※キャラ崩壊注意
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P「うーむ」
美穂「プロデューサー? 難しい顔をしてますけど、どうかしたんですか?」
P「実は卯月のことなんだが」
美穂「卯月ちゃんですか?」
P「ああ。美穂、同じピンキーキュートの一員として、あの子のことをどう思う」
美穂「どう思う、ですか? えっと、やっぱり笑顔が素敵ですよね。あと、前向きだし、かわいいし、いつも頑張ってるし」
P「そこだ」
美穂「え?」
P「頑張るところは卯月のいいところなんだが、あまり頑張りすぎて倒れてしまわないか心配なんだ。現に今日熱を出して休んでるし」
P「あまり卯月が頑張りすぎないようにしたいんだが、どうすればいいかな」
美穂「なるほど……言われて見れば、わたしもちょっと心配かも」
美穂「卯月ちゃん、いつも『頑張ります!』って言ってますもんね」
P「頑張ります、か……いっそ、その言葉禁止にしてみるか」
美穂「禁止?」
P「言葉の力っていうのは侮れないからな。『頑張ります!』という宣言をしないようにすれば、少しは卯月の頑張りも抑制されるかもしれない」
翌日
P「というわけで、卯月はこれからしばらく『頑張ります』と言うの禁止だ」
卯月「え? え?」
P「理由はさっき説明した通りだ。これも君のためを思ってのことだから、我慢してくれ」
卯月「プロデューサーさんの気持ちはすごくうれしいんですけど……できるかなあ」
美穂「ファイトだよ、卯月ちゃん」
智絵里「がんばってね」
卯月「……わかりました!」
卯月「頑張りますって言わないように頑張ります! ……あっ」
智絵里「い、いきなり言っちゃったね……」
卯月「あ、あはは……つい」
美穂「いきなり直すのは難しいよね」
P「ちなみにそういううっかりが起きないように、『頑張ります』と言った場合には罰を与えることにしている」
P「緊張感を持ってやれば、うっかりの回数も減るだろう」
卯月「罰、ですか。それっていったい」
P「1回頑張りますと言うたびにちえりんチョップ1回」
美穂「(え、それってたいした罰にならないんじゃ)」
卯月「き、きき気をつけますっ!」ブルブル
P「痛い思いをしたくないならしっかりするんだぞ」
美穂「えっ」
智絵里「気をつけてね、卯月ちゃん。わたしも、できればこんなことで解放したくないから……」
美穂「(解放ってなにを解放するの!? わたしが知らないだけで実は智絵里ちゃんのチョップってものすごいの!?)」
P「さっきの1回は見逃す。次から罰を適用するぞ」
卯月「はいっ! ちゃんと封印しますっ」
美穂「こうして、卯月ちゃんの頑張ります封印チャレンジが始まったのでした」
封印生活1日目
ベテトレ「よーし、今日のレッスンはここまでだ! お疲れ」
美穂「はぁ~、今日も疲れたなぁ」
智絵里「でも、昨日よりうまく踊れた気がする……よね」
美穂「うん、そうだね。この調子で、次のライブの時はもっと上手に踊りたいな」
卯月「もっともっと努力しないと、ですね。島村卯月、がんば――」
智絵里「………」スッ
卯月「がんば……ガンバ大阪って強いですよね!」
美穂「え? う、うん。そうだね」
智絵里「サッカーは詳しくないけど、よく名前を聞くかな」
卯月「ですよねっ。この前晴ちゃんから聞いたんですけど――」
美穂「(一瞬智絵里ちゃんから感じた重圧はいったい……)」
封印生活2日目
卯月「おはようございます……」
美穂「卯月ちゃん、おはよう。……なんだか、元気ない?」
卯月「そ、そうかな……ちゃんと睡眠はとったんだけど」
美穂「心なしか髪もしおれてるような……」
卯月「でも大丈夫です! 今日も一日が――」
智絵里「が?」
卯月「このガーナチョコ食べて元気出します!」
美穂「(誤魔化し方がうまくなってる……)」
智絵里「おいしいよね。そのチョコ」
卯月「来年のバレンタインデーは、これくらいおいしいチョコを作りたいです」
智絵里「うん……気が早いけど、次のバレンタインデーは、一緒にチョコレート作る?」
卯月「いいですね、そうしましょう!」
美穂「そして智絵里ちゃんも切り替えが早い……いったい何者なんだろう」
封印生活4日目
卯月「………」ヨロヨロ
美穂「だ、大丈夫……? なんだかすごくやつれてる気がするんだけど」
卯月「はーい……だいじょうぶでーす……わたし、ちゃんと約束守ってるので……」
卯月「じゃあ、レッスンいってきますね~」フラフラ
美穂「あ、ちょっと……行っちゃった」
智絵里「元気がない、じゃすまないように見えるね……」
美穂「そろそろやめさせてあげたほうがいいのかも……プロデューサー、明日出張から帰ってくるんだよね。話してみようか」
智絵里「うん」
封印生活5日目
P「ふう、ようやく事務所に帰ってこられた。みんな元気にしているだろうか」
P「ただいまー」
卯月「………」
P「あ、卯月。どうしたんだ、ソファーの上で丸まって」
卯月「……が」
P「が?」
卯月「ガガガ! ガガガガ!」
P「うわっ」
卯月「ガガガガガ!」
P「ど、どうしたんだ卯月!?」
美穂「あ、プロデューサー! やっと帰ってきてくれた!」
P「美穂、これはいったい」
智絵里「卯月ちゃん、頑張りますを禁止されたことが相当ストレスだったみたいで……」
卯月「ガガガ! ガガガ! ガオガイガー!!」
P「俺のいない間にそんなことが……」
P「ついでに聞きたいんだが、壁にでかでかと貼られてる鳥と魚の写真と世界地図はなんなんだ」
智絵里「あれは、卯月ちゃんが今朝持ってきたもので……」
美穂「鳥は雁(ガン)、魚は鱒(マス)、世界地図はインドネシアのあたりに赤丸がされてるんですけど……どういう意味なんでしょうか」
P「これは……インドネシアのバリ島だな」
P「3つ合わせて『ガン』『バリ』『マス』……わかりづらいわ!」
美穂「言葉にできないからこんな形で表現していたんですね……」
智絵里「ぷ、プロデューサーさん。早くなんとかしないと」
P「卯月、すまなかった! まさか言葉をひとつ制限しただけでここまで君を苦しめることになるなんて……」
卯月「………」
P「これで卯月の体調に支障をきたしたら本末転倒だ。だからもう禁止はしない。思う存分頑張ってくれ!」
卯月「………」
卯月「……いいんですか? もう、頑張ってもいいんですか?」
P「ああ、たくさん頑張れ!」
卯月「そうですか……よかったです。もう、我慢しなくていいんですね」
美穂「ほっ……これで一件落着」
ゴゴゴゴゴ……
美穂「えっ……なに、この地響き?」
P「これは……卯月の身体が光っている!?」
智絵里「まさか、今まで溜めこんでいた頑張りますパワーが一気に……!」
美穂「頑張りますパワーってなに!?」
卯月「………」
卯月「――島村卯月、頑張ります」
キュピーン!
美穂「う、卯月ちゃんの背中から羽が……」
P「これは……天使!?」
智絵里「人の域に留めておいた卯月ちゃんが、本来の姿を取り戻していく」ドンドコ
智絵里「人のかけた呪縛を解いて、人を超えた神に近い存在へと変わっていく」ドンドコ
智絵里「ガチャと課金と万物を紡ぎ、相補性の巨大なうねりの中で、自らを笑顔の凝縮体に変身させているんです」ドンドコ
智絵里「純粋にファンの願いを叶える、ただそれだけのために」ドンドコドン
美穂「なんで太鼓叩きながら話してるの?」
…
……
………
美穂「その後、なんだかんだあって卯月ちゃんはもとに戻りました」
美穂「プロデューサーの作戦は裏目に出たけど、卯月ちゃんを気遣う思いはちゃんと伝わったみたいで……あまり頑張りすぎないよう、適度な休憩をとることが増えました」
美穂「いろいろあったけど、結果的にはいい方向に転がったんだと思います」
美穂「ただ、時々卯月ちゃんの背中に羽が見える気がするのはわたしの目の錯覚なのでしょうか」
美穂「ついでに言うと智絵里ちゃんの背中にも見える気がするんだけど、やっぱり錯覚なのでしょうか」
美穂「もし二人が本物の天使だとしたら、同じユニットであるわたしの立場が……天使と並び立つ熊本県民になっちゃうなぁ、なーんて」
美穂「………」
美穂「こんな内容の手紙をお母さんに送ったら、絶対心配して電話かけてくるよね……」
美穂「書き直そう……とりあえず、わたしは元気ですっと」
美穂「何事もやりすぎはよくないって、最近学びました。お母さんも頑張りすぎないように気をつけてください――」
智絵里「あ、卯月ちゃん……また羽が出ちゃってるよ」
卯月「え? あ、ほんとだ。すみません、まだこの身体に慣れなくて」
智絵里「少しずつ慣れていけばいいよ。天界の天使さん達にも、ちゃんと新しい天使が生まれたこと、報告しておいたから」
卯月「はいっ。島村卯月、天使になっても頑張ります!」
美穂「………」
美穂「わたし、この先やっていけるのかな……」
P「頑張れ、ピンキーキュート人間代表」
おしまい
終わりです。お付き合いいただきありがとうございます
ウヅキエルとかチエリエルとか呼ばれているので、アタポン尽くしでおかしくなった頭を使って書きました
Paアイドル5人でごり押してたけど踊っている姿は可愛かったです
あ、ちなみに智絵里の長台詞については「リツコ 太鼓」で検索すればわかると思います
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