男「猫と結婚することにした」 (43)

Aパート

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1年前。

俺の言葉を聞いた両親の反応は、予想どおりだった。

父「ふざけるな!自分が何を言ってるか分かってんのか!?」

母「お父さん、落ち着いて…男も、もう一度よく考えて…」

男「俺は自分が何を言ってるか、ちゃんと理解してるよ。俺は真剣なんだ」

父「出て行け!お前はもう息子でも何でもない!」

母「なんてことを言うの!?やめてよ!

…ねえ、男、一緒に病院に行きましょう?ね?」

男「…クソっ!もういい!こんな家2度と来るか!」

母「待って!お願い!」

父「もうあんな奴は放っておけ!」


男「やっぱり、認めてくれなかったか…」

猫「ごめんね…私が、人間じゃないから…」

男「猫は悪くない!

母さんも父さんも、頭が固すぎるんだよ。

だから、猫が謝る必要はないんだ。

謝らないでくれ…」

猫「男…

帰ろう。私たちの家に」

俺は猫を抱き上げ、家に帰った。


11ヶ月前。

男「はい…はい…そうですか。

いえ、こちらこそ無理を言ってすみませんでした。

ありがとうございました」ガチャ

猫「どうしたの?」

男「ん?ああ、式場を予約しようと思って…

でも、どこも断られちゃったよ。

…ああ、そんな顔すんな!

俺は、別に結婚式を挙げられなくても、法的に結婚できなくても、いいんだよ。

ただ、お前と一緒にいられればそれでいい」

猫「男…なに恥ずかしいこと言ってんの///」

男「ごめん///でも、本当にそう思ってる。

うーん、だけど、このまま何もしないのもなんか釈然としないというか…

親しい友達だけ呼んで、家でお祝いするとかどう?」

猫「それいいね!やろうやろう!」

元気一杯な猫を見ていると、俺にも元気が湧いてくるようだった。


10ヶ月前。

男「だから結婚するんだって!

…ああ?病院?もういい!

てめえがそんなに心の狭いヤローだなんて思わなかったよ!」ガチャン

猫「ど、どうしたの?大丈夫?」

男「あ…びっくりした?ごめん…

お祝いに誘おうと思っていろんな友達に電話したんだけど、みんな断られたよ…

ごめん…ごめんね…」ポロポロ

猫「男、泣かないで。

私は、ずっと男の傍にいるから」

男「猫…ありがとう。

ありがとう…」

猫を抱きしめ、俺は涙を拭った。


3ヶ月前。

プルルルル

プルルルル

猫「男ー!電話鳴ってるよー!」

男「はーい!今出る!

もしもし。…はい、そうですけど…

え?取材?テレビ!?いえ、それはちょっと…

はい…すみませんが、お断りします。」ガチャ

猫「なんの電話だったの?」

男「んー?

猫と結婚した男として、テレビに出てくれないかってさ。

出てもどうせバカにされるだけだろ?断ったよ」

猫「ふーん…私はちょっとテレビに出てみたかったかも、なんてね」

男「はは…猫がテレビに出たら、あっという間にお茶の間の人気者かもね」

俺と猫の関係は、あまり良くない噂として少しずつ広まっていった。

最初は、近所の人に遠巻きにされたり

逆に好奇の目でジロジロ見られたりする程度だった。

それぐらいなら、別にどうってことなかった。でも…

そのうち、イタズラ電話や嫌がらせを頻繁にされるようになってきた。

動物愛護を唱える団体が押しかけて、俺に文句を言いに来たこともあった。

だから、引っ越すことにしたんだ。

2ヶ月前。

男「ここが俺たちの新しい住処だぞー!」

猫「どこ、ここ…知らない場所…」

男「前より狭いアパートだけど、俺の在宅システムエンジニアの仕事じゃあ、

まだそんなに貯金もなくてさ」

猫「…嫌っ!」

男「あっ!?ちょっと、待って!」

半開きのドアから飛び出した猫を追って、俺も外に走り出た。


男「ハァハァ…見失っちまった…

どこ行ったんだよ…

あいつがいないと、ダメなんだよ…

俺は、あいつがいないと…」

夜になるまで探し回っても、猫は見つからなかった。


男「くそ、全然見つからねえ…

冷えてきたし、一旦上着とりに帰るか…」

トボトボと家に歩いて帰ると、聞き慣れた猫の声が聞こえてきた。

慌てて辺りを見回すと、近くの路地裏から猫が走り寄ってきた。

猫「男!!」

男「お前…どこ行ってたんだよ!心配したんだぞ!」

猫「ごめんね、もうどこにも行かないから…

許してくれる?」

男「許すよ、許すけど…

もう絶対、俺から離れるなよ。絶対だからな!」


今日。

男「どういうことだよ…

どういうことなんだよ!」

猫「男、あなたの子供が今お腹にいるのよ」

男「嘘だ!だって…そんなことあるわけねえ!」

猫「男、お願い、信じてよ…」

男「うるさい!あの時か!?

引っ越してきたばかりの時、お前家を飛び出してったじゃねえか!

あの時に浮気したんだろ!?そうなんだろ!!」

猫「違う!ねえ、聞いてよ…」

男「ああああああ!黙れ黙れ!」

俺はあの時の猫のように家を飛び出して、走り続けた。


そうだ…そして、俺はここに来たんだ。

ここから海に向かって飛び込めば、死ねるだろうか。

猫との思い出を振り返ってみたけど、やっぱり俺は…

俺には猫しかいなかったのに。

あいつは俺を裏切った。

猫のために、家族とも友達とも縁を切ったのに。

俺には、猫しか。

だから


男「さよなら」


Aパートおわり


Bパート


男「猫と結婚することにした」


父「ふざけるな!自分が何を言ってるか分かってんのか!?」

母「お父さん、落ち着いて…男も、もう一度よく考えて…」

男「俺は自分が何を言ってるか、ちゃんと理解してるよ。俺は真剣なんだ」

父「出て行け!お前はもう息子でも何でもない!」

母「なんてことを言うの!?やめてよ!

…ねえ、男、一緒に病院に行きましょう?ね?」

男「…クソっ!もういい!こんな家2度と来るか!」

母「待って!お願い!」

父「もうあんな奴は放っておけ!」


男「やっぱり、認めてくれなかったか…」

猫「にゃあ」

男「猫は悪くない!

母さんも父さんも、頭が固すぎるんだよ。

だから、猫が謝る必要はないんだ。

謝らないでくれ…」

猫「にゃあ」


男「はい…はい…そうですか。

いえ、こちらこそ無理を言ってすみませんでした。

ありがとうございました」ガチャ

猫「にゃあ」

男「ん?ああ、式場を予約しようと思って…

でも、どこも断られちゃったよ。

…ああ、そんな顔すんな!

俺は、別に結婚式を挙げられなくても、法的に結婚できなくても、いいんだよ。

ただ、お前と一緒にいられればそれでいい」

猫「にゃ~ん」

男「ごめん///でも、本当にそう思ってる。

でも、このまま何もしないのもなんか釈然としないというか…

親しい友達だけ呼んで、家でお祝いするとかどう?」

猫「にゃー」


男「だから結婚するんだって!

…ああ?病院?もういい!

てめえがそんなに心の狭いヤローだなんて思わなかったよ!」ガチャン

猫「にゃ~」

男「あ…びっくりした?ごめん…

お祝いに誘おうと思っていろんな友達に電話したんだけど、みんな断られたよ…

ごめん…ごめんね…」ポロポロ

猫「にゃ~ん」

男「猫…ありがとう。

ありがとう…」


プルルルル

プルルルル

猫「にゃー」

男「はーい!今出る!

もしもし。…はい、そうですけど…

え?取材?テレビ!?いえ、それはちょっと…

はい…すみませんが、お断りします。」ガチャ

猫「にゃあ」

男「んー?

猫と結婚した男として、テレビに出てくれないかってさ。

出てもどうせバカにされるだけだろ?断ったよ」

猫「ごろごろ…」

男「はは…猫がテレビに出たら、あっという間にお茶の間の人気者かもね」


男「ここが俺たちの新しい住処だぞー!」

猫「フー…」

男「前より狭いアパートだけど、俺の在宅システムエンジニアの仕事じゃあ、

まだそんなに貯金もなくてさ」

猫「…にゃっ!」

男「あっ!?ちょっと、待って!」


男「ハァハァ…見失っちまった…

どこ行ったんだよ…

あいつがいないと、ダメなんだよ…

俺は、あいつがいないと…」


男「くそ、全然見つからねえ…

冷えてきたし、一旦上着とりに帰るか…」

猫「にゃあ」

男「お前…どこ行ってたんだよ!心配したんだぞ!」

猫「にゃあ」

男「許すよ、許すけど…

もう絶対、俺から離れるなよ。絶対だからな!」


男「どういうことだよ…

どういうことなんだよ!」

猫「にゃ~」

男「嘘だ!だって…そんなことあるわけねえ!」

猫「にゃーん」

男「うるさい!あの時か!?

引っ越してきたばかりの時、お前家を飛び出してったじゃねえか!

あの時に浮気したんだろ!?そうなんだろ!!」

猫「にゃあ」

男「ああああああ!黙れ黙れ!」


男「さよなら」


Bパートおわり


おまけ


男「う…



ここは…



砂浜?



俺は



生きてるのか…



どこなんだここ…」


男「とりあえず歩いてみたけど



そんなに大きくもない無人島?なのかな



外周をぐるっと回って



また砂浜に戻ってきた



これからどうしよう…







あれは?



なんだ?」



エイ「…」スイー



男「…



エイだ…







お前が助けてくれたのか?」



エイ「…」スイスイ



男「…



ありがとう…」


男「エイと結婚することにした」


おわり


駄文失礼しました。転載自由です。

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