少女「星空に沈む」(16)

次は……ーション…はくち……

少女「もうすぐ白鳥ステーションだって」

眼鏡娘「ん……え、もう?早くない?」

少女「前の駅から一時間かかったよ。いやしかし、爆睡だったね」

眼鏡娘「最近疲れていたからなぁ…」ゴシゴシ

少女「夜更かしは身体に毒だよ」

眼鏡娘「はいはい」

ザワザワ

少女「お客さんがほとんど降りちゃった」

眼鏡娘「団体さんかな」

少女「そうみたいだね」

眼鏡娘「団体旅行もいいけど、こうやって女二人の旅もいいですな」

少女「ですな」クスクス

眼鏡娘「しばらく停車しているのかな」

少女「だって。車掌さんが行ってたよ」

眼鏡娘「眠気覚ましにちょっと出歩いてみる?」

少女「そうしよっか」

眼鏡娘「なんか見所あるのかな?」

少女「えっとね、海があるって聞いたよ」

眼鏡娘「海かー、しばらく行ってなかったからウズウズする」

――海

少女「わあ、綺麗なところ」

眼鏡娘「ベンチもある。ここで誰かが海を眺めているんだろうね」

少女「でも、今は誰もいないよ?」

眼鏡娘「今はみんな仕事とかで引っ込んでいるんじゃないの?」

少女「そうなのかな」

眼鏡娘「それか恥ずかしがりやさんなんだよ」

少女「じゃあ恥ずかしがりやさんのために、ここから出ようか」

眼鏡娘「そうしよう」

――列車内

少女「うわ、うわわわ」ドタバタ

眼鏡娘「あっぶねぇ、危うく乗り遅れるところだった」ドタバタ

少女「意外と遠くまでいっていたんだね」

眼鏡娘「しかも迷ったからね」

少女「あなたの方向音痴ぶりには閉口せざるを得ない…」

眼鏡娘「ひどいなぁ!そっちも指摘しなかったから同罪やん!」

少女「ほ、ほら、自分で間違いに気づかせようと思って」

眼鏡娘「なるほど、わたしが成長するようにと」

少女「そういうこと!」

眼鏡娘「…って、結局どちらも道分かんなかったってことだよなぁ!?」

少女「……えへへっ」

眼鏡娘「笑って許されると思うなよー?」ギュウ

少女「いひゃいいひゃいごひぇんごひぇん」

眼鏡娘「柔らかい」ムニムニ

少女「うにゃー」

ピィーーーー…

シュッシュッシュッ

眼鏡娘「動き出した」

少女「わぁ、見て!いっぱい鳥が飛んでる」

眼鏡娘「あれは鷺かな。田んぼでタニシ食べているやつ」

少女「星空がバックだと神々しさを覚えるね」

眼鏡娘「あんまり身を乗り出すな。落ちるぞ」

少女「大丈夫、今ならあの鳥達が私を助けてくれる気がする!」

眼鏡娘「希望観測かい。鳥もいい迷惑だ」

少女「なんだっけ?織姫と彦星が会うときに橋がわりになる鳥」

眼鏡娘「あれはカササギ」

少女「鷺と似たようなもんか」

眼鏡娘「似てない似てない。羽がある以外似てない」

少女「ああいう織姫達みたいな恋愛してみたいよねー」

眼鏡娘「あれ初めて娯楽を覚えてのめり込む怖さを教えてるようにか思えない…」

少女「考えすぎだよ」

少女「私さ、あれ好きだったな。小学校の給食の特別メニュー」

眼鏡娘「あの星形のゼリーが入ったゼリー?」

少女「ダブルゼリーで分かりにくいけどそれ」

眼鏡娘「特別メニューはじゃんけん戦争が過熱していたよね」

少女「あとあげパンね」

眼鏡娘「あれは美味しかったなぁ…小学生が羨ましい」

少女「私たち中学校から弁当になったもんね」

眼鏡娘「懐かしく思うデザートは、豆、ひなあられ、あと七夕星ゼリー」

少女「季節感を感じられるデザートだね」

眼鏡娘「豆はどうなんだろう」

少女「あれは投げるためのものでしょ」

眼鏡娘「そうなの?あ、あと甘い餅が入ったちまき美味しかった」

少女「フルーツポンチもね」

眼鏡娘「戻りたいなぁ」

少女「戻れないんだなぁ」

車掌「……」ヌッ

少女「」ビクッ

車掌「切符を拝見します」

少女「はい」スッ

眼鏡娘「はい」スッ

車掌「ありがとうございます」パチンパチン

少女「……びっくりした…」

眼鏡娘「いきなり現れたもんね」

少女「でもあの人、いたって普通のおじさんだったね」

眼鏡娘「何を期待してたの?」

少女「黒い塊みたいな影みたいな車掌さん」

眼鏡娘「そりゃ999だ。この列車とは違うよ」

少女「メーテルに会いたくない?」

眼鏡娘「いちいち危険に晒されるじゃない」

少女「確かに。私だったらすぐ終了してそう」

次はー、鷲の停車場……

眼鏡娘「誰か乗ってくるみたい」

少女「本当だ。女の子がふたり」

トントン

不良娘「結構空いてるんだな」

短髪娘「あっちに他のお客さんいるよ。行こう」グイ

不良娘「引っ張るなよ…」

眼鏡娘・少女「こんにちは」

不良娘「こんちは」

短髪娘「こんにちは。隣のボックス席に座りますね」

少女「……」ジッ

不良娘「あ?ああ、これか」

眼鏡娘「タバコ?」

不良娘「火はついてねぇよ。こいつが煩くて」

短髪娘「だって!」

不良娘「分かりました分かりました、お説教はもういいですぅ」

少女「あはっ、仲いいんですね」

不良娘「なんでか知らないけど何故かな」

少女「仲良しの二人旅は楽しいよね」

短髪娘「そりゃもう」

眼鏡娘「」ジッ

不良娘「……今度はなんだよ」

眼鏡娘「その制服可愛い……」

短髪娘「ジャージも可愛いんだよ?この子にはあんまり似合わないんだけど」

不良娘「なんつった?」グリグリ

短髪娘「うぎゃー」

少女「すごい仲良し」コソコソ

眼鏡娘「ね」コソコソ

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