アナスタシア「かな子が欲しがっていたマカロフを持ってきました」 (36)

「お誕生日おめでとう!」

かな子「ありがとう……みんな……」

未央「プレゼントも持って来たよ! はい! コート!」

凛「私と卯月と未央で選んだよ」

卯月「きっと似合いますよ」

智絵里「私も……フォトフレームを持ってきました……」

美波「私はペンダントを買って来たよ」

かな子「嬉しいです!」

アーニャ「私は……かな子が前に欲しいと言っていた物です」

かな子「え~? なんだろう?」

アーニャ「マカロフです」

かな子「あ、マカロンですか! 私の大好物ですよ」

アーニャ「北方ルートから仕入れたロシア製です」

かな子「北方ルート? ロシア製?」

アーニャ「最近は中国製や北朝鮮製も多いですけど、これは上物です」

かな子「え? どういうこと? マカロンだよね?」

ゴトリ

かな子「ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピストル!」


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アーニャ「手に入れるのに苦労しました」

かな子「ちょっと! アーニャちゃん! どういうことなの!」

アーニャ「かな子……前に言っていました。マカロフが欲しいと」

かな子「それはマカロンだよ!」

アーニャ「え? マカロフ……違いますか?」

美波「アーニャちゃん。そんなのどうやって手に入れたの?」

アーニャ「お父さんの友達から買いました」

未央「ど、どんな友達なの?」

アーニャ「元スペツナズでロシアンマフィアの人です」

卯月「ほ、本物ですか? これ」

アーニャ「ダー。 プーリァ……弾丸もありますよ」

智絵里「どこから持って来たの……」

アーニャ「北海道でパパが買った物を送って貰いました」

凛「アーニャのお父さん……何者なの……」

アーニャ「パパは良い人ですよ」

かな子「こんなの受け取れないよ!」

アーニャ「ルゥジヨー……ライフルのほうが良かったですか?」

未央「そんなのもあるの?」

アーニャ「ダー。AK-74やクリンコフもあると言っていました」

未央「そんなのゲームでしか見た事ないよ!」

アーニャ「結構高いから買えませんでした」

かな子「そういう問題じゃないよ~!」

アーニャ「ピスタリエート……拳銃は嫌いですか?」

かな子「好きとか嫌いの問題じゃないよ!」

美波「アーニャちゃん……日本だと拳銃所持は違法なんだよ」

アーニャ「そうなんですか!」

卯月「知らなかったんですか?」

アーニャ「ダー。パパの周りの人、みんな持っているので」

美波「ばれたら逮捕されちゃうよ」

アーニャ「あー……だからですか。秘密にしろとパパは言っています」

凛「アーニャのお父さんって一体……」

アーニャ「パパは優しい人ですよ」

智絵里「これ……危ないよね」

卯月「暴発したら大変ですよ」

アーニャ「ニェ・ボーイシャ……大丈夫。弾は装填していません」

未央「今は撃てない状態なんだね」

アーニャ「マガジンには弾が入っています」

凛「どうやって撃つの?」

アーニャ「まず、スライドを引いてチャンバーに弾を送ります」

チャキ

未央「ちょっと! 今、装填したよね! それ!」

アーニャ「デコッキングすれば大丈夫です」

凛「デコッキング?」

アーニャ「セフティを操作して撃たずにハンマーを落とします」

カチャ

未央「たしか、ハンマーが起きてないと撃てないんだよね?」

アーニャ「ダー! 未央、銃を知っていますね?」

未央「お兄ちゃんのエアガンとゲームで知っている位だけどね」

卯月「ついていけませ~ん」

凛「その後ろについている出っ張りがハンマーなの?」

アーニャ「そうです」

凛「セフティっていうのは何?」

アーニャ「安全装置です」

凛「つまり、今は安全装置が掛かっているんだ」

アーニャ「そうです。だから撃てません」

かな子「引金を引いても平気なの?」

アーニャ「撃てませんが、それはダメです」

かな子「なんで?」

アーニャ「撃つとき以外は引金に指をかけません」

未央「それ、大切だよね」

アーニャ「トリガーコンシャスといいます」

凛「徹底しているんだね」

未央「銃口も人に向けないんだよね?」

アーニャ「ダー。それはマズルコンシャスといいます」

智絵里「鉄砲の話で盛り上がってきた……」

凛「安全装置を外したら引金を引いただけで撃てるの?」

アーニャ「マカロフはダブルアクションだから撃てますね」

凛「ダブルアクション?」

アーニャ「引金とハンマーが連動する銃のことです」

凛「そうじゃない銃もあるの?」

アーニャ「シングルアクションの銃です」

凛「シングルアクション?」

アーニャ「引金とハンマーが連動しない銃のことです」

未央「指でハンマーを起こす銃だっけ?」

アーニャ「リボルバーの場合はそうですね」

凛「マカロフはリボルバーじゃないんだ」

アーニャ「マカロフはリボルバーではなくオートマチックです」

未央「リボルバーはレンコンみたいな銃だよ」

卯月「たしか、西部劇に出てくるような銃ですよね」

かな子「オートマチックの場合はどうなの?」

アーニャ「スライドを引いたときにハンマーが起きます」

凛「つまり、弾を装填すると撃てるようになるんだ」

アーニャ「その通り!」

美波「どこでそういうの覚えてくるの?」

アーニャ「パパから教わりました」

凛「アーニャのお父さん凄いんだね」

アーニャ「皆さんのパパは教えてくれないんですか?」

美波「普通はそんなの教えないよ」

未央「アーニャはオルガ・ゴルルコビッチみたいだね」

アーニャ「そうなんですか……私、変わっていますね」

智絵里「だ、大丈夫……アーニャちゃん怖くないから……」

卯月「そ、そういう環境で育った人もいるものですよ」

未央「硝煙の匂いと共に育ったんだね~」

アーニャ「小さい頃から銃のこと教わりました」

美波「ロシアだとよくあるのかな?」

アーニャ「どうでしょう?」

凛「たぶん、よくある環境ではないと思うよ」

未央「まあ、アーニャはアーニャだよ!」

アーニャ「そう言ってくれると嬉しいです」

美波「さて、問題は……これをどうするかね」

卯月「警察に届けるとか」

美波「アーニャちゃんがパパと一緒に逮捕されちゃうよ」

智絵里「捕まっちゃうの?」

アーニャ「それは困りますね」

未央「ゴミ箱に捨てる?」

凛「見つかったら大騒ぎだよ」

かな子「川に捨てるのはどうかな?」

美波「それ、事件になっちゃうよ」

凛「そう簡単に捨てられるものじゃないよね」

美波「パパに送り返したらどう?」

卯月「一番無難かもしれませんね」

凛「そうだね。元の持主に返してくれるだろうし」

未央「ロシアに送り返して貰おう!」

アーニャ「そのほうが良いみたいですね」

未央「返す前にさ、一発くらい撃ってもいいかな?」

美波「未央ちゃん!」

未央「じ、冗談だよ」



やまなし・おちなしですが 完

軍曹「懐かしい重みですね!」
都「ハワイでお父さんに習いました!」
志希「ロシアモノは初めてかなあ」

とか言わなくてよかった

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