千棘「最近、楽の様子がおかしい・・・・」 (67)

久々にゴム屋おのでらとして書きます。
少し長めです。
よろしくお願いします。




キーンコーンカーンコーン

楽「ふぅ〜、やっと授業が終わった」

千棘「それじゃダーリン、一緒に帰るわよ」

楽「悪い千棘、俺用事があるから1人で帰るわ。じゃあなーー」

千棘「あ、ちょっ、待ちなさいよーーー………行っちゃった」シュン

千棘「もうっ、何よアイツ。最近付き合い悪くなってるじゃないの!!」

小咲「千棘ちゃんもそう思う?」

千棘「あ、小咲ちゃん! 千棘ちゃんもって、小咲ちゃんも思い当たる節あるの?」

小咲「うん。一条くん、最近うちのお店にあまり来てくれなくなったの」

千棘「そうなんだ。私もね、最近アイツと全然デートしてないんだ。それどころが一緒に帰るのだって断られたし」

小咲「一条くん、一体どうしちゃったのかな……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1447647216


集英組にて………、

楽「ただいまー」

竜「あ、お帰んなせぇ坊ちゃん。そいうや、さっき坊ちゃん宛に荷物が届いてましたよ」

楽「お、もう届いてたのか!!サンキュー竜」

竜「坊ちゃん、何か買われたんですかい?」

楽「ああ、俺の生き甲斐だ!!」

竜「い、生き甲斐!?」

楽「ああ。一度ハマったらもう病みつきになっちまってよ、これなしでは俺はもう生きらんねえんだよ!」

竜「ハマったら病みつきに…………ハッ!!?坊ちゃんまさか……」

楽「そんじゃ俺しばらく部屋にこもるからーー」

竜「坊ちゃん待ってくだせぇッ、坊ちゃーーーーーーーーんッ!!!!」

楽の部屋……

楽の 「おお届いた届いた〜。これが来るのをどれ程待ちかねていたことかぁ!!」

ガサゴソガサゴソ

竜「くぅぅ……坊ちゃん、坊ちゃんがまさか……」シクシク

組員A「いつまでも泣かねぇでくだせよ竜さん。それよりも、本当なんですかい?坊ちゃんがヤクに手を出したってのは!?」

竜「あぁ、確かに坊ちゃんは『ハマると病みつきに』って……」

組員B「でもヤクザなら、そういうのに手を出しても当然なんじゃ…」

竜「バッキャローーー!!うちの組はクスリには手出さねぇ清きヤクザなんだよッ!!」

組員B「す、すいやせん!! でもヤクザである時点で、清きもクソもねぇような……」

竜「坊ちゃん……あっしらの知らねえところで非行へ走っちまうだなんて」

楽「キターーーーーーーーーーーー!! 届くのを待ちに待ってたぜ、AKBのニューシングル『ポニーテールとゴム』!」

竜たち「へ…………?」

組員A「竜さん、AKBってなんですかい?ポニーテールとゴムってなんですかい?」

竜「た、確か……そんな名前の小娘共が集まって歌を歌う集団があったような気が」

組員B「それって、いわゆるアイドルってやつですかい?」

楽「テンション上がるーーーーーーーーーーーー!!!」

竜「そうか……。まあ、坊ちゃんくらいの歳にもなりゃそういうのに興味持っても不思議じゃねえが」

組員A「なんだアイドルですかい。それなら心配するような事はねぇですって」

組員B「あれ、でも坊ちゃんの様子がちょっと変じゃないですかい……」

楽「ハァハァ……可愛ヨ…可愛ヨパルル……ウヒョォォォォ」

組員A「うわ、坊ちゃんがまるでヤクにハマっちまったような顔になってますぜ!!」

竜「そんなッ、くぅ……坊ちゃん、おいたわしい……」

組員B「竜さん、坊ちゃんが買ったのって本当は白い粉とかなんじゃ……」

竜「そ、そんなわけねぇだろうがッ!!」

組員A「あれ、坊ちゃんの手元にあるのって……CDすかね?」

竜「CD!?CDってのはあの音楽を聴く円盤のことだろ?なんでまたそんなもんを」

組員B「あ、よく見りゃあのCDのパッケージに写ってるの、AKBでっせ」

竜「ってこたぁ…坊ちゃんはAKBのCDを買ったってことか!!はぁーーーよかった。坊ちゃんがヤクになんざぁはまらんで」

組員B「あれ、でもよく見てくだせえ竜さん。坊ちゃんの手元に大量のCDがありまっせ!」

竜「あっ、なんだって!?」

楽「ふぅ〜。今回は劇場盤が23枚と、通常の初回限定のやつをtypeAとtypeBがそれぞれ5枚に、typeCが3枚か。まあ少なめだけど、今回はこんなもんだろうな」

竜「な、なんで坊ちゃんは同じCDをああも大量に買ってるんだい?」

組員A「さぁ……あっしらには理解出来ねぇでさぁ…」

組員B「坊ちゃん、なにやら1人でブツブツ言ってやしたけど、同じCDを何枚も買って金の無駄じゃないんですかね……」

楽「さ〜てと、今回は当たりが出るかな…」

ガサゴソ

竜「坊ちゃんがCDが入ってた箱の中を漁り始めたぞ。一体何を……」

組員B「あっ、見てくだせえ竜さん!! 坊ちゃんが取り出したのって、ビニール袋じゃないっすかね!!」

組員A「ハッ…ひょっとして、あのビニールの中にブツがあるんじゃ!!?」

竜「な、なんだとぉーーーーー!!」

楽「ふふふ〜〜ん♪」ガサゴソ

組員A「ありゃ、ビニールから出てきたのって……写真ですかい?」

竜「はぁッ、写真だと?」

組員B「なんで写真なんて入ってるんだ………」

楽「なんだよチクショーーー!! あ〜あ、今回もぱるるの生写真入ってなかったぜ。」

竜「ぱるる…………?生写真…………?」

組員A「坊ちゃん、一体何を言ってるんすかね…?」

楽「あ〜あ、今回もハズレかよ。俺が欲しかったのはぱるるのなのによ、誰もビッチ臭え柏木とかごしはるとかのいらねえっつ〜の」

組員A「ビッチって、どうやら女の話をしてるみてぇですぜ」

竜「そうか……坊ちゃんも女を侍らすようになったんですね。くぅ〜〜〜〜あっしらの知らねえところで坊ちゃんも男になったんすね。あっしは嬉しいでさぁーーー!!」

ピポパポピ……prpr
ガチャ

楽「もしもし集かぁ?」

組員A「今度は電話で誰かと話してるっすね」

組員B「相手は集坊ちゃんみてえだな」

楽「なあ、お前のとこにも届いたか?AKBの新曲」

組員A「お前もってこたぁ…、向こうもAKBのCDを買ったんですかいね?」

竜「AKBってのはそんなに流行ってんのか?」

組員B「さぁ。少なくともあっしらみてぇなのにはあまり浸透してねぇ感じですね」

楽「なぁ集、よかったらさ俺の持ってるゆきりんとお前のぱるる交換しねえか?」

竜「なッ、女を交換だとぉーーー!?」

組員A「最近の高校生は人身売買をするんですかい!?」

楽「はぁーーー?なんだよ、お前ゆきりん好きだって言ってたじゃねえか!」

組員B「あれ、なんか揉めてるようでっせ」

楽「お前、いつの間に推し変したんだよ!? なに……、ゆきりんがこの前手越と週刊誌に撮られてからだって。チッ、なんだよ…………」

組員A「週刊誌!?」

竜「坊ちゃん、いつの間に有名人と友達に!?」

楽「はぁ……わかったよ、じゃな。」
ガチャ

楽「ったく、集のやつ推し変なんかしやがつてよ。テンション下がったな……飯まで寝ようかな」

組員A「あれ、坊ちゃん電話を切ってそのまま寝ちゃいましたぜ」

組員B「しかも買ったCD全然聴いてねぇでっせ」

竜「坊ちゃん………坊ちゃんに一体なにが!?」

羽「………………楽ちゃん」

翌日、学校にて……

小咲「あ、おはよー千棘ちゃん」

千棘「おはよー小咲ちゃん……」

小咲「あれ、今日も一条くんと一緒じゃなかったの?」

千棘「そうなのよね。あいつ、放課後だけじゃなくて登校まで付き合い悪くなってさ………はぁ」

小咲「そ、そうなんだぁ……」

千棘(何よあいつ、私にはもう何も感じないっていうの…………)シュン

小咲(一条くん、一体どうしちゃったんだろう……)

集「やぁーーーみんなおはよう」

小咲「あ、舞子くんおはよう」

千棘「あれ、舞子くん、楽と一緒じゃないの?」

集「ああ、楽なら学校前に寄るとこあるってさ?」

千棘「え、学校に来る前にって、わざわざ何処寄ってんのよアイツ!?」

小咲「舞子くんは一条くんがどこへ寄ってるのかを知ってるの?」

集「知ってるけど…てゆうか、俺はてっきり2人なら楽から教えてもらってるのかと思ったけど」

小咲「え、それってどういう………」

ガラッ

羽「は〜いみんな、席についてね」

そして昼休みになり…

楽「〜〜〜♪」

小咲「ねえ、千棘ちゃん。一条くん、やっぱり様子がおかしくないかな?」ヒソヒソ

千棘「小咲ちやんもそう思う?やっぱりアイツ、何か変よ!! 今日だって朝来ないで途中から授業出てきたし」
ヒソヒソ

小咲「ひょっとして、何処か具合でも悪いのかな。もしかしたら、登校する前に病院へ寄ってたとか?」

千棘「いや、それはないんじゃない。アイツなんだが元気そうよ。しかもご機嫌でダラシない顔で鼻歌まで歌っちゃってるし」

楽「〜〜〜♪」

小咲「一条くん、一体どうしちゃったんだろう……」シュン

集「そのリズム……さてはお前、学校来る前に早速聴いてきたなぁ?」

楽「お、わかるか集! そうなんだよ。いやぁ〜〜今回のはまあまあの良曲だな」

小咲「あれ、舞子くんとは普通に話してるね」

千棘「聴いてきた……良曲……、一体何の事?」

集「まあ俺はこの間の曲の方が好みだったけどね」

楽「ふっ、わかってねぇ〜な集は。今回の新曲『ポニーテールとゴム』の方がヲタク心を分かってる構成になってんだろう」

集「そうかぁ?ま、確かにコンドームで髪型をポニーテールにする乙女心を歌にしたってのはなかなか斬新だと思うけど、神曲とまでは言えないんじゃないの〜〜」

楽「あぁ〜その点は俺も同感だな」

小咲「ゴムに神曲って……、一条くんたち一体何を話してるんだろう?」

千棘「とりあえず、もう少し聞いてみましょう」

楽「それより集、お前いつの間に推し変なんてしやがったんだよ!?」

集「あぁ、昨日の電話のことか。いやだってさぁ〜〜、ゆきりんって元々スキャンダル多いメンバーだったじゃん。それなのに謝罪もなくスルーときたら、さすがに今まで神推ししてた俺も他の子に鞍替えしちゃうよ」

楽「まあ確かに、ゆきりんはひでえもんな」

千棘「ゆ、ゆきりん?ねぇ小咲ちゃん
、ゆきりんって何か知ってる?」

小咲「ううん、知らないな。でもどこかで聞いたことあるような……」

集「お前だって、いつまでぱるるなんか推してんだよ。いい加減推し変しちゃえば?」

楽「ハァッ、ぱるるのこと悪く言うんじゃねえよ!!ぱるるはな、塩対応とか言われてるけど、本当は凄く健気でいい子なんだぞ!!」

小咲「はわわ、一条くんが怒り出しちゃったよ!!」

千棘「ぱるる? ぱるるって一体何よ!?動物かなんか!?」

集「ほ〜お、随分とぱるるの単推しぶりが凄いな楽は。でもよ、ぱるるって最近AKBのイベントサボって握手会も全然出てこないじゃん。そのくせ映画のイベントには出てくんのに、ファンとしては不満はないの?」

楽「え?ううん………まあ正直言えば、ここ最近のぱるるの言動は確かにおかしいとは思うけどな。映画のイベント出るくらいならAKBのイベントにも参加しろよって確かに思うぜ。あくまでも本業はAKBのくせに女優面して映画のイベントだけ出てサボるようだと、これからのぱるるは心配しちまうよな………」

集「だろぉーー?そこでだ、今度の週末のイベントでさ、俺と一緒に新しい推しメンを探さない?」

楽「おお、そういや全国の関東は今週末だったな。」

小咲「全国?週末? 今週末に何かあるのかな?」

千棘「ないかのイベントっぽいけど、もしかして最近の楽が変なのもそれに関係してるんじゃ………」

鶫「お嬢たち、先程から何をしているのですか?」

千棘「あ、鶫!」

るり「何をヒソヒソと話してるのよ小咲?」

小咲「あ、るりちゃん」

万里花「まあ〜楽様が話されているところをコソコソと聞き耳を立てて盗み聞きとは、随分と悪趣味ですわ」

千棘「フンッ、あんたには関係ないでしょ!」

鶫「お、あそこにいるのは一条楽と舞子集。2人して何を話しているのだ?」

るり「何よ小咲、会話に混ざりたいんなら普通に一条くんに話しかければいいじゃないの?」

小咲「いや、あのその……」

千棘「実はね……」

鶫「つまり、最バーーーローー条楽の様子がおかしいのが気になって、2人で様子を伺ってたと?」

千棘「そうなのよ。楽ったら、私達とは付き合い悪くなったくせに舞子くんとは普段通りに話してたし、一体何なのよ、もうッ!!」

鶫「おのれ一条楽め!!お嬢というものがありながら」

小咲「でも舞子くんとの会話も普段とは違った感じなんだよね。聞き慣れない言葉がたくさん出てきたし」

るり「聞き慣れない言葉?」

小咲「うん。確か舞子くんとがね、ゆきりんがどうのこうのって言ってた」

万里花「ゆきりん?」

千棘「それから神曲だの推し変だのとも言ってたわね」

鶫「何かの隠語でしょうか?麻薬を小麦粉と言い換えるように」

るり「ひょっとしてそれ、AKB48のことじゃないの?」

みんな「え、AKB48!?」

鶫「AKBとは、あのAKBのことでしょうか?」

千棘「え、鶫は知ってんの!?」

鶫「はい。お嬢は知らないのですか?AKB48とは、今一部の熱狂的な支持者から盲目的に支持されているアイドルグループのことですよ」

千棘「アイドル!? そんなのが今流行ってるの?」

鶫「ええ、ただ流行っているかと言うと微妙なところですね。そのAKBなのですが、全盛期はもうとっくに過ぎてますので」

万里花「私もテレビでたまたま見たことがありますわ。でもさほどレベルの高い集団というわけでもありませんわ。ダンスも素人レベルで歌は口パクが毎度のこと、最近では人気メンバーの卒業や相次ぐスキャンダルで低迷が止まらないとネットでも叩かれているらしいようで」

小咲「そ、そうなんだ……。そういえば私も詳しくは知らないけど、でもテレビでAKBが出てるのを見たりしたことはあるよ」

千棘「でも、どうして今更楽がそんなのを好きになんのよ!!?なんか納得出来ないわね……」

るり「確かにそうね。AKBなんて今更好きになる理由がわからないし、最近じゃファンは減少傾向でアンチは増加傾向なのに」

鶫「まあ、あのくらいの歳ならアイドというものにハマっても不思議ではないが、だがまさか一条楽がアイドルオタクだったとは……」

千棘「うわッ、オタクとかマジキモいんだけど………」

千棘(もう、何よ楽の奴!! 私がいるのにそのAKBとかいうのが好きになったの?だから最近私にも冷たいわけ…………)

小咲(一条くん、AKBのことが好きなのかな…。私よりも、AKBの方が可愛いって思ってるのかな………)

るり「でも、やっぱり変ね」

小咲「え、変って何が?」

るり「今まで一条くんがAKBが好きだっている素振りなんて見て来なかったじゃない?それなのに最近になって好きになるだなんて、何かきっかけがあったんじゃないかしら」

小咲「きっかけ?」

鶫「そういえば、一条楽の奴がお二人との付き合いが悪くなったのは何時頃なのですか?」

千棘「ここ最近よ」

小咲「うん。一条くんがうちのお店に来なくなったのもつい最近のことだし」

るり「……………ひょっとして、舞子くんかしら」

小咲「え、舞子くん!?」

鶫「ハッ、まさか舞子集の奴が一条楽をそそのかして……」

万里花「その結果、楽様をオタクにしてしまったと?」

るり「いや、まだ断定は出来ないけど、でもその可能性は高いわね。舞子くんならやりかねないわ」

小咲「それじゃ、もしそれが本当なら、一条くんは舞子くんのせいでAKBのオタクになっちゃったってこと!?」

千棘「なッ、何よそれーーーーー!!」

鶫「お、落ち着いてくださいお嬢!!まだそうと決まったわけではありません」

万里花「でも、もし本当にそうだししたら、このままにしておくわけには参りませんわね」

千棘「そうよ!! そのAKBってのとがなんなのかよく知らないけど、でもなんか負けたみたいな感じがして気に入らないわ!!小咲ちゃんも嫌でしょ?」

小咲「え、…………う、うん!! 私も、一条くんがAKBのオタクだなんて嫌だよ! 前の一条くんに戻って欲しいよ!!」

るり「おぉ、あんたにしてはよく言ったわよ小咲!!」

千棘「そうよ小咲ちゃん!!こうなったら私たちで楽の奴をオタクの道から救い出してやりましょうよ!」

万里花「私もこのまま楽様が童貞無職なキモヲタに成り果ててしまうのを見逃すわけにはいきませんわ!! 今回ばかりは私も協力いたしますわ!!」

鶫「しかし、具体的には一体どうすれば……」

羽「あのぉ………」

千棘「羽先生?」

羽「ごめんね。みんなが話してるところを聞いてどうしても放っておけなくてね。楽ちゃんのことなんだけどね、実はね…………」

みんな「ええ!?最近家に帰ってから部屋に引きこもるようになった!?」

羽「うん、そうなの。最近の楽ちゃん、家でも様子がおかしいんだ」

千棘「アイツ、私達に対してだけじゃなくて、家でも様子おかしいのね」

小咲「一条くんがそうなっちゃったのって、何時頃からですか?」

羽「つい最近。多分、みんなと付き合いが悪くなり始めたのと同じタイミングだと思うの」

万里花「楽様……部屋で1人引きこもって一体何をしてるのでしょうか」

羽「うん、そう思ってね、楽ちゃんがお風呂に入っている間こっそり部屋に入ってみたの。そしたらこれが置いてあったの」っ

るり「これって!?」

鶫「CDのようですが……まさかこれは!?」

羽「うん。AKBのCDよ」

小咲「こ、これが一条くんをオタクにしちゃったAKBのCD!?初めて見る」

千棘「このジャケットに写ってるのがAKBね。……って、なんでこいつら水着なのよ!!?」

小咲「はわわ、ホントだぁ///」

鶫「み、水着を着た少女達の写真を見て如何わしいことをしていたのか!?おのれ、一条楽様め……///」

羽「まあ、楽ちゃんもそういうお年頃だから、部屋にAKBのCDがある分には別に問題ないんだけどね」

るり「他に何か問題なことでも」

羽「うん。実はね、これと同じようなAKBのCDが楽ちゃんの部屋に山積みになってたの」

小咲「え?同じCDが山積みってどういうことですか?CDなんて入ってる曲は同じなんだし、一枚買えばいいと思うけど」

るり「なるほど、AKB商法ね!!」

千棘「AKB商法?何よそれ?」

鶫「AKB商法というのはですね、同じCDをヲタク共に何枚も購入させるために特典をつけて売り上げを伸ばそうとするAKBお得意の卑怯な戦術のことです!!」

るり「そう。それでオタク達は同じCDなのにその特典欲しさに何枚も購入してしまうの。実に汚いやり方だわ」

万里花「ええ、実際には買っているのは一部のマニアックな身も心も醜い殿方ばかりですのに、結果としてCDはその特典商法の効果でミリオン超え、でも実際にはCD自体はあまり聞かれておらず、特典のみを抜き取ってCDをネットオークションや古本屋に売るか、ひどい場合にはそのまま投棄するという輩もいるようですの」

千棘「何よそれ!!?そんなのCD売れたことになんないじゃないの!!やり方が汚いし卑怯だわ!」

小咲「そんなぁーーー、そんなのお金の無駄遣いだよ。それに気づかないでいる一条くんがあまりにも気の毒だよ」

羽「そうなの!!最近の楽ちゃん、AKBにハマりすぎちゃって、みんなの分の料理も作ろうとしてくれないの」

千棘「え、それじゃ料理はどうしてるんですか?」

羽「最初の頃は私が作った餃子でみんな満足してくれてたんだけど、でも餃子ばかりだと飽きちゃうし、でも私餃子しか作れないから。それで最近はみんなコンビニで買ったカップ麺で済ませてるの」

鶫「カップ麺ばかりでは健康に良くないな」

るり「ひょっとして、一条くんもカップ麺ばかり食べてるんですか?」

羽「うん、どうやらそうらしくてね。集英組のみんなも、いい加減楽ちゃんの料理を食べたいって嘆いてるんだ」

千棘「楽をそんな風にしちゃうだなんて、AKBってなんだか恐ろしいのね」

鶫「確かに、アイドルはハマると宗教やクスリよりも厄介ですからね」

羽「それで話を戻すけどね、部屋の中にあったこれと同じ大量のCDなんだけど、開封されてたのはこの1枚だけだったの」

小咲「え、それってどういうことですか?」

羽「つまり、ちゃんと曲を聴いたCDはこの一枚だけで、他の大量のCDは未開封のままで全く手をつけてない状態だったのよ。」

千棘「それじゃCD買った意味ないじゃないの!!」

鶫「まあAKBのオタクなんて所詮は曲目当てでCD買いませんよ。あくまでも欲しいのは特典のみですから」

るり「そうね。一回も曲を聞かないで特典だけ抜いてCDは捨てる馬鹿までいるって聞くし」

万里花「ホントに、ヲタクって気持ち悪いですわ」

羽「しかもこの開封された一枚もあまり聞かれた痕跡がなくてね、ほとんど新品に近い状態なの。」

千棘「ひょっとして楽が途中から授業に参加したのって………」

羽「多分、今朝になってCDを聞きたくなって、聞いたら思いの外ハマっちゃったパターンなのかもね」

小咲「そんな………一条くんかわいそうだよ。早くAKBの呪縛から解き放ってあげないと」

羽「そこでみんなにお願いがあるの。楽ちゃんを救ってあげてほしいの。今の楽ちゃんは私の言うことに聞き耳持ってくれそうにないし、だからみんなにしかお願いできないの!!」

小咲「任せてください先生!!きっも私達がAKBという深い闇から一条くんを救い出してみせます」

千棘「そうよ!!そんな気持ち悪いやり方でしかCDを売れないような卑怯な連中に負けてたまるかっての!!」

万里花「楽様にはAKBなんて下衆な雌ブタ共よりも、私が身近にいるということを思い出させてあげますわ!!」

鶫「お嬢の彼氏ともあろう者が、AKBなんぞという低レベルな現代文化の象徴のようなものにハマっていたのでは問題だからな!!お嬢、私も協力します」

るり「小咲がこのままじゃ私も調子狂うわ。ここはみんなで力を合わせて一条くんを元に戻してあげましょう」

みんな「おおぉぉーーーー!!」

羽「みんな………ありがとう。私もサポート役くらいは出来るからね」

千棘「とは言ったけど、具体的にはどうすればいいのかしらね。楽本人に尋ねるわけにもいかないし」

小咲「そういえばさっき、舞子くんが一条くんに今週末がどうのこうのって言ってたけど、何かAKBのイベントでもあるのかな?」

るり「それ、もしかして握手会のことじゃないかしら!?」

千棘「握手会って?」

鶫「AKBの特典商法の要ともいえるものです。AKBはCDに握手券をつけて販売することで同じCDを何枚も買わせようとしているのですよ!!そうすることによって、たくさんCDを買えばそれだけたくさんの握手券が手に入る、つまりメンバーとたくさん握手出来るってことです」

千棘「うわ、何よそのやり方。マジキモいんだけど……」

万里花「そんなことまでしてアイドルと触れ合いたいのなら、いっそキャバクラや風俗へ行った方がいいですのにね」

小咲「それで同じCDだけたくさん手元に残っちゃうんだね」

るり「そうよ、だからAKB商法はいろんなところで問題視されてて、実際に批判もされているわ」

羽「今ネットで調べたんだけどね、確かに今週末に凡矢理文化ホールでAKBの握手会があるみたいだよ!」

千棘「それじゃ、楽達はそれに参加するつもりなのね!!」

鶫「よし、とりあえず我々もそれに参加して一条楽達の動きを観察することにしましょう」

小咲「でも、その握手券ってのを持ってないとイベントに参加出来ないんじゃないのかな?」

鶫「いいえ、その点は心配ありません。ビーハイブの資金力を使ってどうにか人数分手配します」

千棘「さっすがは鶫、気が効くわねーー!」

万里花「まあ、警視総監の娘である立場からすれば本来ならそういった不正を見逃すのはどうかと思いますが、今回ばかりは大目に見ますわ。私の方でも、AKBの握手券を揃えておくようお父様に頼んでおきますわ。本田、今の件を早速」

本田「御意!」

小咲「うわっ、本田さんいつの間に!?」

千棘「てゆうか、どうしてAKBのイベントに警察が出てくんのよ?」

万里花「あら、知らないんですの?AKBのイベントには危険な輩が発狂して暴挙を犯さぬよう、警備員として元警官や警察官の方々が雇われているんです。警視総監である私の父なら、そっちの方面にも顔が効きますわ!」

千棘「え、そうなの!!」

鶫「AKBは警察までも稼いだ金で引き込んでいるのか。侮れる相手だ」

るり「とりあえず握手券の方は用意してもらえるとして、AKBをよく知らないメンバーは当日までにAKBのことについて勉強しておくこと。細かいことはメールでやり取りして決めましょう」

みんな「おぉーーー!!」

こうして、AKBにハマった楽を救い出すべく、千棘や小咲達が団結するのであった。

その日の夜…

小咲「AKBのことについて勉強かぁ……一応テレビで見たことはあるけど、AKBってそんなに可愛いのかな。私もAKBみたいな格好したら、一条くん振り向いてくれるのかな………//」



コンコン…ガチャ!!

春「お姉ちゃん、この間借りてた本返すね」

小咲「あ、春。そうだ、ねえ、春ってAKBって知ってる?」

春「えっ、AKBってあのAKB?お姉ちゃん……AKB好きなの?」ジトッ

小咲「え、いや好きじゃないけど。でも、とある事情でAKBのことについて調べなくちゃいけないくて」

春「調べるって………えっ、その雑誌AKBの雑誌じゃん!!お姉ちゃん一体どうしちゃったの!?どうしてお姉ちゃんがAKBなんかを!!?」

小咲「ちょ、落ち着いて春!」

小咲たん事情を説明中……

春「うげげっ、一条先輩AKBのヲタクになっちゃったの?」

小咲「そうなの。それで一条くんを元に戻すためにみんなで協力することになったの」

春「そうなんだ。それでお姉ちゃんAKBのことについて調べてたんだ。はぁ〜〜良かったよ、お姉ちゃんがAKBなんて好きじゃなくって」

小咲「ねえ春?AKBってそんなに悪い人達なの?」

春「そりゃそうだよ!!AKBになんてロクな女の子いないよ。大体は裏で男と遊んでるビッチばっかりだし、AKBは何かとひどいんだよ」

小咲「そ、そうなんだ……。その言い方だと、春はAKBのこと嫌いなの?」

春「うん、私AKB死ぬほど嫌いなんだよ!!マジ最悪なんだよAKBって!」

小咲「えっと、具体的にはどんなところが嫌いなの?」

春 「あいつら、何かと色々と舐めてるんだよ!!例えばね、AKBって演技下手なくせしてゴリ押しでドラマとか出てくんだけど、私それで許せないことあるんだよね!!」

小咲「許せないことって?」

春「とりあえずお姉ちゃん、このDVD見てみて」っ

小咲「これって、ドラマのDVD?」

春「このドラマね、私が好きな少女漫画が原作なんだけど、主人公の女の子がAKBのメンバーになってんの。それが本当に最悪なんだよーーー!!」

小咲「と、とりあえず見てみよう」


AKB『なんたらかんたら〜〜』

春「ね、酷いでしょ?」

小咲「う〜ん、確かに台詞も棒読みだし演技は上手じゃないね」

春「そうでしょーーー!?このシーン、原作の漫画じゃかなり感動するシーンなのに、AKBのクソ演技のせいで台無しなんだよ。実写化はいいとして、なんでそれがAKBなのよ、もうッ!!」

小咲「確かに、それはあまりいい気はしないよね」

春「でしょでしょ!!他にもね、AKBって歌番組でも口パクばったりたし、ダンスもあまり上手くないんだよ」

小咲「そうなんだ」


こうして小咲は、AKB48の酷さについて春から教わった。

そして、握手会当日の朝……


楽「ふわあぁ〜〜〜、昨日は興奮してあんまり寝てねえな。でも、これも握手会のためだ!!」

羽「あら楽ちゃん。今日は随分と早起きなのね」

楽「あ、おはよ羽姉。俺これから集と出掛けてくるから〜〜」

羽「うん。いってらっしゃい」

ガラガラガラガラ

羽「楽ちゃん行ったみたいね………」


ピポパポピ、prpr

ガチャッ

羽「あ、もしもし………うん、今楽ちゃん家を出たところよ。それじゃみんな、予定通りよろしくね」

とある広場にて……

千棘「さっき羽先生からきた電話からすると、楽の奴そろそろ握手会の会場へ着いた頃かしらね」

鶫「おそらく今頃、舞子集の奴と落ち合っているでしょうね」

るり「そうね。ヲタクの中にはルールを破って会場に徹夜しているのもいるようだし、早めに行った方がいいものね」

万理花「いわゆる徹夜組って奴ですわね」

鶫「それはそうと、宮本様、小野寺様は一緒ではないのですか?」

千棘「あれ、そういえば小咲ちゃんまだ来てないの?」

るり「そうみたいね。待ち合わせの時間はもう過ぎてるというのに」

小咲「みんなーーー遅れてごめ〜ん」

千棘「あ、小咲ちゃん来た」

るり「遅いわよ小咲。あれほど遅刻するなって言ったじゃないの」

小咲「ごめんね遅れちゃって。でも春にAKBのことについて色々聞いてたら遅れちゃって」

春「あ、皆さんおはようございます」

千棘「あれ、春ちゃんも来てたんだ!」

春「はい、お姉ちゃんが心配で私も今回着いて行くことにしました!」

るり「よし、これで全員揃ったようね。それじゃみんな、今日はまず一条くんがどれ程AKBにハマってしまったのかを知るべく、実際に握手会へ乗り込んで直々に観察するわよ」

千棘「準備万端よ!鶫、頼んでたものは用意出来た?」

鶫「もちろんですお嬢!」

万里花「本田、こちらも準備はよろしいですか?」

本田「御意、仰せの通りに」

小咲「うわ、みんな気合十分だね。私達も負けてられないね」

春「大丈夫だよお姉ちゃん!昨日の夜2人であれだけAKBについて調査したんだし、きっと一条先輩を更生できるよ」


こうして一同は、AKBの握手会の会場へと向かった。

握手会会場……、

千棘「ここが握手会の会場ね!」

鶫「休日ということもあり、結構人が入ってますね」

るり「でも、殆どが見るからねヲタクっぽい気持ちの悪いおっさんばかりね」

春「うわぁーー何よあそこの人、マジキモいんだけどぉ……!!」

小咲「お、落ち着いて春!!」

万里花「AKBのことについて調べてみても、実際にオタク共を間近にするとやはりキモいですわね」

千棘「うげッ、何よあそこのおじさん……変な刺繍の入った服着て、どこの田舎の暴走族よ」

鶫「奴らはあれをカッコいいとでも思っているのでしょうかね」

小咲「AKBについて散々勉強してしたけど、こうして実際にオタクの人たちを見てみると、ちょっと怖いね……」

千棘「で、でもこれも楽の奴を目覚めさせるためよ!!頑張らなくちゃ」

春「うげげげ、どうしてオタクってこんなにキモいのばっかなんですか?」

るり「そうね……オタクだからキモいってのもあると思うけど、でもキモいからオタクになっちゃったってのもあるかもしれないわね。どうせあんな容姿じゃ女からモテるわけもないし、仕事も出来ない。だからAKBなんかにハマって人生を台無しにしちゃったんだわ」

春「AKBのオタクってニートでブサイクなおっさんばっかりなんですかぁ?」

るり「大半がそうだけど、ちらほら若い人もいるみたいね。あそこにいるのなんか学生かしら?」

千棘「ホントだぁ〜。高校生か大学生くらいの人もちらほらいるみたいね。私達みたいな女子ってあんまりいないのかしら」

鶫「一応AKB好きの女子もいることにはいるようですが、極少数のようですね。」

春「ちびっこファンとかはいないんですかね?」

るり「家族連れってものいそうだけど………どうやらこの会場にはいないみたいね」

千棘「親も子供にAKBなんて教えたくないんじゃないのかしらね」

小咲「確かに、大の大人がこんなのにハマっちゃうんだし。小さいうちからオタクになっちゃったら、親御さん は嫌だろうからね」

るり「さてと、立ち往生もなんだし、用意した握手券をそれぞれ配布するわよ」

春「あ、私マスクしてもいいですか?オタクの嫌な臭い嗅ぎたくないんで」

千棘「あ、私もするーーー!」

るり「そうね、それに一条くん達にばれちゃ意味がないわ。顔を隠すためにもマスクも人数分配っておくわ」

鶫「なら、サングラスも配っておきましょう。こんなこともあろうかと、サングラスも用意しておいたのです」

万里花「なら、帽子を被るのも効果的ですわ。本田、直ぐに人数分の帽子の用意を」

本田「御意」


小咲「よし、マスクもしたしサングラスもかけたし帽子も被ったし、バッチリだね」

千棘「うん!これなら楽も私達が誰なのかわからないはずよね」

るり「それじゃみんな、早速会場へ入るわよ」

みんな「おぉぉーーーーー!!」

会場の中……

キモオタA「おーーーいまだか、早く始めろよ!」

キモオタB「まゆゆーーー、まゆゆーーー!!」

ザワザワ…ガヤガヤ

春「うわ、何よあそこのオタク……突然奇声上げて、マジキモい…」

小咲「発狂でもしたのかな?」

るり「まあAKBのオタクには精神患者が結構多くいるらしいわよ」

小咲「え、そうなの?」

千棘「まあ、AKBになんかハマる時点である種の精神病だと思うけど」

鶫「お嬢!言ってることはごもっともですが、あまり過激なことを言わないけでください。厄介なオタクにでも聞かれたら惨事になりかねませんよ!」

千棘「おっと…、そうだったわね」

小咲「握手会っていうから並んだら直ぐに握手するのかと思ってたけど、違うんだね」

万里花「ええ、握手をする前にメンバー達によるミニライブがあるようですわね」

小咲「そのミニライブも口パクなのかな?」

春「きっとそうだと思うよ。だってAKBって音楽番組でもほとんど口パクだもんね」

るり「そのね。たまに生歌の時とあるけどお世辞にも上手いとは言えないレベルよ。あの下手さは放送事故よね」

千棘「そんな連中がミリオンヒット連発とか、音楽好きな人が怒るのも無理ないわね」

鶫「全くですね。まあ所詮、ここにいるオタク共は握手会だけ手に入れてCDはろくに聞かないで棄てるような馬鹿ばかりですから、音楽のことなんてこれっぽっちもわかってませんよ」

万里花「楽様は一体何処にいるのでしょうか」キョロキョロ

小咲「一条くん達、どの辺かな?」

春「あっ、お姉ちゃんいたよ!!前の方に一条先輩らしき後ろ姿が」

小咲「え、本当に!?」

千棘「あ、ホントだわ!あの後ろ姿は間違いなく楽よ!!」

鶫「隣にいるのは舞子集だな。一体何を話しているのだ」

集「いやぁーー、朝早くから並んだから前の方にこれたな」

楽「そうだな。それにしてもまさかAKBが凡矢理市に来るなんてなぁ」

集「なあなあ楽、それで楽は誰推しにするか決めたの?」

楽「いや、だから俺はまだ別にぱるるから推し変すると決めたわけじゃねえぞ!!てか、そういうお前はもう誰推しにするか決まったのかよ」

集「もっちろんーーー!俺がゆきりんから推し変すんのは、この最近研究生からチームAへ昇格した高部あいちゃんだよぉーーー!!」

楽「お、確かこの高部あいって子って、最近昇格したばっかの子じゃん」

集「そうそう。しかもこの子、公演ではゆきりんのアンダーなんだってさ」

楽「へえ〜そうなのか。んで、なんでまたこの子を推すことにしたんだ?」

集「この黒い髪に大きな瞳、そして何か裏がありそうなミステリアスな雰囲気、ゆきりんなんかよりよっぽど清楚で可愛らしいじゃん!!」

楽「そうか?まあ見た目はゆきりんよりかはいいと思うけど、でもこういう子も裏で何かやってたりしてな」

集「んなッ!?そんなわけねぇーーだろ!!ぱるるなんかよりよっぽどマシだぁーーー」

楽「おい、いきなり大声出すなよ!てか、何俺のぱるるをディスってんだよ!!」

集「ふんッ!!お前が先に俺のあいちゃんをディスってきたんだぞ!!」

楽「わかったよ、悪かったって。だから機嫌直せよ、な?」

集「ふん……まあ高部あいちゃんはぱるるとは違って今日のイベントはちゃんと参加するしな。ぱるるなんかまた仮病で今日の握手会すっぽかしてんじゃんー!」

楽「まあ、確かにぱるる今日も握手会サボりらしいけどよ……。てか、その高部あいちゃんって子はいるんだな」

集「ああそうさ!あいちゃんは間違いなく将来AKBのセンターになってるね」

小咲「なんだか一条くんと舞子くん熱くなって語り合ってるみたいだけど」

春「一体何について話してんのかな?」

千棘「ひょっとして、楽が推してるっていうぱるるって子のことかしら?」

小咲「えっと……確かぱるるっていうのは島崎遥香ちゃんって子で、塩対応って言って失礼な態度を取ってる子だよね」

るり「そうよ。最近じゃその塩対応にも周囲が呆れてしまってるようでね、ビートたけしや徳光和夫あたりの大御所タレントもマジでキレてるって噂らしいわ」

春「塩対応って言っても、ようはただ性格悪いだけじゃん。先輩ったら、あんなのの一体どこがいいんでしょうかね」

るり「まったくね。AKBである今のうちはまだ塩対応でも許されるかもしれないけど、社会人としては普通にアウトよね。きっとAKBの肩書きがなくなって外の世界へ出たら苦労するだろうわね」

鶫「まったく……盲目的なキモオタが甘やかすから塩対応だなんて聞こえの良いものを作り上げてしまったのだろうな」

小咲(一条くんって、素っ気ないのが好きなのかな………。でも私、一条くんに冷たくなんて出来ないよ///)

千棘(ったく、塩対応なんてただの世間知らずじゃないの。あんなののどこが可愛いのよ、バカ………///)


万里花「ちなみに、今日はその塩対応でお馴染みの島崎遥香という方は登場するのでしょうか?」

るり「いや、どうやら今日は不参加みたいね。まあ、正しくはには今日"も"だけどね」

小咲「AKBのイベントは欠席なのに映画のイベントは出てるみたいだけど、仕事選んでるのかな?」

春「そりゃこんなところでキモオタ相手にするよりは映画みたいに大きな仕事した方が美味しいもんね」

千棘「今頃男と遊んでんじゃないの〜」

るり「あ、それはないみたいよ。どうやら島崎遥香は火傷をしちゃったみたいだし」

小咲「あぁー、確か足を火傷しちゃったんだっけ?ネットに載ってたね」

鶫「しかしそれも、話題づくりのためにしたという噂がありますよ」

万里花「自分の身体に傷まで負わなければ話題にもならないなんて、惨めですわね」

スタッフ「お待たせいたしました。只今よりミニライブを始めます」

キモオタ共「ぐおぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!!」

千棘「あ、どうやら始まるみたいよ!」

小咲「一体どんな人が出てくるのかな?」


AKBメンバー「皆さんこんにちは〜!AKB48ですわね!!」

キモオタ共「ぶひぃぃぃぃぃーーーーーーー!!!」

るり「どうらや今壇上にいるのが今日の出演メンバーみたいね」

千棘「これがAKBか……なんか思ってたよりも可愛い子いないわね」

鶫「まあ、本当に可愛い子ならばわざわざAKBにならなくてもいい思い出来ますからね」

万里花「中途半端なビジュアルの小娘達が勘違いしてオーディションを受けるんですわね」


集「うおぉぉぉーーーーーーーー、あいちゃーーーん!!」

楽「くそッ、どうして今日もぱるるいねえんだよーーー!!」

春「うわ、一条先輩が周りのキモオタと一緒になって叫んでる。キモッ」

小咲「一条くん…………」

千棘「楽のバカ………」

スタッフ「それではメンバー1人ずつ自己紹介をお願いします」

柏木「はい。寝ても覚めてもゆきりんワールド、ゆきりんこと柏木由紀です!!」

ヲタ共「ゆきりーーーーんッ!!」

小咲「えっと…確かあの子が柏木由紀って子だよね」

千棘「確か、ジャニーズの手越って人と週刊誌に書かれたけど、それからスルー決め込んでるのよね?」

鶫「ええ、しかも彼女は過去に何度が週刊誌にスクープ記事を書かれていますが、本人の口から今まで釈明がされたことはないようです」

千棘「同性からは嫌われそうなタイプよね」

春「確かに……私もゆきりんは嫌いですね」

万里花「ビッチって言葉がお似合いですわね」

高部あい「はーーい!!あなたの心に届けたい。みんなの恋の運び屋、高部あいでーーーす!!」

ヲタ共「あいちゃーーーん!!」

千棘「あれ、AKBにあんな子いたっけ?」

鶫「どうやら、最近になって有名になったメンバーらしいですよ」

るり「まあAKBのメンバーなんてほとんどは名前も顔を知られてない子ばかりだもんね」

春「それでよく"国民的"グループだのんて言えますよね」

小咲「確かに、一般世間からすれば名前の知られてるメンバーってごく僅かだもんね」

万里花「この高部あいという子は見た目はそれほど悪くないですが、あとはどこにでもいるような普通の顔ばかりですわね」

千棘「確かに、アイドルっていう割にはインパクトに欠ける顔よね。てか、ハッキリ言ってあの端っこの子とかブサイクじゃない?」

鶫「あの後ろの方で下向いてるメンバーも、結構酷い顔してますよね」

小咲「あそこで眠たそうにしてる子も結構ブサイクだよね」

春「あの程度でアイドルやれるんじゃ、その辺の一般人でも変わらないと思うけどな」

るり「盲目的になったオタクからすれば、どれも可愛く見てちゃうのかしらね」

スタッフ「それではメンバーの皆さん、歌の方をお願いします」

AKB「それでは聞いてください。AKB48で新曲『ポニーテールとゴム』です!」

キモオタ共「フォーーーーーー!!」

千棘「あ、歌が始まるみたいよ!!」

小咲「また口パクで歌ったふりだけするのかな」



AKB達「ポニーテール〜♪ なびかせて〜♪ ゴムを咥える〜♪」

ヲタ共「フォーーーーーー!!」

春「あれ、明らかに口パクですよね?」

るり「そうね。しかもダンスも全然揃ってないわ」

万里花「こんなので満足するだのんて、AKBのファンはレベルが低いのですね」

千棘「まあオタクからすれば歌とかダンスとかはどうでもいいんじゃないの?ようは自分の大好きなアイドルが出て来れば、何をしたってアリなんでしょうね」

小咲「なんだろう……私ちっとも楽しくないよ」

鶫「こんなの、カラオケで歌ってる素人の方がよっぽど上手いではないか」


キモオタ共「フォーーーーーーー!!」

集「最高だぜ、あいちゃーーーん!!!」

楽「ぱるるいなかったけどよかったぞぉーーー!!」

AKB「ありがとうございますーー!」

春「うわ、一条先輩あんなので喜んでますよ」

るり「まさかここまでキモいとはね」

万里花「楽様……見るのもおいたわしいですわ」

鶫「酷い有様だな………これからの日本が心配だ」

小咲「一条くん………待っててね!今すぐにでも一条くんの目を覚まさせてあげるからね!!」

千棘「ったく、あんなのにハマる暇があるんなら私にかまいなさいよね、バカもやし!!」

スタッフ「それではみなさん、これより握手会えと……」

ドサドサドサ

警官「動くな、警察だぁーー!」

スタッフ「え、ちょっと、あちら達一体なんなんですか!?」

警察「ちょ、どうしてこんなところに警察がいんのよ!?」

万里花「変ですわね、それに見る限りAKBの警備員とは違うようですし」

キモオタA「おいおい、一体なんだー?」

キモオタB「何かのサプライズか?」

ザワザワ…ガヤガヤ

右助「高部あい、お前に逮捕状が出ている!!これよりお前を違法薬物所持の疑いで逮捕する」

千棘「あれ、あの人何処かで見覚えのあるような」

万里花「あれは右助ではありませんの!!どうして右助がこんなところにいるのです!!」

千棘「あの人確か、ファミレスで見た人よね」

小咲「それよりもAKBに逮捕状ってどういうこと!?」

春「薬物がどうのこうのって言ってたけど」

高部あい「ちょ、いきなりなんですか!?私薬物なんて身に覚えがありませんよ」

右助「逮捕状も出てるんだし、調べもついてんだ。お前が数ヶ月前から怪しい人物と薬の売買をしている証拠もおさえてある!!署までご同行願おうか!!」

集「そ、そんなーーー!!高部あいちゃんが麻薬だって!!?」

楽「あの人…確かに橘のバイト先だったファミレスで見た人だよな」

キモオタA「おい、いきなりどういうことだよーーー!!」

キモオタB「いきなり麻薬所持ってどういうことだよーーー!?てかタイミング考えろよな」

キモオタC「そうだそうだ、これじゃイベントになんねえじゃねえーーか!!」

ザワザワ…ガヤガヤ

楽「おい、なんか周りのオタク達が騒ぎ出して不穏な空気になってきたぞ」

集「くそぉーーーーー!!そうやってまた俺たちオタクを裏切るのかよ!!どうなんだよあいちゃん、答えてくれよーーーー!!」

キモオタA「そうだそうだ、答えてくれよ!!」

キモオタ「またゆきりんみたくスルーすら気かよ!!」

楽「って、集までオタク共と一緒に騒ぎ出しちまったよ!!」


ザワザワ…ガヤガヤ

小咲「はわわ、どうしよう!!なんだか会場が騒がしくなってきたよ」

春「これじゃ握手会どころじゃないよぉ〜」

千棘「ちょっと、これなんかまずいんじゃないの」

鶫「ご安心くださいお嬢、お嬢の身を守るために護衛はつけております」

右助「さぁ、おとなしく捕まれ」

高部あい「ううう………ってい!」

右助「あ、逃げやがったな!!待て、その女を捕らえろ!!」

小咲「うわッ、たの高部っていう人ステージから逃げ出しちゃったよ!!」

るり「これじゃイベントどころじゃないわね、それに会場のオタク達が暴れ出して大変なことになりそうだわ!!」

キモオタA「うごおぉぉぉーーーーーー一体どうなっちまってんだよ!!!!!??」

キモオタB「キエェェェェェェェェェェェェーーーーーーーーーーーー!!!!」

春「うわッ、あそこのオタクが発狂しだよだよ!!」

小咲「何かされる前にここから逃げなきゃ!!」

るり「待つのよ小咲、会場が混乱している今闇雲に逃げ出してもかえって危険よ!」

スタッフ「会場にお越しのみなさん、落ち着いてください!!」

右助「おい、騒ぎが大きくなる前にはやく高部を捕まえろ」

警官「それが、どうやら高部はこのオタク達の中に紛れ込んだようで会場のどこにいるのかわかりません!!」

右助「なんだってーーーーー!?なら、この騒がしいオタク共を大人しくさせろ!これじゃ高部を探し出せねぇぞ」

警官「それが、発狂しているオタクのせいでこちらの言うことを聞いてくれそうにありません。こんな状態で奴らに無理強いを強いるとかえって騒ぎを大きくしてしまいます!!」

右助「くそッ、こうなったら奥の手だ! オタクに当たっても構わん、この群れの中にいる高部あいを射殺しろーーー!!」

警官「イエッサー」

バーーンッ!
キモオタA「ぐわぁぁぁーーー」バタン

キモオタB「うわッ、キモオタAが警官に撃たれたぞ!!しっかりするんだキモオタA、キモオタAーーーーー!!」

キモオタAだったもの「…………」
チーーーーーーーン

右助「ふはははーーー、てめぇらキモオタなんざいくら死んでもかまやしねえんだよ!!高部と共に[ピーーー]やぁーーー!!」

バーーンッバーーンッ!!

キモオタB「うわぁ、警官に撃ち殺される!!」

キモオタC「に、逃げろぉーーーー!!」

万里花「このままでは私達も撃ち殺されてしまいますわ」

小咲「うわぁぁ、早く逃げなきゃ!!」

千棘「落ち着いて小咲ちゃん!パニック状態の会場で慌てて逃げ出してもかえって危ないわ、鶫!!」

鶫「御意! ビーハイブ狙撃班、配置につけ!!」

ビーハイブ達「イエッサーーー!」

小咲「あれって千棘ちゃんのおうちの人達!?どうしているの?」

千棘「こんなこともあろうかと、鶫に言って待機させておいたのよ!」

鶫「お嬢を危険にさらろうとするものは例え誰であっても許さんッ!! オタクに当たっても構わん、警官を撃ち殺せーーーー!!」

ビーハイブ「イエッサーーー」

バーーンバーーンッ!!

警官「うぎゃぁぁぁぁーーーー」バタン

キモオタB「ぐはぁぁぁーーー」バタン

右助「あ、あれはビーハイブの連中!?どうしてこんなところにいやがるんだ……まあいい、オタク諸共奴らも撃ち殺せ!!」

バーーンバーーンッ!!

ビーハイブ「ぐわぁぁぁーーー!」バタン

鶫「おのれーーー躊躇うな!!奴らを1人残らず始末するのだ、お嬢の身を守れーー!!」

小咲「なんだか物凄い銃撃戦になってるよ!!」

春「オタクの人が次々と倒れていくよ!」

るり「でもこのままじゃ私達も巻き込まれるんじゃ」

万里花「この機に乗じてここから脱出しますわ。本田!」

本田「御意、皆さまこちらへ。脱出用のヘリを手配しました。これで脱出します」

春「ヘリコプターって、いつの間に!?」

千棘「でも、このままじゃ鶫が!!」

鶫「お嬢、私に構わず行ってください!!」

千棘「そんな、それじゃあんたが______」

鶫「私なら大丈夫です!!お嬢、早く行ってください!!」

千棘「鶫……」

小咲「行こう、千棘ちゃん」

千棘「小咲ちゃん……………うぐっ、鶫、絶対に死ぬんじゃないわよ!!」

バタバタバタ

本田「皆さま、どうぞこちらです」

万里花「さま、早く乗ってください」

千棘「鶫……」

小咲「千棘ちゃん、鶫ちゃんならきっと大丈夫だよ!」

千棘「小咲ちゃん………そうよね、鶫はこんな簡単に死ぬわけないよね。ありがと」

春「このヘリ、一体どこへ向かうんですか?」

るり「とりあえずここを離れた方がいいわよね」

万里花「そうですわね、本田」

本田「御意、これより離陸します」

高部あい「はあ…はあ……まさかイベント中に警察がくるだなんてね。でも、ここで隠れてば警察も追ってこないはずよね。あとはタイミングを見計らって逃げ出せば………」

集「そうはいくかよ!!」

高部あい「だ、誰よあんた!?」

集「そうやってお前たちAKBは健気で純粋なオタク心を弄びやがって、裏では麻薬に手を染めたり男と寝たりしてファンの夢を壊してるだな!!」

高部あい「ふん、それがなんだっていうのよ! アイドルなんて所詮はそんなものよ。そうやってバカなオタクから搾り取った金で裏ではみんな遊んでんのよ!! オタクほど盲目的で純粋でバカな生き物はいないわ!まあ私達はそのおかげで美味しい思いを出来るけどね」

集「おのれーーーー絶対てめえは許さねえぞ!!」

楽「おい集!!こんなところにいやがったのか。オレ達もさっさとここから逃げるぞ。会場は銃撃戦になって大変なことになってんぞ!!」

集「悪いな楽、俺はやり残したことがある。お前だけ先に逃げてくれよ!!」

楽「はぁ!?何言ってんだよ集!?このままここにいたら銃撃戦に巻き込まれて俺達も危ねぇぞ。早く逃げねえと」

集「いや、俺はここで逃げるわけには行かねえんだ!!全国のバカなオタク達の代表として、俺はコイツを許すわけにはいかねえよ!!」

楽「集………」

高部あい「何よ、コイツって私のこと?あんたに何が出来るっていうのよ?」

集「確かに俺達アイドルのオタクはバカだ。こんな女のためにせっかく貯めた小遣いを使っちまうんだもんな……」

楽「集、お前……」

集「いくら金を使って握手券を買っても、そのアイドルと付き合えるわけでもない。金の無駄だとわかっててもなかなかやめられない……俺、今わかったよ。アイドルってのはハマると麻薬なんかよりもよっぽど怖いんだなって。盲目的になりすぎてそのアイドルが全てだと勘違いしちまう、そのアイドルがしていることがなんでも正しいと思い込んでしまう、でも、そんなのやっぱり間違いなんだよ!!」

楽「…………集」

集「わかっていたはずなのに、俺は軽い気持ちで友達であるお前を巻き込んでしまったんだ。AKBなんて邪悪なものに親友を巻き込んでしまった。俺はとんでもない大馬鹿野郎さ……でも、そんな大馬鹿野郎にも、最後に一つ、出来ることがあるはずさ」

楽「集……………お前」

集「さあ楽、大馬鹿野郎からの最後のお願いだ。俺に構わず行ってくれよ。俺のことなら気にすんなって、お前をAKBなんかに捲き込んじまった報いさ。さあ、行ってくれよ」

楽「集………、お前は、お前は大馬鹿野郎なんかじゃねえよ。お前は俺の一番の親友さ!」

集「楽……………」

高部あい「はっ、何よそれ、マジウケるんだけどーー、男同士の友情ってやつ?マジ臭いんだけどそういうの! あんたら結局はAKBにハマったキモオタじゃないのよ!」

集「確かに俺たちはお前らみたいな最低なアイドルにハマったキモオタかもしれない!! でも、キモオタでもは、アイドルなんかよりも守りたいものがあるんだよ!!!」

楽「集、お前………」

警官「こっちの方に高部あいが逃げ込んだらしいぞ!!」

右助「よし、探し出せ!!見つけたら問答無用に射[ピーーー]るんだーー!」

高部あい「ちっ、警官がきやがったか!!」

集「逃がすかよーーーー!」

ガシッ

高部あい「きゃッ、離せよこの変態、痴漢!!」

楽「集ーーーーー!!」

集「さあ行くんだ楽!俺の屍を超えてゆけ!!」

集「集…………うぐぐ、ありがとよ」

集「へへ、気にすんなって。それと集、俺が偉そうに言えたことじゃないけど、もうアイドルだなんて厄介なものにハマるなよ。お前には桐崎さんも、それに小野寺もいるんだしさ……………幸運を祈るぜ」

楽「集………あぁ、ありがとよ!!」

タタタタタ……

右助「おい、まだ高部あいは見つからないのか!?」

警官「まさか、もうすでに会場から逃げ出しのでは?」

右助「いや、そんなはずはない。まだ会場の何処かにいるばすだ、隅々までよく探すんだ!」

別の警官「右助さん、大変です!!」

右助「一体何事だ?」

警官「はい。痺れを切らした上層部が最終手段に切り出したらしく、会場へ向けてミサイルを発射したとのことです」

右助「なんだとーーーー!?」

警官「ミサイルはあと数分で会場に着弾するようです!」

右助「くそ、上は俺達ごと高部あいを派手に始末ようってわけか!!ええい、総員撤退だ、直ちにここを離れるぞ!」

警官「了解です!」

楽「はあ…はあ……くそ、この会場思ってたよりもデカイぞ。しかも初めてくるから何処に出入り口があんのかよくわかんねえ、迷っちまったよ」

鶫「こっちだ、一条楽!!」

楽「お前は鶫!?どうしてお前がこんなところに!?」

鶫「説明はあとだ!!この会場にミサイルが接近しているのだ。あと数分もしないうちにここは爆破される」

楽「な、なんだってーーーー!!?」

鶫「こちらへ急げ、この先に地下へ繋がる通路がある! この建物の地下は頑丈なシェルターになっていて、ミサイルの爆破にも耐えられるのだ!!」

楽「本当かッ!?」

鶫「ああ、だから急ぐのだ。もたもたするなッ!!」

楽「お、おうッ、恩にきるぜ鶫」


そして数分後………

キモオタ達「うわぁーーー逃げろ」

ゆきりん「ちょっと、何よあれ!?」

キモオタ達「あ、あれは……ミサイルだぁーーーーーーー!!!」






ドッカァーーーーーーーーーーーンッ!!!


こうして、握手会の会場はミサイルによって木っ端微塵となりした。

これは後ほど聞いた話です。
あの日ミサイルが撃ち込まれた会場跡地で行われた捜索により、逃げ遅れた多数の死傷者の焼け跡遺体が発見されました。中には身元が確認出来ないものもあったようですが、そのほとんどは当日会場にいたオタクとAKB48のメンバーのものだとされています。
身元が判明した遺体には、舞子くんのものと今回の騒動のきっかけとも言える高部あいのものと見られる遺体があったようです。それと右助さんという警官とその部下と見られる遺体も瓦礫の下から発見されましたが、その死因は爆発に巻き込まれてたものではなく、銃撃戦によるものだと判明しました。
どうやら鶫ちゃんがやったらしく、ミサイルが撃ち込まれるとの話を彼らから聞いた後、背後から狙い撃ちして仕留めたようです。本来ならビーハイブの組員に警官が撃ち殺されたということもあり、警視総監である橘さんのお父さんが怒り出してビーハイブと一悶着起こるところだったのですが、それをなだめたのは橘さんでした。鶫ちゃんは千棘ちゃんの身を守るために発砲したのですが、それを拡大解釈して私達全員の身を守るためだったとお父さんに説明してくれたようで、橘さん自身にも身の危険があったこともあってか、本田さんも裏で色々と働いてくれたらしく、さらに今回のことは警察に落ち度があったこともあり、警視総監の面子を守るためにも橘さんのお父さんは何もしてきませんでした。

鶫ちゃんやビーハイブが一般人であるオタク達を撃ち殺した件についても、ビーハイブの重役の人達が裏で色々と動いたようでお咎めはないみたいです。千棘ちゃん自身も自分の身を守るために銃撃戦となった挙句、たまたま居合わせた一般客が悲しいことに巻き添いになったと主張し、発砲も警官の方から先にしたこともあり、ここでも千棘ちゃん達の思惑通りに事が済みました。

そして、私達はと言うと…
まず妹の春ですが、今回のことでより男性不信となってしまったようで、現在学校を休学し入院しています。男性の声を聞くだけで怯えてしまい、お父さんでもなかなか病室に入れてもらえません。お友達の風ちゃんやポーラちゃんも心配していました。
るりちゃんは特に変わりませんが、一条くんを痛い目で見ています。
橘さんは、今後こういった事態が起こらぬようにと、本田さんや警察の人達を集めアイドルの撲滅活動を行う団体を立ち上げたようです。
鶫ちゃんは、ミサイルが発射されたあの会場にいたのですが、地下にあった頑丈なシェルターの中へ避難していたため無事でした。ちなみにその時一条くんも一緒でした。そこで一条くんと話したそうです。一条くんは舞子くんが残した言葉や鶫ちゃんからの説得もあり、改心しました。もうアイドルなんかにはまらないと言っていたようです。

そして、私と千棘ちゃんはと言うと……


千棘「あ、おはよー小咲ちゃん」

小咲「おはよう千棘ちゃん。一条くん……今日からだよね」

千棘「うん。ったくあのもやしったら、立ち直るのに随分とかかったじゃないの」

一条くんは自分のせいで舞子くんが犠牲になっただと、あの日以降落ち込むようになってしばらく学校へきませんでした。
しかし、私や千棘ちゃんの説得、そして一条くんのお家の人や羽先生のフォローもあり、最近になってようやく元気を取り戻したのです。
そして、今日からまた一条くんが学校へ通います。羽先生に頼まれて、私と千棘ちゃんで一条くんのお迎えにきました。


ピンポーーーーーン!!!

小咲「一条くん、迎えに来たよ」

千棘「ほらもやし、さっさと準備して出て来ないよーーー」

竜「お、坊ちゃん。お出迎えが来たやうですぜ」

楽「おう、今行くーー!」

一条くんは周りの人の助けも借りて、徐々に元気になっています。
あれだけのことが起きてまだ万全ではないだろうけど、それでもまたこうして学校へ一緒になって通えることがとても嬉しいです。
あれから、一条くんのことを厳しく責める人もたくさんいましたが、私と千棘ちゃんは、できるだけ一条くんに対して優しく接することにしました。一条くんも反省していることだし、それに親友である舞子くんを失った心の傷と自責の念が思っていたより大きかったからです。

でも、私はそんな一条くんを支えてあげならが一歩づつ一緒に進んで行ければと思っています。
AKBが亡き今、以前以上に一条くんと会話する機会が増えた気がします。前よりも仲良くなれた気がしてとても嬉しいです。今度のお休み、また一条くんがうちの和菓子屋さんのお手伝いをしてくれることになりました。

一条くんとの距離が縮まった……
でもそれは、千棘ちゃんも同じ。
私と千棘ちゃんはあの事件の後、互いに一条くんが好きだということを伝え、一緒に一条くんを支えるとともにお互いを良き恋のライバルとして認め合いました。
私は負けません、必ず千棘ちゃんに勝って一条くんを手に入れてみせます!!



竜「そんじゃ坊ちゃん、行ってらっしゃいーー」

楽「おう、行ってきまーす」

小咲「おはよう、一条くん」

千棘「ったく、久々の登校なんだしビシッとしなさいよね」


こうして私と千棘ちゃん、それと一条くんの3人で学校へと向かうのでした。

楽「あのよ………小野寺も千棘も、ありがとな」

千棘「たく、まだ言ってんのあんた。いつまでも過ぎたことでイジイジしてちゃ、男らしくないわよ」

小咲「千棘ちゃんの言う通りだよ。もう済んだことだし、舞子くんだって、きっと天国で一条くんのことを応援してくれてるって」

楽「そっか………そうだよな。前向きに進まねえと死んだあいつに顔向け出来ねえもんな。ありがとう、2人とも」

小咲「そ、そんな、私達は何もしてないよ///」

千棘「そうよ、まったく世話の焼けるもやしね///」

楽「俺はもう、AKBみてえなアイドルになんかハマったりしねえ。だって俺には、小野寺や千棘がいるんだもんな」

小咲「一条くん……///」

千棘「ら、楽………///」

千棘(そうよ、アンタはAKBなんかじゃなくて私を見れてばいいよの/// 小咲ちゃん、この戦いは負けないは!)

小咲(私だって……もう、今までよ控え目な私じゃないんだから!! もっと積極的にアピールして千棘ちゃんよりも早く一条くんのハートを射止めてみせるもん///)


楽「あぁ、あとこの"ことりちゃん"もな!!」

千棘「えっ!?」
小咲「こ、ことりちゃん?」


カタカタカタ……

楽「なあ見てくれよ〜2人とも! この子、ラブライブってゲームに登場する南ことりちゃんって子なんだけどさ、スゲー可愛くてよ!」











千棘•小咲「もっとダメェーーーーーーーーッ!!!」



終わり

作者です。
以上で当SSはお終いです。最後までご覧いただきありがとうございました。
それと、最後になりますが、
AKBファンの方はご閲覧にご注意ください。

>>62
ラブライブよく知らない。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom