?」
新一「誰に見せるんだよ?大人の姿じゃ歩美達にゃ誰かわからねーだろ?」
灰原「とにかく。ダメよ」
新一「へーへー。わかりやしたっと」
灰原「......約束よ」
新一「分かったよ。約束、な」
灰原「......ええ」
新一「しかし、すっかり暗くなっちまったな」
灰原「ええ。冬は日が落ちるのが早いわ。でも」
新一「でも?」
灰原「クリスマスイルミネーションが綺麗ね。夜になると」
新一「確かにな。この季節ならでは、だもんな」
灰原「ええ。こうして誰かと見ているイルミネーションは、普段より綺麗に感じるわ。1人では味わえないモノね、これは」
新一「へーへー。わかりやしたっと」
灰原「......約束よ」
新一「分かったよ。約束、な」
灰原「......ええ」
新一「しかし、すっかり暗くなっちまったな」
灰原「ええ。冬は日が落ちるのが早いわ。でも」
新一「でも?」
灰原「クリスマスイルミネーションが綺麗ね。夜になると」
新一「確かにな。この季節ならでは、だもんな」
灰原「ええ。こうして誰かと見ているイルミネーションは、普段より綺麗に感じるわ。1人では味わえないモノね、これは」
新一「そうだな。みんなで見る方が綺麗かもな」
灰原「そうじゃなくて」ボソッ
新一「ん?」
灰原「何でも無いわ」
灰原(あなたと見てるから綺麗に見えるのよ......)
新一「お、そろそろ行くかな?」
灰原「どこに?」
新一「今日のメインさ。行きゃ分かる」
灰原「期待外れに終わらなきゃ良いけど」
新一「さあ、どうかな」
灰原(何をするのかしら......)
新一「あ、ホラ。ここだよ」
灰原「え?あ......」
新一「どうだ?キレイだろ?駅前のでっかいクリスマスツリー。この時期の目玉さ」
灰原「......」ウルッ
新一「お、おい?どうした?」
灰原「ちょっと......。幸せ過ぎて」
新一「え?」
灰原「誰かと過ごす事が、こんなに幸せなんて思わなかった。ありがとう、工藤君......」
新一「灰、原......」ドキッ
新一(コイツ、こんな......。こんな女の子らしい面を......)
灰原「本当に楽しかった。今日1日限りでも。良い夢だった」ニコッ
新一「夢?」
灰原「だって、薬も出来てない以上切れたらまた私達は子供の姿。それに」
新一「それに?」
灰原「誰かと過ごす事が、こんなに幸せなんて思わなかった。ありがとう、工藤君......」
新一「灰、原......」ドキッ
新一(コイツ、こんな......。こんな女の子らしい面を......)
灰原「本当に楽しかった。今日1日限りでも。良い夢だった」ニコッ
新一「夢?」
灰原「だって、薬も出来てない以上切れたらまた私達は子供の姿。それに」
新一「それに?」
灰原「......言うまでも無い、でしょ?」
新一「え......」
灰原「何の気の迷いか知らないけど、あなたは今日私を誘ってくれたけど......。本来、あなたと過ごすのは私じゃないんだもの」
新一「灰原......」
灰原「別に、変な意味はないの。ただ、今日と言う日をくれたあなたに感謝してるだけ」
新一「......」
灰原「......さぁ、帰りましょうか。これ以上遅くなっても博士が心配するし」
新一「あ、ああ......」 ドクッ
新一(......なんだ、何なんだよ?この感じは)
灰原「......どうしたの?行かないの?」
新一「......今行くよ」
灰原「そう」
新一「......いや、ちょっと待て」
灰原「え?」
新一「まだ行くなよ」
灰原「どうしたの?何を言ってるの?」
新一「......まだいたいんだ、オメーと」
灰原「はっ?」ドキッ
新一(何言ってんだ俺は?何を......)
灰原「人をからかうのはあなたらしくないわね、まあ良いけど。とにかく冷え込んでも来たし早く......」
新一「待てって!」ガシッ
灰原「え......」ドキッ
新一「待てって......。灰原......」
灰原「ちょっと、工藤君?どうしたの......?」
新一「知らねえよ。わからねーけど、行くな」
灰原「悪ふざけは大概に......」
ギュッ......
灰原「!!」
新一「これでも、悪ふざけに思えるか......?」
灰原「く、どうくん......?」ドキドキ
新一「まだ保つだろ、薬......。まだ」
灰原「それはそうだけど、何を......?何の真似......?」ドキドキ
新一「知らねーよ......。ただ、今日1日オメーといて、オメーを見てたら......。もう少しいたくなったんだよ。一緒に......」
灰原「意味を分かってやってるの?あなたにはあの子が......」
新一「分かってるよ!でも、抑えられねーんだから仕方無いだろ?!」ギュッ
灰原「工藤君......」ドキッ
新一「分かってるよ、自分が最悪だってよ。でも、1日オメーを見てたら何となく見えたんだよ。気付いてなかったオメーの色んなとこに」
灰原「で、でも......」
新一「オメーは、どうなんだ......?」
灰原「えっ......?」
新一「今日1日俺といてどうなんだ......?」
灰原「私?私は......」
灰原「......嬉しかった」
新一「......」
灰原(もう、ダメ......。抑えられない......)
灰原「あなたに誘って貰えて嬉しかった。色んなとこに行けて楽しかった。ロマンチックな景色を見て幸せだった。それに......」ギュッ
灰原「あなたとこうしてるのが、とても嬉しい。だって」
灰原「あなたが......。好きだから......」
新一「灰原......」
灰原「......でも、無理でしょ?」
新一「え?」
灰原「あなたがそう簡単に彼女を忘れられるとは思えない。一時のムードに酔ってるのよ」
新一「......!」
灰原「だから、忘れましょ?この瞬間は。楽しかった夢で......」
新一「......イヤだ」
灰原「え?」
新一「気の迷いでも、ムードに酔った訳でもねーよ。そんなんで行動しねーさ」
灰原「それが酔ってるって言うのよ!もっと冷静に」
チュッ......
灰原「!!!」
新一「......」
灰原(バカ、何してるのよ......。バ、カ......)トロンッ
新一(やっちまった......っ。もう引き返せねぇっ......)
灰原「......は、ぁっ」
新一「......ふぅっ」
灰原「......自分が何したか分かってる?」
新一「......分かってるよ。思いっきりビンタされても縁切られても仕方無いと思ってる」
灰原「......しないわよ。だって」
新一「だって?」
灰原「......喜んでしまっているもの。私」
新一「......!」
灰原「......夢で終わらせるハズのモノに火を付けてしまった以上、責任は取って貰うけど」
新一「責任?」
灰原「もう無理。あなたを好きな気持ちは抑えられない。彼女に遠慮も出来そうに無い。あなたをもう離さない。そう言う責任よ」
新一「......ああ。分かってる。俺は」
DQN「よーよー、そこの2人!見せつけてんじゃねーぞ!」
灰原「......何?」
DQN「よく見りゃ美人だな!俺らとも遊んでくれよ」
灰原「何なの?」
新一「ほっとけ。行こう」
DQN「おい無視すんなよ」
灰原「しつこいわよ」パシッ
DQN「っ、このアマ......。舐めんなよコラ!」
新一「チッ、灰原!走れ!逃げるぞ!マトモに相手するな!」
灰原「っ、ええ。そうね!」
DQN「待てコラ!」
新一「っ、面倒だな!大丈夫か?灰原!」
灰原「大丈夫よ、この位」チラッ
DQN「待てコラ!!」
灰原「......でもあの人数は面倒ね。5、6人はいるわ」
新一「どっかに隠れよう!完全に振り切るのは難しい!」
灰原「ええ。分かったわ!」
灰原(......今日の出来事が博士のスイッチの力だとしたら、私は「邪魔されずに」と願ったハズ)
灰原(今日工藤君が誘ってくれたのは、あのスイッチとは関係ないと言う事?)
しばし後。
新一「ハァ、ハァ、どうだ、灰原?」
灰原「とりあえず姿は見えない、でも怒鳴り声は聞こえるわ」
新一「しつこい奴等だ......。ん?灰原、こっちだ!隠れよう!」
灰原「え、どこに?」
新一「早く!」
灰原「えっ、ちょっと?!ここに?!」
新一「時間がねぇ、早く!」
灰原(いや、でもここは......)
しばし後。
新一「......鍵をかけてっと」ガチャッ
新一「ふぅ、これでとりあえず安心だ。暫くここでやり過ごそう。ヤバかったら警察呼びゃ良い」
灰原「......そうね」
灰原(......確かにここなら安全かも知れない。だけどよりによってなんて場所選ぶのよ)
灰原(偶々逃げて来た場所ではあるけど......。ラブホテルの中なんて......)ドキドキ
新一「ん?どうした?」
灰原「......何でも無いわ」
新一「そっか。しかしまあ、落ち着いて見りゃ」チラッ
新一「......場所、がなあ」
灰原「そこに気を遣っても仕方無いわ。ここで一夜を明かせば薬が切れて先程の人達には一切感付かれる事無く帰れる。まあ、ここから出るときに大人に見付かるのが心配だけど」
新一「服はどうすんだよ?」
灰原「安心して。万が一の為、服の予備はあるわ」
新一「用意の良いこった。なら少し休むか」
灰原「そうね。ちょっと疲れちゃったし」
新一「んじゃ、ベッド使えよ。俺はソファに寝るからよ」
灰原「え?でも」
新一「良いから。気にすんなよ」
灰原「え、ええ......」
新一「良し。しかし、走ったら汗だくだな」
灰原「確かにね。意外と長く逃げ回ったものね」
新一「シャワー浴びて来たらどうだ?」
灰原「え......?」ドキッ
新一「へ、変な意味じゃねーよ!風邪引く前に処理した方が良いだろ?」
灰原「だ、誰もそんな想像はしてないわ。確かに風邪引いてもつまらないし。そうするわ。覗かないでよ」
新一「バ、バーロ!しねーよ!流石に!」
灰原「流石に?」
新一「あ、いや」
新一(こんななし崩し的な流れでするなんて、いや、何考えてんだ......。少し落ち着け、工藤新一)
新一「とにかく、早くしてこいよ。オメーが終わったら、俺も入るから」
灰原「......分かった」
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