提督「艦娘の集まる公園……?」 (26)

提督「那智ー。へいへいなっちー」

那智「うるさい。もう少し静かに歩けないのか」

提督「久々のシャバって言うか提督になって敷地から初外出だぜ?そりゃテンションもあがるさ」

那智「まったく……」

提督「とは言えジュース買うくらい1人でも行けるのに。なんで付いてきたんだ?俺のこと好きなの?」

那智「貴様が無駄遣いしないか監視するためだ」

提督「なんだよそれ。もう子供じゃないっての!……おっ、ガチャガチャあるぞ!ガチャガチャ!!」


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提督「那智さんや、わしゃコレを一度やってみようと思うんですけど」

那智「ジュースを買うんじゃなかったのか?」

提督「安心してくれ。お金なら貯金箱ごと持ってきたぞ!」

那智「貴様、最初から遊ぶ気で外出したな」

提督督「ひゅー!1回300円!?ひゅー!!」

那智「寄り道は禁止だ。つまらん事にお金を使うなら帰るぞ」

提督「でもさー、このガチャガチャ那智の人形入ってるんだもんさ」

那智「私の?」

提督「ほらこれ。妙高、那智、伊勢、日向、陸奥が入ってるんだって。なんか奇妙なラインナップだな」

那智「どうやら死にたいようだな」

提督「この那智の人形が欲しいんだけど!」

那智「……そ、そんなに私の人形が欲しいのか?」

提督「ぶっちゃけ利根の人形があればそれが一番欲しいけどな」

那智「」イラッ

那智「仕方ない。1度だけだぞ?」

提督「さすがなっち!愛してる!」

那智「はあ……」

提督「ん?あれ?」

那智「どうした?」

提督「なんだか硬くて回らないんだけど……こなくそ!」

那智「こら、力任せに捻るんじゃない。今店の人間を読んでくるからここでジッとしていろ。わかったな?」

提督「はい!」


ヒラヒラ…

提督「あっ、蝶々」フラフラ

提督「参ったな。蝶々を追いかけてたら道に迷ってしまった」

わいわい

提督「なんだ?やけに公園が賑やかだな。何かやってるのか?」

ドンッ

電「はわわ……、ごめんなさいなのです」

提督「あれ電ちゃん?どうしたんだいこんな所で」

電「あ、あの……、誰かと間違えてないですか……?」

提督「えっ?」

提督「なるほど。キミは野生の電ちゃんだったんだね」

電「野生……?」

提督「ちょっと聞きたいんだけど、この公園は何かお祭りをしているのかな?」

電「えっと、これから夕飯なのです……」

提督「夕飯?この公園でたべるのかい?」

天龍「そうだよ。なんか文句あるのか?」

提督「別に文句なんて……」

天龍「だったらこの場所からさっさと消えろ。ココはお前みたいなやつがく春がはり

寝てた…

提督「むぅ……いくらなんでも好戦的過ぎないかい?察するに君も電ちゃん同様初対面だろ?」

天龍「ああそうだよ。ただ私たちはみんなその服装が目に入るだけで頭の線が切れるくらい提督って奴が大嫌いなんだよ」

提督「おかしいな……艦娘は基本みんな提督LOVE勢だと聞いたが……」

天龍「脳内お花畑かよ。このハゲ」

提督「ハ、ハハ、ハゲとらんわ!ハゲに謝れ!デリケートな問題だぞ!だいたいみんなって電ちゃんはそんなに嫌ってないだろ!」

電「なるべくなら……同じ空気を吸いたくないですね」

提督「はわわびっくりしたのです!」

天龍「とにかくお前、今すぐココから消えろ」

提督「断る!なぜなら私は迷子だからだ」

天龍「だったら他で迷子してろ。目障りなんだよ!」

足柄「ちょっとー、何してるのよー」

天龍「先に言っといてやる。俺はまだ優しい方だからな。飢えた狼が来た以上どうなってもしらねーぞ」

提督「えっ……エロいことされる感じですか……」ごくり

足柄「あら、もしかしなくてもそちらは提督かしら?」

提督「まあそうなるな」

足柄「ちょうど良かったわ!今からお夕飯の時間なのよ!焼きそばを作ったんだけど」

提督「良いね焼きそば!ご馳走になるよ!」

足柄「具材が少なくて寂しかったのよ」

提督「えっ……?」

足柄「本当にちょうど良かったわ」

提督「あれ?エロくない意味で食べられるほう?」

那智「それくらいにしておけ」

足柄「うぐ……」

提督「なっちー!」

スパーン!!

提督「痛い!どこからそんなスリッパを!?」

那智「貴様を殴るためにそこで買ってきた」

天龍「おい、お前艦娘だろ。2度とココに近づかないようによく言っておけ」

那智「ああ、すまなかったな。帰ったら吊るしあげよう」

提督「ひっ」

天龍「ったく、お前ら艦娘が甘やかすからこんなバカがうろうろするんだよ」

提督「まてまて!さっきからなんだよ?まるで自分が艦娘じゃないみたいな言い草じゃないか」

天龍「ああん!?俺たちは艦娘じゃねー。元艦娘だ」

提督(グッチ裕三……)

天龍「ココはお前ら提督に解体された元艦娘の溜まり場みたいなところなんだよ」

提督「解体された艦娘……」

提督「そうか。君たちはみんな解体された艦娘だったのか」ホッ…

那智「提督、もう良いだろう。ココは我々がいて良い場所ではない」

天龍「てめぇ……!!なにホッとしたみたいな顔してやがんだ!ぶっ殺すぞ!!」

提督「いや、俺も解体は何度もした事があるんだが……よく解体された艦娘がどうなったかって話が出るんだ」

提督「俺たちが艦娘と別れる時の最後の顔合わせは工廠に入る前。解体が終わった後は顔を合わせない規則になってるからな」

提督「大本営は艤装を外して普通の女の子に戻すだけと言っているが、実は解体は本当に何もかも解体……って噂もあったんだ」

提督「だから本当に普通の女の子として生きている君たちを見て安心した訳だ」

天龍「マジでお花畑だなてめぇ……!」

天龍「普通の女の子だ?ああ、確かに普通の女の子かもしれねぇなぁ!だから安心?毎日毎日好き勝手に解体しやがって!!」

天龍「でも本当に俺たちは普通の女の子か?違うだろ!!」

提督「いきなり何ギレだよ!」

天龍「普通の女の子が公園で暮らすか?俺はまだ良い。でもガキどもはどうだ!?」

電「てんちゃん……」

天龍「ここに居る連中は殆どが鎮守府で鍛える事もせず建造されて即解体だ!」

提督「それは大本営が毎日建造して2隻は解体しろって……」

提督「うるせえ!!」

天龍「えっ……?」

提督「あ、すみません。そちらの台詞でした」

天龍「あ、ああ……えーっと、うるせえ!!」

提督「お、おお!」

天龍「いいか?実践経験は無し、鎮守府で習う予定だった学も無し。家も無し、親も無し……」

天龍「そんなガキにお前らはこう言うんだよ!」

「キミは任務の為に造られて解体だ。今日から普通の女の子として生きていきなさい」

天龍「ってな」

天龍「ここはそんな解体された艦娘が集まって生活している場所なんだ。だから少なからずみんな提督って生き物には憎悪を持ってる」

提督「……」

天龍「最後の忠告だ。戦艦どもが集まる前に消えろ」

那智「ああ、そうさせてもらおう。さぁいくぞ」

提督「……だったらうちの鎮」

那智「やめておけ。うちに全員を迎え入れる余裕は無い」

提督「でも少しだけなら……」

那智「1度捨てられたも同然の艦娘が集まっている場所だ。そこから少しだけをすくい上げる?貴様は残った艦娘に2度も見捨てられた気持ちを植え付ける気か?」

提督「……」

テクテクテク……

提督「……っ」ギリッ

那智「やめろ!」ズボッ

提督「オエッ!!ゲホッ、ゲホッ!!なんで指突っ込んだの!?」

那智「貴様みたいな男でも我々にとっては大切な提督だ。舌を噛み切ろうなど許さん」

提督(歯を食いしばっただけなのに……)

那智「先月この近くを通った時はもう少し少なかったはずなんだがな」

提督「俺は今まで悪い事してたんだな」

那智「仕方ないさ。貴様は言われた任務をこなしていただけだろ」

提督「大淀がな……言うんだよ。母港に余裕はあるのにいっぱいになったから2隻解体しろって……」

提督「よし、決めた!今日から俺は解体をしない!」

那智「しかしそれではすぐに母港がいっぱいになってしまうぞ」

提督「だったら母港を大きくするまでだ!」

那智「なるほど!大本営にお金を納めて母港を拡張する訳だな!」

提督「ああ!確かに課金で財布は痛いけど艦娘の為なら仕方ない事だ!」

那智「しかしそうなると資金集めはどうする?」

提督「それも大丈夫!提督という仕事をしていれば簡単な審査でお金を貸してくれるんだ!」

那智「なるほど!それなら安心して母港を拡張できるわけだな!」

天龍「さあみんなも俺たちみたいな可哀想な艦娘を生み出さないためにも母港を拡張しようぜ!」

那智「おっと、入渠ドック拡張も忘れるんじゃないぞ!」ぱちくり



おわり!

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