杏「花と雨宿り」 (45)
以前書いた
杏「何やってんの」 美波「え?」
杏「何やってんの」 美波「え?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446554343/)
に引き続き杏とCPクール組のお話です
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1447167778
~ある雨の日~
ザアアアアアアア・・・・
杏「くっそ~・・・・」バシャバシャ
杏「降水確率30%って言ってたくせに~」
杏「やっぱアレか・・・杏が珍しく外出なんてするからか・・・・・」
杏「とりあえずあそこの店で雨宿りさせてもらおう・・・・・」
~とある店~
杏「え~と・・・花屋さんかな?」
杏「すみませ~ん、少し雨宿り・・・・・」
??「いらっしゃいま・・・・杏?」
杏「あれ・・・・・凛ちゃんじゃん。」
凛「何があったの?」
杏「そっか~ここ凛ちゃんの家だったか~」
凛「うん、杏は何してたの?」
杏「気まぐれで外出なんてしたらこの有様だよ。」
凛「そっか・・・・だから雨が・・・・」
杏「やっぱそれ言っちゃう?」
凛「びしょ濡れだね、シャワー浴びてく?」
杏「いや、そこまで杏図々しくないし・・・・傘でも借りてとっとと退散しますよ・・・・」
凛「あ、そう・・・じゃあ・・・・」
??「あら凛、お客さん?」
凛「あ、お母さん。」
凛母「まぁ確かあなたは凛のアイドル仲間の・・・・双葉杏ちゃんね。」
杏「お、オジャマシマス・・・・」
凛「!?」
凛母「どうしたの?びしょ濡れだけど・・・・」
凛「傘持たないまま外出してこうなったんだって。」
凛母「まぁ!それは大変!すぐシャワー浴びてきなさい。」
杏「い、いえ大丈夫です・・・・傘さえ貸して頂ければ・・・・」
凛母「そのままじゃ風邪ひいちゃうでしょ、いいから入ってきなさい。」
杏「は、はぁ・・・・」
凛母「凛、杏ちゃんの着替え用意してあげてね。」
凛「うん、わかった。」
~風呂上がり 凛の部屋~
杏「ふぁ~生き返った~ありがとね。」
凛「どういたしまして。」
杏「悪いね~服まで貸してくれちゃって。」
凛「私の小学生の頃の奴だけど・・・・サイズは大丈夫?」
杏「ん、大丈夫、強いて言うなら胸の所がちょっとキツイかな~」
凛「嘘でしょ。」
杏「ハイ、嘘です。」
凛「それにしてもビックリだよ。」
杏「何が?」
凛「杏でも、かしこまったりするんだなって。」クスクス
杏「む~杏だってそのくらいはわきまえてるよ。」
凛「そうなんだ・・・・・」
杏「杏は凛ちゃんのお母さんにビックリだよ。」
凛「どうして?」
杏「杏が風呂入ろうとしたら「凛も一緒に入ってあげなさい」なんて言うからさ・・・・」
凛「まぁ心配だったんじゃない?私も杏は今でもシャンプーハット使ってたり、きらりに洗ってもらってるイメージあるからさ。」
杏「馬鹿にするなよー!」
凛「ゴメンゴメン。」クスクス
ガチャ
凛母「杏ちゃん、風邪とかはひいてない?」
杏「あ・・・はいおかげさまで・・・・」
凛母「それはよかったわ、今日はもう遅いから泊まっていきなさい。」
杏「そ、そこまでしてもらうのは悪いですよ・・・・」
凛母「もう杏ちゃんの分のご飯も作っちゃったから・・・・お父さんも帰ってきたし皆で食べましょう。」
杏「で・・・でも・・・・」
凛「杏・・・・もう諦めなよ。」
杏「・・・・・はい。」
~夕食後 再び凛の部屋~
杏「あ~美味かった。」グデー
凛「すっかり馴染んでるし・・・・」
杏「まぁいいと言われたらそれに合わせるのが杏だから。」
凛「そうだね、フフ・・・・」
凛「ゴメンね、杏が楽しめそうな物はなくて。」
杏「気にしなくていいよ、お構いなく。」
凛「そう・・・・」
杏「どうせ後は寝るだけだしね。」
ザアアアアアア・・・・
凛「雨、止まないね・・・・・」
杏「そうだね・・・・」
凛「・・・・・・・・」ハァ
杏「どうしたの?」
凛「いや・・・・・」
凛「雨を見てるとさ・・・・・嫌なこととかつい・・・・思い出しちゃってね・・・・」
杏「雨とニュージェネ・・・・確かにジンクスだよねぇ・・・・・」
凛「まぁもう大丈夫だけど・・・・」
杏「それは良かった。」
凛「・・・・・・」
凛「あのさ・・・・」
杏「何?」
凛「この際だから、杏に聞きたい事があって・・・・・」
凛「最初の雨の事件・・・・覚えてる?」
杏「ん?まぁ・・・・・」
凛「あの時・・・・私達は勿論、他の皆も不安に駆られてたって・・・・」
杏「そうだね・・・・・」
凛「でも・・・杏だけはいつも通りだったって、きらりが言ってたよ。」
杏「・・・・アイツ・・・余計な事を・・・・・」
凛「杏はあの時・・・・不安じゃなかったの?」
杏「別に杏には関係ない事だったしー」
凛「私達の事は?」
杏「まぁ一応は心配してたけど、まぁなるようになるかなって。」
凛「そ・・・・そう・・・・」
杏「それに、ここで潰れるなら、その程度の覚悟だったって事でしょ。」
凛「厳しいね・・・・」
杏「一応プロですから!」ドヤァ
凛「じゃあ・・・・プロデューサーの事も、卯月みたいに信用し続けていられたの?」
杏「杏は卯月ちゃんみたいに良い子じゃないからねー」
杏「まぁ、信用もしてなければ、疑ってもいない、半々かな。」
凛「半々・・・・」
杏「杏にとってはちゃんと稼がせてくれればそれでいいんだよ。」
凛「そう・・・・・」
杏「それに・・・・・アイツがどんなに失敗しても、どんなに醜態を晒そうとも・・・・」
杏「杏達のプロデューサーは、アイツしかいないんだからさ・・・・」
杏「杏達はそれについていくしかないんだよ。」
凛「そっか・・・・・」
杏「ま、それが気に喰わないなら、勝手にやめてもらってもいいけど?」
凛「う・・・・・」
杏「ま、あの件に関しては、アイツ口下手だったからさ・・・・いずれああいう事になるとは予想してたけどね・・・・・」
凛「え?」
杏「例えるなら、テストでいい点とれても、それを現実に応用できない、そんな感じの奴だし。」
凛「だったら・・・・」
杏「さっきも言ったでしょ、杏には関係ない事だって、それに・・・・・」
凛「それに?」
杏「ああいう事は、自分自身で乗り越えなきゃ、先に進めないと思うんだ。」
凛「・・・・・・・」
凛「・・・・・杏は強いね。」
杏「はぁ?」
凛「どんな時でもいつも通り振る舞える・・・・」
杏「・・・・・・」
凛「美城常務が来てからの・・・・色んなゴタゴタの中でも・・・杏は狼狽えなかった。」
杏「やることやってただけだよ。」
凛「私は・・・杏が羨ましい。」
杏「ついにそう来たか・・・・」
凛「どんな時でもぶれない、鋼の精神が。」
杏「褒めすぎだよ。」
凛「私はダメ・・・ちょっとした事で・・・すぐ壊れそうになる・・・・ガラスの心・・・・」
杏「凛ちゃんはイベントに恵まれすぎてたからね、仕方ないよ。」
杏「それに、杏はただの怠け者・・・憧れちゃダメだよ・・・・」
凛「ふーん、怠け者が困ってる仲間のフォローとかするの?」
杏「う・・・・」
凛「怠け者が・・・複雑な数式の計算を暗算で解けるの?」
杏「やめ・・・・」
凛「本当は・・・杏が最初から本気出せば・・・・今までの事もっと楽に解決できたんじゃないの?」
杏「やめてよ!」
凛「!?」ビク
凛「どうしたの・・・・?」
杏「ハァハァ・・・好き勝手言いやがって・・・・」
杏「さっきも言っただろ・・・・杏は関係ない事には手を出さない・・・・当人が解決しなきゃいけない事もあるって・・・・・」
凛「杏・・・・・」
杏「何でも・・・杏に押し付けるんじゃない・・・・こんな小さな体に・・・受けきれるわけないだろ・・・・」
杏「それに・・・もう一つ勘違いしてる・・・・」
凛「え?」
杏「杏は鋼の精神・・・そんな大それたもんじゃない・・・・」
杏「いつでもぶれない?どんな時でも狼狽えない?」
杏「そりゃそうだよ。」
杏「だって杏は・・・人間じゃないから。」
凛「え・・・・?」
杏「だってそうでしょ?普段は全く動かないで、仕事の時や身近の誰かが困ってる時だけ動く・・・・」
杏「そんなの・・・・杏がいつも持ってる人形と同じだよ・・・・」
凛「そんな・・・・」
杏「杏は・・・・・きっかけっていうネジを巻かないと動かない・・・・ブリキの人形・・・・」
凛「・・・・・・」
杏「そんなの・・・・・生きてるって言える?」
杏「杏の時計は・・・・最初から止まってるんだよ・・・・」
凛「違う!」
壁ドン!
杏「な・・・・・」
凛「ハァハァ・・・・・」
杏「・・・・杏、女の子に壁ドンされる趣味はないけど?」
凛「違う・・・・杏は人形なんかじゃない・・・・人間だよ。」
杏「はぁ?」
凛「いくらネジが止まろうと・・・・杏は生き続ける・・・・だって・・・・」
凛「杏のネジは・・・・私達がずっと巻き続けるから!」
杏「!」
凛「私達みたいな未熟者が周りにいれば、杏は止まる暇ないでしょ?」
杏「だから杏に押し付けるなって・・・・」
凛「勿論、巻きすぎだって言ってくれれば、止めればいい。」
凛「杏が困ってるなら・・・・ちゃんと聞いてあげるから・・・・」
杏「凛・・・・・」
凛「ずっと動いてるなら・・・・・ちゃんと不満も吐き出してくれるなら・・・・」
凛「それは、生きてる人間の証じゃない?」
杏「・・・・・」
杏「ったく、いつからポエム合戦になったんだよ・・・・」
凛「はは・・・・・」
杏「ん・・・でもありがとね、何かすっきりした。」
凛「そ、良かった。」
杏「・・・・・・」
ギュッ
凛「杏!?」
杏「ゴメン、しばらくこのままでいて・・・・・」
凛「うん・・・・・」
杏「うう・・・・・うええええん・・・・・」ポロポロ
凛「よしよし・・・・・」ナデナデ
凛「落ち着いた?」
杏「うん・・・・何とか・・・」グス
凛「フフ・・・・」
杏「もう・・・・どうすんだよこの空気・・・・」
凛「困ったね・・・・」
??「ワン!」ピョン
杏「わっ!」
凛「ハナコ・・・・」
杏「へぇこの子が・・・・って・・・」
ハナコ「ワンワン!」ペロペロ
杏「ちょ・・・・くすぐったいってwww」
凛「フフ・・・あ、そうだ。」
カシャ
杏「ちょ・・・・何撮ってんの・・・・」///
凛「犬と戯れる杏・・・あまりにもレアな光景だったから・・・・」
杏「おい!」
凛「フフフ・・・・」
杏「ハハハ・・・・もうしょうがないなぁ・・・」
凛「そろそろ寝よっか。」
杏「そうだね・・・」
凛「それじゃ・・・」
しぶあん「おやすみ~」
~夜中~
杏「ZZZ・・・」
凛「・・・・」ジー
凛(寝顔だけ見ると、本当に子供みたいだね・・・)
凛(こんな小さな体で、ずっと私達の事陰で見守ってくれてたんだね・・・・)
凛(これからは、私達も杏を見守っていくよ。)
凛(だから、今はおやすみ・・・・)
杏「う~ん・・・・じゃあもう働かなくていいのか・・・・」(寝言)
凛「それはダメ。」
~翌朝 快晴~
凛「いい朝だね。」
凛母「杏ちゃん、よかったらまたウチに泊まりに来てね。」
杏「はい!ありがとうございます!」
凛「ハハ・・・・全く・・・」
凛「あ、そうだ、杏に渡す物が・・・」
杏「何?」
凛「はいこれ。」スッ
杏「花?」
凛「マツバギクだよ、良かったら大切にしてね・・・」
杏「あ、ありがとう・・・・・」
杏「じゃ・・・もう帰るね。」
凛「うん。」
凛母「またね~」
杏「あ、そうだ凛ちゃん。」
凛「ん?」
杏「ガラスはガラスでも・・・壊れそうになっても何度も耐え抜いてきた・・・「防弾ガラスの心」も、悪くないと思うよ?」
凛「え・・・・」
杏「じゃあね~」タタタ・・・
凛「もう・・・・・ありがとね・・・・」
杏「はぁ・・・我ながららしくない事言っちゃったなぁ・・・」
杏「しかし花か・・・・」
杏「どこに飾ろうかな・・・」
杏「ん?待てよ・・・・」
杏「マツバギクの花言葉は確か・・・「怠け者」・・・・」
杏「ったく・・・・・あの野郎・・・・」
~おわり~
以上、周囲の環境に流されない人と周囲の環境に振り回されまくった人の会話でした
李衣菜編は思いついたら書きます
もしかしたらMJ編も・・・検討中です
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