※R-18、百合要素注意
晴?「………ん」
黒組での生活も始まってから数日。特にこれといった出来事もなく、未だに予告票は届いていなかった。
そんな奇しくも平和な学園生活の中で、兎角と言えばずっとツンケンしているのであまり交友関係は無いが、晴は持ち前の明るさで随分と馴染んでいた。
憧れていた学園生活、というのもあるのだろう。いつもニコニコと眩しい笑顔で楽しげに過ごしていた。
そんな彼女の顔が、
晴?「……は?」
異様に鋭い三白眼に寝起きで不機嫌そうに眉を潜めた姿をしていたら、違和感しか感じないだろう。
姿見の前に、そんな晴の姿が見えた時、兎角は思わず思考を停止した。
………数秒後、色々と動いてみるとそれに連動して晴の姿も動いている事から、一つ気付く。
これは、なんだと。
兎角?「……ん~、ふわぁ……」
自分のものとは思えない程甘ったるい声音の欠伸が聞こえたと思い、すぐ隣に視線を向けると、
アイデンティティが崩壊した自分がもう一人居た。
兎角?「おはよ~兎角さん……あれ?」
二人は見合い、片方はキラキラと目を輝かせ、もう片方は額を抑えて深いため息をついた。、
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兎角(以降、一之瀬晴)「えっ、と……晴と兎角さんが入れ替わっちゃったって事だよね」
晴(以降、東兎角)「……らしいな。」
あれから、取りあえずお互い一旦話し合おうという事で、今は寝間着のままテーブルを挟んで座っている。
……凄い勢いで睨み付ける様な表情とほんわかと微笑んでいる自分の顔を見て、意外とこんな顔もできるんだな、と互いに思った。
兎角の方はたまったもんじゃない、とずっと落ち込んでいる。
兎角「取りあえず、授業始まるし着替えよっか」
晴「まぁ、そうだな……」
兎角「そんなに晴の身体、嫌だった……?」
晴「い、いや、そういう訳じゃない。ただ、その、」
兎角「?」
思ったより胸があるんだな、と言い掛けたところでやっぱりやめておいた。
きょとんとした顔で小首を傾げる自分の姿を見るのが辛くなった兎角は、一先ずは制服に着替えようと立ち上がった。
兎角「(兎角さん、やっぱり綺麗な身体……鍛えてるし、身体が凄く軽く感じる)」
晴「(クソ、こんな華奢な身体じゃあ、もし予告表が来てしまったら……いや、そうか。)」
ぷにぷにと引き締まった兎角の身体を触りながらキラキラと目を輝かせる晴と、至極真面目に今後の事を考える兎角であった。
………着替えた後、やたらと嬉しそうに歩いていく自分の身体を横目に、深い溜息をつきながら教室に入った。
入った瞬間、其処には異様な光景が広がっていた。
伊介?「んー……ま、なっちゃった事は仕方ないっしょ」
春紀?「だからって、あんまりボリボリ菓子食べんな♡ 太るだろうが♡」
しえな?「あ~、しえなちゃんほんっと目悪いね♪」
乙哉?「武智ィ!! 僕の本を切り刻むのやめろ!!」
柩?「……っ、桐ケ谷、もう勘弁してくれ!」
千足?「はぁ、はぁ、千足さん……あぁ可愛い可愛い可愛い可愛い」
香子?「ふぅ。ボトルの緑茶も案外良いもんじゃのう、こーこちゃん」
涼?「(何だこの身体は……本当に100年近く生きているのかも不思議な位、健康的だ……)」
真昼?「………番場さん?」
純恋子?「はっ、はなぶさ、さん……え、えっと、はい。何、ますか?」
やたらと男らしい座り方でポリポリと菓子を齧る伊介と、それに口出ししながらもやたらと口紅やマニキュアが大人っぽい雰囲気を醸し出している春紀。
眼鏡を掛けず、特徴的なおさげを一つ結びにしてとても活発にハサミで本を切り刻んでいるしえなに、外見に変化はないが誰かに叱責するという異様な動きの乙哉。
いつもの私服ではなくフリフリの可愛らしい服に身を包んで顔を真っ赤にしている柩と………危ない人にしか見えない千足。
古めかしい口調で穏やかな表情の香子に、仰々しく驚愕の表情を浮かべて自分の身体を触っている涼。
そして、やたらと明るい様子の真昼に、何時もの堂々とした態度は何処へ行ったのか俯き加減でビクビクとしている純恋子。
全てが異様だった。それは入った瞬間、二人とも理解出来た
※兎角視点
晴「……ハァ。」
兎角「あっ、兎角さん待って~!」
思わず立ち眩みしそうになった私は、また大きなため息をつくと自分の席へと向かい、晴も後を追って席に座った。
他の部屋の奴らも入れ替わっているという事は、まぁ、なんとなく検討がつく奴が一人居る。
鳰「いやぁ~おはようございまッス!良い朝ッスねぇ~」
コイツだ。十中八九コイツの仕業だ。
そう確信した私は、何やら他の奴らと喋りだした晴を横目にすぐさま奴の席に向かった。
そして、その胸倉を掴み上げようと右手を伸ばしたところで、
鳰「あぁ~……"晴ちゃん"、おはよッス!」
晴「ふざけるな、走り……!!」
鳰にその右手を掴まれ、それだけならまだしもギリギリと力負けしてしまった。
晴の身体では、私の動きにその力がついていけないことをここで初めて実感し、ギリギリと覆いかぶさる様にこちらに体重を掛けてくる走りは
私の耳元に口を近付けて
鳰「……か弱いただの女の子なんスから、気を付けてくださいね?"と・か・く"」
晴「ッ!!」
ゾクリ、と、凄まじい寒気を感じて思わず渾身の力を込めて手を振り払う。
わざとらしく力を抜いて払われた鳰は、ケラケラと笑って
鳰「ま、精々"守護"してくださいね、兎角さァん。」
※しえな視点
しえな「へ~。じゃやっぱりあたし達だけじゃなかったんだ♪」
兎角「うん、そうみたい」
乙哉「(……なんだこれ。あまりにもシュールすぎるぞ)」
やたらとハサミをチョキチョキさせながら晴と上機嫌で話すボクと、ニコニコと普通ならあり得ないレベルの笑顔で話す東。
まぁ、傍から見ればやかましくない武智というのも珍しいモノなんだろうけどな。
あの東が凄い女性らしい仕草でクネクネしているのは笑えるが、中身が一之瀬という事もありとても優しげに見える。
というか、意外とこっちの方が似合ってるかもしれない。結局はその人間の性格次第で全然変わるんだろな。
しえな「……ふふ。何ぼっとしてるの、しえなちゃん」
乙哉「ハッ、べ、別に特に何もない。」
兎角「なんだか、おしとやかな武智さんも珍しいね」
しえな「正直キモい♪」
乙哉「ボクだって、そ、そんなアクティブな自分見たくなかった!!」
ヘラヘラと(顔に)似つかない笑みを浮かべて弄ってくるコイツに、控えめに言い返す……言い返したつもり。
武智の身体になってみて分かったことは、無性に指先が寂しくなるという事。
四六時中ハサミやらなんやらを弄っているだからだろうが、ただその衝動は"何かを切り刻みたい"という感覚に発展しそうになる。
……まさか、心はボクだ。武智の癖はまだしも、思考までも一緒になってたまるか。
※兎角視点
晴「ハァっ、ハァっ……」
ニコニコと気色悪い笑みを浮かべてこちらを見下ろしてくる走りに対して、私は恐怖を感じた。
それは決してコイツの威圧を恐れたのではなく、この晴の身体としての恐怖。頭は正常でも、身体がフルフルと震えている異常な感覚。
震える指先に力を込め、乱れた呼吸を整える。
これは好機だと思った。晴の身体がどこまでついてくるかは分からないが、襲い掛かる障害を自ら排除する事が出来る。
………その為にも、晴に筋肉をつけていいか相談しなければ。
鳰「さ~って、溝呂木ちゃんがそろそろ来るみたいッスね」
辺「やぁ皆、今日も良い朝だ! 天気もいいし言う事ないな!」
タブレットを弄っていた鳰が呟いた瞬間に溝呂木が現れ、バカでかい声で喋る。
それまで鳰の横顔を睨み付けていた私も自分の席に戻り、ニヤニヤとこちらを見てくる剣持(乙哉)を手で払いのける。
兎角「……大丈夫? 顔色悪いよ?」
晴「問題ない。………それよりも、お前の方はどうなんだ?私の身体。」
兎角「え? あぁ、兎角さん凄い鍛えてるんだなって。歩く時こんなに体が軽く感じた事なんて初めて!」
晴「そうか。」
兎角「最近、ちょっとメロンパン食べすぎちゃったかもしれないから、お腹ぷにぷにかも……」
晴の身体は、正直至って普通だ。視線が大分下がったのと、胸の窮屈さが増したりしたが、軽く取回したナイフも問題なく扱えた辺り手先が不器用という訳でもない。
ただ、この時はメロンパンの下りで顔を赤らめて俯く自分の姿になぜか胸の辺りが苦しくなった気がした。
………おかしい、自分の身体なのに仕草だけでこうも違うのか。
その後は、特に何もなく平凡な授業風景が過ぎて行った。
いや、明らかに様子のおかしいクラスメイトを溝呂木が不自然にスルーしていた所には違和感を覚えたが。
………その夜。
鳰「(さァて、面白そうな事が起きてる部屋は………)」
自室にて、タッチパッドに広がる盗撮カメラ(新調)の映像を眺める鳰。
が、
そこには、正直仕掛けた鳰ですら軽く引く程に色々爆発させている黒組生徒達の姿が映っていた。
※晴視点(始まって数日ですがもうだいぶ親しくなってる事にします)
『兎×晴』
晴「……ハァ。」
あれから兎角さんは、すごく困った様な表情でずっと溜息をついている。
晴は兎角さんの事、もっと知れて嬉しいんだけどな~何て気楽な事を考えてるけど、でもきっと黒組の事を考えてくれているんだろう。
確かに身体が入れ替わっちゃったら、鍛えていない晴の身体のままだときっと守り切れない。
そんな事を考えてるんだろう。
兎角「大丈夫だよ、兎角さん」
椅子にかけている兎角さんをそっと後ろから抱きしめる。
一度ビクッとして、驚いた様な顔をしていたけど、
兎角「皆も入れ替わっちゃったから、そんなにすぐに予告表を出す人も居ないと思うから。」
晴「……そうだと、良いけどな」
兎角「大丈夫だよ。」
眉間に皺を寄せていた険しい表情が解けて、一先ず落ち着いたみたいで良かった。
……そう、それでよかった。
リラックスしていてくれた方が、付け入り易いから。
晴よりもずっと強い力が出せる兎角さんの身体は、抱きしめている晴の身体を持ち上げるのは簡単なことだった。
晴「っ、晴!?」
自分の身体に欲情する、というのもおかしいかもしれないけど、兎角さん(晴の身体)の匂いをかぐと頭がクラクラする。
そのせいで、この時の晴はおかしくなってたんだろう。プライマーフェロモン……その単語が、頭に過った。
抱え上げた兎角さんはじたばたと抵抗するけど、抱えている晴の方が今は力が強い。
抵抗むなしくベッドに投げ出された兎角さんの少し怯えたような瞳が、たまらなく可愛く思えた。
兎角「……兎角さん、ごめんね?」
そして、ゆっくりと兎角さんの服へと手を掛ける。
※兎角視点
晴「っ、やめ、ろっ……晴っ」
兎角「兎角さん……かわいい」
不意に抱きしめられたときは、思わず反射的に投げ飛ばそうかと動いていた。
しかし、力を入れた時、晴の力では自分の身体を投げ飛ばす事が出来ないと悟る。
それは徐々に力が増していき、明らかに異常な程密着してきた晴(兎角の身体)に危機を感じた私はすぐさまもがいた。
全く動じない事に焦りを覚え、そして自分の身を守る力が無い事を知った途端に気持ちの悪い寒気が襲い掛かってきた。
怯えは全身に伝播し、指が上手く動かない。
身体の線に沿うようにして撫ぜられる晴の手に、ゾクゾクと身体が震える。
晴「っ…ふ、くっ……ぁっ……」
兎角「(兎角さん、いつもクールな兎角さんが赤くなって、小動物みたいに震えてる。)」
ぎゅっと目を閉じて必死に抵抗しようとする私は、ひどく惨めだと思った。
ブラウスのボタンをぷちぷちと外していく晴の手を抑えることはできず、スルリとシャツは肩から落とされる。
下着が見えると同時に痛々しい傷痕までもが晒されるが、興奮しきっている晴にとっては関係のない事らしい。
背後に回り、震える私の身体を抱きとめる様な体制になった後、晴は私の髪に顔を埋め、両手で全身を弄る。
これ、名前表記失くした方がいいでしょうか
すいません、もっとしっかり練ったSSを出す為にも落とさせてもらいます。
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