墨須「そういうわけで、申請手続きがすむまで預かってほしいんだけど」

公人「はあ」

ミーア「また増えるの！？」

墨須「だーりんくんは色々信用があるからね。頼みやすいのよ」

セントレア「それで一体どんな種族なのですか」

墨須「この子よ」


イカ娘「人類及び他の種族よ、聞け！　私は海からの使者・イカ娘でゲソ！！」


公人「へ？」


ミーア「…………この子、なに？　イカ？」

イカ娘「私はイカ娘でゲソ！」

墨須「クラーケン族のイカ娘ちゃんよ」

メロ「まあ珍しい」

パピ「珍しいの？」

メロ「海で古くから生きている種族と聞いています。私も見るのは初めて」

公人「はあ……。しかし……」

公人（なんかフツーっぽいというか、コンパクトというか）

イカ娘「……む？　お主何を見ているのでゲソ？」

公人「い、いや何かあんまり人間と変わらないっていうか」

イカ娘「何を言うでゲソ！　この触手と……イカスミ！」ブーっ！

ミーア「何か黒いの吐いた！　っていうか髪の毛ウネウネ！？」

イカ娘「これは髪の毛ではない！　触手でゲソ！！」

墨須「それじゃ迎えに来るまでよろしくーｗｗ
　　　あ……それと、この子を傷物にすると怖～い人たちが激おこするからね？」

公人「しませんよ！　人聞きの悪い！！」

イカ娘「まあそういうわけでしばし世話になるでゲソ」

公人「はは。よろしくな？」

イカ娘「ふむ……。お主たけるに似てるじゃなイカ、雰囲気が」

公人「友達？」

イカ娘「私の部下でゲソ！　特徴の薄い感じがそっくりじゃなイカ！」

公人「それって影が薄そうってことか……」

イカ娘「たけるもちょくちょく忘れることがあるでゲソ」

ミーア「あんた何気にひどいわね……。っていうかだーりんのこと悪く言わないで！」

イカ娘「だーりん？」


ミーア「私の恋人ってことよ」ドヤァ


セントレア「な、何を勝手なこと！」

パピ「ずるーいー！」

イカ娘「お主、人気があるのでゲソね？」

公人「ははははは……」

公人「じゃ、夕ご飯の支度しないとな。あ、そうだイカ娘は何か苦手なものあるのか？」

イカ娘「好き嫌いはないでゲソが、大好物はエビでゲソ」

公人「へえ、ダメな食べ物とかないんだ（でも、さすがにイカはダメだろうなあ……）」

セントレア「何でも食べる……雑食ということか」

イカ娘「海では好き嫌いなどできる生活ではなかったのでゲソ」

メロ「苦労されたんですねえ……」ホロリ

イカ娘「食事はお主が作るのでゲソか？」

公人「そうだけど？」

イカ娘「……立場が弱いのでゲソね」

公人「おーい、なんか誤解してませんかー」

イカ娘「よし、今日は私が料理を手伝ってやろうじゃなイカ！」

ミーア「あんた料理できるの？」

イカ娘「まかせるでゲソ！」

イカ娘「できたでゲソー！！」

パピ「美味しそう～！」

ミーア「ほ、ホントに料理できるんだ……」

公人「っていうか触手便利だな」

イカ娘「ま、イカの常識ってところでゲソね」

セントレア「クラーケンではないのか」

メロ「あら、美味しい。このエビチャーハンは絶品ですわ」

イカ娘「千鶴直伝でゲソよ」

公人「千鶴って？　ホストファミリーのひと？」

イカ娘「まあそうでゲソ」


スー「ごはん、ごはん」

イカ娘「ぬあ！？　こ、このヌルヌルしたやつは何者でゲソ！？」

パピ「スーだよー」

公人「スライムのスー。仲良くしてやってくれ」

イカ娘「地上には不思議な生き物がいるのでゲソね」

ミーア「あんたが言うか……」

スー「♪」ヌルヌル

イカ娘「ひえええ～！　な、何をするでゲソ～～～！！」

公人「あ……」

イカ娘「不埒な真似はやめなイカ！！」シュルルル

スー「～～♪」ヌルヌル

イカ娘「つ、つかみどころがないでゲソ……！！」

公人「スー、ブレイクブレイク！」


イカ娘「は～は～……！　お、恐ろしいヤツでゲソ！」

ミーア「まあ、ある意味そうね」

イカ娘「しかし……服がべとべとになってしまったでゲソ……」

ミーア「あ、じゃあ着替えたほうが」

イカ娘「いらんでゲソ。すぐにはがれると思うでゲソから」

公人「はがれる」


ぺりぺり……


イカ娘「よっと」

メロ「あらまあ！」

パピ「服から粘液がとれちゃった！」

ミーア「なんでできてんの、その服」

イカ娘「私の自慢の一張羅でゲソ！」

ミーア「答えになってないし……」

ラクネラ「なぁに～また増えたわけ？」


パピ「あ、やっと起きてきた」

イカ娘「でっかいクモでゲソ！？」

公人「アラクネのラクねーさんだよ」

ラクネラ「よろしく。お嬢さん」

イカ娘「何か危険な感じのするやつでゲソ……」


ラクネラ「あら、美味し。腕を上げたわね、ハニー」

公人「あ、それはイカ娘が作ってくれたんだ」


パピ「イカちゃん、遊ぼう」

イカ娘「おっ、このゲーム機うちにもあるでゲソ。ふふふ、栄子相手に鍛えた腕を見せようじゃなイカ」

ラクネラ「しかし……色々と手ごわそうなのがきたわねえ」

セントレア「特に凶暴そうには見えないが？」

ラクネラ「バッカねえ。そういう意味じゃないわよ。
　　　　　見た目も悪くないし、私たちみたく場所とらないし、家事できるし」

ミーア「……」

メロ「確かに旦那様は助かっているご様子ですわ」


パピ「てやーー！」

イカ娘「甘いでゲソ！」

（ゲーム中）


ミーア（ひょっとして……これはまずいのでわ）


イカ娘「ふー。勝利のジュースは美味でゲソ」

ミーア「イカ娘ちゃん？　ちょっと話があるんだけど～？」

イカ娘「なんでゲソ？」

ミーア「……言っておくけど、だぁりんの一番は私なんですからね！　変なこと考えないように！」

イカ娘「？」

ミーア「あんた、わかってんの？」

イカ娘「わからんでゲソ」

ミーア「だから～だぁりんに必要以上にベタベタしない！　今のところしてないけど今後も禁止！」

イカ娘「仲良くしてはイカんのでゲソか？　でも、公人は良いヤツでゲソ」

ミーア「そんなことわかってるわよ！」

イカ娘「私にはわからんでゲソ～。つまりどういうことなのか、わからないじゃなイカ！」

ミーア（この子ある意味パピ以上にお子様だわ……）

イカ娘「しかし世話になってる以上公人の手伝いはせんわけにはいかんでゲソ。
　　　　他の連中はなぜか手伝いをしないようでゲソから」

ミーア「うぐ！　い、痛いところを……！」

ミーア「わ、私だってだぁりんに美味しいごはん作れるんだからーー！！」

公人「わーー！　ちょ、ちょっと待った！！」

セントレア「頼む、それはやめてくれ！」

イカ娘「なんなんでゲソ……」


公人「い、イカ娘？　ちょっとそのへん散歩でもしてくるか？」

イカ娘「げ、ゲソ？」


ミーア「あ」

パピ「逃げた」

セントレア「逃げたな」

ラクネラ「逃げたわね」

イカ娘「お主ってけっこうヘタレでゲソね？」

公人「そ、そんなことはない……と思う」

イカ娘「大勢に好かれているのに何かビクビクしてるでゲソ」

公人「色々と事情があるんだよ（エッチしたら逮捕＆強制帰国だしなあ……）」

イカ娘「でも逃げ回るのはどうかと思うじゃなイカ」

公人「ははは……耳が痛いな」


イカ娘「ところでどこに行くのでゲソ？」

公人「特に考えなしで来ちゃったからなあ。どっか行きたいとこあるか？」

イカ娘「……ふむ。あの店は一体なんでゲソ。本屋っぽいでゲソが」

公人「本屋って（あそこっていわゆるオタクショップじゃないか！）」

イカ娘「そういえば今週のチャンピオンが気になるでゲソ」

公人「あ、おい。ちょっとちょっと！！」

イカ娘「薄いくせにやたら値段の高い本ばっかりでゲソ……」

公人「こ、こら！　お前にはまだ早い！　見ちゃいけません！！」

イカ娘「っていうか袋に入ってるから読めないでゲソ」

公人「ほっ……」

イカ娘「こっちのほうは普通の値段でゲソね？　みんな同じマークが入ってるじゃなイカ」

公人（成年マーク……）

イカ娘「っていうか、裸や半裸の絵ばっかりじゃなイカ！？」

公人「わあ！　わあ！　わあ！　こ、こっち！　こっちのコーナーは普通のだから！」

イカ娘「あ、本当でゲソ。進撃！　タコ娘の最新刊が売ってるじゃなイカ」

公人「それ買ってやるから、もうここ出るぞ。良い子はいちゃいけないの」

イカ娘「なんか気になるけど、まあいいでゲソ」

公人「やれやれ。ミーアたちとは違う意味で疲れる……」


？？？「店のみなさーん！　手を上げてほしいブー！」


イカ娘「なんでゲソ」


オーク「自分はオーク新境地開拓連盟の者ブー！　今よりこの店は占拠させてもらうブー！！」


イカ娘「…………」

イカ娘「ブタが服着てしゃべってるでゲソ！？」

公人「いや、おどろくことそこ！？」

オーク「そこ！　ブタって言ったら訴えられるブー！！」

公人「やばい！」

イカ娘「だってブタじゃなイカ？」

オーク「ぐぬぬ……生意気な！　でも、よく見れば良いロリっ娘だブーｗｗｗｗ」

イカ娘「何言ってるのかわからんでゲソが、早苗と似たものを感じるでゲソ……」

オーク「へい！　こっちにくるブー！　でないとこの銃で……」

公人「よせ……！」

イカ娘「……」シュッ

　シュバ！！

オーク「ぶひー！？　これなんだブー！？」

公人「しょ、触手で拘束」

イカ娘「ほれほれ、でないとどうするでゲソ？」

オーク「うほっ！　ロリっ娘の触手でペチペチｗｗｗ　これはｗｗｗ」

イカ娘「……う！　気持ち悪いでゲソ！！」ビュン！！

　ドゴ！！

オーク「ゲホ！！！」


　………………。


墨須「いやー、ご協力感謝するわ、イカ娘ちゃん」

イカ娘「この程度、どうということはないでゲソ。千鶴に比べれば子豚同然じゃなイカ」

公人（千鶴って人はそんなに怖いのか……）

墨須「でも、本当にすごいわねえ。ＭＯＮにスカウトしちゃおっかしら？」

イカ娘「その仕事は大変そうなのでお断りでゲソ」

公人「何にせよ、大事がなくって良かった。ありがとな、イカ娘」なでなで

イカ娘「き、気安く頭を触るのではないでゲソ！」

公人「あ、すまん……」

イカ娘「ま、まったくそんなところまでたけるっぽいとは油断ならないじゃなイカ」

公人「そもそも、そのたけるって誰」

墨須「確か彼女のホームステイ先のお子さんね」

公人「え、てことは……子供」

イカ娘「小学生でゲソ」

公人「じゃ、オレは小学生と同じように見られてたってことか！？」

イカ娘「雰囲気が似てるだけでゲソ」

公人「それもあんまり喜べそうにないな、なんとなく」


　………………。


公人「やれやれ……。ひと騒動あったけど、無事帰れたな」

イカ娘「あ。チャンピオン買うの忘れたでゲソ！」

公人「そこのコンビニで買えばいいだろ？　って、そういうのも費用で落ちるのかな……」

イカ娘「だったら新作のゲーム欲しいでゲソ」

公人「いや、落ちるのかなと言っただけでな……？」

？？？「……」


イカ娘「ん……。何か視線を感じるでゲソ……」

公人「あ、犬がついてきてる……って数多っ！？」

イカ娘「ひええええ！　なんでここでも犬に追われるのでゲソか～～！」

公人「おい、触手やめ……！　お、俺を盾にするなああーーーー！」

イカ娘「男だったら、どうにかしなイカ！！」

公人「この状態でできるかーーー！！」

犬「ばうわう！！」

イカ娘「ぎえええええええ！」

公人「くるなああああああ！」


セントレア「はあああ！」

　カッ！！


犬「きゃいん！」

セントレア「ご無事ですか、主殿！　そしてイカ娘！」

公人「セレア！」

イカ娘「お、おお……！　かっこいいでゲソ……」

セントレア「主殿たちの帰りが遅いので迎えにきたのですが……まさかこうなっていたとは」

イカ娘「助かったでゲソ！　まるで能面ライダーみたいじゃなイカ」

セントレア「のう……なに？　ライダーはわかるが」

公人「能面ライダー……。ああ、あれな」

セントレア「主殿、のうめライダーとは何ですか？」

公人「日曜の朝にやってる子供向け番組……。まあ、ヒーロー番組ってやつだな」

セントレア「ライダーは騎兵の意味だから、私にふさわしいとは思いますが……」

公人（いや、君の場合自分が乗り物みたいなもんだから……）

イカ娘「うう。それにしても何で犬は私を追いかけるのでゲソか」

セントレア「逃げたり脅えたりするから余計に追われるのではないか？」

公人「動物はそういうのに敏感っていうものな」


イカ娘「ともかくまた追いかけられてはたまらんから警護を頼むでゲソ」

セントレア「うむ。まかせておくがいい！」

公人「っていうか、オーク余裕でやっつけたのに犬には負けるんだな……」

イカ娘「それは言わないでくれなイカ」

セントレア「オークを倒した！？　それはまことですか！！」


…………。


？？？「」


イカ娘「また視線を感じるでゲソ」

公人「また犬か？」