提督「誰がおっちゃんだ!」 (22)

球磨「おっちゃんて呼ぶくらい別にいいクマ」

提督「確かによくおっちゃんと呼んだりしてはいるが」

球磨「じゃあ提督をそう呼んでもいいクマ」

提督「なんでだよ、そんな年でもねぇのに屋台やってるだけでそう呼ばれたくねぇよ」

球磨「ケチくさいクマー、とりあえず一回分クマ」チャリン

提督「おう」

球磨「ようし今日こそやるクマ」

提督「程々にな?」

提督(ここは執務室……だが今は)

球磨「今日こそあのぬいぐるみを落とすクマー」ポン

提督(射的屋になっている)

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球磨「むむむ!……クマー!」ポン

提督(艦娘の士気高揚やらなんやらで、鎮守府秋祭り仕様となった我が執務室、2日毎に焼きそばとかの屋台と替えている訳だが)

球磨「……クマ……」ポンコトン

提督「はいキャラメルな」

球磨「悔しいクマー、また後で来るクマ」

提督「おう程々にな?」

提督(最初は問題無かったんだが、何日かしたところで問題が一つ出来た、その結果一人につき一日三回まで、連続はダメと決まりが出来てしまった、何故かと言うと)

北上「提督ー私も一回分ね」チャリン

提督「おう」

大井「私もお願いします」チャリン

提督「はいよ」

北上「今日こそあのぬいぐるみを!」ポン

大井「ええ北上さん!」ポン

提督(最上段に鎮座もとい、鎮寝するあのぬいぐるみが原因だ)

ぬいぐるみ「……」ポン

北上「くっ当たるのに落ちない」ポン

大井「せめて倒れなさいよ!」ポン

提督「程々にな?」

提督(射的にはコツと共に押さえておくべきポイントがいくつかある、コツに関しては皆普段から訓練してるだけあって簡単に掴んでしまった、ポンポン落とすもんだからコストがヤバい事になってたな)

北上「くっ最後!……あーもう」ポン

大井「何故なの!」ポン

提督「はい終わり、またな」

北上「後でもっかい来るからね」

大井「何かいい方法は……魚雷が撃てれば」

提督「執務室ごと吹っ飛ぶわ!まったく……」

提督(だがそんな状況を奴は、あのぬいぐるみはひっくり返した)

ぬいぐるみ「……」ズーン

鈴谷「提督!一回分!」チャリン

提督「来たか鈴谷」

鈴谷「ふっふっふっ笑ってられるのも今日が最後だよ!今日こそあいつを仕留めるからね!」

提督「おうおう頑張れよ」

鈴谷「上目を狙って……そこっ」ポン

ぬいぐるみ「……」ポン

鈴谷「あーもう!提督!何であのぬいぐるみだけ寝てるの!?」ポン

提督「俺に言うな」

提督(射的のポイントの一つ、大きすぎる物や小さすぎる物は狙わない事)

鈴谷「せめて奥まで押し込めれば」ポン

提督(射的の基本は倒すか落とすかだ、小さい物は当てれば倒したり落としたりしやすいが、その代わり狙いにくい、大きい物は逆に狙いやすいが、倒したり落としたりしにくい、射的の弾は軽いし速度も緩いからな)

鈴谷「まただめかぁ……はぁ」

提督「他のも狙えばいいのに、左下のペンギンなんか特に」

鈴谷「在庫処分はしなーい」

提督「ちいっ倉庫にまだまだあるのになぁペンギン、もう誰も狙わないなぁ」

長門「提督一回分」チャリン

提督「はいよ」

長門「今日こそ落とす!そして駆逐艦と……ふふっ」ニヘラ

提督「はよせい」

長門「撃てー!」ポン

提督(ポイントその2背の高い物を狙う、背の高い物は重心が高く倒れやすい、更に上部に当てればてこの原理も働きやすい、逆に背の低い物は重心が低く倒れにくい、その上てこの原理も働きにくく力が強くならない)

長門「くっ最後!……またダメか……」

提督「惜しかったな」

提督(つか長門でもダメならなぁ)

五十鈴「一回分ね」チャリン

提督「お前も来たか五十鈴」

五十鈴「お前も?」

提督「さっき鈴谷も来た」

五十鈴「鈴谷なら毎日来てるじゃない」ポン

提督「それもそうだけどな」

提督(ポイントその3細い物や薄い物を狙う、同じ重さでも細い物ほど背が高い事になるし摩擦も効きにくい、薄い物も含めて倒しやすくなるし、奥に押し込んで落としやすくもなる、逆に平べったい物や厚みのある物はどっちもやりにくい訳だ)

五十鈴「むぅ……ダメね……」ポンコトン

提督「ほいキャラメル」

五十鈴「あのぬいぐるみ誰が落とすかしらね?」

提督「さあな、こっちとしては落とさないで欲しいがな」

五十鈴「そりゃそうね」

暁「司令官!一回分よ!」チャリン

提督「ほいってん?四回分だぞこれ」

響「私達も一緒にやるんだ」

雷「今日は秘策があるんだから!」

電「あのぬいぐるみをいただくのです」

提督「ほいっと程々にな?」

暁「一二の三で撃つわよ?いい?一二の三!」ポポポポン

ぬいぐるみ「……」ポポポポン

暁「うそ、これでもダメなの!?」

響「まだだ、最後まで諦めたらいけないよ暁」

雷「もう一度合わせて撃ちましょう」

電「はいなのです」

提督(ポイントその4撃つ姿勢と目線の高さ、射的は姿勢が大事だ足が地面に着いてる事と自分の手で銃を持つことが決まりだ、逆に言えば足が片方でも着いてりゃ台に乗り上げても文句は言われないし、関節を外して腕を伸ばしても(それで撃てるなら)構わない)

暁「あーダメだったわね」

響「悔しいね」

雷「ちょっと司令官!あの猫強すぎよ!」

電「取れそうなのに取れないのです」

提督「ははは」

提督(そして目線の高さ、さっきも言ったが射的の弾は軽い、この距離でも空気の抵抗を受けて減速し弾道が曲がる、更に言えば角度が付けば付くほど景品までの距離が伸びる、よって目線より上の物ほど落としにくくなっていく、駆逐艦には悪いが乗り出す事も含めて身体が大きいほど有利なんだよな射的って)

提督(さて、ここまでのポイントを踏まえあのぬいぐるみを見ていこう)

ぬいぐるみ「……」

提督(あいつは景品の中では大きい方だ、そして寝てる姿勢の為重心が低く倒れにくい、更に平べったくもある為滑りにくい、最後にアイツは最上段にある為台の構造上一番奥にあり、高さの関係で距離が更に伸びる)

提督(……つま一番取りにくい景品な訳だ)

ぬいぐるみ「……」ズーン

提督「まぁおかげで元が取れてきてるが」

瑞鶴「提督さん一回分お願い」

提督「はいよ、ちなみに狙いは?」

瑞鶴「勿論あの寝てる猫よ!今日こそ取って加賀さんに自慢するんだから!さぁアウトレンジでいくわよ!」ポン

提督(本当に落ちねぇなアイツ)

ぬいぐるみ「……」ポン

提督(思えば射的の屋台は赤字続きだったなぁ)

初日

提督「よしよしいい感じだな、これならコストもそんなでもないし大丈夫そうだな」

二日目

提督「うっわ結構減ったなぁ、皆上手くなってたもんなぁ」

五日目

提督「げっ赤字!?……あっよかったギリギリ黒字か、でもコスト考えるとこんなんじゃ……あー少しなめてたわ艦娘の事」

六日目

提督「もう数えるまでもねぇな、明らかに落とされまくってたし、赤字確定!……はぁ皆ペンギン狙えよ、あれ実質コスト0だしよぉ」

九日目

提督「……見るのが怖いな……もう全部落とされたよなぁ……ん?あれ?あの猫って誰か取ったっけ?」

十日目

提督「……ギリギリ赤字大分盛り返したな、なんか皆あの猫狙ってたな……もしかして、俺も渡した記憶ねえし……アイツ一度も落とされてない?」

十三日目

提督「……黒字と、まったく鈴谷も北上もムキになって、こりゃあれか?回数とか決めた方がいいか?連続八回とかやりすぎだろ……さすがに使いすぎだ、一日三回とか?んで一回毎に並び直すとかかな?まぁ明日からやってみるか」

十四日目

提督「よしよし安定したな、赤字も大分取り返したしこの形で行くか、しかし本当に落ちねぇなあのぬいぐるみ……模様替えの前にちょっと……」

提督「……うんこれあれか、この射的屋の主だったか、ありゃそうそう落ちんわな……三日後からはもう少し奥に置いとくか最初から」



提督(こんなだったなぁ、アイツがいなかったらずっと赤字だったな)

五月雨「えいっ……あれ?えいっ」ポンポン

提督(まぁ何故か未だに慣れてない子もいるけどな)

五月雨「おっかしいなぁ、もう少し右に……あれ?」ポン

提督(陸奥とか扶桑姉妹も当たらないからな、不幸艦やドジっ子は外すのか?)

赤城「提督!」

提督「いらっしゃい」

赤城「焼きそば五つ!」

提督「明後日きてください、てか見れば分かるだろうに射的ど今日明日は」

赤城「では一回分で」チャリン

提督「ほいよ」

赤城「……そこっ」ポンコトンポンコトンポンコトンポンコトンポンコトン

提督「はいよキャラメル三つとアポロとドロップな」

赤城「ありがとうございます」モシャモシャ

提督「せめて執務室から出てから食えよ」

赤城「はい失礼しまふ」モシャモシャ

提督「アイツはぶれねぇな、ずっと菓子狙いだ」

提督「……さてどうする?お前もやるか?」

長月「秘書艦だからな遠慮しておく、それにアレは取れそうにないからな」

提督「やっぱり皆欲しがってるのか?」

長月「そうだな、卯月姉さんや文月姉さん、それと三日月は欲しがってたな、後は口にはしていないが睦月姉さんや如月姉さんも、弥生姉さんと皐月姉さんは分からん」

提督「菊月と望月は?」

長月「さあな、何とも言ってないが」

多摩「提督一回分頼むにゃ」

提督「あいよ」

多摩「今日こそ落とすにゃ、そして一緒に昼寝するにゃ」ポン

提督「ふむ、まぁこのまま誰も落とせなかったら誰かにやるか」

長月「それがいいな、まぁ希望者は多そうだが」

提督「逆に少ないかもな、自力で取りたいから渡されても嬉しくないとかで」

長月「ありえるな」

多摩「またダメだったにゃ」

提督「おうまたな」

提督「しっかし落ちねぇな、そろそろ落ちてもよさそうなのに」

長月「案外中に妖精でも入ってて、踏ん張ってるんじゃないか?」

提督「いやさすがに無いだろ」

長月「まぁな」

提督「さって今日も黒字でいけそうだな、もう少ししたら一旦閉めて書類やるか」

長月「了解した」

提督「……入ってないよな?」

ぬいぐるみ「……」ズーン

    終わり

あの黒い猫落ちそうにないなって思ったらこんな話が出来てました、大分短い話でしたがこんなもんで、次は焼きそば屋台の方も……

ではこれで

   オマケ

ぬいぐるみ「……」

ぬいぐるみ「……もう誰もいないよね?」ムクッ

ぬいぐるみ「ふー疲れた皆して狙うからなぁ、まぁ痛くはないけど」テコテコ

ぬいぐるみ「あー動かないでいるの疲れるーこうしてゴロゴロしてたいなー」ゴロゴロ

ぬいぐるみ「お休みー……朝までには戻らないとな」スヤスヤ


提督「はっ……夢?……ちょっと執務室に」

提督「……ないよな?」ヒョイ

ぬいぐるみ「……」

提督「うんいつもの場所だな、変な夢見ちまったなぁもう少し寝るか」スタスタ

ぬいぐるみ「……」

提督「……ん?あれ?」クルッ

ぬいぐるみ「……」

提督「腕の向き違くね?……誰か動かした?」

ぬいぐるみ「……」

提督「まぁいいかお休みっと」スタスタ

ぬいぐるみ「……」

ぬいぐるみ「……あぶな」スッ

     オマケ終わり

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