痴早「如月痴早です」(135)


「…初めまして、如月痴早です」


「…こちらこそ…初めまして。まさか君みたいに若い娘が相手してくれるなんてねェ…」

「…では…さっそく」

それだけ言って、私はその男のズボンに手をかけた。

…すでに血が巡って固くなったものを取り出す。

取り出して、口に含んだ。

「んっ…ちゅっ…ふぅ…」

さっさとこの時間が終わればいいと…そう思いながら

―――――

「うーん…実に良かったよ、千早ちゃん。そっちのお口は特別に残しといてあげよう。」

「…ありがとうございます」

…いままで相手をしてきた男たちは全員が口だけで満足した

だから、私の処女はまだ奪われてはいない…

そう、『まだ』。

どうせいずれはなくすモノだ

「じゃあ、今度の番組、よろしくね」

「…はい、では…失礼します」


家に帰って、私はすぐに胃の内容物を吐き出した

「はぁっ…はっ…汚い…汚い汚い汚い汚い!
私の…私の喉は、あんなことをするためにあるんじゃないのに!
私の口はあんな…あんな…!」

こんな時でも、自分のそばにいてくれる人はいない


そんなある日のこと

「…プロデューサー…?」

私の所属する事務所にプロデューサーがやってくるらしいという話を聞いたのは

「うん!社長が言うには若年寄で便箋らし→よ!」

「真美、それを言うなら若手で敏腕…じゃないのかしら?
亜美も同じ間違い方をしていたわよ?」

「えっマジですか!?こ…これは気を付けないと…」

「気をつけないと?」

「亜美のほうがモテモテだよ→!!うあうあ~!
じゃあね!千早お姉ちゃん!真美はシュギョーの旅に出るよ!」

言うが早いか、真美は事務所を出てどこかへ行ってしまった…

それにしても…

「『千早お姉ちゃん』…か。ふふっ…」

彼女と話しているとなんとなく心が温まる気がするのは、気のせいじゃないのだろう


「千早ちゃーん!聞いた!?この事務所に」

「プロデューサーでしょ?今、真美から聞いたわ」

「うっそ!?くそー…やるな真美め…」

「春香は…今日、仕事は?」

「今日は…っていうより今日もないよー…」

「そうそう!今うちの事務所で仕事があるのは美希と千早さんくらいなの!」

…違うのよ、美希

本当の意味で仕事があるのは、あなただけ

「はー…私も美希みたいにないすばでーだったら…」

「音痴だからどっちにしろ無理だって思うな!」

「大丈夫よ…私は春香の歌、好きよ」

「えー…千早さん…美希の歌はー?」

「もちろん…大好きよ」

「やったの!千早さん大好き!」

…私も、大好き


「千早ちゃん?ボーっとして、どうかした?」

「いえ…」

春香たちがどこかへ行ってしまった後、音無さんが話しかけてきた

たまに変わったことをするが、基本的には面倒見がいい人だ

「ただ…今度来るプロデューサーがどんな人なのかと」

「私、もう直接会ったわよ?」

「本当ですか?」

「えぇ。すごくかっこよくて優しそうだったわ。身長も高いし…」

「…もしかして、オトコノヒト…なんですか?」

―――――

サイアクだ…社長は何を考えているんだろう?

女ばかりのプロダクションに、よりにもよって男を…

どうせ男なんて、女と厭らしいことがしたいだけのケダモノなのに。

私はそのことをよく知っているからいいものを…

もし、765プロのみんなが私みたいになってしまったら?

その時は…

「コロシテ、ヤル」


「…と、いうわけで彼が今日からプロデューサーをやってくれる…」

社長が何か言っているが、全く耳に入らない

ただただ…その男をじっと見つめる

愛想笑いを浮かべた軽薄そうな顔

みんなうれしそうににこにこしているが…

あの男の優しそうなあの眼は、女を食べ慣れたオオカミの眼だ

オオカミの眼と…目が逢った

「…よろしく、千早ちゃん」

「…はい。よろしくおねがいします」


「真美だよ→!よろしくね、兄ちゃん!」

真美の何気ないその言葉に、少し…心が痛んだ

一人一人が、自己紹介をしていく

「ふーん…よろしくね、そこの人」

「よろしくお願いします!プロデューサーさん!」

「アンタに私のプロデューサーが務まるわけ?」

「あらあら~」

…反応は人によってまちまちだが、悪い反応をしている者はいない

水瀬さんがツンツンしているのはいつものことだし、

美希の男性への対応はだいたいあんなものだ

―――――

プロデューサーがここにきて、数日たった

仕事ぶりは上々。

みんなのスケジュール表に、空欄が少なくなってきている

「千早ちゃん…この仕事なんだけど」

「私はどんな仕事でも受けますからいちいち聞かないでください」

「…あっそ。わかったよ。んじゃ今日は…」

「この後、番組の収録ですよね?真美と一緒に。」

「はぁ…なんか俺にだけきつくないか?なんかしたっけ、俺?」

「いえ、別に。送迎は?」

「…へいへい…」


番組収録の休憩時間、真美が話しかけてきた

「千早お姉ちゃんサー…兄ちゃんにきつくない?」

「そうかしら?あなたたちがなつきすぎてるだけだと思うのだけれど…」

真美の人懐っこさは魅力なのに、どうしても責めるような言い方になってしまう

「えー…でもでもー…
真美がこうやって千早お姉ちゃんと一緒に番組に出られるのも
プロデューサーのおかげなんだかんね?」


それを言われると…そうなのだが

「そうね…その点は感謝してもいいと思っているわ」

「まー千早お姉ちゃんは売れ売れだったから
あんまり兄ちゃんのありがたみわかんないかもしんないけど~」

「…そんなこと、ないわ」

そんなこと、ない

だって私は…今夜も


「んっ…あぁ…っ…あっ…」

「さすがに歌が売れてるだけのことはあるっ…いい声じゃないか…
尻の穴がそんなに気持ちいいのか?」

馬鹿ですね、本当に。演技かどうかも分からないなんて

そう言いたいのを必死でこらえて、ただ、喘ぐ

私はついに…お尻への挿入を許してしまった

「…ほら!言ってごらん…どこが気持ちいいのか」

サイアクだ。女性をそんな風に屈服させて何が楽しいんだろう?

…だから、男は、どいつもこいつも大っ嫌いだ。

そしてそんな男どもの言いなりになるしかない無力な自分はもっと大嫌いだ…

「お尻のっ…穴がぁっ…初めて入れられたのに…すごく気持ちよくてぇ…っ」


……きっと、処女をどこかの誰かに奪われる日も、遠くはない

腸に感じる不快な熱を感じながら、そう…確信した

―――――

「ねぇ、千早お姉ちゃん!こんど遊びに行ってもいー?
オフで都合が合う日があったよね!」

「…どうして私のスケジュールを把握しているの?」

「んっふっふっ~…適当に言ってみただけだよ?」

「そんなことだろうと思った。えーっと…今週の日曜日は、一日オフ」

「ほんと→!?真美もなんだ!」

「そうね…どうせ暇だし…いいわよ。どこかで待ち合わせ、する?」

「じゃあ駅前で!」

「駅は遠いわよ…」


そんなこんなで、
家の近くの大き目のショッピングモールで待ち合わせして、
夕飯の買い物を済ませてから家に行くことになった

「真美、カレーが食べたいな!」

「…私もそれでいいわ。甘口でいい?」

「うん!千早おねーちゃんのカレー楽しみ!」

「ふふっ…」

料理はあまり得意ではなかったが…

一人暮らしでそれはダメだ、と春香が世話を焼いてくれたおかげで

一通りのものは作れるようになった

「んっふっふっ~…亜美に自慢してやろーっと!」


「ここよ、私の家」

「お邪魔しまーす!わースゴッ!広っ!」

…確かに2ldkは一人で暮らすにはかなり広い

贅沢かもしれないが、

事務所へ通うのに便利な立地だったので、

部屋割りなどは気にせずに借りたマンションだった

「おースゴイ!このベッドフカフカだ!」

…そのベッドは…昨日…

「っ…こら、真美?あんまりはしゃがないの!」

一瞬怒鳴ってしまいそうになったのをこらえる

真美は何も悪くないのだから…

「はーい!んでんで!何して遊ぶー?」

「うーん…そうね…真美は、何をしたい?」

「…うーんそうだなー…かくれんぼ?」

「…二人でやって楽しいのかしら?」

「つまんないね」

「…トランプでもしない?スピードとか、知ってる?」

「おっいいねー!
亜美とやるといっつも二人でカードおけなくなっちゃうんだよね!」

「一応ルール確認」

私たちはそのあと、
結局二人でかくれんぼもして、意外にも楽しい時間を過ごした


「はーっ…はーっ…つ、つかれたね」

「そ、そうね…本気を出しすぎたみたい…」

「真美、おなかペコペコだよ~…カレー作ってー…」

「分かったわ…シャワー浴びる?」

「そうさせてもらうねー…でももう起き上がれないよー…
千早お姉ちゃん、だっこー」

「ふふっ…もう、しょうがないわね」

そういって私は真美を俗にいうお姫様抱っこのように持ち上げようとする

屈んだ拍子にさらりと私の髪が流れ、首筋が露わになったのを感じた

「…あれ?千早お姉ちゃん、こんな時期に蚊にでも刺された?」

「…っ!?」

「ここ、赤く…」

「さわらないで!!」

大声を出して

首筋の跡に触れようとした真美の手をたたく

「えっ…?」

「…あ…ごめんなさい…真美…」

「…う、ううん…こっちこそ…ごめんね…」

「………」

「………グスッ」

…バカバカしい…

なんで、あんな男どものせいで…

私は真美を怖がらせてしまっているんだろう?


サイアクだ。もっと言えば、あの男たちを誘ったのは私なんだから。

「真美、ごめんなさい…」

「千早、お姉ちゃん…?」

そっと両手で頬をつかみ、額を合わせる

「ごめんなさい…」

「どうし…んぅ!?」

もう…どうにでもなってしまえ

ほんとに一瞬、バカバカしくて何もかもがどうでもよくなった

その一瞬、理性が消し飛んだ

そして私は…真美に、キスをした

「んっ…ちゅっ…はぁっ……ちはや、おねえちゃん?い、いきな…ひゃう!」

「…真美の肌、綺麗ね…」

そういいながら、私は真美の首筋をそっと撫でる

穢れきった私の手で触れることに罪悪感を感じないでもないが…

ふだん理性が幅を利かせていたせいか、

理性を失った私はまったくとまらなかった


「や、やだよ…ちはやおねえちゃ…んっ」

また、キスをする

「あむ…真美ぃ…んっ…ちゅっ…」

「ちはや…おねえちゃ…んっ…」

最初は抵抗していた真美も、だんだんに抵抗をやめる


「真美、汗だくで…気持ち悪いでしょう?脱がない?」

「…は、恥ずかしいよ…」

「そ。無理にとは言わないわ」

そのまま真美を押し倒して、何かを言う前に小さい口に舌を入れる

「真美…ちゅっ…れる…んっ…はぁっ…」

「ふっ…うっ…んっ…!?んぅ…!」

真美は体を緊張させて目を見開く…どうやら、達してしまったらしかった

「ふふっ…真美、いけない子ね…」

「な、なに…これ…怖いよ…」


「怖くなんてないわ…真美、今とっても気持ちよかったんでしょう?」

「よく…わかんないけど…お姉ちゃんにキスされたら
…なんか…体がぽーっとしちゃって…何も考えられなくて…」

…うらやましい…わたしも、そんな風になってみたい…

「ねえ真美…脱がせて、いいかしら?」

「…うん…で、でも恥ずかしいから…電気は消して…?」

「やーだ」

「そ、そんな…!」

「…真美…んっ…」

首筋に吸い付く…

跡を、残さないよう気を付けながら

「あっ…」


真美の上着を一気に腕までたくし上げる

「きゃ…っ」

「ふふっ…真美のおっぱい、綺麗でかわいい…」

そのまま乳首に吸い付く

すでにある程度感じて固くなっていたそれを口に含んで舌でいじると、

真美は眉をしかめた

「あっ…うぅんっ…おねえちゃん…き、きもちいいっ…」

「真美…下も、脱がせるわよ?」

真美の返答を待たずに、スカートと下着をずらす


「や、やめ…!…ひゃん!」

そのまま、露わになったそこに、しゃぶりついた

「ずっ…じゅる…んっ…じゅるる…」

…よく知りもしない男のものなんかより、よっぽどいい

汗のにおいも…分泌された液のにおいも

私の興奮をあおるだけ…ここにあるのは私たち二人分の欲だけ…

「あぁっ…なにこれぇ…っ…スゴイ気持ちいいよぉ…っ…おねえちゃん」

「ストップ」

「…っ…えっ…?」


「真美…私が真美にしたこと…私にも…して?そうしたら…ご褒美、あげるから」

「ごほう、び?」

「さいごまで…やってあげる」

「…う、うん…わかった…やって、みる」

私は…上着から…一枚一枚、衣服を脱いでいく

「…真美も…脱いで…?」

「う、うん…」


―――――と、なぜか萩原さんからその記者の話を聞いた

なんでも、

萩原さんも―私のような直接的な手段を使われてわけではないらしいが―

周りを付きまとわれていたらしい


世の中、妙な偶然もあるものね…

―――――

「ん…しょ…こんな感じかな?おお!千早お姉ちゃん似合う似合う!」

「ほんとだー!千早さんスッゴイ素敵なの」

「そ、そうかしら…?」

「うん!すごく似合ってると思うなぁ…」

「あ、ありがとう…」

私は今、萩原さん、真美、美希に囲まれて、髪形をいじって遊ばれている

ひとまずは、真美のように髪をサイドでまとめあげられた

ちなみに…真美のゴムで結っているため、真美はいま髪を降ろした状態だ

やっぱり、髪を降ろすと…こう…不思議な色気が出ている気がする

「千早さん千早さん!美希にもいじらせて!なの!」

「いいけど…」

―――――

「うぃーす。…って千早ちゃん!?どうしたんだその髪!?」

「あ、プロデューサーさん。おはようございますぅ」

「お、おう雪歩…で千早ちゃんのその前の伊織みたいな髪形は…」

「……美希にやられました」

「デコちゃんヘアなの!」

「うわー…なんか斬新…いや、かわいいけどさ」

「…そうですか。無駄口叩いてる暇あるなら仕事してくださいね」

「くっ…相変わらず冷たい…」


「おはよーございまーす」

「おっ!はるるんだ!おはよ→!見て見て→!」

「ちょっ!千早ちゃん!なにその伊織みたいな髪型!?」

「………」

「いや、かわいいけどね…?斬新だなー…と思って」

「全く同じリアクションでつまんないの…」


「おっはよー!みんなのアイドル、伊織ちゃんが来たわよー♪にひひっ♪」

「おはよーございまーす!」

「あ、やよいちゃんに伊織ちゃん…おはよう!ちょっとこれ見て」

「はわっ!千早さんが!!すっ……ごくかわいいです!!」

「あ、ありがとう…そういう高槻さんもとってもかわいいわよ」

「ほんとうですか!?ありがとうございます!!」

「ちょっと!あたしのこと馬鹿にしてんの!?」

「ぷー…デコちゃんってば自意識過剰なの…」

「な、なんですってー!美希!アンタねぇ!」

「こら、美希!…ごめんなさい、水瀬さん…
私がこの髪型気に入っちゃって、ちょっとみんなに感想聞いてみたかっただけだったの」

「べ…別に、千早が謝ることじゃないわよ…」

「…そうだ!みんな今日は暇かしら?」

「美希は暇なのー…」

「真美も→!」

「私も暇だよ」

「わたしもひまですー!」

「…まぁ、私も午前中ミーティングが終わったら暇だけど…」

「私も、今日はオフなの…じゃあ午後から、買い物に行かない?」

―――――

「…いやいや…別にいいけどさ、なんでお前らオフなのに事務所来てんだよ…」

そんなプロデューサーの声が聞こえた気もしたが…

私たちは買い物に出かけることになった


「あれ?みんなは?」

「あぁ…そっか春香はあんときちょうどトイレ行ってたんだっけ

午後に買い物行くって話になったから出てった」

「えぇ!?そんな!!私聞いてないですよ!!」

―――――

「あ…そういえば、春香に声をかけるのを忘れていたわ」

――――

「…うーん…」

「萩原さん?どうかした?」

「千早ちゃん、湯のみなんて欲しくない?」

「湯のみ?…そうね…まぁ、欲しいと言えば欲しいけど…」

「じゃあおそろいの湯飲み、買わない?これなんだけど…」

「…あ、かわいいわね…」

「でしょ?」

「じゃあ買いましょうか?」

「えへへ…もう買ってあったりして」

そういって、萩原さんは丁寧にラッピングしてある箱を渡してきた

「えっ…いつの間に…」

「いまのまだよ、千早ちゃん!」

―――――


―――――

「あー!千早さん千早さん!あの服!」

「…あら、こないだの…」

「美希からプレゼントしてあげるの!」

と、同時に美希は服屋に消えて行った

「……あ、このペンダント…美希に似合いそう」

―――――

小物を売っているところで時間をつぶしていると、美希が戻ってきた

「はい!千早さん!」

「…ありがとう、美希。私からも、これ」

「わっ!ありがとうなの!千早さん!美希、とっても嬉しい!」

「ふふっ…私もよ」

―――――


―――――

「うーーーん…でも…これを買っちゃったらなぁ…」

「あら?高槻さんは何を見ているの?」

「あ、千早さん…この髪留め、とってもかわいいかなーって」

「あ、ほんと…高槻さんに似合いそう」

「ううー…でも…ちょっと、高いです…」

「うーん…そうね。じゃあ、こうしましょう」

私はその髪留めを手に取って、高槻さんが何か言う前にレジへ行き、会計をすませた

「はい、どうぞ」

「えぇっ!?い、いいんですか!?あ、ありがとうございます!」

「…高槻さん、とってもかわいい…」

―――――


―――――

「水瀬さん」

「千早?どうかしたの?」

「いえ、朝のお詫びに、と思って」

そういって、私は水瀬さんの頭のカチューシャを外し、

手に持っていたカチューシャを頭に乗っける

「やっぱり、よく似合うわ」

「気にしなくていいって言ったのに…で、でも…ありがたく受け取っておくわ」

「ふふっ…」

「な、なによ!」

「水瀬さんかわいいなーって」

「……!!」

―――――


―――――

「真美…?」

なんだか今日は静かだなーと思って真美のほうを見ると、

ぷくーっと頬を膨らませていた

かわいい…

「どうかしたの?」

「ふんっ…千早お姉ちゃんってば、みんなにデレデレしちゃってさー…

ミキミキとかゆきぴょんともエッチしたし…」

「やきもちやいてるの?よしよし…」

「ふんっ!」

頭を撫でようとしたが、かわされてしまった


むぅ…しょうがない…

「真美、ちょっとこっちに来て?」

「やだ!」

「じゃあ、こっちから行くわね」

さっ、と真美に近づいて、右手をとった

「私から、プレゼント…」

そのまま、薬指に指輪をはめる

「えっ…」

「ほら、おそろい」

「………っ」

「………」

「し、しょうがないなー!今回だけだかんね!許してあげるのは!」

「ふふっ…真美…ちゅっ」

「んぅ……」

「さ、みんなのところへ行きましょう?そろそろ集合する時間だし…」


そのあとは解散になった

…水瀬さんが何か言いたそうにしていたけれど…

春香を仲間外れにしてしまったお詫びに

クッキーをプレゼントすることにしたので、私はひとりで事務所に戻ることにした

――――

「春香ー?あら…?いないのかしら…」

…会議室の電気がついてる

中にいるにかしら?

「……うーん…いない、わね?」

『誰かいるのかー?』

「!?」

…プロデューサーの声が聞こえて、反射的にロッカーに隠れてしまった

………いや、別に隠れる必要なんてないのだけれど…

『プロデューサーさーん…遅いですよー…』

春香もいるみたいだし…さっさと出よう…

そう思うと同時に、会議室に二人が入ってきたようだ

「わるいわるい…」

「もう…待ちくたびれて一人でしちゃってましたよ…」

………は?


「ほんとだ…もう濡れてるな…?」

ねちゃ…と、最近すっかり聞きなれた…粘着質な音が聞こえる

「んっ……」

「ははっ…すっかりいやらしくなっちまって…」

「だっ…てぇ…ぷろでゅーさーさんが……じょうずだからぁ…」


「そうかい…んじゃほら、足…広げて?」

「も、もうですか?」

「こんだけ濡らしてたら十分だって」

「あっ……んっ…」

「んじゃ、入れるぞ?」

………やめろ

そう…思うが…これは、きちんと合意のもとで行われているセックスだ…

私がやっていたようなことではない

私に、二人を止める権利はない

「あんっ…あぁ…っ…ぷろ…でゅーさーさぁんっ!」

「春香……っ!」

私はただ耳をふさいで、二人の行為が終わるのを待つしかなかった…

―――――

………もう二人は…帰った、のね
……まさか…春香が、プロデューサーと…あんな…

呆然としながら、ドアを開けると…そこにはなぜか、水瀬さんがいた

「……水瀬さん、どうかしたの?」

「な、なんなのよ…あれ…あんなの…あんなの…!」

…どうやら、水瀬さんも見ちゃったみたいね

「…大丈夫?私も驚いたけど……」

「いやっ…いやよっ…『アンナコト』する奴が、プロデューサーだなんて…!

不潔よ!!汚らわしい!!!」

…あ…やばい…目の前が真っ赤に

ぱちぃん!

「きゃ!!」

これが、『我を忘れる』ってことなのね…


……私は、たしかに不潔だ

でも真美は?美希は?萩原さんは?春香は?

水瀬さんの言う『アンナコト』をしている人たちだからと言って、絶対に不潔なのだろうか?


そんな言い訳が浮かんだが、結局のところ…
私は、私なりの努力を否定されたことが悲しかったんだろうな…

「なっ…千早、なにす」

ぱちぃん!

「痛っ…痛い!やめて!」

頭からカチューシャを外して、放り投げる

「なにすんのよ!」

そのまま、水瀬さんの顎をつかんだ


「…水瀬さんのこと、不潔にしてあげるわ」

「あ、アンタ何言って…んむぅ!?」

「ちゅっ…ちゅぅ……ふっ」

「はぁ…っ…やめっ……くるしい……くるし…はぁ…っ」

ただのキスを繰り返すと、

水瀬さんは息ができなくなって口を大きく開けた

そこに、舌を入れる

「れる……」

「!!!」

水瀬さんはびっくりして私の舌を噛む

…痛いじゃない

キスをやめて、首を絞めた

「あ…が………………っ……………」


ぱっと手を放して、水瀬さんにできる限りの笑顔で言った

「抵抗したら…最後まで締め上げるわよ?」

「ひっ…グスッ…」

顔を真っ赤にしてよだれと鼻水と涙を垂れ流しながら、水瀬さんは必死にうなずく

「いいこ…じゃあ、まずはさっきの続き」

頬を一撫でしてから再度口づける


「ふっ…ちゅぅ…っ……れる…れる…っ」

「んぅ……んっ…んっ」

「ぷはっ……んー…なんかつまらないわね……あ、そうだ…
水瀬さん舌をベーっと出して?べーっと」

「は…はいっ……んっ……」

…舌がプルプルするほど突き出してる

その舌を、吸い上げた

「じゅるっ…」

「んんんんんんんん!?」


「ちゅぱ…ちゅ……んっ……」

「んんんんんんんんー!…んぅ!」

…これは、大当たりらしい

「ちゅぱ…っ………水瀬さん、気持ちよくなってきたんだ?
無理やりされてるのに感じるなんて…『ふ・け・つ』ね?」

不潔を強調していうと、水瀬さんは顔をゆがませて泣きそうにな顔になる

「気持ちよくなんか…!」

「あら…?じゃあこれって…なに?」

服の上から、思いっきり乳首をつまみあげた


「ああああああああああああああああああああああっ…痛い…痛いい…!」

「嘘ね。気持ちよくてしょうがないんでしょう?」

手を放して床に転がって肩で息をする水瀬さんを見下ろす

「アンタ…この私に盾ついて…あとでどうなるか…!」

「もうどうなってもいいわよ、別に。大した人生送ってないのだし」

靴を脱ぎ…靴下を脱ぎ…素足を水瀬さんの顔の前に出す

「舐めて…犬みたいに」


「はぁっ…はぁっ…」

「聞こえなかったかしら…?舐めて?犬みたいに…」

つま先で水瀬さんの顎を持ち上げる

「ほーら、早く…じゃないと…」

手を首にかけると、水瀬さんはようやく理解してくれたらしかった

「………ちゅっ……」

「……それだけ?」

「…………ちゅっ……んっ…ふっ…」

あぁ…気持ちいい…

恍惚とする私の耳に

突如がりっ、という音が聞こえる

「っつあ…!」


「……水瀬さん、何するの?」

……水瀬さんがかみついた音だ

「……犬みたいに舐めろって、いうから…犬みたいに…噛んで…やったのよ!」

「………そう…それは私が悪かったわね…勘違いさせちゃったみたいで…」

「………」

「じゃあ、今度は勘違いしないようにしっかり教えるから…許してちょうだい?」

…そういって、私はつま先で水瀬さんの顎を蹴り上げた


「……!……!」

「ふふっ…脳みそぐらぐら揺れて…言葉も出ない?
ちょっと待っててね…今、道具とってくるから…」

―――――

ロープと…今日買ってきた『コレ』があれば大丈夫だろう…

「ふふっ…水瀬さーん?待ったかしら?」

「………」

まだ脳震盪が続いているのだろう…気持ち悪そうな顔をしている

「えいっ」

鳩尾を軽く蹴ると、水瀬さんは胃の中身を吐き出した

「どう?スッキリした?」

…汲んできた水を顔にかけると、水瀬さんはこっちを睨みつてきた


「じゃあ、今からこの縄で縛るから…きつかったら言ってね?」

「………て」

「ん?」

「…えしてよぉ…」

「もう帰して!!なんでもするからぁ!!すぐ家に帰してよぉ!!」

「…いやよ?ほら、縛るから服脱いで」

「やだ!!やだよぉ!!なんで私がこんな目に…」

「………っ!」

『はぁっ…はっ…汚い…汚い汚い汚い汚い!
私の…私の喉は、あんなことをするためにあるんじゃないのに!
私の口はあんな…あんな…!』


「…るさい…」

「やだぁ!!」

「うるさいって言ってるの!!」

怒りに任せて、思いっきり首を絞める

「ぐ……かっ……………!」

「うるさい…!うるさい…!うるさ…っ…うっ…おぇ…!」

―――――そのまま、私は胃の中身を吐き出した

もうかなり手遅れだが…気づいてしまったから…

私が今からやろうとしていたことが、なんだったのか

―――――

―――――

「………っ」

頭が…痛い…ここ…どこ…だろう?

…全く見慣れない部屋…夢でも、見ているのかしら…?

「…起きたみたいね?」

「……水瀬、さん?」

「………びっくり、したわ…いきなりアンナコトしてきたのもそうだけど…

いきなり吐いて気絶しちゃうから…」

「……ほっとけばよかったのに」

「………正直、そうしようかとも思ったわ…
でも…アンタが何の理由もなくあんなことしないって…それくらいはわかってるつもり」


「………」

「…話してよ…千早…じゃないと、私…一生アンタを許さないから…!」

「話したところで、許されることじゃないわ」

「ちは…っ!?んぷぅっ!?」

「ちゅっ……んっ…ふぅ……っ……んぅ………ぷはっ」

「ハァっ…ちょ…な、何すんのよ!?」

「…せめてものお詫びに、目いっぱい…気持ちよくしてあげるわ」


「ちょっ…ふざけ…」

「…ふざけてないわ…私には…もう…コレしかないから…」

「………アンタが歌わなくなったことと…なんか、関係があるの?」

「さぁ、どうかしら?」

…そう、私は…『営業』を始めた後、cdも出していなければ、

一曲も歌っていない…それどころか、レッスンもしていない

……穢れた喉で生まれ…

穢れた口から吐き出される音楽に、どれだけの価値があるのだろう?

……今は、目に前に集中しなきゃ…さっきみたいに乱暴じゃなく…

「水瀬さん…服、脱がせるわね?」

「………さっきみたいにならないんなら、好きにして…」


水瀬さんを全部脱がせた後、私もすべての服を脱いだ

…それにしても…

「水瀬さん…結構スタイルいいわよね」

「…そりゃ、アンタに比べればね」

「………」

「アンタ、細すぎるのよ…骨格の問題かもしんないけど」

「あ、胸じゃなくて?」

「胸なんてアタシも大してないし」

「…そうかしら…?」

ふにふに

「ひゃっ…!?」

ふにふにふに

「んっ…あっ…!」

ぎゅっ

「きゃ……っ!」

…ちゅっ

「んっ…ふぅ…はぁっ…!」


「水瀬さんって感じやすいんだ…」

「……っ」

「真っ赤になって…かわいい…じゃあ、下も…感じやすいのかしら?」

「…?下…?」

「…わざわざ、私の荷物、持ってきてくれたのね?」

「え、えぇ…」

「…コレまで持ってきてくれたんだ?」

「?えぇ…それ、なん…なっ…あっ…ああああああああ!」

質問に答える前に、それのスイッチを入れて…

水瀬さんのクリトリスにくっつけた

「何って…ローターよ?」

「あっ……!あぁあああああああああああああ!」


イク直前を見計らって、ローターを止めた

「ああっ…あっ…はぁっ…はぁっ…」

水瀬さんは気持ちよさそうだ…

…うーん…私は何もしなくてもいいっていうのは確かに楽だけど…

「やーめた…楽しくないわ……ちゅうっ!」

とりあえず、水瀬さんの×××に思いっきり吸い付いた

「ああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

「ひはへはん…ひもひい?……じゅぱっ…れろ………ぷぁっ…ふぅっ

水瀬さん、気持ちいい?」

「あっ…あっ…」

ぴくぴくと痙攣してイってしまった…でも、まだ気絶はしていないようで

……どうしようかしら…

悩むのも面倒なので、とりあえず指を入れて優しめにかき回してみた


「んやぁっ……ふっ…き、きもちい…っ」

「………えいっ、っと」

指を二本に増やしてついでに親指をクリトリスに当てた

「ひっ…!」

っとと…まだ早かったみたいね

「ごめんなさい、水瀬さん…」

額にキスをすると、水瀬さんは目を合わせて

「…くちびるにして…」

…よろこんで!

内心で思うんと同時にその唇に、吸い付いた


「ちゅぅ……んっ…れる………ちゅっ…」

「んっ…ひはやぁ……んぅ……」

……ぬめり気が、強くなってきた

ぎゅっ…すでに入れていた二本の指を折り曲げる

「んああああああああっ!」

うん、慣れて気持ち良くなったみたいだ


そのまま水瀬さんのなかを…優しく、かき回した

「ああっ…ちはやっ…ちはやぁ…っ!」

「ふふっ…いおり…?」

名前で呼ぶと、水瀬さんは驚いた顔でこっちを見る

「な…なんで急に名前なん…かぁっ……」

「かわいいわ…伊織…」

「ああっ…あああああっ!
ああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

もう慣れた…

水瀬さんは、気を失ってしまった…

―――――

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