八嶋智人「復活トリビアの種!」高橋克実「765プロスペシャル!」 (144)

智人「トリビアがついに、帰って参りました」

克実「今回はトリビアの種、それも今話題の765プロを特集したスペシャルです!」

智人「今回はその765プロから、普段は事務員として裏方を支えつつ!」

克実「はい」

智人「アイドルのみなさんの事をよーく知っている人物、音無小鳥さんに来ていただいております」

克実「やった!」

小鳥「よろしくお願いいたします」

智人「ようこそトリビアへ」

克実「私、実は現役時代の小鳥さんのファンでして」

小鳥「本当ですか?」

智人「あ、音無さんはご自身も元アイドルでらっしゃるんでしたね」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446267728

克実「CDシングル、まだ持っております」

智人「シングル!」

小鳥「ありがとうございます!」

克実「良ければ後でサインを」

小鳥「はい。よろこんで」

智人「はいはいはいはい。公私混同はそのへんで。ところで音無さん、音無さんはテレビとかで見るアイドルの皆さんとは違う、普段の姿をよくご存じですよね」

小鳥「そうですね。みんなデビュー前からいっしょですし」

智人「今回はそのあたりも踏まえて、色々と解説をお願いいたします」

小鳥「はい。がんばります!」

克実「では最初の種を、さっそくお願いします」

智人「はい! えー……事前の募集にたくさんのメールやお葉書をいただいております。音無さん、高橋さん、八嶋さん、こんばんは」

克実「こんばんわ」

小鳥「こんばんわ」

智人「僕はアイドルの天海春香ちゃんの大ファンです。先日のドームライブも参戦しましたが、最速先行で申し込んだのにもかかわらず席は最後列でした」

克実「あらら」

小鳥「申し訳ありません」ペコペコ

智人「その時はすっごく落ち込んだんですけど、その時!」

克実「おっ」

智人「春香ちゃんのあの!」

克実「うん」

智人「セリフが頭によぎったのです……はい、音無さん」

小鳥「1番後ろの席まで、ぜーんぶ見えてるからねー!」

克実「似てる! すごい!」

智人「そこで思ったのですが、天海春香ちゃんは本当に1番後ろの席まで全部みえているんでしょうか?」

克実「この疑問、トリビアにするとこうなります」

智人「天海春香ちゃんはライブの時、んんっんっ番目の席まで見えている」


VTR

今回この実験にあたり、アイドルの天海春香さん本人に参加していただいた。


克実「本人!?」

智人「ご本人です」


今回の実験に向ける意気込みは?

春香「大丈夫です。自信ありますよ!」

根拠は?

春香「だって私は、天海春香だから!」

…………


克実「なんだかわかりませんが、とにかくすごい自信ですよね」

小鳥「春香ちゃんはああ見えて、やる時はやる娘ですから」

智人「期待が高まりますね」


今回の実験には西武ドームを使用。

春香「プロデューサーさん、ドームですよ! ドーム!」

ピッチャーマウンドから、ランドルト環を天海春香さんに見ていただき向きを判定していただく。

千早「プレイボール!」

克実「!? 今、チラッと映ったアンパイア。あれは……」

智人「お気づきになりましたか、高橋さん」

小鳥「千早ちゃんです」

克実「歌姫に、なにやらせてんですか!」

智人「実は如月千早ちゃん、天海春香ちゃんとは親友ということで。今回は自分から『春香のために何か力になりたい』と志願しての参加となっております」

克実「ほんとに!?」

小鳥「2人は、とっても仲がいいですからね」

智人「ちなみに、ノーギャラです」

克実「ええええええええええ!?」


最初はバッターボックスのランドルト環を判定していただく。
その距離、18.4404m。

http://i.imgur.com/HxdvNtP.png


春香「上!」

判定は。

千早「ットラーイク!」

正解。


克実「これ……千早ちゃん、要るかなあ」

智人「美しい! がんばる春香ちゃんと、それを支える千早ちゃんの友情。まことに美しいいい!!!」

小鳥「ええ!」

克実「えええーーーっっっ!?」


続いて、一塁ベースに置かれたランドルト環を判定していただく。
その距離、19.42m

http://i.imgur.com/TQn7493.png


春香「下!」

千早「アウト!」

正解。


克実「正解なのにアウトなんだ」

智人「ピッチャーマウンドに立っている春香ちゃんから見ての、一塁への判定ですから」

克実「あー。ピッチャーが一塁へ牽制した、的な?」

智人「そう!」

小鳥「春香ちゃん、がんばってー」


次に、二塁ベースに置かれたランドルト環を判定。
その距離、20.355m。

http://i.imgur.com/tdHZ0vs.png


春香「広島カー……右!」

千早「アウッ!」

正解。


克実「今……千早ちゃん、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』のポーズしてませんでしたか?」

小鳥「ノリノリね、千早ちゃん」

智人「意外にお茶目ですよね、如月千早ちゃんは」


次に、内野と外野の芝の境に置かれたランドルト環を判定。
その距離、28.955m。

http://i.imgur.com/FTFIwcX.png


春香「左!」

千早「アウトォ!」

正解。


智人「ここまですべて、正解です」

克実「何気にすごいですね」

小鳥「春香ちゃん、いい調子みたいです」

智人「ちなみに通常、視力検査は5メートル離れたランドルト環を見て判定します」

克実「これはほんとに、1番後ろの席まで全部見えてるかも知れませんね!」

智人「期待が高まってきました!」


次に、センター後方の外野フェンスに置かれたランドルト環を判定。
その距離、103.5m。

貴音「春香、がんばひなはい!」モグモグ

克実「あれえ? 今、外野席にいたのはもしかして……」

智人「お気づきですか!?」

克実「いやだって、あんな目立つ席でお弁当食べてたら気づくでしょう?」

智人「白銀の女王こと、四条貴音ちゃんです」

小鳥「今回は平行して、西武ドームの選手弁当を食べ尽くすという企画に参加してるんです」

克実「あー、なるほど。いや、お仕事にそつが無いですね」

小鳥「我が社のプロデューサーさん、優秀ですから」

智人「ちなみに」

克実「はい?」

智人「この貴音ちゃんのチャレンジの模様は、来週のこの時間! ごらんのテレビ局で放送予定です!」

小鳥「よろしくお願いします!」

克実「なんていうか、うまいなあ。そういうの」

智人「ありがとうございます」


センター後方の外野フェンスに置かれたランドルト環を判定。
その距離、103.5m。

http://i.imgur.com/TQn7493.png


春香「……上?」

判定は……

千早「……ホームラン」グルグル

春香「!」ガクッ

うなだれる天海春香さん。

その時!

P「その判定待ったあ!」ダッ


克実「? 今、ベンチから飛び出て来たのは……」

智人「めざといですね! 高橋さん」

克実「いやいやいや。今、アップになってたでしょ!?」

小鳥「我がプロダクションの、プロデューサーさんです」

克実「あー。あの有名な」

智人「普段は裏方ということで、あまりテレビには出演されないんですが、今回はどうしたんでしょうか?」

克実「え? これ、演出じゃないの?」


グランドに突如として現れたP氏。マイクを要求している様子。

P「えー、プロデューサーのPです」(半ギレ)

なぜかご立腹の模様。

P「春香は本番に強いタイプです。レッスンやリハーサルでは失敗することも、ままあります」


克実「そうなんですか?」

小鳥「そうてすね。普段は、ちょっとおっちょこちょいな面もあるんですよね。春香ちゃんは」

智人「でもそこが、春香ちゃんが親近感を感じさせてくれる、ひとつの魅力でもあるんですけどね」

克実「なるほど。確かに」


P「ライブの時は、確かに春香は一番後ろの席まで見えています。しかし今回の収録は、本番を再現しているとは言い難い! ライブの状況を再現した、再チャレンジを要求します!」


プロデューサーのP氏の意見を受け入れ、実験はやり直すことに。

急遽、西武ドームに観客に来ていただくことにした。


克実「え!? 急遽? お客さんを用意したの?」

智人「急いで集めました」

小鳥「大変でしたよね」

克実「ホントにやったの!?」


西武ドーム前では、グッズの販売を実施。

我那覇響「ペンライト、Tシャツ、タオルセット、限定CD共にすべて完売だぞー!」

\えー! そんなー! せっかくならんだのにー!/

大盛況の為にグッズはすべて完売。後日、完全受注制の物販を行うことを決定。

星井美希「ハラミットでネット通販できますから、よろしくおねがいしまーす、なの!」

克実「なんか、豪華な売り子さんじゃなかった!? 今!!」

智人「よく見てますね、高橋さん」

克実「いや今、滅茶苦茶カメラ目線だったでしょ!?」

小鳥「響ちゃんと、美希ちゃんです。2人とも、急遽やって来てくれたファンの方に何かしたいって言ってくれて」

克実「でもこれ、グッズの販売は必要ないんじゃないの!?」

智人「出来る限り、本番のライブに近づけるためですから」

小鳥「春香ちゃんも、こうした会場の熱気を控え室から感じていたみたいですね」

克実「あー、ライブの空気って意味で必要なことなんだ」

智人「当然です」


西武ドーム球場いっぱいに集まった観客。
その数、3万5千人。

入りきれなかった方の為に、新宿のカルト9で急遽ライブビューイングの開催も決定。

伊織「にひひっ! このスーパーアイドル伊織ちゃんと、春香を応援するわよー!」

やよい「いっしょに応援しましょー!」

\うおおおぉぉぉーーー!!!/


克実「ライビュまでやったの!?」

小鳥「お客さん役の方が、あつまり過ぎてしまって」

智人「急遽、会場をおさえました」

克実「これは必要ないんじゃないかなあ」

小鳥「ファンの方は、大事ですから」


西武ドーム球場いっぱいに集まった観客。
その数、2万5千人。

春香「みんなー! 今日は私のためにありがとーーー!!!」

\うおおおぉぉぉーーー!!!/

千早「まずは前座として、私の歌を聴いて下さい。――蒼い鳥」

\うおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!/


克実「これ、千早ちゃんノーギャラなんだよね?」

智人「ノーギャラです」

克実「割に合わないなー」


前座の歌も終了。
いよいよ天海春香の挑戦が始まる――

千早「春香……」

響「春香……」

美希「春香……」

伊織「春香……」

やよい「春香さーん……」

貴音「銀丼まこと美味なものです……あ、春香……」


春香「それじゃあみんな、聞いて下さい。『前向きで行こう♪』です」

\春香ちゃーーーんんん!!!/


春香「いつもの時間起きて♪ 同じ制服着て――」

先ほど失敗した、センター後方の外野フェンスに置かれたランドルト環を判定。
その距離、103.5m。

http://i.imgur.com/TQn7493.png


春香「下――」

千早「アウト!」

春香「――を見るよりも♪」

正解。


克実「えっ?」

智人「やった!」

小鳥「すごいわ、春香ちゃん」


続いて、バックスクリーンに置かれたランドルト環を判定。
その距離、116.5m。


智人「さあ、いよいよ最後列相当の距離です」

小鳥「春香ちゃん……がんばって」

克実「いやあの、さっきの判定は春香ちゃん歌ってただけじゃ……」


バックスクリーンに置かれたランドルト環を判定。
その距離、116.5m。

http://i.imgur.com/HxdvNtP.png


春香「上――」

千早「アウト!」

春香「――を見る方がいい♪」

正解。



こうしてこの世界に、また一つ新たなトリビアが誕生した。


『アイドル天海春香は一番後ろの席(116.5m相当)まで、全部見えている』サカナカ


克実「ちょっとお!」

智人「では音無さん。このトリビア、採点をお願いいたします」

小鳥「はい」

ポチッ

パタ……パタ……パタパタ……パタパタパタパタ……ジャジャーン!

『満開』

智人「満開です。満開をいただきました」

小鳥「これは満開の結果ですね!」

克実「いや、待って。待って下さいよ。今の、おかしくないですか?」

智人「と、おっしゃいますと?」キョトン

克実「今のは春香ちゃん、普通に歌ってただけじゃないの?」

智人「では、次の種です」

克実「えええええええ!? 無視なの!?」

智人「音無さん、高橋さん、八嶋さん、こんばんは」

小鳥「こんばんわ」

克実「……こんばんわ」

智人「えー私は萩原雪歩ちゃんの大ファンなんですが、雪歩ちゃんはとっても口が堅くて友達からは『石地蔵のお雪』と呼ばれているそうなんですね」

克実「石地蔵のお雪!? 本当に?」

小鳥「みたいですね。ファンの間でもこれは、そうとうマニアックな情報だと思うんですけど」

克実「初めて聞いたなあ」

智人「でもこの石地蔵のお雪というのは、実際どのぐらいの口の堅さなんでしょうか? これってトリビアになりませんか?」

克実「ほほう。これはちょっと面白そうですね」

智人「私も興味が出てきました」


克実「この疑問、トリビアにするとこうなります」

智人「萩原雪歩ちゃんこと石地蔵のお雪ちゃんの口の堅さのラインは、んんっんっまで」

VTR

今回の実験にあたり、765プロのみなさんに協力をお願いした。

真美「まっかせて→!」

亜美「ゆきぴょんを試してみちゃうよ→ん」

克実「音無さん。ゆきぴょん、と言うのは……?」

小鳥「あ、亜美ちゃんと真美ちゃんは、雪歩ちゃんの事をゆきぴょんって呼んでいるんですよ」

智人「いわゆるあだ名、ニックネームというやつですね」

克実「なるほどー。実は私、銀座のママさんたちからはカッちゃん、と呼ばれております」

智人「どうでもいい情報ですね」

双海真美さんには、亜美さんへの隠し事を雪歩さんに話していただき、雪歩さんが亜美さんにそれを話すかを実験。

真美「実はさ→ゆきぴょん」

雪歩「え? なあに、真美ちゃん」

真美「真美……実は亜美とホント→の姉妹じゃないんだ……」

雪歩「えっ!?」

真美「こないだ、パパとママが話してるの聞いちゃって→……」

雪歩「そ、そうなんだ」

真美「でも亜美とは今までホント→の姉妹としてやってきたし、これからも……ずっとそうでいたいんだ……」

雪歩「あ、う、うん」

真美「でも、自分だけホント→のこと知ってるのってなんか……不安で」

雪歩「それで私に?」

真美「うん……ゆきぴょん、このこと誰にもしゃべっちゃダメだよ?」

雪歩「うん……わかった。誰にも言わないよ」

真美「絶対だよ! じゃ、真美……レッスンに行くから」

雪歩「あ、行ってらっしゃい……」

バタン

五分後

亜美「ゆきぴょん、おっはよ→!」

雪歩「あ、おはよう亜美ちゃん」

亜美「あのさ→ゆきぴょん、真美さっきまでいたでしょ」

雪歩「あ、うん」

亜美「何か言ってなかった?」

雪歩「え? あー……ううん。別に」

亜美「ホント→に?」

雪歩「うん」

亜美「ホントのホント→に?」

雪歩「うんうん」

亜美「ホントのホントのホント→→にぃ!?」

雪歩「う、うん! ほんとのほんとだよ?」


結局、雪歩さんは亜美さんに真美さんから口止めされた事は話さなかった。
つまり――

萩原雪歩さんは、出生の秘密に関する事は口外しないという結論に達した。


克実「これ……雪歩ちゃんは、真美ちゃんの話を本気にしてなかったんじゃないかなあ」

智人「予想通り! 口が堅いですね、雪歩ちゃん」

小鳥「ええ!」

克実「ええー……またぁ?」


続いて三浦あずささんに、協力をお願いする。

あずさ「がんばりますね~」

あずさ「失礼するわね~」

雪歩「あ、あずささん。おはようございます」

あずさ「雪歩ちゃん、おはよう。今、ひとりかしら?」

雪歩「はい。千早ちゃんも、まだみたいで」

あずさ「ちょうどよかったわ。実は私、雪歩ちゃんに聞いてもらいたいことがあるの~」

雪歩「え? なんですか、あずささん」

あずさ「実はね、私~好きな人がいるのよ~」

雪歩「ええっ!? じゃあ、あずささん運命の人を……」

あずさ「そうなの~見つけちゃったみたいなのよね」

克実「音無さん、運命の人というのは?」

小鳥「はい。実はあずささんは、運命に導かれた人にいつか出会って結ばれると信じているんですよ」

智人「あずささんといえば765プロのアイドルでは最年長ですけど、結構そういう可愛らしい所があるんですね」

小鳥「あら、女性はみんなそうですよ? それにあずささんは特に、占いとかにも詳しいですし」

克実「そうなんですか」

智人「さあ、雪歩ちゃんはこのあずささんの秘密、黙っていられるのか……!」


あずさ「でも、このことはまだ誰にも黙っていてね」

雪歩「は、はい。でもあずささん、その人って……」

あずさ「いずれ……」

雪歩「……はい」

あずさ「近いうちに、雪歩ちゃんにも紹介してあげるわ」

雪歩「そうですか……はい」


小鳥「ここで竜宮小町としてあずささんのプロデュースもしている、秋月律子さんに登場してもらいます」

克実「お、今も時々ステージに出演もしている、プロデューサー兼アイドルのりっちゃん!」

智人「VTR……」

小鳥「回転」グルグル

五分後


律子「おはよう。雪歩」

雪歩「あ、律子さん。おはようございます」

律子「まだ千早は来てないのね」

雪歩「ええ。珍しいですよね」

律子「そうね。あ、それならちょっと相談があるんだけど……」

雪歩「?」

律子「最近……あずささん、ちょっと変じゃないかしら?

雪歩「!」

律子「なんだか少し……浮かれているというか、心ここにあらずって感じで」

雪歩「そ、そうですか?」

律子「ええ。雪歩、なにか知らない?」

雪歩「……いいえ」

律子「そう?」

雪歩「はい」

律子「そう、わかったわ。ところで雪歩、これ……なんだか知ってる?」

http://i.imgur.com/8yX4uXw.jpg

雪歩「? これ……ヨーロッパの農作業風景とかで見かけますね」

律子「ええ。スキって言うんだけどね」

雪歩「はあ……スキですか」

律子「ええ、スキ……ところで、あずささんの事なにか雪歩は知らない?」

雪歩「え? いいえ?」

律子「本当に?」

雪歩「え、ええ」

律子「そう、わかったわ。ところで雪歩、これ……なんだか知ってる?」

http://i.imgur.com/Fz2rlG4.png

雪歩「? これ、さっきと同じスキじゃないんですか?」

律子「そうなんだけど、さっきのよりも大きいでしょ?」

雪歩「あ、本当だ。比べてみると、大きさが全然違う」

律子「ええ。大スキって言うんだけどね」

雪歩「はあ……大スキですか」

律子「ええ、大スキ……ところで、あずささんの事なにか雪歩は知らない?」

雪歩「え? いいえ?」

律子「本当に?」

雪歩「え、ええ。私、なんにも知らないですよ?」

律子「そう」


結局、雪歩さんは律子さんにあずささんから口止めされた事は話さなかった。
つまり――

萩原雪歩さんこと石地蔵のお雪さんは、個人の恋愛に関する事は口外しないという結論に達した。


智人「雪歩ちゃん、律子さんの揺さぶりにも動じませんでしたね!」

小鳥「雪歩ちゃんは、本当に口が堅いですから」

克実「あれ、揺さぶりになってたの!?」


続いて、如月千早ちゃんに協力をお願いした――

――が

克実「なにかあったんですか?」

智人「えー、実は如月千早ちゃん、出演を渋っておられまして」

克実「そうなんですか? 春香ちゃんの時は、ノーギャラで自分から出てくれたのに」

小鳥「千早ちゃんは、過去にみんなに助けられたこともあって、すごく事務所の仲間を大切にしてるですよ」

克実「あ、そうか。今回のこれ、雪歩ちゃんを試してるわけだから、気が進まないのかな」

智人「そのあたりも、キチンと収録してますのでこちらをどうぞ」

小鳥「回転」グルグル

ディレクター(※以下、D)「と、企画の意図としては以上のようなわけでして。ぜひ、仕掛け人として如月さんにも参加をお願いしたい、と」

千早「気が進みません」

D「と、おっしゃいますと?」

千早「これってつまり要は、萩原さんを騙すってことですよね!?」

D「いえ、騙すと言うよりは試すというか……」

千早「そういうことを、私はしたくありません。765プロの仲間はみんな絆で結ばれた大切な存在です。試すようなまねはしたくありません」

D「普段そうやって真面目なイメージの如月さんに、ぜひ参加していただきたいのですが」

千早「お断りいたします」

D「そうですか……」


克実「あれ? 出演交渉は決裂ですか」

智人「さて、どうでしょう」

小鳥「続きをご覧ください」グルグル

D「ところで如月さん、この度は新曲が発売になったそうで」

千早「……どうも」

D「いや、私もちょっと試聴させていただいたんですが、いい曲ですよね」

千早「……ええ」

D「思わずその足で、CDを買いに行っちゃいましたよ」

千早「またそんな、調子のいいことを……」

D「いえいえ、本当ですよ。今もこうして持ってまして」

千早「あら……ありがとうございます」

D「良かったらサインを……お願いしたいんですけど……」

千早「……いいですよ」

3分後


D「いやホント、もうずっと前から千早ちゃんの歌声には注目してまして」

千早「やだもう、Dさんったらまたそんな」ニコニコ

D「本当ですって。歌姫って言葉は、この娘の為に用意されてたんじゃないかって、そう思っててね」

千早「もう、本当にお上手なんだから」ニコニコ

2分後


D「なんていうのかな、この千早と同じ時代に同じ空気で仕事の出来る誇らしさ、そして喜びね!」

千早「Dちゃん、褒めすぎよ。うふふふふふふ」

D「よっ! 歌姫!! ディーヴァ!!!」

千早「うふふふふふふふふふ」

1分後


D「ところでちーたん、今回のこのお仕事なんだけど……」

千早「あ、出る出る。出ちゃうわよ」

D「うーん。でもやっぱり、ちーたんが言ってたみたいに、事務所の仲間を騙すようなお仕事は、気が進まないんじゃないの?」

千早「あ、大丈夫、大丈夫。私たちはほら、お互いを信頼し合ってるから」

D「そうなの?」

千早「765プロの絆、ってそういうものなのよね~♪」



如月千早さん、出演決定


30秒後


D「それであの……ちーたん? ギャランティのことなんですけど」

千早「あ、いいですいいです。今回はほら、Dたんのために出ちゃうから」

D「そんな……悪いですよ」

千早「いいのいいの。気にしないで、私とDたんの仲じゃない」

D「ありがとう、ちーたん!」



如月千早さん、出演決定 (※ノーギャラ)



智人「えー。当番組のディレクターの熱意を受けて、千早ちゃん出演を快諾してくださいました」

克実「しかもまたノーギャラ? ちょろいなー!」

智人「スタッフの熱意に、千早ちゃんもうたれたようです」

克実「いや、今のは違うでしょー?」

小鳥「ではさっそく、実験です」グルグル

千早「おはよう、萩原さん」

雪歩「あ、おはよう千早ちゃん。今日はちょっと遅かったね」

千早「ごめんなさい……」

雪歩「あれ? どうかしたの?」

千早「この記事を見て」

雪歩「この雑誌、前にも千早ちゃんの過去を……えっ?」



『如月千早、バストサイズを詐称。実は71.5だった!』


千早「恐れていたことが……誰にも秘密だったのに……」

雪歩「え? これ、本当の事なの?」

千早「いつかバレるんじゃないかと……ううっ」

雪歩「だ、大丈夫だよ。0.5センチぐらい」

千早「この事……まだ誰にも黙っていてくれる?」

雪歩「え?」

千早「ちゃんと自分の中で整理して、いつか自分の口から真実を話すから……その時まで」

雪歩「あ、う、うん」

千早「ありがとう。この事は、萩原さんと私だけの秘密よ」

雪歩「わかった。誰にも言わないよ」

千早「ええ。じゃあ、私リハに行ってくるわ」

雪歩「うん。気にしちゃダメだよ」

ガチャッ

真「あー、おはよう雪歩」

雪歩「真ちゃん、おはよう」

真「雪歩、この雑誌なんだけどもう読んだ?」

雪歩「!」

真「特集組んで、千早のバストの詐称とか書いてあるんだけど、それってたった0.5センチのことなんだよねー。こんなの、特ダネとかおかしいよねえ。あはははは」

雪歩「真ちゃん」

真「え? なに、雪歩」

雪歩「そういう記事、相手にしちゃ駄目だよ? 千早ちゃんだって気にすると思うし」

真「あ……はい」


窘められた。


結局、雪歩さんはちーたんから口止めされた事は話さなかった。
つまり――

萩原雪歩さんこと石地蔵のお雪さんは、個人のバストサイズに関する事は口外しないという結論に達した。

克実「まあ内容はともかく、雪歩ちゃん本当に口が堅いですね」

小鳥「みんなも、雪歩ちゃんは優しいから信頼してますし」

克実「なるほど。これもう、なにがあっても雪歩ちゃんは誰かの秘密を喋ったりしないんじゃないですか」

智人「実は最後の大トリとして、スペシャルゲストをご用意しております」

克実「? 誰?」


高木社長「あー、失礼するよ雪歩君」

雪歩「あ、社長。おはようございます」

高木社長「ああ、おはよう。みんなは?」

雪歩「あ、今リハに……でも珍しいですね。社長が現場に来て下さるなんて」


克実「社長……って、もしかしてこの人が?」

智人「765プロダクション社長の、高木順二朗さんその人です!」

克実「私、初めてお姿を拝見しましたが……なんていうか、黒い人ですね」

小鳥「よく言われますね」

高木社長「ああ。実は……ぐうっ!」

バタッ

雪歩「え? あ、あの、社長!? どうしたんですか!?」

高木社長「ゆ、雪歩君……実は……私はもう長くないんだ……」

雪歩「ええっ!?」

高木社長「今も……病院から抜け出してきたんだ……」

雪歩「そんな、病院に戻った方が……」

高木社長「いや、病院は苦手でね……」

雪歩「でも!」

高木社長「こうしてみんなの輝いている姿を見てる方が、ずっといい薬だよ……はは」

雪歩「……」

高木社長「このこと、誰にも言わないでくれるかな」

雪歩「……わかりました」

高木社長「頼んだよ。じゃあ……」


バタン


P「雪歩、そろそろ出番が……」

雪歩「あ、プロデューサー。今、社長が……なんでも病院から抜け出したっておっしゃってて!」



しゃべった。




こうしてこの世界に、また一つ新たなトリビアが誕生した。

『アイドル萩原雪歩ことは石地蔵のお雪の口の堅さのラインは、生死に関わるセンまで』サカナカ


智人「では音無さん。このトリビア、採点をお願いいたします」

小鳥「はい」

ポチッ

パタ……パタ……パタパタ……パタパタパタパタ……ジャジャーン!

『満開』

智人「満開です。満開をいただきました」

小鳥「これは満開の結果ですね!」

克実「まあこれはわかりますよ。さすがに人の命がかかっていたら、雪歩ちゃんもしゃべっちゃいますよね」

智人「ちなみに」

克実「え?」

智人「今回の実験は雪歩ちゃんにはナイショで行っていたのですが」

克実「まあ、実験の趣旨からいって、事前に知らせていたらヤラセになっちゃいますものね」

智人「収録後に事情をお話しした所、大変ご立腹で」

克実「あらら」

小鳥「プロデューサーさんは、2日も口をきいてもらえませんでした。

※訂正

>>127



こうしてこの世界に、また一つ新たなトリビアが誕生した。

『アイドル萩原雪歩こと石地蔵のお雪の口の堅さのラインは、生死に関わるセンまで』サカナカ


克実「まあこれはしかたないですよね」

智人「今回は765プロスペシャルということでお送りいたしましたが、いかがでしたか音無さん」

小鳥「はい。久々の表舞台の収録で緊張しましたけど、楽しかったです」

克実「またぜひ、来て下さい!」

小鳥「よろこんで!」

智人「ではまたトリビアでお目にかかれる日まで、さようならー!」

克実「さようなら!」

小鳥「さようならー!」


お わ り

以上で終わりです。おつき合いいただきまして、ありがとうございました。

※訂正

>>52
×その数、2万5千人。
○その数、3万5千人。

お詫びして訂正いたします。

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