橘ありす「あなたがセンターなんですか?」荒木比奈「そうっスよ」 (38)


※モバマス、デレステのSSです。メタネタ注意。ダイマ注意
 実際のゲームの仕様とは異なる点があります

主な登場キャラ……荒木比奈、北条加蓮、橘ありす、鷺沢文香
少し登場キャラ……神崎蘭子



※↓の設定を一部共有していますが、読まなくても大丈夫だと思います

荒木比奈「私がセンターっスか?」
荒木比奈「私がセンターっスか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444067091/)





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449391142


●●


??「ふ、ふーん。アンタたちが新しいアイドル? ……まぁ、悪くないかな」

??「私? 私はね……」



加蓮「北条加蓮。今日からよろしくね」



比奈「らしくないセリフ……某シンデレラガールのマネっスか?」

加蓮「……うわあぁああっ! 比奈に、比奈センセに見られたぁあああっ!」

比奈「ルームでは静かにするっスよ、加蓮ちゃん……」





比奈(全国50万人以上のプロデューサーさん、こんにちはっス。私は荒木比奈っス)


※SR【ブルーフロートパーティ】荒木比奈
http://i.imgur.com/2Hgn9be.jpg



比奈(あっちで頭を抱えてジタバタしてるのは、同僚アイドルの北条加蓮ちゃんっス)

※SR【煌めきの乙女】北条加蓮
http://i.imgur.com/9EpKDQS.jpg



比奈「で、なんで加蓮ちゃんは凛ちゃんのモノマネなんかしてたっスか」

加蓮「聞いてよ比奈センセー!
   プロデューサーさんに『今度から入ってくる新人をビシバシ鍛えろ』
   って言われちゃってさぁ。そんなの、私のガラじゃないってのに」



比奈「ああ、プロデューサー、そんなこと言ってたっスね。
   私の場合は、『新人が色々泣き言こぼすだろうから、聞いてやれ』って言われてるっス」

加蓮「ええ!? 私が鬼軍曹役で、比奈が優しい上官役なの? ショックだわ……」

比奈「へぇ、加蓮ちゃんにとって鬼軍曹役は、凛ちゃんのマネなんスね」

加蓮「イジワル言わないでよ比奈センセー!」





比奈(さて、私たちが歌い踊る『シンデレラガールズ スターライトステージ』では)

比奈(プロデューサーたちのスタミナ、場合によっては私たちのライフを消費してライブするっス)

比奈(文字通り、身を削ってライブやってるっスよ)



※ライブで頑張る比奈と加蓮
http://i.imgur.com/0Lt9rdT.jpg
http://i.imgur.com/cblDs1u.jpg
http://i.imgur.com/d6pQwkz.jpg
http://i.imgur.com/4UsjE7M.jpg
http://i.imgur.com/F8Q1Xpl.jpg



比奈(私たちのライブ姿を、譜面ナシで堪能できるMVモードは、
   難易度MASTERをクリアしなきゃ解放されないっス)

比奈(でも、Trancing Pulseとか、一部の曲は……)

比奈(ノーツの滝でプロデューサーを押し潰して、あっという間にライフ切れへ追い込み、
   へたっぴにはロクに練習もさせてくれない譜面だったりするっス)



※参考 Trancing Pulse 譜面 MASTER
https://www.youtube.com/watch?v=IVA1f8n6CTg



比奈(具体的には、このMASTERの譜面で10回ちょっと【MISS】を出したら、私たちのライフは尽き果て……)

??『こんなんじゃ、笑えないよ……』

比奈(などなど、センターの子の嘆きを聞かされてライブ失敗っス)

比奈(スタージュエル50個割ってその場でリトライするか、リタイアっス)




比奈(……なんスか、コレ。駆け出しプロデューサーの心が折られてしまうっス)

比奈(初心者は、私たちのライブをノーツに邪魔されず見たくても、お断りっスか?)





比奈(でも、大丈夫)

比奈(私や加蓮ちゃんは、そういうプロデューサーたちの味方っス)



比奈(私のスキルはガード……『一定時間、ライフ減少無効化』っス)

比奈(私にステージを任せてくれれば、どんなへたっぴでも、簡単に死なせやしないっス)

比奈(そして、加蓮ちゃんは……)



加蓮『みんな、一緒に!』LIFE RECOVER!!

加蓮『キラキラって輝いてるよ!』LIFE RECOVER!!



比奈(加蓮ちゃんのスキルは『ライフ回復』っス)

比奈(『ライフ回復』を持つ子はいっぱいいるっスが)

比奈(MASTERとなると、加蓮ちゃんレベルの回復力でやっと追いつくっス)



比奈(私たちは、フルコンのサポートやスコアアタックには、からっきし役に立たないアイドルっス)

比奈(その代わり、へたっぴプロデューサーを守ってあげることができるっス)



※へたっぴプロデューサーの例
http://i.imgur.com/Ml00oqj.jpg

比奈(安心するっス。これでも、石一つも割らせてないっスよ)



比奈(あとは、イベントでメドレーモードが実装されたときも、私たちは引っ張りだこだったっス)

比奈(この間のVocal Burstなんか、ライブ3曲ぶっ通し+アンコール1曲で、
   単純に考えてライフの負担が4倍……しかも、曲を選べなかったっス)

比奈(ガード艦隊なんて卒業したよ~なんて顔してたプロデューサーが、
   『華蕾』→『LEGNE』→『GOIN’!』なんてセトリ引いて、急に泣きついてきたり)

比奈(いきなり『夢色ハーモニー』MASTER+に駆り出されたり、いろいろあったスよ……)






比奈(……で、加蓮ちゃんと私が何に悩んでいるかというと……)



加蓮「比奈センセ……私、新人の子たちに、何て自己紹介すればいいんだろ……?」

加蓮「プロデューサーに頼まれちゃったけど、私に鬼軍曹役とか、むーりぃー、だよぉ……」



比奈(今のプロデューサーは、最近デレステの世界に足を踏み入れた駆け出しさんっス)

比奈(私と加蓮ちゃんは、初心者プロデューサー育成の定評を買われて、
   別の先輩プロデューサーの元から、駆け出しさんのため一緒に移籍してきたっス)

比奈(駆け出しさんの事務所には、ランクSSRのアイドルが一人もいないので、
   SRかつ古参である私と加蓮ちゃんに、まとめ役が回ってくるワケっスが……)



比奈「そんなにしんどいなら……役割を取り替えてもらうよう、プロデューサーに頼むっスか?」

加蓮「んー……比奈が鬼軍曹? 私に輪をかけて向いてないよね」

比奈「……アハハ」



加蓮「前のプロデューサーさんの時は、凛でビシッて締めて、蘭子ちゃんがフォローして、
   それでうまく行ってたけど……私じゃ、SSRがセンターに立った時みたいなオーラ、出ないしね……」

※SSR【ステージオブマジック】渋谷凛
http://i.imgur.com/tUIeIf3.jpg

※SSR【薔薇の闇姫】神崎蘭子
http://i.imgur.com/cFhgiBS.jpg



比奈「ま、悩んでも笑っても新人はドンドン来るっス。
   どうせなら、その“輝く笑顔”で出たとこ勝負っスよ」

加蓮「うーん……比奈センセー、貫禄あるなぁ……」

比奈「やれるコトをやれるだけやるのみっス。
   そこまではプロの責任――できるできないは、そのあとの話っスよ」

加蓮「そうだね……うん! やれるコトをやるよ。
   私たちなら、少しぐらいうまくいかなくったって、へっちゃらだもんっ」



比奈(加蓮ちゃんは、先輩としてどうすべきか、ちょっとばかりお悩みの様子っス)

比奈(前のプロデューサーのとこで一緒だった凛ちゃんを、今もすごく意識してるせいっスかね。
   凛ちゃんのアイドルとしての風格も、すごかったっス……でも、その後追いは……)

比奈(新人さんだけじゃなく、加蓮ちゃんにも気を配った方がいいかもっス)








比奈(さて、新人さんいらっしゃいの時間っス)



比奈「ようこそ、スターライトステージへ。私の名前は荒木比奈っス。Coユニットのセンターっスよ」

加蓮「北条加蓮よ。これから同じステージに立つと思うから、よろしく」



ありす「橘……橘ありすです。将来は、歌や音楽をお仕事にしたいと思っています」

文香「鷺沢文香です……ご指導ご鞭撻、よろしくお願い申し上げます」



※橘ありす
http://i.imgur.com/9YvOJYy.jpg

※鷺沢文香
http://i.imgur.com/RoYRBYY.jpg



加蓮(うわ、ありすちゃんって子、意識高そうだなぁ。昔の私とは大違いだよ)

比奈(文香ちゃん……そこはかとなく親近感を感じるっス)



加蓮「まずはレッスンから始まるけど、あなたたちもすぐにステージへ立つ予定よ」

比奈「アイドルを磨くのは、ステージのライトとファンの歓声っスからね~」

ありす「は、はいっ」

文香「承知いたしました……」



比奈(これから、この二人がどうなっていくか……開けてみてのお楽しみ、ってやつっスね)





●●

ありす(――こんにちは。橘ありすです。橘と呼んでください)

ありす(私は、もともとアイドルには興味がありませんでした)

ありす(けれども、歌や音楽をお仕事にしたいと思っていたところに、スカウトを受けて……)

ありす(アイドル活動を通して、将来に役立つものを得られたらと思い、デビューさせてもらいました)



ありす(……しかし、このプロダクションは大丈夫なんでしょうか)



比奈「プロデューサー、スターランクはセンター以外じゃ意味ないっス」

加蓮「プロデューサーさーん、せっかくルーム模様替えしても、他の画面に遷移しないと反映されないよー」

ありす(プロデューサーは、駆け出しというし)



文香「も、もう顔も動かせません……レッスンとは、かくも過酷なものなのでしょうか……」

ありす(同期は、基礎レッスンで半死半生になってるし)



比奈「みんな、今からコンビニ行ってくるっスけど、ついでに買ってくるモノあるっスか?」

加蓮「比奈センセ、そのカッコで外出はアイドル――というか女子としてどうなのよ」

※参考
http://i.imgur.com/cMccO0b.jpg



比奈「大変っス! 加蓮ちゃんが、何もないところでどんがらがっしゃんって――」

加蓮「だからって救急車呼ぶことないでしょう!? たまには転んだりするわよ!」

※参考
http://i.imgur.com/pmHCVjz.jpg

ありす(先輩たちは優しいけれど、正直頼りないです)



ありす(でも、それについて深く考える時間はありませんでした)

ありす(私と文香さんにとって初めてのライブが組まれたのです)

ありす(その準備があって、私は自分のことで手一杯になりました)






比奈「今回のライブにゲスト出してくれるプロデューサーは、
   以前に私と加蓮ちゃんがお世話になってたヒトなんスよ」

加蓮「だから、私たちは挨拶に行ってくるね。すぐ戻ってくるつもりだけど」



ありす(私と文香さんは、初ライブを前にして、控室で緊張の中、黙って座っていました)

文香「…………」

ありす(文香さん、大丈夫なんでしょうか。顔色が良くないようですが)



ありす(私が文香さんに声をかけようとした直前、控え室のドアがノックされました)



ありす「…………」

文香「……ど、どうぞ」

ありす(もう一度、ドアがノックされました)

ありす(文香さんの声がかすれて、向こう側に聞こえなかったようです)



ありす「どうぞ、お入りくださいっ」



ありす(私の声に応じて、ドアノブが回り、扉が開いて、部屋に飛び込んできたのは――)





??「闇に呑まれよ!」
  (お疲れ様です!)

蘭子「我が名は神崎蘭子! 汝らが門出を言祝ぎ、其の舞台に喚《よ》ばれし光栄を謝しに参った!」
  (神崎蘭子ですっ。あなたたちの初舞台のお祝いと、私を招いて下さったお礼を言いに来ました!)



文香「……あっ……」

ありす(文香さんが、息を飲みました。私は声が出ず、ただ全身がゾクゾクと震えました)



蘭子「…………」



ありす(そこには……)

ありす(声で耳を奪い、一挙手一投足で目を奪い……)



蘭子「あ、ごめんなさい。私、神崎蘭子です。次のあなたたちのライブのゲスト、です」

※SSR【薔薇の闇姫+】神崎蘭子
http://i.imgur.com/Ltb7KMG.jpg


ありす(最後に心までも奪っていく、アイドルのなかのアイドルが立っていました)





蘭子「なるほど、ありすちゃんって名前なんですね!
   それなら……“キャロルの夢見し偶像”というのはどうでしょう!」

文香「……ルイス・キャロル、お読みになられるのですか?」

蘭子「え、えっと……ちょっとだけ」



ありす(蘭子さんは、売れっ子プロデューサーの下で、
    Coユニットのセンターを張っているアイドルとのことでした)



文香「……私にも、何かお名前をいただくことはできるでしょうか……?」

蘭子「古書店で働いていらっしゃったんですよね……えーと、それなら。
  “古の知識の侍女”……いや、“賢者の箴言の守り人”とか!」

文香「な、なんだか面映ゆいですね……」



ありす(蘭子さんは、私たちには理解し難い言語センスを持っておりましたが、
    初めて出会った新人アイドルの私たちへ、とても気さくに接してくれました)

ありす(あの圧倒的なアイドルとしてのオーラをぶつけられて、それだけでも衝撃的だったのに、
    すぐ後にこんな一面を見せられたら……私、これだけで蘭子さんのファンになってしまいます)



ありす(でも、蘭子さんと私は、同じアイドルなのですよね。年も二つしか変わらない)

ありす(蘭子さんは、一流プロデューサーの下で、何百回とセンター張ってライブをしている)

ありす(本当のアイドルって……すごいっ)



ありす(でも、私は)

ありす(……この高みまでたどり着けるのでしょうか?)



ありす(いや、私はそこへたどり着いて、蘭子さんに並ばなきゃいけないんです)

ありす(歌や音楽をお仕事にする人は、本当は蘭子さんみたいな存在なんです)

ありす(今は雲の上のように見えても、いつか、きっと私は――)



比奈「――あ、蘭子ちゃんゴメンっス。行き違いになってたっスか?」

蘭子「グリモワールの紡ぎ手! 久しき再会、重畳なりっ!」
  (比奈さん! 久しぶりに会えて嬉しいですっ!)

加蓮「私もいるよー。ふふ、蘭子ちゃん久しぶりーっ」

蘭子「アスクレピオスの使徒! 汝、壮健なるかな!」
  (加蓮さん、お元気そうでなによりです!)

加蓮「もー蘭子ちゃんったら。私、病院はしばらくご無沙汰なんだから、新しい呼び名つけてよー」



ありす「…………」

文香「……どうか、なされましたか? ありすさん」

ありす「……いえ、何でも」





ありす(私と文香さんの初ライブが、終わりました)

ありす(ライブは、たぶん成功でした)

ありす(プロデューサーさんと、センターに立っていた比奈さんと、
    その隣にポジションとってた加蓮さんが成功と言ったのだから、成功なのでしょう)



ありす(でも私は、その成功がまったく実感できませんでした)

ありす(ゲストとして登場した蘭子さんの声に呑まれないよう踏ん張るのが、精一杯でした)



ありす(ゲストでさえ、こうなのだから)

ありす(蘭子さんがセンターに立ったら、そのステージはどうなってしまうのでしょうか?)




ありす(それから私は、何度もステージに立ち、ライブを行いました)

ありす(“特訓”を行い、一人前のアイドルとして認められました。
    両親もライブを見に来て『立派になったね』って褒めてくれました)

ありす(ライブのセンターは、おおむね比奈さんで、たまに加蓮さんが立ちました)

ありす(ボーカル、ダンス、ビジュアル――お二人のアイドルとしての実力は、伯仲していると思います)



ありす(が、お二人のどちらからも、蘭子さんのような圧倒的風格は、感じたことがありません)



加蓮「比奈センセ、最近、元気が無いようだけど」

比奈「そ、そっスかねぇ……」

加蓮「うんうん。私から疲れを隠そうなんて、いくら比奈でも無理だよ。どうしたの?」



比奈「……実は、新刊の入稿が近くて……」

加蓮「そっち!?」



ありす(なんで、あの人がセンターなのでしょうか?)



●●



加蓮(私、北条加蓮。こう見えて、アイドルやってるんだ)

加蓮(キラキラ輝くステージの上で、センターも張ったりするんだよ)



加蓮(私がアイドルとしてデビューしたのは、すごい敏腕プロデューサーの下だった)

加蓮(今は、その敏腕さんとこから移籍して、駆け出しプロデューサーのとこに所属してる)



加蓮(ステージの華やかさは、あの頃からちょっと減っちゃったけど、それでも私は充実してる)

加蓮(プロデューサーがへたっぴでも、最後までライブ回して、
   場数踏ませてあげられる。それが私のウリだもん)

加蓮(プロデューサーを育ててあげられるアイドルなんて、そうそういないんだよ?)



加蓮(でも、悩みが無いわけじゃなくて、ね)







加蓮「はぁ~あ……」

比奈「加蓮ちゃん。アイドルが溜息なんて、どうしたっスか?」

加蓮「……比奈センセ。加蓮、鬼軍曹、ツライ」

比奈「ポンコツアンドロイドより酷い喋り方になってるっス」



加蓮(クールスペースでボーっとしてると、比奈が声をかけてくれた)

加蓮(比奈は、私がデビューしたときに面倒見てくれた先輩。
   今の事務所で、私がデビューした頃を知ってる唯一の人)

加蓮(……私をデビューさせた敏腕プロデューサーとか、
   蘭子ちゃんのプロデューサーを育て上げたのも、比奈なんだって)

加蓮(比奈自身は、その話をしないけどね)



比奈「加蓮ちゃんは、今の具合がいいと思うっスよ。
   アイドルの尻を叩くのは、プロデューサーやトレーナーさんに任せりゃいいじゃないっスか」

加蓮(比奈は、プロデューサーだけじゃなく、私たち後輩アイドルのフォローにも回ってくれる)

加蓮(本当にありがたいんだ。でもそれを口に出すのは、ちょっと照れくさくて)



加蓮「……比奈センセ」

比奈「加蓮ちゃんは、よくやってるっスよ」

加蓮(だから“比奈センセ”なんて呼び方するのが精一杯だったり)




加蓮「……ありすちゃん、さ。なんとかしてあげないと、いけないよね」

比奈「なんとかって、具体的にどういうコトっスか」



加蓮「私たち、あんまり頼れる先輩じゃないでしょ。
   凛みたいに、背骨までビリビリくるようなSSRのオーラ、出せないし」

比奈「私“たち”って。
   頼れない先輩の範疇へ、ナチュラルに私を含めてきたっスね……ま、認めるっスけど」



加蓮「それでいて、ウチはプロデューサーもまだ頼りないじゃない?」

加蓮「だから、ありすちゃんの顔から……『ここでアイドルやってていいの?』
   って不安が、日ごとに滲み出てくる気がして、さ」



比奈「ありすちゃんは……って話だったっスけど、文香ちゃんはどうっスか」

加蓮「文香さん? まぁ、目の前のことで手一杯かな。先までは見えてない感じ」

比奈「文香ちゃんも、この間やっとレッスン後に昏倒しなくなったっスね」



加蓮「代わりと言っちゃなんだけど、あの人は集中力すごいね。
   この間、ちっちゃい子たちが騒いでるすぐ横で、何事もないように仕事の資料読んでた」

※参考
http://i.imgur.com/ECC3vSf.jpg

加蓮「文香さんは体力全然ないけど、私がどうにかなってるんだから、大丈夫だと思うよ」



比奈「なら、ありすちゃんも文香ちゃんと同じくらい気にかけてあげれば、十分じゃないスかね」

加蓮「……そうかなぁ」





比奈「後輩をもう少しマシな方に指導できるのに、それをしないのはプロとしての怠慢っスが」

比奈「ありすちゃんがSSR独特のあのオーラにかぶれて、それを追いかけてるうちは、
   SRの私たちにできるコトなんて、たかが知れてるっス」

比奈「ありすちゃんだって、素質を見込まれて選ばれた一端のアイドルっスよ?
   その意味では、私たちと対等っス」

比奈「私たちができるコト以上を要求されても、それにこちらが応えてあげる義理はないっスね」



加蓮「……私を慰める方便にしてはドライだねぇ、比奈センセ」

比奈「慰めちゃいないっスよ。私たちは、やれるコトをやれるだけやるのみっス」

比奈「度が過ぎた責任感は、無責任と同じくらいよくないっスよ」



比奈「初めてできた後輩に、なるべく先輩らしいコトしてあげたい気持ちは、分かるっスけどね」

加蓮「……ハハ、そうかも、ね」



加蓮(……ホント、笑うしかない)

加蓮(まだ、私は比奈センセに敵わないかなぁ)






加蓮(さて、私にできるコト――というと、それは)

加蓮(文香さんのフォローなんだけど……)



文香「鮮やかな色纏う波紋は――風受けて飛び立った――」



加蓮(文香さんは、Trancing Pulseを自主練してる)

加蓮(その様子がちょっと気になったから、私はそばで見てるのだけど……)



文香「きらきらと光る――眩しい空へと――」



加蓮(私がじっと見てるのに、Triad Primusの持ち歌を延々と歌って踊ってる)

加蓮(途中までは一緒に練習してたから、私に気づいていないというのはありえない)

加蓮(……この人の集中力、ホントすごいなぁ)

加蓮(私だったら……例えば、凛がそばでじっと見ているなか、
   Naver Say Naver練習しろって言われても、絶対意識しちゃって身が入らないよ)






文香「気高く咲くはな見つめ――すがた重ねた――」

文香「かなでる和音ひびき――静寂にこだました――」



加蓮(文香さんの自主練を見てて、もう一つ気づいたことがある)

加蓮(この人は、文字通り倒れる寸前まで、自分を追い込めちゃう人なんだ)

加蓮(文香さんが、練習の後いつも倒れて動けなくなるのは……元の体力が乏しいのもあるけど。
   加えて、高まった集中力が体を限界まで突き動かしてしまう、という原因があるみたい)



文香「激しく――あふれでる――このきもち――」

文香「だいじな――こと――伝え――たい――」



加蓮(私は、だんだんとほころびていく文香さんのTrancing Pulseを眺めていた)

加蓮(声は粘膜が焼け付いてかすれていく)

加蓮(手も足もガタガタになってく)

加蓮(肌は汗だくになって、髪が張り付いてもうバサバサ)



加蓮(でも、まだ目はキラキラしてる。だから、ライブは終わらない)




文香「過去を――いまを――みらい――つなげる――」



加蓮(――あれ?)

加蓮(私、今……文香さんに見入ってる?)




文香「ことばを――さが――あっ――」

加蓮「――文香さんっ!」



加蓮(文香さんの一人きりのライブは、ぷつりと糸が切れるように、
   突然文香さんのステップが崩れて、終わってしまった)

加蓮(私は、床に叩きつけられようとする文香さんの体を、とっさに手を伸ばして抱きとめた)



加蓮(それで初めて、自分が文香さんをもっと近くで感じようと、
   手を伸ばせば届く距離までにじり寄っていたことに気づいた)



文香「……か、かれん、さん……」

加蓮「しゃべらなくていいわ……私へ寄りかかって。ゆっくりよ。床に座るの。
   座れたら、タオルとドリンク持ってくるから……」

文香「す、すみま……っ」



加蓮(ぜぇぜぇと震える文香さんの体は、とても熱く、眩しかった)

加蓮(まるで、あの頃センターに立ってた凛みたいに……)






加蓮(あのあと、私は文香さんの身支度を手伝い、事務所の控え室まで肩を貸してあげた)

加蓮(その様子を見咎められて、私はマストレさんにこってりしぼられた)

加蓮(私が鬼軍曹役を指図されてるせいか、マストレさんは、
   私が文香さんを限界までシゴいてた……と勘違いしたらしい)

加蓮(そんなつもりはなかったけど、私は文香さんを止められたのに止めなかった。
   招いた結果は同じだから、弁解しなかった)



加蓮(というか、そんな些細な誤解、今はどうだって良かった)

加蓮(お説教食らってる最中も、文香さんの姿が、私の脳裏に焼き付いて離れなかったから)




加蓮(体調が落ち着いた文香さんと、ルームのカフェスペースでお茶を飲んだ)

加蓮(いつも私が座っている席に文香さんが座ってて、いつも荒木センセが座ってる席に私が座った)



文香「……本当に、申し訳ございません……私のせいで、ご迷惑をおかけして……」

加蓮「いや、文香さんが倒れる前に、私が止めなきゃいけなかったのよ」



加蓮(そう、私としたことが、ひどい失敗。体力ない子のコトは、よーく知ってるはずなのに)



加蓮「文香さんは、文字通り体が動かなくなるまで自主練してたね」

文香「……私は、体力が無い上に、運動も慣れていないので……きっと、加減が分からないのです……」



加蓮「いやいや、私も体力無かったけど、あんなギリギリまで集中して練習できないよ」

文香「加蓮さんが……?」

加蓮「うん。ちっちゃい頃はよく入院してたし、学校のマラソン大会とか出たことないもん」



加蓮(そんな私も、思えば丈夫になったもんだね……)




加蓮「何か、思うところでもあるの? そこまでレッスンに打ち込めるような、何かが」



加蓮(聞くだけ聞いてみたけど、私は文香さんの答えがだいたい予想出来ていた)



文香「……私は、今までの自分を変えたい、と思って、アイドルの頁を開きました……」

文香「でも、自分をどんな風に変えたいのか……それが見えていなかったのです――この間までは」

文香「かくありたいと思える自分……それが見えたのは、初ライブの日でした……」



加蓮(文香さん。あなたも……)

加蓮(あなたも、あの蘭子ちゃんのオーラにアテられちゃったクチ、か……)



文香「……私が、蘭子さんのようになりたい……というのは、大それた願望だと分かっております」

文香「けれど、いつか同じステージに立つかも知れないと思うと、居ても立っても居られなくて……」



加蓮(SSRのアイドルが、センターやサポートに入った時のステージは、ほかと明らかに違う)

加蓮(まさに“誰もが立てる訳じゃない、宝物みたいなステージ”)

加蓮(これは、実際に立ったアイドルなら誰でも分かる、歴然とした差)



加蓮「その気持ち、私にもよく分かるわ。私たち、アイドルだもんね」

文香「加蓮さん……」



加蓮「でも、無理はしないで……焦らなくていいの」

加蓮「文香さんがそうなりたいと思う気持ちを、
   私たちのプロデューサーさんは、フイにしたりはしない」



加蓮「大丈夫。私が育てるプロデューサーさんだもん」



文香「……加蓮さんが、プロデューサーさんを育てる……のですか?」

加蓮「まぁね♪ アイドルだって、プロデューサーに育てられてばかりじゃないよっ」

文香「……なるほど」



加蓮(荒木センセの受け売りは、文香さんの心にいたく響いたようだった)





ありす(………………)


●●


比奈(どうも、再び比奈っス)

比奈(私がプロデューサーから“ある通告”を受けて、
   それをアイドルたちにも伝えようとルームへ向かうと――)



加蓮「――それは違うよ、ありすちゃん」

ありす「ですが……私は納得できませんっ」

文香「あ、あの、お二人とも、落ち着いて……」



比奈(ルームに、なんか不穏な空気が漂ってたっス)



ありす「私は、比奈さんより加蓮さんのほうが、センターにふさわしいと思います!」

比奈(あ、コレ私入ってきちゃいけなかったパターンっスかね?)






ありす「……私が言うのはおこがましいかも知れませんが、
    加蓮さんと比奈さんのライブパフォーマンスは、互角だと思います」

加蓮「……ま、自分でも負けてるつもりはないけどね」



文香「…………っ!」

比奈(あ……言い争ってる二人は気づいてないっスが、
   文香ちゃんは私がルームへ入ったことに気づいたっスね)

比奈(ま、ここは様子見っスよ、文香ちゃん)



加蓮「でも、私は比奈がセンターにふさわしいと思ってるよ」

ありす「本当ですか?」

加蓮「……うん」



ありす「私……加蓮さんが文香さんに話したこと、聞かせてもらいました……。
    ステージで人の心を奪う――それ以外にも、アイドルにできることがあるって」

加蓮「…………」

比奈(なんのこっちゃ、だいたいしか分からんっスが……
   今ありすちゃんは、加蓮ちゃんの神経を逆撫でしたっスね)

比奈(加蓮ちゃんも、内心ではありすちゃんと同じくらい、SSRのアレに憧れてるのに)

比奈(蘭子ちゃんとか、凛ちゃんみたいになりたいと思ってるのに、
   その道を捨てたとも取れる言い方はマズイっス)



加蓮「どの話か、よく分からないわね。文香さんとは、けっこうお話してるし」

比奈(……が、加蓮ちゃんはグッと堪えた。Coっスね)



ありす「加蓮さんは、私たち後輩アイドルだけじゃなく、プロデューサーさんのことも気にかけてて……
    そういう方のほうが、ステージのセンターに立つ信頼があると思いますっ」

比奈(……)

比奈(…………)



比奈(………………ま、確かに。確かに……そっスよねぇ……
   私は……ありすちゃんに情けないところを、よく見せちゃってたっス……)




加蓮「もう一度言うけどね、ありすちゃん。私は、比奈がセンターにふさわしいと思う」

ありす「加蓮さん自身よりも、ですか?」

加蓮「……そうだよ」



ありす「本当ですか?」

ありす「アイドルになったからには、誰だって、ステージのセンターに立ちたいと思うはずです!」



比奈(ありすちゃんの言うことも、まさしくアイドルなんスよねぇ)

比奈(たとえば、シロートさんがあの蘭子ちゃんの隣に立たされたら)

比奈(どんな美人さんでもあのオーラに呑まれて、ステージの主役を争おうとは思わないはずっス)



比奈(ありすちゃんのように、気圧されても、なお隣に立とうという気概がなきゃ、
   このスターライトステージでアイドルを続けることは不可能っス)

比奈(だから、加蓮ちゃんも……)



加蓮「私だって、センターに立ちたいよ。あの、ステージで一番熱く眩しい場所に」

ありす「……じゃあ……っ!」

加蓮「でも、今はまだ比奈のがふさわしい。そういう話よ。
   いつかは並んで、認めさせたいけど」



比奈「そっスね。特に『薄荷』のセンターは誰にも譲れないっスもんね」



ありす「――なっ、あっ、ひ、ひなさんっ」

加蓮「比奈センセ……もう、人が悪いなぁ。いるなら言ってくれれば良かったのに」

比奈(これが蘭子ちゃんだったら、ドア開けた瞬間に雰囲気変わるから、勝手に気づかれるっスがね……)



比奈「センターの話をしてたっスね。ちょうどよかったっス。
   プロデューサーから、Coユニットのセンターを交代すると知らされたっスから、
   それをほかのみんなにも伝えようと思って、ここに来たっスよ」

加蓮「…………」

ありす「…………」

文香「…………」




比奈「おめでとうっス、文香ちゃん。あなたが、新しいセンターっス」



※SSR【ブライトメモリーズ】鷺沢文香
http://i.imgur.com/nQEd35R.jpg
http://i.imgur.com/esrXxny.jpg
http://i.imgur.com/ikJxWbv.jpg







蘭子「……あっ」

文香「蘭子さん……今回も、お世話になります。よろしく、お願い申し上げます」



蘭子「“蒼き輝きの女神《ミネルヴァ》”……っ!」

文香「えっ」





加蓮「プロデューサーさん、へたっぴのくせに、ユニットをスコアアタック編成しちゃって大丈夫かなぁ。
   MASTER曲なんか、回復無しで10回ミスったら、ほとんど死に体にされちゃうのに」

比奈「ま、身を削って覚えることも大きいっスよ。それはそれとして……」

加蓮「……問題は、あの子だね」

比奈「ありすちゃん、っスか」



比奈(文香ちゃんがセンターになって以来、ありすちゃんの様子がおかしくなったっス)



加蓮「同期がいきなりNからSSRへ三階級特進だもんね。焦るのは、分かるんだけど」

比奈「……それだけっスかね」

加蓮「そうじゃないの?」

比奈「ま、とにかくちょっと話してみるっス。
   私から見ても、文香ちゃんは同期みたいなもんっスから。年齢的に」



加蓮「ナチュラルにサバ読みやがったよこの人……」

比奈「19と20じゃないっスか! 1歳ぐらい許してくれっス!」






比奈「……で、どうだったっスか? 初めてSSRと同じステージに立った感想は」

ありす「あ、比奈、さん……」

比奈(私が開口一番にこう言うと、ルームの隅っこでたそがれてたありすちゃんは、
   逃げだしたそうな顔をしつつも、おずおず答えてきたっス)



比奈「私は、今まで蘭子ちゃん、凛ちゃん、美波ちゃん、李衣菜ちゃんと、
   Coなら都合4人ステージで付き合ってきたっスけど、文香ちゃんもまったく引けをとらないっスよ」

ありす「……SSRが立つと、みんなステージってああなっちゃうんでしょうか?」

比奈「“ああなっちゃう”って、具体的にありすちゃんはどう感じたっスか?」



※ライブで頑張る文香
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ありす「……すごかった、です」

ありす「ステップ一つ踏もうと思っても、ステージが、まるで雲の上みたいにふわふわしてて……」

ありす「宙に浮かされてるような感覚で、なんとか音楽にすがりついてたら、
    いつの間にかライブが終わっちゃってた、って感じです……」

比奈「“クールステップ”っスね。ありゃ私も初体験だったっス。
   気分は空から舞い降りる天女といった感じっスか」




ありす「……ごめんなさい、比奈さん。
    私、あなたがセンターにふさわしくないなんて言い方、してしまいました」

比奈「別に、そういう評価を下されること自体は構わないっスけどね。
   アイドルは常に、他者評価の上にさらされる存在――妥当な批判なら甘んじて受けるっス。
   私は、ありすちゃんに頼れないところばかり見せてたっスもの」



ありす「加蓮さんから、一つだけ教えていただきました。
    比奈さんは、私たち3人合わせたよりも、多くのプロデューサーのもとで、
    たくさんのステージに立ってるって……」

ありす「だから私と違って、蘭子さんや文香さんを前にしても、
    気後れしたり、呑まれたりしないんですよね」



比奈「ま、私が臆せずステージに立てる理由は、だいたいが経験っスね。それは確かっス」

比奈「もっとも、経験だって絶対的じゃないっス。
   今回だって、まるでぺーぺーの文香ちゃんに、センター譲ることになったっスから」



ありす「……比奈さんは……比奈さんはっ」

比奈「何スか? ありすちゃん」

ありす「……ほかのアイドルと自分を比べて、焦ったり、羨んだりとか、ありませんか……?」



ありす「私は、あります……何で自分は、あんなすごいステージに立てないんだろう、って」

比奈「それは……私は……」



比奈(……………………)



比奈「……あるっスよ、そりゃあ」

比奈「私も蘭子ちゃんみたいな風格出ないかなぁ、とか。ソロ曲欲しいなぁ、とか。
   同じアイドルなのに、こうまで違うのか、なんて……」

ありす「……比奈さん」

比奈「……でも」



比奈「同じステージに立ったなら、同じユニットの仲間っス。
  その間は、焦燥も羨望も飲み込んで、ファンのため歌って踊るっス」

比奈「アイドルとして求められたからには、やれるコトをやれるだけやる――
   プロって、そういう人間じゃないっスかね」



比奈「私、この世界で輝くには二つのものが必要不可欠だと思うっス」

比奈「一つは、ありすちゃんの言った……自分がセンターに立って、誰よりもキラキラするという気概」

比奈「もう一つは、私の言った……どんなステージでも、アイドルとしてパフォーマンスに徹する意識」



比奈「二つ揃って……はじめて、アイドルマスターなんだと思うっスよ」





比奈(私が、らしくない説教を打ち切った次の瞬間、部屋の空気がじわりと変わったっス)



文香「……あっ……」

比奈(私とありすちゃんが出入り口の方へ目を向けると、
   細くドアを開けた先に、文香ちゃんの姿が見えたっス)



比奈「どうぞ、おかまいなく」

比奈(文香ちゃんは、体を縮こませてこちらへ歩いてきたっス)

比奈(その様は……ただ歩いているだけなのに、別格っス)

比奈(昔の中国では、きれいな足で歩く人は“歩歩生連花”――歩くたびに蓮の花が咲く、
   と賞されたようっスが、ちょうどそんな感じっスね)



文香「あの……プロデューサーさんから、比奈さんへお知らせがありまして……」



文香「……私から、比奈さんへ……センターを交代する、とのことです」

ありす「……えっ?」



比奈「……ああ、分かったっスよ。これから忙しくなるっスね……もう、冬コミ寸前だってのに」

比奈「もちろん、センターには立たせてもらうっスが」



比奈「アイドルが『お前こそは』と指名されたステージっスから、ね」






加蓮「この間、この私にいきなりベテトレさんチケット20枚分のレッスンとか、
   いったい何が起きたのかと思ったんだけど……」

比奈「“輝く笑顔”に磨きがかかって、いいコトじゃないっスか」



加蓮「また、アレが始まるってことだったのね……だからか。納得。
   プロデューサーさん、私たちがいないとダメだろうし」

比奈「前回はすごいバグが放置されたまま終わったから、仕切り直しってコトっスかねぇ」



ありす「メドレーイベント、ですか?」

文香「はい。メドレー3曲にアンコール1曲、対して、私たちのライフは変わりません……
   単純に、負担が通常の4倍になったようなものです……」

文香「それで、どんなセトリでもライブを完走させられる比奈さんが、センターになりました……」





比奈(今、私が立っているのは、ステージのセンター)

比奈(また、戻って来たっスね。どこよりも熱く眩しい、この場所に)

比奈(しかも、メドレーってことは、ここに居られる時間がいつもの3倍とか4倍とか……
   ハハハ、私、アイドルとしてすっごい贅沢してるっス)



比奈「みんな、準備はバッチリっスか?」



加蓮「ちゃんとしてるよ。ウチのプロデューサーは、まだまだへたっぴだもんねー」

文香「最後まで、輝けるように……お勉強、させていただきます……」



比奈「ありすちゃんは?」

ありす「大丈夫です、私も――」



ありす「――比奈さんがセンターなら、絶対最後まで頑張れますからっ」

比奈「ハハ、照れるっスね……」



比奈「じゃあ、ライブ開幕っスね。ハコ、がんがん揺らしてやるっス!」



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比奈(少々のミスは、私たちがなんとかするっス。だから)



比奈(プロデューサーも、アイドルも、ファンも、みんな――)

比奈(――最後まで、私について来るっスよ!)






(おしまい)



※『Bright Blue』歌:鷺沢文香(試聴)
https://www.youtube.com/watch?v=67bgK3LMkD4

※『-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律』歌:Rosenburg Engel(試聴)
https://www.youtube.com/watch?v=cFR2q8uRVCY

※『Trancing Pulse』歌:Triad Primus(試聴)
https://www.youtube.com/watch?v=QwuEEA1jSCQ

※『in fact』歌:橘ありす(試聴)
https://www.youtube.com/watch?v=G-kQNi3WAvg

CD好評発売中 みんな買おう聞こう!
(薄荷の試聴って無いんですかねぇ……)



担当のSSRが出たら、引くまで課金して回す
という物欲に塗れた精神は不衛生です

石を買うときは、担当の晴れ姿にご祝儀を包む気持ちで回すのです
そうすれば出なくても後悔しないし、まして小汚い恨み言なんか出てこないのです

恨み言なんか出てこないのです
涙は出ます
さようなら蘭子、こんにちは文香



愚痴を失礼しました
Vocal Burst走ってる人はお互いがんばりましょう
それでは

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