ハナ「マチさんにラブレター!?」 (52)

ハナヤマタのSSです

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お昼休み 屋上

マチ「そう、下駄箱に入ってたの」


常磐真智様へ

伝えたいことがあります、
今日の放課後美術室まで来てください


ハナ、なる「ほえー」

『下駄箱にラブレター』、これ自体は中学生には珍しいことでは無いかもしれない

だがここが女子校であること、そして私に宛てられたモノとなると話は別だ

ヤヤ「こ、これってやっぱり……女の子からってことですよね……?」

マチ「送り主の名前が書いてないから分からないけど、おそらくそうでしょうね」

ハナ「マチさんにラブレターって……相手は一体どんな方なんデスかね……?」

マチ「それ、どういう意味よ……」

なる「ら、らららラブレターってぇ~
うわぁ~マチさぁ~ん!」

ハナ「な、なる~!」

マチ「一人で勝手にショートしてるし……」

さっきから興味津々の3人に対して全く会話に入ってこないタミ、ランちゃん、わ子ちゃんの3人

その中でも特にランちゃんは楽しくて仕方ないといった様子だ

ここから導き出される結論は……

マチ(イタズラ、ね……)

大方私が美術室に入った時「どっきりでした~」と出てくるつもりなのだろう

普段のようにタミのイタズラなら無視する所だけど、もし一年生のどちらかがやったのならばそうはいかない

マチ(こんな下らないこともう二度としないようにちゃんと説教しなきゃ)

私はこのイタズラにワザと引っ掛かってあげる決心をしてお昼休みを終えた

放課後

マチ(それにしてもこのイタズラ少し単純過ぎないかしら……)

マチ(今時こんなのに引っ掛かるのなんてハナちゃんとなるちゃんと……ヤヤちゃんくらいじゃないかしら)

そんなことを考えつつ私は美術室の扉を開ける

マチ「さぁ、イタズラに付き合いに来てあげたわよ」

タミ「あ、あの、えと……」

美術室の中に居たのはやたら慌てているタミだった

マチ「やっぱりタミだったのね……ていうか何でそんなに慌ててるワケ? 段取り悪過ぎない?」

タミ「えっと……あのね……」

マチ「で、今回は一人で考えたの? それとも1年生の二人との共犯?」

タミ「違う、違うの!」

マチ「……何が違うのよ」

タミ「あの手紙ね……私が書いたの……」

マチ「うん、あの手紙の文字凄い綺麗だったし大体予想付いてた」

タミ「だからそうじゃなくて……」

マチ「何よ、話があるなら早く終わらせてね」

やたら歯切れの悪いタミから繰り出された次の言葉は私の心を大きく揺れ動かした

タミ「私、マチちゃんに告白するためにラブレターを書いたのっ!」

マチ「え…………」

『告白』? タミが? 私に?

だってタミは女の子で私も女で、それに今回のラブレターはイタズラで、

あっそうか、イタズラだ

マチ「こ、今回のイタズラは中々、て、てて手が込んでるじゃない……」

タミ「えっ、」

しまった

私の心無い一言、それはタミの目に2筋の涙を流させてしまった……

タミ「マチちゃん……」

マチ「ちょ、ちょっと泣かないでよタミ……」

タミ「ご、ごめんね……わたっ、わたしなんかが告白しても、迷惑、だったよね……」

目の前で力無く涙を流すタミは百合、と表現するにはあまりにも弱々しく、今にも崩れ落ちてしまいそうだった

マチ「た、タミっ!」

そんなタミを見ていられなかった私は思わずタミを抱き締めた

タミ「マチちゃん……」

マチ「ごめん……」

タミ「謝らないでよ……それに好きじゃないならこんなことしないで……」

マチ「好きよ」

タミ「え?」

マチ「私だってタミのことが好き、もちろん恋愛対象として……」

タミ「信じて……いいの?」

マチ「ごめん……さっきは動揺してて……
酷いこと言っちゃったよね……」

マチ「タミの優しい所が好き、タミはどんな時だって私のことを思ってアドバイスしてくれた」

マチ「タミの穏やかな所が好き、タミは私がイライラしている時に癒しを与えてくれた」

マチ「タミの頼りになる所が好き、タミは私が生徒会長になった時も、よさこい部に入った時も、姉さんと上手くいかなかった時も私のことを助けてくれた!」

マチ「タミは……ずっと私の側に居てくれたから……ずっと私の隣に居てくれなきゃ嫌だから!」

マチ「だから……私と付き合ってください、西御門多美さん」

タミ「マチちゃん……私も大好きだよっ!」


マチ「ごめん、ちょっといいかしら」

タミ「ん?」

私はタミとの長い抱擁を終え、美術室の窓の方へと向かった

マチ「そこに隠れてるアナタ達!」

ラン「ヤバッ! バレた!?」

わ子「」

マチ「私が何を言いたいか分かるかしら……?」

ラン「ランちゃん大ぴ~んち……」

タミ「マチちゃん」

マチ「ちょっと待って、今この子たちに

タミ「ちゅっ」

え?

マチ「……」

タミの唇が私の頬に……?

マチ「何……今の……?」

タミ「ふふふ、一瞬過ぎて分からなかった?」

タミ「じゃあ今度はマチちゃんがじっくり味わえるように、ゆっくりしてあげるね」

タミ「ちゅっ」

ラン視点

『ラブレター事件』前日

ラン「わ子~ なんか面白いこと無い~?」

わ子「無い」

ラン「つまんない~」

わ子「……」

ラン「そだ! イタズラしよう!」

わ子「ダメ」

ラン「……別に今回はそんな手の込んだものじゃなくて簡単な奴にするって」

わ子「具体的に?」

ラン「名付けて『ドキドキ!?ラブレター大作戦!』」

わ子「……具体的に?」

ラン「誰かに嘘のラブレターを送るどっきり!」

わ子「ちょっと興味出てきた」

ラン「相手は~ マチ先輩とかどう?」

わ子「すぐにバレそう」

ラン「そうかな~?」

わ子「それよりマチさんを騙すフリをしてタミさんにどっきりを仕掛けるってどう?」

ラン「どゆこと?」

わ子「まずマチさんへの嘘のラブレター作戦をタミさんにも手伝ってもらう」

ラン「そんなことやってくれるの?」

わ子「あの人意外とイタズラ好きだから大丈夫」

ラン「そ、そうなんだ……」

わ子「それでタミさんにどっきりのネタバラシ役になってもらって」

ラン「ふんふん」

わ子「マチさんにたっぷり説教されてもらう」

ラン「……」

わ子「どう?」

ラン「いいよいいよ! わ子もそういうこと考えるんだね!」

わ子「……ランと一緒にされたくない」

ラン「ちょっとソレどういう意味っ!」

部活終わり 屋上

わ子「タミさん」

タミ「なぁに? わ子ちゃん、ランちゃん」

ラン「マチ先輩にイタズラ仕掛けませんか?」

タミ「イタズラ? うんいいねいいね! やろう!」

ラン(ホントにノリノリだ……)

わ子「今回はマチさんにラブレターを渡してドキドキさせるっていう作戦です」

タミ「うん! マチちゃんラブレターなんて慣れてないだろうしきっとアタフタしてくれるよ!」

ラン(ホントはタミ先輩にもアタフタしてもらうんだけどね~)

わ子「ラブレターはタミさんが書いて貰えますか?」

タミ「いいよいいよ~ なんて書こっか?」

わ子「じゃあ」


常磐真智様へ

伝えたいことがあります、
今日の放課後美術室まで来てください


わ子「こんな感じで」

タミ「はーい」

わ子「それで、タミさんにはどっきりのネタバラシ役をやってもらいます」

タミ「私が~? いいの!?」

ラン「タミ先輩しか居ないですって」

わ子「タミさんには美術室の掃除用具箱の中に隠れてもらって、マチさんがやって来た後タイミングを見計らって飛び出してもらいます」

タミ「なるほど~
そうだ! せっかくだしアタフタするマチちゃんの様子をビデオで撮ろうよ!」

ラン「あっ! それいいですね!」

タミ「でしょ? きっと後でそのビデオ見せたらマチちゃんとっても恥ずかしがるよ!」

わ子「……」

タミ「よーし、それじゃあマチちゃんどっきり大作戦やるぞー!」

ラン「おー!」

わ子「……」

次の日 屋上

ハナ「マチさんにラブレター!?」

マチ「そう、下駄箱に入ってたのよ」


ラン(ふふっ、マチ先輩ばっちり引っ掛かってますよ)

タミ(そうだね~マチちゃん凄いそわそわしてるよ~)

ラン(ん? どうしたのわ子)

わ子(んー、何でも無い)

放課後 美術室近くの茂み

ラン「よーしここからなら美術室もばっちり見える!」

ラン「この後はタミ先輩が来て、掃除用具箱に隠れようとする」

ラン「すると美術室には掃除用具箱が無いことに気付いて」

ラン「ふふっ 想像しただけで……
ん? わ子また何か考えてんの?」

わ子「いや、上手く行き過ぎてると思わない?」

ラン「え?」

わ子「タミさんがいくらイタズラ好きって言ってもあんなノリノリで、さらにイタズラの提案までするかなーって」

ラン「うーん……ランちゃんよくわかんない……」

わ子「まぁわたしの考え過ぎかもしれないけど」

ラン「そっかぁ……」

わ子「あっ、タミさん来たっ! 隠れて」

ラン「うん!」

タミ「……」

タミ「!?」

ラン(うん、タミ先輩掃除用具箱見つからなくてアタフタしてる)

ラン(やっぱりわ子は考え過ぎだったんだよ)

マチ「」

ラン(おっ、マチ先輩入ってきた)

マチ「」

タミ「」

マチ「」

タミ「違うの!」

ラン(ん? 何かおかしくない?)

マチ「」

タミ「」

マチ「」

タミ「」

マチ「」

タミ「私、マチちゃんに告白するためにラブレターを書いたのっ!」

え?

わ子「……やられた」

ラン「えーーー!?」

わ子「ラン! 静かにっ!」

わ子がわたしの口を塞いできた、ってそれどころじゃなくて!

ラン「もごもご」

タミ先輩どういうことー!?


マチ「」

タミ「」


ラン「んー! んー!」

わ子「ちょっと……静かにぃ!」

だって!だって!タミ先輩泣いてるー!

タミ「」

マチ「」

タミ「」

マチ「」


ラン「んんー!」

えぇ!?今度はマチ先輩がタミ先輩を抱き締めてるー!?

えー!?あの二人何してるのぉ!?

タミ「」

マチ「」

タミ「」

マチ「」

タミ「」

マチ「」

タミ「」

マチ「」

わ子「やっと落ち着いた?」

ラン「うん……だけど……」

タミ先輩のあれ……いわゆる『ガチ告白』ってやつだよね……

わ子「顔、赤いよ?」

ラン「だ、だって……」

マチ先輩ずっと抱き合って……

見てるこっちまで恥ずかしい……


マチ「タミの優しい所が好き、タミはどんな時だって私のことを思ってアドバイスしてくれる」

さっきまではあんまり聞こえ無かったんだけど、だんだんマチ先輩の声が大きくなってきて、こっちまで聞こえるようになってきた

マチ「タミの穏やかな所が好き、タミは私がイライラしている時だって私を癒してくれる」

て言うか結構距離のあるここまで聞こえるってことはマチ先輩相当大きな声出してるんじゃ……

マチ「タミの頼りになる所が好き、タミは私が生徒会長になった時も、よさこい部に入る時も、姉さんと上手くいかなかった時も私のことを助けてくれた!」

うぅ……聞いてるこっちまで恥ずかしい……

隣のわ子も赤くなってるし……

マチ「タミは……ずっと私の側に居てくれたから……ずっと私の隣に居てくれなきゃ嫌だから!」

ラン「わ子」

わ子「……何?」

ラン「わ子もあれ見てて恥ずかしくなっちゃった?」

わ子「……うん」


マチ「」

タミ「私も大好きだよっ!」


ラン「告白、成功したみたいだね」

わ子「うん」

なんだろ……わ子っていつもこんな感じじゃ無いのにな……

ラン「あのさ、わ子」

わ子「さっきから何?」

ラン「わ子ってさ、可愛いとこあるんだね」

わ子「……?」

ラン「あ、あのね」

マチ「そこに隠れてるアナタ達!」

わたしがこのもやもやした気持ちを整理しようとした瞬間、美術室の方から声が、って

ラン「ヤバっ…… バレた……」

わ子「まぁ何回か声あげちゃったし……」

マチ「私が何を言いたいか分かるかしら……?」

ラン「ランちゃん大ぴ~んち……」

こ、このままだと説教されちゃうのはわたし達……?

タミ「」

マチ「」

タミ「ちゅっ」

マチ先輩の語気にぶるぶるしていると、タミ先輩がいきなりマチ先輩のほっぺにちゅーを……

ラン「ふえぇぇぇぇ!?」

マチ「……」

わたしと同じようにマチ先輩も呆然としている、っとこれは!

わ子「チャンスだ、逃げようラン」

ラン「う、うん」

あれ?タミ先輩こっち向いて何か言ってる?

「あ」「り」「が」「と」「う」

ってそれどういう意味~!?

ここで本編は終了です。
おまけがあるので頑張って今日中には投稿します。

おまけ タミ視点

『ラブレター事件』前日

私には悩みがあります……

タミ「マチちゃん、マチちゃん」

マチ「何?」

タミ「聞いて欲しいことがあるの」

マチ「なにー」

タミ「最近また服がきつくなってきちゃってね……」

マチ「たいへんねー」

タミ「もう! マチちゃん聞いてるの!?」

マチ「ええきいてるわ」

タミ「むぅ……」

そう、悩みとはマチちゃんが私にかまってくれないということです

マチちゃんは美人でかっこよくてクールでそれなのに恥ずかしがり屋さんで可愛いものが好き、そして私のことを大切に扱ってくれる
私の恋人にしたい女の子No1……なんですけど……

タミ「もう! マチちゃんてば冷たい!」

マチ「だってタミのそういう話って生産性無いじゃない……」

タミ「女の子はこういう話を聞いてくれるだけで嬉しいんだ!」

マチ「そう、じゃあなるちゃんにでも話したら? あの子そういう話好きでしょ?」

タミ「むぅ……」

『私に対して冷たい』これだけならいいのです、問題は

屋上

マチ「なるちゃんさっきから水飲んで無いけど大丈夫?」

なる「あっ、ちょっと今日水筒忘れちゃって……」

マチ「私ので良かったら飲む?」

なる「い、いいんですか?」

マチ「別に構わないわよ」

ハナ「Oh……さりげない気遣い……これこそリーダーに求められるスキルなのでしょうか……」

マチ「はいはい、ハナちゃんもしっかり汗拭かないと風邪引くわよ」

ハナ「ふきゃっ」

これです

そう!マチちゃんは私以外にはいつでも気を使って優しいのです!

後輩だからでしょうか?私があと一年遅く生まれてたらマチちゃんはもっと私に優しくしてくれたのでしょうか?

とにかく、私はなんとしてもマチちゃんに私の方を向いて欲しい、もっとかまって欲しいのです!

わ子「タミさん」

よさこいの練習の練習後、私はわ子ちゃんとランちゃんに話しかけられました

タミ「なぁに? わ子ちゃん、ランちゃん」

ラン「マチ先輩にイタズラ仕掛けませんか?」

タミ「イタズラ?」

今やマチちゃんは私が少しイタズラしたくらいでは何も言わなくなってしまいました、が1年生の二人が絡んでるとなれば話は別

『なんで二人を止めなかったの!』と私を怒ってくれるかもしれません

タミ「うんいいねいいね! やろう!」

私は二つ返事で了承しました

わ子「今回はマチさんにラブレターを渡してドキドキさせるっていう作戦です」

タミ「うん! マチちゃんラブレターなんて慣れてないだろうしきっとアタフタしてくれるよ!」

わ子「ラブレターはタミさんが書いて貰えますか?」

タミ「いいよいいよ~ なんて書こっか?」

わ子「じゃあ」


常磐真智様へ

伝えたいことがあります、
今日の放課後美術室まで来てください


わ子「こんな感じで」

タミ「はーい」

わ子「それで、タミさんにはどっきりのネタバラシ役をやってもらいます」

タミ「私が~? いいの!?」

む?私がネタバラシ役?

ラン「タミ先輩しか居ないですって」

わ子「タミさんには美術室の掃除用具箱の中に隠れてもらって、マチさんがやって来た後タイミングを見計らって飛び出してもらいます」

タミ「なるほど~」

美術室には掃除用具箱はありません、つまりこの二人はマチちゃんを驚かせると見せかけて私を驚かせるつもりなのでしょう

そうなれば少し計画変更です

ラブレターを使ったどっきりということでマチちゃんを少しアタフタさせてあげようと思いましたが、この際本気でマチちゃんに告白しましょう!

タミ「そうだ! せっかくだしアタフタするマチちゃんの様子をビデオで撮ろうよ!」

ラン「あっ! それいいですね!」

タミ「でしょ? きっと後でそのビデオを見せたらマチちゃんとっても恥ずかしがるよ!」

そして悪いコトを考えた二人をちょーっとからかってあげましょうか

ふふふ、お姉ちゃん本気だよ?

わ子「……」

あら?少しノリノリ過ぎたでしょうか?

タミ「よーし、それじゃあマチちゃんどっきり大作戦やるぞー!」

ラン「おー!」

わ子「……」

私の思惑、わ子ちゃんにはバレてしまったかも知れませんね

次の日 放課後

今日はいよいよマチちゃんへのどっきり当日、私はHRが終わるとすぐさま美術室に向かい待機します

当然掃除用具箱が見つからなくてアタフタする『フリ』も忘れてはいけません

もう一つ考えるのは告白の方法

しかし、私から告白するわけではありません、私はあくまでも告白される側、愛の言葉はマチちゃんからでないと意味がありません

私の演技、そしてそれに対するマチちゃんの反応は大体織り込み済みです

後は『女の子の最大の武器』の準備でもしておきましょうか

マチ「さぁ、イタズラに付き合いに来てあげたわよ」

マチちゃんは思ったより早く来ました、まだ仕込みは終わっていませんが

タミ「あ、あの、えと……」

ここは慌てず騒がず、慌てた『フリ』

マチ「やっぱりタミだったのね……ていうか何でそんな慌ててるワケ? 段取り悪過ぎない?」

タミ「えっと……あのね……」

マチ「で、今回は一人で考えたの? それとも1年生の二人との共犯?」

マチちゃんがわ子ちゃん達の仕業を疑うのは想定済みでしたが、いきなりその話を出すことは無いと思います

せっかく二人きりなのになぁ……

タミ「違う、違うの!」

マチ「……何が違うのよ」

タミ「あの手紙ね……私が書いたの……」

マチ「うん、あの手紙の文字凄い綺麗だったし大体予想付いてた」

タミ「だからそうじゃなくて……」

マチ「何よ、話があるなら早く終わらせてね」

タミ「私、マチちゃんに告白するためにラブレターを書いたのっ!」

嘘ではありません

これは演技ではない心からの言葉

マチ「え…………」

だからこそ、この言葉は彼女の胸に大きく響く

マチ「こ、今回のイタズラは中々ててて手が込んでるじゃない……」

もう!マチちゃんデリカシー無さすぎるよ?

そんなこと言って女の子泣かせちゃったらダメなんだからね?

タミ「えっ、」

仕込みは完璧です

タミ「マチちゃん……」

私の目は潤み、涙が零れます

マチ「ちょ、ちょっと泣かないでよタミ……」

タミ「ご、ごめんね……わたっ、わたしなんかが告白しても、迷惑、だったよね……」

マチ「た、タミっ!」

わっ、マチちゃん泣いてる女の子を抱き締めてくれるなんて、やっぱりかっこいいなぁ

騙してごめんね、でも安心してマチちゃん、この涙は嬉し涙だよ

大好きな貴女が私のことを思ってくれている、そのことが嬉し過ぎるから勝手に流れちゃうんだ……

タミ「マチちゃん……」

マチ「ごめん……」

タミ「謝らないでよ……それに好きじゃないならこんなことしないで……」

本当は今すぐにでも『マチちゃん大好き』と言いたいのですが必死に我慢します

マチ「好きよ」

ここで演技をやめてしまったらマチちゃんの一生一代の愛の告白が聞けなくなってしまいます

タミ「え?」

マチ「私だってタミのことが好き、もちろん恋愛対象として……」

タミ「信じて……いいの?」

マチ「ごめん……さっきは動揺してて……
酷いこと言っちゃったよね……」

マチ「タミの優しい所が好き、タミはどんな時だって私のことを思ってアドバイスしてくれた」

マチ「タミの穏やかな所が好き、タミは私がイライラしている時に癒しを与えてくれた」

マチ「タミの頼りになる所が好き、タミは私が生徒会長になった時も、よさこい部に入った時も、姉さんと上手くいかなかった時も私のことを助けてくれた!」

マチ「タミは……ずっと私の側に居てくれたから……ずっと私の隣に居てくれなきゃ嫌だから!」

マチ「だから……私と付き合ってください、西御門多美さん」

ありがとう……ありがとうマチちゃん……

マチちゃんの告白、本当に嬉しかった

もう演技はやめていいよね?騙しちゃってごめんね

私もマチちゃんに伝えるよ、正直な気持ち!

タミ「マチちゃん……私も大好きだよっ!」

マチ「ごめん、ちょっといいかしら」

マチちゃんは私のことを離して窓の方へ行ってしまいます、マチちゃぁ~ん

タミ「ん?」

マチ「そこに隠れてるアナタ達!」

ラン「ヤバッ! バレた!?」

わ子「」

あ、そう言えば二人が見てるんでした

マチ「私が何を言いたいか分かるかしら……?」

ラン「ランちゃん大ぴ~んち……」

タミ「マチちゃん」

こんな機会を与えてくれた二人には感謝です、だから少し恩返し

マチ「ちょっと待って、今この子たちに」

それとお姉ちゃんをからかった罰として、見せつけてあげましょうか

タミ「ちゅっ」

マチ「……」

あら?二人とも走って逃げちゃった……

あの二人には刺激が強すぎたのでしょうか?

私は感謝の気持ちを込めて口を『ありがとう』の形を作りました

マチ「何……今の……?」

タミ「ふふふ、一瞬過ぎて分からなかった?」

タミ「じゃあ今度はマチちゃんが見逃さないように、ゆっくりしてあげるね」

タミ「ちゅっ」

互いの唇と唇が触れ合う、長く長く幸せな時間

二人とも床に座り私は体をマチちゃんに預けます

タミ「マチちゃん」

マチ「ん?」

タミ「私、嬉しかったなぁ」

マチ「……」

タミ「マチちゃん普段はあんなこと言ってくれないでしょ?」

タミ「私の好きな所、いっぱい教えてくれて……ありがとう」

マチ「うん……」

タミ「あのね、実はさっきまでの様子全部録画してるんだ」

マチ「そう……」

タミ「……怒った?」

マチ「呆れた」

タミ「むぅ……」

マチ「…………たまに見返してくれる?」

タミ「え? まぁ沢山見返すと思うよ」

マチ「うん、それならいい
私の告白をタミにずっと聞いて貰えるなんてこれ以上の幸せは無いわ」

タミ「もう……マチちゃん……」

マチ「ん?」

タミ「マチちゃんずるい……私もマチちゃんの好きな所言いたい」

マチ「聞いてあげるわ」

タミ「まずはね、マチちゃんはとってもかっこいいの」

タミ「普段は恥ずかしがっているけど、今日みたいに大事な時はしっかりと思いを言葉にしてくれるもん」

タミ「それからね、マチちゃんは可愛いの」

タミ「いつもクールなのにアイドルが好きなんてギャップ凄いよね

タミ「まだまだあるからね、んむっ」

マチちゃんの好きな所を語ろうとしたら、唇を塞がれてしまいました……

マチ「ごめん、聞いてて恥ずかしくなっちゃった」

タミ「やっぱりマチちゃんはずるい……」

マチ「ごめん、でもこれだけは言わせてね」

マチ「タミ、愛してるわ」

帰り道 ランわ子

ラン「ふー、なんとかセーフだったね」

わ子「今日はセーフでも明日はアウトでしょ」

ラン「そっか……」

わ子「今回、わたし達完全にタミさんの手のひらの上で転がされたね」

ラン「え?」

わ子「多分タミさんはわたし達のイタズラ全部見抜いてたんだよ、その上でイタズラに乗っかって告白した、と」

ラン「だから最後に『ありがとう』って言ってたんだ……」


わ子「で、結局さっきは何が言いたかったの?」

ラン「あ、えーっとそれはね……」

ラン(な、なんだったんだろ?)

ラン(さっきと違って今は普通のわ子だよね……)

わ子「もしかして雰囲気に飲まれてわたしに告白しようとしたとか?」

ラン「な、なんでそうなるの!」

わ子「言ってみただけ」

ラン「っ、アンタみたいな奴好きになるわけ無いでしょ!」

わ子「ふ~ん」

わ子(……マチさんが来るのがあと少し遅ければなぁ)

ラン「何か言った?」

わ子「別に」

帰り道 ハナなるヤヤ

なる「今日はびっくりしたね~ まさから、ららラブレターなんて……」

ヤヤ「なんで口に出すだけで恥ずかしがってんのよ……」

なる「だ、だってららラブレターだよ!?」

ヤヤ「そうだけどさぁ……」

ハナ「もしやヤヤさんはラブレターを貰い慣れてるのでは?」

ヤヤ「なっ……」

なる「えっ! そうなのヤヤちゃん!?」

ヤヤ「えっと……まぁ……」

ハナ「おおっ! ゼヒその話詳しくお聞かせ願いたいデス!」

ヤヤ「べ、別に……バンドをやってた頃は後輩の子からお手紙貰ってたってだけで……」

なる「ほ、ほえ~ やっぱりヤヤちゃんは凄いんだねぇ~」

ハナ「それで……何人の子に手を出したんデスかねぇ?」

なる「えっ! ヤヤちゃん手を出したの!?」

ヤヤ「出して無いわよ! それにほとんどがファンレターの延長みたいなものだったし!」

ヤヤ「それになんで女の子同士で手を出すなんて話になるのよ!」

なる「そ、そうだよね……」

ハナ「うぅ~つまんないデス~」

ヤヤ「どんな答えを期待してたのよ……」

帰り道 なるヤヤ

なる「……」

ヤヤ「……」

ヤヤ(なんだろう、この沈黙……)

なる「ねぇヤヤちゃん」

ヤヤ「何?」

なる「やっぱり、女の子同士の恋愛っておかしいかな?」

ヤヤ「……」

ヤヤ「まぁそうでしょうね」

なる「……」

ヤヤ「……」

ヤヤ(また沈黙だ……)

なる「あのさ、ヤヤちゃんはラブレターを一杯貰って、少しも心が動かなかったの?」

ヤヤ「……動かなかったわ」

なる「そっか……」

ヤヤ「だって」

なる「え?」

ヤヤ「私はこの人、って心に決めた人が居るから」

ヤヤ「その人以外には絶対になびかない」

なる「ヤヤちゃん……」

なる「その人に……ラブレター送らなくていいの?」

ヤヤ「……」

ヤヤ「まだ、自分に自信が無いの」

ヤヤ「私はまだその人に見合う人間じゃないから、だから私がもっと成長出来たら、その時に」

なる「……その人は待っててくれないかもしれないよ? 別の人を好きになっちゃうかもしれないし」

ヤヤ「うん、だからなるべく早くその人に見合う素敵な人間になるつもり」

なる「……そっか、」

なる「頑張ってね! ヤヤちゃん!」

ヤヤ「うん……」


ヤヤ「ごめん」

ヤヤ(ごめんね、なる
いつかきっとなるに相応しい素敵な私になって、なるの王子様になってあげるから)

なる「いいよ」

なる(いいよ、ヤヤちゃん
わたしはヤヤちゃんのこと大好きだから、いつまでもいつまでも待っててあげる
でもひとりぼっちは寂しいから、なるべる早く迎えに来てね)

これでしまいです。
本編よりおまけの帰り道の方がよく出来た気がする。

レスをくれた方、読んでくれた方ありがとうございます。
HTML化依頼してきます。

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