雪ノ下雪乃はお金持ち? (91)
[1話]
ここは奉仕部。
結衣「ゆきのん!この高級なお茶美味しいね~♪」ズズー
雪乃「フフ、ありがとう由比ヶ浜さん。」
結衣「それにこの高級お菓子も美味しいよ!」ガツガツ
雪乃「喜んでもらえて光栄だわ。」
八幡「」
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結衣「うん!やっぱり持つべき者はセレブのお友達だね!
ゆきのんのおかげで毎日こんな美味しいモノが食べれるんだもん!私は幸せ者だよ!!」
雪乃「そうね、私も由比ヶ浜さんとお友達になれて良かったと思っているわ。」
結衣「あれれ?ヒッキーはゆきのんが持ってきたお菓子食べないの?」
八幡「…俺はいい…腹減ってないし…それにマッ缶があるし…」
結衣「もう!マッ缶なんて庶民の飲み物飲んでるからヒッキーは目が腐ってるんだよ!
お金持ちのゆきのんが私たち庶民のためにこうして高級品を持ってきてくれたんだよ!
ヒッキーもゆきのんに感謝すべきなんだからね!!」
八幡「あ…あぁ…わかってる…いつもすまんな雪ノ下…」
雪乃「べ…別にあなたのためではないし…由比ヶ浜さんのためだから…」
結衣「ヒッキー知ってる?
ゆきのんのパパは雪ノ下建設の社長でしかも県会議員!
それにゆきのんも海外留学のある帰国子女で国際教養科の特待生!
まさに絵に描いたようなエリートセレブさまだよ!!」
八幡「そ…そうか…スゲーな雪ノ下は…」
雪乃「と…当然よ…あなたのような庶民とはちがうのよ…」
結衣「しかもゆきのんには既に将来を約束したお金持ちの婚約者がいるし!」
八幡「へ…へぇ…」
雪乃「由比ヶ浜さん…これ以上のプライベートな詮索は慎んでほしいのだけど…」
結衣「ゴメンゴメン!でもゆきのんは最高だよ☆」
八幡「」
雪乃「」
それから部活も終わり帰宅中―――
雪乃「それでは私はここで失礼するわ。」
八幡「じゃあな二人とも。」
結衣「うん!それじゃあまた明日ね!
それにしてもこの高級マンションにゆきのんは一人暮らしなんだよね!
羨ましいよ!私も一度入ってみたいんだけどいいかな~?」
雪乃「だ…ダメよ…
部屋の中が散らかっていてとてもじゃないけど他人には見せられないの…」
結衣「え~!私たち友達じゃん!そんなの気にしないって!」
八幡「落ち着け由比ヶ浜。
雪ノ下だって突然来られても何も用意できないんだしまた後日ってことにしておけ!」
結衣「ブ~ッ!しょうがないなぁ…あれ?あっちで何かやってるね?」
『オーイ!ツギノサギョウニトリカカルゾ!』
『アイヨ!シャチョウ!』
結衣「あー!道路工事だ!
ゆきのんは優雅に一人暮らししているのにああいう喧しいのがいると気分台無しだよね!」
雪乃「そ…そうね…」
八幡「つーか由比ヶ浜は早く帰った方がいいぞ。あまり遅くなると親が心配するだろ。」
結衣「それもそうだね!じゃあねーゆきのん!ヒッキー!」
雪乃「由比ヶ浜さんは帰ったわ。八幡…」
八幡「そうだな雪乃…」
雪乃「それじゃあ私はすぐに帰ってお夕飯の支度をするわね。」
八幡「俺は…社長の手伝いしていくわ。ウース!社長遅れました!」
それから雪乃はこの目の前にある高級マンションには入らず最寄りのスーパーに買い物へ。
俺は工事現場に赴き、作業に加わった。
それから数時間後…
雪ノ下家にて――――
八幡「ただいま…腹減った…」
小町「あ、お兄ちゃんお帰りなさい!」
雪乃「お帰りなさい八幡、晩ご飯の支度は出来ているわよ。」
陽乃「小町ちゃんも今日はここで食べていってね。お手伝いしてくれたお礼よ♪」
雪ノ下父「いや、作業の途中で八幡が手伝ってくれて予定よりも早く終われたよ。」
雪ノ下母「頼りになるわねえ。」
八幡「ハハ…褒めたって何も出やしませんよ。」
さて、既にお気づきの方もいるだろう。
お察しの通りこのssの雪ノ下雪乃の家はお金持ちなのではない。
その実態は俺たちと同じ普通の庶民なのだ。
雪ノ下建設だって名前はそこそこ立派だが従業員10数人がやっとの中小企業。
社長=つまり雪乃の親父さんだって一応社長ではあるけど県会議員じゃなくて町内会長。
それが雪ノ下家の実態だ。
雪乃「八幡…今何か…物凄く失礼な語りをしていなかったかしら?」
八幡「い…いや…何も言ってないから!それより早くご飯食べようぜ!いただきます!」
陽乃「八幡学校が終わった後に、
お父ちゃんのお仕事手伝ったんでしょ?お腹ペコペコなんだからちゃ~んと食べなさい!」
雪乃「そうよ、遠慮しちゃダメよ。それよりも姉さんはこれ以上八幡に近づいちゃダメ!」
小町「フヒヒ~!未来のお義姉ちゃんが二人も増えるなんて小町は嬉しいよ!」
雪ノ下雪乃は確かに俺たちと同じ庶民だ。
しかし俺はそんな事を露ほども気にしちゃいない。
毒舌しか吐かない高飛車なお嬢さまなんかよりも、
こうして手料理を作ってくれる今の雪乃がよっぽど素敵だ。
雪乃は学校では一番の秀才で学費が免除されている特待生であるのは本当だ。
それ以外は…まあ…全部嘘だけど…
けど由比ヶ浜に言った嘘の中でひとつだけ本当のことがある。
雪ノ下父「八幡もうちの仕事を手伝ってくれてもう1年か。早いもんだな。」
雪ノ下母「頼りになる娘婿が来てくれてよかったわね雪乃!」
雪乃「もう…お父ちゃんもお母ちゃんも気が早いわよ。」
陽乃「いいじゃないの。どうせ二人とも高校卒業したら結婚するんだし~♪」
小町「かつてのあのゴミィちゃんが今じゃ真面目な労働者に…男は女で変わるって本当なんだね!」
八幡「本当にそうだよなぁ…」
そう、俺と雪乃は1年前のとある事故で偶然知り合った。
それから諸々の事情により俺はこの雪ノ下建設の手伝いをするようになり、
いつしか雪乃と恋仲にまで進展した。
ぶっちゃけ両家の両親公認な許嫁の仲だ。
まさにリア充というべきなのだろうか、
俺の捻れた性格も今ではこうして社交的にまでなった。
これも全て…この家の…いや…雪乃と出会えたおかげだと俺は思っている。
正直、今の俺は幸せだ。
出来る事ならこの幸せがいつまでも続くと信じていたい…
ここまで
続きは夜書けたらいいな
[2話]
((ドンッ!))
八幡「痛っ!?」
俺はあの日の事を思い出していた。
それは1年前に自動車事故に遭った日のことだ。
入学式の日、俺は犬を守るために雪ノ下建設のバンと激突した。
リムジン?ナニソレ?知らないよそんなの?
とにかく俺は事故のせいで2週間ほど遅れて学校に行く羽目になった。
…
……
………
「ち…ま…」
「は…ち…ま…」
雪乃「八幡!起きなさい!いつまで寝ているの!」
八幡「むにゃ…オォ…雪乃か…おはよう…」
どうやら俺はいつの間にか部室で居眠りしていたらしい。
雪乃は俺を起こすために手で揺さぶっている。
俺はそんな雪乃の手をジッと見つめていた。
八幡「フヒヒ…」
雪乃「何よ…気持ち悪い笑い声ね…?」
八幡「悪い。けどお前の手…働き者の手だよなって思ったんだ…」
雪乃「そんな…握られると恥ずかしいのだけど…」
照れてその手を隠す雪乃。
彼女の手は年頃の女の子のように、
爪を手入れされておらずおまけに指には鮹がいくつか出来ている。
一見してみれば白い綺麗な手だがその実意外とゴツゴツしているけど俺はこの手が好きだ。
何故ならあの日、俺が雪乃を気にとめたのもこの手が理由だからだ。
1年前――――
都築「申し訳ありませんでした!」
小町「よくもお兄ちゃんを!小町許さないからね!」
比企谷母「そうよ!慰謝料だって払ってもらいます!」
俺が事故にあった直後、
俺を撥ねたバン運転手で雪ノ下建設の社員である都築さんは深々と俺の怪我について謝っていた。
しかし小町と母ちゃんの怒りは深刻だ。父ちゃん?知らんわそんなヤツ…!
雪乃「本当にごめんなさい…なんとお詫びしたらいいのか…」
都築「雪乃お嬢さん…
これは私がやってしまったことだからお嬢さんが頭を下げることは!?」
雪乃「いいえ、私が車でなく自分の足で入学式に出ればこんな事にはならなかった。」
雪乃「息子さんにこんな怪我を負わせて本当に申し訳ありませんでした…」
そう言って雪乃はベッドで横たわる俺の前で深々と頭を下げた。
恐らくこれが今出来る彼女なりの精一杯な誠意だったのだろう。
涙ぐんでスカートを握り締める手は先ほど語ったように苦労を物語る働き者の手だった。
俺はこんな健気な女の子にこれ以上つらい想いをさせたくはなかった。
八幡「なぁ…二人とも…もうこの人たちを責めるのはやめておけよ…」
小町「でもお兄ちゃん…!」
八幡「悪いのは俺だ。
勝手に飛び出て車に轢かれてしまうんだからな。だからアンタもこれ以上気にすんなよ。」
雪乃「でも…それじゃあなたは…」
八幡「それなら…俺と…その…友達になってくれないか…?」
雪乃「え…友達…?」
八幡「あぁ…恥ずかしい話でこの目つきの所為で今までぼっちでさ…その…ダメかな…?」
雪乃「いえ…私も今まで一人で…こんな私でよければ…」
それから俺と雪乃の付き合いは始まった。
俺は怪我を完治させた後、
度々雪ノ下建設に出入りして今では会社の手伝いをするようになった。
親父さんや奥さんとはぶっちゃけ実の両親よりも仲がよくなっている。
おまけに陽乃さんからは雪乃とはどんな関係?式はいつ?子供は何人作るの?
…などと気の早い話を持ちかけてくる。
そんな俺たちが恋仲になるのに時間は掛からなかった。
雪乃「あの時は本当にごめんなさい。私がもっと注意していれば…」
八幡「だから気にすんなって。こうしてぼっちも改善できたのもお前のおかげだ!」
雪乃「八幡…本当にあなたって人は…」
八幡「まったく…奉仕部なんかさっさと辞めて仕事の方に専念したいぜ…」
雪乃「正直こんな部活入りたくないのに無理やり平塚先生に入部させられたのよね。」
八幡「これ絶対平塚先生の嫌がらせだよな。あの人だから結婚出来ないんじゃね?」
一応学校のみんなには内緒にしているが既に俺たちの仲は相思相愛だ。
ぶっちゃけ熱々のバカップルである。
この奉仕部とかいう部活動も嫌々ではあるが雪乃と一緒なら楽しめないこともない。
だがそんな幸せいっぱいの俺たちにもひとつだけ大きな障害があったりする。
それは…
ここまで
幸せいっぱいの二人にアラサーの魔の手が迫る
結衣「ゆきのん!ヒッキー!依頼人を連れてきたよ~!さいちゃんだよ!」
戸塚「や…やぁ…」
八幡「なんだよ戸塚じゃねーか。一体どうしたんだ?」
雪乃「それよりも由比ヶ浜さん依頼者とはどういうことかしら?」
結衣「そうそう!私も部員だから頑張ろうと依頼人を連れてきたの!」
八幡「部員って…由比ヶ浜って部員だったのか?」
雪乃「いいえ、彼女の入部届けは出されていないわ。」
八幡「それじゃあ何で由比ヶ浜は毎日入り浸ってんだ…?」
雪乃「そんなの決まってるじゃない。勝手に来ているのよ…」
俺は由比ヶ浜が部員でもないのに毎日菓子を食いに来ている事に唖然としながらも、
天使である戸塚の依頼を果たすべくとある場所へと赴いた。
テニスコート―――
八幡「うわ…ボロボロじゃん…」
雪乃「荒れ放題だわ。どうしてこうなってしまったの?」
戸塚「うん…3年生の先輩たちが卒業して部員が僕になって手入れが出来なくなって…」
テニス部がかつて使用していたテニスコートは思いの外ボロボロだった。
本当にひどい…
ネットも破れておまけにコートも雑草が生い茂っている。
部員がいなくなるだけで何でこんな悲惨になるの…?
戸塚「それで依頼なんだけどテニス部を強くしたいんだ…」
八幡「強くしたいって…こんな荒れ果てたテニスコートで部活動できないだろ!?」
結衣「フフフ、そこで我らがゆきのんの出番だよ!」
雪乃「私…?」
何故か由比ヶ浜の指名を受ける雪乃…
この状況で由比ヶ浜は雪乃に何をさせる気だ?
結衣「ゆきのんのポケットマネーで、
この荒れ果てたテニスコートを立派なモノに新築してほしいんだよ!」
雪乃&八幡((出来るか!?))
結衣「あれ?今何か言った?」
八幡「いや…何も言ってないから安心しろ。
でも由比ヶ浜…その…依頼はテニス部を強くしてくれって事なんだろ。
テニスコートを新築するというのは依頼内容とかけ離れているんじゃないか?」
結衣「まったくこれだからヒッキーは庶民なんだよ。
常識で考えてこんな荒れ果てたテニスコートでテニスなんか出来るわけないじゃん。
お金持ちのゆきのんの財力でテニスコートを新築すればテニス部だって強くなれるよ!!」
何この女…?
自分でやるんじゃなくて雪乃に金を出させるとかどんだけ厚かましいんだよ!?
いくら戸塚が天使可愛いからといってさすがにこんな依頼を引き受けられるか!
…と…普通なら断るのだが…
雪乃「そ…その通りよ!私にまかせなさい!」
結衣「ひゃっほー!さすがはゆきのん!頼りになるね!」
戸塚「ありがとう!それじゃあお願いするね!」
そう、困ったことに雪乃の唯一の弱点。
それがこの狂言癖だ。
自らを金持ちだと偽ってしまう雪乃に俺は毎度付き合わされている…
八幡「戸塚と由比ヶ浜は俺たちに任せて早々に帰っちまったな。」
雪乃「テニスコートを修復なんて…そんなお金…あるわけないわ…」
八幡「お前…いい加減その狂言癖直せよ。いつか取り返しのつかないことになるぞ?」
雪乃「わかっているのだけど…どうしても…」
八幡「まあ今更こんな文句を言っても始まらねえか。」
さて、とにかく依頼を受けてしまったからにはどうしようもない。
だが幸いなことに俺は雪ノ下建設で仕事を教わったのである程度の作業は行えるので…
八幡「幸いうちの学校のテニスコートは小さいから俺だけでもなんとかなる。
フェンスとかは塗装で塗ればなんとかなる。
コートの整備は…芝生をラグビー部からちょろまかすしかないな。」
雪乃「コートのネットは私の裁縫で補えるわ。
お金を使わずに乗り切るには分担して当たらないといけないわね。」
八幡「よし、泣き言を言っても始まらないし早速取り掛かるぞ。」
こうして俺たちは作業を開始する。
俺はコートの修繕を、雪乃は裁縫でネットの修繕を行いそれから翌日…
結衣「スッゴ~イ!新品になってる!」
戸塚「ありがとう雪ノ下さん!」
雪乃「こ…このくらい当然よ…」
八幡「二人で徹夜してなんとか終わらせられた…」
戸塚「これならテニス部も強くなれるよ!僕頑張るからね!」
あぁ…戸塚が笑顔で喜んでくれている…
雪乃になんか睨まれているけど戸塚の笑顔が拝めたのは喜ばしいことだ。
しかし世の中とは世知辛いもので一難去ってまた一難ということわざがる。
そこへ忌々しいヤツらが現れた。
優美子「あ、テニスコートじゃん!隼人!テニスしようよ!」
戸塚「そんな…ここはテニス部に許可されているのに…」
葉山「それじゃあみんなでテニスしよう。きっと楽しくなるよ!」
八幡「リア充どもがきやがったか…
やべえな…あいつらせっかく俺らが修繕したテニスコートを独占しようとしているぞ!」
雪乃「相手はあの葉山くんたち…
困ったわ…私たち昨日からの徹夜でもう体力がないから彼らを追い返す余力が…」
徹夜明けの俺たちに葉山たちを追い返す余力はない。
だがこのままテニスコートを明け渡すのは正直悔しい。
何かいい手はないのか…?
八幡「おい雪乃…お前葉山のこと知っているのか。だったらあいつのこと少し教えてくれ。」
雪乃「葉山くんは…
私とは小学校が同じで確か父親が弁護士で母親がお医者さまだと聞いているわ。」
八幡「親父が弁護士でお袋さんが医者とは、
まさに絵に描いた生まれながらのイケメンか。だが…それが仇となったな葉山!」
俺が咄嗟に思いついたのは物凄く小狡い方法だ。
だがこれしか手はない。
この後、どうなろうが俺の知ったことか。
八幡「おい由比ヶ浜!葉山は金を持っているぞ!あいつに奢ってもらえ!!」
結衣「本当~!隼人くん!テニスなんかやめてみんなで隼人くんちで豪遊しようよ!!」
葉山「え…いや…俺はこれから優美子とテニスを…」
結衣「テニスなんていつでも出来るよ!でも豪遊は今しか出来ないんだよ!」
三浦「コラ結衣!待つし!あーしの男を取るなし!」
結衣「だったら優美子も来ればいいんだよ!
ついでに戸部っちと姫菜も誘ってみんなで隼人くんちに集合~♪」
こうして由比ヶ浜はまるで台風の襲来ごとく俺たちを巻き込み、そして遠ざかっていった。
この後、葉山の家は大変な目に遭うのだろうがそれは俺の知ったことではない。
俺は今回の依頼達成と天使戸塚の笑顔を見れただけで満足だ。
他のことは一切知らん!
その夜、雪ノ下家――――
八幡「あぁ…疲れた…」
陽乃「八幡お疲れさま。
聞いたわよ、一人でテニスコート修繕しちゃうなんて我が家のお婿さまは優秀だね~♪」
八幡「陽乃さん…そういえば前から聞きたいことがあるんすけど…」
俺は陽乃さんに、
何故雪乃が自分は金持ちのお嬢さまだと虚言するのかという疑問をぶつける。
その疑問に対して陽乃さんは複雑な顔をしてこう答えた。
陽乃「雪乃ちゃんが小学生の頃の話よ。
八幡のクラスに葉山隼人っていう子がいるわよね。
ある日、隼人がクラスのみんなに家の自慢をしたのが全ての始まりなの。」
八幡「家自慢…なるほど…大体わかった気がする…」
陽乃「そうよ、小学生の間では親の職業は自分のステータスでもあるわ。
隼人は自分の両親が弁護士と医者であることをとても自慢していたの。
不幸なことに当時の雪乃ちゃんのクラスの親は裕福な家庭ばかり…
そして雪乃ちゃんも思わずこう言ってしまったの。」
『私の家は建設会社をやっているの!』
…と…雪乃は当時のクラスメイトに自慢したそうだ。
それは確かに事実だ。
だが葉山たちクラスメイトが想像したイメージと実物はかけ離れていたはずだろう。
それは当時その場にいなかった俺でも容易に想像できた。
陽乃「そんなある日、雪乃ちゃんはクラスの子たちを家に案内したの。」
八幡「え…そんなことしたら…?」
陽乃「そう、その日のうちに雪乃ちゃんはみんなから笑いものにされたわ。
当時仲のよかった隼人にすらみんなと一緒に笑われてしまったの。
あ、誤解しないで。それで私たち家族が不仲になったとかそういうのはないから…」
陽乃「雪乃ちゃんは親の苦労を知っているからそのことを両親には話さなかった。
けどさすがに私にだけはこのことを打ち明けてくれてね。
だから中学に上がる前に周りには海外に留学すると言って一切の関係を絶ったの。」
八幡「じゃあ…海外へ留学したのは本当なんすか?」
陽乃「そんなわけないでしょ。
本当は無理言って地区の違う学校へ進学したのよ。
雪乃ちゃんも小学校での反省を踏まえて中学では誰とも接しずに地味に振舞っていたわ。」
雪乃の過去を聞きさすがの俺も気の毒だとは思った。
子供の頃の失敗というのは案外取り返しのつかないものだ。
ぼっちである俺も雪乃が受けた仕打ちは痛いほどわかる。
八幡「でもだからといってそれが何であの狂言癖と関係あるんすか?」
陽乃「たぶん男の子の八幡にはわからないだろうけど女の子って舐められたら終わりなの。」
八幡「え…何すかそれ…?」
陽乃「女ってね…男以上に格好を気にする生き物なのよ。」
そう呟きながら陽乃さんは自分の部屋へと戻っていった。
どうやら女の世界とは…俺が思っている以上に複雑そうだ…
ここまで
ガハマさんは葉山くんに金の匂いを嗅ぎつけました
[3話]
結衣「みんなー!隼人くんがザギンの有名なお寿司屋さんで出前寿司を取ってくれたよー!」
戸部「スゲー!さすが隼人くん!マジイカすー!」
葉山「ハハ…ハハハ…」
三浦「隼人…やつれちゃって…」
あのテニスコートでの一件から数日後、
雪乃から葉山にターゲットを変えた由比ヶ浜は毎日葉山に無駄に高い物を奢らせている。
今日もクラス全員にザギンのシースーを振舞うという羽振りの良さを見せつけていた。
だがそれと引き換えに何故か葉山は、日々やつれていくのだが…
八幡「ま、俺には葉山がどうなろうが関係ない…」
八幡「それにしてもこんなに食いきれないよな。」
八幡「よし、タッパに詰めて持って帰ってみんなに食わせてやるか。」
庶民である俺は持参したタッパに寿司を詰めた。
まずはイクラ、アナゴ、それにトロ、マグロ、さらにウニまであるじゃねーか!
まさに高級食材の宝庫、俺は手当たり次第タッパに詰めていくのだが…
沙希「あ…」
八幡「え…?」
沙希「ちょっとそこ退いてくれる?
うちにはお腹を空かせた食べ盛りの弟妹がいるんだけど!」
八幡「悪いな…うちも腹を空かせた可愛い妹に嫁と義実家が待っているんだよ!」
八幡vs沙希「「ぐぬぬ…!」」
作業中何故かクラスで唯一ガラの悪そうなポニテ女とかち合ってしまう。
俺たちはタッパに詰めながら視線で火花を散らせる。
まさに生死を賭けた真剣勝負。
この戦いに勝たなければ家族を飢えさせてしまう。
八幡「」
沙希「」
八幡「まあお互い残飯の奪い合いで醜い争いをするのはやめようぜ。」
沙希「そうだね、さすがにそこまで落ちぶれちゃいないから…」
八幡「俺は比企谷八幡だ。お前は…?」
沙希「川崎沙希だ。クラスメイトの名前くらい覚えておきなよ。」
うん…さすがに残飯の奪い合いをするほど俺たちは落ちぶれちゃいない。
争いは何も生まないことを知っている俺は、
その矛を収めて再び川崎と一緒にタッパに寿司を詰める作業へ戻った。
八幡「それで…川…崎…?お前の家ってそんなにきついのか?」
沙希「さっき自己紹介したばかりなのに疑問形とかおかしいだろ。
まあそりゃ育ち盛りの子供が3人もいておまけに弟は今年高校受験に私は大学進学。
お金がいくらあっても足りやしないよ…」
八幡「大学進学か…そうだな…俺らって今一番金が掛かるんだよな…」
沙希「あ、そこのエビもらうよ。代わりにキュウリの入ったかんぴょう巻きはあげるから。」
八幡「ちょ…おま…待て!何気に高いものばっか持ってくな!?」
どうやらどこの家庭も家計は火の車らしい。
こうして俺たちはタッパに詰め込み、クラスの連中に知られることもなく持ち帰った。
このSSまとめへのコメント
なんか、ほのぼのして良い。
ガハマさんにバレ無いオチで!
議員じゃなくて町内会長でワロタwwwww
八幡が不幸になるキチガイssが終わったかと思ったら今度はキチガイ由比ヶ浜ssが増えてきてウンザリ
ガハマさんのクズっぷりに泣ける(ノД`)シクシク
本来の由比ヶ浜がどんな奴だったもう覚えてないわww(適当)
むしろ本物も
高一の時の友人(さがみん)を捨ててより目立つ奴(あーしさん)を選んだけど気を使うのがめんどくさいからあーしさんと対抗出来る奴(ゆきのん)とつるむ
だからなぁ…w
やっぱり、ガハマはアホでしたねww。
俺ガイルって雪乃エンド以外あり得ない!