タミ「マチちゃん、放課後デートしよ?」 (36)

ハナヤマタのSSです。

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放課後 生徒会室

マチ「ふぅ、これで一段落かしら…… 付き合わせちゃって悪かったわね、タミ」

タミ「ううん、大丈夫だよー」

マチ「それじゃ、今日はよさこい部の練習も無いし帰りましょ」

タミ「……」

タミ「ねぇマチちゃん、お願いがあるんだけど~」

マチ「何?」

タミ「今日はこれから何か予定ある?」

マチ「もうすぐテストだし家に帰って勉強するわ」

タミ「そっか…… それならこの後デートしない? 放課後デート!」

マチ「却下」

タミ「えぇ~ なんで~?」

マチ「今さっき予定があるって言ったじゃない……」

マチ「それに放課後に制服で出歩くなんて不純よ、仮にも私たちは生徒の代表なんだしそんなことダメよ」

タミ「うぅ……」

マチ「お出かけなら休日にすればいいでしょ? 何で今日なのよ」

タミ「だって~、放課後の制服デートは今しか出来ないんだよ!?」

タミ「普段はよさこい部の練習とか生徒会の仕事とかで忙しいし、今日を逃したらもう放課後デート出来ないかもだよ?」

マチ「まぁ確かに……」

タミ「マチちゃんはわたしとデートするの、嫌?」

マチ「嫌ってわけじゃないけど……」

タミ「それならいいでしょ? マチちゃんの行きたい場所でいいからぁ~」

マチ「うぅ」

タミ「おねがぁい~」

マチ「……」

マチ「はぁ、仕方無いわね…… いいわ」

タミ「やったー!」

マチ「ただし、夜遅くまで出歩くのはやっぱりダメよ、普段よさこい部の練習が終わるくらいの時間には帰りましょう」

タミ「うんうん、それでも十分だよ」

マチ「そうと決まったら行きましょう」

タミ「え? もう行く場所決まってるの?」

マチ「ええ、私の行きたい場所でいいんでしょ?」

本屋

タミ「うー……」

マチ「これと…… これかな……」

タミ「何でせっかくのデートなのに参考書なんて買ってるのー!」

マチ「いいじゃない、私の買い物にタミが付き合ってくれるんだから」

タミ「そんなのデートじゃなーい!」

マチ「私はデートだなんて思って無いわ」

タミ「マチちゃんのばか~」

マチ「タミも何か買ったら? ダイエットの本とか」

タミ「もぉ~!」

タミ「…… 欲しい本は買えたの?」

マチ「ええ買えたわ、タミはいつも買ってる雑誌買わなかったの?」

タミ「あれは定期講読してるから勝手に届くの!」

マチ「はいはい、それじゃ次に行きましょうか」

タミ「え? 次も決まってるの?」

マチ「そうよ、時間も無いし早く行きましょう」


レコード店

タミ「う~」

マチ「やっぱりセンターはこっちかしら……」

タミ「マチちゃん!」

マチ「なーにー?」

タミ「マチちゃんがアイドル好きなのは知ってるけど、少しはわたしにかまってよ!」

マチ「いいじゃない別に」

タミ「うー……」

マチ「ん、そう言えばこのアイドル ちょっとタミに似てない?」

タミ「えっ、そうかなぁ……?」

マチ「んー…… 何かこう、雰囲気が」

タミ「そっかー、それなら……」

タミ「この娘とわたし、どっちが好き?」

マチ「どっちがって……」

マチ「そんなのタミの方が好きに決まってるじゃない」

タミ「えっ…… あっ、あっ」

マチ「何赤くなってるのよ……」

タミ「だ、だって、マチちゃんが『好き』って言うなんて珍しくて……」

マチ「そうかしら?」

タミ「そうだよー!」

マチ「『好き』って言うくらいなら何回でも言ってあげるわよ」

タミ「ほんとに!? 言って言って~」

マチ「ん……」

タミ「んー?」

マチ「……やっぱり無し」

タミ「えー? 何でー?」

マチ「…… 改めて言うのは恥ずかしい」

タミ「むぅ……」

マチ「つ、次の場所行きましょう」

タミ「次はどこー?」

マチ「ここよ」

タミ「ここって…… クレープ屋さん?」

マチ「そうよ この前タミが行きたいって言ってたとこでしょ?」

タミ「えっ、えっ? 今日はマチちゃんの行きたい所に行くんじゃないの?」

マチ「別に…… デートでクレープ食べに行くのは定番でしょ……」

タミ「マチちゃん……」

マチ「何よ……」

タミ「やっぱりマチちゃん大好き大好きだいすきー!」

マチ「ちょっ…… は、恥ずかしいからやめて!」

タミ「えー、ダメぇ……?」

マチ「は、早く並びましょ 遅くなっちゃうし……」

タミ「ふふっ、そうだね」

タミ「美味しかったね、クレープ」

マチ「ええ、そうね」

マチ「それじゃあゴミ捨ててくるからタミはちょっと待ってて」

タミ「えっ、そんなのわたしも一緒に」

マチ「今日は結構色んなところ回ったし疲れてるでしょ? ちょっと休んでていいわ」

タミ「別に疲れて…… ううん、ありがとうマチちゃん」

マチ「それじゃ捨ててくるわ」



マチ「……」

マチ(『放課後デート』か……)

マチ(タミが相手とはいえ、放課後に誰かと出歩くなんて考えたことも無かったかも……)

マチ(私も大分変わったわね……)

マチ(変われたのはきっとよさこい部の、タミのおかげかしら)

マチ(今日だってタミが言い出さなければいつもと同じようにただ真っ直ぐ帰ったでしょうね)

マチ(こんな融通が効かなくて不器用な私とずっと一緒に居てくれたタミには感謝しなくちゃ)

マチ(……)

マチ(今日、タミは楽しかったのかしら)

マチ(放課後デートなんてどこに行ったらいいか分からないから結局今日は私の行きたいところに行っただけだし……)

マチ(タミは『マチちゃんと一緒に居られたらそれでいいよ』って言ってくれるかもしれないけど……)

マチ(……)

マチ「はぁ……」

マチ「こうやって無駄に一人で悩んじゃう癖もやめなくちゃね……」

マチ「不安があるならタミに直接、ん?」

マチ(タミの近くに誰か居る、制服着てるし別の学校の男子かしら)

マチ(見た感じ知り合い、ってわけでは無さそうだけど……)

マチ(え!? 何あれ? ラブレター!?)

マチ(ちょ、ちょっと待ってよ!)

男子「お、お願いします」

タミ「は、はぁ……」

マチ「ちょっとアナタ!」

男子「は、はい?」

タミ「マチちゃん?」

マチ「私のタミに何か用かしら……?」

男子「え? えーっと…… 用はもう」

マチ「用が無いなら帰ってもらえる? 私たち今デート中なんたけど?」

タミ「えっ…… マチちゃん……?」

男子「は、はい! お邪魔してすいませんでした!」

マチ「ふぅ…… 何だったのよ今の……」

タミ「えっと…… マチちゃん勘違いしてない……?」

マチ「えっ…… 勘違い?」

タミ「うん、勘違いしてると思うよ……」

マチ「今の人タミをナンパしに来たんじゃないの? ラブレターみたいなの渡されてたじゃない」

タミ「えっと…… 確かにこれラブレターなんだけど、わたし宛てじゃないの」

マチ「えっ……? どういうこと?」

タミ「あのね、今の人はうちの学校の子に恋したらしくて、ラブレターを渡そうとしたの」

タミ「だけど、いざ直接渡そうとしたら急に勇気が出なくなっちゃったみたいで」

タミ「渡すことに失敗したんだけど、偶然制服が同じわたしを見つけて」

マチ「タミに代わりにラブレターを渡して欲しいって頼んだ、と?」

タミ「うん、そういうことだよ」

マチ「……」

マチ「はぁぁぁぁぁ……」

タミ「ま、マチちゃん?」

マチ「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい…… 勘違いだったなんて……」

タミ「ふふ、今の人すっごい恐がってたよね」

マチ「…… 私そんな恐い顔してたかしら」

タミ「うん…… わたしもマチちゃんの顔見てちょっとびっくりしちゃった……」

マチ「うぅ…… 謝りたいけど……」

タミ「行っちゃった…… ね」

マチ「はぁ……」

タミ「ねぇねぇそれより~」

マチ「何よ……」

タミ「さっき言ってくれたこともう一回言って?」

マチ「さっき…… 何か言ったかしら?」

タミ「だから~」

タミ「『私のタミに何か用かしら?』って言ってくれたでしょ?」

マチ「あっ……」

タミ「『私のタミ』だなんて~ もうマチちゃんったら~」

マチ「あっ、そ、それはそういう意味で言ったんじゃなくて…… て言うかあの時は気が動転してて……」

タミ「えへへ~ わたしマチちゃんのモノになっちゃった~」

マチ「ちょっと! 話聞きなさいよ!」

タミ「えへへ~」

帰り道

タミ「えへへ~」

マチ「いつまでにやにやしてるのよ……」

タミ「だって~ 今日はマチちゃんに好きって言われたり~ マチちゃんのモノになったり~ とっても嬉しかったな~」

マチ「……」

マチ「ねぇタミ、今日 本当に楽しかった?」

タミ「え?」

マチ「私…… 放課後に誰かと遊びに行くなんて経験無かったし、何処に行けばいいかわからなかったの」

マチ「だから私の行きたい所に連れ回しただけで…… これでタミは本当に楽しかったのかな、って……」

タミ「マチちゃん……」

タミ「わたしはマチちゃんと一緒ならどこに行ったって楽しいよ」

マチ「うん、私もタミと一緒だったから凄く楽しかった、だけどそれでいいのかなって、タミに無理させてるんじゃないかって…… そう思うの」

タミ「マチちゃん……」

マチ「不安……なの、不器用で融通の効かない私と一緒に居てタミは楽しいのか、って」

タミ「そっか…… それなら……」

タミ「ぎゅーっ」

マチ「ちょっ、 何いきなり抱き付いてるのよ!」

タミ「マチちゃん大好きー!」

マチ「はぁ?」

タミ「だってマチちゃんはわたしがマチちゃんと一緒に居るのが楽しいか、幸せか不安なんでしょ?」

マチ「……うん」

タミ「わたしはねマチちゃんと一緒に居るの、すっごく好き 大好きだよ」

タミ「だから、もしマチちゃんが不安だっていうなら、その不安が無くなるまで……」

タミ「ずっとこうしててあげる! マチちゃん大好き!」

マチ「っ…… 分かった分かったから! もういい加減離れてってば!」

タミ「ふふふー まだだよー」

マチ「えぇ?」

タミ「マチちゃんは『好き』ってあんまり言葉にしてくれないし、わたしだって不安なんだよ?」

マチ「……」

マチ(タミも不安…… そうよね……)

タミ「だから、もう一度 何度でも言って」

タミ「わたしのこと、好き?」

マチ(今までは自分の不安な気持ちを誤魔化すばかりでタミのことが見えて無かったのかもしれないわね……)

マチ「大好きよ、タミ」

タミ「マチちゃん……」

マチ(これからはタミのこと、ずっと見ているから)

タミ「ねぇねぇ、明日も放課後デートしよ! 今度はわたしの好きなとこで!」

マチ「ダメよ」

タミ「えー! 何でー!」

マチ「もうすぐテストだって言ったでしょ、それにテストが終わったらまたよさこい部の練習よ」

タミ「それじゃあ放課後デートは当分無し?」

マチ「ええ、そうなるわね」

タミ「うぅー……」

マチ「……」

マチ「ねぇタミ」

タミ「ん?」

マチ「手、繋いで帰りましょうか」

タミ「…… うんっ」

次の日 お昼 屋上

タミ「ねーねーみんな聞いてーきいてー、わたし昨日マチちゃんと放課後デートしたのー!」

マチ「!?」

なる「え……!? ほ、放課後デートぉ~」

ハナ「おお! それは詳しくお話を聞かせて頂きたいデス!」

ラン「へ、へぇ…… 二人も放課後に遊んだりするもんなんですね~」

わ子「ランも凄く気になってるみたいなので詳しくお願いします」

ヤヤ「いやいくら何でもあんた達がっつき過ぎでしょ……」

タミ「えへへ~ それでね~、わたしマチちゃんのモノになっちゃったの~」

なる「えぇ~!?」

ハナ「おお! それはそれは……」

マチ「ちょっと! それ話端折り過ぎ! みんなが誤解するでしょ!」

タミ「えぇ~ 昨日はあんなに『タミのことが好き』って言ってくれたのに~?」

マチ「そ、そうだけど…… もう!」

これで本編は終了です。次からおまけです。

みんなの放課後

ハナ「なる!ヤヤさん! 今日はテスト前で部活動はお休みデス! 遊びに行きましょう!」

ヤヤ「いや、何のためにテスト前に部活動が休みになってると思ってんのよ……」

ハナ「え~、せっかくデスから遊びに行きましょうよ~」

ヤヤ「そんなこと言ってると赤点になるわよ、今度は勉強教えてあげないからね」

ハナ「うっ…… 今回もヤヤさんに教えてもらおうと思ったのに……」

ヤヤ「はぁ!? テスト勉強くらい自力でやりなさいよ!」

なる「ま、まぁテストまでまだ1週間くらいあるし今日くらいはいいんじゃないかな……?」

ハナ「なる~」

ヤヤ「…… ま、まぁなるがそう言うならそれでいいけど」

ハナ「そうと決まれば早速みんなを誘ってゴーゴーデス!」

なる「あっ、今日はタミお姉ちゃんとマチさんは生徒会の仕事があるって」

ヤヤ「あんたと違って暇じゃないみたいね」

ハナ「うぅ…… それならランさんとわ子さんを誘ってきます!」

なる「行っちゃった……」


ハナ「と、そんなワケで遊びに行きましょう!」

ラン「ふーん、まぁいいけどどこ行くの?」

ハナ「どこって、放課後の学生が遊びに行くのはゲームセンターって決まってるじゃないデスか~」

ヤヤ「いや決まって無いし……」

わ子「……」

なる「ん、わ子ちゃんどうしたの?」

わ子「あ、いえ、別に……」

ゲームセンター

ハナ「これ!これデス! わたしこのゲームスッゴイ得意なんデス~」

なる「これって、ダンスゲーム?」

ハナ「誰か一緒にやりましょう!」

ラン「ふん、いいわこのランちゃんがやってやろうじゃない!」

ハナ「ふっふーん 負けませんよ~?」

ラン「ゲームとは言えダンスでランちゃんが負けるわけ無いでしょ」

ハナ「それじゃスタートデス!」

ヤヤ「相変わらず楽しそうねあの二人……」

なる「あはは……」

わ子「……」

なる「どうしたの? わ子ちゃん」

わ子「あ…… ゲームセンターって初めて来たので……」

なる「そうなんだ~ プリクラとか撮ったこと無いの?」

わ子「はい、ランくらいしか友達が居ませんでしたし」

なる「そっか、それなら今日はいっぱい楽しんでいこうね」

ラン「勝った!」

ハナ「負けました……」

ヤヤ「ハナ、今度は私と対戦よ! あんた達の見てたら私もやりたくなってきたわ!」

ハナ「今度はヤヤさんが相手デスね、負けませんよ!」

わ子「ねぇラン!」

ラン「何?」

わ子「向こうでプリクラ撮ろう」

ラン「え? 二人で?」

わ子「だめ?」

ラン「まぁいいけど……」


ヤヤ「勝った!」

ハナ「また負けました……」

ヤヤ「あんた弱いんじゃないの~?」

なる「あはは……」

ハナ「うぅ……」

なる「どきどき……」

ハナ「……」

なる「……」

ハナ「あー!」

なる「だめだったね……」

ハナ「うぅー…… でもまだ一回できます、次こそは……」

ヤヤ「はぁ…… やり方が違うのよ、ちょっと貸してみなさい」

なる「ヤヤちゃん得意なの?」

ヤヤ「当たり前でしょ? ほらっ」

ハナ「おー! 取れました!」

なる「凄いねヤヤちゃん!」

ヤヤ「ふっふーん まぁこんなもんでしょ」

ヤヤ「それじゃあお菓子みんなで分けましょうか、ハナはこれね」

ハナ「むむ!? コレはなんデスか?」

ヤヤ「酢昆布っていう日本ですっごく有名で大人気の駄菓子よ、しっかり味わいなさい」

ハナ「おぉ! そんなお菓子をくれるんデスか!? ありがとうございます!」

なる「あはは……」

ラン「で、どれで撮るの?」

わ子「…… こんなに種類あるんだ」

ラン「え? 自分で誘っといて決めてなかったの?」

わ子「いや…… プリクラとか撮ったこと無くて……」

ラン「わたしだって無いし…… じゃあこれ! これに決定!」

わ子「うん」


ラン「…… いや、プリクラ撮る時ってもっと笑顔になるもんじゃないの?」

わ子「え? 私笑ってない?」

ラン「ぜんっぜん、いつも通り」

わ子「おかしいな…… ランと二人でプリクラ撮れて楽しくないわけ無いんだけどな……」

ラン「もー、何言ってんの ハイハイ笑って笑って、笑ったらわ子は結構カワイイんだから」

わ子「あっ…… そう?」

わ子「じゃあ、これ大切にするね」

ラン「大切にって…… ただのプリクラでしょ?」

わ子「ううん、机の中にしまっとく」

ラン「いやそれはおかしいでしょ……」

わ子「そうなの?」

ラン「そうでしょ、こんなのテキトーにケータイとかに貼っとけばいいの」

わ子「だって…… これは大切な思い出だし……」

ラン「はぁ? プリクラなんていつでも撮れるし、また来ればいいじゃん」

わ子「本当に?」

ラン「えっ、何が?」

わ子「本当にまたプリクラ撮ってくれる?」

ラン「いいって言ってるでしょ?」

わ子「本当に本当に本当に?」

ラン「ホントにホントにホントよ! そんな行きたいなら明日も行く!?」

わ子「いや、明日はテスト勉強するから」

ラン「何でそんなマイペースなのよー!」

わ子「じゃあ、先輩たちのところ戻ろう」

わ子「……」

わ子「ラン」

ラン「何?」

わ子「今日は楽しかったね」

ラン「……はぁ」

ラン「プリクラの時もそうやって自然に笑えば良かったのに……」


おしまい

読んでくれた方ありがとうございます。
質問、指摘、要望などありましたらご自由にどうぞ。

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