高坂穂乃果はにこがスキスキ (34)


カッコよくありたい。立派な先輩でありたい。

   ~矢澤にこ~


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穂乃果「にっこちゃーん!!」ガバッ!

にこ「あー、はいはい」


とってもキュートで ちょっと小悪魔

そんな頼れる大先輩(部長)。

それが私、矢澤にこよ!


穂乃果「にこちゃんカイロは今日もあったかあったかだね~」ムッギュー!


え? カイロ扱い!?


にこ「ちょっ、ちょっとタイム!」パッ

穂乃果「え~、なに?」


にこ「穂乃果にとってにこって何?」

穂乃果「え? 大好きな人?」キョトン

にこ「(っ!?///)」


くぅ、

不意打ちは卑怯にこ……



にこ「そうじゃなくって!」バンッ!

穂乃果「えへー、にこちゃん好き~」ムッギュー!




にこ「そ・う・じゃ・な・く・て!」グググ……

穂乃果「そうじゃなくない! 穂乃果はにこちゃんが好き!」グググ!


にこ「あんたはにこに対する敬意ってもんが足りないのよっ!」

穂乃果「けーい?」

にこ「にこは穂乃果の先輩でμ'sの部長で……」クドクド


穂乃果「先輩禁止!」ガバッ!

にこ「そっか! そうだったわね!」ムギュッ!


あー、ぬくぬく。

穂乃果ってあったかいわね……







にこ「……ってなんでよっ!」パシーン!

穂乃果「穂乃果はノリのいいにこちゃんも好きだよ?」


穂乃果「そっか~、にこちゃんは偉ぶりたいんだね」


『偉ぶりたい』って、コイツ……


穂乃果「にこ様!」

にこ「なんか佳子様っぽくて畏れ多いわ」

穂乃果「にこお姉さま!」

にこ「妹はまにあってまーす」



穂乃果「じゃあやっぱり……にこ先輩?」キョトン

にこ「ふぅぅ……仕方ないわねぇ~」


にこ先輩……先輩……

なんていい響きかしら。



穂乃果「にこ先輩……ずっとずっと、好きでした」ウルウル


穂乃果のこういうノリのいいとこ、実は結構スキよ。


穂乃果「穂乃果の全部……受け取ってください!」キッ!

にこ「仕っ方ぬぁいわねぇ~」ふぅ


やばい。自分の頬が緩みきってるのを感じる


にこ「どぉしてもって言うならもらってあげなくもないわねぇ~」

test


穂乃果「えっ? ほんとっ!?」


えっ


穂乃果「やったー! にこちゃんが全部もらってくれるんだー!」パァァッ!


何コイツなんでこんな喜んでんの?


にこ「……ねぇ、『全部』って何?」

穂乃果「え? ファーストキスからばーじんろーど? までだよ?」

にこ「はぁああああっ!?」


穂乃果「にこ先輩、穂乃果とじゃイヤなんですか……?」オドオド


くぅぅ、可愛いなこんちくしょう

嫌、と言ったら……嘘になるけど……




にこ「嫌よ」


嘘、ついちゃった。

まぁどうせコレもお芝居みたいなもんなんだし


穂乃果「嘘……」


お、鋭い


穂乃果「そんなの嘘だもん……」ジワッ

穂乃果「嘘って言ってください、にこ先輩…ヒック…」グスグス


え? ガチ泣き?

え……え??


穂乃果「ねぇにこ先輩……お願いします」ポロポロ

穂乃果「にこ先輩…グスッ…にこ先輩」グスグス


にこは……にこは。

何も答えられなかった。







次の日、穂乃果は学校を休んだ。

  _人人 人人_

  >  ねる  <
   ̄Y^Y^Y^Y ̄ 


矢澤にこは考える

キュートな脳細胞をぷちぷちさせながら、全力で考える



『そうじゃなくない! 穂乃果はにこちゃんが好き!』

『穂乃果はノリのいいにこちゃんも好きだよ?』

『にこ先輩……ずっとずっと、好きでした』

『やったー! にこちゃんが全部もらってくれるんだー!』

『にこ先輩、穂乃果とじゃイヤなんですか……?』

『嘘……』

『そんなの嘘だもん……』


導き出される結論は――


――放課後 ほの家


雪穂「粗茶ですけど」ことっ

にこ「悪いわね」

雪穂「いえ、こちらこそ」

にこ「え?」

雪穂「またお姉ちゃんがよく考えずになにかやったんですよね?」

雪穂「それなのにわざわざウチまで……」

にこ「ん、まぁ」


にこ「後輩のケアも部長の仕事のうちってことよ」ずずっ


雪穂「じゃあすぐ呼んでくるんで……」パタン




『お姉ちゃーん!? にこ先輩待ってるよ!?』

『やだー!!』

『お姉ちゃんが学校サボるからわざわざ心配してきてくれたんでしょ!』

『やだ!! にこちゃんに会わす顔ないもん!!』

『ひっぱたくよ!?』



にこ「……」ずず・・






穂乃果「お、おまたせしました……」ボロッ

にこ「服、乱れてるわよ」

穂乃果「わわっ///」ババッ


大変ね、雪穂ちゃんも。


にこ「あんたさ」

穂乃果「ん?」ササッ


にこ「なんで今日学校休んだわけ?」


穂乃果「え……」


穂乃果「や、やだなぁにこちゃん」ポリポリ

穂乃果「きのうの今日でそういうことストレートに聞いちゃう?」モジモジ

にこ「それよ」

穂乃果「え?」





にこ「だってきのうのアレ、全部お芝居だったじゃない」

穂乃果「」ピシッ


穂乃果「――は、あはは」

穂乃果「すごいなぁにこちゃんは」




穂乃果「なんでわかったの?」


にこ「『ずっとずっと好きでした』ってあれ、相手が海未やことりならともかく」

にこ「出会って一年にも満たない私には相応しくなかったわね」


穂乃果「にこちゃんは告白のダメ出しに来たのかぁ」シュン

にこ「でも、なんで休んだのかわかんなくて」

穂乃果「それは……」


穂乃果「……確かにきのうの告白はね、穂乃果、ノリで喋ってました」

にこ「知ってるわよ」

穂乃果「でもね、にこちゃんはノってくれるって、なんでか信じてたんだ」

穂乃果「それで、『結婚式いつやる?』とか『どんなドレスがいいかなあ』とか馬鹿話で盛り上がって……」

穂乃果「そこに海未ちゃんとかが来て、『なに馬鹿な話してるんですか』って笑われて、それでおしまい」

穂乃果「……そんな風に期待してたんだ」

にこ「それは悪かったわね」

穂乃果「なのににこちゃんにふられちゃったからさ」

穂乃果「なんか悔しくて。泣いちゃえーとか思って泣いてた」


にこ「……それで?」


穂乃果「おうち帰って、雪穂に『お姉ちゃん食べ過ぎじゃない?』とか言われながらごはんいっぱいたべて」

穂乃果「あったかいお風呂はいって、おふとんかぶって、ぐーすか寝て」


ぐーすか寝たんかい。


穂乃果「そんで朝、起きてみたら」




穂乃果「枕が濡れてたの」


穂乃果「鏡見たら穂乃果泣いててさ、なんだこれってびっくりして」

穂乃果「ドタバタしてたらその場をお母さんに目撃されて」

穂乃果「深刻な顔で『……今日は休みなさい』なんて言われちゃってさぁ」クスクス


くすくすと。穂乃果は事も無げに笑う。


穂乃果「それだけ」

にこ「……」


……これって想像以上にヘビーな状況なんじゃない?


にこ「さっき『会わす顔ないのー!』って叫んでたのは?」

穂乃果「や、やだ、にこちゃんに聞かれてたんだ///」てれてれ


あれだけ大声だしといて何故照れるのか……


穂乃果「だって……学校ズル休みしたから」

穂乃果「穂乃果、にこちゃんに叱られると思って」


……。もう、


にこ「バカね、穂乃果は」


穂乃果「よく言われる。でもにこちゃんに言われるとちょっとむっとするかな?」

にこ「ナチュラルに蔑まないで」

穂乃果「なんで?」


それは――


にこ「私は3年生で、あんたは2年生だからよ」

穂乃果「なにそれ」クスクス


だから――


にこ「服を着替えなさい、穂乃果」

穂乃果「え?」


にこ「デートに出かけるわよ」すくっ


――リードするのはこの私。


――クレープ屋さん


にこ「ストロベリーホイップ苺マシをふたつください」

カシコマリマシター

にこ「お会計はこれで」

オアズカリシマスー


穂乃果「え……にこちゃんおごってくれるんだ」

にこ「ノンノン」

穂乃果「え?」



にこ「これからふたりきりの時は『にこ先輩』と呼びなさい!」フフン!


穂乃果「にこ先輩……!」ぱぁぁっ!



穂乃果「ゴチになるッス!」ビシッ!

にこ「いや、それはなんか違う」


体育会系か。


穂乃果「はぁ~、おいしぃねぇ~」モキュモキュ


もきゅもきゅとクレープ(私のおごり)を頬張る穂乃果は

なんだか自然で、ただ幸せそうに見える


にこ「ほっぺにクリームついてるわよ」すっ


穂乃果の唇の周りについたクリームを指で掬い取り、

ぺろりと指を舐めてみる。


穂乃果「ん? にこ先輩ありがと」モキュモキュ


……。

コイツ、クレープに夢中すぎない?


穂乃果「あー、おいしかったー!」

穂乃果「にこ先輩、またここ連れて来てね!」


……あれ?

これじゃあカイロ扱いどころかサイフ扱い……!?


穂乃果「ん? にこ先輩機嫌わるい?」

にこ「穂乃果ぁっ!」

穂乃果「は、はいっ!」ビクッ!




にこ「私に抱きついてもいいわ」

穂乃果「……はい?」


にこ「ホラ来なさい! カモン!」

穂乃果「え……」たじっ

にこ「私が許可するっつってんのよ!」

穂乃果「あの……」もじっ

にこ「なによっ」ムスッ!



穂乃果「ちょっと言いにくいんだけど……」もじもじ

穂乃果「ぶっちゃけ穂乃果は嫌がるにこちゃんに無理矢理抱きつくっていうシチュのほうが好きだから、にこちゃんからガツガツ来られると困るっていうのと、」

穂乃果「あとは流石におそとでは恥ずかしいかなって……///」てれてれ


にこ「照れるなっ! 少しは可能性感じなさいよっ!」


こっちまで恥ずかしくなってくるじゃないの……それとぶっちゃけすぎよ


穂乃果「あ、うん……にこ先輩がそう言うなら」すっ


穂乃果はそう言って 両腕をにこの背中にまわして

いつもより遠慮がちに 優しく にこのカラダをきゅっと抱きしめた


穂乃果「えへ……あったかいね、にこ先輩」ぎゅう

にこ「ふ、ふん……それでいいのよ」ぽんぽん

穂乃果「また連れて来てくれる?」すりすり

にこ「あんたが可愛らしくしてたらね」なでなで

穂乃果「うん、じゃあ穂乃果……可愛らしくして待ってるね」ぎゅっ




穂乃果とふたりで食べたストロベリーホイップ

それはなんだかとても甘酸っぱい味がした


おわり

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