艦これ×仮面ライダー龍騎のクロスオーバー的な何か
独自設定、キャラ崩壊などあるのでご注意
更新は不定期です
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陽子「ハアッ!!」
??「グギャアッ!」
私のキックがソイツの顔面に直撃する。
陽子「これで終わりよ!!」
腰元にあるカードデッキからカードを引き抜く。それを左腕についているバイザーと呼ばれる機械に差し込む。
『ファイナルベント』
その音声が止むと同時に私の周りの海面がもやもやと揺らめく。そしてそのもやもやとした揺らめきは炎へと姿を変える。
それと同時に私は海面を蹴り斜め前方に跳躍。炎は私を包み込みそして後方で爆炎を上げ私は爆炎、爆風を利用しソイツ目掛けてキックを放つ。
ドゴオオオン!という轟音が鳴り響く。
??「グゲアアアアアアア!!」
私が戦っていたそいつは絶命し爆炎に包まれ消滅した。
私の名前は有本陽子。この海しかない世界で戦う十三人の艦娘の内の一人。
契約艦娘の陽炎の力を借りて深海棲艦と戦う艦娘だ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
時は遡る。
数年前、深海棲艦と呼ばれる存在が海軍の英雄たち、艦娘によって全てが掃討され制海権を取り戻した。
英雄たちは役目を終え姿を消した。世界に平和が戻ったのだ。
…しかし、最近水場付近で人が突然いなくなる行方不明事件が多発していた。
原因は分からず警察の捜査も困難であった。
そんな事件をニュースで見た私はあまり気にもせずいつものように朝食を済ませ学校に向かう。
私の通う学校は海沿いにある。海岸付近の道路を自転車を漕いでいつものように…
その時、私の目には不思議な…異様な光景が見えてしまった。
海岸にいたはずの白い服を着た男が一瞬で消えてしまったのだ。
陽子「え…?」
見間違い?いや、そんなはずはない。自転車を止めその男性がいた場所に向かう。
砂浜に足跡も残っている。見間違いということはなさそうだ。なら、その男は何処へ?
不思議に思う中、時間を確認し登校時間が迫っておることに気付く。
急いで自転車に乗ろうとしたところで…
ドン
何かにぶつかった。
陽子「いたた…。あ、すいません…。」
ぶつかったのは人だった。白い軍服を着て帽子を被った男性。さっき消えたはずの男性。
陽子「え?あれ?さっき…。」
その男性は私に語りかけてきた。
??「…お前は私が見えるのか?」
陽子「はい?見えてますけど…。」
??「そうか…。」
陽子「あ、やばっ!時間が!!失礼します!!」
急いで自転車に乗り猛スピードで学校へ向かう。
??「……。」
陽子「なんとか間に合った…。あれ?」
学校に着いた陽子は奇妙な感覚を感じた。
この時間、学校のほとんどの生徒は登校し終え賑やかなはず。しかし、それが全くない。
それどころか人の気配すら感じないのだ。
陽子「おかしいな…今日休みだったっけ…?」
鞄から携帯を取出し時間と日付を確認する。
二月三日(火) 午前八時三十分
…間違っていない。今日は休日でもなんでもない。
自転車を降り校舎に入る。やはり人のいる気配も感じられない。
しかし、各教室を見て回ると荷物類がある。登校した生徒はいるはずだ。
校舎内を駆け回る。トイレ、職員室、音楽室、体育館、体育倉庫、屋上…
陽子「どうして…どうして誰もいないの…?」
誰もいない、この場で一体何があったのか。
そこにコツコツと足音が迫る。
陽子「誰かいるの!?」
バッと振り返る。そこにいたのは…先ほどの男性。
陽子「…どうしてここに?」
??「…これは、深海棲艦の仕業だ。」
陽子「深海棲艦…?それって確か海軍が全滅させたんじゃ…?」
??「…君は、本当にこの世界が、この海が平和になったと感じるか?」
陽子「それってどういう意味…?」
男性は何も答えない。ただ、ポケットから黒い長方形の物体を取出し渡してきた。
陽子「これは?…『陽炎』?」
??「真実を知りたければ…そのカードデッキを使え。」
陽子「…真実?」
??「そうだ。この世界は平和になったのではない。一時的に休戦になっただけだ。」
??「そのカードデッキを水面に映し…艦娘になれ。そうすれば分かる…。」
陽子「艦娘…。それとこれが関係してるの?」
??「そうだ…。艦娘になれば全て分かる。」
陽子は困惑した。この奇妙な事態に加え、この謎の男。
艦娘?深海棲艦?
一体何がどうなっているのか。
しかし、私は真実を知りたかった。友人は、先生は何処に消えたのか。
だから受け取った。カードデッキを…。
廊下の水道の排水溝を塞ぎ蛇口を捻り水を流し水面を作った。そして、『陽炎』と刻まれたカードデッキを水面に映す。
シュイイイン
という音と共に私の腰にベルトが装着される。
??「ベルトのくぼみにデッキを差し込め。それで…契約は完了だ。」
陽子「は、はい。」
言われるがままデッキを差し込む。すると…
シャキイイイン!!
白い光につつみこまれる。そして目を開いた時には服装が変わっていた。
それだけではない、若干ではあるが容姿も変わっていた。黒かった髪が狐色になりツインテールになっていた。
陽子「ええええ!?これって!?」
??「それが艦娘の時のお前の姿だ。さあ、水面に手を付けろ。後は…『陽炎』がお前を導くだろう。」
陽子「ちょっと、ちゃんと説明してええええええ!?」
私が水面に触れた瞬間、水の中に引き込まれた。
陽子「…ここは?」
気づけば、辺り一面真っ青な海の上にいた。何故だか知らないけれど私は海上に立っている。
陽子「私さっきまで学校にいたはず…。」
すると、前方に人影を見つけた。
陽子「誰かいるのかな?近づいてみよ!」
私は海面を滑るように移動した。何故だか分からないけれどこの体の動かし方を私は知っていた。
まるで昔からやっていたかのように…。
陽子「おーい!そこの人!!話を聞かせてくださーい!!」
人影がはっきり見えるところまで来た。…ここで私は衝撃的なものを見た。
それは人ではなく異形のものだった。その異形のものは…口元に血をべったりと付けていた。そしてその下には眼鏡や制服などが散乱し海面に漂っていた。
その制服は自分の学校のものであった。つまり…
陽子「うわあああああああああ!!」
ここで一度私は考えるのをやめた。あの男が言っていたことは本当だった。
目の前にいる異形のもの…深海棲艦によって私の学校の生徒教員は私を除いて全員命を奪われた。
頭を抱えその場にうずくまる。
深海棲艦「ギギャア…。」
化け物じみた声を出し私に近寄ってくる。私は動けなかった。恐怖、絶望、怒り、悲しみといった感情が頭の中を駆け巡りパニックになっていたのだ。
深海棲艦はどんどん近寄り私に何かを向けた。
ガチャリ
この音を聞いて察した。次に死ぬのは…私だと。
ドーン!
…その音が鳴りやんでも私の体には傷一つついていなかった。代わりに目の前にいた深海棲艦が苦しんでいた。
??「何をしているんですか。」
声のする方を向く。そこには私と同じ服を着た目つきの鋭いピンクの髪の女性が立っていた。
陽子「あ、あなたは?」
??「後で教えます。今は目の前のホ級を仕留めるのが先決ですので。そこで待っていてください。」
そう言いピンク髪の女性は深海棲艦へと跳び蹴りをかまし遠方へ吹っ飛ばした。
??「さて、雑魚深海棲艦には早々に退場してもらいましょうか。」
デッキからカードを抜き取り左手のバイザーに慣れた手つきで装填する。
『シュートベント』
私の背に艤装が召喚され右側にシュートベントで召喚した12.7㎝連装砲が現れる。
??「沈めっ!」
ドンドン!という音を立てて砲弾が発射される。
深海棲艦「グギャッ!?」
ほとんどの砲弾がホ級に命中。そして新たにカードを抜き取りバイザーに装填する。
『ファイナルベント』
海面から小さな火の玉が無数に現れ私の周りを取り囲む。
その日と共に助走をつけ対象目掛けて海面を滑り、そして跳躍。
小さな火の玉と共に自らの体を回転させそのまま勢いをつけて急降下し、対象を粉砕する。
深海棲艦「グギャアアアアアアア!?」
断末魔を上げホ級は爆破し消滅した。
??「さて、こちらは片付きましたし。あの子でも助けて差し上げましょうか。」
陽子「す…すごい…。」
??「大丈夫でしたか?あなたも艦娘でしょう?なんで戦わなかったんですか?」
陽子「え?いや…ここに来たの初めてだったし…それに訳も分からずここに来たわけで…ここ何処なの?」
??「…あの人はこんな人まで艦娘に選んだんですか…。まあ、いいでしょう。自己紹介、その他諸々は元の世界でお話しします。帰りましょう。」
陽子「帰る?どうやって?」
??「この左腕のバイザーに向かって『撤退』と言えばいいんです。」
陽子「ちょ、ちょっと待って!あそこに浮かんでるものを持って帰りたいから…。」
??「…申し訳ありませんがそれは無理です。」
ピンクの髪の女性は難しい顔をして答える
陽子「え?どうして?」
??「…この『もう一つの海』から私たちのいた世界にはこの艤装や艤装服以外は持ち出せないんです。それらはここに置いていくしかないんです。」
陽子「そ…そんな!!」
??「遺品を持って帰りたい気持ちは分かりますが…諦めてください。『撤退』」
ピンク髪の女性は緑の閃光に包まれ消えた。
私は沈んでいく遺品を眺め、『撤退』と呟いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あの場所から帰ってきた私は学校の廊下にいた。
あの海に行くために使った水道は水が流れっぱなしで床を水浸しにしていた。
改めて周りを見渡す。誰もいない。皆殺されてしまったのだ、深海棲艦に。
トボトボと歩き校舎を後にする。自転車にまたがったところで…バイクに乗った誰かが私の前に現れた。
ヘルメットを取り黒いセミロングの髪が現れ、鋭い目つきの顔が見えた。
??「『もう一つの海』で会いましたね。先に自己紹介からさせてもらいます。荒不知(あらしらず)17歳、女子高生やってます。」
陽子「あ、私は有本陽子。17歳よ。同い年だったのね…。」
不知「陽子、と呼ばせていただきます。私のことは『ぬいぬい』、もしくは『しーちゃん』とお呼びください。」
陽子「名前のどこにもぬいって入ってないのに!?」
不知「いや、私の契約艦娘が『不知火』で艦娘はぬいぬいと愛称を持っていたそうで。なにか落ち度でも?」
陽子「い、いや、特に…。」
不知「とりあえず、場所を変えましょう。あそこの喫茶店ででも…。」
不知「紅茶を二つお願いします。」
店員「了解デース!少し待っていて下さいネー!!」
不知「…さて、じゃあ何から知りたいですか?」
陽子「なにから…一応聞いておくけど艦娘って何?」
不知「艦娘は数年前深海棲艦から制海権を取り戻した英雄たちのことですが…この件の場合はこのカードデッキを持っているものに限ります。」
テーブルの上に不知は自らのカードデッキを置く。デッキには『不知火』という文字が刻まれている。
不知「これを使い『もう一つの海』に行き深海棲艦を倒すのが本来の使命です。」
陽子「もう一つの海?本来の使命?」
不知「これは失礼。では順を追って説明します。『もう一つの海』とはこの世界と同じ広さを持った海だけしか存在しない世界…早い話パラレルワールドというやつです。」
陽子「パラレルワールド…。」
不知「全滅したはずの深海棲艦はそこから来ていると推測されていて私たち艦娘はそれを倒すために存在します。」
陽子「なるほど…つまり深海棲艦を倒せばいいのね。」
不知「表向きはそうです。しかし、この戦いに生き残った艦娘は一人だけ…願いを叶えることができます。」
陽子「え!?そんなのがあるの!?」
不知「ええ。ですが…願いを叶えることができるのはたった一人。つまり…艦娘同士でも戦うことになります。」
陽子「ど、どうしてよ。深海棲艦を倒すのが目的じゃ…。」
不知「だから本来の使命と言ったんです。艦娘同士は味方であり敵でもあるということです。願いが叶うという欲に溺れた艦娘は多くいます。願いを叶えるために他の艦娘を倒したりするんです。私たちにこのカードデッキを与えた人間から聞いた話だと艦娘は全員で十三人存在します。恐らくあなたが最後の一人かと…。」
陽子「十三人…。」
不知「後は簡単な戦い方だけお教えします。このカードデッキからカードを引き抜き、左腕に合ったバイザーに装填すると艦娘の武器が召喚されます。この武器を利用し深海棲艦を倒すわけです。」
陽子「なるほどね…。分かりやすいわ…。」
店員「お待たせしましたー!紅茶デース!!」
不知「ありがとうございます。では…!!」ゲッホゲッホ!
陽子「ちょっと!?大丈夫!?」
不知「…不知に何か落ち度でも…?」ギラッ
陽子(こ、怖っ!!)
ここまで。
続きはまた書けたら更新します。
十三人いる艦娘を龍騎と照らし合わせて誰がどの艦娘になるか想像してお待ちくださいませ。
ちなみに一番仮面ライダーっぽい嵐は出ません。
何故って?その存在に気付いたのが描いてる途中だったからだ(白目)
嵐とプリンツ掘らないと…
翌日
『昨日、○○高校の生徒職員が一斉に行方不明になる事件が発生しました。今のところ手がかりはなく捜査は難航しているとのことです。』
一人、ニュースを見て現実を再確認した。やはり、私の学校の人たちは私を除いて皆いなくなってしまった。
『続いてのニュースです。海軍の情報を持ち出して逃走したビアンカ・ベルヴァルト容疑者が逮捕されました。関係者によりますと……』
ニュースも大して頭に入らない。ボーッとしながらただ天井を見上げている。
陽子「…これからどうしよう。」
コンコン
そんな時、ドアがノックされたことに気づく。
陽子「誰…?」
ドアを開け、その先にいたのは…不知だった。
不知「おはようございます。」
陽子「おはよう…って、どうして私の家が分かったの!?」
当然の疑問だ。昨日喫茶店で話したとはいえ家までは教えていない。
不知「いえ、あの後あなたの様子が心配で…少し尾行をさせてもらいました。」
陽子「尾行って…。」
不知「まあ、そんなに気にしないでください。今日ここに伺ったのは…デッキを渡してもらえないかを聞きに来ました。」
陽子「え?デッキ?なんで?」
不知「いえ、少し考えてみたんです。あなたは訳も分からずこの戦いに参加してしまった。ですが、デッキを手放せば…この戦いからは抜け出せる。元の平穏な生活に戻れます。それに…。」
陽子「それに…何?」
不知「…あなたがそのデッキを持って戦うということは、私も敵になるということです。出来ればそれは避けたいんです。」
陽子「…昨日言ってた艦娘は味方であり敵って言うこと?」
不知「ええ…。願いを叶えられるのはただ一人ですから…艦娘であることを続けるのならいずれは争わなければいけません。私にも…どうしても叶えたい願いがありますので…。」
陽子「そっか…。でも少し考えさせてくれないかな?」
不知「…分かりました。答えが決まったら教えてください。では。」
そう言い不知は帰って行った。
陽子「願いか…。…考えたこともなかったなぁ。」
願いが何でも叶う。とても魅力的なものだ。だが、願いを叶えるために他人を犠牲にするのはどうだろうか…。
味方であり、敵でもある。それが意味することは、深海棲艦との戦いは共闘するがそうでない場合は戦うということだ。
それも、命を懸けた戦いになるだろう。
だが、自分に命を懸けてまで叶えたい願いはあるだろうか?無いのであればこのデッキは不知に渡すべきじゃないか。でも…。
色々な考えが頭を駆け回る。
陽子「あーもう!分かんないわよ!!」
そう言い外に出る支度をする。迷った時はあの場所で落ち着くに限る。
着替えを済ませ、自転車に乗ってその場所を目指す。
途中、自転車を漕ぐ陽子の横を長髪の女性が通る。
互いに特に気にもせずその場を過ぎ去る。
??「…あれが新しい艦娘か。可愛いねぇ…ウザったいわぁ…。」
長髪の女性は過ぎ去る陽子の後ろ姿を見て思う。こいつはどう潰そうかと。
私は自分で手を下すのが面倒だ。だから、状況によって人を雇い、裏から動く。
今、私はとても気分がいい。…あの子の壊れる姿を想像しただけで笑いが止まらなくなりそうだ。
??「ゆっくり…時間をかけてあの子は解体してあげましょう…フフフッ。」
私はその場を後にした。
陽子「着いた着いた!」
自転車を止め着いた場所は見晴らしのいい高台だ。この場所からは海が見渡せて気持ちを整理するのにはうってつけの場所だ。
高台の下には砂浜があり時期的にはまだ肌寒い頃なのでここに来る人は少ない。しかし、今日は一組のカップルが砂浜で肩を寄せ合い海を眺めている光景が見えた。
そんな姿を余所見に、陽子は目を閉じ、潮風を感じる。こうしていると頭がスッキリし、リラックスできる。
そんな時だった。頭にキーンという音が響いた。
陽子「な、なに?耳鳴り!?」
少し待てば耳鳴りは止む。しかし、この頭に響く音は止みそうにない。
陽子「な、なんだってのよ…。」
その時、陽子は海に妙な気配を感じた。目をやるとそこには…深海棲艦の姿があった。
陽子「深海棲艦!?全滅したんじゃ…。」
ここで思い出す。もう一つの海から深海棲艦がやってきていること。水場さえあれば何処からでも現れることを。
深海棲艦が近寄っているのにまだカップルは気づいていない。このままだと…連れ去られてしまう。
陽子は気づけば手にデッキを握りしめ海岸に向かっていた。考える前に体が動いていた、という表現のままに。
深海棲艦「キシャアア…。」
男「な、なんだコイツは!?」
女「ば、化け物!?」
カップルの下に異形の存在が這い寄る。そして飛び掛かってきた。
深海棲艦「キシャアアアアアアア!!」
男・女「うわああああああ!!」
二人は恐怖で目を閉じ縮こまった。もう助かるまいと、走馬灯が駆け巡ったような気がしていた。
…しかし、カップルには何も起こらない。
「変身」という声が聞こえただけだった。
男がゆっくりと目を開ける、そこには何もいなかった。
男「あ、あれ?ば、化け物は!?」
女「え!?いなくなってる?…夢でも見てたの…かな…。」
男「お、おいどうし…た…。」
二人はゆっくりその場に倒れこんだ。とある第三者の手によって。
??「…さあ、陽炎。お前の力を見せてみろ…。」
カップルが襲われる数秒前、深海棲艦が飛び掛かった瞬間、陽子のドロップキックが深海棲艦の頭部に命中し、海へと戻って行った。もう一つの海に。
すぐさま海面にデッキを映す。腰にベルトが装着される。
陽子「変身!!」
シャキイイイン!!
ベルトにデッキを差し込んだ陽子は『陽炎』へと姿を変え、海へと消えた。
もう一つの海へ―――。
陽炎こと陽子はもう一つの海に到着した。目の前にはさっき蹴り飛ばした深海棲艦がいた。
深海棲艦「キシャアアアア!!」
陽子「おりゃあ!」
再度、陽子の跳び蹴りが炸裂する。しかし、それは躱されてしまう。
深海棲艦「シャアア!」
深海棲艦の拳が陽子の腹部に命中する。
陽子「いった…やってくれたわね…!!」
再度接近し近接戦を仕掛ける。キック、パンチの打ち合いが始まる。
陽子「ここだああああ!」
陽子の鋭いパンチが深海棲艦の顔に直撃し後方へとよろめかせる。
陽子「よし!これで…。」
ドーンドーン!
陽子「おわっ!?砲撃!?」
そう、陽子は忘れていた。相手は深海棲艦。砲撃、雷撃といった攻撃も当たり前にしてくるのだ。
陽子「えっと!?どうやって攻撃すればいいんだけ!?」
陽子は攻撃を避けながらあの時のことを思い出す。
『このカードデッキからカードを引き抜き、左腕に合ったバイザーに装填すると艦娘の武器が召喚されます。この武器を利用し深海棲艦を倒すわけです。』
陽子「そ、そうだ!このデッキからカードを抜いてこれに入れるんだった!」
陽子はデッキからカードを抜き取りバイザーに装填する。
『トルピードベント』
陽子の背に艤装が召喚され左側に魚雷が出現する。
陽子「いっけえええええ!!」
魚雷が発射され深海棲艦目掛けて進んでいき…
深海棲艦「ゲギャアア!?」
見事命中、深海棲艦は粉々になり姿を消した。
陽子「ッシャア!!」
ついガッツポーズをとってしまう。
その時、後ろに気配を感じた。
不知「驚きました。あなたがこっちにいるなんて…。」
陽子「あ…、そういえばこの前の回答だけどさ…。やっぱり、デッキは渡せない。私は…深海棲艦を倒すために戦いたい。」
これが答え。あの場所に来て、戦って導き出した私なりの答え。
不知「そうですか…それなら仕方ありませんね…。諦めます。」
陽子「…ごめんね。」
不知「いえ、これで…。」
不知「あなたを倒すことができます。」
陽子「…え?」
不知はデッキからカードを引き抜きバイザーに装填する。
『シュートベント』
ドンドン!
陽子「きゃああ!!」
不知の砲撃が陽子に直撃する。
陽子「あ…痛い…何するのよ!」
不知「私は言いました。あなたがそのデッキを持って戦うということは、私も敵になるということだと。願いを叶えるために…あなたにはここで脱落してもらいます。」
再び不知はデッキからカードを抜き取り、そのカードを私に見せた。
『FINAL VENT』と、書かれたカードを…。
ここまでです。
また一週間以内に投下しに来ます。
そしてプリンツちゃんには会えずに資源が枯渇した…。
また次で出るといいな…。
無粋なようだけど水平線はhorizonな
>>42 やっちまった…
慣れないことはするもんじゃないな…
脳内補完お願いします
不知「さようなら、艦娘陽炎。…いや、陽子。」
不知がカードをバイザーに装填しようとする。
陽子はただそれを見ているることしかできなかった。…が、カードを装填しようとする不知の動きが止まる。
不知「…時間切れですか。命拾いしましたね。」
よく見ると不知の艤装服が端から少しずつではあるが崩れているように見える。自分の艤装服にも目をやると同じように崩れ始めている。
不知は『撤退』と呟きもう一つの海から緑の閃光と共に姿を消した。
陽子は無事元の世界へと帰ってきた。そして、近くにいた不知を見つけ胸ぐらをつかみあげた。
陽子「ちょっと!どういうことよ!!」
不知「さっきのアレですか?時間切れです。艦娘になったと言えどももう一つの海には15分ほどしか滞在できないので…。」
陽子「そういうことじゃない!どうして私を攻撃したのかを聞いてるのよ!!」
不知「…さっきもいいました。願いを叶えることが出来るのは一人だけ。なら、他の艦娘には消えてもらわなければいけません。」
陽子「そんなの…そんなのおかしいじゃない!深海棲艦を倒すのが艦娘の役目じゃない!どうして同じ艦娘同士で戦わないといけないのよ!!」
不知「…あなたは深海棲艦を倒すためだけに戦うと言っていても、他の艦娘も同じとは限りません。」
陽子「それは…。」
不知「私はあくまでも自分の願いを叶えるために戦います。他の艦娘は敵です。」
陽子「…じゃあ、深海棲艦はどうでもいいって言うの!?」
不知「そんなことは言っていません。…いずれにしろ、次『もう一つの海』で会うことになったら…容赦はしません。」
そう言いのこし不知は去って行った。
この日から一週間が経ち、見知らぬ人物が私を訪ねてきた。
警察である。
警察「…ということで君の学校に通っていた生徒職員は依然として見つかっておらず残った生徒は君だけだということが分かった。」
陽子「…そうですか。それで、他に何かあるんですか?」
警察「ああ、君以外いなくなってしまったためあの学校は機能していない。そこで、君が望むのなら他の学校に警察から掛け合って受け入れてもらおうと思うのだが…どうかな?」
学校…もう随分と遠く感じる気がした。
出来ることなら学校からは離れたい。しかし、今後のことを考えてみると学校は卒業しておかないと将来就職などで不利になるだろう。
陽子「それじゃあ、お願いしてもいいですか?」
警察「わかった。では、転校先の学校が決まり次第追って連絡するよ。では。」
後日、転校先の学校はあっさりと決まったと連絡が来た。
自転車に乗り、新たな学校へと向かう。今までと違う道を進んでいく。
今まで通っていた学校より少し離れた場所にあるため必然的に今までより少し早い時間に家を出る。
陽子「新しい学校か…どんなところだろう…。」
少しばかり胸に期待を抱きながら学校へと向かった。
…しかし、現実とはそう上手く行かないものだ。
「あの子、例の生徒職員が皆消えたって言う学校から来たそうよ。」
「あの子のせいでもしかしたらこの学校も…。」
「近づかない方がいいぜ…。」
転校初日、その噂が広まったことによってなのか陽子に近づく人は誰一人としていなかった。
生徒も、教師でさえも。
陽子「まあ、そうだよね…。早く帰ろう。」
放課後、特に何するわけでもなく家に帰ろうと教室を出る。
すると、思わぬ人物に出くわす。
陽子「あ、あんた!」
不知「…驚きました。まさか、この学校に転校してきたとは…。」
陽子「私も驚いたわよ…。」
不知「…まあ、『ここ』では手出しはしません。ただ一つだけ…田口淀美という人物には気を付けてください。」
陽子「…それってどういうこと?もしかして、かんむ…」
不知「いや、この学校での話です。では。」
陽子「あ!ちょっと待ちなさいよ!!もっと詳しく聞かせてって!!」
そんな二人の姿を遠くから眺める人物がいた。
??「…まさかここに転校してくるなんてねぇ…。ちょっと驚きましたけど、この『学校(にわ)』なら好きなようにイジれるわ…!」
彼女の名は田口淀美。この学校の生徒会長である。
淀美「彼女が一緒にいるのは…荒不知さんか…。ただの知り合いかそれとも…私と同じ『艦娘』か…。少し調べてみましょうか。」
淀美の手に握られたカードデッキ、それには『大淀』と刻まれていた。
少ないですがここまで。
また近々投下しに来ます。
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