晶葉「出来たぞ! 新防犯ブザーだ!」 (12)

P「防犯ブザーってあの子供とかがつけてる奴か?」

晶葉「うむ。引っ張るとうるさいアレだ」

P「めっちゃうるさいよな、アレ。でももうみんな持ってるだろ?」

晶葉「確かに持っている。持っているがそれで意味はあるのか?」

P「というと?」

晶葉「これは自身の身が危険に晒されたりしたときに鳴らすものだ。
   ならばこれが鳴っているときは当然緊急事態ということになるな?」

P「まぁなるな」

晶葉「ならなぜPはこれの音を知っている?」

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P「え、そりゃあどこかで聞いたんだろうな」

晶葉「それを聞いた時、Pは家から飛び出して音源を捜したか?」

P「いやいや、そんなことしないよ。すぐに鳴り止んだ……はずだし。
 ほら、子供がふざけて遊んでいるときに鳴っちゃったんじゃないの?」

晶葉「確かにそういうこともある。じゃあ緊急時のそれとどう聞き分けると言うんだ?」

P「えっと……長く鳴ってたり……とか?」

晶葉「これだけ世間に周知されているのに長く鳴らせると思うか?
   こんなの引っつかんで叩きつけて壊してしまえばそれでおしまいだろう」

P「で、でもほら、悲鳴とか」

晶葉「口を塞がれることだってある。さらに鞄に仕舞い込んでいたり
   電池が切れていたり、そもそも使用する時間があるかもわからない。
   鳴らせば効果はあるかもしれないが万能ではないのだよ」

P「うちのアイドル大丈夫かな今すぐ連絡違う迎えにいかないとやばいやばい」

晶葉「落ち着け。三人とも大丈夫だ。要は万能じゃないと言いたかったのだ」

P「ほんと? 大丈夫? 確認できる? 今すぐ? 大丈夫? ほんと?」

晶葉「ああもう。三人とも入って来てくれ」

ガチャ

雪美「大丈夫……」

桃華「心配性ですわ」

ありす「そもそもさっき会ったじゃないですか」

P「……」

P「……おう、三人とも。揃ってどうしたんだ?」

晶葉「今更取り繕っても無意味だろう」

桃華「ほら、ティッシュですわ。まずはその液体塗れのお顔を拭いてくださいまし」

P「はい……」

ありす「私達は晶葉さんに実験のお手伝いを頼まれたんです」

雪美「だから大丈夫……ね?」

P「うん……」

晶葉「まぁというわけで話が逸れてしまったが新しい防犯ブザー、というよりも防犯装置を作ったんだ」

桃華「それがこの腕輪ですわね」

晶葉「うむ。腕につけておけばいつでも気づく。無論防水で衝撃にも強い。家に帰ったら専用の充電器
   に差し込めば電池切れの心配もない。なによりも身に危険が迫った時、自動的に起動してくれるんだ」

P「そいつはすごいな。それでどんな効果があるんだ?」

晶葉「では早速Pには暴漢役になって貰って彼女たちを襲ってもらおう」

P「え?」

晶葉「襲ってもらおう」

P「でもそれって第三者が見たらやばいんじゃない?」

晶葉「我々が弁護するとも」

P「じゃあ合法的に襲えるんだな?」

晶葉「……合法かはわからないが同意の上だ」

P「よーし……任せろ!!」

晶葉「では橘から頼む」

ありす「立っているだけでいいんですか?」

晶葉「ああ、立ってるだけでいい。なんなら後ろ向いてても構わない」

ありす「本当に大丈夫ですか?」

P「げっへへへへ、襲ってやるぜぇ……」

晶葉「Pはダメかもしれないけど、私を信じてくれ」

ありす「……わかりました。信じましょう」

晶葉「よし、それじゃあP、橘を襲うんだ」

P「げへへ……太もも貰ったぁ!!!」

ピコーン

P「アバババババババババ」

ありす「Pさんが痙攣してます!」

晶葉「ありすのつけている腕輪は電流が流れるんだ」

P「」

晶葉「電力の消費は激しいがその分強力で一瞬でも触れそうになると
   強い電流が流れるはずだったのだがずいぶんと長い間電流が流れていたな」

桃華「Pちゃま? 生きてます?」

P「うう……」

雪美「頑張って……」

P「これもアイドルのためだ……」

晶葉「食らった感想はどうだった?」

P「死ぬかと思った」

晶葉「実際死んでもおかしくないしな」

ありす「さすがにそこまで強力にしなくても」

晶葉「要調整だな。では次、桃華」

桃華「よろしくお願いしますの」

P「こ、今度は違う効果なんだよな」

晶葉「その通りだ。だが確か桃華のは……痛くはないな」

P「なるほど。痛くないやつもあるのか」

桃華「ほら、Pちゃま。桃華はここですわ。捕まえてください?」

P「よーし、捕まえちゃうぞー。ツァ!!」

桃華「どこを見てますの?」

P「あれ、今確かに……デリャァ!!」

桃華「どこを見てますの?」

P「なん……だと?」

桃華「ほら、Pちゃまこちら。手の鳴るほうへ」パチパチ

P「そこかァ!!」

桃華「こちらですわ」

P「とりゃ!!」

桃華「どこを見てらして?」

P「こっちだぁ!! と見せかけてこっちだぁ!!」

桃華「残念、はずれですの」

P「……どうなってんだ! 確かに目の前にいたはずなのに……」

晶葉「これが桃華の腕輪の効果、みかわしだ」

P「つけている限り触れられないというのか……」

晶葉「計算上では五人同時に襲われても全部回避出来るぞ」

P「だが回避する側の体力とか大丈夫なのか?」

桃華「確かに少し疲れましたわ」

晶葉「なるほど。ここは改善の余地ありか。では最後に雪美だ」

雪美「うん……」

P「さて、今度のはどんなのかな」

晶葉「橘と同じ反撃タイプだ。頑張ってくれ。ただ痛みはさほどないはずだ」

P「よし、わかった……やってみよう」

晶葉「これで最後だ。終わったらスタドリを奢ろう」

P「よっしゃ!! やってやるぜ!!!」

晶葉(スタドリはそんないいものなのか?)

雪美「P……」

P「行くぞ、雪美」

雪美「うん……来て……」

P「でりゃぁ!!」

P「触れた! これが雪美のお尻か!! うわぁやわr……いや、固いな」

P「待て、このお尻どこかで……なに! こ、これは!!」

P「俺自身……!?」

雪美「Pが今……目撃して触っている物は……未来のP自身……」

P「!?」

雪美「これが私の腕輪の……効果……。そしてこれで……実験終了……」

P(そ、そんな馬鹿な。俺の腹から雪美の手が……意識が薄れて……)

P「はっ!?」

晶葉「お、目覚めたようだな」

桃華「大丈夫ですの?」

P「俺は……あっ!!」

ありす「きゃっ! 突然服を脱がないで下さい!」

P「開いて……ない?」

晶葉「雪美の腕輪の効果は触れた時点で相手に幻覚を見せるものだ」

P「つまりさっきのは幻だったってことか……」

雪美「どんな夢見たの……?」

P「いやー、触れたと思ったら俺の尻でさー。それが未来の俺で
 その後背後から雪美に腹貫かれてびっくりしたよ」

ありす「びっくりするほど何を言っているのかわからないですね」

桃華「しょせん幻覚ですわね」

P「これは調整しなくても大丈夫そうだな。実験お疲れ様」

晶葉「ああ、これが約束のスタドリだ」

P「お、サンキュ」

ありす「それっておいしいんですか?」

P「うーん、微妙だな。ま、ありすにはまだ早い」ポン

P「アババババババババ」

ありす「ああ! Pさんに電流が!」


その後、調整されがが満員電車で四方八方に効果が発動することがわかったので
開発は中止された。

以上

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