花子「大怪盗大室花子だし!」 (33)

・花子

最近巷で話題の天才怪盗。赤い背広と長い髪が印象的。
先の先まで計算して、狙った獲物は逃さない(というのは自称で、結構とりこぼす)。盗むものには実はそこまで執着がなく、盗み出す行為そのものに美学を感じており、盗み出した宝が海に落ちようが気にしない。
基本的な社会ルールはちゃんと守るし、容姿端麗で常識的である。無駄な殺生はせず、無銭飲食などの軽犯罪も起こさない。実は未来と同じくらい拳銃の腕がたつ。
二人の姉も怪盗をやっており、誰が一番の怪盗かを盗み出した宝で張り合って決めているらしい。
憧れはルパン三世。


・未来

中折れ帽子のリボルバー使い。早打ち0.3秒(いっぱい練習した)。花子への信頼が厚く、いつも楽しんで泥棒をやっている。花子を狙う危険は全部未来が先に撃ち落す。銃を撃つときは「ばきゅーん!」と言う。
花子の相棒になりたくて頑張っている。花子はもう立派に相棒だと思っているが、「相棒として恥ずかしくないように」とか「相棒として釣り合うように」という固い信念を持っている。
ココアシガレットをよく咥えている。ライターで焦がすとカラメル化しておいしいらしい。
憧れはもちろん次元大介。


・こころ

斬鉄剣という仕込み刀を扱う和服の侍。本名は小川ここえもん、らしいがたぶん嘘である。みんなはこころと呼んでいる。
「こころ、頼むし」と言われると「おりゃー」という気の抜けた掛け声とともにあらゆるものをぶった斬る。いわく「刀は心で振るんだよー」とのこと。斬った後は「またつまらぬものを切っちゃったよー……」と哀愁めく。
未来との信頼関係が非常に厚い。未来に降りかかるトラップも全部斬ってあげる。
憧れは石川五ェ門。


・楓

花子一味でも一番不思議な雰囲気の女の子。大きなおっぱいで花子を骨抜きにする妖艶な子。
時には花子たちと手を組み、時にはお宝を横取りしちゃうこともあるが花子はメロメロなので逆らえない。お金や宝石への執着がすごい。
峰不二子が憧れ。


・みさき

あいしーぴーおーに入っている刑事。花子を捕まえるために毎日頑張っている。でも毎回ちょろまかされる。たまにいいところまでいって花子にワッパをかけるも、花子に色仕掛けでドキッとさせられてる間に逃げられたりする。でもめげない。
憧れは銭型警部。


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<ここは、富山県内の高級ホテル……>


あかり「ちなつちゃん、今日は素敵なディナーに招待してくれてありがとう~♪」

ちなつ「えへへ、たまにはね。こうでもしないとお金の使い道に困っちゃって困っちゃって」

あかり「さっそく乾杯しようよ、かんぱーい」かん

ちなつ「はい乾杯」かん

あかり「ちなつちゃんのドレス素敵だねぇ。すごく似合ってるよ」

ちなつ「もうあかりちゃんったら上手になっちゃって!///」きゃはは


「お客様」

ちなつ「?」

あかり「どうしたのウェイターさん?」

「お客様宛にお手紙が届いております」すっ


ちなつ「手紙……? 私が今日このホテルのレストランに来てることはごく身近な人しか知らないはずなのに……」

あかり「一体だれからのお手紙だろう?」

[ 吉川ちなつ様


今夜21時、そのもふもふの下で輝くルビーの髪留めを頂戴する


怪盗 大室花子 ]



あかり「な、なにこれ……!?」

ちなつ「これって予告状!? しかも大室花子って……あの最近話題の怪盗の!」

あかり「ルビーの髪留めって、今ちなつちゃんがしてるやつ?」

ちなつ「そう! これ実は超高級の天然ルビーで出来てて……値打ちにしたらこれだけで億単位なの!」

あかり「ひぇ~!」

ちなつ「くぅ、これを盗られるなんてとんでもないよ! あかりちゃん、今何時!?」

あかり「えっと……20時59分」

ちなつ「えー!? あと一分しかないじゃん! こういう予告状ってもっと前に届くでしょ普通!」

あかり「どうしよう、怪盗花子は時間にすっごく正確だって聴くよぉ! ひょっとしたらもうその辺にいるかも!」

ちなつ「くう、こうなったら安全なところへ隠すしかないわ! とりあえず髪留めを外して……」するっ

あかり「はいどうもありがとう」ぱっ

ちなつ「えっ、あかりちゃん?」

あかり「久しぶりとはいえ親友のことを忘れちゃ可哀想だし。たとえディナーの招待が来たとしたって、赤座あかりは21時には眠くなっちゃう人のはず……」しゅるっ

ちなつ「あーー!! あなたあかりちゃんじゃない!!」


花子「それにしても、こんな変装だけで盗れる簡単な代物とは思ってなかったけどなぁ……ま、この怪盗花子が確かに頂戴したし!」だだっ

ちなつ「きゃー待ってーー!! 私の髪留めぇ~~~!!」ぷんすか



花子「えへへ、ちょろいもんだし」たたたた

「そう簡単にいくかしら!!」

花子「えっ?」


みさき「こらーー花子! 今日こそ捕まえてやるんだから! 大人しくお縄にかかりなさい!」

花子「みさきち……! 毎度毎度ごくろうなことだし。でもよくここがわかったね」

みさき「予告状をはがきで出すバカがどこにいんのよ! 通報があったからみさきが時間ギリギリまでちなつさんに予告状を渡さないように手を回してたの!」

花子「あーあ、未来に予告状書くの任せたのが悪かったし……まあ成功したからいっか」

みさき「まだ成功なんかしてないんだけど? なぜなら花子はこのホテルから出られないから! このホテルは既に完全に包囲されてるのよ!」むふー

花子「包囲?」

みさき「今回こそはみさきも本気なんだから! エントランスに至らず全部の階に警備をつかせたの! ほらそこの警備兵二人っ、ぼやぼやしてないで花子を捕まえなさい!」


「「はっ!!」」


警備兵1「ええい大人しくしろー!」

警備兵2「そうそうー」

花子「あーん捕まっちゃったぁ」

みさき「やったー! ついに花子を捕まえたわ!///」ぴょんぴょん


花子「……ほんとにおめでたいし。それじゃ二人とも、帰る準備できてる?」

警備兵1「うん! 屋上にグライダー用意したから」

警備兵2「かえろー」

みさき「えっ? あれ? あれ?」


未来「うわっはっは! じゃーん♪」ばっ

こころ「事前に警備兵になりすましてたんだよー」ばっ

みさき「あ~未来とこころ! いつの間に~!」


花子「それじゃ帰るし!」

未来&こころ「「らじゃー!」」


みさき「こらー待ちなさい花子ーーー!///」

<アジト>


未来「えへへ、今回もうまくいったねー花子様!」

こころ「あざやかだったー」

花子「うん……簡単すぎてつまんなかったし。もっと張り合いのあるお宝はどこかにないものか……」


「ふーん、じゃあその髪留めもらってもいいの?」


花子「あっ、楓!!///」

楓「張り合いのあるお宝じゃなきゃ花子おねえちゃんは興味ないんだよね? だったら楓がそれもらってあげるの! 楓ちょうど髪留めが欲しいところだったの♪」

花子「あげるしあげるし! 楓のためなら何でもあげるし~♡」

未来「ちょっと花子様!? それあげちゃうの!?」

こころ「だめだよ未来~、花子様は楓ちゃんにメロメロだから、何を言っても無駄だよー」

楓「どーお? 似合う?」ちょこん

花子「超絶かわいいし~! きらきら透き通ってて綺麗で……」


花子「……あれっ!?」はっ


未来「んー、どしたの花子様?」

花子「こっ、この髪留め……偽物だし!!」

楓「ええっ?」


花子「本物ならスタールビーの輝きを持つはずなのに、この輝きは……色ガラスのそれだし!」

未来「なんでなんで!? 昨日ちゃんとちなつさんからとったんでしょ?」

花子「うん……ちなつさん本人もこれを偽物だなんて思ってないみたいだった。なのになぜ……」


こころ「そういえば花子様、私たちが出かけてる間に誰かからの音声メッセージが届いてたよー」

花子「メッセージ??」

『はーい花子久しぶりー! 私だよ私、櫻子おねえちゃんだよん♪』

花子「櫻子!?」


『ちなつちゃんの髪留めを狙うことにしたらしいけど、そうは簡単にいかないよ~? 本物の髪留めは実はもう私が盗んじゃったから! 今ちなつちゃんがつけてるのは偽物なんだよね~』

花子「なあっ! じゃあすりかえたのは櫻子……!」


『本物が欲しかったら私から奪い返してみることだね。まーへっぽこお子ちゃま怪盗の花子なんかには無理だと思うけど! あははははー!///』

『ちょっと櫻子! 早くお風呂入っちゃいなさい!』

『あーばかー! 今メッセージ録ってるどころだったのに向日葵の声入っちゃったじゃんも~~!』ぷつっ


花子「…………」

こころ「……だってよー」

未来「なーんだ、じゃあ私たちは最初からガラスの髪留めを狙って動いてたってことかぁ」

楓「本物は櫻子おねえちゃんが持ってるみたいなの」

未来「それにしてもなんでこんなメッセージ送るんだろう? 黙ってれば気づかなかったのに」

花子「これは……櫻子からの挑戦状だし」

未来「挑戦状?」

こころ「花子様の姉妹はみんな怪盗をやってて、誰が一番の大怪盗なのかをしょっちゅう争って対決してるんだっけ」

楓「それでこんなメッセージを……」


花子「……みんな、今日はちゃんと寝とけし。明日は櫻子と勝負するから」すたすた

未来「うわ、花子様が本気だ!」

こころ「えー見たいテレビあるからまだ寝られないよー」

楓「花子おねえちゃん、明日は楓も行くの。なんとしてもルビーの髪飾りを手にしてみせるの!」


花子(櫻子……受けて立つし!)ぐっ

<翌日>


向日葵「櫻子、そろそろ花子ちゃんが動き出す頃かと思いますけど」

櫻子「ふふん、準備はいつでもできてるよ。花子なんかじゃ私のお宝は盗めやしない」

向日葵「自信たっぷりですわね。花子ちゃんだって徐々に力をつけてきてますし、足元をすくわれないようにね」

櫻子「私が直々に花子の実力を確かめてあげるいい機会だ……いくら頑張ってもお姉ちゃんには敵わないってことを教えてあげなきゃねー♪」


向日葵「ところでルビーは今どこにあるんですの? 私にくらい教えてくれても……」

櫻子「それは残念ながら向日葵にも教えられないな」そっ

向日葵「えっ……」どきっ


櫻子「なぜなら……」

向日葵「な、なぜなら……?///」

櫻子「君は私の知ってる向日葵より、ちょーっとだけおっぱいが小さいからだ!」ばっ

楓「あーーっ!」


櫻子「やっぱり楓かぁ、向日葵に変装するにはおっぱいまでしっかり盛らないとだよ?」

楓「ちっ、ここだけはノーメイクで行きたかったの……!」

櫻子「ふふふ、さては花子の差し金だな~? ルビーは渡さないぞ!」だっ

楓「くぅ~、逃げられちゃったの……」




こころ「花子様、楓ちゃんからメール来てたよ。櫻子おねえちゃんに近づいたけど逃げられちゃったんだって」

花子「逃げたってことは、櫻子のアジトにルビーはない……自分で持って逃げてるのかもしれないし」

未来「じゃあ櫻子おねえちゃんを追いかけようよ!」


「その必要はないよ」

未来「だっ、誰!?」ちゃっ


櫻子「やー花子、おひさ~」きぃ

花子「櫻子! そっちから来てくれるとは好都合……ルビーはどこ?」

櫻子「その質問より先に私の質問に答えてもらおう。向日葵をどこにやったの?」

こころ「向日葵おねえちゃん……?」

櫻子「楓が向日葵に成りすましたのはわかったけど、肝心の向日葵本人をどこにやったかと聞いてるの! ひどいことしたらただじゃおかないぞ!」

花子「ふん、ひま姉にそんなことするわけないし。ただちょっと花子が櫻子に変装して『私たちの新婚旅行は熱海にしようか』って言ったら、目をハートにして熱海の下見に飛んでっちゃっただけだし」

櫻子「バカかあいつ!! くっそ~……///」

花子「さあ今度は花子たちの番だし。ルビーを持ってるなら今すぐ出して?」

櫻子「ふん、誰がそんなこと」

花子「櫻子……わかってないの? ここは花子たちのアジトだよ?」

未来「有利なのはぜったいてきに私たち……」ちゃっ

こころ「大人しく出さないと……」しゅら

花子「可愛いお顔が吹っ飛ぶことになるし!」じゃきっ

櫻子「はーん、吹っ飛ばしてみろっての!」べー


花子「未来っ! 櫻子を捕まえて!」

未来「えやーっ!」ばっ

櫻子「きゃーーー!///」ばたん


未来「わーい捕まえた! さあルビーを渡しなさい! 私があれを売ってそのお金でサイコロステーキ食べまくるんだから!」

こころ「わたしもコロッケいっぱい買うー」

花子「ほら櫻子、早く差し出さないと三人がかりで身体中を調べさせてもらうことになるけど?」

櫻子「どうぞお好きなだけー」ふんっ

花子「ええい強情な……! 二人とも、やれー!」

未来「おりゃーっ!」こちょこちょ

こころ「おりゃー」こちょこちょ

未来「あーっ! 花子様やばい!」

花子「?」

未来「櫻子おねえちゃんのおなか触ってみて! これロボットだよ!」

花子「何!?」ぐにぐに

櫻子『ばっかだなー、私がそんなところにのこのこ出向くわけないでしょ?』ざざー

未来「声はスピーカーで……動きはリモートコントロールだ! じゃあ本物の櫻子おねえちゃんはどこに……!」


櫻子『まさかこれしきのことも見破れないなんてねー。自分の才能の無さがわかったら花子は怪盗やめて私の専属メイドにでもなったら?』

花子「絶対やだし!!///」

櫻子『あっそう。それならー……』


こころ(!?)はっ


こころ「危ない!!」ずばしゅっ

未来「わー! こころ!?」

ぽとり


花子「これ……ロボットにプラスチック爆弾が!」

こころ「……爆発しないように切ったからもう大丈夫」ちんっ

未来「あっぶな! 三人がかりでくすぐってるところをどかーんされたらやばかったよ!」

花子「くっそー、絶対櫻子からルビーを盗んでやるし!」

こころ「でも花子様、櫻子おねえちゃんはどこにいったんだろう?」

花子「櫻子が今行きそうなところ……ふん、そんなのひとつしかないし」

未来「?」

櫻子「ちっくしょーバカ向日葵、花子の変装なんかに騙されちゃっても~……!」ぷんすか


櫻子「へいタクシー!」

ききっ


櫻子「はやくっ、急いで空港まで!」ばたん

運転手「あはは、そんなに急いでどこか行くんですかい?」

櫻子「ちょっと熱海までね」

運転手「おや、新婚旅行でも?」

櫻子「まーねー! 実は奥さんが一足先に向かっちゃっててさ、追いかけなきゃいけないんだ。あはは♪」

運転手「あらら、新婚とはいえお粗末にしたら花嫁さんが逃げっちまいますよ?」

櫻子「粗末なもんか。なんせ億単位の結婚指輪まで用意したんだこっちは」

運転手「おっ、億単位!?」


櫻子「二つの髪留めから作った二対のエンゲージリング……加工が終わってやっと完成したの。これを花子たちもいる前でかっこよく向日葵に渡して、そのまま一緒に熱海でハネムーンってのもありえるなぁ……にゅふふふ……///」でれでれ


櫻子「ん……あれ運転手さん? 空港はさっきの道でよかったんだよ? ほらUターンUターン」

運転手「ああすみません」

櫻子「さすがにタクシーで直接熱海に向かう時間はないんでね。さーて飛行機の時間でも調べようかなっと」ぽちぽち


運転手「……いいこと聞いちゃったの」ききっ

櫻子「へ?」

運転手「髪留めではなくなったみたいだけど、それならその指輪をいただいておくことにするの」ごそごそ

櫻子「あーっ! 楓いつの間に!! くっそー……!」がちゃがちゃ

楓「無駄なの! そのシートベルトは一度つけたらエンジンを切らない限り外れないようになってるの」

櫻子「なんだって!?」

楓「それじゃ車はここに置いとくから。指輪無しでもお姉ちゃんは結婚OKしてくれるはずだから大丈夫なのー♪」たたたっ

櫻子「わー待てこら、返せーー!///」じたばた


櫻子(くっそー、でもこんな時のために……)ごそごそ

櫻子「シートベルトなんかナイフで切っちゃえばいいんだもんね!」すぱっ


櫻子「楓のやつ、宝石となると途端に欲深いんだよな昔から……待てこのー!」たたたっ




未来「ほんとに空港で待ってたら櫻子おねえちゃんが来るの? 花子様」

花子「絶対来るし。櫻子はお宝への執着度も凄いけどひま姉への執着も凄まじいんだし」


『……ちゃん、花子おねえちゃん!』ざざー

こころ「あっ花子様、楓ちゃんから通信が入ったよ」


楓『やったの! 櫻子おねえちゃんからルビーを奪えたのー♪』

未来「えーすごっ! 楓ちゃんすごい!///」


楓『今空港の近くにいるの! 早く助けに来て欲しいの!』

花子「それならちょうどよかった、今花子たちも空港にいるからそのままこっちに来ちゃえばいいし!」

楓『わかった、今すぐ向かうの!』ざざっ

未来「よーしみんなで高飛びだー!」

花子「それじゃ、飛ぶ手配でもしよっか」

未来「ねーねーどこいく? 熱海? 熱海いいなー私熱海行ってみたい! っていうか熱海ってどこ?」

「熱海は静岡県だけど?」かちゃん

花子「わっ!?///」びくっ

未来「あーーっ!」


みさき「あーっはっは! ついに花子を捕まえたわー♪」

こころ「みさきちいつの間に……!」


未来「このー、 花子様を離……っ!」ちゃっ

「あらあら、空港でピストルなんか出していいと思ってるんですの?」かちゃん

未来「わー! 私にも手錠が!///」

こころ「あなたは……!」

みさき「向日葵お姉ちゃん、花子逮捕のご協力に感謝するわ!」

向日葵「いいんですのよこれくらい」くすっ

花子「ひま姉……っ! 熱海に行ったんじゃなかったの!?」

向日葵「私が一人でそんなところいくわけないでしょう? 櫻子がいれば間違いなく行きますけど」


花子「や、やられた……にしてもなんでみさきちと手を組んで……!」

向日葵「単純に利害が一致しただけですわ。私はルビーが戻ればそれでいい、みさきちゃんは花子ちゃんを捕まえられればそれでいい、って」

こころ「みさきちー、ルビーを盗った張本人は櫻子おねえちゃんたちなんだから、捕まえる相手を間違ってるよー」

みさき「そっちは後でなんとかするからいいの! まずは先に花子たちを捕まえるって決めてたんだから!」


『みんなー!』たたたっ

未来「あっ、やばい!」

楓「早く早く熱海でもなんでもいいから飛び……っ、て、お姉ちゃん!?」ききーっ

向日葵「待ってましたわよ楓。さあルビーを渡してちょうだい?」

花子「楓っ! 花子たちのことはいいから逃げるしー!」

「おおっと、もう逃がさないよ?」

楓「わ! 櫻子おねえちゃん!」

未来「あー挟まれちゃったよ~!」


向日葵「万事休す、ですわね」

櫻子「私たちの勝ちだ。指輪は返してもらうよ!」ぱっ

花子「え、指輪?」

未来「髪留めじゃなくて?」


向日葵「あら櫻子、吉川さんから盗ったのは確かにルビーの髪留めだったはず……」

櫻子「あ、い、いや……だから、髪留めが指輪になったっていうかそのぉ……///」もじもじ

楓「なんだ櫻子おねえちゃん、ちゃんとプロポーズするの初めてなの?」

みさき「えっプロポーズ!?///」

花子「櫻子が……ひま姉に?」

向日葵「櫻子?」

櫻子「うぅ……もうちょっとかっこいい形で渡したかったんだけど、こうなりゃ仕方ない……こほん……///」


櫻子「実は……あのルビーを使って私たちの指輪を作ったんだ」ぱかっ

向日葵「!」


櫻子「愛と情熱の宝石ルビー……私と向日葵をこれからも離さない、そんな約束のリングだよ……受け取ってくれる?」

向日葵「さ、櫻子……!///」うるっ


みさき「うぅ……感動的ね……///」ぽろぽろ

未来「なんで泣いてんのみさきち」

こころ「ひゅーひゅー」ぱちぱち

花子「意味わかんないしこの状況……だいたいひま姉にルビー渡すんだったら花子たちに挑戦状なんか送るなし!」

櫻子「うるさいな! 花子たちもそこで私たちを祝うがいいよ!」

向日葵「……櫻子、ちょっと」つんつん

櫻子「ん、なに?」

向日葵「これって本当にルビーなんですの?」

櫻子「あったりまえじゃん、ちゃんとちなつちゃんの髪留めから加工して作ったピジョンブラッドの超高級ルビー……ってあれ!? なんだこれ!?」

向日葵「どう見てもガラスなんですけど……」

楓「ほんとだ、これ全然ルビーじゃないの」


ぴんぽんぱんぽん♪

『お客様のお呼び出しを申し上げます……富山県からお越しの……大室櫻子様と……大室花子様……お連れ様がお待ちです……中央ロビーにお越しくださいませ……』


櫻子「え、呼ばれた今?」

向日葵「お連れ様って……一体誰かしら? 私たちつい今しがたここに来たばかりなのに」

花子「みさきち、花子呼ばれたから中央ロビー行かなきゃ」

みさき「何言ってるのよ逃げるつもりでしょう! みさきがこのままみんなを連行してあげるわ」

<中央ロビー>


ちなつ「あっ来た来た♪」


櫻子「あれ、ちなつちゃん!? ちなつちゃんが呼び出したの?」

花子「どうしてここに……!」

ちなつ「会えてうれしいわ怪盗大室姉妹。ルビーを巡ってひと悶着あったみたいね?」

未来「なんでそれを……」


楓「あーっ! あなたがしてる髪留めは……!」

ちなつ「うふふ……そう、本物のルビーの髪留めはご覧のとおりここにあるの!」ばーん


櫻子「な、なんで!? 確かに私が盗んですり替えておいたはず……!」

ちなつ「実は私、櫻子ちゃんにガラスとすり替えられた段階でとっくに気がついてたの。でも気づいてないフリをして、その間に腕のいい人にお願いして取り返してもらったってわけ♪」

花子「腕のいい人……?」

ちなつ「その人から手紙を預かってきてるよ。読んでみたら?」ぱさっ

[ 櫻子へ


ルビーの髪留めは確かに私が頂戴した。

お友達のものを盗むなんてとんでもないよ。結婚指輪には違う宝石を使いな。


怪盗 大室撫子 ]


櫻子「うぎゃー! ねーちゃんだ!!///」

花子「なるほど、指輪に加工する段階で撫子おねえちゃんの手が回っていたと……」

向日葵「これはやられましたわね。一番裏の裏まで読めていたのは撫子さんだったと」

櫻子「指輪にしようとしてたとこまでお見通しだなんて……あーもー、くやし~~!」

ちなつ「身に沁みたらもう金輪際こういうことはやめてね? もしまた盗んだらこっちもまた怪盗撫子に依頼して、櫻子ちゃんたちのおしりをぺんぺんさせちゃうから」

櫻子「ひぇ~やだ~!」

みさき「これにて事件は一件落着! さあ花子たちには檻の中での楽しい生活が待ってるわ、行きましょ~♪」

未来「なんで私たちだけ!? 櫻子おねえちゃんたちも捕まえなよ~!」

櫻子「向日葵、指輪は後で別のを用意するから先に熱海行こうか」すたこら

向日葵「ええそうですわね」たたたっ

花子「うわ逃げたし」

みさき「あっちの二人は花子逮捕の協力人だからいいの。でもいずれみさきがとっ捕まえてあげるんだから! ……あーもしもし、いんたーぽーるのみさきだけど空港にパトカーを2台ほど回してもらえる? 指名手配犯を四人も捕まえちゃったから……」



楓「ん~残念だったの。完敗なの」

花子「花子も櫻子も、元は撫子おねえちゃんに色々教わって怪盗になったけど……でもめげないし。いつか絶対お姉ちゃんも超えた大怪盗になってやるんだから!」

未来「おおっ、それでこそ花子様だよ!」

こころ「かっこいー」ぱちぱち

みさき「さっきからうるさいわよあなたたち! これから一生牢屋の中で暮らすんだから大怪盗なんてもうなれないのよ!」

未来「ところで話は変わるけど、みさきちさっきの指輪渡すシーン見てうっとりしてたね」

こころ「あこがれだったの?」

みさき「えっ!?///」どきっ


花子「へえ、みさきちああいうの好きなんだ」くすくす

楓「じゃあ花子お姉ちゃんに指輪プレゼントしてもらったら? 花子お姉ちゃん綺麗なのたくさん持ってるの♪」

みさき「はっ、花子から指輪を!?///」ぽわぽわぽわ


――
―――

花子「みさきち、手を出して?」

みさき「?」

花子「はいこれ。ダイヤの指輪……もらってくれる?」すっ

みさき「あ、ありがとう花子……! 凄く綺麗……」

花子「ううん、そんなのまだまだ全然だし。花子はもっと綺麗で美しい宝石を知ってるし」

みさき「え、それはなに?」

花子「それはね……」


花子「みさきち、君だよ」

みさき「っ!!///」どきっ


花子「花子は指輪はいらないから、みさきちにずっと傍にいて欲しいし……」ぎゅっ

みさき「は、花子ったら……!///」

―――
――

みさき「そんなこと言われたらみさき倒れちゃうんだけど~~!///」きゃー

警官「み、みさき警部!?」

みさき「きゃあっ! な、なによ脅かさないで!」

警官「いえ、パトカーを回せというので用意したのですが……」

みさき「あらありがとう。それじゃこいつらを…………って、あれ?」


警官「あの、捕まえた犯人たちはどちらへ……?」

みさき「…………」きょろきょろ


警官「あ、みさき警部の背中に何か紙がはりつけてあります!」

みさき「みっ、見せなさい!」ぱっ

[ みさきちへ


指輪の代わりに手錠をプレゼントするし


怪盗 大室花子 ]


みさき「手錠って……きゃあ! いつの間にかみさきの腕に手錠が四つもついてるんだけど!!」じゃらん

警官「これはその四人にとりつけたものでは!? どうやら逃げられた模様であります!」

みさき「もー花子め~~!! 次こそは絶対とっつかまえてふんじばって、みさきのおしりの下に敷いてやるんだから~~~!!」ぷんすか



~fin~

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