千鶴「きょーちゃん」京子「ちづるん」 (49)
・京子と千鶴が小さい頃に出会っていたら、という捏造SSです
・設定上キャラの性格に違和感を感じるかもしれません
・かなりの亀です
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446339660
~図書室~
千鶴「……」ペラッ
京子「……」コソコソ
千鶴「………」チラリ
京子「………」コソコソ
千鶴「…………はぁ」パタン
千鶴「歳納、いるなら隠れてないで出てこい」
京子「はいっ!」ガタッ
京子「って、なんで私が隠れてるってわかったんだよ~」
千鶴「本棚の後ろに赤リボンつけた怪しい金髪がいて、しかも私のことをずっと見てるんだから気づかないわけないだろ」
京子「赤リボンつけた怪しい金髪が私とは限らないだろ! アニメ界には金髪赤リボンなんていくらでもいる!」
千鶴「私は現実にいる怪しい金髪赤リボンに心当たりがあったんだよ」
京子「えー、もしかして私のこと考えてたの-?」ニヤニヤ
千鶴「な、なんでそうなるんだ! 心当たりがあるって言っただけで、別にお前のことを考えてたわけじゃ…!」
京子「もーちづるん! お前じゃなくてちゃんとあのかわいいあだ名で呼んでよ-!」
千鶴「な、だ、だってここ図書室だぞ…! 人に聞かれたら恥ずかしいだろ……」キョロキョロ
京子「大丈夫だよ、今は図書委員の子も司書の先生もいないし。だからさ、ちづるんも、ね?」
千鶴「………というか、ごらく部にはいかなくていいのか? きょーちゃん」
京子「うん、今日は用事があるって結衣に言っといたから。早くちづるんに会いたくて猛ダッシュで来ました!」ブイッ
千鶴「だからちょっと汗かいてるのか……」
京子「そだよー、さあちづるん、ご褒美プリーズ!」
千鶴「ご褒美って今なんにも持ってないし…これくらいしか……」ナデナデ
京子「おお、ちづるんからの頭なでなで……歳納京子、昇天しそうであります…っ」
千鶴「そんな大げさな……」
京子「まあぶっちゃけ、ちづるんならなでなでしてくれるだろうなって思ってたよ!」
千鶴「…じゃあ最初からなでてって言えばよかったじゃないか」
京子「いやいや、ちづるんから自主的にやってもらうってのが大事なんだって」ニシシ
千鶴「……きょーちゃん、昔はもっとかわいくて素直な良い子だったのにな……。いったいどこで道を間違えたんだ」ハァ
京子「ちょっ、まるで今の私がかわいくないみたいな言い方やめて! そういうちづるんだって昔と比べたら全然違うじゃん!」
千鶴「こ、これはきょーちゃんとの約束を果たそうとしたらこうなったんだ!」
京子「方向性がズレてるよ!」
千鶴「きょーちゃんは変わりすぎてもはや別人だろ!」
ギャーギャーワーワー
………数分後。
京子「…そ、そろそろやめよっか……」ゼェゼェ
千鶴「そ、そうだな……」ハァハァ
京子「はあはあ……あーつかれた…」
千鶴「……きょーちゃん、体力がないとこは変わってないよな」フフッ
京子「これはもう仕方ないの…私、生まれつき身体が弱くて…ゲホッゴホッ」
千鶴「そんな小芝居はいらないから」
京子「んも~ちづるんったらクールなんだから~。昔のちづるんなら絶対に心配してくれたぞ!」
千鶴「昔のきょーちゃんは嘘つかなかったからな」
京子「そうでした!」
千鶴「まったく……」
京子「……それにしても、懐かしいなぁ。懐かしついでにラムレーズン食べたい!」
千鶴「意味がわからん」
京子「あ、今日は思い出話しようぜ! ちづるんと私の運命の出会い♡を語ろう!」
千鶴「…まあ、あの頃のかわいいきょーちゃんの話ならするよ」
京子「キョッピーは今でもかわいい!」
千鶴「自分で言うな」ペシッ
京子「あんっこれがちづるんの愛のムチなのね…♡」ポッ
千鶴「きょーちゃん、それはさすがに……」ヒキ
京子「ちづるんの冷たい目もなかなか……」ゾクゾクッ
千鶴「……本当に、あの純情だったきょーちゃんはどこへいったんだ……」トオイメ
〜9年前〜
千鶴(5歳)「でね、そのときネコさんが…」
千歳(5歳)「うん、……うん…」ボ-
千鶴「…? おねえちゃん? どうしたの?」
千歳「なんでも…あらへんよー……」バタッ
千鶴「おねえちゃん!? おねえちゃん! おねえちゃん!!!」ユサユサ
千鶴「うわーん! おかあさーん!!」
池田母「はいはーい…って千歳!? どうしたの!?」
千歳「……ぅ………」グッタリ
池田母「すごい熱……病院!」
千鶴「おねえちゃん、死んじゃうの!? やだやだぁ!」ウワ-ン
池田母「ちづちゃん、大丈夫だから落ち着いて。お母さんは今からちとちゃんを病院に連れて行くから、おうちでお留守番してて? できる?」
千鶴「う、ん…できる……」グスッ
池田母「良い子ね。じゃあ、ちょっと待っててね」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
千鶴「……まだかなぁ…」
池田母「ただいまー」ガチャ
千鶴「! おかえり!」
千鶴「おかーさん、おねえちゃんだいじょうぶだった……?」ウルウル
池田母「だいじょーぶ。インフルエンザっていうしんどい病気だけど、お薬を飲んでちゃんと寝てれば元気になるわ。今もほら」オンブ
千歳「ん…すぅ……」スヤスヤ
千鶴「そうなの…? よかった……」ホッ
池田母「…でもね、インフルエンザはうつる病気なの。近づいたらちづちゃんにもうつっちゃうの」
池田母「それに、うつしちゃったら大変だし、明日から行く予定だったおばあちゃんちにも行かないことにしたの」
千鶴「…そっか……しょうがないよね…」ショボン
池田母「……ねえ、ちづちゃん。おばあちゃんちに行きたい?」
千鶴「うん、行きたいけど…おねえちゃんがしんどい時に、わたしだけ楽しむのもいやだし……」
池田母「そっか。でもそのおねえちゃんがちづちゃんに楽しんでほしいって言ってたわよ?」
千鶴「え?」キョトン
池田母「病院に着いてから一度目を覚ましてね、最初の言葉がしんどいとかそういうのじゃなくて『千鶴をおばあちゃんちに行かしたって』だったの」
池田母「ちとちゃん、ちづちゃんがおばあちゃんちに行くのを楽しみにしてるのを知ってたから。自分がちづちゃんの楽しみを奪うのが嫌だったのよ」フフフ
千鶴「でも…やっぱりおねえちゃんも……」
池田母「それにね、ちづちゃん。おばあちゃんもちづちゃんとちとちゃんが来てくれるのを楽しみにしてるの。ちとちゃんが行けないのは残念だけど、せめてちづちゃんだけでも行っておばあちゃんを喜ばせてあげて?」ウインク
千鶴「おばあちゃんが…?」
千鶴「…………うん、わかった。おばあちゃんちに行く」
池田母「本当!? お母さんはちとちゃんの看病をしなきゃいけないからいっしょには行けないけど、楽しんで来てね!」
千鶴「え!? おかーさん来ないの!?」ガビン
池田母「あら、だってちとちゃん一人を置いて行けないじゃない」
千鶴「そ、そっか……でも、一人かぁ…」
池田母「大丈夫よ、だってちづちゃんはもう年長さんだもの」
千鶴「う、うん…」
池田母「おばあちゃんちに泊まるのは10日間。ちょっと長いけど、ゆっくりしておいで」
千鶴「うん…わかった!」
〜翌日、祖母の家〜
池田母「じゃあちづちゃん、お母さんはもう帰るけど、楽しんでね。おばあちゃんも、ちづちゃんのことよろしくね」
池田祖母「わーっとるわーっとる。ねーちづちゃん?」
千鶴「うん! ばいばい、おかあさん」バイバ-イ
池田母「バイバイちづちゃん。10日後に迎えに来るからねー」ブロロロ…
池田祖母「ちとちゃんによろしくねー! ……さてちづちゃん、おうちに入ろうか」
千鶴「うんっ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
池田祖母「それじゃおやすみ、ちづちゃん」
千鶴「うん、おやすみおばあちゃん」
千鶴「(けっきょく今日はほんとうに家でゆっくりしただけだったなあ……)」ウトウト
千鶴「(明日はおばあちゃんとおさんぽに行こう…来るときに車から見たけしきキレイだったし……)」ウトウト
千鶴「…………」zzz…
チチチ,チュンチュン
千鶴「…ぅ…ふああ…」ノビ-
千鶴「もう朝かぁ…」
ガチャ
池田祖母「おや、ちづちゃん起きたのかい。朝ごはんできてるよ」
千鶴「あ、おばあちゃんおはよう。すぐいくー」テテテ
池田祖母「ほらちづちゃん、ちゃんとお椅子に座って……はい、いただきます」
千鶴「いただきまーす」
池田祖母「ところでちづちゃん、今日はどうしたい?」
千鶴「今日はおばあちゃんとおさんぽしたいなあ」
池田祖母「そうかいそうかい。それじゃあ食べ終わったら行こうねぇ」
千鶴「うんっ」モグモグ
池田祖母「よく噛んで食べるんだよ」フフフ
千鶴「ごちそうさまでした!」
池田祖母「はい、ごちそうさま。ほら、おばあちゃんはお片づけしてるから、ちづちゃんは歯みがきとお着替えしといで」
千鶴「はーい」トトト
千鶴「はみがきはみがき…」
千鶴「上の歯、下の歯、前歯、奥歯……歯の後ろもわすれずに…」シャコシャコ
千鶴「がらがら…ぺっ」
千鶴「うん、キレイになった」
千鶴「次はお着替え……年長さんだから一人でできるもんね」ヌギヌギ
千鶴「ぬいだ服もちゃんとたたんで…」ヨイショ
千鶴「おばあちゃーん! 準備できたよー!」
池田祖母「あら、一人で全部できるなんてちづちゃんは偉いねぇ」
池田祖母「それじゃあ、行こうか」
千鶴「おっさんぽ、おっさんぽ♪」ルンルン
池田祖母「ちづちゃんはお散歩が好きなんだねぇ」フフフ
千鶴「うん! それに、ここはキレイで気持ちいいもん!」
池田祖母「そうだちづちゃん。この近くに大きな公園があるけど行くかい?」
千鶴「うん、いくいく!」
池田祖母「大きな滑り台もジャングルジムもブランコもなんでもあるからねぇ。そこだったら他にも子どもがいるから、お友達もできるかもね」
千鶴「へぇー、楽しみだなぁ」ワクワク
千鶴「(……ん?)」
千鶴「(……あっ)」ハッ
千鶴「(わたし、人見知りなんだった!)」ガ-ン
千鶴「(どうしよう、公園に行ってほかにも子どもがいても、仲良くなるどころじゃない!)」アワアワ
池田祖母「ん? ちづちゃんどうかしたかい?」
千鶴「な、なんでもないよっ」アセアセ
池田祖母「お友達ができたらおばあちゃんにも紹介してね」ニコニコ
千鶴「(はぅっ! ごめんねおばあちゃん、それはムリだよ……)」ショボン
池田祖母「さあちづちゃん、着いたよ」
千鶴「(もうついちゃった……こうなったら、覚悟をきめなきゃ…!)」
池田祖母「さ、行っといで」
千鶴「う、うん…!」
千鶴「(だいじょうぶ、これだけ大きい公園ならわたしが一人で遊んでても気にする人なんてそうそういない…)」テクテク
アハハ,ツギハアッチダ-
千鶴「(遊具もいっぱいあるし、一人でもじゅうぶん楽しめる!)」テクテク
ユイィ-ハヤイヨォ-
千鶴「(よし、まずは滑り台に)」ドンッ
???「いたっ」ドテッ
千鶴「あ、ご、ごめん、だいじょうぶ?」
???「あ、ぅ…うう……」プルプル
???「ふぇぇぇん……ゆいぃ…」ポロポロ
千鶴「えっ!? そ、そんなに痛かった!?」アセアセ
???「こらー! 京子をいじめるなー!」ダダダッ
???「おやびーん、待ってくだせぇー!」タタタッ
千鶴「え、え、え?」オロオロ
千鶴「(ど、どうしよう、仲良くなるどころかケンカになりそう…!)」
千鶴「(こ、こうなったら……)」
千鶴「ご、ごめんねー!」ダダダッ
千鶴「(にげるが勝ち!)」カッ
アッマテニゲルナ-!
ユイィ…
ア,キョウコダイジョウブ?
ウン…
キョウコチャンナカナイデ! ホラ,ハッパカメンダヨ!
千鶴「……いいなぁ」ボソッ
千鶴「あの子たちと会わないようにしなきゃ……」
千鶴「あっ、砂場だ……だれもいないし、ちょうどいいや」
千鶴「砂場なら、一人で遊んでても変じゃないもんね」
千鶴「まずは山を作って、穴をあけてトンネルにして……」
千鶴「こういうのは、得意だもん」
千鶴「……一人でも、平気だもん」グスッ
スナバデオシロツクロウゼ-
イイネ-ヤロヤロ
アレ,ダレカイルゾ?
ヒトリデアソンデル-ヘンナノ-
千鶴「……っ」ダッ
千鶴「(やっぱり、来なきゃよかったかな)」タッタッタッ
千鶴「(家にいれば、おねえちゃんだっていたし、こんなきもちにならなかったのに……)」タッタッタッ
池田祖母「おやちづちゃん、どうしたんだい? お友達とケンカでもしたのかい?」
千鶴「おばあちゃん……」ピタ
千鶴「…うん、ちょっとね、ケンカになりそうになったの」
千鶴「だから、今日はもう遊ぶ気分じゃないから、帰りたい」グスッ
池田祖母「……そうかい、それじゃあ帰ろうか。今日は美味しいご飯をいっぱい作ってあげるからね」ヨシヨシ
千鶴「うん…」グスン
池田祖母「大丈夫、ちづちゃんは優しくて良い子っておばあちゃんはわかってるからね。きっと仲良しになれる子もいるよ」
千鶴「でも、わたし人見知りだし……おしゃべりも苦手で、いっしょにいてもたいくつさせちゃうし…」
池田祖母「ちづちゃん、本当の友達っていうのはね、いっしょにいるだけで楽しいと思えるもんなのさ」
池田祖母「ちづちゃんだって、ちとちゃんといっしょにいて喋らなかったからって、つまらないと思ったことなんてないだろう?」
千鶴「それはそうだけど……」
池田祖母「まあ、友達作りは焦らなくてもいいから、自分を理解してくれる人を見つけて大事にしなさい。ちづちゃんが無理に合わせる必要なんてないんだからね」
千鶴「うん…」
池田祖母「それじゃあ、スーパーでお菓子でも買って帰ろうか」
千鶴「…うんっ」ニコッ
〜夜〜
池田祖母『自分を理解してくれる人を大事にしなさい』
千鶴「(わたしを理解してくれる人……そんなの、家族くらいしかいないよ……)」
千鶴「(……でも、いつまでもこのままじゃダメだよね)」
千鶴「(おねえちゃんの後ろからじゃなく、勇気をだして自分からいかないと)」
千鶴「(…明日も公園で友達になれそうな子をさがそう)」
千鶴「おやすみなさい……」
ジリリリリリリ!!
千鶴「うん…朝かあ」
千鶴「そうだ……きょ、今日こそ友だちを…!」
池田祖母「ちづちゃーん、ごはんできたよー」
千鶴「あ、はーい」トタタ
池田祖母「今日も公園に行くんだろ? ごはんをいっぱい食べて行きなさい」
千鶴「な、なんでわかったの?」
池田祖母「だってちづちゃん、寝言で『公園で……友だち百人…できるかな…』って呟いてたんだもの。本当は友達ほしいんだろ?」クスクス
千鶴「う、うん…(恥ずかしい…)」カァァ
千鶴「ごちそうさまでした!」タタタッ
池田祖母「歯磨きしてから行くんだよ」
千鶴「わかってるー!」シャコシャコ
千鶴「仕上げはおかーあさーん……はいないんだった」ガラガラペッ
千鶴「お口よし、かみの毛よし、あっボタンあいてた」イソイソ
千鶴「よし、準備できた! おばーちゃーん、いってきまーす!」
池田祖母「はいはい、いってらっしゃい。あんまり遅くなっちゃダメだよ?」
千鶴「うん、わかった!」ガチャ
千鶴「(今日こそは、友だちを!)」
〜公園〜
子どもA「はいたーっち! おまえが鬼ー!」
子どもB「くっそー! まてー!」
子どもC「鬼さんこちら〜♪」
千鶴「(自然に…自然に…)」コソコソ
千鶴「(仲間にいれてって言うだけ…かんたんかんたん……よしっ)」ドキドキ
千鶴「あ、あの、わたしもいっしょに……」
子どもB「おまえらまとめてつかまえてやるー!!!」
子どもA「あいつ本気だー!」
子どもC「にげろー!」
ワ-ワ-キャ-キャ-
千鶴「……あれ?」ポツ-ン
千鶴「し、しっぱいしっぱい! こんなこともあるよね!」
千鶴「……あるよね?」
〜二回目〜
マテ- キャ-キャ-
千鶴「わ、わたしも鬼ごっこ……!」
千鶴「あっ行っちゃった……」
〜五回目〜
モ-イ-カイ? モ-イ-ヨ-
千鶴「かくれんぼにまぜて、あっ待って!」
〜十回目〜
イ-ロ-ハ-ニ-ホ-ヘ-ト-
コッチガケイサツチ-ムデソッチガドロボウチ-ムナ!
千鶴「な、仲間にいれてください!」
千鶴「あ、始まっちゃってる……」
カ-カ-カ-アホ-アホ-
ア,ユウガタダ
イチヌケピ-ッ!
バイバ-イ,マタアシタ-
千鶴「……あ、もう夕方だ」
千鶴「(けっきょく、友だちになるどころか話すこともできなかった)」
千鶴「(みんなこの辺りに住んでる子だから、仲良しだし……わたしが入る場所なんてないんだ)」
千鶴「……帰ろ」トボトボ
千鶴「ただいま……」ガチャ
池田祖母「おかえりちづちゃん。友達は……できなかったみたいだね」
千鶴「………」
池田祖母「まあねえ、田舎は結束力が強いからねえ。固まってる子どもたちの中に飛び込むなんて、難しいよ」
千鶴「………でも」
千鶴「でも、おねえちゃんならできるよ。いつも、いつでも、おねえちゃんは誰とでも仲良くなれるもん」
千鶴「わたしに友だちができないのは、わたしがおくびょうだからだよ……」
池田祖母「……ちづちゃん」
千鶴「……今日は、もう寝るね。おやすみなさい」
池田祖母「………」
〜次の日〜
池田祖母「ちづちゃん、起きて」
千鶴「…んぅ…? どうしたの…?」
池田祖母「悪いんだけどねぇ、そこのコンビニで電池を買ってきてくれないかい? 時計が動かなくなっちゃってね」
池田祖母「おばあちゃん、今日は腰が痛くって歩くのが大変なんだよ」
池田祖母「お願いしてもいいかい?」
千鶴「うん、いいよ、すぐそこのコンビニだよね」
池田祖母「ありがとうねぇ、アイスも買っていいからね」
千鶴「ほんと? やったあ!」
千鶴「じゃあいってきまーすっ」ガチャ
池田祖母「いってらっしゃい。変な人にはついてっちゃダメだよ」
千鶴「わかってるー」タタタッ
千鶴「今日はいい天気だなあ」テクテク
千鶴「……あ、公園…」チラッ
千鶴「今日も、みんな遊んでる……」テクテク
千鶴「…………」タタタッ
千鶴「コンビニまで走ろう」タッタッタッ
アリガトウゴザイマシタ-
千鶴「おつかいかんりょーだっ」
千鶴「雪見だいふくっておいしいよね……ここで食べちゃえ」モチモチ
千鶴「おいし〜い♡」
千鶴「おばあちゃんの好きなハーゲンだぜは、なんでかラムレーズンっていう味しかなかったけど……」
千鶴「さて、あとは帰るだけ……」
千鶴「……また公園の前をとおるのか…」
千鶴「………おさんぽだから、とお回りじゃないもん」タッ
千鶴「あの公園のうらにこんなちっちゃい公園あったんだ」キョロキョロ
千鶴「ブランコ、ジャングルジム、滑り台、ベンチ……全部あっちの公園と比べたらちっちゃいや」
千鶴「……でも、人もいないし……“かくれが”ってやつ?」ガサガサッ
千鶴「…ガサガサ?」クルッ
???「………あ」
千鶴「………え?」
???「な、なんでここにも……」オロオロ
千鶴「え、ご、ごめん?」
???「ひぃっ……ご、ごめんなさい……」ウルウル
千鶴「な、泣かないで! えっと、あ、アイス食べる!? 雪見だいふくがあるから……」
千鶴「(って雪見だいふく食べちゃったんだった!)」ガ-ン
???「ふぇ……」ポロリ
千鶴「わわわ!? えっとえっと、あっハーゲンだぜは!?」
???「……!」パアッ
???「…い、いいの……?」オソルオソル
千鶴「うん、いいよっ(おばあちゃんのだけどしょうがないや)」
???「あ、ありがと…」
千鶴「(泣きやんでくれた……よかったぁ)」ホッ
千鶴「あ……ラムレーズンって味なんだけど、食べれる?」
???「ラムレーズン……?」
千鶴「うん、まずかったら残してくれてもいいからね?」ハイ
???「う、うん……いただきます…」パクッ
???「……!!!」
???「おいしい! これすっごくおいしいよ!」キラキラ
千鶴「ほ、ほんと? よかったぁ……」ホッ
???「あなたも食べてみてよ!」ズイッ
千鶴「う、うん」
千鶴「(そんなにおいしかったんだ…キャラ変わってる……)」
千鶴「(…あれ? これってよく考えたら間接キスってやつ……? ……まあいっか)」パクッ
千鶴「あ、ほんとだ、おいしいね!」
???「でしょでしょ! ……あっ、くれたのはあなたなのに、わたしのみたいに言っちゃった……ごめんなさい…」オドオド
千鶴「そんなの気にしなくていいよ、こんなにおいしい物を教えてくれたんだし」
千鶴「そ、それよりさ……もしよかったら、名前、教えてくれない…かな?」オソルオソル
???「あ……アイスもらったのに、名前も言ってなかったね……」
京子「わたしはとしのう京子っていいます。あの、あなたは…?」
千鶴「わたしは千鶴。池田千鶴っていうんだ」
京子「千鶴? きれいでかわいい名前だねっ」ニコッ
千鶴「そ、そうかな? 京子って名前もおしとやかでかわいいと思うよ」テレテレ
千鶴「それでその……できたら、わたしと友だちなってくれませんか…?」
京子「えっ……わ、わたしなんかと友だちになってもつまんないよ…?」
千鶴「そんなことないよ! としのうさんにはくりくりのまつ毛とかきらきらの目とかちっちゃい手とかかわいいところもいっぱいあるもん!」
千鶴「わたし、まだぜんぜんとしのうさんのこと知らないけど、としのうさんのこと好きになっちゃった」エヘヘ
京子「か、かわいくなんてないよ……////」テレッ
千鶴「ううん、としのうさんはかわいいよ。わたしだってかわいいかそうじゃないくらいはわかるもん。としのうさんは、とびっきりかわいい!」
京子「……じゃあ、名前でよんで…?」
千鶴「へ? 名前?」
京子「うん。友だちなら、名前でよんでほしい」
千鶴「そ、それじゃあ…!」
京子「こちらこそ仲良くしてね、千鶴ちゃんっ」ニコニコ
千鶴「う、うん! よろしく、京子ちゃん!」パアアッ
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