女｢まあ、私は生えてなくて良かったわ｣

後輩｢と言いつつ、実は生えてなくて残念だったり？｣ﾆﾔﾆﾔ

女｢冗談もキツイわ、そういう頭の悪い流行には乗らないことにしてるのよ｣

女｢原因も分からない異常事態なのにお気楽過ぎる｣

後輩｢可愛いから良いじゃないですか｣

後輩｢それにみんな良いって言ってますよ？｣

女｢数が多ければ良いという理屈は思考停止に過ぎないわよ、気をつけなさい｣

後輩｢……先輩って本当に硬いですね……｣

女｢事実を客観的に言っただけよ｣

女｢とりあえず、伝染るかもしれないから近づかないでね｣

後輩｢ううう……酷いです……｣ｼｸｼｸ


――部室

女｢ふぅ……｣

女｢キノコ、ねぇ……｣

男｢キノコがどうかしたの？｣

女｢！｣ｶﾞﾀｯ

女｢お、男……今日は早いじゃない……｣

女｢……って……貴方にも生えてるのね、ソレ｣

男｢1つ前の授業が休講だったからね｣ﾆｮｷｰﾝ

男｢キノコは学校来てから生え始めたかな｣

女｢……本当に伝染るのね、ソレ｣

男｢みたいだね、原理分からないけど｣

男｢別段困らないし、それに流行っているみたいだから良いけどね｣

女｢けど、気持ち悪いし趣味が悪いわ｣

男｢そうかな……割といいと思ってたんだけどな……｣

女｢正気に戻ったほうが良いわよ、寄生されて脳細胞吸い取られているんじゃないかしら｣

男｢女さんも生やせば良さが分かるよ｣

男｢それに、その方がもっと可愛いよ｣

女｢ッ……あっそ……｣ｶｱｱｧ……

女｢きゅ、急な用事を思い出したわ……今日はもう帰るわね｣ｱｾｱｾ

男｢ん、そう？気をつけて帰ってね｣ﾆｺ

女｢……お疲れ様｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ


――自宅

女｢ただいま｣

妹｢あ、おかえりお姉ちゃん！｣ﾆｮｷｰﾝ

女｢……アンタもか……｣ｹﾞﾝﾅﾘ

妹｢そう！やっと生えたの！苦労したんだから｣

女｢自分から生えに行くなんて正気の沙汰とは思えないわね｣

妹｢だって、キノコ生えないとダサいもん！｣

女｢頭が沸いてるわね、高温多湿でさぞキノコが生えやすいでしょうね｣

妹｢もー!そういう事ばっかり言ってー！｣

女｢はいはい、悪かったわね｣

女｢趣味趣向は個人の自由だから好きにすればいいわ｣ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

女｢部屋に戻るわね｣

――自室

女｢”その方がもっと可愛いよ”か……｣

女｢……私には生えないわね……｣

女｢…………｣ｺﾞｿｺﾞｿ


妹｢お姉ちゃん、今良いー？｣ﾄﾝﾄﾝ

女｢え、あ、ちょ待っｔ｣

妹｢入るよー……何やってるの？｣

女｢こ、これは……｣ﾆｮｷｰﾝ?

妹｢キノコのレプリカ……だよね？｣

女｢そ、その……｣

妹｢ふーん……｣ﾆﾔﾆﾔ

妹｢あれだけ言ってたのに、お姉ちゃんもキノコ良いと思ってたんだ｣ﾆﾔﾆﾔ

女｢違うわ！別にキノコ自体が良いと思った訳じゃない！｣

妹｢じゃあ何なの？｣

女｢そ、それは……｣

女｢周りに生えてたし……生えてないほうがおかしいみたいに言うし……｣ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

女｢……それに、あの人に生えてたし……｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ

女｢けど私にはどうしてか生えないから……し、仕方なくよ！｣

女｢ただのレプリカなら危なくないし、調度良かったのよ！｣

妹｢ふーん……｣ﾆﾔﾆﾔ

女｢わ、笑うな！｣