リン「カイルの女装?」タキ「ああ、似合うと思うんだ」カイル「!?」 (21)

カイル「ちょ、ちょっと待ってよ兄貴!! なんで急にそんな話になったのさ!!」

タキ「いや、お前よくリンに色んな服着せるだろ? だからたまには逆にお前に色んな服を着させようと思って」

カイル「い、いいよ!! 僕はそんなガラじゃないよ!!」

リン「でも……確かに似合いそうね」

カイル「リンまで!?」

タキ「カイル、お前はいずれ皇帝になる男なんだ。 他人の痛みを理解しようとしない人が皇帝になれるわけないだろ」

カイル「そ、それってこれと関係あるの……?」

タキ「あるさ、リンはお前に色んな服を無理矢理着させられて辛かった。 その辛さを知るべきだ」

カイル「で、でも!! 僕用の服なんて二、三着ぐらいしか……」

タキ「ヘレンおばさんがお前が悪さした時用に着させるようお前サイズの女物を服を用意してくれたんだ」

カイル「」

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タキ「さてと……まずは何を着させようかな」

リン「これとか似合うんじゃないかしら?」

タキ「ハート柄のパジャマか! 確かに似合いそうだな」

カイル「似合わないって!!」

タキ「着てみないと分からないだろ?」

カイル「分かるよ!!」

タキ「いいから脱げってほらほら」

カイル「うわあっ!?」












カイル「……」

リン「似合ってる!! 可愛いわカイル!!」

タキ「だから言っただろ、着てみないと分からないって」

カイル「うう……///」

カイル「早く脱がせて!!///」

タキ「分かった分かった、じゃあ次はこれだな」

リン「タキ、それは?」

タキ「セーラー服だよ」

カイル「着ない!!」

タキ「着ろ!!」

カイル「うわあっ!?」











カイル「……///」

リン「この姿だと女の子と見間違えちゃうわ……」

タキ「パンとか咥えたら様になるかもな」

カイル「もうやだ……」

カイル「兄貴ー……十分楽しんだでしょー? もう終わりでいいじゃーん」

タキ「まだ残ってる」

カイル「まさか全部着るの!?」

タキ「全部とは言わないが……二着だけじゃ物足りないだろ?」

カイル「兄貴、僕を着せ替え人形だと思ってない!?」

タキ「ほら、次はスク水だ」

カイル(お母さん、いつの間に買ってたんだろう……)











カイル「……///」

タキ「やっぱり似合うな」

カイル「……兄貴、質問」

タキ「なんだ?」

カイル「僕は兄貴が喜ぶだろうと思ってリンにいろんな服を着させたんだよ?」

カイル「僕がこんな服を着て誰が喜ぶの?」

タキ「誰が喜ぶとか関係ない。 さっきも言ったがリンの苦痛を味わうために決まってるだろ」

カイル「なんだよそれー……」

リン「……」

リン(どうしよう……すごい言いにくいわ)

リン(カイルにあれこれいろんな服を着させられたけど……そんなに嫌じゃなかったなんて)

タキ「よし、次で最後だ」

リン「……まだやるの?」

タキ「ああ」

カイル(最後はなんだろう……)

タキ「メイド服だ」

カイル(……もしかしてお母さんって若い時はコスプレイヤーだったのかな)












カイル「……ほら、着たよ///」

タキ「……なんか変になってきたな」

リン「どういうこと?」

タキ「ずっと色んな服を着させた所為で……カイルが男だってことを一瞬忘れてた」

カイル「それやばいって兄貴!! 重症だよ!!」

タキ「そういえば……」

リン「どうしたの?」

タキ「カイル。 お前、リンにいろんなポーズさせたり変なセリフとかも言わせてたよな?」

カイル「う、うん……」

タキ「お前もやろう。 メイド服着てるし『いらっしゃいませご主人様』とかどうだ?」

カイル「やだよ!!」

タキ「リンにあれこれやらせといてそれはないんじゃないか?」

カイル「うっ……」

リン「タキ……私、なんだかカイルが可哀想に思えてきたわ」

リン「それに私、もう気にしてないから……」

タキ「リン……」

カイル「ほ、ほら!! リンもそう言ってるじゃん!! だからもうやめようよ!!」

タキ「……まあリンがそういうなら」

リン「……ありがとう」

カイル「やっと解放された……」

カイル「……」

カイル(……あれ、なんだこのモヤモヤした気持ち)

その日の夜

カイル「……」

カイル(みんな寝たね)

カイル(……)ゴソゴソ

カイル(……あった、メイド服)

カイル(……)ヌギッ

カイル(……あの短期間で僕は……)

カイル(女装に……目覚めてしまった)

カイル(メイド服……我ながら似合う)

カイル(……)

カイル「……いらっしゃいませ、ご主人様」

カイル「ご注文は何になさいますか? オムレツですか? それとも……」

カイル「……ワ・タ・シ?」

カイル「……なーんてね」

リン「……カイル?」

カイル「!!??」

カイル「リ、リン……寝てたんじゃ……」

リン「あなたの声で起きたの……」

カイル(喋るんじゃなかった……)

リン「……カイル」

カイル「は、はい……」

リン「あなたが無理に女装する必要はもうないのよ? だから気にしなくて大丈夫」

カイル「……違うんだよリン、僕は……」

リン「?」

カイル「……好きでやってるんだよ」

リン「!!」

カイル「今日、兄貴にいろいろされて目覚めちゃったんだ……」

リン「カイル……」

カイル「……僕、別に無理に言ってるわけじゃないよ。 本当だよ」

リン「ええ……あなたの目を見れば分かるわ」

カイル「……軽蔑する?」

リン「いいえ、そんなことはしないわ。 それに……」

カイル「それに……?」

リン「あなたのメイド姿……とても似合ってるし可愛いわ」

カイル「ほ、本当!? ありがとうリン!! 最高の褒め言葉だよ!!」

この時、僕の心は完全に女の子となっていた。

次の日

タキ「ふああ……よく寝た……」

タキ「……昨日はカイルに悪いことしちまったな……起きたら謝るか」

タキ「……ん?」

タキ「リンもカイルもいない……もう起きてるのか?」

カイル「おはようございます!! ねぼすけのご主人様!!」

タキ「!!!!!?」

カイル「本日の朝ご飯は私の作った特製スープです!! 遠慮なく飲んでくださいね!!」

タキ「……」

カイル「……ご主人様? なんでぼーっとしているんですか?」

タキ「……俺が悪かった」

カイル「ど……どうしてご主人様が謝る必要があるんですか!? ご主人様は何も悪いことはしてませんよ!?」

タキ「謝るから!! なんでもするから!! だからそのメイド服を脱いで喋り方を戻せ!!」

カイル「ご主人様……何故そんなことを言うのですか? だって……私をこんな風にしたのはご主人様じゃありませんか……」

タキ「まさかこんな風になるとは思わなかったんだよ!! 恥ずかしがるどころか気に入ってるなんて……」

リン「タキ……でもカイルの女装は今後必要になってくるわ」

タキ「リン!?」

リン「恐らく敵の人達は皇帝になるカイルを狙っている……つまり女装すれば……」

タキ「……カイルだと気づかれないってことか?」

リン「……そういうことよ」

カイル「だからご主人様!! この格好でいさせてくださいニャ!!」

タキ「分かったからその喋り方をやめろ!!」

カイル「……ちぇっ、結構気に入ってたのに」

馬×2「ヒヒーン!!」

タキ「だいぶ進んだな……」

兵士A「待て!!」

タキ「!!」

兵士B「お前達は何者だ? 身分を証明できるものを見せろ」

タキ「ああ……ちょっと楽器持ってくるから待ってください」

リン「タキ……私はもう準備できてるわ」

タキ「よし、演るか」

カイル「いつでもいいよー」

タキ「……なあカイル」

カイル「何?」

タキ「……メイド服のまま演奏する気か?」

カイル「うん」

タキ「……」ポロロン

カイル「……」ピーヒャララ

リン「〜〜〜♪」

兵士A「おお……なんと美しい……旅芸人だったか」

兵士A「……通っていいぞ」

タキ「そりゃどうも」

兵士B「はぁ……はぁ……///」

兵士A「ん? どうした?」

兵士B「あの子……可愛いですね……///」

兵士A「ああ……しかも彼女、綺麗な歌声だったな」

兵士B「違いますよ」

兵士A「ん?」

兵士B「私が可愛いって言ってるのは……あのちっちゃいメイドの子ですよ///」

兵士A「!!?」

兵士B「もう我慢できねえ!!」ダッ

兵士A「お、おい!! 待て!!」

兵士A(うっかりしていた……あいつはロリコンだった!!)

カイル「なんかメイド服飽きたなー……ねえリン、次は何がいいかな?」

リン「ドレスとか似合うんじゃないかしら?」

カイル「いいねいいねー!」

タキ「おいおい、リンまで……」

兵士B「止まれ!!」

リン「!!」

タキ「さっきの兵士……」

兵士B「こいつはいただいていく!!」ガシッ

カイル「!!?」

リン「カイル!!」

タキ「おい! カイルを離せ!! どういうつもりだ!!」

兵士B「このメイドっ娘は俺の嫁だぁ!! 結婚してくれぇ!!」

カイル「あの……喜んでいるところ悪いんだけど……」

兵士B「ん?」

カイル「僕……男だよ?」

兵士B「!!!?」

兵士B「お……お……お前のような男がいるか!!」

カイル「じゃあ下も脱ごうか?」

兵士B「ああ脱げ!! 今すぐ脱げ!!」

カイル「じゃあ離して」

兵士B「ああ!! 離してやるよ!!」

リン「カイル……」

カイル「大丈夫だって、脱いだら分かってくれるよ」

ヌギッ

兵士B「!!!」

カイル「ほら、立派なイチモツ。 正真正銘の男でしょ?」

兵士B「……」プルプル

リン「……?」

兵士B「……それでもいい!!」

カイル「!!!?」

兵士B「結婚が駄目なら俺の専属メイドになってくれ!!」

カイル「この人頭おかしい……」

リン「ま、待ってください!! 私達には行かなきゃいけないところが……」

兵士B「うおおおおおおおお!!」バリバリバリバリ

タキ「!!!!」

兵士B「俺はロリを見ると強靭な肉体を手に入れることができるのだ!!」

リン「戦いたくないけど……戦うしかないみたいね」

兵士B「そして俺の弱点は気持ち悪いものだ!!」

タキ「気持ち悪いもの……?」

カイル「……そうだ!! いいことを思いついた!!」

タキ「何か策があるのか……?」

カイル「兄貴が女装するんだ!! そしたらこの人も元に戻る!!」

タキ「!!?」

リン「カイル……」

カイル「兄貴!! 早く!! 兄貴の女装は多分気持ち悪いから!!」

タキ「いや、そんなことしなくても……リンが……」

リン「……」

タキ「!!」

タキ(俺は馬鹿だ……リンを戦わせようとしていた!!)

タキ(もしも俺が女装することでリンが戦わずにすむのなら……)

タキ「分かった……女装する!!」

カイル「兄貴!! 僕のメイド服!! 受け取って!!」

タキ「ありがとう!!」ガシッ

タキ「……リン!! 着替えるまで時間稼ぎしてもらえるか!?」

リン「ええ……」

兵士B「メイドをよこせええええ!!」

リン「!!」

ガキイン!!

リン「絶対に渡さないわ……!!」

タキ「……リン!! ありがとう!! 着替え終わった!!」

リン「本当!? よかった……」

タキ「おいお前!! こっちを見ろ!!」

兵士B「?」

タキ「い、いらっしゃいませ……///」

兵士B「!!!!」

カイル「ぶっ!!!!」

タキ「笑うな!!///」

兵士B「ぐおおおおおおお!!!」シュウウウン

リン「!! 元のサイズに戻っていくわ……」

カイル「やっぱり兄貴の女装は気持ち悪かったんだ!!」

兵士B「……」

リン「あの……大丈夫ですか?」

兵士B「私に構うな……先に行け」

リン「でも……」

兵士B「私はどこも怪我はしていない、安心しろ」

タキ「……リン、今は一刻を争う。 早く行こう」

リン「……ええ」

カイル「あー気持ち悪かったー」

タキ「うるさい!!」












ルドルフ「元円卓の騎士……兵士Bがやられた?」

兵士「はい」

ルドルフ「やつのロリコンパワーならキマイラを倒せると思ったが……まあいい。 策はまだある」

タキ「しかし驚いたな……お前の女装があそこまで騙せるとは」

カイル「いやー我ながらすごいなー。 可愛いって罪・・・」

タキ「やめろ」

タキ「……」

リン「……タキ、どうしたの? どこか具合が悪いの?」

タキ「い、いや……なんでもない」

タキ(……)

タキ(男ってのは……なんで単純なんだろうな)

タキ(……)

タキ(……俺も目覚めてしまった)

カイル「ねーねー、リンも男装しよーよー」

リン「私は遠慮するわ……」

タキ「……ハマるかもしれないぞ」

リン・カイル「!!?」

〜終わり〜

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