平塚「……」 八幡「先生?」 (47)
以前書いたSSのリテイク版です。
よろしくお願いします。
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奉仕部
平塚「比企谷? 帰ったんじゃなかったのか?」
八幡(……先生、目が赤いな)
八幡「いつもの置いておいた本を持ち帰るのを忘れてたんですよ」
平塚「それなら明日来れば良かったじゃないか」
八幡「明日から春休みですよ? ただでさえ休みが短いのに、わざわざ取りに学校に来るとかあり得ませんよ」
平塚「君らしいな」
八幡「先生はどうしてここに?」
平塚「……まぁ、いろいろとな」
八幡「マリッジブルーってやつですか?」
平塚「……似たようなものだ」
八幡「良かったじゃないですか先生。結婚してくれる物好きな男がいて」
平塚「本当に居るといいんだがな」
平塚「……なぁ比企谷、このあと暇かね?」
八幡「実は家がアレでアレなんですよ……」
平塚「誤魔化すならもう少しうまくやるんだな」グイッ
八幡「お、横暴だ! 本当に家がアレなんですって!」
平塚「そうか。君の家がそこまで大変なら、教師として家庭訪問をしよう」
八幡「……」
平塚「決まりだな」
八幡「なにするんすか? 残業代はきっちり貰いますよ?」
平塚「安心しろ。なにか雑用をさせるわけじゃない」
平塚「どこか飯でも食いに行こうと思ってな」
八幡「……金ないっす」
平塚「大丈夫だ。私が奢ってやろう」
八幡「女性に奢ってもらうのはちょっと……」
平塚「ほう」
八幡「なんすか?」
平塚「君も成長したんだと思ったのだよ。以前は将来はヒモになりたいなんて、恐ろしいくらいのダメな生き方に憧れていたじゃないか」
八幡「ヒモじゃなくて、専業主夫ですよ」
平塚「私には違いがわからないよ」
八幡「どこ行くんですか?」
平塚「前に君と行ったラーメン屋だよ」
八幡「ああ、先生が親戚の結婚式を抜け出した時に行ったラーメン屋ですか」
平塚「覚えてくれていたのか」
八幡「……忘れるわけないじゃないですか。あの時、お父さんから孫が早く欲しい的な話されてましたよね。……余計なお世話かもしれませんが、早く孫の顔見せてあげた方がいいっすよ」
平塚「比企谷、知ってるか? 人間は強いショックを与えると記憶を無くしたりするらしいぞ」ポキポキ
八幡「ぼ、暴力反対です! 人を殴っちゃいけないって教わらなかったんですか!」
平塚「言葉の暴力を振るっている人間がそんな事を言っても説得力はないな」ジリ
八幡「な、殴るのは……」
平塚「……」ナデナデ
八幡「え、えっ?」
平塚「……さぁ、行こうか」
ラーメン屋
八幡「先生って、濃い味が好きですよね」
平塚「そうだな。なんでも、濃いほうがいい。人間だってそうだ」
八幡「顔が濃いのがタイプなんですか?」
平塚「馬鹿者。個性とかそういうものだ。最近は癖のある生徒が減ってしまってな。正直、退屈だよ」
八幡「でも、教師としては手間が掛からない生徒の方がいいんじゃないですか?」
平塚「そんなことはない。面倒な生徒ほど可愛く思えるものだよ」
八幡「そういうもんですか……?」
平塚「ああ、そういうものさ。……だから、私は君が気になってしまうんだろうな」
八幡「……それ、俺が面倒って言いたいんですか?」
平塚「君のそういう捻ねくれてる感性も、私は好きだよ」
八幡「……俺は素直ですよ。世の中が曲がってるんです」プイッ
平塚「まぁ、そういうことにしといてやろう」ニヤ
平塚「……」ズルズル
八幡「……」ズルズル
平塚「ふぅ……ここは相変わらず美味しいな。いつまでも、この味は変わらないでいてほしいものだ」
八幡「そうそう味なんて変わるもんじゃないでしょう?」
平塚「そうか? ある店は厨房に立っていた人がやめたら、まったく別物になっていたこともあったぞ」
八幡「仕方ないですよ。飲食店は頻繁に人が入れ替わっていくもんですし」
平塚「……そうだな。いつまでも留まっている事なんて出来るわけないんだ」
八幡「先生……?」
平塚「あ、いや……なんでもないんだ……」
八幡「?」
平塚「な、なんだその……私だっていつかは結婚したりするだろうしな!」
八幡「あー。そうですねー」
平塚「……もう少し、真剣に答えろ」ギロ
八幡「せ、先生ならすぐにでもできますよ!」
平塚「それが出来ないんだよなぁ……」ガックリ
八幡(誰か貰ってやってくれよ……)
八幡「ごちそうさまでした。美味しかったです」
平塚「気にするな。君には楽しい思いをさせてもらったからな。そのお礼だよ」
八幡「いや、別に俺はなにも……」
平塚「君と過ごした、この1年間は大事な思い出だ。私の教師人生のなかで、もっとも濃密な時間だった」
平塚「ありがとう」
八幡「……なら、もっと奢ってもらわないと割りに合わないですね」
平塚「まったく最後まで素直じゃないな君は」
八幡「え?」
平塚「気をつけて帰るんだぞ」スタスタ
八幡(最後……?)
3月31日 比企谷家
小町「お兄ちゃん、携帯鳴ってるよ?」
八幡「おー」 ピコピコ
小町「結衣さんじゃん。出なよ」
八幡「いや、ほら父親がアレだから……」
小町「お父さんなら仕事中だよ。まぁ、アレだけど」
八幡(親父が聞いたら泣くだろうなぁ……)
小町「あっ、切れた」
八幡「お、そうか!」
小町「なに喜んでるのさ……ほら、かけ直したから」ポイッ
八幡「お、おい!」
結衣『もしもし、ヒッキー?』
八幡「何の用? 俺、忙しいんだけど」
結衣『はぁ……もう少し考えて嘘ついてよ。ヒッキーが忙しいとかあり得ないから』
八幡「……」
結衣『平塚先生が異動しちゃうみたいなの』
八幡「は?」
結衣『ほら先生達の人事って新聞に載るじゃん? それに書いてあって、海浜総合に行くみたい』
八幡「……」
結衣『だから、今日の夜にでも送別会を……ヒッキー聞いてる?』
八幡「……悪い」
結衣『えっ、ちょ……』ツーツー
総武高 奉仕部
平塚「……」
八幡「先生、ここにいたんですか」
平塚「どうした? 春休みは休みが短いから学校に来るなんてあり得ないんじゃなかったのかね?」
八幡「そうなんですけどね。先生が異動するって聞いたもので」
平塚「……新聞で発表されるんだったな」
八幡「どうして教えてくれなかったんですか」
平塚「教師には守秘義務があるからな」
平塚「だから君だけに特別に教えるなんてできないのだよ」
八幡「先生……」ジッ
平塚「……ただ、かっこつけたかっただけなんだ」プイッ
八幡「……え?」
平塚「君ともっと一緒に居たかった。君の成長していく姿を見守りたかったんだ……」
平塚「だから、君に異動すると伝えるとき私は泣いてしまうから……」
平塚「そんな姿を君に見られたくなかったんだ……」
八幡「先生のダメなところをたくさん見てきたのに、いまさらそんなの気にしなくても……」
平塚「……そうだな。私は君に情けない姿を見せてきたな」
八幡「それに……先生はかっこつけなくても、素敵ですよ」
平塚「比企谷……」
八幡「まぁ、殴られたり、ワケわかんない部活に入れられたり、思うところはありますけど……」
八幡「でも、こんな俺を面倒見てくれたこと感謝してます」
八幡「……ありがとうございました」
八幡「それに異動しても、先生ともう二度と会わなくなるわけじゃないんですから」
平塚「そう、だな……ラーメンでも食べに行こう」
八幡「まぁ、暇なら付き合いますよ」
平塚「なら、大丈夫だな。君はいつも暇だろう?」
八幡「……どうですかね」
平塚「そうだ。君が20歳になったら飲みに行こう。その時には私は幸せな家庭を築いているだろうがな!」
八幡「へー。当てでもあるんですか?」
平塚「……いや、ないな」ガックリ
八幡「なら、その時にしてなかったら、俺を養ってください」
平塚「! お前……」
八幡「……物好きな男が一人ぐらい居てもいいじゃないですか。それに先生が結婚してなかったらの話ですから」
平塚「……そうか。なら、待っているよ。君が迎えに来るのを」
八幡「どうですかね。いい人が現れたら、そっちに靡きそうな気がしますけど」プイッ
平塚「私はそんなに信用がないのかね」
八幡「……まぁ、そうっすね」
平塚「……比企谷、こっち向け」
八幡「なんすか」クルッ
平塚「……」チュ
八幡「な……」カァァ
平塚「続きは、君が迎えに来たときにしよう」
平塚「だから、必ず迎えに来い。待っているよ」
END
以上っです。
ありがとうございました。
若い彼氏に釣り合うようにと若い娘向けの服を物色しているところを、八幡に目撃されて涙目で恥ずかしがる静ちゃんペロペロ
>>32
さぁ、続きを書きたまえ
>>33
お前が書くんやで
>>36
平塚「……」ルンルン 八幡「先生?」
平塚「ひ、比企谷……」
八幡「こんなところでなにしてるんですか? ……その手に持ってる服は買うんですか。ずいぶん短いっすね」
平塚「こ、これは、その……。似合わないか……?」
八幡「そんなことないっすけど……。あんまりそういうの着てるイメージがなかったんで……」
平塚「……若い子はこういう露出の多い服着てる方が好きって聞いたから」
こうですか? わかりません!
つづけて?
>>38
オチが思いついたら書くよ。
書いてくれ
いやマジで
このSSまとめへのコメント
ごちそうさまでしたっっっ‼