穂乃果「ロックマン!バトルオペレーション!セット!」ロックマン「イン!」 (318)

pipipipi pipipipi


ロックマン『穂乃果ちゃん!朝だよ!』


穂乃果「うぅーん……あと5分~……」Zzz


ロックマン『そんなこと言ってまた遅刻しちゃうよ!2年生になったばかりなんだからしっかりしないと!』


穂乃果「わかったよ……ロックったら海未ちゃんに似てきたんじゃない?」


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―――――――――
――――――
―――

20XX年
コンピュータネットワークが高度に発展し、ネットワーク技術が様々な分野に利用されるようになった

人々は【PET】(ペット)と呼ばれる携帯端末を持ち、そこに組み込まれた擬似人格型プログラム【ネットナビ】のサポートによって日常生活を送る時代である

しかし、ネットワークの高度化によってネット犯罪も増加し、ネット犯罪集団のばらまいたウイルスによる被害が身近なものとなっていた


ほのママ「きゃあ!!」


穂乃果・ロックマン『「!!」』

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穂乃果「お母さん!!どうしたの!!」


ほのママ「穂乃果、起きたのね……ガスコンロの火が急に強くなって……」


視線をキッチンのガスコンロに向けるとそこから勢いよく炎が上がっている

火力は徐々に強くなり放っておけば間違いなく火事になるだろう


穂乃果「あわわ、どうしようロック」


ロックマン『たぶんウイルスの仕業だね、穂乃果ちゃん家電のネットワーク回線にプラグインお願い!』


ネットワークの高度化によって電子機器、交通機関、教育、生活のあらゆるものがコンピュータによって管理させている

高坂穂乃果の実家、秋葉原の老舗和菓子屋【穂むら】も仕事場を除く生活空間の電子機器はネットワークにより管理されている


穂乃果「よーし!海未ちゃんとことりちゃんを待たせないようにチャチャっとウイルスバスティングしちゃおう!」

穂乃果「プラグイン!ロックマン.exeトランスミッション!!」

-穂むらの電脳-


ロックマンは無機質な空間に降り立つ
ここは穂むらの電子機器を管理する電脳空間

昔、科学者だったという穂乃果の父親が定期的にセキュリティの強化を行っているのだがそれでも時折今回のようにウイルスは侵入してくる


ロックマン(それにしても最近は頻度が多い気がする……私の心配し過ぎならいいけど……)


ロックマン「見つけたよ!メットールが2体!!穂乃果ちゃんオペレートお願い!」


普段ガスコンロの操作を行っているプログラムくんが空間の中央で2体のヘルメットをかぶったウイルスの攻撃を受けていた


穂乃果『これくらいなら朝飯前だね♪バトルチップ、スロットイン!《ワイドソード》!!』

穂乃果のPETにワイドソードと書かれたチップが挿入されるとロックマンの右手が変形し白い刃が形成されていく

ロックマンは既に駆け出しており、まるで打ち合せ通りのように敵に間合を詰めていた

そして、


一閃


刃が完全に形成されると同時に2体のウイルスは薙ぎ払われた


ロックマン「ナイスオペレーティング、穂乃果ちゃん!」

穂乃果『お疲れ様!ロック!ガスコンロの火も調整できるようになったみたい、プログラムくんは大丈夫そう?』


プログラムくん「アリガトウ ゴザイマス 」

プログラムくん「 スコシ ソンショウ シマシタケド ジコシュウフク カノウ ナノデ ダイジョウブ デス 」


ロックマン「だってさ」


穂乃果『OK!じゃあプラグアウトするね!』


-穂むら-


穂乃果「いや~一仕事したあとのパンは美味いっ!」


ロックマン『お手伝いしたから特別に朝ごはんがパンになって嬉しいのは分かるけど……そろそろ出発しないと二人との待ち合わせに遅れちゃうよ!』


穂乃果「本当だ!も~!もっと早く言ってよ!行ってきま~す!!」タタタッ

-――――――――
――――――
―――

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん!おっはよ~!」


海未ことり「「おはよう(ございます)、穂乃果(ちゃん)」」


海未「遅刻ではないですがギリギリでしたね。ロックマンがついているので寝坊ではないでしょうけど何かあったのですか?」


穂乃果「それが聞いてよ~!」カクカクシカジカ


海未「そんなことが……大事にならなくて良かったです」


ことり「穂乃果ちゃん昔からウイルスバスティング上手だったもんね~♪」


海未「その実力が学校の勉強にも現れればよかったのですが……」フゥ


ロックマン『私が強く言っても宿題ファイルを全く起動しないで遊びに行っちゃうことも多いし……』ハァ


穂乃果「うぐっ」


ことり「まあまあ二人とも、穂乃果ちゃんは良いことしたんだからその事は今はいいんじゃないかなぁ」


穂乃果「うわーん!穂乃果の味方はことりちゃんだけだよー!」ダキッ


ことり「ホ、ホノカチャン///」


海未「わ、私は穂乃果のためを思って言っているのに」ゴゴゴゴ


バブルマン『盛り上がってるところ悪いけどあと5分で学校の予令プク』


海未「はっ、二人とも急ぎますよ!」


穂乃果ことり「「うん!」」タタタッ

-音ノ木坂学院-


穂乃果「なんとか間に合ったね~」グッタリ


ロックマン『私も時間のことすっかり忘れてたよ』


海未「教えてくれたバブルマンに感謝しないといけませんね。ありがとうございます、バブルマン」


バブルマン『プク!海未ちゃんが遅刻しなくて何よりプク!穂乃果とことりはもっとボクに感謝するプクよ』


穂乃果「こいつ~生意気だなぁ~」ウリウリ


ことり「アハハ、海未ちゃんには凄くなついてるのにね」


海未「こら、バブルマン!二人とも仲良くしないと駄目ではないですか」


バブルマン『プクッ!?海未ちゃんゴメンプク~……』


pipipipi pipipipi


ロール『ことりちゃん!メールだよ!』

バブルマン『海未ちゃんにもメールプク~』


ロックマン『え、二人にもメールが?!』


pipipipi pipipipi pipipipi pipipipi


穂乃果「これって学院の生徒全員のPETにメールが送られてない?」


ロックマン『学院の専用回線から送られてきてるみたい、読みあげるね』


ロックマン『音ノ木坂学院生徒・保護者各位 【廃校】のお知らせ……って』


穂乃果海未ことり「「「廃校!?」」」


穂乃果「そ、そんなぁ~、私の輝かしい高校生活が~!」ガクッ

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――――――――――――
―――――――――
――――――
―――

-音ノ木坂学院2年生教室-


穂乃果「学校が廃校……学校が廃校……」ブツブツ


ロール『ロック、穂乃果ちゃん凄く落ち込んでるみたい……』


ロックマン『いや、これは多分……』


海未「勘違いしているんです」

ことり「穂乃果ちゃん、学校が無くなるにしても今居る生徒が卒業してからだよ?」


穂乃果「へっ?」

~放課後~


穂乃果「どうやら入学希望者が定員を下回らなければ廃校にはならないみたい!」

穂乃果「この学校の良いところをアピールして廃校を阻止しよう!!」


バブルマン『急に元気になったプク』


海未「良いところって例えば何処です?」


穂乃果「えっと、歴史がある!!」


海未「ええ……他には?」


穂乃果「他に!?…………ネット環境がある!!」


海未「それは何処でも同じです」


ことり「えーっと、さっきロールに調べて貰って部活動で少し良いところ見つけたよ!」

穂乃果「本当!!」


ロール『といってもあんまり目立つ活動はなかったの……』

ロール『最近は一番目立った活動と言うと……』ピッ


ことり「フットボム関東大会6位……」


バブルマン『微妙プク~』


ロックマン『あれってHPメモリの容量の関係で全くフェアじゃないんだよね……』


穂乃果「すばやくハンノウ!オして オして!奨励賞!!」


海未「もう一声欲しいですね……」


ロール『最後は……【オフィシャルネットバトラー】承認試験突破……って』

穂乃果海未ことり「「「ええぇっ!!!」」」ガタガタッ


【オフィシャルネットバトラー】
国が正式に認めたネットバトラーのことでありネット犯罪が発生した際に事件解決のためにネットバトルを行うことを特別に許可されているインターネットにおいての警察の役目を持つ者達

事件を解決するためなら立ち入り禁止の場所にも入れたり、現行犯での逮捕を可能とする

オフィシャルネットバトラーになるにはネットバトルライセンス試験でSランクライセンスを取ることが絶対条件であり非常に狭き門となっている


ロール『あっ、でもこれはあくまで噂らしいから学校のアピールにはつかえないね』


穂乃果「なーんだ……本当なら最高のアピールポイントだったのに」ガックリ


海未「まあ仕方ありません、仮に本当だったとしても公にはできなかったでしょうし……」


ことり「……家に戻ったらお母さんに聞いてもう少し調べてみるよ」


穂乃果「私、この学校好きなんだけどな……」

~帰り道~


穂乃果(楽しい学校……仲間たち……)


穂乃果(いつまでも続くと思っていた憧れの高校生活━━)


穂乃果(だから、おばあちゃんの代からあるこの高校が━━)


穂乃果(ある日突然なくなっちゃうなんて……そんなこと思ってもみなかったの)


穂乃果「なにかこうドーン!とアピールして生徒集める方法ないかなぁ~」


ロックマン『穂乃果ちゃん!!』


穂乃果「うぇ!?ろ、ロックマンどうかした!!」

ロックマン『今SNSで騒がれてる情報なんだけど、この場所の近くで異常に電子機器の火災が起きてる……』

ロックマン『今オフィシャルが対策にあたってるみたいだけど、この場所にいると穂乃果ちゃんにも危険が…「きゃあぁっっ!!!」


穂乃果「!?」


叫び声が聞こえた先には学校帰りによく海未やことりと寄り道する公園がある

穂乃果は考えるよりも先に走り出していた


穂乃果「お姉さんっ!大丈夫ですかっ!!熱ッ」


クレープ屋店員「ほ、穂乃果ちゃん!?」


そこでは顔馴染みであるお姉さんのクレープ屋の屋台が尋常ではない熱気を放っていた

小学生のときに海未の反対を押し切って幼馴染み三人ではじめて買い食いしたクレープ屋

そんな思い出がまた一つ失われようとしている


クレープ屋店員「急にホットプレートの温度が上がり始めたと思ったら屋台の機器が全部オーバーヒートし出して……このまま温度が上がったら……」


既に焦げ付いた臭いが辺りに漂い出していた


穂乃果「失いたくない……学校も、皆の思い出も!!」

穂乃果「迷ってる暇はない!ロックマン!今朝みたいに一気に終わらせるよ!!」


ロックマン『穂乃果ちゃん!待っ「プラグイン!ロックマン.exeトランスミッション!!」

-クレープ屋の電脳-


穂乃果『さ~て!悪さするウイルスは何処だー!!』


???「よぉ、随分威勢のいいガキが入ってきたじゃねぇか」


穂乃果『!?』


ロックマン「やっぱり……」


至るところに炎のデータが埋め尽くされた灼熱の電脳空間に存在したものは、バグの集合によって生まれたウイルスなどではなく……


両腕の銃口と頭部から紅蓮の炎を上げる赤い【ネットナビ】の姿だった


???「お前らもここで燃え尽きちまいな!」

穂乃果『なっなんで……ネットナビがこんな……』


わからない、ロックマンやロールといった善良なネットナビにのみ触れて育った穂乃果には人格を持ったナビの非道な行いに動揺を隠せなかった

その隙を敵は見逃さない、瞬時にロックマンに銃口を向け……


???「ファイアアーム」


ロックマン「ッ!!」バッ


反射的に横に跳んで攻撃を回避


ロックマン「うわっ……」


自分がたった今立っていたゲートは炎によって融解し破壊され1と0の羅列となっていた


ロックマン(あんなのまともに受けたら一溜まりもないよ……)

ロックマン「穂乃果ちゃん!!オペレートお願い!!!」


穂乃果『う……あ……』ガクガク


無理もない、普段授業や友達と遊びでやるネットバトルではナビの攻撃翌用プログラムやバトルチップの威力に制限が掛かるためナビは消去(デリート)されることはない

だが今は違う、制限の掛けられていない攻撃は容赦なくデータを破壊する


ロックマン「仕方ない、一旦プラグアウトして態勢を整えよう!」


穂乃果『わ、わかった……あれ、できない!?なんでぇ!?』


???「悪いがお前らがここに入ってきた瞬間この電脳にパスコードを掛けさせてもらった……強制プラグアウト・他インターネットからの侵入はできないぜ」


通常ネットナビを電脳空間からPETに戻す方法は二通り存在する

一つは強制プラグアウトによってどこからでも一瞬で抜け出す方法
もう一つは……

ロックマン(自分が入ってきたパネルゲートから直接プラグアウトする方法……だけど!)


先ほどの攻撃により無惨に破壊された、ゲートだったものがその方法も取れないことを物語っていた


ロックマン(事件の規模から見て人為的な犯行だとは薄々感じてたけど……攻撃と同時の脱出手段の破壊……いくらなんでもこうういった犯罪に慣れすぎてる!)

ロックマン(なんにせよここから出るにはあいつを倒さないといけない……そして、穂乃果ちゃんのオペレートを受けられない今は……)

ロックマン(手持ちのバトルチップデータで戦うしかないッ!!)


ロックマン「《ワイドソード》!!」


右手が刃に変形する、今朝使用したバトルチップの履歴から呼び出したため完全な状態ではないがこの際仕方ない


ロックマン(長期戦にならないうちに速攻で終わらせるッ!!)

一気に赤いナビとの距離を詰め切りつける

しかし、その刃がナビを捉えることはなかった


???「おいおい、遠距離武装の相手に《ワイドソード》一本で挑むのは悪手だろ」

???「一歩後ろに下がればここはオレの間合いだぜ」


赤いナビは切りつける瞬間を完全に見切りバックステップで後ろに距離を取っていた

体勢が崩れた今、次の攻撃を避ける術はない


???「フレイムタワ……」

「『そこまでだ』」


赤いナビによる止めの一撃はその一言によって阻まれた

この出会いが私たちの物語を大きく変えることになる

???『サーチマン、奴を撃退しろ《スコープガン》』


サーチマン「了解しました、英玲奈さま」


サーチマン「ターゲット…ファイアマン.exe」


サーチマン「ロックオン!」

ファイアマンと呼ばれた炎のナビの胸にカーソルのようなものが浮かび上がる

その刹那……十数発もの弾丸がカーソルの中心に寸分の狂いもなく撃ち込まれていた


ファイアマン「ぐッ!!……ぁッ!」

ファイアマン「オフィシャルか……?ここにはパスコードが掛けてあったはず……どうやって侵入しやがったッ!!」


ロックマン(それに……さっきから全く姿が見えない……いったい何処からこんなに正確な射撃を……!)

英玲奈『パスコード?あぁ、
あの程度ならサーチマンの情報処理能力を持ってすれば無いものと一緒だよ』

英玲奈『さて、お喋りもここまでだ……私も暇じゃないからな』


再びファイアマンの体にカーソルが浮かび上がる、両腕、両脚……見えない狙撃主の銃口は4ヶ所を同時に捉えていた


サーチマン「完全に消去はしない、お前のデータから調べることがまだ残っているからな」




???『ファイアマン、プラグアウト』

ファイアマンが電脳空間から姿を消す
何者かによってプラグアウトされこの場を逃れたらしい

それはこの声の主がファイアマンのオペレーターであり事件の首謀者であることを示している


???『へっへっへっ、やるじゃねえか…だが目的のデータは混乱に乗じて奪わせてもらったぜ』


英玲奈『……お前は火野ケンイチだな』


ヒノケン『もうそこまで調べがついてるのか、オフィシャルもなかなか優秀じゃねぇか』


みすみすデータの奪取およびナビの逃走を許したオフィシャルに対し火野と呼ばれた人物は皮肉で答えた

ヒノケン『どのみちここで宣言するつもりだったがまあいい、俺の名は火野ケンイチ……【WWW】(ワールドスリー)の幹部の一人だ』


英玲奈『ッ!!』


WWWという単語が出た瞬間、英玲奈の様子に動揺と推測通りというものが見られた


ヒノケン『英玲奈とサーチマン、しっかりと覚えさせてもらった……今回の借りは必ず返すぜ』


そう言い残すと火野の通信は途切れた

空間を埋め尽くしていた炎も消え、辺りは静寂が包み込んでいた

―――――――――
――――――
―――

事件のあと穂乃果は一人、呆然と公園のブランコに座っていた

幸い先ほどの事件での死傷者は0、屋台も一部の機器が破損しただけで失われることはなかった…


穂乃果(でも、私は何もできなかった……)

穂乃果(穂乃果が何も考えずに突っ走ったせいで、大事な友達…ロックマンまで失うところだった…)

穂乃果(こんなんじゃ廃校を阻止するなんて……できるわけないよ…)




英玲奈「なら、強くなればいい」


穂乃果「えっ……?」

英玲奈「大方、先ほどのネットバトルで何もできなかったことを悔やんでいたんだろう」


穂乃果「あなたは……?」


英玲奈「挨拶が遅れたな……私は統堂英玲奈、先ほどファイアマンと対峙したサーチマンのオペレーターであり」


英玲奈「【アイドルネットバトラー】だ」

穂乃果「アイドル……ネットバトラー……?」


聞きなれない単語に穂乃果は呆気にとられる


ロックマン『穂乃果ちゃん!助けてもらったんだからまずお礼しないと!!』


穂乃果「はっ!!さっきは危ないところを助けていただき、ありがとうございましたッ!!」フカブカー

穂乃果「私っ!なんにもできなくってッ!!ロックまで危険な目に会わせてっ!」グスグス

英玲奈「確かに自らの力量を見誤り、むやみやたらと首を突っ込む行為は褒められたものではない」

英玲奈「だが私は、そういうの嫌いじゃないよ」クスッ


穂乃果「えっ……」グスッ


英玲奈「……これから近いうちにまた今回のような事件がまた起こるかもしれない」


穂乃果「そんな……」


ロックマン『……』

英玲奈「私たちはこれからも奴らと戦い続けるだろう……人々が安心して生活できる日々を守るために」

英玲奈「君たちにまだ戦う意思が…守りたいものがあるのなら、次の戦いに備えておくといい……」


pipipipi


サーチマン『英玲奈さま、オフィシャル本部より【A-RISE】に招集がかかりました』

英玲奈「すまないが私はこれで失礼する…君はまだ強くなれる…その勇気に力がともなえば、どんなことでも叶えられるさ」


そう言うと英玲奈は秋葉原の市街地の方へと歩き出した


穂乃果「あのっ、私っ!やりますッ!!今度は誰も悲しませないように……沢山の人の笑顔を、皆を守れるように……やるったらやる!!」


英玲奈は満足そうに微笑んだがそれを見たものはいなかった
ただ一人を除いて、

~公園の木の影~


「音ノ木の生徒が巻き込まれたって聞いて心配で来てみたけれど英玲奈っちに任せて問題ないみたいやね」

「完敗からのスタートか……」

「」シュピ

「THE FOOL……愚者の正位置、意味は変化、始まり、そして……」


「可能性」


「ウチとブルースを失望させないでね。高坂穂乃果ちゃん♪」

~穂むら~


穂乃果「よ~っし!やる気出てきた!!」


ロックマン『いつもの調子に戻ったみたいだね』


穂乃果「次の事件も心配だけどいつ来るかは分からないし、とにかく今は学校の生徒を集める方法を考えなくっちゃ!」


ロックマン『う~ん、とりあえずこの辺りで一番人気の学校について調べてみよっか!』


穂乃果「じゃあ穂乃果のパソコンからプラグインして秋葉原スクエアに向かおっか!」

―――
――――――
―――――――――

-秋葉原スクエア-


ロックマン「久しぶりに来てみたけどやっぱり人が多いねぇ」


ここは秋葉原スクエア、インターネットの秋葉原エリアの中心に位置している

イベント、催し物が数多く開かれるほかバトルチップやサブチップのショップなどが出店している

また、ウイルスに対するセキュリティが万全に整っているため人々の交流・情報交換などもここで行われることが多い

今回秋葉原一番人気の学校の情報を得るために、穂乃果とロックマンが目指しているのは……


穂乃果『あった!電脳掲示板!!』


ロックマン「とりあえず最近立てられたスレをいくつか表示するね」

ウイルスバスティング総合part8029(486)
仕事から帰ったら家が燃えてた……(49)
【アイドル】A-RISE総合part236【ネットバトラー】(732)
【悲報】音ノ木坂学院廃校(71)
来年UTX学院倍率ヤバない?(125)
今年のN1っていつやるか決まった?(2)
【クソコテ】コーエツ兄さんアンチスレ【知ったか】(97)
チップトレーダーにエリアスチール*飲まれた……(10)
正直秋葉原近辺の高校ってUTX一強じゃね(56)
【伝説】ミナリンスキー総合part2【メイド】(181)


ロックマン「こんなところかな」


穂乃果『はぇ~!どれから見たらいいんだろう?』


ロックマン「音ノ木が廃校になるかもしれないこと、もう噂になってるね……ここら辺だとUTXっていう学校が一番人気みたい、開いてみるね」

正直秋葉原近辺の高校ってUTX一強じゃね
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1 名無しで叶える物語(さくらんぼ) 
A-RISE人気が異常過ぎる

2 名無しで叶える物語(笑) 
確かに勢いはすごいけど金持ちしか行けない

3 コーエツ(北陸) 
やあみんな、コーエツ兄さんだよ!
みんなはアライズって知ってるかな?
オフィシャルネットバトラーでありながら名前を公表して活動することが出来るアイドルネットバトラーのユニットなんだ!ちなみに一推しはあんじゅちゃんかな?なんといってもあのスタイルとおっとりした性格が魅力的だからね

4 名無しで叶える物語(禿) 
>>3氏ね

5 名無しで叶える物語(茸) 
>>3こいつどこにでも現れて笑う

ロックマン「どうやらA-RISEっていうアイドルネットバトラーが人気らしいね、専用のスレの勢いも凄いよ」


穂乃果『A-RISEってどこかで聞いたような…あとアイドルネットバトラーも英玲奈さんに聞いたけどよく分からないんだよね~』


『はぁ!?アンタそんなことも知らないの!?』


穂乃果『ひぃ!!すみませぇん!!』ビクッ


突然隣から話しかけられ思わず謝る
隣に視線を移すとそこには……




全身ピンク色にカスタマイズされたプログラムくんがいた

穂乃果(えっ!?なんでこの人プログラムくんでネットしてるの!?)


『アイドルネットバトラーっていうのはね!最近急増するネット犯罪の抑止力とするために素性を明らかにしてPR活動をすることを許されたネットバトラーのことを言うのよ!』

『活動自体はBランクライセンスを持った市民ネットバトラーからできるんだけど……なかでもA-RISEはメンバー全員がSランクライセンス以上のオフィシャルネットバトラーなんだから!!』

『【機械仕掛けの軍人】統堂英玲奈に【道化師】優木あんじゅ、そしてなんといっても圧倒的カリスマを持ったA-RISEのリーダー!!!』



『【ウラの王】綺羅ツバサ』



『聞いたことないのぉ?』フン

プログラムくんのオペレーター(?)の怒濤の説明ラッシュに穂乃果とロックマンは萎縮する


ロックマン(でも知りたい情報はほとんど聞けちゃったな…)


穂乃果『あ、ありがとうございます!穂乃果、こういうことに疎くって……』アハハ


『常識よ!じょ・う・し・き!!』


穂乃果『ところで……何でネットナビでインターネットを使ってないんですか……?』


『……』

『……ぃ…………のよ……』ボソッ


穂乃果・ロックマン「『えっ??』」

『だ~か~らぁ!!言うこと聞かないのよッ!!アイツはッ!!毎日毎日好き勝手にフラフラさまよってッ!!!』



『……もう私は帰るわ、悪かったわね初対面なのに勝手に色々話しちゃって』


穂乃果『い、いえ!そんなこと…教えてくれて助かりました!』


じゃあね、と言い残すとピンク色のプログラムくんはプラグアウトして姿を消した

ロックマン「なんか凄い人だったね……」ハハ


穂乃果『うん……』

穂乃果(でもオペレーター無しでインターネットを自由に行動するナビって……海未ちゃんのバブルマンみたいな自律型ネットナビなのかな……?)


そしてこのとき、私のなかで最高のアイディアがひらめいた!


穂乃果『【アイドルネットバトラー】、これだ……見つけた!!!』

翌日

~音ノ木坂学院2年生教室~


穂乃果「見てみて!アイドルだよ、アイドル!!」


海未ことり「「?」」


昨日の同時多発火災事件に巻き込まれたと今朝聞かされ、心配していた幼なじみを余所に、穂乃果は爛々と自身のPETにデータを展開する


穂乃果「こっちは大阪の高校で、これは福岡のアイドルネットバトラーなんだって!!」


ロックマン『アイドルネットバトラーって最近どんどん増えてるらしくって……人気の子がいる高校は入学希望者も増えてるらしいんだ』


穂乃果「それで私、考えたんだ!」

穂乃果「あれ……?」


海未「」コソコソ


穂乃果「海未ちゃん!!まだ話終わってないよ!!」


海未「私たちでアイドルネットバトラーをやるとか言い出すつもりでしょう?」


穂乃果「はっ!?海未ちゃんってエスパー!?」


バブルマン『誰でも想像つくプク……』

穂乃果「だったら話は早い♪今から先生のところに行ってアイドルネットバトル部を……」


海未「待ってください!市民ネットバトラーになってインターネットの治安を守るという事には私も賛成です、ですが……」

海未「アイドルは無しです!!見ず知らずの方に素性を明かすなんて……恥ずかしぃ……///」


ことり「でも……海未ちゃんってネット社会で今どき珍しい大和撫子だってこの辺りじゃかなり有名だよ?」


ロール『音ノ木坂ウラインターネットじゃあ1年生のファンクラブまであるらしいし……』


穂乃果「な~んだ!じゃあ問題ないね♪早速先生のところに行って申請書貰ってくる!!」スイ~スイ~


海未「あっ穂乃果!!待ちなさいッ!!あぁ……」ガク


ことり「凄い速さ……高校生にもなってローラー付きの靴を履いてる女子高生ってたぶん穂乃果ちゃんだけだね……」

~生徒会室~


生徒会長「……これは?」ジロッ


穂乃果「アイドルネットバトル部、設立の申請書です!!」


生徒会長「それは見れば分かります」


穂乃果「では、認めていただけますね!」


生徒会長「いいえ……部活は同好会でも最低5人は必要なの」


穂乃果「えっ……」


海未「ですが……校内には部員が5人以下のところも沢山あるって聞いてます!」


生徒会長「設立したときは、みんな5人以上いたはずよ」


副会長「……あと2人、やね」


穂乃果「あと2人……分かりました!行こう……」




生徒会長「待ちなさい」

穂乃果「え……」


生徒会長「どうしてこの時期にアイドルネットバトル部をはじめようと思ったの?あなたたち2年生でしょう?」


穂乃果「廃校をなんとか阻止したくって、アイドルネットバトラーって今すごい人気なんですよ!だから……」


生徒会長「だったら……例え5人集めてきても、認めるわけにはいかないわね」


穂乃果海未ことり「!?」


穂乃果「どうして……?」


生徒会長「部活は生徒を集めるためにやるものじゃない」

生徒会長「思いつきで行動したところで、状況は変えられないわ」


穂乃果「う……」


生徒会長「変なこと考えてないで、残り2年自分のために何をするべきか……よく考えてみるべきよ」

~校門前~


ことり「……がっかりしないで!別に穂乃果ちゃんが悪いわけじゃないんだから!」


穂乃果「うん……」


海未「生徒会長だって……気持ちは分かってくれているはずです」


ロール『でも……部活として認めてもらえないとアイドルネットバトラーとして活動できないし……』


バブルマン『部室もないプク……』


ロックマン『当面は部員の勧誘と市民ネットバトラーを目指してライセンス試験を受けていくしかないね……』


穂乃果「よし!悩んでても仕方ない!やることは決まったし、明日に向かって進むよ~!!」

~生徒会室~


副会長「……さっきの、誰かに聞かせたいセリフやったなぁ」


生徒会長「……いちいち一言多いのよ、希は……//」


希「それが副会長の仕事やし♪絵里ち、後輩をあまり怖がらせたらあかんよ?」ウフ

希(……あと2人か……)

希(……でも運命の神様はそれじゃ満足してくれないかも♪)

希「……その前にもう一波乱ありそうやね」ボソッ


絵里「……希?」


希「ん……なんでもない♪」

数日後……早朝

-オフィシャルスクエア-


ロックマン「勇気のデータと希望のデータ見つけてきたよ!」


ライセンス試験官「ヘエ!2つを持って来ましたね!」

ライセンス試験官「では約束通り【サブライセンス】をお渡しします」


オフィシャルスクエア……秋葉原エリアから繋がるインターネットスクエア

オフィシャルセンターが管理しておりオフィシャルネットバトラーの試験を行っているほか、人々の依頼が集まる依頼掲示板が設置されているなどインターネットのよりよい環境づくりを目指した活動が行われている


穂乃果『やったねロック!これで残るは海未ちゃんとバブルマンだけ……』


ことり『最初の課題は簡単でよかったよぉ……いきなり実戦だったら私、ちょっと自信なかったんだ……』


ロール「頑張ろうね!ことりちゃん!私もバトルはそんなに得意じゃないけど……きっとロックたちについていってみせるわ!」

ー秋葉原エリアー


海未『なぜなのです……先程からバブルマンが見つけるデータは勇気のデータばかり……これでもう10個目です……』


バブルマン「お、おっかしープクねー」

バブルマン(海未ちゃんには悪いけどボクはネット犯罪に首を突っ込むなんてまっぴらゴメンプク!)

バブルマン(見つけた希望のデータは全部スルーしてこのまま時間切れを待つプク!)




『ど……どうしよう……凛ちゃん、プラントマン……ぜんぜん勇気のデータが見つからないよぉ……』

『う~ん、これ絶対バグだよ!!試験官に抗議してくるにゃ!行こう!サンダーマン!!かよちん、ちょっと待っててね!』


声のする通路の先を見るとそこには、頭部の避雷針、背にした8つの太鼓のようなユニットがさながら雷神を彷彿とさせるナビと朝顔を模した頭と体から伸びた茨が特徴的なナビが並んでいる

どうやらこのナビとオペレーターもサブライセンスの試験を受けている真っ最中のようだ


サンダーマン「落ち着け、凛……」


凛『にゃにゃ!?』


プラントマン「花陽も、まぁ焦らずに先急ぐ花は散るのも早いよ」


花陽『う……うん!』


サンダーマン「恐らくこの状況……ウラで勇気のデータの独占をしている者がいる……」


プラントマン「…………どうやらそのハンニンも見つかったようだよ」


プラントマンと呼ばれたナビがそう言うと彼女らの視線はバブルマンに集中する


バブルマン「……プク?」

凛『あ~っ!!あのちんちくりんのナビ、勇気のデータめちゃくちゃ持ってるにゃ!!』


花陽『もしかして……悪いナビ!?ど、どうしたらいいのぉ!』カミサマタスケテー


バブルマン「海未ちゃん……何かとてつもない勘違いをされてる気がするプク……」


海未『……奇遇ですね、私もです』


凛『サンダーマン!先制攻撃だよ~!バトルチップ!スロットイン!《ラビリング》』


サンダーマン「神の裁きを受けよ!!」


海未『ッ!!バブルマン!!避け……』


まさに光速

サンダーマンの手から打ち出された光輪は反応する隙すら与えずバブルマンに着弾した


バブルマン『シ……シビレるプク……』ビリビリ


花陽『ご……ごめんなさいっ、プラントマン……ツタで拘束してっ!』

プラントマンの腕の茨が地面を突き刺すとバブルマンの立っている地面がひび割れ、ツタが飛び出す

2体のナビ……いや、オペレーターの完璧なコンビネーションにバブルマンは一瞬で無力化されてしまった


プラントマン「……これでよし」


凛『やった!凛たちの必勝パターンに入ったにゃあ♪』


海未『ま、待ってください!私たちは故意に勇気のデータを集めていた訳ではありません!どうか話を聞いてください!』


花陽『えっ……』

―――
――――――
―――――――――

凛・花陽『『ごめんなさいっ!!』』


海未『いえ、幸いバブルマンも痺れただけでダメージも殆どありませんでしたし……不本意とはいえ勇気のデータを独占してしまっていたのも事実、こちらこそ申し訳ありませんでした』


サンダーマン「済まなかった……ワタシが善と悪を間違えるとは……ワタシも戦士としてまだまだだな……」


プラントマン「本当にケガは無いのかい?」


バブルマン「いや、もういいんだプク……」

バブルマン(本当はわざと勇気のデータを集めてたなんて絶対に言えないプク……)アセ


海未『やりました♪バブルマン、2人が余分に持っていた希望のデータと勇気のデータを交換してくれるそうですよ!』


バブルマン(これならはじめから真面目に集めてればよかったプク……)

ーオフィシャルスクエアー


ライセンス試験官「確かに勇気のデータと希望のデータ……それでは、あなた方3人にも【サブライセンス】をお渡しします」


花陽『や、やったぁ!』


凛『これで市民ネットバトラーに近づいたにゃ!』


海未『少々時間が掛かってしまいましたが無事合格できました。バブルマン、信じていましたよ!』


ライセンス試験官「それでは今回のサブライセンス試験を終了とします!」

ライセンス試験官「サブライセンス取得者には次のBランクライセンス試験の日程が決まり次第、お手持ちのPETにメールをお送りします!」

穂乃果『もう!海未ちゃん!時間掛かりすぎだよ~!』


ことり『もう走って行かないと遅刻しちゃう!』


海未『そんな時間なのですか!?あなた方、自己紹介することも出来ず申し訳ありません……』


花陽『じゃあまた今度ゆっくりお話しましょう!わ……私たちもきっと次の試験で一緒になると思いますから……』


凛『かよちん!遅刻しちゃうよ~!』


海未『それでは失礼いたします……』


『『『『『プラグアウト』』』』』

~音ノ木坂学院2年生教室~


ことり「ま、間に合ったぁ!」


ヒデコ「あっ、ことりちゃんたち!おはよー」


ミカ「ギリギリだったね~、そういえば今日から新しい先生が来るらしいよ!」


穂乃果「新しい先生?」


フミコ「あっ……先生たちが来たみたいだよ」


海未「とりあえず席に着きましょうか」

―――
――――――
―――――――――

ーホームルームー


山田先生「……というわけで、彼が日暮闇太郎先生だ」

山田先生「今日から2週間、このクラスの副担任として教育実習をすることになってるからまぁ宜しく頼む」


ヒグレ「日暮でマス、趣味はバトルチップ集めでマス」

ヒグレ「みなさん情報交換をしようでマス」

ヒグレ「特にレアチップを持ってる人!僕に一声かけて欲しいでマス!」

ヒグレ「……でマス~」


海未「だ、男性の方……」


ことり「少し変わった人だけど大丈夫かなぁ……」


穂乃果「なんかきもちわるい先生だね~」ヒソ


ロックマン『う~ん、でも本当のオタクに悪い人はいないって聞くし……』



ザワザワ ヒソヒソ

海未ちゃんとバブルマンは一番好きなキャラなので若干優遇する気がするので今のうちに言っておきます

ラブライブ!板で安価をとったのはそのままで行くつもりです
遅筆なのとラストまでの展開考えてたら超長くなってしまったので気長にお付き合い下さい

山田先生「とにかく!みんな仲良くするように!以上!じゃあこれでホームルーム終わるぞ~」


ー1限目ー


ヒグレ「では、1限目の授業をはじめるでマス」


ことり「先生、山田先生はどうしたんですか?」


ヒグレ「山田先生でマスか?急に気分が悪くなったと言って保健室で寝ているでマス」


穂乃果「ええぇ!!!あの元気の塊みたいな先生が!?」ガタッ


ヒグレ「静かにするでマス!……なので、1限目は自習でマス」

ヒグレ「数学の自習用プログラムをセットしていくでマス。後でチェックするでマス」

ヒグレ「ではみんな……頑張るでマスよ!」


日暮先生はそう言うと早々に教室から出ていってしまった


穂乃果「ちぇ~……1限目から数学はきついよ~」

穂乃果「って……あれ?」

ビー!!!ビー!!!ビー!!!

けたたましく鳴り響く警報に教室がざわめき出す

ERRORの文字を映し出していたブラックボードに突如映像が流れ始めた……


『我々【WWW】の……ネットワーク支配計画の目的を……今ここに発表する!』


映像は暗く、殆ど顔は見えない……しかし声からかなりの高齢の老人が話していることがわかった


ロックマン『穂乃果ちゃん!これ……前の事件で言っていた組織の演説プログラムだよ!』


『【WWW】の目的は、終末戦争を起こすことじゃ!』

『その為に、軍事ネットワークなど全てのネットワークを支配するのだ!』

『こんな堕落した世界は……デリートじゃ!!!』


ことり「どうして……ひどいよ……」


『そして……この偉大なる計画を支える優秀なスタッフを【WWW】では必要としておる……』

『そのための洗脳プログラムを今からスタートさせる!』

『我が【WWW】の忠実なしもべとなるのじゃ!』

画面には意味不明な模様が絶えず切り替わり、さっきから流れている不安定な音声と共に見ていると変な気持ちになりそうだ


フミコ「駄目、端末の電源……切れないよ……」


ヒデコ「こんなのやってられない!すぐにここから出よう!!」


ミカ「あれ!?教室の扉もカギが掛かってる!」


ことり「完全に閉じ込められちゃったってこと!?どうしよう……海未ちゃん……」


海未「ここはブラックボードにプラグインして、この馬鹿げた演説を止めましょう!」


穂乃果「よ~し!じゃあさっそく……って!?」


ロックマン『?……穂乃果ちゃんどうしたの?』


穂乃果「ブラックボードのプラグイン端子が塞がれてる……」

ブラックボードのプラグイン端子には瞬間接着剤のようなものによってかなり乱暴に塞がれていた


ロール『そんな……さっき日暮先生が自習プログラムを起動したときは大丈夫だったのに……』


海未「……」


穂乃果「うわーん!どうしよう…このままじゃみんな洗脳されちゃうよ~!」

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~音ノ木坂学院1年生教室~


ザワザワ


凛「Zzz」


花陽「り、凛ちゃん!起きてぇ!大変だよぉ!!」ユサユサ


プラントマン『この状況でも全く自分のペースを変えないなんて、彼女はなかなか大物だね』


花陽「そんなこと言ってる場合じゃないよぉ!凛ちゃん!」


凛「うぅん……ん?かよちんどうしたのぉ?もう1限目終わった?」


花陽「凛ちゃん!?よく聞いてね!実は……」

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凛「つまり……学校の電脳にプラグインして悪いやつをぶっ飛ばせばいいってこと?」


花陽「うん……?凛ちゃん、話聞いてたのかな?私たちはサブライセンスだからそういう権限はまだないんだよぉ……」


凛「でも、このままじゃみんなおかしくなっちゃうよ!サンダーマンは準備いい?」


サンダーマン『愚問だ……ここで何もしないで見ているのは戦士の誇りに反する……例え規則を破ることになってもな……』


凛「よ~っし!じゃあ行くよ!プラグイン!サンダーマン.exe!トランスミッ……」


「あなたたち、なにする気?」


凛「にゃっ!?」


花陽「西木野さん……」

真姫「まさか……自分たちで解決しようなんて考えてるんじゃないでしょうね」


花陽「そ、それは……」


凛「なんで西木野さんが凛とかよちんの話に入って来るの!!」


真姫「っ!!別に、大規模なネット犯罪組織が絡んでるから……オフィシャルに任せるべきっていうだけ!」

真姫「もう!どうなっても知らないんだから!!」


そう言うと真姫は髪の毛をいじりながら自分の席に戻って行ってしまった


花陽(西木野さん……ごめんなさい……私たちのこと、心配してくれたんだよね……)


凛「それじゃあ、かよちん!一緒にこのプログラムを止めよう!」

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~音ノ木坂学院3年生教室~


(まずい……)

(今の3年生の一部しか知らないけどうちの学校の生徒会長、副会長の絢瀬絵里と東條希はオフィシャルネットバトラー……この程度の事件ならあっという間に解決できる……でも、)

(確か今日は午前中生徒会役員は全員、秋葉原周辺の高校の連絡会に行っていて不在……)


「ここは、にこがなんとかするしか……」


にこ「ちょっとアンタ、手貸しなさいよ」ボソッ


『…………キサマ、まだ分かっていないようだな』

『オレは誰の指図も受けない』

『……それに今回のナビにはチカラを感じない』

『インターネット深くのウイルスの方がまだマシだな……』


にこ「ちょっ!アンタ!!また勝手に!!」ガタッ


クラスメイト「!?」ビクッ


にこ「な、なんでもないニコ~♪」アセ

にこ(……ど、どうすんのよ~!!)

ー学校の電脳ー


普段授業で訪れることの多い電脳空間……機能的に配置されていたエリアやネットワークの通路は、みる影もなく断裂している


サンダーマン「ネットワークの形……かなり変わっているな……」


プラントマン「これも【WWW】の奴らのしわざだね」


花陽『ウイルスバスティングの授業で来るときと違ってまるで迷路みたい……ま、迷わないように気を付けないと!』


凛『まずは教室の扉をロックしてるプログラムを解除しよう!』

トニカクゼンシンスルニャー!! リ、リンチャン!?


真姫「……」

真姫(なんでいつも、こうなっちゃうのかしら……)


どうしてみんなと上手くやっていけないんだろう

いつもいつも素直な気持ちが出せないまま、必要以上にキツい態度で反発してしまう

もしかしたら一生、心を開いて話せる存在になんて出会えないのかも知れない……


真姫「当然よね……私の方が開いていないんだもの」


『マキチャン』


真姫「ゔぇえ!?」

真姫「な、何よ!プラネットマン!!急に驚かせないで!!」


プラネットマン『モウシワケ アリマセン デモ……』

プラネットマン『ヒジョウニ サビシソウナ ヒョウジョウ ダッタノデ……』

真姫「寂しい?そんな訳ないでしょ!この変な演説のせいで少し気分が悪くなっただけよ」


プラネットマン『……マキチャンノ オトウサマニ オメツケヤクヲ メイジラレテイル ワタシガ イウノモ ナンデスガ……』

プラネットマン『オトウサマノ イイツケヤ キソクヲ マモルヨリモ』

プラネットマン『マキチャンガ シタイコトヲ スルベキダト オモイマス』


真姫「……」


プラネットマン『ワタシハ マキチャンガ シアワセニ ナレルナラ ナンダッテ オトモシマスヨ』



真姫「………………ありがと…//」ボソッ


プラネットマン『キョーーーーー!!キョキョキョキョ』


真姫「……その笑い方、可愛くないから止めなさい…」

ちょっと色々あって心の整理がつくまで書けません
エタる気はないので少ししたら続けられると思います
大変申し訳ありません

ー学校の電脳 教室管理部ー


サンダーマン「《サンダーボルト》」


学院全体の扉のロックを管理しているセキュリティシステムに群がっていた大量のウイルスは、突如頭上より落とされた雷によりその殆どがデリートされる


プラントマン「美しくデリートしてあげるよ……《プラントウィード》」


雷を逃れた数体のウイルスを地面より伸びるツタが捕らえる
縛られたウイルスはみるみる力を失い分解される……吸収されたエネルギーはプラントマンへと還元されていく


凛『これでもう扉は開けられるはずだよ!』


花陽『み、みんなを避難させないと!』


凛『そっちはかよちんに任せるにゃ!凛たちはこのまま学校のサーバーに向かって演説を止めてくるよ』


花陽『だ……大丈夫かなぁ、わかった……でも無理だけはしないでね』

花陽『じゃあプラントマン、プラグアウト』

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~音ノ木坂学院2年生教室~


穂乃果「あ~!!何とかしないといけないのになにもできないなんて!!」


ことり「山田先生も心配だなぁ、具合、悪くなってなければいいけど……」


ミカ「あっ!!なんか扉開くみたいだよ!!」ガラッ


フミコ「やった!とりあえずみんなで避難しようか」


海未「……ヒデコ、フミコ、ミカ、生徒の避難はそちらに任せてもよろしいですか?」


ヒデコ「……?別にいいけど、海未ちゃんたちはどうするの?」


海未「……少し、気になったことがあるんです。それを確かめに」

~廊下~


穂乃果「海未ちゃん、何処に向かってるの?」


海未「おかしいと思いませんか?扉のロックは解除されているのに先程から1人も大人の方が見られないんです」

海未「そもそもこの学校の扉はそれほど頑丈に作られてはいません……職員室の先生数人が力を合わせれば破ることもできたはずです」

海未「それなのにそれができなかった理由……着きました」

海未「つまり……こういうことです」ガラッ


穂乃果・ことり「「!!?」」


職員室には校内の大人が全員集められていた、先生たちは全員ロープで縛られ、口にガムテープで声が出せないように拘束されている


穂乃果「山田先生!!」


ことり「お母さん!!」


穂乃果とことりはそれぞれ2人に駆け寄り拘束を解いていく


海未(いない……やはりあの方がこの事件の犯人ですか……)

ー学校の電脳 サーバー前ー


サンダーマン「ここだな……サーバーへの道は迷路のように作り変えられていたが結局最初のエリアに戻ることになるとはな」


凛『あれ~?サーバーの近くには悪ナビがいると思ったのに何もいないね』

凛『まあいっか!サンダーマン、プログラムを停止させよう!』


サンダーマン「了解した……強制停止まで1分ほどかかるぞ……」


凛『わかったよ!これでもう事件は解決!市民ネットバトラー(仮)、星空凛、早くも活躍してしまったにゃ!』


……コロコロ

電脳サーバーに向かい作業するサンダーマンの足元にサイコロのようなものが転がった


凛『?なんだろうこr』


直後、サイコロは破裂し激しい爆発がサンダーマンを襲った

「ここまで来るとは、なかなかのものですね」


その場のどこを見てもナビの姿はなく、何者かの声だけが聞こえる


凛『え、何!?何が起こったの!?サンダーマン!大丈夫!?サンダーマン!!』


サンダーマン「……」


「ですが最後に油断しましたね、残念ながらここでデリートさせてもらいます」


『やはりレアチップは最高でマス!永続的に発動できる《ユカシタモグラ》これは当たりだったでマス!!』

『女子高生相手に少し気が引けるでマスが……せめてレアチップでとどめを刺してあげるでマス……ナンバーマン!』

『メガクラスチップ《ナンバーボール》スロットインでマス!!』


負傷して身動きが取れないサンダーマンを取り囲むように数字の表示された球体が多数現れる


ナンバーマン「これで終わりです、行きなさいナンバーボール」


凛『サンダーマン!!』





真姫『プラグイン!プラネットマン.exe トランスミッション』

真姫(くっ、思ったより距離がある……間に合って!!)

真姫『《エリアスチール》スロットイン!!』


バトルチップがPETに投入されるとゲートに降り立った直後のプラネットマンの姿が消え……倒れたサンダーマンの目の前に瞬間移動する


真姫『ファイアプラネット!ウォータープラネット!展開!!』


プラネットマン「リョウカイ シマシタ」


プラネットマンが手を前にかざすと赤と青の球体が出現しプラネットマンの周りを公転し始める……

ナビのモチーフは地球だが、2つの天体を衛星として持つその姿はまさに、小さな太陽系のようである


凛『綺麗……』


プラネットマン「イツモヨリ オオメニ マワシマス」


2つの星は速度を早め、サンダーマンとプラネットマンを守るように渦を描く、サンダーマンに向かってくるナンバーボールは高速で公転する星に触れた瞬間ガリガリと削られていった


真姫『冷たいヤケドを教えてあげるわ!』


プラネットマン「…………ソレ、マキチャンガ カンガエタノ デスカ?」


真姫『あなた……喧嘩売ってるの?』ハァ

ナンバーマン「……なんとも締まらない登場でしたが、お見事です」


凛『に、西木野さん……なんで……西木野さんも巻き込まれちゃうよ……』グス


真姫『なんでって……そんな泣きそうな顔してる子、放っておけるわけないでしょ!』

真姫『あなたはそこで、この真姫ちゃんの華麗なオペレートを見ていればいいわ』


真姫(とはいったものの……相手の姿が見えない……これはヤバいわね)

真姫(《ユカシタモグラ》とか言ってたかしら……あいにくプラネットマンは地中を攻撃する術をもってない……とりあえず隙を探さないと)

真姫『そもそもあなた達はなんで終末戦争なんて起こそうとしてるのよ!』


ナンバーマン「いえ、それは割りとどうでもいいのですが……ねぇ、日暮さん?」


真姫『はぁ!?』


ヒグレ『そうでマス!そんなことよりも【WWW】はお給料がいいんでマス!沢山レアチップが買えるんでマス!!』


プラネットマン「オキュウリョウ……オカネノ タメニ 【WWW】ニ キョウリョク シテイルノ デスカ……」


真姫『何それ……意味わかんない!!!』


ヒグレ『うぐぐ……確かに教員全員を眠らせて縛りあげたのは気が引けたでマスが……』


ナンバーマン「日暮さん!」


ヒグレ『そうでマス!レアチップのためならそれも仕方ないんでマス!』





花陽『……そんな汚れたお金で集めたレアチップなんて……全然羨ましくないですッ!!』

真姫・プラネットマン『「!?」』


凛『あ、かよちん』


振り向くとそこにはプラントマンが立っていた

学校の電脳は音ノ木坂学院のすべてのブラックボードからプラグインすることができる、花陽はふたりとは離れた教室からここにプラグインしたのだろう

そんなことよりも問題はオペレーターである花陽の様子だ

普段のおっとりとして恥ずかしがりやな性格がどこへ行ったのか、彼女の激情とともにPET越しからも闘気が伝わってくる


花陽『西木野さん……ありがとね……凛ちゃん達を守ってくれて……』ゴゴゴ


真姫『こっ!?小泉さん??なんか雰囲気変わってない!??』アセアセ


花陽『でもここからは私とプラントマンに任せてくれないかな?』ゴゴゴ


プラネットマン「ハナシ…… キイテマセンネ」


花陽『……レアチップというものは本来、地道にウイルスバスティングを繰り返したり、インターネットを徘徊してミステリーデータを解析したり、大量のゴミチップを抱えてチップトレーダーをひたすら回したり、エスケープが大好きなお爺さんとトレードしたり、クイズが大好きな人たちの遊びに付き合ったり、何度も何度も同じナビのカウンターを狙ってバグの欠片を集めたり、WHFに参加したりすることで手に入れる努力の結晶なんです!!!』

花陽『それを、みんなを苦しめて貰ったお金で買うなんて……』ギリッ

花陽『そして何よりも……凛ちゃんとサンダーマンを虐めたこと……絶対に許しませんッ!!』

ちなみに更新が遅いのは単純に自分が書くのが遅いせいです、すみません

否定的な意見も受け止めているんですけど、キャラに対する考え方が酷いというのは主にどういうことに対してなのか、自分ではちょっと分からなかったので言ってくれれば直していきます

コーエツ兄さんへの扱いに関しては自分も反省してます、申し訳ありませんでした

ナンバーマン「またひとり増えましたか……しかし何人来ようと関係ありません」


ヒグレ『そうでマス!君たちにはナンバーマンを攻撃する方法はおろか居場所を知ることすらできない、勝負にもならないでマス!!』


花陽『勝負ならもう着きました……』


ヒグレ・ナンバーマン『「へ?」』


プラントマン「これから恐怖という花を咲かせる……」

プラントマン「ワタシのツタの特性を教えてあげよう……ひとつはブレイク性能、そして……"対ユカシタ性能"だ!」


プラントマンを見ると既にツタを地面に突き刺している
そして……

ボコォッ!!

勢いよく地中より現れたツタは、コンピュータのような頭部を持つネットナビを捕らえていた


ナンバーマン「なっ!!なにッ!!しかしこれくらい《ナンバールーラー》で切り裂いて……!!」


花陽『バトルチップ《イエローフラワー》スロットイン……』

ナンバーマンは三角定規型の刃物を呼び出しツタを切り払おうとする

しかし……それよりも早く花陽によって呼び出された黄色い花の花粉がナンバーマンに降りかかる……


ナンバーマン「ググッ!!か、体が痺れて……しかも……力が……抜け……て……」


花陽『ナンバーマンのエネルギーはサンダーマンの養分になってもらいます!』


プラネットマン(コワッ)


真姫(小泉さんだけは怒らせないようにしよう……)


凛『かよちんはネットバトルオタクでバトルチップとかにも凄くうるさいんだにゃ』

凛『凛はこのかよちんも好きだよ!』


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