【かぐや様は告らせたい】小野寺麗の日常 (120)

①石上優は気付かない


体育祭の数日前
1ーB教室

ガヤガヤ
アハハハハハ


石上「…」

小野寺「石上」


石上「あ…小野寺さん?」

小野寺「今日の放課後は応援団で練習あるからちゃんと来なよ」

石上「う…うん、わかってるけど」

小野寺「そ、じゃまた放課後ね」

ザッザッザッ…



女子A「ねえ小野寺さん。あいつまだ応援団に居るの?」ヒソヒソ

小野寺「うん。そだけど」

女子B「大丈夫?応援団の女子に手ぇだしたりしてない?小野寺さんも気を付けなよ」

小野寺「…」

女子A「てかあいつ女子の制服誰から借りたんだろ?」

女子B「もしかして盗んだんじゃないの?」

女子A「うわ、キッモイ。でもあいつならやりそー」

小野寺「いや、普通に生徒会の先輩から借りたって言ってたけど」

女子A「えー、本当に?」

女子B「まずあいつが生徒会に居るのがマジイミフだよね」

女子A「絶対女子狙いで入ったんだよ、キッモイ」

小野寺「…やめなよ」

女子A「え?」

小野寺「あいつはそういう奴じゃないよ」

女子B「ちょっと小野寺さん?何か最近やけにあいつに甘くない?」

小野寺「…」

石上は1年の間では「嫉妬から暴行事件を起こしカップルを別れさせたストーカー」と噂されていた。
小野寺麗もずっとそれを信じ彼を毛嫌いしていた…が、応援団で一緒に過ごすうちに分かったのだ。
石上優は根暗でオタクで何で応援団入ったのか分からないような男であるが、そんな悪行をやるような人間ではない。
応援団で石上なりに真面目に取り組む姿を見て、彼女は噂に疑問を抱くようになったのだ。



(僕は今でも小野寺さん達が怖いよ)

(怖くても戦えるやつに、僕もなりたい)


小野寺(…ただの悪人があんな台詞を吐くだろうか、私にはとてもそうは思えない)

小野寺(あれは真剣に頑張ろうとする人間の言葉だった)


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放課後


風野「今日は男女入れ替わった服装で練習するぞー!!」

つばめ「ちゃんとみんな着ててきたかな~?」

部員「キャー、団長も副団長も可愛いーっ!」

小野寺「二人とも写真撮っていいですか?」

つばめ「うん、いいよー」

風野「俺も可愛く撮ってくれよ!」

ワイワイ


石上「…」ポツン


つばめ「わー、優くんその格好可愛いね!」

石上「え!?」

風野「だな、俺より可愛いぞ石上!」アハハッ

石上「ど…どもっす」


小野寺「…」

小野寺(団長も副団長も石上の事を気に掛けてくれている…けど、石上はまだ応援団の皆と接することに怯えている感じだ)


小野寺(少なくとも、ここにいる皆はもうあんたのこと認めてるんだよ)


ザッザッザッ…


小野寺「石上」

石上「え、なに?」

小野寺「石上の写真も撮らせてよ」

石上「い、いいけど…」


パシャッ!


小野寺「見て見て撮った写真、石上の格好も結構いいんじゃない?」

石上「あ…そ、そうかな…」


つばめ「小野寺さーん、ちょっと来てー」

小野寺「あ、はーい」


タッタッタ…



石上「…」


小野寺麗はまだ周りに遠慮し距離を置く石上を気遣い絡んだ


…しかし……




石上(え、なに!?まさかさっきの写真SNSに晒されて笑い者にされたりすんの!?)ビクビク


この時の石上はまだ真意に気付けていなかった。


①おしまい

②石上優は歌いたい


体育祭終了後、打ち上げとして応援団メンバーはカラオケに来ていた


部員「団長超歌うまかったーっ!」

部員「マジアガるーっ☆」

風野「ふう…よし次だ!」

つばめ「は~い、次は私が歌っちゃうよー♪」


石上「…」

風野「お、石上。歌う曲は決まったか?」

石上「あ、すみません、まだっす…」

風野「そうか、まあ焦らず決めればいいからな!」ポンッ

石上「は、はい」

小野寺「…」

石上「…」ウーン

小野寺「そんな難しい顔しなくても好きなの歌えばいいよ」

石上「わかってるけどさ…」

この時、石上はオタク特有の壁にぶち当たっていた。そう…

流行りの曲が歌えないのである!!


石上(最初はカラオケに呼ばれて嬉しかった…だがここにきて冷静になったら、俺、アニソンしかろくに歌えなかった!!)ゴーンッ

石上とて流行りの曲を知らないわけでも嫌いな訳でもない。むしろいい曲なら聴くことは好きである。
しかし、『歌う』となれば話は別!!!

サビだけなら歌えるけど全体を完璧に歌うとなれば一気に自信はなくなる!!

石上(どうする、普通に流行の歌を選んで分からないとこは素直に聞くか?でもそんなことしたら空気を悪くしないだろうか…)

石上(…!)ハッ

石上(前前前世!!!)


石上(そうだ、これならこのリア充集団の中で歌っても恥ずかしくないし違和感もない!!)


小野寺「…」

小野寺(石上、見るからにオタクっぽいしアニメの曲しか歌えないとかなのかな…)

小野寺「…あの、歌う曲変えたいんすけど」

風野「おう、全然構わんぞ!」



小野寺「やっぱ私、前前前世歌います」

石上に気を使ってアニソンを選んだ結果


石上(あ……取られた………)


このあと、石上は流行の歌を選んだ。
素直に分からないところは聞いたら普通にノリノリで教えてくれた。

②おしまい

③小野寺麗は確かめたい


TG部部室

藤原「ふう…今日はマッキーちゃんもメガ子先輩も居ないし、一人で作業は大変ですね」


コンコンッ

藤原「はい、どうぞー」

ガララ

小野寺「おじゃまします…藤原先輩」


藤原「あら、貴女は石上くんと同じクラスの…どうしましたか?」

小野寺「実は…気になってて聞きたいことがあって」



小野寺「石上の噂って…やっぱり嘘なんですか?」

藤原「…」

藤原「…何故それを私に聞くんですか?」

小野寺「いえ、生徒会の方なら…真実を知っているんじゃないかと」

藤原「……座ってください、小野寺さん」

小野寺「あ、はい。座らせてもらいます」ガタッ


藤原「つまり貴女は…石上くんの噂に疑問を持っていると」

小野寺「はい…私も最初は噂を信じて、酷く当たってた時もあったんです」

小野寺「けど…実際接してみた彼は、大人しいけど意外と真面目で、根は真っ直ぐな奴だと思ったんです」

小野寺「とても噂通りの事をやる人間には思えなくて…何故こんな噂が広まったのか気になって」

藤原「…小野寺さんは、ちゃんと人を見て素直に考えを改められるいい子なんですね」

藤原「こうして誰もいないときに来るのも小野寺さんなりの気遣いを感じますよ」

小野寺「いえ、そんな…」

藤原「…小野寺さんになら真実を聞かせても良さそうですが…」

藤原「ごめんね。こればっかりは私だけの判断で勝手に話すわけにはいかないから…まだ話せません」

小野寺「そう…ですか」

藤原「けど、もう貴女は分かっているでしょう。噂が本当なのか嘘なのかは」

小野寺「はい」

藤原「…」フッ


藤原「きっといずれは石上君も再びこの問題と向き合うときが来るでしょう…その時は小野寺さんもあの子の味方で居てあげてください」

小野寺「もちろん、そのつもりです」

小野寺「どう考えたっておかしいですよ、あんな噂…石上は他人を平気で傷つけるような奴じゃないのに…」

藤原「そうですね、石上くんはそんなことやりません。他人を傷つけるような事は………」


藤原「…」



藤原「なのにですよ!?」ガタッ

小野寺「わっ!?」ビクッ


藤原「私には、私には酷いんですよあの子!私には容赦なく殴ってきてDVかますんですよ!!」

小野寺「え、な、殴るんですか!?」

藤原「正論という名の言葉のボディーブローで!!」

小野寺「あ、ああ…そういう意味っすか」

藤原「ゲームで勝つためにちょっとズルしたりするだけで!」ブワッ

小野寺「え、それ先輩が悪くないっすか?」

藤原「会長やかぐやさんには礼儀正しいのに何で私にはあんな生意気なんでしょう!!」

小野寺「えっと……それだけ藤原先輩が素直に話しやすいって事じゃないですか?」

藤原「なんて優しい解釈!!」

藤原「例えばですよ!今私が作ってるのも石上くんからダメだしされて作り直してる奴なんですが…」

小野寺「はあ」

藤原「特に作り直すべきって言われたイベント関係を手直しして昨日みせたんです。なのにまたダメだししたんですよあの子は!鬼ですか!自信あったのに!」

小野寺「そうなんですか…」

藤原「そうだ、小野寺さんにも見てもらいましょう。これ私の考えたゲーム内でのイベント案のリストなんですけど…」ピラッ

小野寺「へえ…見せてもらいますね」ピラッ



イベント案
①美容師に行くも失敗し全てのカットに失敗し毛がなくなる。五千円支払う。ゲーム中プレイヤーはハゲカツラを頭に被る。
②自宅にUFOが直撃し家が無くなるもUFOの破片を売り1億円入手。
③隣のプレイヤーから怪しい商品を売り付けられる。一千万円を隣のプレイヤーに支払う。


藤原「どうですか!?」ニコニコ

小野寺「…あの、藤原先輩…」

藤原「はい♪」

小野寺「さすがにこれは意味不明だしプレイヤーに喧嘩を売ってるようにしか思えないんですけど…何ですか?これ」

藤原「この子も結構切れ味鋭い発言する!!」

③おしまい

④伊井野ミコは断れない

それはキャンプファイヤーの許可を得るため周辺の住宅を回っていた日のこと


小野寺「ふー、やっとこれで終わりだね」

伊井野「うん………小野寺さん、ありがとう」

小野寺「いいよ、私もキャンプファイヤーやりたいし」ニッ

ギュルルルルル…

伊井野「…っ!!//」

小野寺「はは、伊井野お腹へったの?」

伊井野「う、うん…」

小野寺「…帰る前に二人でマックでも行かない?」

伊井野「え…うん」



そして、二人でマックへ


ガヤガヤ

小野寺「伊井野それ頼みすぎじゃない?」

伊井野「え、そ、そうかな!?」

小野寺「ハンバーガー3つとか」

伊井野「お、お腹空いてたから…」

小野寺「まあ、いいけどね。ほら食べよ」

伊井野「うん」



男1「お、君達可愛いね~」

男2「ねえ暇なら一緒に遊ぼうよ」


伊井野「!?」ビクッ

小野寺(げ…ナンパかウザいなぁ。こんな店の中で平気でやってくる時点でろくなのじゃ無さそうだな)

小野寺「すみません、今友達と食ってるんで」プイッ

伊井野(と、友達っ!?)ドキーンッ


男2「えー、いいじゃんいいじゃん」

男1「君みたいな大人しくて可愛い子好みなんだよなぁ」

伊井野「あ、あの…やめてください、迷惑ですっ」

男2「いやでも本当に可愛いよ」

男1「そうそう、化粧なしでその可愛いさはヤバイよ」

伊井野「い、今、と…友達と食べているのでっ!」

小野寺(大人しい伊井野にターゲット絞ったか…)

小野寺(まあ伊井野は真面目ちゃんだしあんなナンパには引っ掛からないでしょ。私よりキツいこと言い返すだろうし心配しなくても大丈夫…)


男1「じゃあさ、ラインだけでも、ね?本当一目惚れレベルで可愛いから」

男2「そうそう、ラインだけでいいから。本当見逃したら損するレベルの美少女」

伊井野「………」



伊井野「ライン………だけなら//」

小野寺「チョッッッロ!!?」ガタッ


これ以降、小野寺さんは伊井野の友達兼保護者になることになる。

④おしまい

思い付いたらまた投下します

⑤小野寺麗は聞いてみたい

日曜日

小野寺と伊井野はCDを買い向かっていた。


小野寺「欲しいCDが今日発売日なんだよね。伊井野って結構CD聞いてるっしょ?あんたもああいうとこ好きそうだから呼んだの」

伊井野「うん、ありがとう」

小野寺「いつも何聞いてんの?」

伊井野「え、えーと!」

伊井野「…ジャニーズ系とか…」

イケメンから褒められる癒し音声を聞いていることはさすがに言えなかった


小野寺「へー。確かに伊井野そういうの好きそう」

伊井野「うん。麗ちゃんはどういうのが好きなの?」

小野寺「私はねー…」


二人は雑談しながらCDを物色していた。

小野寺麗はもう伊井野を一人の友人として見てくれている。
彼女と居ることに安心感を覚え、伊井野の緊張の糸が少しずつほぐれていき……その時

小野寺「私はとりあえずこの欲しかったやつ買お。伊井野はほしいのあった?」

伊井野「うーん、欲しいのはだいたい買っちゃってるから…」チラッ

伊井野「!!」


伊井野の目にあるものが飛び込んできた。


「癒しの大きな動物鳴き声集」


伊井野(大きな動物!?ほ、ほしい!!)

伊井野は大きな動物が好きだった

小野寺「ん?どした?何見てんの?」

伊井野「あ…えっと…」チラッ


伊井野(だ、大丈夫だよね……イケメン音声なら恥ずかしいけど、動物の鳴き声だし!!)

自分を受け入れてくれる小野寺の優しさに緊張がほぐれてきた伊井野はだいぶガードが甘くなっていた


伊井野「こ、これが…欲しいなって」スッ


小野寺「…」

伊井野「…」



小野寺「え、動物?鳴き声?」

伊井野「う、うん…」

小野寺「え、音楽とかじゃなくて?これ聞くの?」

伊井野「動物好きだから…」

小野寺「…へ、へえ…」

小野寺(癒し音声て……まあ伊井野、成績トップのプレッシャーとか風紀委員と生徒会の掛け持ちとかでストレス溜まってそうだし…動物の鳴き声で癒されるってなら、まあ…個人の趣味だしね……)

小野寺「あー、犬とか猫とか可愛いし癒されるよね」

伊井野「え?いや、ゾウとかキリンとか…」

小野寺「ゾウ!?キリン!?」

伊井野「ロバの鳴き声のやつも私持っててね…」

小野寺「ロバっ!?」

伊井野「え、変…?」

小野寺「いや、まあ…いいんだけどさ。それが好きなら別に…」

小野寺「でも、ロバの鳴き声とかどんななのか逆にちょっと興味あるな」

伊井野「え!興味あるの!?」キラキラ

小野寺「いや、そんな目え輝かせないでよ、ただのちょっとした好奇心だから…」

伊井野「き、聞いてみる?」スッ
(スマホに繋がれたイヤホン渡し)

小野寺「ん、ちょっとだけね」スッ


小野寺「…」


『大丈夫…怖くないよ。君は一人じゃない』

『君はよく頑張ってるね』


小野寺「…」



小野寺「え?」

伊井野「ん?」



伊井野「…!!!」ハッ


「イケメンが優しく褒めてくれる音声」



伊井野(しまった、再生するやつ間違えたあぁっ!!)

『あぁ可愛い…君は本当にキュートだ……』

『皆君にメロメロだよ……』



小野寺「………」(正気かよという顔)



伊井野「うわあああ!わあああぁぁ!///」バッ

伊井野はとっさにイヤホンを取り上げる
しかしもう時は既に遅し


伊井野「はあ…はあ……っ///」うるうる

小野寺「…」


小野寺「伊井野、さすがにこれだけはない」(真顔)


伊井野「うわあああぁぁん!///」

ダッダッダッ


小野寺「あっ!ちょっと、待って伊井野!!」

ウイーンッ

アリガトーゴザイマシター


小野寺「……逃げちゃった…」

小野寺(良かった、人に聞かれたら恥ずかしいって考えはあったんだ…)

小野寺さんは変なところに安心感を覚えていた

小野寺「…」チラッ

小野寺「この動物のCD買ってってあげよ」スッ

ーーーーーー

伊井野「…ごめん、麗ちゃん…取り乱して、つい…」

小野寺「いいよ、まあ逃げるくらい恥ずかしいのが普通っしょ」

小野寺「はい、伊井野が欲しいって言ってたやつ。買わずに出ていっちゃったからさ…代わりに買っといた」スッ

伊井野「…!」

伊井野「ありがとう!麗ちゃん!ごめん、ごめんね!」

小野寺「はいはい、いいって。まあ私も対応がちょっとキツかったかもね…」

伊井野「私……嫌われるかもって怖かった…」

小野寺「あれくらいで嫌いはしないよ。一人で楽しんでるだけならただの趣味だし」

伊井野「ありがとう…」ウルッ

小野寺「…」


小野寺「けどこれだけは言わせて。あの音声だけは絶対簡単に人にバラしちゃだめだからね。マジで聞かれたらヤバイからそれ」

伊井野「あ、はい」

⑤おしまい

⑥藤原千花は遊びたい


その日、1年B組は作業の進んでいない「お化け屋敷」を文化祭当日までに完成させようとしていた…


コンコンッ

石上「おーい、作業の調子はどうだ…」ガチャ



チョキッ……チョキッ………


伊井野「いやあああ!怖い、怖い!キャアアアッ!!」ギシッギシッ

小野寺「頑張れ伊井野、声抑えて」

槇原「そうやって怖がるフリしちゃってさ…本当は身体縛られて色々されて嬉しいんでしょう?」ニヤニヤ

伊井野「ち、ちが……っ、私…そんな子じゃ……」

藤原「あははー☆」コチョコチョ

伊井野「ひゃあっ!くすぐったぁいっ!!」

大仏「うーん……またリテイクかなこりゃ」



石上「え、何これ。イジメの現場?」

藤原「どうしたんですか石上くん。女子の秘密の集りに混ざりたいんですか?」

石上「悪魔の集りの間違いでは?」


小野寺「ほら、教室で話し合ってるときに出た案のやつを進めてるんだけどさ…」

石上「うん、まあそれは分かるんだけどな」


伊井野「うわあああん、麗ちゃん!怖いよー!」ギュッ

小野寺「うん、そうだね。でももうちょいだから頑張ろうね」ポンポン

石上「お前も結構鬼だよな」


槇原「でもこのままじゃ伊井野ちゃんが叫んでまたリテイクの繰り返しだね」

藤原「そうですねえ、ミコちゃんにはもう少し静かにしてもらわないと…このままじゃ完成できません」

石上「何しれっと1年の中に混ざってるんですか藤原先輩」

小野寺「何回もやってちゃ伊井野が可哀想だしもう終わらせなきゃ」

伊井野「私の声だけ消すとかは無理なの…?」

大仏「無理だよ。ミコちゃんだって分かってるでしょ」

槇原「もう声も出せなくなるレベルに本気で怖がらせるしかないのかな?」

伊井野「えっ!?」ビクッ

小野寺「トラウマでも植え付ける気なの?」

石上「趣旨を間違えんなよ」

藤原「じゃあ声を出したらお昼ご飯禁止とかは?」

伊井野「それだけは!!それだけはやだっ!!!」

小野寺「リテイク食らったときと同じレベルの絶望顔だね」

石上「うーん………」



石上「じゃあもう物理的に声出せなくしたらいいんじゃない?」スッ←ガムテープ

小野寺「石上も人のこと言えないね…」

藤原「あはは、石上くんは鬼ですねー」ニコニコ

石上「なに笑ってんすか、あんたももっと先輩らしくしてくださいよ」

大仏「でも小野寺さんの言う通りあまら繰り返してもミコちゃんが可哀想だし…石上くんの案が一番だと思うよ」

伊井野「え…やだ……」ビクビク

槇原「声を聞けなくなるのは残念だけど…」

石上「よし、伊井野…ガムテープ付けるからじっとしてろよ」ペリペリ

小野寺「今更だけどなんか絵面がヤバイね」

伊井野「ふーっ!ふーっ!!」ギロリッ

石上「って、なんだその狂暴な小型犬みたいな目つき!!」

伊井野「やだ!石上最低っ!!この変態っ!!」ギャンギャン

石上「ちょっとの間だから我慢しろよ、ほらガムテープ付けれないだろ!!」

伊井野「がぶっ!」

石上「痛いっ!!」


小野寺「伊井野、おちついてほら」ポンポン

伊井野「ふー、ふー!」ギラッ

石上「だ、だめだ…俺じゃ伊井野は手に負えない」

藤原「まったくもう石上くんは…私にガムテープ貸してください」

藤原「ほーら、ミコちゃん。怖くないですよ~」ペリペリ

伊井野「ひえっ」ビクッ

藤原「大丈夫ですよ~、すぐ終わりますからね?怖くない怖くなーい」ナデナデ

伊井野「こ…怖いですよ…」

藤原「大丈夫、ミコちゃんならやれますよ。だから少しだけいいこにしてましょうね?」ナデナデ

伊井野「でも…」

藤原「文化祭で色んな屋台の食べ物奢ってあげますから!」ニパァッ

伊井野「えっ!!」パァッ

藤原「私は可愛いミコちゃんをここから解放させてあげたいんです。だから、ね?ガムテープ付けて早く終わらせちゃいましょ?」ニコニコ

伊井野「はい、わかりました…もう少しだけ、頑張ります」

大仏「それではアイマスクも付けて、次こそ成功させよミコちゃん」

伊井野「…」コクッ

槇原「さて、と…じゃあ私と楽しもっか」チョキッ、チョキッ

藤原「ミコちゃんファイトっ☆」アハハー



小野寺「槇原さんは遊びながらも完成を目指してるのは伝わるんだけど……藤原先輩からは遊びたいという目的しか伝わってこないのは気のせいかな」

石上「ああ、たぶん気のせいではないな」


このあと、伊井野に身体を動かせず目の前は真っ暗…そして声を出すことのできない恐怖が襲いかかることになることは皆が容易に想像できていた。



大仏「…うん、OK。これならいけるよ。お疲れ様ミコちゃん」ナデナデ

伊井野「はあ、はあ………」ガタガタ

石上「これは酷い…」

伊井野「ねえ、大丈夫だよね?またやり直ししないよね?」ガタガタ

小野寺「もう大丈夫だよ、 頑張ったね伊井野」ポン

伊井野「うぅぅ…」ギュッ

槇原「伊井野ちゃん」

伊井野「ひっ!?」ビクッ

槇原「頑張ったご褒美のイチゴミルクだよ☆」スッ

伊井野(えっ、槇原さん実はいい人!?)キューンッ



藤原「あはは、ミコちゃんはすぐ御機嫌になりますね~♪あー面白かった」

石上「あんたは何しに来たんですか…」

小野寺「そのうち伊井野からの信頼失っちゃいますよ?」


⑥おしまい

⑦小野寺麗は愚痴りたい


ある日、早坂愛はベンチに座り暗い顔をする小野寺を見つけた


小野寺「はあ~………」



早坂(あの子は確か1年のリア充グループの子だ。あんな暗い顔して一人でいるなんて珍しいな、どうしたんだろ…)

早坂(生徒会の伊井野ちゃんや石上くんと最近仲良しらしいし、私も近付いとけば後々有利な場面ができるかもしれないな)

ザッザッ


早坂「ん~?そこの1年ちゃん、暗い顔してどしたし~?」(ギャルモード)

小野寺「…えっと、先輩の方ですか?」

早坂「そだよ~☆早坂愛っていうの、君は?」

小野寺「小野寺麗っす」

早坂「小野寺さんかあ、ほら元気出してアゲてこ!マジ卍~♪」

小野寺「ありがとうございます、でもすいません、今ちょっとテンション上がらなくて…」

小野寺「あとそれもうオッサンしか使ってないですよ」

早坂「うっっ!?」グサッ

早坂「で~…いったい小野寺さんはどうしたのかなー?聞いてあげるよ」ニコニコ

小野寺「はい………」


ーー以下は朝からの小野寺の回想である

オハヨー
オハヨー

小野寺(昨日はお化け屋敷の準備どうなることかと思ったけど、石上や伊井野や槇原さんのお陰でなんとかなりそうだ)

小野寺(あまりにうちのクラスの作業速度が遅くて内心ハラハラしてたからな。胸のつっかえはひとまず取れた…)

女子A「小野寺さんおはよー!」

小野寺「ん、おはよ」

女子A「ね、ねえ、石上くんまだかな?」キョロキョロ

小野寺「まだじゃない?てかそんなキョロキョロ気にしてついこの間まで石上を毛嫌いしてた子とは思えないね…」

女子A「だって、体育祭の時の汗流しながら必死に走ってた姿が!そんでその後の悔しそうな真剣な顔に!キュンと来ちゃったの!!」

女子A「私頑張るスポーツマンに弱いの!!」

小野寺「いや、スポーツマンではないけどね石上」


女子B「小野寺さーん!」

小野寺「おはよー」

女子B「た、大変だよぉ!」

小野寺「ん?どした?」

女子B「お、落ち着いて聞いてね…」

小野寺「うん」



女子B「石上が伊井野を拐ってロープやガムテープで縛り上げていかがわしい映像を撮影したって噂が広まってるんだけど!!」

小野寺「どこから何が漏れてどうなったらそんな噂が広まるの?」

女子B「ま、まさか本当じゃないよね!?石上やらかしてないよね!?」

小野寺「石上がそんなことするわけないでしょ!てか私も居たし!」

女子A「そうだよ、石上くんはそんなことしないよ!ちょっとおとなしいけど頑張り屋さんな爽やかスポーツマンなんだよ!!」

小野寺「あんたはあんたで美化しすぎだけど!」

女子B「何かC組を中心に、もう結構な人に回ってるっぽいよこの噂…」

女子B「C組の子が昨日たまたま石上と伊井野が縛るだのガムテープだの変態だの大声で言い合ってる声を聞いたんだって」

小野寺「えぇ…マジでぇ?」

小野寺「はあ……わかったよ、私が何とする」ポリポリ


小野寺(こんな噂が石上や伊井野の耳に届くまでに止めないと…絶対不快な気持ちになるだろう)



C組教室


小野寺「ちょいと失礼ー」ガラガラ

生徒「あ!小野寺さん!ちょっと聞いて、昨日から流れてる石上の噂なんだけど!」

小野寺「あー、早速それか…そのことで話があるんだけど」

生徒「石上が伊井野と小野寺さんを拐ってロープやガムテープや手錠で縛り上げて耳やら何やら身体中舐め回したり槇原さんに撮影させながらいかがわしいことをやりまくったって本当!?」

小野寺「なんか噂の内容がレベルアップしてる!!?」

生徒「ねえ、小野寺さんは大丈夫なの!?」

小野寺「私はこの学校が大丈夫なのか不安だよ…」

生徒「え?」

小野寺「あのね、それは昨日単にうちのクラスの出し物作ってて、それの作業中の声をよく知らないC組の子が勘違いしただけで…!」

生徒「え、いかがわしいことやった映像を文化祭で公開するの!?」

小野寺「だーーもう!最後まで聞いて!」

生徒2「おい聞いたかよ!」

生徒3「石上が撮影した伊井野と小野寺のいかがわしい映像が文化祭で公開されるって!?ラインで全員に伝えろ、大ニュースだ!!」

小野寺「早速広めようとしないでーー!!」

??「お困りのようですね、小野寺さん!!」ガララッ

小野寺「え!?」



藤原「あとは私にお任せくださいっ!☆」


小野寺「ふ…藤原せんぱぁいっ!!

生徒「え、藤原先輩?」

生徒2「なんでここに先輩が?」


藤原「はいはい、皆さん静粛に。生徒会の書記の藤原さんですよ~」パンパン

小野寺(クラスが静かになった…藤原先輩が来てくれて助かった…)


藤原「この1年C組を中心に広まっている噂ですが、あれはですね、ただの勘違いです!真っ赤な嘘なんですよ!!」

生徒「え、嘘なの!?」

藤原「はい…そうなんです」

小野寺(変な面も色々見てきたけど、藤原先輩もやっぱり頼れる先輩なんだな…これで…)



藤原「私とTG部が1年の子を拐い、新しいゲームを作るため様々な実験を行った!それが真実です!!」バーンっ


小野寺(んんんんんっ!?)


生徒「え、TG部が…?」

生徒2「マジかよ…」


藤原「世界最恐のホラーゲームを作っていまして~、小野寺さんや石上くんやミコちゃんには実験台になってもらいました♪」ニパァッ

生徒2「じゃあ、伊井野と石上が変態とか言い合ってたのは…」

藤原「あれは~、私が『おとなしくしないと罰として耳たぶペロペロの刑をする』と脅していまして、私達に対し変態と言いながら暴れるミコちゃんを罰から守るため石上君が必死になだめていたんですよー☆」ニコニコ

小野寺(え、笑顔でなに言ってんのこの人!?)

藤原「ね!?小野寺さん!?」グルンッ

小野寺「!?」


小野寺「…そ……そうっす……」


藤原「と、言うわけなので!被害者である石上くんを悪く言ったりミコちゃんを傷付けるような噂話はやめてくださーい」

生徒2「そうか…TG部が諸悪の根源だったのか…」

生徒「恐ろしい…」

藤原「ふー…なんとか収まりましたね。こうやって私に興味の矛先を向けさせれば、変な噂が石上くん達に行くことはないでしょう」

小野寺「助けてくれてありがとうございます」

藤原「いいんですよ~、可愛い後輩達を悪く言われちゃ我慢なりませんから!」エッヘン

藤原「でも、C組の外にまで漏れた噂はまだ止まっていませんからね。もし噂流してる人を見つけたらTG部のせいにしておいてくださいね☆」

小野寺「…けど、本当に良いんですか?今度は藤原先輩達のヤバイ噂が流れたりとかしますよ…そんなのは」

藤原「あー、それなら全然気にしなくていいですよ!元々TG部はヤバイ噂がいっぱいあるんで今更1つや2つ増えたところで私達は痛くも痒くもありませんから!!」アハハー

小野寺「藤原先輩のその図太さは本当に尊敬しますよ」


小野寺(…さて、次は私の番だ。噂が広がってないか空いた時間に1年の全クラスを回って調べていこう…)

小野寺(石上や伊井野の耳には入らないように)


そして、授業と授業の空き時間、移動教室の時などに小野寺は1年の生徒達に遠回しに聞き込みしたり噂話をしてるっぽいグループに混ざり噂をしているようなら否定しに入る…
と「カースト上位のリア充」という立ち位置と広い人脈を生かし少しずつ噂を止めていった。



昼休憩


小野寺「はあ………」ガクッ

女子A「小野寺さん大丈夫?めちゃくちゃ疲れてるけど」

小野寺「授業の合間に噂話止めるために走り回ったり周囲に神経使ったりして休む暇がないんだよ…」

女子B「まあ昼休憩なら休めるっしょ。外でうちらと弁当食べよ」

小野寺「そだね」


ザッザッザッ…


小野寺「…ん?」チラッ


男子「おい石上てめえ聞いたぞオラ!昨日…」
石上「え、なに!?」ビクッ


小野寺「石上、つばめ先輩にこの書類持ってって!文化祭のやつ!!」バッ

石上「え、つばめ先輩!?よし、任せろ!」グッ

ダダダッ!!


男子「あ、おい待てよコラ!」

小野寺「あー、ごめんね。私が変わりに聞くよ。なに?」

男子「噂で聞いたんだけどよぉ、昨日あいつ伊井野を…」



女子A「小野寺さん…昼休憩でも休む暇が無いの……」

女子B「神は居ないのか…」


男子「…そうだったのか、じゃあ噂は嘘なのか…」

小野寺「そうなんだよねぇ…あはは~…じゃねぇ…」


小野寺「…はー……さてご飯食べよ……」クルッ

伊井野「ねえ、麗ちゃん」
小野寺「わ、伊井野!?」

伊井野「あのね…その、私…」モジモジ

小野寺「!! 」

小野寺「何かあったの?聞かせて」

伊井野「…私…ね…」



伊井野「モテ期来たかもしれない」

小野寺「どしたお前」

伊井野「あのね!今日知らない男子から何人もすごいジロジロ見られてね!私に気があるのかな…って」

小野寺「あー………」

伊井野「これがモテ期…なのかな//」テレッ

小野寺「気のせいだよ。モテ期じゃないよ。そんなことよりさ」

伊井野「そんなこと!?」

小野寺「今日大仏さんと食べるんでしょ?早く行きなよ、待ってるよ」

伊井野「そ、そうだね、うん!じゃあね!」

小野寺「うんまたねー。モテ期がどうのって話は他の人にはしちゃダメだよー」

女子A「大変だね、小野寺さん…」

小野寺「まあ伊井野はあの噂を聞いた訳じゃなくて安心したよ…」ホッ

女子B「やっと落ち着いて食えるね」

小野寺「うん。ちょっとジュース買ってくる」タッタッ

ピッ
ゴトン

小野寺「さて~…イチゴオレ飲んで一息つこ」グビッ

石上「おい、小野寺ー。つばめ先輩に書類渡してきといたぞ」

小野寺「ん、ごめんねー。ありがと」


ダダダダダッ!!

石上「ん?」

男子「あははははは!」ダダダッ
男子2「待てよぉ、はははっ!!」ダダダッ

ドンッ!!!

石上「おうふっ!!」

小野寺「きゃっ!?」ドカッ


石上「おい、コラ!廊下走んなお前らああぁ!!!」

石上「…ったく、小野寺!大丈夫か!?」クルッ


小野寺「………」ポタッ ポタッ

ぶつかった衝撃でイチゴオレが服にかかった

石上「あ、ご…ごめん。マジでごめん……」アワワ

小野寺「……石上が謝る必要はないっしょ…走ってた奴等が原因だし……」

石上「ティッシュ…」スッ

小野寺「ん、ありがと…」



伊井野「麗ちゃーん!」ダキッ
小野寺「おうふっ!?」

伊井野「あ!イチゴオレこぼれてる!私のせい!?ごめんなさい!!ハンカチで拭くね!?」

小野寺「いや、これは別の原因だから大丈夫だけど……てか大仏さんのとこ行ったんじゃないの!?」

伊井野「えへへー、あのね!今日はすっごくいい日なの!!」

小野寺「へー…どうしたの?」

伊井野「あのね、さっきチョコボール開けたら!金のエンゼル当たったの!!」パアァッ

小野寺「ふーん、すごいじゃーん」

石上「小野寺、なんか今日はあまり元気なくないか?」

伊井野「だよね…大丈夫?」

小野寺「え~、そんなことないよー…」


ダダダッ!!

「小野寺さん!!」

小野寺「!!?」ビクッ

カレン「1年B組の小野寺さんですね!?実は今、文化祭の出し物について全クラスの代表者にそれぞれインタビューを行っているところでして!!」

エリカ「なんでもいいのでどうぞ!あ、1分くらい話してもらえるとありがたいです!!」

小野寺「え、あの…今はちょっと待ってくだ…」



「小野寺さん!!」


つばめ「ちょっと来てー!話があるのーー!」タッタッ

小野寺「え!?」バッ




「小野寺さーん!!」

藤原「ちょうどいいところに居ましたー!今、製作中のゲームのお手伝いしてくれる人を探していたんですが~、小野寺さんどうですかー?☆」ニパァッ

小野寺「…!!?」バッ



ピロンッ

小野寺母からのライン
『今日の帰りに玉ねぎとニンジン買ってきて』



小野寺「…………………………………………」

伊井野「れ、麗ちゃん…?」

石上「おい、大丈夫か…?」





小野寺「まずはお昼ご飯食べさせてください!!!」



小野寺は本気で泣きそうだった

ーーーーーーーーーーー




小野寺「…噂の内容とか詳しい話は伏せますが、そんな感じのことがありまして……」

早坂「………」


小野寺「なんかもう本当、めっちゃ疲れたんで………皆には私をしばらくそっとしておいて欲しいんです……」

早坂「あー…うん…詳しいことは分かんないけど、なんか……分かるよ………」

この時、早坂は普段仕事やかぐやのワガママで動き回り疲れ果てた後の自分と小野寺を重ね、妙な共感を覚えていた。


⑦おしまい

⑧伊井野ミコを探したい

文化祭当日

眞妃「それでね、優。カレンがね~」

石上「あはは、ツンデレ先輩は友達も愉快っすね~」


ザッザッザッ!


小野寺「石上!」

石上「ん?どうした小野寺」

小野寺「大変だよ、目を離した隙に伊井野がスマホ忘れて居なくなっちゃった!」

石上「な…」

眞妃「はん。ちょっと君さぁ、大袈裟じゃない?そんな焦らなくたって校内には居るんでしょ?幼稚園児じゃないんだから…」

石上「大事件じゃねえか!!!」

眞妃「えぇ!?」ビクッ

小野寺「どうしよう…どっかで屋台の食べ物食べてるだけなら良いんだけど、知らない人から声掛けられてどっか連れていかれたりしてたら…」ハラハラ

眞妃「え、待って。その伊井野って子、高校生よね?」

小野寺「はい」
石上「タメっす」

眞妃「えぇ…」

石上「ツンデレ先輩、そりゃ普段ならさすがにこんなおかしな心配はしませんよ……でも今は状況が違います」

石上「文化祭…校外からやってくる多くの生徒以外の人間達、そして祭り効果によるハイテンション化」

石上「それらの要素が合わさった場所に伊井野なんかを無防備で放り込んだら危ないったらありゃしないですよ!」

小野寺「ナンパなんかされたら絶対引っ掛かる…」

眞妃「ねえ、その伊井野って子大丈夫なの?なんか私まで心配になってきたわよ」

石上「なんか行き先に心当たりはないか?」

小野寺「ん~…」

小野寺「フランクフルトが食べたいって言ってた」

石上「食べ物かよ…」

眞妃「まあ、それならそこに行ってみればいいじゃない。フランクフルトの屋台なら向こうにあったわ。まあついでに私もついていってあげてもいいけれど!」グウゥゥ~

石上「先輩、お腹鳴ってますよ」


ザッザッザッ…

石上「フランクフルト屋で聞いてみたけど情報は得られなかったっすね」モグモグ

眞妃「ええ、困ったわね…小野寺さん、他に心当たりはある?」モグモグ

小野寺「あとは…たい焼きが食べたいと言ってました、四条先輩」

石上「たい焼きて…」

眞妃「マキ先輩でいいわよ」モグモグ

小野寺「うす、マキ先輩」

眞妃「じゃあ次はたい焼き屋に行こうかしら」ゴクンッ

石上「まさかとは思いますが先輩が食べたいだけじゃないですよね?」

眞妃「そ、そんな訳ないでしょー!」グウゥゥ~

小野寺「マキ先輩は面白いっすね」


柏木「あ、マキちゃーん!何してるの~?」タッタッタッ


石上「あ…」

小野寺「?」

眞妃「あら、渚、どうしたの?私は今1年の相手をしてあげていたのよ!」

柏木「ふーん。ねえ、私達と回ろうよ、マキちゃん!」

翼「一緒にいこー」アハハ

眞妃「あ…翼くん……」キュンッ

眞妃「…」

眞妃「いや、私1年の子達の人探しを手伝ってて~」

柏木「へえ、誰探してたの?」

小野寺「伊井野って子です」

柏木「あ、生徒会の伊井野さん?あの子ならさっきあっちに歩いて行ったよ」

石上「マジですか!」

小野寺「ありがとうございます」

眞妃「…んじゃ私も一緒に伊井野のとこに」

渚「マキちゃんは私達とこっちいこー」グイグイ

眞妃「………優~、小野寺さ~ん、楽しかったよ~じゃあね~」ズルズルズル

石上「はーい、ツンデレ先輩もまた会いましょ~」

小野寺「マキ先輩もありがとうございました~」


眞妃「うーん、二年のとこにも~遊びに来てね~~~またね~~~」ズルズルズル




石上「…ツンデレ先輩…」

小野寺「ねえ、石上…マキ先輩ってさ。もしかして柏木先輩の彼氏のこと…」

石上「気付いたか…お察しの通りだよ……」

小野寺「…面白くていい人なのにね……マキ先輩……」

石上「ああ、運命はあの人に酷い試練を与える…」

石上「さて、気を取り直して伊井野のとこへ向かうか」

小野寺「何事もなければいいけど…」

ザッザッザッ


「ねえ、化粧なしでその可愛さヤバイっしょ」
「休憩時間はいつ?」

伊井野「…まあもうすぐ休憩ですが!」



小野寺「既にナンパされてたしっ!」

石上「はあ…おい、伊井野…」ザッ



「じゃあ一緒に遊ぼうよ!」

伊井野「………」





伊井野「ちょっとだけなら//」
石上「…」スパアアァンッ!!

小野寺「あーもう、ほらぁー!!」

原作の「子安つばめは断りたい」に続く

⑧おしまい

⑨小野寺麗は見届けたい


小野寺「キャンプファイヤー楽しみだね~、今から気分アガるよ」

伊井野「うん、楽しみ!あがる♪」

小野寺「もうちょい休憩時間あるし他にどっか寄りたいとこある?」

伊井野「喫茶店は行ったし~…」

伊井野「あ、バルーンアート行きたい!」

小野寺「私も気になってたんよね、行く?」

伊井野「うん!」


2ーB教室


小野寺「着い…」

かぐや「わあああん!//」ダダダッ

小野寺「たああっ!?」ビクッ

伊井野「四宮先輩!?」

小野寺「え、いったい何が…」

ガラッ

柏木「あー、気にしないでいいからね。入る?」
(さっき会長に追い詰められて金に逃げようとしたなんて言えない)

小野寺「そっすか…」

伊井野「じゃあ失礼します」ガラッ

白銀「お、伊井野か。どうだ、俺が何でも作ってやろう」←後輩に先輩らしいところを見せたい

伊井野「会長!お願いします」タッタッ

白銀「さあ、この中から選んでくれ」

小野寺「へー、すごい。どれも可愛いですね」

伊井野「花がいいです!」

白銀「花か、ちなみに色も選べるんだが…」

伊井野「んー…青でお願いします」

白銀「青な。少し待ってろよ」

伊井野「…会長、青って良いですよね」

白銀「ん?」

伊井野「海や青空のような広い希望の青…癒しの青、そして悲しみの青……様々な側面を見せる美しい色なんですよ」

白銀「え、何?何の話?」

小野寺「気にしないであげてください…」





伊井野「わー!可愛い♪ありがとうございます!」

白銀(まあ嬉しそうだし良しとするか…)フッ


眞妃「御行ー、そろそろ交代だから休憩行っていいよ」

白銀「おう、もうそんな時間か。じゃあ後は頼んだぞ」

眞妃「OK」ニッ


眞妃「さて、次は麗ね。ほら座って座って」

小野寺「はい、マキ先輩」
(いつの間にか麗呼びになってる…)

眞妃「さて、どれにする?」

小野寺「そっすねぇ…動物系かな、犬がいいです」

伊井野「あ~、犬もいいなー!」

眞妃「OKよ、このマキ先輩に任せなさい」バッ


眞妃「…ん?」ピクッ



柏木「~」ウフフ
翼「~」アハハ


眞妃(あ、あの二人!廊下でイチャイチャしてえ!私にわざと見せ付けてるのっ!?)プルプル

小野寺「ん?」

伊井野「私も作ってもらおうかな~」キラキラ

小野寺(マキ先輩、何を見て…)チラッ



柏木「アハハ」
翼「フフフ」



小野寺(あれかあっ!!)

眞妃(あー、タコ焼きアーンしてる!あの二人タコ焼きアーンしてる!!)

眞妃(しかもあれハート入りの奴じゃないの!)プルプルプルプル


小野寺「ま、マキ先輩!早く犬作ってほしいな~☆うち超楽しみテンションアゲアゲ~☆」
↑眞妃の気をそらしてあげようとしている

眞妃「ふっ…」

小野寺(ダメだ届かない!)



伊井野「先輩、私もこれ欲しいんですけど!二個目作ってもらうって出来ますか!?」バッ

眞妃「!!」ハッ

その時、伊井野は眞妃の目の前に自分の作ってほしいものを見せた。
それにより視界を一時的に奪われ意識が柏木カップルから離れ正気に戻る。

眞妃(しまった、私ったら何を…いけない!後輩が待ってるのに!)
眞妃(伊井野のお陰ね…)チラッ

眞妃「いいわよ。何なら特別にもうひとつサービスしてあげてもいいくらいだわ……貴女は恩人だから」

伊井野「え、何の話ですか?」

小野寺(よくやった伊井野)ナデナデワシャワシャ

伊井野「え、なに!?何!?」

そして時間は経過し…

ーーーーーーー

ーーー

キャンプファイヤー開始


小野寺「本当にいいの?あんたも見れる時間作れるように私も手伝うよ」

大仏「そうだよ、頑張ったミコちゃんはちゃんとキャンプファイヤー見るべきだよ」

伊井野「皆が楽しんでくれるなら私はそれでいいの。企画した私が責任持って最後までやらなきゃ」

大仏「…そっか、ごめんね」

小野寺「ごめん、私達だけ楽しむなんて…」

伊井野「いいよ謝らなくたって、やりたくてやってるんだし」

伊井野「それに私は二人が楽しんでくれるならそれだけで嬉しいよ、だから暗い顔しないで!」

小野寺「…わかったよ、伊井野。ありがとね」

大仏「ミコちゃんの為にも私達はちゃんとこっちを楽しむよ」

伊井野「うん、二人とも楽しんでね。じゃ!」

タッタッタッ…




大仏「…」

小野寺「…」


大仏「じゃあ…私は風野先輩のとこに行くよ」

小野寺「うん」



小野寺(伊井野の頑張りが無駄にならないように…私はこのキャンプファイヤーを楽しんで、最後まで見届けよう)



パチパチパチ…


ダダダッ!!


小野寺「ん?」

藤原「図書室!きっと図書室です!あっ、キャンプファイヤー綺麗!」クルッ

カレン「本当にそうなんですの!?あっ、綺麗ですわ!」クルッ

エリカ「ねえもう謎解きとかどうでもよくない?」


小野寺「何してるんですか?」

藤原「あ、小野寺さん!見てくださいこれ、風船泥棒からの挑戦状なんです!」

小野寺「あー、なんか話は聞きました」

藤原「小野寺さん…あなたはこの暗号を何だと思われますか?」ペラッ

小野寺「はあ………特に意味ないんじゃないですかね?それ」

藤原「なんて夢のないことを言うんですか!」

カレン「私も不安になって来ましたわ…」

エリカ「藤原さん適当に言ってそうだもん」

藤原「いいえ、私が必ず解き明かしてみせます!行きますよ、図書室へ!!」


小野寺「まあ頑張ってください」



タッタッタッ…


女子A「小野寺さーん」
女子B「伊井野と一緒じゃなかったの?」

小野寺「うん。あの子一人でやるから私は楽しんでって言われてね」

女子B「そうなんだ…」
女子A「がんばるねー」

小野寺「二人は何してたの?」

女子A「…ねえ小野寺さん、実は私ね」

小野寺「ん?」

女子A「彼氏できたの//」キャーッ

小野寺「え、あんた石上に気があったんじゃなかったの?」

女子A「うん…だけど何て言うのかな。石上くんはあれだよ、多くの生徒達から見た白銀会長とか四宮副会長的な憧れの存在なんだよ…」

女子A「私みたいな凡人が石上くんの様なイケメンに手を出すなんて『おこがましい』というかね、私には石上くんは勿体無いから………高望みはやめたんだ」

小野寺「あんたの中の石上のイメージは美化どころか神格化の領域に達してたんだね」

女子A「じゃねー」
女子B「私達はあっち行っとくよ」

小野寺「はいよ」

フワッ…

小野寺「…!」

その時、小野寺の顔に何かが当たる

小野寺「わ!?なんだ?」


小野寺「…これは…ハートの風船?」ガシッ

小野寺「!!」



彼女が空を見上げるとそこには、大量のハート風船が舞っていた


小野寺「すごい…何これ…」


男「ロマンチックだね…実は俺、君が好きなんだ」

女「わ、私もよ…!」


小野寺「…」

そして隣では何かどさくさに紛れて新たなカップルが誕生していた



タッタッタッ…

早坂「恥ずい…マジ恥ずい……」(顔真っ赤)

小野寺(早坂先輩どうしたんだろ)

早坂は、槇原こずえのウルトラロマンティック推理が的中しまくっていたことに赤面し耐えきれず逃げていた



「小野寺さん…君の持っているその風船……」

小野寺「!」



槇原「私に…くれないか?君のハートを」キラーン

小野寺「え、なんかやだ」


槇原「ふん。くれないならいいよケチ!」

小野寺「いやまあ欲しいならあげるけど」スッ

槇原「本当!?やったー!」


槇原「よーしこれ家に持ち帰って指紋調べて犯人特定しよ☆」

小野寺「やめようよそういうの」

槇原「大丈夫大丈夫、ちゃんと空気は読むから。犯人わかっても言わないから」

小野寺「まず指紋調べようとするのが怖いよ」


ワイワイ

パチパチパチ…


石上「…」

ザッザッザッ

小野寺「石上、キャンプファイヤー撮ってんの?」

石上「ああ。動画撮ってる…こんなみんな楽しそうにやってんだ」

石上「伊井野もちゃんとこれを見るべきだろ」

小野寺「うん。そう思う」

石上「あいつはバカみたいに真面目だからな…自分が一番見たかっただろうに自分から貧乏くじを引くんだ」

小野寺「何だかんだ石上はちゃんと伊井野のことを見てるんだね」

石上「ん…別に、あいつがほっとけない奴ってだけだ」

小野寺「…私も写真撮って後で見せてあげよ」

石上「おう、あいつ喜ぶぞ」


小野寺(みんなが笑顔だ…これは、あんたの頑張りがあったからだよ。伊井野)



⑨おしまい

⑩小野寺麗のクリスマス


ザッザッザッ…

小野寺(つばめ先輩のとこに着いたぞー)ウキウキ

小野寺はつばめ先輩から招待されたクリパにウキウキしていた



小野寺「…ん?」


伊井野「何よ石上のバカ!!」ポカポカ

石上「バカっていうやつがバカだ!このバカ!!」ギャイギャイ


小野寺「ちょいちょい、何うちの弟と妹みたいな喧嘩してんの」


石上「あ、小野寺!お前からもこいつになんか言ってやってくれよ!」

伊井野「麗ちゃん、石上が私の化粧に文句言うんだよ!酷くない!?」クルッ

小野寺「あー…早くそれ落としてきな伊井野」

伊井野「え!?」

小野寺「ほら行くよ、化粧落としに」グイッ

伊井野「そ、そんなぁっ!(泣)」

石上「ったく、だから言っただろ伊井野」

小野寺「石上ももうちょい言い方優しくした方がいいよ」

石上「え、うん…ごめん……」



以下、割愛

ーーーーーーー

ーーーーー

そして解散

ワイワイ

男1「あー楽しかった」

女1「伊井野さん大丈夫かな…帰り変な男に引っ掛かったりとかしないかな…」

小野寺「まあ石上居るし大丈夫っしょ」


女2「じゃあまた学校でね!」

男2「おー、またー!」

小野寺「またね~」





小野寺「ふー…終わった…」ンー



クリスマスの夜
多くのカップルや明るく光る装飾の数々でまだ街は賑やかである
彼女は楽しい気持ちでその光景を眺めながら自宅へ向かう


小野寺(まだ眠くないなぁ…家帰ったら何しよ)

ナンパ男「ねえ君一人~?」

小野寺「いえ彼氏と待ち合わせしてるんで」


嘘である


小野寺の自宅


小野寺「ただーいま」



弟「お姉ちゃんのバカバカ!」
妹「バカって言う方がバカなんですー!」


小野寺「ちょいちょい、なに石上と伊井野みたいな喧嘩してんの」


弟「姉ちゃんのケーキ僕よりちょっと大きかった!!」
妹「あんたの私より苺1個多かったんだからいいじゃん!」

小野寺「…」



小野寺「ねえ、今日つばめ先輩の超可愛い写メ撮ったんだけど」スッ


弟「え、子安つばめさん!?」バッ
妹「見たい!!」バッ

二人は子安つばめのファンである


小野寺の部屋


小野寺「ん~…まだ眠くないなぁ~」ボフッ

ゴロゴロ

小野寺「誰かとビデオ通話しよっかなぁ……」スッ


小野寺「あ、やべっ」ピクッ





藤原『はい、もしもし~小野寺さん?珍しいねー、どうしたんですかぁ?』ニッコォ

小野寺「…!!!!」

小野寺、痛恨の操作ミス。藤原千花にビデオ通話を繋いでしまった!


小野寺「すみません、間違えました!」


藤原『そんな照れ隠しはいいですから♪私と話したかったんですよね小野寺さん☆』アハハ

藤原『光輝くクリスマスの夜…同性の先輩後輩で語り合うのもまた一興ではありませんか』

小野寺「先輩酔っぱらってます?」

藤原『お酒なんか飲んでませんよ失礼ですね~』

かぐや『あれ~、早坂じゃないの、どうしたの~?』フラフラ

藤原『この子は小野寺さんですよ、なんで早坂さんが出てくるんですか』

小野寺「隣にいるのは四宮先輩ですか?」

藤原『はい、今日はうちでクリスマスパーティーやってまして。かぐやさんはお泊まりしてるんです!眠くなるとこのように更に可愛くなっちゃうんですよー』

かぐや『よろしくお願いします~』フラフラ

小野寺「雰囲気が学校と全然違う…」

藤原『何だか今日は幸せそうですねかぐやさん』

かぐや『ん~…うふふふ、えへへへ~~//』

萌葉『お姉ちゃん誰と話してるの?…わ、綺麗な人!目付きもクール!』

小野寺「え、ども…」

藤原『この子は後輩の小野寺さんって子です』

萌葉『ふーん、小野寺さんかぁ…』

萌葉『いいなぁ、監禁してみたいかも』チラッ

小野寺「…!!?」ゾワワッ

小野寺は萌葉に対し強い危機感を覚えた

藤原『あ、そういえばそっちのクリパ、石上くんとミコちゃんはどうでした?』

小野寺「石上は楽しんでましたよ。…伊井野はちょっと拗ねちゃってましたけど」

藤原『ミコちゃん誰かにお持ち帰りされたりしてない?』ハラハラ

小野寺「心配しなくても、声かける人は居てもいかがわしい考えの人は居なかったっすから」




小野寺「…それで、伊井野は石上に任せてうちらは先に解散したんです」

藤原『つまり、つばめ先輩とミコちゃんと石上の3人が残った…』

かぐや『石上く~~ん、がんばれ~』フラフラ

藤原『なに言ってるんですか、かぐやさんは』

小野寺「まあ、もう終電の時間は過ぎてるんで石上と伊井野も帰ったと思いますけど」

藤原『………』



藤原『男女三人屋根の下…何も起きない筈もなく……』

小野寺「はい?」


藤原『いいですか?どんなに根が真面目な男でも下半身には獣を持つんです…もしかしたら何か間違いが起きている可能性だって……例えば寝ているミコちゃんにあれやこれや……』

小野寺「いや、まさかそんなことしないっしょ」

藤原『はっ!まさか石上くんがミコちゃんをお持ち帰り!?全く大人しい顔してあの子は!!』ハウアッ

小野寺「やっぱ先輩酔っぱらってます?」

藤原『もしくは寝ぼけたミコちゃんがつばめ先輩を押し倒して…!?』

小野寺「石上とつばめ先輩の間に何か起こる可能性は考えないんですね…」

藤原『あははは、まさかそれはあり得ないでしょー!!☆』

小野寺「んな笑って否定しなくても」

かぐや『酷いですよ~藤原さん!むむ~!』

藤原『横から何か可愛い子が睨んでますが…まあ真面目な話をすると、石上くんがつばめ先輩を本気で好きなのは分かってます。それを茶化すのは流石にあれですから言わなかっただけですよ。あの子は付き合ってもない子に手を出すことはしません』

小野寺「あぁ、そうなんすか…やっぱ根はいい人ですね」

藤原『何だかんだで私も石上くんの恋は応援しているんですよ。まあさすがに今日一日で恋人寸前まで進展するとは思いませんが…』


その頃、石上はベッドの上で子安つばめに抱きつかれていた


藤原『あ、今から電話して聞いてみましょうか!つばめ先輩とどこまで進展したか!』

小野寺「え!?いや今はやめときましょうよ!」

藤原『大丈夫ですって、まさか石上くんがお泊まりしてることはないと思いますし今日は楽しんでたんでしょう?だから今頃は家でウキウキ気分で暇してるはずですよ☆』

その頃、石上はベッドの上で子安つばめに告白していた



小野寺「いやでも…」

藤原『小野寺は心配症ですねー大丈夫ですから、私を信じてください☆』

小野寺(ダメだこの人、深夜のテンションMAXになってる)

藤原『かぐやさん今から石上くんに電話できます?』

かぐや『もしもし~?石上く~~ん?』フラフラ

藤原『かぐやさん、それテレビのリモコンです!!』

かぐや『ねぇ藤原さ~ん、電話したらテレビがついた~不思議~』フラフラ

藤原『ああもう、この子眠気で完全にボケちゃってるじゃないですか!』

小野寺「もう寝かせてあげましょうよ、その人…」

藤原『仕方ないですね……このまま私の通話切ったら寂しくて小野寺さん泣いちゃうかも知れないから石上くんへの電話は諦めましょう』

小野寺「いや泣きはしないっすけど」

藤原『それに石上くん一人で「ピー」やってたらいけないですしね…男の子ですから(照)』

小野寺「藤原先輩、例え深夜のテンションでもそういう発言をすることにもう少し抵抗を感じてください」


一方、石上達はとても茶化せない状況になっていた



藤原『ミコちゃんも今頃はお家でぐっすり寝ているでしょうし…クリパの感想を聞くのは明日にしておきましょうか』

小野寺「そうですね」

藤原『あ、そういえば今日面白いことがあったんですが!』

小野寺(まだ話続くの!?)


ーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー


ーーーーー


翌日


小野寺「ん…」パチ



小野寺「あー…もう昼前か……ちょっと寝過ぎたかな」

小野寺「…ん?伊井野からライン来てる……なんだろ」スッ


伊井野からのライン
『うでがおれた』


小野寺「何があった!?」


⑩おしまい

じゃあ豊崎とか風祭とかとの絡み
多分接触ないだろうし

>>48
はいどうも
考えてるやつ終わったら書いてみますね

⑪石上優はやってない

冬休み終了、学校が始まり数日後…


昼休み



小野寺(伊井野と石上はどんな感じかな。ちょっと様子見てみ…)



伊井野「いやあああ!こっち来ないでエッチ!スケベ!変態!」ガタガタ


石上「落ち着けって、話聞けよ!」


小野寺「えぇ……何があったの?」


伊井野「麗ちゃあああん!」ダキッ

小野寺「なになに」


伊井野「石上に襲われるうぅぅ!」ワアアアン

小野寺「!?」

石上「違うんだ、話を聞いてくれ!!」バッ

伊井野「ひっ!」ビクッ

小野寺「石上、あんた何したの…?」

石上「ああ、実はな…」

伊井野「石上が私のパンツ覗き見して胸触ったあぁ!!」

小野寺「え…!?」ギュッ


石上「だから勘違いだって!小野寺も伊井野守る体勢に入んなよ!」


眞妃「三人とも落ち着きなさい」

石上「ツンデレ先輩!」

小野寺「居たんですか!?」


眞妃「声が大きいから来たんだけれどね…それでどうしたのよ?」


小野寺「何だか石上と伊井野が騒いでて……それで、覗き見したとか触ったとか本当なの?」

石上「覗き見はしてない。触れたのは事故だ」

伊井野「お弁当食べるときも私の顔をやらしい目付きでジロジロ見てたぁ!」ワアアアン

石上「だからいったん落ち着けお前!俺が弁当食わせるんだから顔見るのは当たり前だろ!お前の口は下にあんのか!」

伊井野「下の口とかバカじゃないの!?」

石上「自分からいかがわしい言い方に変えてんじゃねぇよ!!」

眞妃「いいなあ、顔を見つめながらアーンしてくれる男の子が居て…」

小野寺「あんたドサクサに紛れて何言ってるんすか」

小野寺「まあみんな落ち着こう、話整理するね。あと石上は伊井野からちょっと離れて」

石上「な!疑ってるのか!?」

小野寺「いや、勘違いだとは思ってるけど近付いたら伊井野が騒がしいでしょ」

伊井野「ガルルルル…」

眞妃「どうどう」


石上「…そうだな。小さい凶犬みたいになってやがる」

小野寺「じゃあまずはパンツの件から」

伊井野「階段で石上が後ろからパンツ覗いた!」

石上「だから違うって!」

伊井野「嘘だ!自分からパンツ見てたって言ったじゃん!!」

小野寺「はいはい、静かにしようか伊井野。石上が喋るから…」

石上「階段の下からお前のパンツ見ようとしてる奴らが居たんだよ!だからお前の後ろ側に居たの!階段上がった後でそう言っただろ!!」

眞妃「あーなんだぁ、すごく優らしい理由じゃん」

小野寺「でもそれ普通に階段いるときに言っとけば良かったんじゃない?」

石上「そんなことしたら伊井野は絶対スカート覗いた奴等に対して喧嘩腰になってた。階段居るときに暴れさせてまた怪我したらまずいだろ」

眞妃「あー確かにね」

小野寺「だってさ。伊井野わかった?」

伊井野「…うん、よくわかったわ…」

石上「まあ分かれば別に…」

伊井野「つまり他の男には見られたくない、自分一人で独占したいってことなのね!?私のパンツを!!」ギリッ

小野寺「えぇ…」

石上「なんでそんな解釈になるんだよ!?」

眞妃「そうよ伊井野、冷静になりなさい。そりゃ私だって気になる人からなら独占されたいわよ…パンツとか。でもね」

石上「ツンデレ先輩も何言ってるんですか!?」

小野寺「先輩まで暴走するのはやめてください」

伊井野「ガルルルル」

小野寺「まあとりあえずパンツ疑惑は晴れまして………」ポンポン

小野寺「触った件は?」


石上「ああ。伊井野が今日の昼はカルピス飲みたいって言うから買ってきたんだよ。それで飲ませろ言うから飲ませてたら…」

ーーーーーーー

伊井野「ほらもう少し近づけて、飲めない」

石上「わかったからお前もちょっとおとなしく…」

伊井野「ん?」

カサカサカサカサ…


伊井野「きゃあ!ゴキブリ!」ガタッ

石上「わ!バカ、動いたら!」

パシャッ!!


伊井野「わああぁ!かかったじゃないの!」

石上「すまん、服拭くから!」ゴシゴシ

伊井野「バカ!跡残ったらどうするのよ!」

石上「ぐ…っ、言っとくけど急に動いたお前が原因なんだからな」ゴシゴシ

カサカサカサカサ…

伊井野「きゃあぁ!やだ、足元来たぁ!!(泣)」ガタッ

石上「だーから暴れるなっ…て」

ムギュッ!!!


伊井野「………」

石上「…」バッ



石上「…すまん。わざとじゃないんだ」

伊井野「バカ、エッチ、最低!!//」ガタッ

石上「ええっ!?」

※最初に続く

ーーーーーーーーーーー


石上「…と、いうわけなんだ…」

伊井野「ほら石上触ったんだよ!(泣)」

小野寺「まあそうだけど、でもわざとじゃないし謝ったんでしょ?」


眞妃「ねえ私1つ思ったんだけどさ…」

小野寺「はい?」

眞妃「あんたら分かっててわざとそういうプレイやってんじゃないの?」

石上「プレイ!?」

伊井野「プレイってなんですか!?」



眞妃「全く微笑ましいわね、見られただの触っただので騒いじゃって……。私にはそんなものすら無かったわよ、青春ねー」ハハハ

小野寺「あの、先輩…」

石上「え…なんか、すみません…」

伊井野「べ、別に…そんないいものじゃないですから…」

眞妃の悲哀を纏ったオーラに石上と伊井野は少し冷静になった

眞妃「あーあ、私も青春したかったなー」

小野寺「身体張ってまで無理矢理喧嘩収めさせるのやめてください…先輩のメンタルが心配ですよ」

そして石上と伊井野は何とか落ち着き、食事を再開した


石上「ほら、口開けとけ」

伊井野「ん…」パクッ


石上「…頼むからもうあんな勘違いやめてくれよ。割りと真面目に傷つくんだよ」

伊井野「…ん…」

伊井野「ごめん…」ボソ

石上「ん?ちょっと小さくてよく聞こえなかったぞ。なんか言ったか?」

伊井野「…!いいから早く口に運んでよ!」

石上「あーはいはい」




眞妃「ねえ、伊井野ってさぁ」

小野寺「はい?」

眞妃「あんな頭ピンク色な想像ばっかしちゃってたの、石上から女として見られたいってことの裏返しなんじゃないの?」

小野寺「…さあ…どうなんでしょうね」

眞妃「…ところであのコキ使うのアドバイスしたのあなた?」

小野寺「はい。まあ…今、伊井野と石上の接点作ってあげるならあれが一番かと…」

眞妃「ふーん…1つ言わせて?」

小野寺「なんです?」

眞妃「なんで私にはそのアドバイスくれなかったの」

小野寺「私に言われても困ります」

⑪おしまい

⑫紀カレン超私的極秘調査


こんにちは、マスメディア部の紀カレンです

今日は超私的な興味から石上編集、もとい石上優くんの周辺を調査しています。

ずっと白銀御行会長と四宮かぐや様を密かに追い掛けていた私ですが

追い掛けていく内に気づいたことがあったのです。
それは…

カレン『あれ!?白銀会長より石上編集の方が女子との関わり多いのでは!?』

エリカ『急にどうした?』


という訳で、実際のところどうなのか、実はモテ男なのか、そして誰とのカップリングが一番なのかを調査している次第であります。


カレン(さて、石上くんは今、小野寺さんとお喋りしております…!)



小野寺「ねえ石上。なんか本落ちてたんだけどあんたのと違う?」

石上「ん?いや、俺のじゃない。それは俺のじゃない」

小野寺「ふ~ん、そか。なんか石上が読んでた奴と絵が似てる気がしたから…」

石上「な、全然違うぞ!そんなただの萌えのみを狙った様な絵より俺の見てたのの方が断然良い絵だ!全然違うから!」バッ

小野寺「えっ!?よ……よく分かんないけど何をそんな必死になってんの?」


小野寺「まあいいや。じゃあ風紀委員の伊井野か大仏さんにでも渡してくるよ」

石上「おう」


ザッザッザッ

小野寺「!」


カレン「!!」ササッ



小野寺「紀先輩…ですよね?」

カレン「はうあっ、小野寺さん!?」ドキッ

小野寺「朝から何してるんすか?私のこと尾行してましたよね?」

カレン「あ…ば、バレてた……!?すみません、ですが、お願いします!この事は誰にも…!!」

小野寺「安心してください、別に人に言いふらしたりはしないんで」

以下、カレンの目的の説明

そして小野寺はなんやかんやで協力を頼み込まれ今日一日、紀カレンと共に行動をすることになってしまった。



カレン「ありがとうございます。心強いですわ、石上編集…石上くんの事なら何でも知っている小野寺さんが味方についてくれて」

小野寺「いや、何でもは知らないっすよ」

カレン「小野寺さんは石上くんの事どう思ってるんです?」ワクワク

小野寺「何か期待してる感じっすけど、普通に話すくらいのクラスメイトですから。まあいい奴だとは思ってますけど」

カレン「は!見てください小野寺さん!」

小野寺「!」




石上「あの、四宮先輩…これ」スッ

かぐや「あらあら」



カレン「石上くんが、何か書物らしきものをかぐや様に渡しましたわ!まさか数十ページにも渡るラブレター!?」

小野寺「いやあれ数学の教科書です」

カレン「数式で恋のメッセージを…!?」

小野寺「落ち着いてください」



石上「ここがよく分かんなくて…」

かぐや「ちゃんとメモしていてくださいね?これは~」



小野寺「へえ、四宮先輩に分からないとこ聞いてんだ。頑張るなぁ」

カレン「頑張る後輩を優しく見守るかぐや様………まさしく女神。母性を感じますわ」キラキラ



藤原「あー!ちょっと石上くーん!!」ズカズカ

石上「!」
かぐや「!」



小野寺「あ、藤原先輩乱入してきた」
カレン「まさかの三角関係…!?」ドキドキ



藤原「何てことするんですかこのボッケナスー!!」プンプン

石上「え、何で僕いきなり怒られてるんですか?」

藤原「私がかぐやさんとお話したかったのに!なに勝手に横取りしてくれてるんですか!!」ムスーッ

かぐや「まあまあ藤原さん、後で相手してあげますから…」

藤原「石上くんはいつもそうですね!私だけの特別な誕生日といい、かぐやちゃんからの好感度といい、何で私からなんでも奪おうとするんですか!!」プンプン

石上「あの、さっきから藤原先輩が言ってること、真面目に僕には一切非がありませんよね?あんたこそ何ふざけたこと言ってくれるんですか」

かぐや「二人とも、こんなところで喧嘩はいけません。人が見ますよ」



カレン「うふふ、石上くんと藤原さんは『喧嘩するほど仲が良い』って感じですわね♪」

小野寺「お互い本気で殴りあってますけどね」

ーーーーーーーーーー

眞妃「おーい、優~。子安つばめとは最近どうだっ?」ポンポン

石上「あ、ツンデレ先輩」



カレン「次は眞妃さんと喋っていますわ!石上編集、どこまで顔が広いの…!?」
小野寺「ところでその編集ってなんです?」



石上「実は近々デートに誘おうかな、なんて考えてるんですが…」

眞妃「それがいいわ、思い立ったらすぐ行動が一番よ!ぼさっとしてると他の人に取られちゃうんだからね!」

眞妃「本当……早く行動するのが、いいんだよ…?」ウルウル

石上「自分の発言に自分でダメージ受けるのやめてくれます?」

眞妃「それで、デート場所とかは決めてるの?」

石上「いえ、まだなんですが……どういうところなら喜んでくれるんでしょうかね?」

眞妃「はあっ、全く優は…」フーッ


眞妃「そんなのマトモなデートしたことない私に聞かれたって分かるわけ無いでしょ!」バーンッ

石上「んな良い笑顔で言われても困りますよ」



カレン「いいですわね、仲の良い異性の友達という雰囲気が出ていますわ」

小野寺「マキ先輩は話しやすいっすからね」

伊井野「ねえ、石上…次の美術の道具運ぶの手伝って」

石上「おう、分かった。じゃあ先輩、俺は伊井野手伝ってくるんで」

眞妃「私より他の女を選ぶのね………優!」ウルッ

石上「あの、色々と誤解を招く発言はやめてください。ではまた」

眞妃「うん、じゃーね~」


石上「俺は物持ってるから階段上るときは服でも腕でも掴んどけよ」

伊井野「うん」



カレン「み、見てくださいあの二人の姿!小さな手でギュっと石上くんの服を掴み微かに頬を赤らめる伊井野さん…荷物を持ちつつ伊井野さんに気を使いながらゆっくりペースで階段を上がる石上くん!!」

カレン「もはやあのお二人は付き合ってると言っても過言では無いのでは!?」
小野寺「過言ですね」

小野寺「でも私は伊井野を応援してますよ」

カレン「まあ、青春…!」キュンッ

ーーーーーーーーーーー

「ねえ、石上…」

石上「ん?え、誰ですか?転校生?」

「ちょっと今日は何だか冗談キツいなぁ。同じクラスでしょ、私達」

石上「…え?すみません、見覚えが…」

「…ん?」


大仏「ああ、ごめん。眼鏡忘れてた。さっき体育の後で顔洗ったから」スチャッ

石上「えええええええぇぇぇっ!!?」



カレン「い、石上くんはいったい何を見たんでしょうか!?あの子の顔がここからじゃ見えません…」

小野寺「眼鏡の下は美人なんですよあの人」





エリカ「…ねえ、石上くん」

石上「あ、えーと……確かマスメディア部の」

エリカ「実はね、石上くんにずっと…言いたいことがあったの」モジモジ



カレン「え、エリカ!?あの子なにして…え!?まさか、まさかのまさかですの!?」キャーッ

小野寺「…」



エリカ「体育祭の時からずっと…気になってて……」モジモジ

石上「…」

エリカ「石上くん!」

石上「はい」



エリカ「体育祭の時に着てたかぐや様の服どんな香りがした?」ドキドキ

石上「あなたは何を言ってるんですか?」



カレン「え…エリカ……何を………!?」サアァ

小野寺「えぇぇ………」





風祭「なあ、あの一年今日は紀とずっと一緒に居ないか?」

豊崎「だなぁ、仲良いのかな…?」

風祭と豊崎の出番は⑬に続く

ーーーーーーーーーーー

昼休み

つばめ「あれ、優くん三年のとこにくるなんて珍しいね。どうしたの?」

石上「風野先輩に(筋トレ関係の)本を借りてまして、今返しに来てたんですよ」

つばめ「ふ~ん、仲良いんだね。何を借りてたの?」

石上「自分を鍛えるための参考書っす」

つばめ「あはは、なにそれー」



カレン「石上くん…子安先輩と喋ってる時がとても幸せそうですわね」

小野寺「そっすね…」

ーーーーー
伊井野『麗ちゃん今日コソコソなにやってるの!?私も混ぜてよー!』

小野寺『ごめんごめん。今日だけだからさ』
ーーーーー

小野寺(伊井野連れてこなくて良かった…)



つばめ「そういえばもうすぐバレーあるんでしょ?頑張ってね!」

石上「は、はい!もうめちゃくちゃ頑張りますよ!!」グッ

つばめ「意気込みすごーい!」アハハ



カレン「何だか子安先輩の方もまんざらでは無さげですわね」

小野寺「う~ん、厳しいなぁ…」

カレン「はい?」

小野寺「いえ、こちらの話です…」



石上「じゃあ僕は生徒会室で弁当食べてきますんで」

つばめ「うん。またね~」


ザッザッザッ…

白銀「おっ、石上。お前も生徒会室で食うか?」

石上「はい、一緒に行きましょうよ」



小野寺「会長さんと合流して一緒にお弁当食べるみたいっすね」

カレン「あ、あ…ふわわわわわわあぁぁ!?」

小野寺「なんすか!?」ビクッ

カレン「見てください小野寺さん………あれ!」

小野寺「え?」



白銀「へー、それマジで?」フフッ

石上「マジっすよ、大マジ」アハハハ



カレン「白銀会長と居るときの石上編集……今日一番良い笑顔をしていますわあっ!!」

小野寺「あー、本当っすね。まあ仲良いみたいですし…」



白銀「こいつめ、こうしてるやるぞ!」アハハ

石上「勘弁してくださいよ~」ハハッ



カレン「ああ……ダメよ、カレン。私はあくまでも白銀×四宮カップリング推しの者………!けれど、今だけ!今だけは言わせてくださいまし!!!」

小野寺「…」



カレン「白銀×石上………この組み合わせもまた!尊いですわあっ!!」グッ

小野寺「良かったですね」


⑫おしまい

⑬小野寺麗の恋愛相談室

これは、四宮かぐやが小野寺から「会長と付き合っているのか?」と聞かれた翌日の話…


生徒会室


小野寺「あの…どうされました?」

かぐや「紅茶をどうぞ、小野寺さん……実は今日も貴女に聞きたいことがあるんです」

小野寺(なんだろう…誰かに言い触らしたりしてないか不安なのかな)

小野寺「あの、安心してください。私…」

かぐや「私また中庭で昼寝しちゃったんですよぉ!(涙目)」

小野寺「あぁ…はい」

かぐや「今日は気分が良くて、その上天気もいいから日なたぼっこしていたら、つい…」

小野寺「そういえば今日もベンチで寝ていましたね…」

かぐや「何か寝言言ってませんでした!?」バッ

小野寺「安心してください。『ケーキそんなに毎日食べられない』としか言ってなかったですから」

かぐや「私どんな夢を見てたの!?」

かぐや「…まあ、いいわ。ヤバイことは言ってなかったのなら…」

小野寺「また昼寝してるとこ見たら起こしましょうか?」

かぐや「ええ、以後気をつけるけれどお願いします。ありがとう」

小野寺「いえいえ」

小野寺「そういえば、今日は伊井野と約束があったんですが…まだここには来てないですか?」

かぐや「伊井野さんは風紀委員の方がちょっと忙しいみたいなのでまだです」

小野寺「そうですか」

かぐや「その内来ると思いますから、ここで待っててもらっていいですよ」

小野寺「え、いいんすか?ありがとうございます」

かぐや「はい。では私ちょっと先生のところに用事があるのでくつろいでてくださいね」ガチャッ

小野寺「はい」



小野寺(紅茶おいしい…)ズズ


ガチャッ

小野寺「!」


風祭「あれ、白銀はまだ来てないのか」

豊崎「修学旅行のことで話があったんだけど」

小野寺(確か二年の人達か…)

豊崎「…おい、あの座ってる子」ヒソヒソ
風祭「ん?」

豊崎「ほら、この前…紀と一緒に居た」ヒソヒソ
風祭「はっ、マスメディア部の一年っ!」

小野寺「…?」

二人は何か大きな勘違いをしていた


豊崎「あの子もマスメディア部なら紀だけじゃない…お前の好きな巨瀬とも仲が良いかも知れない」

風祭「そうか、ちょうどいい機会だな。修学旅行の間に仲を進展させる方法、マスメディア部の彼女に聞いてみるか!」

小野寺(あの二人なんでさっきから私をジロジロ見てるんだろ)

二人の間では小野寺がマスメディア部であるという勘違い前提で話が進められていた


風祭「なあ、君…ちょっといいか?」

小野寺「はい?」

豊崎「マスメディア部の、紀と巨瀬の事で…聞きたいことがあるんだ」


小野寺「…紀先輩と、巨瀬先輩ですか…?」

小野寺(…え、なんでそれウチに聞くの!?)

当然のことながら小野寺は困惑していた

風祭「ん、迷惑だったか?それなら…」

小野寺「あ、いえ、まあ答えられる範囲なら」

豊崎「ありがとう……じゃあ単刀直入に言おう」


豊崎「俺は紀と修学旅行で仲良くなりたい」

風祭「俺はできれば巨瀬と付き合いたい」

豊崎「どうすれば紀と修学旅行中に仲を進展させられるだろうか」

風祭「巨瀬が一発で惚れてくれそうな京都のオススメスポットとか無いだろうか?」


小野寺「え、えぇ~~~…?」

小野寺(どうしような、紀先輩は一日一緒に居たくらいだし、巨瀬先輩はもっとよく知らない。四宮先輩が大好きなのはよく伝わったけど…)ウーン

小野寺(でも二人とも何か目付きが超真剣だし適当な答えは………てか何で私が恋愛相談受けてるの!?)

風祭「すまん、いきなりで困らせてしまったか?」

豊崎「別に君を困らせたい訳じゃないから無理しなくていいんだぞ…」

小野寺(良かったいい人達っぽい)

小野寺「そうですね…まあ、修学旅行なんですし、難しく考えず好きな人を誘って一緒に普通に楽しむのが一番だと思いますよ。好きな女の子と二人の楽しかった思い出を作ることが大事なんじゃ無いでしょうか」

風祭「あのな、それが簡単に出来たら苦労しないんだよ」

豊崎「ああ…文化祭で誘うの失敗して怖いんだよ…」

小野寺「え、いや…失敗が怖いのは分かりますが」

風祭「もし誘う段階からもうダメだったら…」

豊崎「考えただけで恐ろしい……」

小野寺「あの…それでも、まずそこを頑張らないことには進展もしないと思いますよ?最初の一歩が怖いのは私も分かりますけど…」

風祭「うーん、わかってるけどさあ…」

豊崎「あー、いきなり二人きりでデートしてる状態から始まらないかなぁ…」

小野寺「始まりませんよ」

「おやおや~~?何だか生徒会室からコイバナの匂いがしますよ~?」

小野寺「!」


ガチャッ!!



藤原「LOVEのあるところに私あり!お待たせしました、ラブ探偵チカの登場ですっ!!☆」


小野寺「藤原先輩、なんすかその格好」

藤原「珍しい組み合わせですね、はい小野寺さんも帽子どうぞ♪」スポッ

小野寺「!?」


風祭「おい、ヤベーのが来たぞ」

豊崎「どうする、逃げるか?」

藤原「コラコラ、失礼ですよ?二人とも~~」


藤原「さて、お二人の話の続きを聞きましょうか?」


風祭「ああ…俺達気になる女子が居て修学旅行の間に仲良くなりたいんだ」

豊崎「でも誘って失敗するのが怖い、どうすればいいのかと悩んでいるんだが…」

藤原「あー、なるほどー、はいはい。気になる女の子と仲良くなりたいけど誘って失敗するのが怖いと、なるほどなるほど~」

小野寺「…」

豊崎「…」

風祭「…」

藤原「…」



藤原「え?いや、そんなのもう普通に勇気出して誘うしか無いんじゃいですか?」

小野寺「ですよね…」

風祭「だからそれが怖いんだって!」

豊崎「失敗したら楽しい修学旅行じゃ無くなっちゃうだろう!」

藤原「怖いのは誰もが同じなんです!そして100%成功する恋なんか存在しません!大事なのは頑張ってその最初の一歩を踏み出すことでしょう!」

藤原「そうやってずっと怖い怖いと嘆きながら何もせずに居たら良いじゃないですか!そのまま一生進展なんかしないですから!そして何事もなく卒業し好きな女の子からも『あーなんかそんなやついたなー』くらいの認識で終わるんですよ!それでいいんですか!?」


藤原「まさか100%成功する恋か相手から誘われるとかじゃないと嫌なんてワガママ言いたいんじゃないでしょうね?いいですか!?そうやってウジウジ自分から行動せず自分がモテない理由も省みず待ってばかりだともうこの先20歳過ぎても30になっても40になっても恋人なんか出来やしませんからね!!!」

小野寺(うっわ、容赦ないなぁ、この人)

風祭「おい、さすがに言い過ぎだろ」

豊崎「ちょっと泣くぞ」

小野寺「えーとつまり、藤原先輩は『今、勇気を出して頑張るべき』と言いたいんですね」←一応フォローした

藤原「そうです」

藤原「何もやらずに失敗するか何かをやって失敗するか………どちらが人として立派か、自分の今後の成長の糧となるかは考えずとも明白でしょう」


豊崎「…やって失敗するか、やらずに失敗するか……か」

風祭「藤原も珍しく良いこと言うじゃないか」

藤原「珍しくとはなんですか~?」


豊崎「…行こう、修学旅行、頑張ろうぜ」

風祭「ああ、お互いな」

グッ!!


風祭「ありがとうな、小野寺さん」

豊崎「藤原も」

ガチャッ


小野寺「あの二人、上手く行きますかね」

藤原「上手く行くと良いですね………まあまだ修学旅行まで結構あるんでそれまであの勇気が持続してれば良いのですが」

小野寺「そういうこと言うのは…」


小野寺「あ、帽子返します」

藤原「いえ、それは貴女にあげますよ」フフッ

小野寺「え?」



藤原「小野寺さんも…もう立派なラブ探偵ですからね!☆」キラン

小野寺「全然嬉しくないっす」


⑬おしまい

予定より1日遅れました、すみません

⑭生徒会室で遊びたい

二年生は修学旅行中


生徒会室

ガチャッ

小野寺「伊井野~?」



伊井野「てことは石上にも女湯覗きたいって願望あんの?」

石上「いや~…ぶっちゃけそんなに。風呂上がりの濡れ髪とかのが好きかも」

伊井野「何それ~、でもなんか分かるかも。イケメンの濡れ髪はキュンと来ちゃう」


小野寺「…二人とも何の話してんの?」

伊井野「あ、麗ちゃん」

石上「先輩達、今頃旅館の風呂でも入ってんだろうなーって話してたんだよ」

小野寺「へ~。なんか二人とも最近微妙に仲良くない?」

石上「そんないっつも喧嘩してる訳じゃねぇから」

伊井野「まあ最近はあんまり私を怒らせないからね石上。別にそれだけだからね」

小野寺「ふーん…」

石上「それで何の用事だ?」

小野寺「今日は伊井野と一緒に帰る約束してたから…そろそろいいかなと思って」

伊井野「うん、もう私も帰れるよ」

石上「へーそうなのか。伊井野結構前から仕事終わってたんだからもうちょい早く行ってやれば良かったのに」

伊井野「…」

伊井野「べ、勉強もしたかったの!悪い!?」

石上「なんでちょっと怒ってるの?」

小野寺「…」



バアアァン!!!

槇原「ちょうどいいとこに人が集まってたぁ!」

石上「うわ、なんか騒がしいの来た」


小野寺「槇原さん、何しに来たの?」

槇原「何しに来たもなにも私が来たと言えばこれしかないっしょ」ゴソゴソ


槇原「皆でハッピーライフゲームしようよ!!」


『ハッピーライフゲーム』

それは前、石上から(主に藤原のせいで)ボロクソにダメだしされた人生ゲーム風ボードゲーム。
槇原が出してきたのはそれの改良版である。


小野寺「ええ…」

石上「ふざけたこと言ってんじゃないぞTG部」

伊井野「そうよ、生徒会室は遊び場じゃないんだけど」

槇原「今更何を言ってるの?どうせ藤原ちゃんとよくゲームとかして遊んでるでしょ?」

伊井野「た、確かに藤原先輩が居るときはいちいちゲーム提案したり変な遊びばっかりやってるけど!」

小野寺「…」

槇原「じゃあいいでしょ。生徒会の先輩達も居ないしさ~」

石上「なあ、知ってるか?生徒会には監視カメラ付いてて後で会長や副会長が確認してるんだぞ」

槇原「マジで?じゃあゲームを端から見た感想も後で聞けるんだね!やったぁ☆」

小野寺「思考がポジティブ過ぎない?」

石上「…でも正直どれだけ改良されたのかは興味がある。まだ時間もあるし俺は付き合ってやってもいいけど」

槇原「石上、あんたはいいやつだとずっと思ってたよ」

石上「そうか、俺はヤベー奴に絡まれたと思ってるよ」

小野寺「伊井野はどうする?」

伊井野「…」チラッ

伊井野「まあ、私も付き合ってあげてもいいけど」

小野寺「そか、なら私も…」


「待った」ガチャッ

小野寺「!」


大仏「勝手にゲームをするなんて見過ごせないね…」ザッ

伊井野「こばちゃん!」

槇原「大仏さん…風紀委員権限で私のゲームを止める気?」


大仏「いや違うよ、私を呼ばずに皆だけで勝手にゲームするのが見過ごせないって言ったの。私も混ぜてよ」

小野寺「混ざりに来たの!?」

石上「お前って真面目そうな見た目して中身割りとアレだよな」

伊井野「ちょっと石上、こばちゃんを悪く言わないで」

大仏「いいよいいよ、ミコちゃん」

槇原「さて、じゃあそろそろゲーム始めようよ!☆」

石上「ああ。藤原先輩がまた前みたいにアホやらかしてないか確認しないとな」

伊井野「ちょっと、あまり藤原先輩を悪く…」

伊井野「……確かに遊びになると酷いときあるけど!」

石上「…」

小野寺「藤原先輩を擁護しきれてないよ、伊井野」

そしてゲームは始まった!!

小野寺「…どうなるかと思ってたけどちゃんと遊べるね」

大仏「うん、ルールも分かりやすいしね」

石上「以前の様な即死みたいな理不尽マスやあまりに内容が酷いイベントとかも無い…」スッ

槇原「はい、石上『オタクマス』に到達!深夜アニメにハマってオタク世界に足を踏み入れたよ!はい、『オタクカード』どうぞ☆」

石上「ひっでぇイベントあったよ!!!」

伊井野「ふふ…石上オタク…」

石上「お前、人のこと言えんのか?」

伊井野「次は私…また休日マスか。『友達と遊ぶか勉強する』…んー…どっちも一回ずつ選んだし」

伊井野「勉強かな」

槇原「はい、勉強二回で伊井野ちゃんガリ勉カード!!」シュバッ

伊井野「ガリ勉!?」

石上「それ残ってたのかよ」

槇原「でも前と違って勉強頑張った御褒美にもう一マス進めるんだよ♪」

石上「へー」

伊井野「一マス進めて…」スッ

槇原「ランダムイベントマス!さあ何が出るかな!?」


『イケメンからナンパされるも実は詐欺師で金を騙し取られる』


伊井野「ちょーーーっ!!?全然御褒美じゃない!!」

大仏「あちゃー」

石上「お前…だからナンパには引っ掛かるなって」

伊井野「ゲーム内の話でしょ!?」

小野寺「伊井野の場合現実でも有り得るから笑えないよ…」

伊井野「え!?」

槇原「はい、伊井野ちゃんには人間不信カードの贈呈です☆」

伊井野「やだ、いらない…」

石上「前よりパワーアップしてやがる」

小野寺「まあまあ、ゲームだしそこまで落ち込まなくても…じゃあ私の番ね」スッ


『喫煙がバレて退学』

小野寺「!!!??」


石上「喫煙……退学………」

小野寺「いやなにこれ、酷くない!?私タバコなんか吸わないし!」

伊井野「落ち着いて麗ちゃん、これゲームだから!」

大仏「それに小野寺さんはカッコいい系のギャルだから、タバコは普通に似合ってるよ。だから大丈夫だよ」

小野寺「大仏さん、それフォローになってない!」

石上「退学になったらどうなんの?」

槇原「中退した代わりに他のプレイヤーより早く就職してお金稼げるから、むしろこれはラッキーマスの部類だよ」

小野寺「全然ラッキーじゃない…」

大仏「あ、私はモテモテカード手に入った」


こうしてゲームは進み、ついに大人エリアへ入る

今のところの順位

1位 大仏こばち
2位 小野寺麗
3位 石上優
最下位 伊井野ミコ

大仏「取引先の社長から気に入られ仕事が成功し収入二倍」

伊井野「ええ、また!?」

石上「凄い勢いで金稼いでやがる…!」

小野寺「もうこれ大仏さんが余裕で勝っちゃうんじゃないの?」

大仏「んー、でも分からないよ。こういうゲームは上位が一気に転落する罠や最下位が一気に上がるマスがあったりするかもしれない」

槇原「よくわかってるじゃないの。油断は禁物だよ」

大仏「次はミコちゃんの番だよ。頑張って」

伊井野「うぅぅ…」


散々悪いマスに当たり今では借金まで背負っている最下位の伊井野ミコ
彼女は祈る
『次こそ、いいマス当たれ』と

伊井野「お願い!!」バッ

『20億円の入った財布を拾って届ける。1割貰う(+2億円)』

伊井野「えっ!?」

大仏「わ、凄い」

小野寺「やったじゃん伊井野!」

伊井野「わーい、やったー!いいマス止まったーっ!♪」ワーイ

石上「20億入った財布って何だよというツッコミがしたいが、まあこれで借金地獄から抜け出せるな」

槇原「さ、伊井野ちゃんに2億円だよ☆」スッ

伊井野「…」ンー

石上「どうした?」

伊井野「確かに法律では定められているけど…私はあくまで善意で拾って届けただけ…別にお金とか見返りを求めてやった訳じゃ…」ブツブツ

小野寺「いや別に貰えばいいじゃん」

槇原「はいはい、わかったから。ほら2億ね」ポンッ

伊井野「ひゃあ!?待って、まだ心の準備が!!」

石上「心の準備ってなんだよ……次は俺の番か」


石上「俺のマスはー……」

石上「!!」

槇原「ついに来たあ!」


結婚マス!!!

石上「結婚相手は前みたいに隣のプレイヤーか?」

伊井野「え、私!?」ドキッ

小野寺「…」

槇原「いや、結婚マスに止まった場合のルールは代えて、あらかじめ用意されてる人達の中から選ぶの。自分の持ってるお金とかカードで結婚相手に選べる人が変わるんだよ」

石上「へー、それは結構面白そうだ」

槇原「女の子のリストを出すね…あ、そうだ!オタクカードを持ってる人には特別なルールがあって」

石上「へー」

槇原「自分の好きなアニメキャラを結婚相手に選ぶことも出来るよ☆」

石上「なあ、ナメてんの?」

槇原「じゃあ普通の女の子をどうぞ。この中から選んでね♪」

石上「えーと…」

女の子一覧(年齢順)
子安つばめ
メガ子
四宮かぐや
藤原千花
四条眞妃
柏木渚
早坂愛
紀カレン
巨瀬エリカ
伊井野ミコ
小野寺麗
槇原こずえ
大仏こばち
不知火ころも

石上「全員うちの生徒じゃねえか!!」

伊井野「私達の名前まである…」

槇原「知ってる人の方が選びやすいかなーって」

小野寺「かえって選びづらいのでは?」

大仏「うわ、四宮先輩と結婚する条件所持金1000億とか無理でしょ」

石上「まあいいや。この中から俺が選べるのは…藤原先輩、ツンデレ先輩…伊井野、あ、よく見たらつばめ先輩もいけるのか」

伊井野「!」

小野寺(やっぱつばめ先輩選ぶんだろうな…)

伊井野「…」ジーーッ

小野寺(伊井野…めっちゃ石上見てる……)

大仏(石つば、石つば!)


石上「…うん、決めた」


大仏(石つば!)

伊井野「………」ジーーッ



石上「小野寺と結婚しよう」


小野寺「なんでっ!!?」ガタッ

小野寺は今日で一番デカイ声を出した


石上「え?」

小野寺「なんで!?なんで私なの!?」


石上「いや、だってリストの中で一番ステータス的にバランス取れてるし今の俺と相性が良いから…」

小野寺「…」

小野寺「ああ、なるほど、ゲーム上での考えか……ビックリした」

石上(まあ、本当はつばめ先輩選びたかったんだけどな…)

流石に皆の前で好きな女を結婚相手に選ぶのは恥ずかしかった


大仏「ステータスとかなんとかシビアなこと言うなぁ」

伊井野「へー…石上そういう表面的な部分で結婚相手決めるんだ…ふーん…」

石上「なに言ってんだお前ら。これゲームだぞ」

小野寺「…あ、私も結婚マスに止まった」

槇原「小野寺はもう石上と結婚してるからぁ…」

小野寺「プレイヤーの私も結婚したことになるんだ」

槇原「代わりに子供マスに変化だね!子供が一人増えるよ☆」

伊井野「えぇっ、子供!?//」

大仏「わーお、おめでとう」

小野寺「わーおじゃないし」

石上「…なんか複雑な気分だなこれ…」

伊井野「今は2月…てことは…」プルプル

石上「何を計算しようとしてんだお前」

小野寺「伊井野、大丈夫…?」


槇原「では皆、小野寺さんにお祝い金をどうぞ!」

槇原「そしてこれがゲームマスターからのプレゼント、100万円札!☆」

小野寺「これ描かれてるの巨瀬先輩だよね?」

大仏「…あ、私も結婚マスだ」

伊井野「こばちゃんまで!?」

槇原「はい、男子組のリストだよ」

大仏「そうだなぁ…じゃあ翼先輩にしよう。ステータスのバランスが良いし」

小野寺「翼先輩っていったら柏木先輩の彼氏だっけ?」

石上「ああ。なんか翼くんが色んな女に手を出すヤベーヤリチンに見えるからやめて欲しいな」


槇原「はい、じゃあ次は伊井野ちゃんだね」


伊井野「…あ!私も結婚マスだ!」パアァ

槇原「あー、残念。伊井野ちゃんは人間不信カードあるから結婚できないんだよ」

伊井野「ええぇ!!?」ガビーン

小野寺「…代わりの何かは無いの?」

槇原「遠くから他人の結婚式を見つめる!以上!!」

石上「悲しすぎんだろ」

伊井野「わ……私だけ………私だけ独身………」プルプル

小野寺「伊井野、大丈夫だから元気出して!」

大仏「ほら鼻水かんで」


石上「よし、次は俺だな」

槇原「休日イベントマス!さあ好きな過ごし方を選んでね!」

石上「家族と過ごす、趣味をして過ごす、友人と遊ぶ、自分磨きか」

石上「自分磨きだな」

伊井野「麗ちゃんと子供はほったらかし!?」

大仏「違うよ、自分磨いていいお父さんを目指そうとしてるんだよ」

石上「なに言ってんだ」

槇原「はい、石上はゲーム中三回自分磨きをしました!更にオタクカード所持をしている!そんな頑張るオタクなあなたに御褒美!!」バッ

槇原「ハーレムカード!!!」

石上「え、なにそれ」

槇原「自分を磨いて心の綺麗になった石上はオタクの夢であるハーレムが叶うよ!結婚相手の性別と人数に制限が無くなりました。つまり誰とでも好きなだけ結婚できるよ!!」

石上「心の綺麗な奴どころか、欲望のままに人を食い散らかす奴みたいにしか聞こえないんだが」

小野寺「私の番ね……えーと、『超イケメン金持ちな学生時代の元カレ出現。誘いに乗りますか?』」

小野寺「乗るわけ無いじゃん、結婚してんのに」

槇原「おめでとう!誘惑に惑わされない強く優しい小野寺には天使カードをあげよう!!」バッ

小野寺「天使て…乗らないのが普通じゃないの?」

石上「よく見たら天使カードの絵、藤原先輩じゃねえか」



大仏「あ、私も子供できた」

伊井野「こども!?」

石上「おい、やめろ。なんか笑えねえよ」

小野寺「マキ先輩の凄い顔が目に浮かぶんだけど…」



伊井野「『ボランティアを頑張って功績を認められ超大手企業から勧誘を受ける』…わー、やったぁ…」

石上「あんま嬉しそうじゃないな…」

小野寺「まぁ、お金が入っても結婚できないのはダメージデカイと思うよ…」



石上「次は…お見合い結婚マス?」

槇原「それは条件に関係なくランダムで選ばれた女性と結婚できるよ!石上はハーレムカード持ってるから結婚してるけどまだできるね!!」

石上「断れないの?」

槇原「無理だよっ!☆」

小野寺「強制結婚か…怖い…」

槇原「だーれが出るかな、だーれが出るかな」

槇原「よいしょおぉぉ!」バァンッ


『子安つばめ』


石上「!!?」ドキッ

石上は心の中でガッツポーズをした

小野寺「わー…」

大仏「…」グッ!

伊井野「石上が……つばめ先輩と、結婚…」カタカタカタカタ

槇原「おめでとう、二人目の嫁さんはつばめ先輩だよ☆」

石上(嬉しい…けど、なんかつばめ先輩に申し訳ないな…)

伊井野「見損なった、石上!こんなの麗ちゃんもつばめ先輩も可哀想だと思わないの!?」ガタッ

石上「え?どうしたお前」

小野寺「錯乱してない?落ち着いてマジで」ナデナデ
伊井野「ふー、ふー…」

槇原「じゃあ結婚祝いで皆からお金を出そうね!」


伊井野「…」プルプル
(財布から金を出す)

大仏「ミコちゃん、出すのゲームのお金でいいからね?」

小野寺「そのリアルマネー早くしまいなよ」

石上「なんか見覚えあるなこれ」

その後もゲームは続き

伊井野「新しい企業の社長になり海外進出……わーい…」

小野寺「伊井野真顔だよ」



大仏「また子供だ。しかも双子」

石上「おい、本当やめろ!!!」



石上「ヤベー、お見合い結婚マスでツンデレ先輩出たよ!」



小野寺「えーと、家族同士で仲良く遊ぶ……子供の居る家庭限定だから相手は大仏さんとこか」



伊井野「………」

大仏「なんか石上側も凄いことなってるね」





伊井野「…あ、また結婚マス」ピタッ

伊井野「はー…また結婚できないのかぁ…」

石上「ガチで落ち込んでるな…」

小野寺「さすがにゲームとはいえ可哀想だよ」

大仏「待って、今は小野寺さんが天使カードを持っている」

小野寺「え?」

槇原「その通り、人間不信カードを持つ人は…」

槇原「天使カードを持つ人とのみ結婚できる!」

伊井野「え…!?」ドキンッ

その時、伊井野の脳裏には小野寺との思い出が蘇る


小野寺『伊井野、チョコあげる』


小野寺『一緒にタピオカ飲みに行こ?』


小野寺『ここのハンバーグ…美味しいね』ニコ


それは小野寺との輝かしい友情の思い出…


伊井野(そう、麗ちゃんはいつも優しくしてくれた…!)ウルウル

大仏「ねえ今、食べ物の思い出ばっかりじゃなかった?」


伊井野「ねえ麗ちゃん、あのね…結婚…してもいい…?」

小野寺「えっ?……まあ、うん…」

槇原「良かったね、伊井野ちゃんも結婚できたよ!」

槇原「ちなみにハーレムカード持ってる石上の嫁でもあるから!」

伊井野「えぇっ!?//」

槇原「いやぁ、夫婦揃って共通の嫁とか石上も小野寺も食いしん坊が過ぎるね!」アハハッ

石上「お前そういうこと言わなくていいから」

その後も激しい戦いは行われ

大仏「子供6回目!また双子!」バァンッ

石上「どんだけっ!?」

小野寺「ヤバイ、お祝い金どんどん持ってかれる!」

伊井野「こっちは一番最初の麗ちゃんの子供しか居ないのに!石上、もっとこっちも出してよ!!」

石上「いや俺は子供マス出たら嫌だ!なんか色々想像したくない!!」

いつのまにか石上大家族VS大仏大家族になっていた


石上「…はっ!」ピタッ


石上「またお見合い結婚マス!!」

小野寺「あららー」

大仏「味をしめたようだね」

伊井野「あんたどんだけお見合い好きなの?」

石上「好きで止まった訳じゃねぇよ!!」


槇原「ふふ、モテモテだね~♪さあ次は誰かな~~☆」


槇原「ばああぁんっ!!」


『白銀御行』


伊井野「かいちょおっ!?」

大仏「わーお」

小野寺「予想外のとこ来た」


石上「ちょっと待て!!!」ダンッ

石上「なんで会長!?男だろ!?」

槇原「ハーレムカードあげるとき説明したじゃん、性別も制限が無くなるって」

石上「言ってたけど!!」


伊井野「会長まで手に入れるとか雑食が過ぎるわね」

大仏「大丈夫だよ、男同士は恥ずかしくないよ石上」

小野寺「うん。私もそういうの偏見ないから気にすんなし」

石上「みんな好き勝手言ってえぇ!!」


小野寺「えーと…私のマスは、『会社がフジワラカンパニーと契約を結ぶ。収入アップ』だって」

槇原「やったね、小野寺に社長フジワラちゃんカードをあげるよ☆」

小野寺「私の持ってるカードどっちも藤原先輩だ…」



槇原「おーっと、ここにきて大仏さんがヤバイマスに止まっちゃったぁぁ!!」

小野寺「え?」

大仏「『四宮グループを取り込みゲーム終了まで全ての手にはいるお金2倍』だって」

石上「四宮グループを取り込んだ!?」

伊井野「いったいこばちゃんはどこまで行くの!?」

大仏「ふふ…四宮グループを取り込んだ私に勝てるかな?」ゴゴゴゴゴ

石上「やべぇ、どんどんノリノリになってやがる」

伊井野「くっ、負けないよこばちゃん!私の次のマスで逆転する!」バッ

槇原「こ、このマスはぁ!?」


『腹痛一回休み』

伊井野「えええぇぇ!?」ガビーンッ

小野寺「伊井野、何を食べたの?」

伊井野「何も食べてないよぉ!(泣)」

石上「威勢よく啖呵切ったのに…」

石上(次は俺か……俺が何か引き当てないとな)スッ

石上「…!これは?」

小野寺『新入社員マス?』


槇原「石上の今経営している会社に新入社員を呼べるんだ!この結婚相手リストにいる人物からランダムで選ばれるよ!」

石上「なるほど、副社長のつばめ先輩の他にも社員が増えるのか」

小野寺「え?」

石上の頭の中では子安つばめが副社長だった

槇原「誰かな誰かな~!?」

バアンッ!!!


『四宮かぐや』


石上「おおっ!!この人なら頼れる!!!」

伊井野「わ、四宮先輩だ!」

槇原「やったね、最強キャラが加わったよ!」

大仏「くっ……四宮かぐやは取られたか、だが我々には四宮本家の圧倒的財力がある。四宮の小娘一人敵に回ったところで……我々相手にどこまでやれるかな?」ニヤリ

小野寺「大仏さんは何のポジションの誰なの?」

そして両陣営の戦いはヒートアップ…ついに佳境を迎える

ゴゴゴゴゴ…


大仏「ふふふ…やるね、日本国内ほぼ全ての企業を取り込み海外にまで手を広げた私の新・四宮グループをここまで追い詰めるだなんて」


伊井野「海外には私の会社が先に手を回していた…海の外では好きにやらせないよ!」

大仏「ふふ、相手にとって不足はない…!」ニヤリ


石上「こっちにはそれぞれ会社を経営する伊井野、小野寺…副社長のつばめ先輩、そして四宮先輩や会長、ツンデレ先輩…多くの仲間達が居る!!」

小野寺「藤原先輩も居るよ。カードに」

石上「俺達は…四宮グループに負けないっ!!!」ドンッ


大仏「来い、我が圧倒的財力で食い尽くしてくれるわ!!!」


伊井野「頑張ろう、みんなっ!!!」

小野寺「ねえ、最初とゲームのコンセプト変わってるよね?」




そして、全員が遂にゴールを果たす………

結果は





1位 石上優
所持金 50億8500万円

2位 大仏こばち
所持金 50億8497万円


伊井野「やったー、四宮グループに勝ったーー!♪」

大仏「若造に負けるとは…」グヌヌ

小野寺「大仏さんは誰なの?」

石上(勝った………四宮グループに………つばめ先輩や、仲間達と協力して)


石上(やりましたよ、四宮先輩!!!)

かぐや『よくやったわ石上くん…お疲れだこと』フフフ(心の声)


小野寺「ねえ、そろそろ普通に戻ろ?」

ゲーム終了


槇原「…さてどうだったかな?ハッピーライフゲーム改は」

石上「まあ何だかんだで楽しかったよ。ツッコミどころも多々あったけど」

伊井野「面白かったなぁ、最初は泣きそうだったけど」

大仏「終始楽しませてもらったよ」

小野寺「面白かったけど途中から企業同士の対決になってたね」


槇原「…で、何か意見や要望などがあればどうぞ」

石上「んー…そうだな。とりあえず」



石上「結婚相手に実在の人物から選ばせるのはやめた方が良い」


⑭おしまい

⑮四条眞妃の修学旅行

二年生は修学旅行二日目


石上に風呂上がりの姿の四条眞妃からテレビ電話が来た


眞妃『ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!(泣)』

石上「わ、誰っ?…あぁ、ツンデレ先輩っすか」

眞妃『だじげでえ゛え゛え゛!!!(泣)』

石上「え、すんません。今から京都までは行けないっす」

小野寺「ツンデ…マキ先輩、そんな泣いてどうしたんすか?」

眞妃『あら、麗も居たのね!』

眞妃『ちょっとちょっと、優どういうこと!?放課後に麗と二人きりとかそっちのルート選んだの!?』

石上「何を訳わかんないこと言ってるんですか」

小野寺「伊井野と石上が生徒会の仕事終わって出てきたとこにたまたま私が通りがかってちょっと喋ってただけですよ。伊井野は大仏さんと一緒にさっき帰りました」

眞妃『ああ、そっか…ごめん今ちょっと混乱してて』

小野寺「先輩、ツインテ解いてると雰囲気変わりますね。色っぽいというか」

眞妃『え、そう?色っぽい?ふふふ…優も私の普段見せない姿に魅了されちゃったかしら?』フフン

石上「そっすね……雰囲気変わってもやっぱ中身は先輩のままなんだなぁと思いました」フフ

眞妃『オイコラそれどういう意味だ』

小野寺「それで何があったんすか?」

石上「神から何かされました…?」

眞妃『さっき渚と一緒に髪乾かしに行ってたんだけど…ドライヤー使ってる間に渚が居なくなってて!』

眞妃『探したら翼くんと廊下でイチャついてたのよっ!!!』クワァッ

眞妃『そんで、すぐ戻るから皆には内緒ね☆とか言ってコッソリ翼くんと外に出て行ったわ!!!(泣)』

小野寺「うわー…」

石上「そんなとこだろうとは思いましたよ…」

眞妃『今日も楽しかったねー☆また京都来たいねー☆とか渚と話してたけど一気に非情な現実に戻された気分よ!!』

小野寺「先輩、そういう時は違う友達と一緒に居たらどうっすか?多少は気分誤魔化せると思いますけど」

石上「そうだな……確か先輩マスメディア部の二人とも仲良かったですよね?その人達のところに避難とか…」

眞妃『渚と翼くんがコッソリ外に出たと同時にね…』

眞妃『御行とかぐやおば様がまだ帰って来ないって連絡が来て、そのショックで二人とも寝込んでるのよ!!』

小野寺「ちょっと全然状況がわからないんですが」

眞妃『私にもわからないわよ!!(泣)』

石上「会長と四宮先輩、何かあったんですか?」

眞妃『まあ詳しくは私も分からないけど……とりあえず心配せずとも大丈夫よ。藤原の話じゃ皆ちゃんと帰ってこれるみたいだから。怪我とかも無いって』

石上「そっすか…なら安心したっす」



エリカ『かぐやしゃまぁ…かぐやしゃまの美しいお顔が、まだ見れない………お悲しいこと…』

カレン『白銀×かぐや様にぃ……早坂さんが、加わって…ハーレムですわぁ……』


小野寺「あの、なんか先輩の後ろから変な声が聞こえるんですが」

眞妃『ただの寝言よ。気にしないで』

小野寺「すごい寝言っすね」

石上「夢の中でまで妄想か」



『ガチャッ!!』

柏木『眞妃ちゃん、クラスの子からメール来てたんだけどかぐやさん達まだ帰ってきてないって本当!?』

翼『会長は大丈夫なの!?』

眞妃『わ、二人とも帰るの早くない!?』


石上「あ、帰ってきたみたいだな」

小野寺「そうだね」


柏木『そりゃそうだよ、心配で仕方ないし』

翼『何かあったら…』

眞妃『…』

眞妃『ごめんね、二人をイチャつき大魔王とか思ってて…そうよね。友達の心配の方が最優先よね。二人とも優しいもんね』ボソッ

石上(イチャつき大魔王って…)

柏木『え、いま何か言ってた?』

眞妃『んーん、何も』


眞妃『大丈夫よ二人とも。愛は帰っちゃうみたいだけど何事もないし、かぐやおば様と会長も遅れるけど無事帰ってくるみたいだから!ちゃんと皆で引き続き修学旅行を楽しめるわよ!!』ニカッ

柏木『本当!?良かったぁ…』ホッ

翼『それなら安心したよ』

眞妃『だからあんた達も心配いらない。安心して待っていればいいの』フッ


翼『そうだね…じゃ、渚』


翼『一緒に外で待とっか?』

柏木『そうね、二人の帰りを外で待とう』


眞妃『って、結局外には行くのかよっ!!!』





小野寺「先輩…」

石上「最後に綺麗にオチついちゃったなぁ…」

⑮おしまい

⑯四宮雲鷹は見てみたい

修学旅行終わりの後の日曜日


藤原「友達との待ち合わせ時間間違えて一時間早く来ちゃったんですよ~♪暇潰ししようと歩いていたらそこに小野寺さんを見つけた訳なんです!」アハハー

小野寺「へー、そうなんすかぁ」ハハハ


服を買いに来ていた小野寺は、街で藤原千花に見つかり絡まれていた


藤原「そうだ、近くにパンケーキやパフェが美味しい喫茶店があるんですよ。一緒にどうです?」

小野寺「いいっすね。小腹も空いてますし気になります」





喫茶店

カランカラン

雲鷹「…」ズズ

雲鷹(今日はたまたま暇な時間が出来たから東京まで来てみた…我ながら何をやっているんだろうな)

雲鷹(あの日から俺の脳裏から離れない光景……ギャンギャン喚き散らし俺を殴り付け早坂を許したいなどと言っていた俺の妹……)

雲鷹(俺の知る頃とは最早別人……冷たい目をしていたあいつは今じゃただのバカなガキになっていた)

雲鷹(…断じて変化できたあいつが羨ましいとか思ったわけじゃねぇ。だが何故ああなったのか…何の影響でかぐやはバカになっちまったのか。それが何となく気になるってだけさ)

雲鷹(まあ、そんな小せえ理由でわざわざ東京まで来ちまう俺も結構なバカなのかも知れねえがな)フッ



藤原「見てください小野寺さん、どれも美味しそうでしょう!?」ニコニコ

小野寺「はい、本当美味そうっす。店の雰囲気も好きですよ」



雲鷹(…などと言っていたらさっそく現れたか。事前に調査で存在は把握していた…)

雲鷹(藤原千花!!)チラッ

雲鷹(部下の調査によれば奴がかぐやのただ一人の友人……そして天才ピアニストであり政治家の娘でもあるらしい)


藤原「小野寺さん…最近悩みとかありませんか?」

小野寺「はい?」

藤原「例えば…恋で悩んでいるとか」

小野寺「急になんです?」

藤原「私はちゃんと見ていたんですよ?小野寺さん………服屋で凄く何かを思い悩むような顔をしていたではありませんか」フッ

小野寺「え?普通に服何買おうか悩んでただけですけど」



雲鷹(…いかにもアホな雰囲気のする女だが…)

雲鷹(いや、騙されるな、もしかしたらアホの振りをするのが奴の処世術なのかもしれん)

雲鷹(まさか…政治家になった後、四宮を支配するため『友人』として近付きかぐやがバカになるように仕向けたのか!?あの女!?)バッ

雲鷹も少し思考が暴走し始めていた



藤原「あ、パンケーキ来ましたよ!」

小野寺「わ、美味しそう~」

藤原「一緒にパフェも注文しちゃいました☆」

小野寺「パンケーキにパフェとかちょっと食い過ぎじゃないですか?」

藤原「ふふふ…私は最近ダイエットを頑張ってましたからね。修学旅行でもたくさん歩いて昨日も自転車に乗りました!」

藤原「だからこれは頑張った自分へのご褒美です!♪」ニパァッ


小野寺「あの、いくらご褒美でもそんなに食べたら意味がないような…」

小野寺「それにここに来る前、先輩タピオカ飲んでましたよね?あれって結構な高カロリー…」

藤原「そうだった!この子も真顔で正論言う子だった!!」



雲鷹(…いや、やっぱりただのアホなのか?)

雲鷹は冷静になった

小野寺「そういえば修学旅行はどうでした?」

藤原「超楽しかったですよ~!やっぱ京都が一番ですよね!!☆」グッ

小野寺「いいなぁ、海外もいいっすけど何だかんだで国内もちゃんと回ったことはないから行ってみたいです」

藤原「あ、写真見ますか?色々撮ったんですよ~」

小野寺「いいんですか?見たいっす」



藤原「ほら見て、会長の男子グループの変顔撮らせて貰ったんです」

小野寺「あはは、会長さんって結構お茶目なとこあるんですね」

藤原「よく知らない人からは怖がられたりもしますが、会長もかぐやさんも話してみたら普通にいい人ですから!」アハハー

小野寺「あー、四宮先輩話してみたら印象変わりましたよ。怖い人かもって思ってたとこもあったけど意外と愛嬌あっていい人っぽかったです」



雲鷹(…愛嬌があっていい人っぽい…?)

雲鷹(俺の知ってるかぐや相手じゃ絶対に浮かばねえ言葉だな!)

雲鷹(つーか、愛嬌あっていい人っぽくてバカって端から聞いてる限りアイツ(藤原千花)の特徴でもあるじゃねえか!やっぱアイツが原因なのか!?)

藤原「あとこれ、かぐやさん綺麗に撮れて…」

小野寺「わっ、すっごい美人に写ってる…」

藤原「そしてこれが私のグループにかぐやさんも呼んで一緒に撮った奴です!皆で変顔!」

小野寺「わ、変な顔…でも可愛い!」



雲鷹(…か…かぐやが変顔だと!!?)

雲鷹(バカな、有り得ん…あいつが変顔まで晒すなど……四宮の恥だぞ!?)ガタッ

雲鷹(………)

雲鷹(どんな顔なのか気になる!!!)

妹が自分の知っていた姿とは大きく変わっていただけでなく、他の人間と一緒に変顔まで晒す行為………
その衝撃に雲鷹は『妹の変顔を見てみたい』という衝動に駆られた

そして怪しまれぬよう『トイレに行きます風』で藤原の後ろを通り、横目で瞬時にスマホの画面を覗いた


藤原「かぐやさんも何だかんだで楽しんでましたよー」

小野寺「仲良くていいっすね~」


そこには…


藤原に頬を軽く引っ張られながら変顔でピースしているかぐやが写っていた



雲鷹「…」スッ



雲鷹「………」




雲鷹「誰だアレは………四宮かぐやはあんなアホ面だったか?」


⑯おしまい

⑰後輩達と語りたい

月曜日
今日は修学旅行から帰ってきた二年生も居る

小野寺麗が中庭を歩いていた時である

彼女はベンチの上にノートらしきものを発見した


小野寺(なんだろ、これ…誰かの落とし物か?でも名前が書いてないな)

小野寺(中の方に名前書いてあるかも、届けてあげ…)ペラッ

小野寺「…!!!??」



その時、小野寺は衝撃的なモノを目の当たりにする

なんと、ノートの中で白銀と四宮がお姫様だっこだのイチャイチャしている様が描かれていたのだ!!!

小野寺(な、なに…!?これ……!!?)ドッドッ

二次創作としての同人誌があることは知識としては知っていた。
しかし、実在の人物を元に描かれるもの(ナマモノ)まであるとは想像もしていなかった。
それは長年陽キャリア充として生きてきた彼女に多大なるカルチャーショックを与える!!!

小野寺「…」

理解はできない………しかし1つだけ確かに分かることはあった。

小野寺(これ他人に見られたらヤバイ奴だ!!!)

ザッザッザッ!

伊井野「麗ちゃーん!見て見て腕治ったー!♪」ブンブン

小野寺「…!!」

絶妙なタイミングで腕をブンブン振り回しながら笑顔で近付いてくる伊井野!!

このヤバイ本を人に見られるわけにはいかない、咄嗟に彼女が取った行動…それは

とりあえずこの本を自分のカバンに入れて隠す!!!

小野寺「や、伊井野おはよう。腕もう大丈夫なの?」

何事もなかったかのように笑顔で応える小野寺!!

伊井野「うん、もう絶好調だよほら!」ブンブン

小野寺「とりあえずブンブン振り回すのやめなよ、ぶつけるよ」

伊井野「じゃあまた教室でねー」

小野寺「うん、じゃまたね~」

小野寺「…ふー、この本どうしような…」チラッ

ザッザッザッ

かぐや「ねえ愛さん、愛さん!」ニコニコ

早坂「ちょっと…さすがに学校内でまでベタベタし過ぎだよ~…嬉しいのは分かるけど」

小野寺「…っ!!!」ババッ

そして休む間もなくかぐやと早坂が現れる!!


早坂「ほら一年の子見てるし、あんまベタベタしてると違う意味で変な噂流されるよ」

かぐや「あの子はそんなことしませんよ!小野寺さんおはようございます」ニコニコ

小野寺「あ、はい。おはようございます」

かぐやはテンションが高まりかなりご機嫌だった

早坂「…君今カバンに何か隠してなかった?」

小野寺「は、はい!?何も隠してませんよ!?」ドッドッ

早坂「そかそか」


小野寺(ふー…ビックリした……)ドキドキ

ドドドドド!!

藤原「あはははは~☆」

小野寺「…!!!?」

そして更なる強敵が現れる!!!

槇原「修学旅行から帰ってきたフジワラちゃんを先に捕まえた方が多くお土産貰えるよ!!」

メガ子「まてまてー」ニコニコ


小野寺「あの、校内で走るのはやめましょう」

藤原「え、や…走ってたのはここが中庭だから…」ピタッ

小野寺「それでも他の生徒も歩くでしょう。危ないっすよ。先輩なんですから気を付けてください」

藤原「はい…ごめんなさい…」シュン

メガ子「申し訳ありません…」シュン

槇原「小野寺先生…」シュン

小野寺「先生て」

小野寺(はー、やっと静かになった…これ誰のなんだろ、早く返したい)チラッ

石上「小野寺」

小野寺「わっ、い、石上!?」

石上「そこのベンチでノート見なかった?」

小野寺「…え?」

小野寺「うん、あったから、私が拾ったけど…」

石上「中見たか?」

小野寺「…うん、見た…」

石上「…そうか…」

石上「誰にも言うなよ?」

小野寺「うん、言わないよ…」


小野寺「…え?アレ石上が描いたの?」

石上「いや断じて描いたのは俺じゃないから。まあその反応だと本当に拾ったみたいだな、ナマモノを」

小野寺「え、ナマモノ?ちょっとわかんない」

石上「わかんない方が健全だから別にいい。拾ったのが小野寺で良かったよ」

小野寺「…誰のモノなの?これ」


ザッザッザッ!

カレン「はーっ!はーっ!石上くん、部室には見当たりませんでした!!」

小野寺「紀先輩」

石上「安心してください先輩、例のブツなら小野寺が見つけてくれました」

小野寺「え?」

カレン「良かったですわあっ!(泣)」

小野寺「あ…先輩のですか…?」

カレン「はい、小野寺さん!ありがとうございます!あなたは恩人です!」

小野寺「いえいえ」

カレン「…あの…もしかして中身覗きました?」

小野寺「…ごめんなさい、実はちょっとだけ…」

小野寺「でも、悪くないと思いますよ?会長さんも四宮先輩も綺麗に描けてて…」

小野寺は、カレンに気を使って発言したつもりだった
しかし…


カレン(え、もしかしてこの子も仲間!?)


彼女は間違った解釈をしてしまった


カレン(きっとこの子も自分の趣味やカプ妄想をなかなか周りに理解してもらえず苦労を…)ジー

小野寺「…?」


カレン「大丈夫です小野寺さん…理解されないこともあったでしょうが、私は味方です!!」ガシイッ

小野寺「すいません、会話の繋がりがわかんないっす」

石上「先輩、とりあえず小野寺を巻き込もうとするのはその辺にして」

石上「ナマモノが無防備にベンチに置かれていた理由を教えてください。小野寺が居なかったら本当にヤバかったっすよ」

カレン「…あれは私がベンチに座ってエリカが登校してくるのを待っていた時のことです」

ー回想ー

カレン「エリカはまだかしら…ん?」ピクッ

その時、私は見たのです………窓越しに
超幸せそうな顔で外を見つめるかぐや様のお姿を!!!

かぐや「…」キラキラキラ

カレン「…!!?」ズキューンッ

カレン「な、なにあの物凄く幸せそうな表情は!?かぐや様、いったい何が…」

カレン「会長と何があったんですのおおぉ!!?」


かぐや「…」キラキラキラ

かぐやは、早坂と『親友』という普通の関係になれた喜びにより現在、顔と心が超キラキラしていた


カレン「い、いけない…今ならエリカの気持ちが分かりそうだわ…」ハワワワ


かぐや「…」キラキラキラ


カレン「あのお姿を残したい…けれど勝手に写真を撮るなど無粋なことは、……はっ!!」

カレン「これがありましたわ!!!」ババッ

カレン「スケッチ!今のうちにかぐや様の美しき御尊顔をスケッチに残さなければ!!」シュババッ

カレンは自作同人の白紙ページにかぐやの姿を描き写していった!!!

ーーーーーーーーー

カレン「そして、その後かぐや様が誰かを見て嬉しそうにその方のところへ走っていったので………つい私も気になってかぐや様の居た場所までダッシュで向かったのです」

カレン「おそらく、その時ベンチに置かれたままになっていたのでしょう…」

小野寺「何やってるんすか」

石上「本当に何やってるんすか」

カレン「本当に面目ないですわ…!」プルプル

カレン「それで、今日スケッチしたのがこれなんですが…」スッ

石上「めっちゃ煌めいてますね、点描や手描きの花まで加わっちゃってるじゃないっすか」

カレン「はい、興奮し過ぎてつい熱が入ってしまい…」

小野寺「上手いっすねー」

小野寺「けど、この四宮先輩はちょっと目が優し過ぎますかね。もう少し鋭い感じの目付きにした方が先輩っぽさがある気がします」

石上「ん…まあ確かに」

カレン「…」

カレン「流石です、小野寺さん!貴女はよく分かっていらっしゃる!やはり仲間ですね!」ガシイッ

小野寺「仲間っ!?」ビクッ

カレン「そう…普段のクールな美しい瞳が一瞬見せる優しさ、暖かみ…それこそが尊いのです!!」

カレン「貴女はかぐや様をよく分かっていらっしゃる!!!」キラキラキラ

小野寺「そんな目をキラキラさせられても…」

石上「小野寺困ってるじゃないですか」

カレン「ちょうどいいです、修学旅行の時にも妄想を広げて描いた作品を御覧くださいまし!!」シュバッ



ザッザッザッ…

伊井野「麗ちゃーん、そろそろ教室行かないと~。10分前だよー?」チラッ



小野寺「やっぱり周りにバレてはいけない秘密の恋…みたいなシチュエーションが燃えるんすよ」

石上「そして周りにはバレないよう二人でコッソリ抜け出して…」

カレン「なるほど、とても…とても良いですわ」



伊井野「…え?」ピクッ

伊井野「周りにはバレてはいけない秘密の恋…?二人でコッソリ…?」ブルブル



石上「そしてお姫さま抱っこっすよ!」

小野寺「石上それ好きなの?」

石上「周りにバレないように誰も見てない隙に手を繋ぐ、とか」

小野寺「あ、それいい」

カレン「二人の間に障害があるほど燃え上がる恋…いいですわぁ…」



伊井野「あっ……あっ………!?」ガタガタ


石上「あ、やべ、伊井野が見てるぞ」

小野寺「先輩それ早くしまってください!」

カレン「は、はいっ!」ババッ

小野寺「や、伊井野呼びに来てくれたの?私もそろそろ教室に…」

伊井野「麗ちゃん……石上………バレたらヤバイの…?」

小野寺「ん?」

伊井野「二人で、周りにバレないように秘密の恋って……どういうこと?障害があるほど燃え上がるの?」プルプル

小野寺「…っ!?」

石上「おい待て。何かお前めんどくさい勘違い…」

カレン「えっ?な、何事ですか!?」


伊井野「麗ちゃん、石上……そんな関係だったなんて…」

伊井野「二人でコッソリ学校から抜け出してイチャイチャしたり手ぇ繋いだりお姫さま抱っこしたりしてたのね!!」ブワッ


小野寺「違うからっ!!?」

石上「おいコラ、それ勘違いだ!!」


伊井野「うわあああぁぁぁんっ!!!(泣)」

ダッダッダッ!

小野寺「伊井野、待って!違うの、そうじゃないのー!!」

石上「ちゃんと話聞けー!!」

カレン「伊井野さん、お二人は、お二人は悪くありませんー!!!」

ダッダッダッ…


この後、誤解はすぐに解けた

⑰おしまい

⑱小野寺麗と伊井野ミコ

中等部時代…

私は伊井野ミコが好きではなかった。

頭が固くて周りの考えや価値観を認めないくせに、自分の考えや価値観は他人に押し付けようとする…
他人を感情のある人間として見ていない自分勝手な奴

そんな風にしか思えなかったから。


けど今にして思えばそれは私も同じだったのかもしれない。

伊井野にも色々な感情や考えや価値観がある

私もまたそれをちゃんと見ようとしていなかったんだ。



今なら分かる

伊井野はただ自分なりに頑張っているだけ
正しく生きようとしているだけ

その頑張り方も生き方も、良くも悪くも不器用なだけで…



伊井野「麗ちゃん、おはよう」

小野寺「おはよう。伊井野」


今はもう、いいところもたくさん知っている私の大事な友達

伊井野「…!」ピタッ

小野寺「…」

遠くに石上とつばめ先輩が楽しそうに話す姿が見えた。そして二人で学校まで真っ直ぐ歩いていった。
伊井野はただそれを黙って見ている…
何かを我慢するように



伊井野「………う……」

ガクンッ!

小野寺「!」

小野寺「伊井野!?」バッ

伊井野「はっ、はっ……!」ギュッ

伊井野「胸が、苦しい…っ、痛…い……」


ドサッ!!



小野寺「伊井野!伊井野!?」

小野寺「ねえ、伊井野!どうしたの!?」


伊井野「うぅぅ……息が、苦しい…胸が痛いぃ…っ!」ギュウッ

小野寺「…っ!?」

小野寺(いったい何が…救急車呼んだ方がいい!?そうだ、今日はお父さんに送ってもらったからまだ近くに)

小野寺「もしもし、お父さん!友達が倒れたの!病院まで送って!」

伊井野「いい…学校…行く…」ブルブル

小野寺「ダメだよ、無理しちゃ!病院まで行こう、何か病気だったらいけないでしょ!」

伊井野「う…うん……」ハッハッ

伊井野「痛い、苦しい…!立てない…!」

小野寺「すぐお父さん来るから!」

小野寺(大仏さんは今日は学校来るの遅れるって言ってたからまだ居ないか…ライン送っておこう)


伊井野「苦しい……ゴホッ、ゴホッ!」ウルウル

小野寺(伊井野……なんで、いきなりこんな…!)ギュッ

病院


伊井野「…」

小野寺「…」


医者「…」



伊井野「あの…私…心臓の病気か何かなのでしょうか…?」

伊井野「このまま手術、とか……」ウルウル

小野寺「…」ギュッ


医者「………うん………君は……」







医者「恋の病だね」

伊井野「…」




伊井野「…え、聞いたことがありません、新しい心臓の病気か何かの名前ですか…?」

医者「心臓の病気ではないね、恋の病だからね」

医者「私もここ一年以内で初めて遭遇して、君で三人目だよ」

伊井野「流行ってるんですか!?」

医者「うん、まあ超局所的に流行ってるね」

伊井野「局所的に!?」


小野寺「………」

この時、小野寺は色々と察した

伊井野「冗談はやめてください!倒れるほど胸が痛くて息が苦しくて立てないほどだったんです!何か重い病気のはずです!!」

医者「なるほど、よっぽど惚れ込んでたんだねえ…」

伊井野「何の話ですか!?」

医者「君はちょっと頑固な上に色々自分の中に溜め込んでそうだからね。たまには正直に胸の内を明かすのもいいことだよ、オジさん達が聞いてあげよう」

女看護師「そうよ、人に話すことで楽になることってやっぱりあると思うの」ポンッ

伊井野「真面目に診察してください!!」

医者「うん。真面目にやってるよかなり」

伊井野「麗ちゃんも何か言ってよ、この人達…!」

小野寺「伊井野…」


小野寺「とりあえず大仏さんには『伊井野は身体と健康には全く問題ない』って送っておいたから…超心配してたからあの子…」

伊井野「え!?」

小野寺「あの…診察終わったら呼んでね……」

伊井野「え、出ちゃうの!?」

医者「付き添いの人は出ていっちゃうんだよね、この話」

女看護師「まあ第三者として聞いてる側は超恥ずかしいでしょうから」

伊井野「精密検査をお願いします!心臓に何かがあるはずです!!」

医者「どうしてもって言うならしてあげてもいいけどやめた方がいいと思うよ」

女看護師「そうね。それに君の場合は素直に色々話す方がいいと思うの」

伊井野「話すって何をですか!私は病気について知りたいんです!!」

医者「だから恋の病だってば」




小野寺「…はー……」

小野寺「恋の病て……」ガクッ



小野寺(でもヤバイ病気とかじゃなくて良かったー!)ギュッ

小野寺は恥ずかしさと病気ではなかった安心が同時に来ていた


大仏「小野寺さん、ミコちゃんは…!?」タッタッタッ

小野寺「大仏さん…ラインで伝えた通り身体には全く問題ないけど…」

小野寺「話は長くなりそうだから、今はまだ診察室に入らない方がいいと思う」

大仏「え、どゆこと?」


⑱おしまい

⑲小野寺麗と石上優

話は学園祭前に戻る


石上「…」ザッザッ

タッタッタッ!

女子C「きゃっ!」ドカッ

石上「うおっと、わりぃ、大丈夫か?」

女子C「だ…大丈夫……」

タッタッタッ…


女子C「どうしよう石上にぶつかっちゃった最悪」

女子D「うっわ、嫌だ~」

女子E「あんた石上に目え付けられたかもよ」

女子C「変なこと言わないでよ~。あーもうヤダキモイ」パンッパンッ



石上(…聞こえてるっつーの…)ハー

小野寺「…石上…」

石上「気にすんな、慣れてる」

小野寺「…うん」

石上「お前こそ俺なんかに構ってていいのかよ、変な噂されても知らないぞ」

小野寺「今更何言ってんの?私だってそんなの言われたって気にしないし」


応援団の人達とは普通に接していることなどから体育祭以降は石上への陰口や誹謗中傷は減っている…
だけどまだ無くなってはいない。
いまだに一部から石上は敵意を持たれている。



小野寺「…じゃ、石上。また明日ね」

石上「おう、また明日」

タッタッタッ…


白銀「おう、石上も生徒会か。学園祭間近だから今日は忙しいぞ」

石上「はい!」



小野寺「…」


つばめ「小野寺さん!」ポンッ

風野「よう、今日もお疲れさん」

小野寺「あ、先輩。お疲れっす」

風野「…石上はどうだ?本人に直接聞くのもアレだしな…無理して俺らには気を使いそうな奴だし」

つばめ「皆から色々噂されたりとか…孤立して辛い目にあったりしてない?」

小野寺「…大丈夫すよ。石上は一人じゃない、ちゃんと味方も居ます。先輩達だってそうでしょう?」

つばめ「勿論だよ、優くんの事はちゃんと見てきたし知ってるもん!悪く言うわけないよ!」

風野「そりゃな。俺だって石上がいい奴だって分かる……」

風野「だからこそ心配なんだよな。何かを自分一人で全部抱え込んで我慢してそうな感じもしてよ」

小野寺「…」


そうなのだ。詳しいことはわからないけれど…石上は何かを抱え込んでいる気はする。
だって、頑なに自分の悪い噂の事については話さない。
噂されたくなければ弁明すればいいのだ。でも石上はそれをやらない。
つまり「黙っていなければいけない理由」「誹謗中傷を我慢し続けなければならない理由」があるということだ。

小野寺(もちろん聞いたところで石上は話さないよね)

小野寺(けれど、いい奴がろくでもない噂で誹謗中傷されている様を見るのはやっぱいい気分じゃないな…)

女子A「小野寺さーん、今日はもう帰るの?」

小野寺「うん」

女子B「ごめんね、うちらはまだ帰れないから……B組の演し物も何とか完成出来そうだね」

小野寺「石上や伊井野がいい案出してくれたお陰だよ」

女子B「ねえ、小野寺さ…最近一部からだけど変な噂されてるよ。孤立してる奴に構って先生からの評価を上げようとしてるとか」

女子A「私達が何か言っとこうか?」

小野寺「知ってるよ、でも気にしたところで仕方ないっしょ。無視でいいよ」



ダダダダダッ!!

藤原「ほらかぐやさん、急いで!今日は忙しいんですから早く買い出し終わらせましょう!」

かぐや「藤原さん、待ってください!藤原さん!」

藤原「なんです!?」クルッ

かぐや「ちゃんと財布持ってきてますか!?」

藤原「…え?ん、あれ?んん?あれれ?」ガサゴソ



白銀「おーい、藤原ー!金忘れてる金ーっ!!!」タッタッタッ

石上「先ぱーい!どうやって買う気ですかー!」

藤原「持ってくるの忘れてました、テヘッ☆」

かぐや「テヘじゃないでしょう…」



女子A「相変わらず藤原先輩は元気だねー」

女子B「石上普通に生徒会に馴染んでるんだなぁ」

小野寺「うん」

女子A「じゃあまた明日ねー!」

女子B「ばいばーい」

小野寺「うん、じゃまたねー」



ザッザッザッ

男子「小野寺さん、久しぶり。覚えてる?」

小野寺「え…誰すか?」ピタッ

男子「小等部まで一緒だったじゃん。中学からは別になっちゃったけど」

小野寺「ああ…なんとなく思い出した。萩野とよく一緒に居た奴だっけ?」

男子「覚えててくれて嬉しいなー!ねえ良かったら一緒に遊ぼうよ!」

小野寺「え…急になんで?話したことあんまないよね?うちら」

男子「秀知院に居る女友達から聞いたよ。小野寺さん石上に優しくしてるんだって?」

小野寺「別に応援団一緒にいるうちにちょっと仲良くなっただけだけど」

男子「小野寺さんも知ってるだろ?石上に優しくした奴が中等部ん時にストーカー被害にあって酷い目に遭わされたの」

男子「やめときなよ、君も同じ目に遭うよ。ストーカーされるよ」

男子「ほら今だって石上がストーカーしてどこかで見てるかもしれない…」

小野寺「あんた何言ってんの?石上いま生徒会やってる時間だし、あいつがストーカーとかやるわけないじゃん」

小野寺「だいたい萩野にしたって今思えば信用できない。萩野が善人なら石上があんな暴力沙汰を起こすとは思えない」

男子「…はあ…お前さあ、なんでそんな石上に肩入れしてんの?」

小野寺「あのさ、肩入れも何も…私は石上を見てきたから、その上で判断してるだけ。石上は信頼できるやつだって」

小野寺「私は自分の見てきた石上を信じるよ」

男子「…」

小野寺「あんたとデートなんてごめんだよ。じゃね」

ザッザッザッ…


男子「…ちっ…」

男子「石上が萩野を邪魔したせいで大友で遊べなかった腹いせに小野寺を利用してやろうと思ったのに…」

男子「生徒会だ?ふざけんなよ石上…邪魔したやつがのうのうとそんな…」


「あらあら何をボソボソと言っているのかしら」

男子「!」ピクッ



かぐや「今のお話…もっと詳しくお聞かせくださいな…?」(ヤバイ目つき)
ゴゴゴゴゴ…

男子「ひえっ!?」ビクウッ


男子(違う学校の俺でも知っている…この女は四宮の……っ!)


かぐや「今あなたが何を言っていたのかはさっぱり分かりません(嘘)」

かぐや「しかし、もし秀知院の生徒に何か危害を加えようとしたのであれば、生徒会副会長として見過ごせませんね?」

かぐや「もしもの時は生徒会と四宮の権力を全力で使わせてもらいますが…」ニコォ


男子「ひえええ、もう近づきませーん!!!」ダダダッ





藤原「…私も小野寺さん達の会話をコッソリ聞いてたんですが、さっきかぐやさん何を言ったんですか?」

かぐや「大したことは話していませんよ」ニコニコ

翌日


小野寺(石上に敵意を向ける人間はまだ多い…けど)



藤原「石上くん、今日は1日優しくしてあげるデーです。失礼な発言も今日だけは許してあげましょう」

石上「え?どうしたんすか、急に…昨日の買い出し終わってから妙に優しいっすよね。黒リボンの呪いでも解けました?」

藤原「リボンを呪いのアイテム扱いしないでください、このぼっけなすーっ!前髪長男!」

白銀「優しくしてあげるんじゃなかったの!?」

石上「結局いつも通りっすね」

かぐや「うふふ…」





つばめ「優くん楽しそうだね」

風野「いい人達に囲まれてるんだな」

小野寺「はい」

小野寺(今の石上の周りには優しい人達がたくさん居る…だからきっと大丈夫…)



伊井野「石上、あんたまたミドジャン持って来てないでしょうね」

※ミドジャン…ミドルジャンプの略

石上「あ?なんだよ、なんでいきなり持って来てるなんて決めつけるんだ」

伊井野「だって今日はミドジャンの発売日でしょう!」

石上「ああ、そうだよ持って来てるよ!でもコッソリならいいだろ!」

伊井野「私に思いっきりカミングアウトしながらコッソリとはよく言うわね!!」

小野寺(あれはまぁ…お互いをちゃんと『見た』上での関係性だからね…)フッ


伊井野「出しなさい、没収するから!」ポカポカ

石上「せめて読んでから没収しろ!」



小野寺「…にしても毎日同じような喧嘩はさすがに飽きないのかなぁ…」


⑲おしまい

とりあえずここで終わりです

気が向いたらまたいつか書くかもしれません

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