瑞鶴「忘れられない日々」 (23)
彼女の笑顔は、とても冷たい。まるで仮面でも被っているかのような形だけの笑顔だ。
いつからそんな顔をするようになったのかも、どうしてそんな顔をするのかもわかってる。そしてもう二度とその仮面を外すことは無い事もわかってる。
でも、それでも私は眩しくて、暖かくて、見ると安心するような彼女の笑顔が大好きでした。
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【瑞鶴「忘れられない日々」】
「何してるの?瑞鶴さん」
私が艦載機のお手入れをしていると、瑞鶴さんが隣で何かを書き出した。始めはただただ眺めていようと思ったけれど、少し書いては筆を止め、何かを懐かしむように目を閉じる彼女をみて思わず声をかけてしまった。
「手紙を書いているのよ」
「手紙?」
「そ、手紙」
彼女はこちらに視線を移さずずっと何かを書いている。私は艦載機を磨いている手を止め、すらすらと滑らかに紙の上を滑る筆先を眺めていた。
「瑞鶴さんって、字を書くの上手かったんだ」
「それはどういう意味かしら、瑞鳳」
彼女の書く字があまりに綺麗で、普段の姿からは想像もつかない程に美しくて、つい思った事を口に出してしまった。
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