仁奈「ちひろおねーさん、これ見てくだせー!」ちひろ「いいですよ」 (33)

【デレステSS】です


――――事務所

ちひろ「――はい、ここの筆算は書いてある内容は正解です。でも百の位の計算でなにか忘れていませんか?」

仁奈「うーんと……あっ! 8に6を足したら14でごぜーます! だから千の位の数字にさらに1足さないといけねーです!」

ちひろ「その通り。よく気が付きました」

仁奈「えへへ。ちひろおねーさんが見ててくれるからですよ!」

ちひろ「ふふっ……あ、そろそろ休憩にしましょうか。だいぶ時間が経ってしまったみたいですから」

仁奈「分かったでごぜーます! じゃあ仁奈は机の上を片付けるですよ!」

ちひろ「お願いします、私は……あら?」

仁奈「どうしたですかちひろおねーさん?」


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※市原仁奈
http://i.imgur.com/eCbjAni.jpg

※千川ちひろ
http://i.imgur.com/TjheXoP.jpg


ちひろ「ウォーターサーバーが空っぽ。コーヒーメーカーの所のミルクと砂糖も予備までなくなっています……私としたことが」

仁奈「あ、ほんとーでごぜーます。でもみんないっぱい使ってやがりますからしかたねーですよ!」

ちひろ「うーん、でもこれはちょっと見過ごせませんね。ウォーターサーバーは……」パチンッ 

ザパンッ

仁奈「うわぁーっ!! 一瞬でお水がいっぱいになったでごぜーます! すげーですよっ!」ピョンピョン

ちひろ「これで良し。でもコーヒーメーカー周りの物はさすがに買いに行かないとダメみたいですね」ゴソゴソ

ちひろ(……他にも足りないものがいくつかありますし、ついでに補充しておきましょうか)

仁奈「あ、もしかしてちひろおねーさんもお出かけするですか?」


ちひろ「ええ、これもアシスタントのお仕事ですから。私が買い物に出掛けている間、仁奈ちゃんにここのお留守番を頼んでもいいかしら?」

仁奈「任せてくだせー! 怪しい人は誰も入れたりしねーですよ!」フンフンッ

ちひろ「頼もしいことです。もうすぐレッスンに行っていた人達も戻ってくると思いますから、一人でいる時間は短いとは思いますけど……」

仁奈「それなら仁奈は大丈夫でごぜーます! だからちひろおねーさんは安心して買い物に行ってくだせー!」

ちひろ「そうですか? ならなにかお土産買ってきますから、楽しみに待っててくださいね」

仁奈「はーい♪」

ちひろ「それじゃあ行ってきます」ガチャ

仁奈「いってらっしゃーい!」


バタンッ

仁奈(ちひろおねーさんをお見送りするなんて初めてで、なんだか不思議な感じがするでごぜーます……)ドキドキ

仁奈(それに今日もプロデューサーは外のお仕事行ってやがりますし、他の皆もライブやレッスンでいねーです! 仁奈がしっかりしないと)グッ

仁奈「よーし、お留守番頑張るで――」

ガタンッ!

仁奈「ひっ!?」ビクッ

仁奈「な、なんでごぜーますか!? だれでごぜーますか!?」キョロキョロ

仁奈(も、もしかして小梅おねーさんの言ってた幽霊さんでやがりますか!? や、やめてくだせー! 仁奈はおいしくねーですよ!!)キョロキョロ


仁奈「……って、あれ? 壁にあったスケジュールボードが落ちてやがります。……むっ、さてはこれが……!」グイッ ポトッ

ガタンッ

仁奈「やっぱりでごぜーます! さっきの音はこれが壁から落ちた音でやがりましたね! まったく、びっくりさせねーでほしいです」ホッ

仁奈(……とりあえず仁奈じゃ元にもどせねーですよ。あとでちひろおねーさんに伝えるとするです)コトッ

仁奈「それにしてもちひろおねーさんまでいない事務所って静かすぎるですよ……テレビでもつけておくでごぜーます」ピッ

TV『ボクも驚きましたが、先程ついにあの有名芸能人が結婚ということでスタジオの――』

仁奈(この人あんまり好きじゃねーでごぜーます。他の番組は……)ピッ

TV『あの人が、あの人が悪いよのぉ……私以外に女なんか作るからぁ……!』

TV『奥さん、それは誤解だ。旦那さんは――』

仁奈(……このドラマなにが面白いんでごぜーます?)ピッ


TV『では次にご紹介します商品はこれ! 天然高級羽毛布団一式セット――』

仁奈(通販だ……そういえば、ちひろおねーさんって時々変な物をプロデューサーに売ってやがりますね……)ポフッ

仁奈(このネコさんの形したふかふかのベッドみたいなのとか……いったいどこで見つけてくるんでごぜーましょう?)ポフポフッ

TV『これだけでも大変オトクですが、これにさらに枕カバーまで付けて驚きの価格……49800円でのご奉仕とさせていただきます!』

TV『えぇーすごーい!!』

仁奈「……ふぁ……」ポフッポフッ

仁奈(あ……まずいでごぜーます……ベッドに座ったら眠く……でも……お留守番しないと……)ウトウト

TV『さぁいますぐお電話を! 特典は今から30分以内とさせて――』

仁奈「……もっと……面白い番組に……起きて……でも……ふぁ……ん……」コテンッ

仁奈「…………スゥ……スゥ……――」


――――???

――千川さん、うちの子はきっとスターになれる存在です。なのでどうかここは一つ……

仁奈(……あれ? ママの声が聴こえるでごぜーます……)

――はぁ……しかしプロデューサーさんではなく私に直接というのはまたどういったご了見で?

仁奈(あとはちひろおねーさんの声……? どうして……)

――いえいえ、お噂は伺っておりますよ。このプロダクションにおいて本当に権限を持っているのは誰かということについては

――……それはそれは、面白い噂話ですね。ですが私はアシスタントですよ? 至って普通の、どこにでもいるような

仁奈(あ……思い出したでごぜーます……これ、仁奈が初めて事務所に連れてこられた時のママとちひろおねーさんの……じゃあ、夢……?)


――ご謙遜を……とにかく、夫が海外に行くことが多いというのに録に稼がない以上、うちは娘にも稼いでもらう必要があるんですよ

――それなら娘さんを芸能界に入れる前にされるべきことが……金銭面の問題でしたら良い弁護士をご紹介しましょうか?

――冗談を、それより一円でも多くのお金ですよ。とにかく頼みます、きっと貴女ならすぐうちの子を……

――うーん

仁奈(……この時仁奈のことが書いてる書類を見ていたちひろおねーさんの顔は、今でもよく思いだせねーです……でも)

――あ、あの……千川さん……?

――少し黙っててもらえますか

――……ひっ……!!


仁奈(あの時ちょっとの間……ママがすごく震えてたのだけはよく覚えてるですよ……ママは一体なににあんなに……)

――……いいでしょう。市原仁奈ちゃん、面白い子です。アイドルとしての素質は十分あると見ました

――あぁ……なら……!

――ただしこちらの契約条件。これをお母様が全て受け入れて下さるならという条件付きですが

――も、もちろん……! どんな条件でもこちらは文句など……!

――ではこの書類に署名されたあと印章をお願いします。なければ拇印でも結構です

――わ、分かりました……! これで……!

仁奈(……ママ……もう終わったことでごぜーますが……やっぱり……)


――はい、確認いたしました。では今から市原仁奈ちゃんはプロダクション所属のアイドルとして預からせていただきます

――よろしくお願いします。どうか娘を一流にしてください!

――それはもちろん。ではこの後こちらに仁奈ちゃんを担当する者が来ますので、そのまま

――……あ、いえ、実は私、ええと……このあとまだ仕事が残っていまして忙しく、後のことはすべて娘に任せます。大丈夫よね、仁奈

仁奈(本当はママがなにを言ってるか全然わからなかったでごぜーます……でもあの時は、うんって……それしか……)

――そう、それでいいのよ仁奈。ママのために頑張るのよ! では千川さん、あとのほうは……

――……はい、全てこちらにお任せいただいて結構です

――ああ良かった。よろしくお願いいたします。それでは……

仁奈(……これでママとはお別れになったでごぜーます。仁奈は一人ぼっちで残されて……けど)

――仕事が忙しいですか……ふふっ、あなたのお母様は面白い方ですね。あんな……っと、ごめんなさい、これは余計なことね


――では改めて仁奈ちゃん、はじめまして。私はこのプロダクションでアシスタントをしております千川ちひろと申します

仁奈(プロデューサーが来るまで一人ぼっちな仁奈を、ちひろおねーさんは励ましてくれやがりました)

――……ふふ、そんなに不安そうな顔をしないでください。大丈夫、これからあなたには素敵なことがいっぱいありますよ

――もちろんなにがあるかはこの後プロデューサーさんのほうから説明がありますが……そうですね、どんなことが起きるかといえば

仁奈(この時ちひろおねーさんが見せてくれたことは今でも忘れられねーです!)

――例えばこうやって、パンッっと手を叩いたら……ほら、お菓子がたくさん出てきました。こんな風な楽しいことがいっぱいありますよ

仁奈(あれは魔法みてーでやがりました! ちひろおねーさんが手を開いたら飴やチョコがいっぱいいーっぱい!)

――あ、少しは元気になってくれましたね? なら大丈夫、あとはプロデューサーさんが来ますから、ここで待っていて下さい

仁奈(きっとちひろおねーさんは本当は魔法使いでやがります! ちひろおねーさんは違うって言ってやがりましたけど……)

――私が魔法使い……? ふふっ、残念だけど違いますよ。私はあくまで、皆さんのアシスタントですから

仁奈(でも、絶対ちひろおねーさんはすげー人ですよ! 優しくて……だから仁奈頑張るでごぜーます! 頑張って、いつか、いつか――)


――――事務所

???「――……る……かに……」

???「……て…………に行って……」

仁奈(……?)

???「しか…………ボ…………」

???「わか……! しずか……ば……ねっ!!」

???「もっと声……お……う」

仁奈(……あれ……声……? ……あっ)


仁奈「あーっ!? いけねーです! 寝てしまったでごぜーます!!」

友紀「あちゃー……もー、茜ちゃんが大声出すからー!」

茜「す、すみません!」

杏「まぁ茜が大声だす前から起きそうだったし、目覚ましになったと思えばいいんじゃない?」

幸子「ボクだったらちょっと嫌な起こされ方ですけど……」

杏「じゃあ今度幸子にもしてあげてよ茜」

幸子「どうしてそうなるんですか!?」

仁奈「……あ、あれ? 杏おねーさんに友紀おねーさんに茜おねーさんに幸子おねーさん……どうして……」

※双葉杏
http://i.imgur.com/Xg5oBI9.jpg

※姫川友紀
http://i.imgur.com/NPo853x.jpg

※日野茜
http://i.imgur.com/83OWo1A.jpg

※輿水幸子
http://i.imgur.com/d1TMNHy.jpg


杏「あー、杏はまぁ単純に事務所のほうが色々だらけるのには最適なの揃ってるから来ただけで」

友紀「あたしと茜ちゃんはレッスンが終わったから戻ってきたんだ。幸子ちゃんは?」

幸子「ボクは宿題を終わらせるためにちょっと寄りました。事務所だと不思議と勉強がしやすいんですよ」

杏「言っておくけど杏は教えないよ」

幸子「心配無用、ボクはカワイイので自分でちゃんと出来ます!」

杏「おーさすが。ならあとで弄ろう」

幸子「なんでですか!?」

仁奈「そ、そうだったでごぜーますか……はっ!? ち、ちひろおねーさんはまだ戻ってきてねーですか!?」


友紀「ちひろさんならまだ見てないけど、やっばりどこかに行ってるの?」

仁奈「ミルクや砂糖を買いに行ってるでごぜーます……それで仁奈はお留守番を頼まれて……」

茜「おお、ちひろさんから頼まれ事をするなんて仁奈ちゃんすごい!」

仁奈「で、でも仁奈は寝てしまったでごぜーます……これじゃあちひろさんにバレたら怒れちゃうですよ……」

幸子「まさかそんな、いくらちひろさんでも……」

友紀「わかんないよ~? 案外『どうしてちゃんと留守番出来ないかなぁ?』とか怒っちゃうかも……?」

茜「ちひろさんはそんな野球見てる時の友紀さんみたいなこと言わないと思います!!」
 
友紀「さらっと酷いよ茜ちゃん? でもあのちひろさんだし……」


ちひろ「なるほど、友紀ちゃんとはあとで話し合う必要があるみたいですね」

友紀「ひぃ!?」

幸子「あ、ちひろさん。いつ戻ったんです?」

ちひろ「ついさっき戻りました。友紀ちゃんについては後回しにするとして」

友紀「」ガタガタ

仁奈「あ、えと……ちひろおねーさん……仁奈は……」

ちひろ「……何も言わなくて大丈夫ですよ。私も仁奈ちゃんがお勉強で疲れてたのにお留守番任せてごめんなさい」

仁奈「お、怒らねーですか……?」


ちひろ「どうして怒る必要がありますか。スケジュールボード、あれを壁に立て掛けてくれたのは仁奈ちゃんでしょう?」

仁奈「そうでごぜーます。ちひろおねーさんが出かけた後で床に落ちて……でも仁奈じゃ元の場所に戻せなくて……」

ちひろ「元の場所に戻せないのは仕方ないと思います。それでもスケジュールが見えるように壁に立て掛けてくれたことが嬉しいですから」

仁奈「ちひろおねーさん……」

ちひろ「さて、約束通りお土産買ってきました。ちょっと良いところのケーキですから皆で食べませんか?」

茜「ケーキですか!? じゃあお茶を淹れてきます!」

ちひろ「お願いします。仁奈ちゃんはお留守番頑張ってくれたから、好きなの二個選んでくださいね?」

仁奈「いいんでごぜーますか! ありがとーですよちひろおねーさん!」


ちひろ「ふふっ……私はコーヒーメーカーの所のミルクや砂糖を補充してきますから、先に食べててください」ナデナデ

仁奈「はーいっ!」ニコニコ

杏「……」

幸子「……」

仁奈「どれにしようかな~♪ ……あれ? 杏おねーさん達どうしたでやがりますか?」

杏「あ、いやなんていうか、仁奈ってすごいなと思って……」

仁奈「そんなことねーです! おねーさん達に比べたら仁奈なんてまだまだですよ!」

幸子「あと仁奈ちゃん、ちひろさんがお勉強って言ってましたけどあれは一体……」


仁奈「やっぱり最初はショートケーキが……え? あ、それはちひろおねーさんに仁奈の宿題を見てもらったことですよ!」

幸子「……え?」

仁奈「宿題で分からないところがあって、それをちひろおねーさんに聞いたら分かりやすく教えてくれたでごぜーます!」

杏「……うん、やっぱり仁奈ってすごいって。ちひろさんがあんなに優しくなるんだよ?」

仁奈「杏おねーさん、それはちげーでごぜーます!」

杏「違うって?」

仁奈「ちひろおねーさんが優しいのは、ちひろおねーさんが最初からとっても優しい人だからでごぜーます!」

〈終〉

仁奈ちゃんデレステにも登場記念
ところで誰ですか仁奈ちゃんのコミュ考えたやつは、ちひろさんもブッダになるぞあんなの(仁奈ちゃん七夕のころからやばくなってたけど)
読んでくださった方ありがとうございました

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