的場梨沙「焼肉!」 佐藤心「野菜も食えよ☆」 (23)

ダンスの自主レッスン中


飛鳥「……っと!」

梨沙「あー、また同じところでステップ間違えてる」

飛鳥「どうにもコツがつかめないな……梨沙、キミは確かできていたはずだが」

梨沙「こうやるのよ。よっ、ほっ、はっ、と!」

飛鳥「さすが、趣味がダンスなだけあるね。今の部分、どういう点を意識してステップを踏んでいるのか教えてくれるかい」

梨沙「意識? そうねー」

梨沙「こう、ガッときてシュッといってバァーン!」

梨沙「みたいな?」←満足げ

飛鳥「どこぞのミスターのようなことを言うね」

梨沙「?」

飛鳥「要は天才肌ということさ。詳しく知りたいなら、今度大人達に聞いてみるといい」


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心「うまく踊るコツ?」

心「しゅがーってきてはーっと決める! みたいな☆」

飛鳥「こっちも背番号3だったか」

梨沙「『しゅがーっ』てなによ」


心「ま、それはそれとして♪」

心「ジャンジャジャーン! 今日は素敵なものを持ってきたぞ☆」

梨沙「なにそれ。なんかのチケット?」

心「聞いて驚け見て笑え、これはさっき商店街の福引きで当てた焼肉2時間食べ放題券!」

心「4人分なの♪」

梨沙「おおっ!」

飛鳥「焼肉か……もしかして、ボクらを誘ってくれるのかい」

心「そーいうこと♪あとひとりはプロデューサーでも連れて行こうかな☆」

梨沙「いいわね、焼肉! アタシお肉大好き!」

飛鳥「今度何かお返しをしないと……」

心「子どもがそんな細かいこと気にしないの♪もともとタダで手に入ったものだし、幸運のおすそ分けってヤツだから☆」

梨沙「ハートさんのラッキーに感謝ね」

心「おう☆ ま、はぁとの後ろに並んでた美人の女の子は、一等の温泉旅行当ててたけどな♪」

飛鳥「福引で一等か……その人の前にいた心さんも、彼女の幸運の余波を受けたのかもしれないな」

梨沙「飛鳥って、理屈っぽい言い方するくせに、言ってること自体はクウソウ的よね」

そしてその日の夜 焼肉店にて


P「さて。席についたし早速注文するか」

梨沙「カルビ! カルビ食べたいわ!」

飛鳥「鶏肉」

心「共食い?」

飛鳥「そのネタは14年間で30回以上経験している」

心「あはは、これは失敗☆てへぺろ☆」

P「カルビに鶏肉……ま、とりあえず基本的なところは一通り頼んどこうか。肉に野菜の盛り合わせ……あとはご飯とサラダもいるかな」

心「ビビンバもよろしく♪」

梨沙「アタシ、脂の多いお肉ってあんまり好きじゃないのよね」

飛鳥「あの脂がいいとボクは思うんだけど、これは好みの問題か」

梨沙「好みが分かれてるなら、それぞれが好きな形のお肉食べればいいわね」

飛鳥「まあね。競合しないのはある意味ありがたいか」

P「心さん、ビール飲みます?」

心「ビールも飲み放題なんだっけ? じゃあもらっちゃう☆」

心「プロデューサーも飲めればいいんだけど」

P「俺は帰りの運転がありますから、おとなしくジュース飲んでおきます」

ジュージュー


心「はぁ~、この肉が焼ける音がたまんないわ☆」

P「いくつになっても焼肉はわくわくするなぁ」

梨沙「あれ、飛鳥こっちのタレだけでいいの? せっかく二つあるんだから、両方試せばいいのに。ここ来るの初めてなんでしょ?」

飛鳥「いや、いい」

梨沙「ふーん……あ、もしかして」

梨沙「アンタ辛いの食べられないのね? だから甘口のタレだけなんだ」ニヤリ

飛鳥「食べられないんじゃない。食べないだけだ」

梨沙「舌がお子様ね! アタシの舌のほうがオトナだわ」

飛鳥「………」

飛鳥「いいだろう。そっちの辛口タレももらう」

梨沙「え? いや、別に苦手なら無理しなくても」

飛鳥「もらう」キッ

梨沙「あ、うんわかった」

P「飛鳥、また水おかわりか?」

飛鳥「あぁ」

梨沙「ちょっと、そんな無茶しないでいいってば」

飛鳥「これはボクの選択だ。ここに出したタレを使い切るまでは……からっ」

心「(涙目になって食べてる飛鳥ちゃん、正直かわいい)」


※結局辛口のタレは少し残りました

心「ほら飛鳥ちゃん、肉ばっか食べてないで野菜も! ここのキャベツと玉ねぎいい具合に焼けてるから♪」

飛鳥「あ、あぁ」

梨沙「このお肉脂少なめでいい感じ。もーらいっと」

心「それまだ生焼け! あと40秒待って!」

梨沙「なによー、いいじゃないちょっとくらい」

心「40秒待つだけでもっとおいしく食べられるのに? 待たない? なんで? よかれと思って言ってあげてるのに?」

梨沙「……わ、わかりました」

心「よろしい♪」


飛鳥「手際よく仕切っているね。心さん」

P「焼肉奉行だな。焼く係も注文もやってくれてるからありがたいけど」

梨沙「アタシなんてほとんど食べてるだけだから、楽でいいわ♪」

心「どんどん焼いてくよー☆」

P「……でも心さん、ちょっと飲むペース速くないですか?」

心「へーきへーき☆このくらい……ひっく」

飛鳥「」ブルッ

梨沙「? どしたの飛鳥、寒いの?」

飛鳥「いや……何か嫌な予感がして」

梨沙「あ、それシックスセンスってやつでしょ。この前蘭子が言ってたわ」

梨沙「蘭子って本当にいろんな設定考えててすごいわよね。あそこまでいくと素直に感心するっていうか」

飛鳥「いや、ボクのは設定うんぬんの話ではないんだけど……」

30分後


心「ふはは! 肉肉肉肉~! 久しぶりに腹いっぱい肉が食べられるチャンス☆」ガツガツバクバク

P「あの、心さん? そんなに勢いよく食べたり飲んだりすると」

心「へーきへーき☆ほらほら、プロデューサーももっと食え食え☆」

P「食えって、それサラダの山……ちょ、口に押しつけないでもごもご」

心「よかれと思って野菜をあーんしてやるぞ☆」

心「はー、酒もまわっていい気分♪」



飛鳥「酔ってるね」

梨沙「酔ってるわね」

飛鳥「いつの間にか焼く係を放棄して食べることと飲むことに集中しているし」

飛鳥「焼肉奉行が焼肉暴君になってしまった」

心「飛鳥ちゃんもビール飲むー?」

飛鳥「ボクは未成年だよ」

心「いーじゃんたまには♪四捨五入したら」

飛鳥「四捨五入しても20にはならない」

心「はっ、かかったな! はぁとは一の位を四捨五入しろなんて言ってないぞ☆十の位を四捨五入すれば」

飛鳥「0歳だね」

心「……あれ?」

飛鳥「かなり酔ってるのがよく理解(わか)るやり取りだ」

心「0歳……0歳の赤ん坊飛鳥ちゃんの写真とか見たいなぁ♪」

飛鳥「もう話題が転換したのか……」

梨沙「飛鳥も大変ねえ」

梨沙「ま、口うるさく言われないならアタシはいいわ」

梨沙「(あ、さっき置いた質のよさそうなお肉が焼けてる。食べようっと――)」

心「もーらいっ☆」ヒョイ

梨沙「」

心「うーん、美味♪」モグモグ

梨沙「………」

飛鳥「梨沙?」

梨沙「せ」



梨沙「戦争よーーー!!」ガルルル

心「あー、ごめんごめん☆梨沙ちゃんのだったかー♪」テヘペロ

飛鳥「落ち着け梨沙。キミまで平静を失ってどうする」

P「ほーはほひは」

飛鳥「Pは口の中のサラダをよく噛んでのみこむところから始めてくれ」

飛鳥「やれやれ……あ、すみません。鶏肉追加で」

店員「かしこまりました」

なんだかんだで2時間経ち、帰りの車内


心「いやぁ、なんかはしゃぎすぎたみたいだね。ごめんね」

梨沙「やーっと酔いが覚めたのね」

飛鳥「いいさ。他の客にまで迷惑をかけたわけじゃないから」

P「飛鳥は心さんが酔ってる横で黙々と肉焼いて食べてたな」

飛鳥「いつも騒がしい事務所にいるからね。あれくらいで取り乱したりはしないさ」

梨沙「後半は飛鳥が焼いてプロデューサーがみんなに配る感じになってたわね」

P「各々に取らせてると戦いが始まりそうだったからな」

心「ほんとごめんね♪そしてサンキュー☆」

梨沙「にしても、あの時の飛鳥とプロデューサー、息ぴったりだったわ」

心「はぁともうろ覚えだけど、いいコンビだったと思う☆夫婦みたいだった♪」

飛鳥「だってさ、P」

P「夫婦って……心さん、まだ酔ってるでしょう」

心「あはは、ちょっちね♪でも言われてまんざらでもなかったり?」

P「そんなわけないでしょ、まったく……俺はロリコンじゃないですよ」

梨沙「ダウト!」

P「なんで!?」

梨沙「アタシにあれこれ露出の多い衣装着せたことあるから」

P「それは仕事の都合上のものであってだな」

飛鳥「しかし実際は少量ながらPの私情が混ざっていた可能性も」

P「飛鳥までこの流れに乗るなよ……俺ひとりでツッコむのは疲れる」

梨沙「ま、なんだかんだあったけど、お肉おいしかったからよし!」

心「またこのメンツで焼肉行きたいな♪その時はアルコール控えめにするから☆」

P「そうだなあ……今度のライブが成功したら、打ち上げがてら行きましょうか」

梨沙「さんせーい」

心「はぁともさんせーい」

飛鳥「ボクも。やり残したことがあるから」

P「やり残したこと?」

飛鳥「あぁ」



飛鳥「今度こそ、倒さなければならない相手がいるからね」

梨沙「……ひょっとして、まだ辛口のタレあきらめてなかったの?」

P「これも一種のセカイへの抵抗だな」



おしまい

終わりです。お付き合いいただきありがとうございます
焼肉食いながら野球見たい

飛鳥梨沙しゅがはさんの3人は、全員ボケとツッコミができるところが優秀だと思います

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