事務所にて
P「そろそろ日が暮れるぞ?」
梨沙「学校の宿題やってるのよ。家に帰ったらだらだら先延ばしにしちゃいそうだし、ここで終わらせときたいの」
P「そうか。真面目だな」
梨沙「でしょ? もっと褒めていいのよ」フフーン
P「ははっ。えらいえらい」
梨沙「あー、なによその言い方。バカにしてない?」
P「してないよ。俺はたまに宿題サボってたし、その点梨沙は立派だ」
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梨沙「Pはまだ帰らないの?」
P「今日中にやっておきたいことが少し残ってるからな。俺も梨沙と一緒に居残りだ」
梨沙「ふーん、そうなんだ」
P「お互い、もうちょっと頑張るか」
梨沙「そうね」
カタカタカタ
カキカキカキ
梨沙「……うーん」
P「どうかしたのか?」
梨沙「ちょっと算数でわからないところがあるんだけど。P、教えてくれない?」
P「いいぞ。といっても、俺もわからないかもしれないけど」
梨沙「大人なんだから、小学生の宿題くらい解けるでしょ」
P「漢字とかなら自信あるけどな。算数は普段使わないような内容も結構多いし、忘れてることもあるんだ」
梨沙「……そういえば、時々パパに宿題見てもらうんだけど、ちょっと悩んでる時があるわね」
P「親のメンツを保つのも一苦労だって、この前笑いながら言ってたよ」
梨沙「なるほど……って、ちょっと待ちなさい。この前言ってたって、それいつ?」
P「先週一緒に飲みに行った時」
梨沙「はぁ!? なにそれアタシ聞いてないわよ!」
P「居酒屋に君を連れていくのもあれだし、男同士でしか話せないこともあるんだよ」
梨沙「……アンタ、パパと仲いいわよね。よく電話で連絡取り合ってるってパパから聞いてるし」
P「なんかウマが合うんだよな。年も結構離れてるのに、不思議なもんだ」
梨沙「言っとくけど、パパとデートしていいのはアタシとママだけよ!」ビシッ
P「しないって」
作業再開
梨沙「………」カキカキ
梨沙「……へくちっ」
P「寒いのか? というか寒いだろ、そんな肩出した服着てたら」
梨沙「おしゃれにはこのくらいの犠牲は必要なのよ」
P「風邪引かないように気をつけるんだぞ」
梨沙「わかってるわよ。でも、アタシセクシー担当だし仕方ないのよねー」
P「バラエティ担当でもあるけどな」
梨沙「……前々から思ってたけど、アンタアタシに結構無茶振りしてくるわよね」
梨沙「オーストラリアに行った時なんて、ジャングルで体当たりリポートさせられたし」
P「リアクションとツッコミが鋭いからついつい頼ってしまうんだ」
梨沙「まったく……あんまりめちゃくちゃなのはやめてよね」
P「わかってるよ」
梨沙「あ、でも動物の赤ちゃんとかと触れ合うのは好きよ。かわいいし♪」
P「梨沙は意外と面倒見いいところあるよな。晴にオシャレを教えたりもしてるだろ?」
梨沙「アタシはしっかり者だから!」ドヤ
しばらく無言の時間
梨沙「………」
梨沙「よし、終わり!」
P「お、終わったか」
梨沙「Pは?」
P「俺はあと30分くらいかな。待っててくれたら、その後家まで車で送れるけど」
梨沙「じゃあそうするわ。テレビでも見てる」
テレビ「さあ日本先制のチャンス! ここでバッターボックスには侍の4番が向かいます!」
梨沙「あ、野球の試合やってる」
P「今は世界大会中だからな。地上波でも中継やってるんだ」
梨沙「アタシ、あんまり野球わからないのよね。パパがプロ野球観るの好きだから、勉強してみようかなって思ってるんだけど」
P「無理に合わせる必要はないんじゃないか」
梨沙「とりあえず知ってみるってだけよ」
梨沙「この前も、戦国武将のことを仕事で勉強したら、パパと時代劇の話できるようになったし。そしたら案外時代劇が面白いことに気づいたし」
梨沙「ショーグン様のテーマとかかっこいいわよね」
P「上様かー。ちょっと前まで、あの曲を流しながら打席に入る選手がいたんだよな」
梨沙「ホント? どんな選手?」
P「一言で語るにはあまりに濃い男だった。その名は――」
30分後
P「ふう。俺も仕事終わりっと」
梨沙「野球語りしながら作業してたのね」
P「ああ。口と手を同時に動かすくらいわけないさ」
P「さて、帰ろうか」
梨沙「そうね。帰ったら試合の続き見ようっと」
車で移動中
P「梨沙。ひとつ聞きたいことがあるんだけど」
梨沙「なに?」
P「俺のこと、好きか?」
梨沙「………」
梨沙「は? えっ、なに、アンタアタシのことそういう目で……」ドンビキ
P「違う違う。単純に、俺というプロデューサーを気に入ってくれてるかってことだよ」
梨沙「な、なら最初からそう言いなさいよ。びっくりしたじゃない!」
P「はは、ごめんごめん」
P「それで、俺に対する評価はどんな感じだ?」
梨沙「そうねえ……」
梨沙「んー……仕事ができるヘンタイ!」
P「褒めてるのか貶してるのかわからないな……」
P「もっと、カッコいいプロデューサー! とかないのか」
梨沙「………??」
P「本気で意味わからないみたいな顔するのはやめてほしい」
梨沙「えっと、もっとかっこいい言い方すればいいの?」
P「そうだな。できれば」
梨沙「じゃああれね。なんかどっかで聞いたことあるし……」
梨沙「変態紳士!」
P「チェンジ」
梨沙「なによー、文句多いわね」
梨沙「この前の怪盗Rみたいに、次もセクシーでカッコいい仕事がやりたいわ」
P「考えておこう」
梨沙「ああいう役をやってると、アタシのファンがどんどん増えちゃうわね。モテる女は辛いわ♪」
P「馬に情熱的なキスをされるほどだからな」ハハハ
P「あまりのペロペロアプローチに俺に助けを求めるほどだったし」
梨沙「……その話、パパにしてないでしょうね」
P「してないよ。内緒にしろって言われたもんな」
梨沙「ならいいけど。ま、アタシの魅力は人間以外にも伝わっちゃうってことね!」
P「梨沙にはそれくらい自信満々で前向きなのが似合ってるよ」
P「よし、家に着いたぞ」
梨沙「送ってくれてありがと」
P「どういたしまして」
梨沙「………」
P「梨沙? どうしたんだ」
梨沙「ねえ、P」
梨沙「さっきはあんなこと言ったけど……アタシ、Pのこと好きよ」
P「え?」
梨沙「ヘンタイだけど、頼りになるし。いろんな経験させてくれるし。他の大人達とは違う感じ」
梨沙「パパやママへの『好き』とは違うし、友達への『好き』とも違うけど」
梨沙「好きよ」
P「梨沙……」
梨沙「P……」
梨沙「で、今ドキッとした?」
P「へ?」
梨沙「したわよね? 顔見てたらなんとなくわかるわ。フフン、作戦成功ね」
P「は? 作戦?」
梨沙「これよ」スッ
P「(梨沙が膝の上に置いていた雑誌を見せつける)」
P「なになに……男をドキッとさせる秘策は、ここぞの甘い言葉?」
梨沙「よーするに、たまに素直に『好き』とか言うと好感度アップ間違いなしってことね」
梨沙「Pに試して成功したから、これはパパにやってもきっとうまくいくわ」ウキウキ
P「なるほど。俺は実験台だったというわけか……」
P「でも梨沙。パパに対しては普段から好き好き言ってるんだから、今さら言っても効果薄いんじゃないか?」
梨沙「へ? ……あーっ! しまった!!」
P「ははは、実行前に穴が見つかっちゃったな」
梨沙「なによー、それじゃアタシ、試し損じゃないのよ」
P「俺は得したぞ。梨沙の素直な気持ちが聞けて」
梨沙「んなっ……」
P「さっきの、嘘じゃないんだろ? 『素直に』言うことが秘策なわけだったんだし」
梨沙「そ、それはまあ、そうだけど」アセアセ
P「だろ? うれしいなあ」
梨沙「むむむ……」
梨沙「あ、アタシだけ素直になるのは不公平だわ! Pもアタシに素直になりなさい!」
P「いや、俺は普段から素直なつもりだけど……」
梨沙「嘘ね! ホントに素直なら、毎日5回はアタシのことを『かわいい』とか『セクシー』とか褒めてるはずだわ」
P「そんな無茶苦茶な……ほら、そろそろ車から降りないと。いつまでも家の前に止めてたら邪魔になるし」
梨沙「あ……忘れてた。もう家に着いてたのよね」
P「(はじめのころは、家に着くなり勢いよく車のドアを開けてたもんだが……)」
車から降りて
梨沙「それじゃ、バイバイ」
P「ああ。明日も遅れずに来るんだぞ」
梨沙「わかってるわよ」
P「(さて、俺も帰るか)」
梨沙「P!」
P「うん?」
P「(玄関に向かって歩いていた梨沙が、足を止めて俺の方に振り向いた)
梨沙「また明日ね!」ニカッ
P「………」
P「うん。また、明日」
P「(疲れた身体によく効く、そんな感じのいい笑顔だった)」
P「……よし! 明日も頑張るか!」
P「そのためにも、さっさと帰って寝るとしよう」
おしまい
終わりです。お付き合いいただきありがとうございます
誕生日記念SSですが特に誕生日ネタというわけでもなく、山なしオチなしな感じになりました
今日書いたもう一本の誕生日記念SSも貼っておきます。宣伝です
的場梨沙「もうすぐ誕生日なのよね」 二宮飛鳥「へぇ」(的場梨沙「もうすぐ誕生日なのよね」 二宮飛鳥「へぇ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447858817/))
モバマス原作のほうで、誕生日祝った時のセリフが相変わらずで安心
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