瀬尾「今日は朝練はなかったんですか?」
若松「……」
瀬尾「それにしてもいい天気ですね!! こんな日は運動したくなりませんか?」
若松「……」
瀬尾「……あっ! すいません! 今日日直なので早く行かないといけないことを思い出しました!!」
若松「……」
瀬尾「私、もう行きますね!!」ダッ
タッタッタッ……
若松「……」
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若松「……」
若松「……」
若松「……」
若松「……誰だ?」
数分前
瀬尾『やっべー、遅刻だ遅刻ー』タッタッタッ
ツルッ
瀬尾『あっ』
ガン!!
瀬尾『いてて……』ムクッ
瀬尾『……』
瀬尾『……はっ! もうこんな時間! 早く行かないといけませんね!!』タッタッタッ
若松「野崎せんぱーーーーい!!!」
野崎「……ん? 若松か……血相を変えてどうしたんだ?」
若松「た、大変なんです!! 助けてください!!」
野崎「話してくれ、俺にできることがあればなんでもするぞ」
若松「……明日、世界が崩壊します」
野崎「すまない、それはどうしようもできない」
野崎「……瀬尾の性格が変わった?」
若松「そうなんですよ!! 面影が全くないんです!! とにかく来てください!!」
野崎「ああ」
2-A
野崎「佐倉」
佐倉「野崎くん! どうしたの?」
野崎「瀬尾いるか?」
佐倉「うん! ……結月ーーー!」
瀬尾「……あら? 博隆くんに野崎くん……どうしたんですか?」
野崎「!!!???」
若松「ほら! どう見ても変ですよね!?」
佐倉「え? 変って何が?」
若松「佐倉先輩!?」
野崎「よく見ろ佐倉!! いつもと瀬尾が違うだろ!!」
瀬尾「え……? 私、いつもと違いますか?」
佐倉「うーん……私はそんな風には見えないけど……」
佐倉「……あっ!!」
野崎「分かってくれたか!?」
佐倉「野崎くん、昨日より爪が短くなってるね!!」
佐倉(今日もかっこいい///)
野崎「」
若松「なんでそんな細かいことに気づいて瀬尾先輩の変化には気づかないんですか!?」
野崎「結局瀬尾は『いつも通り』の一点張りか……」
若松「どうして先輩はあんな演技を……」
野崎「……ん? 演技……」
若松「……何か心あたりがあるんですか?」
野崎「……もしかしたら演劇部が絡んでいるかもしれないな」
若松「……あっ!! なるほど!!」
野崎「早速堀先輩に聞いてみよう」
若松「はい!」
鹿島「先輩見てください!! 先輩のためにハイヒール買ったんですよ!!」
堀「んなもんいらねーよ!!」
若松「……あっ! いた!!」
野崎「堀先輩」
堀「……ん? 野崎に若松か、どうしたんだ?」
若松「……堀先輩」
堀「だ、だからなんだよ」
若松「……(今までの)瀬尾先輩を返してください」
堀「は、はぁ!!?」
鹿島「!!!!?」
鹿島(えっ……ちょっと待って……今の発言って……)
鹿島(先生は前は若松くんと付き合っていて……今は堀ちゃん先輩と付き合っているってこと!?)
鹿島(そんな……じゃあ一番可愛がられている後輩は……先生……)
鹿島「……」フラ〜
堀「……ん? どうした鹿島?」
鹿島「……お幸せに〜」フラ〜
堀「お、おい鹿島!! どういうことだよ!?」
堀「……つーか若松、お前も何言ってんだ?」
野崎「若松、その発言は誤解を生むぞ」
若松「……あっ! すみません! 返してくれっていうのは瀬尾先輩の性格を元に戻してほしいってことです!!」
堀「性格……?」
若松「瀬尾先輩の性格が変わっちゃったんです!!」
鹿島「!!!」シャキーン
鹿島(違った!! 先生と先輩は付き合ってなかったんだ!!)
鹿島「わーい!!」
堀「お前は友達の緊急事態に何喜んでんだよ」
若松(もしかして瀬尾先輩と鹿島先輩、仲悪いのかな……)
堀「悪いが俺は一切絡んでねーぞ……鹿島は?」
鹿島「私も先生には何も言ってないですよ」
若松「そうですか……」
堀「つーか変わったっていうのは具体的にどんな感じなんだ?」
野崎「そうですね……ん?」
瀬尾「……あら?」
野崎「!!」
若松「あれです!! 見てください!!」
瀬尾「あの、みなさん……私を見てどうしたんですか?」
堀・鹿島「!!!!」
鹿島「先生どうしたの!? 何かあった!?」
瀬尾「鹿島さん、私はいつも通りですよ?」
堀「なんつーかあれだな、別人と話してるみてーだな……」
瀬尾「堀先輩まで……」
野崎「瀬尾! いつも通り俺のことをロリコンと呼んでくれ!!」
瀬尾「そんな! 野崎くんに失礼ですよ!」
野崎「」
若松「先輩……本当にどうしちゃったんですか!?」
瀬尾「博隆くんも……」
若松「……あの」
瀬尾「なんですか?」
若松「なんで俺だけ下の名前で呼んでるんですか?」
瀬尾「!」
瀬尾「そ、そんな……言わせないでください///」
若松「なんで頬を赤らめてるんですか!?」
瀬尾「だ、だって……理由を尋ねてくるんですから///」
鹿島「は、恥ずかしい理由なの!?」
瀬尾「は、はい……私……いずれは博隆くんとお互い下の名前で呼び合う関係になりたいんです///」
一同「!!!?」
瀬尾「///」
キーンコーンカーンコーン……
瀬尾「! チャイムが鳴った……私もう行きます!///」ダッ
野崎「……」
若松「……」
鹿島「……」
堀「……」
野崎「……とりあえず授業に出よう。 この話は次の休み時間に……」
鹿島「そうだね……」
若松「……」
堀「若松……」
堀(無理もねえよな、いきなりあんなこと言われるんだもんな)
若松「……下の名前であだ名をつけられることのどこが恥ずかしいんだろう」
堀「なんでお前が一番理解してねえんだよ」
授業中
佐倉(私から見たらちょっと喋り方変えただけだけどなぁ……そんなに違うかな?)
先生「はい、じゃあ瀬尾。 ここ答えて見ろ」
瀬尾「はい」
先生「!!」
佐倉(あれ? いつもならめんどくさいとか言うはずなのに……)
瀬尾「……よって答えは3分の2です」
先生(合ってるだと!?)
先生「せ、正解だ……」
ドヨドヨ……
先生「……瀬尾」
瀬尾「なんですか?」
先生「……保健室に行け」
瀬尾「!?」
佐倉「うん……私もやっと結月がいつもと違うって気づいたよ。 結月にこんな問題解けるわけないもん」
先生(一番の親友がひどいこと言ってるな……)
若松「……」
若松(ダメだ、朝の瀬尾先輩が衝撃的すぎて授業に集中できない……)
若松(もし仮に先輩がずっとあの性格を維持し続けるとなると……)
若松(……あれ? 部活で俺ばっかりボールをぶつけられることもなくなるし振り回されることもなくなるんじゃ……)
若松(……)
若松(いろいろ考えてたら頭が痛くなってきた……)
若松「……すいません、頭痛いんで保健室行きます」
先生「大丈夫か? 一人で行けるか?」
若松「はい、大丈夫です……」フラ……
若松(一旦保健室で落ち着こう)
保健室
若松「すいません、頭痛いんですけど……寝かせてもらってもいいですか?」
先生「どうぞ、奥にベッドあるから使って」
若松「ありがとうございます」
若松(これから俺はどうすればいいのかをじっくり考えて……)シャー……
瀬尾「……!!」
若松「!!?」
若松「な、なんで先輩が保健室にいるんですか!?」
瀬尾「それが理由は分からないのですが……先生が保健室に行けと言われたので……」
若松(先生もこの性格を見て保健室に行かせたんだろうな……)
瀬尾「……博隆くん」
若松「……なんですか?」
瀬尾「カーテンを閉めてるから……先生には見えませんよね?」
若松「……はい?」
ギュッ
若松「!!」
瀬尾「博隆くんの手……あったかいですね」
若松「なっ……なんでいきなり手なんか握ってるんですか!?」
瀬尾「こ、声が大きいです!」
若松「……! す、すいません……」
瀬尾「……もう少し握っててもいいですか?」
若松「な、なんでですか?」
瀬尾「……好きな人の手を握ってはダメですか?」
若松「!!!?」
若松「す、好き……先輩が?……俺を?」
瀬尾「はい」
若松「……あっ!! ま、まさか……さっき言ってた呼び合う関係って……」
瀬尾「……博隆くんは気づかなかったのですか?」
若松「てっきり下の名前のあだ名をつけ合う関係かと……」
瀬尾「ふふ……違いますよ」
若松「……」
瀬尾「……私、まだ博隆くんの返事を聞いてません」
若松「!!」
瀬尾「……教えてもらえますか?」
若松「……」
若松(分からない……わけが分からない!!!)
若松(いきなり性格が変わったかと思えば……俺のことが好き!?)
若松(……)
瀬尾「……?」
若松「……いい加減にしてください!!」
瀬尾「!」
若松「そうやって性格変えたり好きって嘘ついたりして俺を錯乱させる気なんでしょ!? バレバレですよ!!」
瀬尾「!!」
若松「……」
瀬尾「……違います」
若松「!」
瀬尾「私は……本当に博隆くんのことが好きなんです」
若松「……ほ……本当にですか?」
瀬尾「はい」
若松(じゃあ……俺だけにつきまとったりボールぶつけたりしたのも……)
瀬尾「博隆くん……もう一度聞きます。 私のことは……好きですか?」
若松「……」
若松(俺にはローレライさんがいるって何回も言ってるのに……ここははっきりと……)
瀬尾「……」ジー
若松「!!!」
若松(……)
若松(この目……今まで見たことのない……本気の目だ)
若松(今ここでいつも通りに言ったら……瀬尾先輩はいつも通りに返事をするだろうか?)
若松(……)
若松(……しない)
若松(……)
若松(今の瀬尾先輩は自らを変えてまで俺に好意を伝えてる……)
若松(だったら俺も……)
若松「……瀬尾先輩、俺は……」
瀬尾「……」
若松「……瀬尾先輩のことが嫌いです」
瀬尾「!!」
若松「だって……いつも俺だけにボール投げてくるし……俺だけパシらされるし……」
瀬尾「……」
若松「……でも分かりました」
瀬尾「……?」
若松「先輩がいつもと性格が違うのは……俺が心の綺麗な人が好きって言ったからですよね?」
若松「だから俺の理想になるためにそんな風になってるんですよね?」
若松「でもそんなことしなくていいですよ……やっぱり先輩は先輩らしくした方がいいと思います」
若松「無理に頑張んなくてもいいですよ……我慢するなんてらしくないです」
若松「俺……今日まで気づかなかったんです。 今までのあれが愛情表現だったなんて……」
若松「先輩が……素直じゃないって……」
若松「さっき俺……先輩のことが嫌いって言いましたけど……それは今の話です」
若松「だから俺……これからは先輩のことをちゃんと見て、いいところ探します」
若松「その時にまた……返事をしてもいいですか?」
瀬尾「……」
若松「……」
瀬尾「……はいっ!」
若松「!!」
ガン!!
若松「い、いきなり抱きつくから頭打ったじゃないですか!!」
瀬尾「……」
若松「! す、すいません……言い過ぎました……」
瀬尾「……」
若松「先輩も頭打っちゃいましたけど……大丈夫ですか? 痛くないですか?」
瀬尾「……なぁ」
若松「……はい?」
瀬尾「……なんで私ここにいるんだっけ」
若松「……は?」
瀬尾「いやー朝学校行く途中でさー、転んで頭打っちゃったんだよねー私。 でもそっから覚えてねーの」
若松「……」
瀬尾「ここ保健室ってはことはさ、私どっか怪我してんの?」
若松「……」
瀬尾「なんだよさっきからずっと黙って……若も保健室にいるってことは若もどっか怪我したの?」
若松「あの……」
瀬尾「なんだよ?」
若松「さっきまで……俺のこと『博隆くん』って呼んでたの覚えてますか?」
瀬尾「は? なんでお前にさん付けでしかも下の名前で呼ばなきゃいけねーんだよ」
若松(あ、マジの目だ)
瀬尾「つーか『博隆くん』って……ぷっ……くく……」
若松「……」
瀬尾「あはははははは!!!」
若松「……ははは」
若松(なんでだろう……前の性格の方が良いはずなのに……今の方が最悪なのに……)
若松(嬉しいのは……なんでだろう……)
瀬尾「おっしゃあああああああ!!! ボールぶつけるぜええええええええええ!!!」
ドゴォン!!!
部員「若松が吹っ飛んだーーーーー!!!」
瀬尾「あははは!! バスケ楽しーー!! ぶっとばすのマジ気持ちいいんだけど!!」
若松「」ピクピク
瀬尾「おい若起きろよ、まだ試合の途中だぞー」
若松「……罪悪感とか申し訳ないとか……本当はツンデレだったりとかしないんですか?」
瀬尾「は? 思わねーけど。 つーか最後のなんだよ」
若松「やっぱり……」
瀬尾「?」
若松「やっぱり前の方がよかったああああああああ!!!!」
〜終わり〜
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