凛「もしも昨日が選べたら」(13)

凛「なんだろ、このリモコン。何かの小道具かな?」

デスクに無造作に置かれた、不思議な形をしたリモコン。

存在を誇示するかのように、色鮮やかに点灯している。

うっかり触れた瞬間、無人だった事務所に次々とアイドルたちが現れ、そして消えていく。
なにこれ?
すべてが高速……光速で動く視界。

凛「これって……」

なんとなくだが、見覚えのある光景……無意識下に感じる1つの疑問。

時間が、戻っている?

自覚した辺りでリモコンがゆっくり停止した。

モバP「今時間よろしいでしょうか?」

ここはあの場所だ。

『ナンパならお断りだよ』

戸惑いよりも懐かしさが胸に去来する。

そうか、始まりの日だ。

やっぱり時間が戻ったんだね。

原理とか難しいことはわからない。

確かなのは昔に戻ったという点。

凛「……いいよ」

もしやり直せるなら、未来を変えたい。

私の知ってる未来のプロデューサーは、千川ちひろと付き合っているから。

この時はまだ付き合っていないんだよね。

凛「プロデューサー」

モバP「え?どうしてわかった?」

凛「わかるよ。私はアナタのアイドルだから」

モバP「……ん?」

凛「わからなくていい。私をプロデュース、してくれるんでしょ?」

できる限りの笑顔で応えた。

心残りだったんだ。

昔の私は酷いこと言っちゃったし。

モバP「ああ!必ずトップアイドルに導くよ!」

嘘じゃなかったね。

凛「よろしく」

二度目のアイドル生活は、一度目より余裕があった。

デビューライブも緊張しなかったし。

強くて二周目ってこんな気分なんだ。

渋谷凛はどんどん売れていく。

テレビで見ない日は少ないくらい。

瞬く間にトップアイドルへの道を駆け上がった私に、プロデューサーは、「俺なんて必要なかったかもな」と、自重気味に笑った。

そんなことない。

売れっ子の私に逆らえないのをいいことに、プロデューサーとの付き合いを強制した。

前のプロデューサーなら絶対に了承しなかったね。

プロデューサーに身体を許した。

戸惑いながらも夢中で私を貪るプロデューサーが愛しい。

彼が抱きたいときにヤらせてあげたし、車内で口で処理してあげたこともあった。

プロデューサーは私に逆らえない。

私を失うことを何より恐れるようになった。

トップアイドルには自然と魔性でも宿るのかな?


もう大丈夫。
プロデューサーが他の女に振り向くことはない。

最近は裸の私を鑑賞するのが生き甲斐らしい。

芸術品のように私を扱う。

レッスンで流れた汗をそのままに、私の匂いを嗅ぎ、全身の汗をプロデューサーの舌で拭うのが日課となっている。

彼の舌が触れていない場所など、私の身体に残っていない。

渋谷凛が自分の物だと確認するため、彼は必ずマーキングを残す。

それは決して痕には残らない行為。

私の顔、私の身体に自分の尿をかけることで、勝手に満足するみたい。

まるで犬だね。

プロデューサーは私を穢し続けた。

休日には首輪を付けられ、一日中咥えさせられたこともあったな。

三食プロデューサーの精子。

今はご飯にも掛かっているけど。

プロデューサーは束縛が大好きなんだ。

他の担当アイドルなんか見ていない。
私だけを見てる。
私だけを愛してる。




そう気付いた私は、初めてプロデューサーを拒んだ。

次からプロデューサーは、中出しを強制するようになった。

私を孕ませて引退させるつもりなんだね。

何度も中に出され、私は流れ落ちる自分の涙に触れた。

おかしいな。
夢は叶ったはずなのに。


どうして涙が止まらないの?

彼は私の愛したプロデューサーではない。

私を横で支えてくれたあの頼もしい手は、もう存在しないのだ。

戻りたい。プロデューサーがプロデューサーで、私が私だったあの頃に。

リモコンを使う前のあの日に。

もしも昨日が選べたとしても、次は決して振り返らないから。


過去を振り返った天罰なのかな?

穢らわしい。プロデューサーと同じ顔で私を犯す存在。


ごめん、プロデューサー。

私汚されちゃった。


私は虚ろな目で、自分を犯す存在を見つめていた。

気持ちいい。
もっと中にちょうだい。

全部全部どうでもいい。
私に快楽をください。

狂って壊れるほど、私を愛して。

私を孕ませて!




そして私は、考えることをやめた。


BAD END

なんてことがあるからタイムマシーンは開発されないんだ。

皆も気をつけてね。

おわり

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