小鳥「音無小鳥、推定18歳です……」 (51)

小鳥「お、おはようございます……」

P「おはようございます、音な……ん?」

P「え〜と、君は?」

小鳥「……」

P(歳は17、8ぐらい?ずいぶん可愛い子だし、アイドル志望か?)

P(でも、髪型といい口元のホクロといい、音無さんにそっくりだよな)

P(カチューシャも同じだし……ていうか事務員服??)

小鳥「わ、私は」

P「音無さんの身内の方かな?妹さんがいるとは聞いてないけど」

小鳥「いえ、その……」

P「だいたい、なんで会社の制服を部外者に貸してるんだ、あの人は?」

P「自分がサボるための身代わりに?いや、いくら似てるからってさすがに……」

小鳥「ち、違います!」

P「ん?もしかして音無さんになにかあった?」

小鳥「なにかあったといえば、あったんですが……」

P「え?まさか事故とか病気とか!?」

小鳥「いえ、そうじゃなくて」

P「?」

小鳥「私が、その……音無小鳥本人です……」

P「は?」


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P「またまた、ご冗談を」

小鳥「いや、あの……信じられないのは私自身も同じなんですが」

小鳥「ほんとに本人なんです」

P「そういわれても……」

P「では万が一、あなたが音無さん本人だったとしましょう」

小鳥「万が一ではないですが、はい……」

P「つまり、急激に若返ったということですか?」

小鳥「そうです」

P「いやいや、ありえないですよね、そんなことは」

小鳥「私も半信半疑だったんですけど……」

小鳥「教えてもらったおまじないというか、儀式?を試したところ……」

P「儀式!?」

小鳥「朝起きたら……」

P「若返っていた、と?」

小鳥「はい……」

P「でもねぇ、あの音無さんですよ?」

小鳥「はい?」

P「念願叶って若返ったわけですよね?」

P「だとしたら、もっとこうウザいぐらいのハイテンションで」

小鳥「はい。2X歳の私なら、有頂天で我が世の春を謳歌してると思います」

P「ん〜……つまり、外見だけじゃなく、人格にも同じような変化が?」

小鳥「自分ではよくわかりませんが、たぶん……」

P「ちなみに、自分では今何歳ぐらいの認識?」

小鳥「推定18歳です……」

P「推定って……」

小鳥「なんとなく、としか言えません」

P「昨日までの記憶は?」

小鳥「あります」

P「んん〜……」

P「では、昨日の仕事中に読んでた薄い本のタイトルは?」

小鳥「な、なんでそれを!?ていうか、そんなこと言えません!」

P「自分で読んでたものでしょ」

P「タイトルまで知ってるなら、さすがに本人と認めざるを得ないし」

小鳥「わかりました……」

小鳥「あ、愛の木星・あまとう総受け調教編……」

P「うわぁ……」

小鳥「やっぱりこんなこと言えません!不潔です!」

P「いや、言い切ってるから」

P「確かにそんな感じのタイトルだったし、マジで音無さん本人?」

小鳥「だから、そう言ってるじゃないですか」

P「あ、そうだ。確かここに……あったあった」

小鳥「なんですか?」

P「音無さんのアイドル時代のピンナップ」

小鳥「!?」

P「これがちょうど18歳ぐらいだったはず」

小鳥「な、なんでそんなもの持ってるんですか!?」

P「社長の秘蔵品を譲ってもらったんですよ」

小鳥「しかも水着!?」

P「ピンナップですからねぇ。ほー、ふーん、これはこれは」

小鳥「そんな舐めまわすように見ないでください!」

P「いやぁ、じっくり観察しないと比較できないじゃないですか」

小鳥「うぅ……///」

P「う〜ん……なるほど。そっくりどころか明らかに同一人物ですね」

P「疑ってすいませんでした」

小鳥「確認できたのなら、早くそれしまってください……///」

P「まだありますよ。他のも見ますか?」

小鳥「きゃーーー!ダメですーーー!!」

P「うお!?」

小鳥「え……」

P(音無さん(18)が俺を止めようとして、手を握り合うような状態に……)

P(こういうとき音無さん(2X)なら……)

小鳥「あ……ご、ごめんなさい!///」パッ

P(あれ?)

小鳥「私、そんなつもりじゃ……///」

P(なにこの初々しい反応?)

P「いつもの音無さんなら「もう、プロデューサーさんってば大胆なんだから♪」とか言いながら」

P「隙あらば恋人つなぎを仕掛けてきそうなものなのに……」

小鳥「え?」

P「ははは、それは言いすぎかな」

小鳥「なんで……」

P「へ?」

小鳥「なんでそんな意地悪言うんですか?」グスッ

P「え、ええ?」

小鳥「私、そんなことしません……」グスッ

P(あれー?いつもと真逆の方向でめんどくさくなってますよ?)

P「やだな、冗談ですよ冗談!」

小鳥「冗談……?」

P「音無さんから手をつながれたりしたら、むしろこっちが我慢できないみたいな?」

小鳥「我慢できないほど嫌なんですか……?」グスッ

P「逆です逆!嫌どころか、そりゃ嬉しいですよ」

小鳥「え……」

P「あはは……」

小鳥「そんな……」

P「ん?」

小鳥「そんなこと言われても困ります……」

小鳥「えへへ……///」

P(可愛いけど、めんどくせー!)

P「で、その……儀式?を教わったのは、どこの誰からですか?」

小鳥「貴音ちゃんです」

P「あー……なるほど」

P「貴音は今日オフだったな。今から呼び出します」

小鳥「はい」

 ── 電話中 ──

P「貴音か?悪いなオフの朝に」

貴音『いえ、どのようなご用件でしょうか?』

P「お前、音無さんに何を教えたんだ?」

貴音『小鳥嬢に?はて、なんのことでしょう?』

P「若返った状態で、今事務所にいるんだよ」

貴音『なんと?まさか本当に効果があるとは』

P「は?」

貴音『我が一族に伝わる禁術中の禁術ですが、わたくしの知る限り誰ひとり成就した者は……』

P「そんなもの、なんで音無さんに教えるんだよ」

貴音『それは、とっぷしぃ』

P「ラーメンか?ラーメンなんだな?」

貴音『わ、わたくしは食べ物でそそのかされるような』

P「いいから、今すぐ事務所に来てくれ」

P「このまま放置するわけにもいかないからな」

貴音『今すぐですか?わたくし、本日は新たなるらぁめんとの出会いを求めて』

P「仕事が終わってから俺が奢る。好きな店でいい」

貴音『なんと……!?か、替え玉は?』

P「無制限だ」

貴音『ま、まことですか!?』

貴音『あ、いえ……あなた様の頼みとあれば断れません。今すぐ参ります』

P「お、おう、待ってるぞ」

 ピッ

P「世間知らずな上に食い物で釣られるとか、保護者としては不安な限りだな」

小鳥「あの、貴音ちゃんは?」

P「すぐ来るそうです」

小鳥「そうですか、ありがとうございます」

P「そういえば、確認し忘れてましたが……」

小鳥「はい?」

P「元の年齢……というか姿に戻るってことでいいんですか?」

P「音無さんとしては、今の状況は念願だったわけですよね?」

小鳥「そうですね……私自身は、正直なんの感慨もないんですが」

P「ああ、人格も年相応になってるわけですからね」

小鳥「ただ……音無小鳥という人間が2X歳という事実は変わらないですから」

小鳥「この姿のままだと、これから色々と困ることもあると思うんです」

P「確かに、本人確認でいくら若く見えると言い張っても、限度がありますからね」

小鳥「ええ。でも……」

P「でも?」

小鳥「私が、その……なぜそこまでして若返りたいと思ったかが、ですね……」

P「女性の普遍的な願いとしてではなく?」

小鳥「それももちろんあるんですが……えと///」

P「?」

小鳥「年齢が引け目になっているというか……///」

P「引け目?」

小鳥「は、はい……///」チラッ

P(え、なにこの上目遣い?俺ちょっと流されそうなんですけど)

P(頑張れ自制心!)

 ガチャッ

亜真美「「おっはよー!」」

P「おう、おはよう亜美、真美」

P「(この面倒なときに、よりによってこの二人か)ふぅ……」

亜美「おお?いきなりため息とは、ご挨拶ですなぁ」

真美「それは感じ悪いよ、兄ちゃん」

P「ああ、すまんすまん。ちょっと今ゴタゴタしててな」

真美「ふ〜ん?」

亜美「あれ?ピヨちゃんいるじゃん。なに黙って……んん?」

小鳥「!」ビクッ

真美「どったの?……おお!?」

亜美「だ、誰このお姉ちゃん?ピヨちゃんにそっくりだけど」

P「ああ……ええと」

真美「ピヨちゃんの妹?それにしては歳が離れてるよね」

亜美「だよね。どっちかっていうと、亜美たちのほうが近いっしょ」

小鳥「あ、あの……」

亜美「ま、まさか」

亜真美「「ピヨちゃんの娘!?」」

小鳥「ピヨォ!?」

P「そっちのほうが無理があるだろ……」

真美「じゃあ、このお姉ちゃんは何者なのさ!」

亜美「そーだそーだ!説明をヨーキューする!」

P「あ、ああ」

小鳥「……」

P「この人はあれだ……そう!音無さんの従姉妹だ、従姉妹」

小鳥「え?」

P「とりあえず話を合わせてください」ヒソヒソ

小鳥「わ、わかりました」ヒソヒソ

真美「なになに?内緒話?」

P「いやいや、大したことじゃないから気にするな」

亜美「ふ〜ん。でも、従姉妹にしては似すぎじゃない?」

真美「うん。ピヨちゃんをそのままJKにした感じだよね」

P「こらこら、JKなんて言葉を使うんじゃない」

真美「は〜い」

P「他人でも似てることがあるんだから、従姉妹ならそっくりでもおかしくないだろ」

亜美「そっかな〜?」

真美「ねーねー、お姉ちゃん名前は?」

小鳥「な、名前?」

亜美「んっふっふ〜、亜美たちがぷりちーなニックネームを考えてあげるよ」

小鳥「あの……お、音無……」

亜美「下の名前だよ、下の名前!」

真美「ユア ファーストネーム、オーケー?」

小鳥「い、Yes。えと……」チラッ

P「(俺に振るの?)ええと、この人の名前な?」

小鳥「……」

P「音無……若鳥さん?」

亜真美「「え?」」

小鳥「ええ?」

P「あ、いや……ちが」

亜真美「「焼き鳥ちん!」」

小鳥「ピヨォ!?」


P「ま、待て!今のはノーカンだノーカン」

亜真美「「えー」」

小鳥「焼き鳥はさすがにあんまりです……」

P「若鳥は間違いだった、うん!」

亜美「自分で言っておいて、なにいってんのさ」

真美「名前教えてくれないと焼き鳥ちんで決定だよ?」

小鳥「それだけはほんとにやめて」

P「ああ、今思い出した!いやーなんでわすれてたんだろー」

真美「棒読みだよ、兄ちゃん」

P「小鳥さん!、この人は音無小鳥さん」

小鳥「え?」

亜真美「「へ?」」

P「従姉妹だけど、音無さんと同じ名前なんだよ!ね?」

小鳥「え、ええ!音無小鳥です、音無小鳥」

真美「えー?そんなことあるのー?」

P「いとこの世界には色々あるんだよ」

亜美「鳥さんなら、やっぱり焼き鳥ちんでいいかな」

小鳥「……」グスッ

P(ああもう、めんどくせー!)

P「音無さんがいないあいだ、代わりに事務に入ってもらうだけだから!」

P「同じ名前なんだし、ピヨちゃんでいいだろ?な?」

真美「代わり?ピヨちゃんどったの?」

P「あ、ああ……実家のほうの用事とか」

亜美「まさか……お見合いから結婚コンボ!?」

真美「おお!?」

小鳥「違います!」

亜美「うあ!?なんでこっちのピヨちゃんが怒鳴るのさ?」

小鳥「な、なんでもないわ……ごめんね」

亜美「うん、まあいいけど」

P「そういうわけだから、二人ともよろしく頼むぞ」

小鳥「よろしくね?亜美ちゃん、真美ちゃん」

亜美「うん!よろしく新しいピヨちゃん!」

真美「よろしくね、焼きピヨちゃん!」

小鳥「ピヨッ!?」

P「焼くな!」

亜美「真美〜!時間までゲームしてようぜー」

真美「おー!兄ちゃんも遊ぼうよー」

P「俺は仕事」

真美「仕事を言い訳にするのはダメな大人なんだよ?」

P「それは仕事中にゲームをする言い訳にはならん」

真美「ちぇ〜、兄ちゃんのいけずー」

亜美「兄ちゃんなんかほっといて、新しいピヨちゃんと遊ぼうぜー」

真美「ピヨちゃんゲームやろ、ゲーム!」

小鳥「わ、私はゲームなんてできないから……」

亜美「えー?旧型ピヨちゃんは、亜美たちより詳しいぐらいだったよ」

小鳥「旧型って……」

P(この当時の音無さんはそうだったのか?ほんとに今とは別人だな)

真美「いいからいいから。真美たちが優しく教えてあげるからね!ぐへへ……」ニタァ

亜美「手とり足とり。ふひひ……」ニタァ

小鳥「ピイィ!?」

P「こらこら。この音無さんは、そういう冗談に慣れてないんだから」

亜美「あはは、大人ピヨちゃんとは全然違うね」

真美「ごめんね?今度はもちっと気をつけるよ」

小鳥「うん……」

亜美「じゃあ、あとで遊ぼうね、ピヨちゃん」

真美「約束だかんね」

小鳥「ええ、約束ね」

小鳥「あ、あの……なんだか色々と頼ってしまって……」

P「いやいや。ここの手のかかる子供たちと比べたら、なんてことも」

小鳥「そんなこと言っちゃダメです、ふふ」

P「あ、みんなには内緒で」

小鳥「ふふ、はい」

P「とりあえず、事実のまま話しても信じてもらえないでしょうから」

P「貴音以外のみんなには今の設定で通しましょう」

小鳥「そうですね」

P「ただ、社長にはどうしたものか……」

小鳥「雇用の問題ですか?」

P「ええ、俺の判断で事務員の穴埋めをしてもらいました、ってわけにはさすがに」

小鳥「そうですね……」

P「社長は一日いないはずだから、今日中に事が済めば……」

小鳥「でも、あとから話が伝わったら」

P「ん〜……貴音を交えて、正直に話すしかないでしょうかねぇ」

小鳥「信じてもらえるでしょうか?」

P「適当な嘘でごまかすほうが難しいですよ、あの人は」

小鳥「たしかに」

P「ところで、業務の方は大丈夫ですか?」

小鳥「ええ、覚えてますから」

P「そうは言っても勝手の違うこともあるでしょうから」

P「困ったことがあったらなんでも頼ってください」

小鳥「は、はい///」

P「なんとか今日中に解決すればいいんですけどね」

小鳥「……」

P「どうしました?」

小鳥「いえ、あの……」

小鳥「ひとつ、いいですか?」

P「はい?」

小鳥「あの、名前で……呼んでもらえませんか?」

P「え?小鳥さん……ってことですか?」

小鳥「今の私の感覚だと、プロデューサーさんは年上なんです」

P「18歳から見たらそうでしょうね」

小鳥「なので……さん付けも無しで」

P「ええ?呼び捨てってことですか?」

小鳥「丁寧語もやめてください」

P「それはちょっと……」

小鳥「アイドルのみんなには、そうしてるじゃないですか」ジト

P「う……あいつらは年少者なのはもちろん、立場上部下みたいなものだし」

小鳥「私も今は年下ですよ?」

P「そうは言っても、俺にとって音無さんが年上で、職場の先輩なことに変わりは……」

P「それに、ほら!あずささんも俺より年下だけどさん付けでしょ?」

小鳥「……」

P「ね?」

小鳥「私なんて、見た目がどうでも年増扱いってことですか?」

P「ちょっ、それは」

P(あずささん、いないよな?)キョロキョロ

小鳥「……」ムッ

小鳥「……若鳥」ボソッ

P「え?」

小鳥「……焼き鳥」ボソッ

P「うぇ!?」

小鳥「私、傷つきました……」

P「そ、それとこれとは」

小鳥「一生恨みます……」

P「!?」ゾクッ

小鳥「責任とっ」

P「わ、わかりました!いや、わかった!」

P「わかったよ、俺の負けだ小鳥。これでいいんだろ?」

小鳥「ふふ、はい♪」

P「まあ、他人から見たら、このほうが自然だろうし」

P(うん、正しい判断だ、俺)

小鳥「えへへ、プロデューサーさん♪」

P「ん?なんだ小鳥?」

小鳥「///」

P「な、なに?」

小鳥「呼んでみただけです♪///」

P(マジめんどくさ可愛い。どうすんのこれ?)

── 亜美・真美out ──

── 春香・雪歩・真in ──



春香「でも、ほんと小鳥さんにそっくりですね」

小鳥「え?ええ」

春香「あ、小鳥さんも小鳥さんか!」

春香「……あれ?音無さんが小鳥さんで小鳥さんだから、裏庭には二羽?」

春香「庭には二羽?」

小鳥「鶏じゃないんだけど……」

雪歩「は、春香ちゃん。お茶でも飲んで落ち着いて」

春香「あ、ありがと、雪歩」

雪歩「はい、プロデューサーと小鳥さんもどうぞ」

P「お、ありがとう雪歩」

小鳥「ありがとう雪歩ちゃん。いただきます」

雪歩「はい、真ちゃんも」

真「うん、ありがとう雪歩」

春香「はぁ、雪歩のお茶は落ち着く……」

小鳥「ほんと……」

雪歩「そ、そうかな?」

P「雪歩の人柄のおかげだな」

雪歩「そ、そんな……///」

雪歩「私なんて、こんなことしかできないですし……」

P(雪歩か。マイナス思考に陥りやすいところは似てるけど……)

P(なにか違うんだよな)


P「あ、そうだ雪歩」

雪歩「はい」

P「今日のロケな、動物との触れ合いコーナーがあって……たぶん犬もいる」

雪歩「い、いいい犬ですかぁ!?」

P「そうだ。さすがにいぬ美ほどの大型犬じゃないとは思うが」

雪歩「今日は、響ちゃんは……?」

P「別の収録だな。もちろんきちんと訓練された犬だから、安全面の問題はない」

P「どうする?無理そうなら雪歩は外してもらうが」

雪歩「あ、あの……私……」

春香「大丈夫だよ、雪歩!私たちだっているんだから!」

雪歩「春香ちゃん……」

P「……」

雪歩「私……やります!やらせてください!」

P「本当に大丈夫か?」

雪歩「はい!ここで逃げ出したら、いつまで経ってもダメダメなままですから!」

P「よし、いい返事だ。でも無理はするなよ」

雪歩「は、はい!」

P(そうか、なんとなくわかった)

P(雪歩には、アイドルになった理由がある)

P(自分を変えたいという軸がブレないから、土壇場で踏みとどまれるんだ)


春香「頑張ろうね!」

雪歩「うん!」

小鳥「……」


P(音無さんには、たぶんそれがなかった)

P(アイドルになったのすら、自分の意志じゃないのかもしれない)


真「いざとなったらボクが守ってあげるよ、雪歩」

雪歩「ま、真ちゃん……///」


P(不思議だったんだ。以前社長から借りた、音無さんのアイドル時代の音源……)

P(ここの誰と比べても遜色ない……いや、頭ひとつ抜き出た歌唱力)

P(加えてこのビジュアル……アイドルとして大成しなかったなんて考えられない)

P(でも……)


真「ちょっ、雪歩!?そういうのじゃないからね?」

雪歩「真ちゃんが守ってくれるって……うふ、うふふ……」

春香「聞こえてないね……」

真「雪歩ぉ……」

P(仮に俺が『この子』のプロデューサーだったとしても、おそらくアイドルは続けさせない)

P(ここのみんなにあるアイドルとしての軸が……『この子』にはないんだ)

P(だから、たぶん人としても脆い)


小鳥「そ、そんなこと……」

真「ん?」


P(本質的に音無さんは変わってない……今でも弱い人なんだろうな)

P(だから守ってあげたいと……いや、それは言い訳だな)

P(ははは……こんなときに自分の気持ちに気づかされるなんて)

P(……こんなときだからか)


小鳥「女の子同士でなんて、そんなこといけません!」

真「え?」

雪歩「え?」

春香「え?」

P「え?」

小鳥「え?」

真「あ、あはは……つい、いつもの小鳥さんのつもりで」

小鳥「いつもの……」

小鳥「……」プルプル

春香「こ、小鳥さん?」

小鳥「こんなものが……」

 ドサッ!

P「それは、音無さん秘蔵の薄い……」

小鳥「こんなものがあるから!」

P「お、おい小鳥!?(給湯室に?)」

小鳥「……」

 カチッ…カチカチカチ……シュボッ

P「な、なにを!?」

小鳥「焚書します!」

P「本なんかコンロで燃やしたら火事になるから!」

小鳥「止めないでください!」

P「みんな止めろ!」

春雪真「「「は、はい!」」」

─────

───



小鳥「お騒がせしました……」

P「いや、ははは……」

P「秘蔵本を焚書なんかされてたら、音無さんが元に戻ったときになにをしでかすか……」

小鳥「しでかっすって……」

P「ん?ああ、そうだったな」

P「なんだかもう別の人格みたいだけど、本人には違いないんだよな。ごめん」

小鳥「いえ……」

小鳥「元に……ですか」

P「?」

小鳥「あの……プロデューサーさんは、やっぱり元に戻って欲しいですか?」

P「……」

小鳥「……」

P「うん、戻って欲しいよ」

小鳥「……わかりました」

P「え?」

春香「プロデューサーさん!そろそろ出ないと遅れますよ!」

P「おう!先に車で待っててくれ」

春香「はーい!それじゃ小鳥さん、いってきまーす!」

雪真「「いってきまーす!」」

小鳥「いってらっしゃい!」

P「そろそろ貴音が来ると思うけど、留守を任せても」

小鳥「平気です。いつものことじゃないですか」

P「え?ああ、そうだな」

P「みんなを送ったら、またすぐに戻ってくるよ」

小鳥「はい、待ってます」

P「……」

P「小鳥……」

小鳥「はい?」

P「音無さんのこと、色々とわかった気がする。ありがとな」

小鳥「ふふ、なんですそれ?お別れみたい」

P「いや、そんなつもりじゃ……」

小鳥「早く行かないと、みんな待ってますよ?」

P「ああ……それじゃ、いってきます」

小鳥「はい……気をつけて」

 ガチャ…バタン

小鳥「さようなら……」

 ガチャ

貴音「よろしいのですか?」

小鳥「貴音ちゃん……」

小鳥「ええ、せっかく若返っても、プロデューサーさんに振り向いてもらえなかったら意味ないもの」

貴音「そうですか……」

小鳥「それに、もう……」

貴音「ええ、だいぶ元に戻りかかってますね」

小鳥「うん。自分でもなんとなくわかる」

貴音「禁術などといっても、所詮はまやかし……」

貴音「現し世の理に背くことなどできないのです」

小鳥「そうね。少しの間だったけど、素敵な夢を見れたわ」

小鳥「ありがとう、貴音ちゃん」

貴音「いえ、わたくしはなにも」

小鳥「それにね……こんなズルしなくても、あの人を振り向かせればいいだけでしょ?」

貴音「ふふ、らいばるの多い険しい道ですよ?」

小鳥「あら、どういう意味かしら」

貴音「はて」

小鳥「うふふ……」

小鳥「……」

貴音「……」

小鳥「……っ……う、ぅ……」ポロポロ

貴音「小鳥嬢……」

 ギュッ

小鳥「ひぐっ……うぁ……」ポロポロ

貴音「大丈夫、なにも心配はいりません」

貴音「あなたが消えてなくなるわけではないのですから」

小鳥「ん、わかってる……私は私だもの」

貴音「そのとおりです」

小鳥「ありがとう、貴音ちゃん……」

小鳥「ありがとう……」



小鳥「18歳の私……」

─────

───



P「ただいま戻りましたー」

小鳥「おかえりなさい、プロデューサーさん」

P「あれ?音無さん……?」

P「元に戻ったんですか!」

小鳥「はい!音無小鳥2X歳、恥ずかしながら還ってまいりました!」

P「はは、おかえりなさい」

小鳥「ただいまです!」

P「やっぱり音無さんが事務所にいると……安心しますね」

小鳥「あら?帰ってきて早々、思わせぶりですね?」

P「いや、そんなつもりじゃ……」

小鳥「ところで!」

P「はい?」

小鳥「小鳥って呼んでくれないんですか?」

P「えぇ!?いや、あれは……」

小鳥「若くなきゃダメですか?」

P「そういう意味じゃ……」

小鳥「せっかく若返ったのに、私またアラサーに逆戻りです……」

P「そういうキャラを引きずるのはやめましょうよ……」

小鳥「プロデューサーさんのせいです……」

P「なぜ!?」

小鳥「責任とっ」

P「ああもう、わかった!わかりましたよ!」

小鳥「?」

P「その、なんですか……大台?に乗るまでにいい人がみつからなかったら……」

P「俺が責任取りますよ!」

小鳥「え……」

小鳥「ピヨっ!?///」

小鳥「そ、そそそ、そそれって……」

P「そういう意味ですよ」

小鳥「あぅ……///」

小鳥「で、でも、もうカウントダウン入ってますよ?」

P「だったら……そう遠くないうちかもしれませんね」

小鳥「///」

小鳥「も、もう……素直じゃないですね」

P「なんですか?」

小鳥「いーえ、なんでも!」

小鳥「待ってるのは癪だから、その前に振り向かせてみせます!」

P「そうですか、頑張ってくださいね」

小鳥「言われなくても!」

貴音「あなた様!」

P「うお!?いたのか貴音?」

貴音「いましたとも!」

貴音「約束をお忘れではありませんよね?」

P「ん?ああ、わかってるよ」

P「今日は貴音のペースにつきあってやる」

貴音「ふふ、それでこそあなた様です」

小鳥「あら〜?責任取るとか言ったそばから、他の娘とデートですかぁ?」

P「いや、デートというか……」

貴音「そのとおり、でぇとです!」

小鳥「ほほう?」

P「お、おい、貴音」

貴音「わたくしも……もちろんわたくしだけではありませんよ?」

貴音「誰ひとりとて、まだ負けを認めてはいませんから」

小鳥「ふふん、おもしろい!」

小鳥「相手が誰でも受けて立ちますよ!」

P「ええ!?」



小鳥「プロデューサーさんは誰にも渡しませんからね!」



おわり

やっぱり、ピヨちゃんマジ正妻ってことで
でも、そろそろ他のキャラメインも書いてみたいかなーって

読んでくれたみんな、ありがとう
よかったら『小鳥「私が正妻という風潮」』とかもよろしく

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