トゥーナ「起きたら…………飼われてた」(ルーンファクトリー3) (25)



……早朝
-飼育小屋


トゥーナ「……」

トゥーナ「…………」


トゥーナ「……ぁ、やっと来た」


ガチャッ


「おはよう、トゥーナ」

トゥーナ「……おはよう」




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「さ、ブラッシングしようね」

トゥーナ「ん……」

「今日もきれいな毛並みだ」シャッシャッ

トゥーナ「…………ありがと」

「……」シャッシャッ

トゥーナ「……」

「…………」スンスン

トゥーナ「えっ……なにして……嗅がないで!」

「ご、ごめん。つい……あんまりきれいな髪だから」

トゥーナ「…………ばか」

「ほんとにきれいだよ」サワッ

トゥーナ「ぁうっ」

「え?」

トゥーナ「っ…………手で、撫でられると」

「気持ちいい?」ナデナデ

トゥーナ「ぁ………………」

「ね?」サワッ

トゥーナ「…………うん」

「よしよし」ナデナデ

トゥーナ「ん…………」




「さて、と。素材を回収……あれ? トゥーナの採取素材は?」

トゥーナ「……そこに、羽が」

「違うでしょ? トゥーナの素材は…………」


「たまご、でしょ」

トゥーナ「…………っ」




「ほら、僕を支えにしていいから、踏ん張って」

トゥーナ「ぃ、いや……」

「手伝ってあげるから、頑張って出そう」

トゥーナ「ぃ、いま………………違うのも、出ちゃいそうで」

「あはは、大丈夫だよ」

トゥーナ「?」

「それも肥料に使うから。全部出して」ペシペシ

トゥーナ「っ……おしり、たたかないで……」




トゥーナ「んっ……く」

「いいぞ、その調子」

トゥーナ「はぁっ……ふ、っ」

「ひっ、ひっ、ふー」

トゥーナ「ひっ……ひっ……」

「はい! りきんで!」ギュッ

トゥーナ「ふぅーんんんっ!?」

「もう少しだ!」ギュー

トゥーナ「ぁくぅっ!? おなか、おさ、おさなひでっ」

「頑張れ!」ギュッギュッ

トゥーナ「あっ……ぁうんんっぁああっ!!」


コロンッ

「やったぁ!」

トゥーナ「はぁ…………はぁ……」クタリ




「なんにしようかな……オムレツ? ケーキ? でも素材の味をそのまま、ゆでたまご……生でもいけるかな。たまごかけごはん……」

トゥーナ「ぇ…………? ま、ま……って」

「? どうしたの、トゥーナ」

トゥーナ「それ、た……たべるの……?」

「あはは! そりゃ、たまごだからね」

トゥーナ「っ……」

「それとも、出荷箱に入れる? トゥーナが今朝産んだたまごです、って、カリンに見てもらう?」

トゥーナ「そ、それはっだめ……」

「あ! そうだ、せっかくだから、トゥーナのたまごで作った料理を、みんなにふるまおうか。カリン、ソフィア……ガジさんも呼んで」

トゥーナ「!? だ、だめっ……だめ!」

「はは、冗談だよ。……これは、僕だけのものだからね」

トゥーナ「………………ばか」




「他の子の素材も回収しなくっちゃ。よいしょ」

<がう~!

「あはは、元気だね。まずブラッシングだよ」

<がぶっ!

「いたたたた!」


トゥーナ「……」

トゥーナ「…………」


トゥーナ「なんで飼われてるの、あたし」


トゥーナ「確か……あたしがあの人を飼おうとしてたはず…………なのに」


「ほーらいっぱい出そうね」

<あっや! やぁあ!?

「新鮮な聖水だ! これは高く売れるぞ!」

<やだぁ……ぁぅう


トゥーナ「……昨日までは、あたしが金のふわふわもこもこ毛を素材採取してたのに……なんで……」


……



……

モコモコ『モコモコッ』

トゥーナ『ふふ……かわいい』ナデナデ

モコモコ『あのさ……』

トゥーナ『……なに?』

モコモコ『僕はいつまでモコモコでいればいいの?』

トゥーナ『…………ずっと』

モコモコ『ずっと、って……』

トゥーナ『すーっと……ずーーーーっと……』


トゥーナ『あたしが…………死ぬまで』

モコモコ『あはは……』




モコモコ『でもそれだとさ、いろいろ不便だよね』

トゥーナ『……そう?』

モコモコ『…………えっちのときも』

トゥーナ『えっ、な、なに』

モコモコ『この姿で、するの?』

トゥーナ『っ…………』

モコモコ『トゥーナって獣姦好き?』

トゥーナ『ちがっ……ちがう、から』

モコモコ『じゃあ人間の姿に戻らないとね。首輪……はずしてくれる?』

トゥーナ『………………ぅ、ん』

カチャッ

『さて、と』

カチャン

トゥーナ『…………え?』

トゥーナ『あ、……あたしの首に…………なんで』

『ちなみにトゥーナ』


『僕は大好きだよ』

トゥーナ『っ!』

『獣姦』

トゥーナ『…………』


……



……


トゥーナ「…………そうだった……まんまと逆転されたんだ……」


逃げ出したいか?

トゥーナ「!? だれっ」

私ならば、お前を救いだしてやれる

トゥーナ「すくう……?」

このままでよいのか? このまま、あの者に飼われ……

トゥーナ「あたし…………は……」


……





……
-竜玄窟



「トゥーナをかえせ!!」

アクナビート「……それはできない」

「なぜだ!」

アクナビート「認めるわけには、いかないからだ」

「なにっ」

アクナビート「認めぬ……」



アクナビート「飼育プレイケモックスカップルなど……」

「……」




アクナビート「この子はお前といると不幸になる。これから先……悩み続けるだろう」

「そんなことっ」

アクナビート「ならば」


アクナビート「ならばお前達は、幸せだったのか?」

「なにをっ」

アクナビート「モンスターと、人との間に生まれ……多くの偏見と差別の目に、晒されては来なかったか」

「そんなことないっシアレンスの町の人達は、受け入れてくれた!!」

アクナビート「……なら、なぜすぐに打ち明けなかった」

「っ!」

アクナビート「自分がモンスターとのハーフであると知って、お前は誰かに相談したのか」

「それは……」

アクナビート「真に信頼していれば、それができたハズだ。そうしなかったのは……」


アクナビート「モンスターと人の子など、気持ち悪い」

「っ……」

アクナビート「そう思われる……いや、お前自身、そう思ってはいなかったか」

「…………」

アクナビート「だから、この子も……これまで誰にも言わなかった……怖かったのだ……拒絶され…………排斥されることが」


アクナビート「故に」

??「それは違うナ」

「!!」




ガジ「……トゥーナは、優しい子ダ。……俺達に、心配かけたくなかったのサ」

「……ガジさん」

アクナビート「貴様ら……」

ガジ「もう、おしゃべりは充分ダロ。ここからは……」スラリ

「力づくで…………返してもらう!!」ジャキンッ

アクナビート「愚かな……」

「でやぁあああ!!!」

ガジ「はぁああっ!!」

……



……


「はぁっ……は、ぁ……」

ガジ「うグっ……」ガクッ


アクナビート「終わりだ……」


トゥーナ「もうやめて!!」

「……トゥー……ナ」

トゥーナ「もういい……これ以上…………あたし達……だめだったんだよ、最初から……」

「そんなことないっ!!」

トゥーナ「!」

「……僕達は……確かに、この生まれのせいで、苦労もしてきた…………けど」

「この町で……受け入れてもらえて……たくさんの人と出会って」


「大切な人を、見つけられた」

トゥーナ「……」

「それに…………僕たちの両親は、きっと……」

「愛し合って、僕たちを産んだんだ」

「それを、僕らが否定しちゃだめだ」


アクナビート「…………」

ガジ「……お前の、負けダ」

アクナビート「…………そのようだな」

「え?」




アクナビート「……これで、シアレンスの花も咲くだろう」

「それって……」

アクナビート「試すような真似をして、すまなかった。……お前達のような者がいれば、いつか、全ての種族が、分け隔てなく……」

「……アクナビート」

アクナビート「さぁ……行け」


アクナビート「存分にケモックスし、この世界を異種姦パラダイスにするがよい!!」

「はい!!!」

トゥーナ「えぇ……?」



……




……??年後



トゥーナ「……って」

「あはは、懐かしいなぁ……そんなこともあったね」

トゥーナ「あのとき…………かっこ、よかった……よ」

「そ、そう言われると……必死だったから……でもなんでそんな話」

トゥーナ「……しばらく、帰ってなかったから」

「よその町を巡ってたもんね」

トゥーナ「ガジの武器も……あたしのアクセサリー……あなたの、農具や靴、雑貨……たくさん売れたよ」

「そうみたいだね」

トゥーナ「商品……欲しいって人が、たくさん。都会に……カリンがお店、開くって。あたし達の作ったもの、売ってくれる……」

「ほんと!? すごいや……」

トゥーナ「また……忙しくなりそう」

「この子達も手伝ってくれるし」

トゥーナ「…………忙しく、なる前に…………その、久しぶり、に」

「……起きちゃうよ?」

トゥーナ「だから…………」


トゥーナ「飼育小屋…………行こ? …………昔、みたいに」

「…………うん」




トゥーナ「ずっと…………大好きだよ」

「……僕も」






おわり。




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