モバP「眠れるリーダー」(54)
―事務所会議室にて―
沙理奈「ふわぁ~… おはよ」ガチャ
菜帆「おはようございます~」
美里「おはよ~」
P「ギリギリだぞ沙理奈。10分前行動を心がけろって言ってるだろ」
松本沙理奈(22) 海老原菜帆(17) 間中美里(20)
http://i.imgur.com/l1nsgd9.jpg
沙理奈「今日は打ち合わせだけだしいいでしょ。こっちは昨日夜遅くまで亜里沙と
友紀と飲んでたんだからぁ……」ズキズキ
美里「二日酔い?大丈夫なのぉ?」サスサス
P「酒強くないくせに無茶するなよ。菜帆は見習ったら駄目だからな」
菜帆「わかりました~」
沙理奈「うふふ、菜帆、そんなイイコじゃ『セクシーボンテージ』ではやって
いけないわよ?ウチのユニットは『セクシー&ダーティー』をウリに
してるんだからぁいたたた……」
P「それはあくまで仕事としてのイメージであって、私生活までそんな調子だと
困るんだが。大体お前はリーダーとしての自覚がだな……」クドクド
沙理奈「もう、お説教はいいからさっさと始めてよ。優しくしてくれないとアタシ
帰っちゃうわよ?」プイ
P「まあいい、お前もこれからこのユニットのリーダーとして無理やりでもしっかり
しないといけなくなるからな」ニヤリ
沙理奈「……いやらしい笑顔ね。何を企んでるの?」ピク
P「勘ぐりすぎだ。今日の打ち合わせは『セクシーボンテージ』に新たなメンバーを
2人追加するから、その報告と今後の活動についての説明だぞ」
美里「メンバー増えるんですかぁ?やったぁ♪」
菜帆「私達5人になるんですか~?」
P「ああ、2人とも短期イベントでユニット経験はあるが、専用ユニットは初めて
だから迷惑をかけると思う。しっかり面倒をみてやってくれ」
沙理奈「ふぅん、つまりアタシのセクシーテクをその子達に教えればいいのね?」
P「そういうことだな。沙理奈はブルーナポレオンでのリーダーの経験も豊富だし、
セクシーボンテージでもリーダーとして引き続き頼んだぞ」
沙理奈「任せなさい。千枝くらいから瑞樹くらいのアイドルまで余裕よ。アタシが
オトナのオンナの魅力をしっかり教育してあげるわ♪」
P「それは頼もしいな」ニヤリ
美里「それでぇ、新しく入る子達って誰なのぉ?」
菜帆「和菓子が好きな子なら嬉しいな~」
沙理奈「うふふ、どんな子猫ちゃん達かしら?お姉さんが可愛がってあげるわよ♪」
―翌日・レッスンルーム―
沙理奈「」
礼「今日からセクシーボンテージに入る篠原礼よ。よろしくね♪」ドタプーン
菜帆「わあ~……」
レナ「同じく新入りの兵藤レナよ。仲良くしてね♪」ドタプーン
美里「2人並ぶと、すごぃ……」
篠原礼(27) 兵藤レナ(27)
http://i.imgur.com/QMaV5B9.jpg
P「というわけで、礼さんとレナさんが新たに加入することになった。では2人とも、
ユニット加入にあたって抱負をお願いします」
礼「う~ん、私はマイペースにやらせてもらうわ。こういうユニットは初めてだから
よくわからないし、沙理奈ちゃんが可愛がってくれるんでしょ?」クス
P「ええ、沙理奈はユニットの経験が豊富ですから」ニヤリ
沙理奈(なに余計なこと言ってくれちゃってるのよ!? )ビクッ!!
レナ「私はちゃんと目標があるわよ。打倒レッドバラード!打倒レディビースト!
アダルト枠のユニットでNo.1になるからね!」
沙理奈(ケンカ売る相手がデカいわよ!どっちも礼子さんのユニットじゃない!)
P「では2人の顔合わせも済んだし、俺はこれで……」
沙理奈「ちょっと待ちなさいプロデューサー。話があるわ」ガシッ!!
―レッスンルーム外―
沙理奈「どういう事よ!あの2人なんて聞いてないわよ!」グワッ!!
P「『怖がりな女の子』と『負けず嫌いな女の子』だって、昨日ちゃんと言ったぞ。
何も間違ってないだろ?」
沙理奈「『女の子』じゃないでしょ!子猫どころかライオンとトラじゃない!」
P「人を見た目で判断するのはよくないな。2人とも慣れないユニット活動で不安を
感じているだろうから、色眼鏡なしで接してあげて欲しいのだが」
沙理奈「あの2人は不安なんて微塵も感じてないでしょ。それどころかリーダーの
座を狙ってそうなんだけど。特にレナ」
P「はっはっは、うかうかしてるとユニットを乗っ取られるかもな」
沙理奈「笑い事じゃないわよ!大人組の中でもとびっきりキャラの濃いのを2人も
加入させるなんて、下手すればユニットが崩壊するわよ?」
P「確かに礼さんもレナさんも、ユニットよりソロ活動の方が向いているタイプだ。
礼さんは立ってるだけで華があるし、レナさんも一匹狼タイプだからな」
沙理奈「じゃあどうしてユニットなんて……」
P「言ったはずだぞ沙理奈。お前はユニット経験豊富だし、ブルーナポレオンでも
自分のアピールをしつつ時には千枝のフォローに回ったり、時には瑞樹さんの
ブレーキ役になったりと器用に立ち回っている。そんなお前なら、あの2人を
上手くユニットに組み込めると見込んだ判断だ」
沙理奈「そんな中間管理職的能力じゃなくて、アタシのセクシーな魅力を評価して
欲しいんだけど……」
P「もちろんそれも込みだ。ユニットの中で自分の魅力をしっかりアピール出来る
アイドルって多くないんだぞ?大半のアイドルはメンバーと息を合わせるのに
気をとられすぎてしまうから、お前のリーダーとしての実力は十分だ」
沙理奈「キャラが強過ぎるとアタシだって実力を発揮出来ないわよ……」
P「大丈夫!お前なら出来るさ!頼むぞウチのセクシーNo.1アイドル!」ニコッ
沙理奈「絶対バカにしてるでしょ!どうなっても知らないからね!」
―――
沙理奈「はぁ、気が重いわ……」バタン
菜帆「た、大変です沙理奈さ~ん!」タッタッタッ
沙理奈「どしたの菜帆?そんなに慌てちゃって」
礼「…………」ゴゴゴゴゴ…
レナ「…………」ゴゴゴゴゴ…
沙理奈(礼さんとレナが睨み合ってる!? )
沙理奈「ちょ、ちょっと、何があったのよ?」
美里「あの2人、去年の年末の幻想公演から因縁があるみたいでぇ……」
レナ「年末は世話になったわね美の商人さん?」
礼「商人?ああ、公演の話ね。あなたも魔女役で活躍していたじゃない。それに私、
あなたとは劇中で絡まなかったはずだけど?」
レナ「あんたが運んでくる武器のせいで、演技で手加減してたとはいえ千秋と歌鈴に
しばかれて酷い目に遭ったわ。それにあんた劇でちょこちょこ登場して私より
目立ってたし、脇役は脇役らしく地味にしなさいよ」ギロリ
礼「自分では地味にしたつもりだったけど、私の溢れ出る魅力と美貌を抑える事は
出来なかったのね。まぁ、私の役柄は『美の商人』だったし♪」
レナ「後から聞いたけど、監督に出番を増やして欲しいって頼んだそうね?商人の
衣装も最初は胸が開いてるデザインじゃなかったのに、あんたの強い希望で
替えたそうじゃない」
礼「そうだったかしら?去年の話だしよく憶えてないわ」シレッ
レナ「ふーん……」イラッ
沙理奈「ちょっとストップストーップ!劇の中の話でしょ?2人ともプロなんだから
仕事は仕事でちゃんと割り切ってよね!」
礼「あら、私達はケンカをしてるわけじゃないわよ。そうよねレナ?」
レナ「ええ、仕事で受けた借りは仕事で返すって言ってるのよ。ギャンブラーとして
負けっぱなしというわけにはいかないからね」ニヤリ
菜帆「はわわわ……」ガタガタ
美里「こわいよぅ……」ブルブル
沙理奈(何よこの状況…… 始まる前から終わってるんだけど……)
―レッスン中―
マストレ「1、2、3、4、1、2、3…… 篠原、もう少し前に出ろ」
礼「ええと、これくらいかしら?」ズイッ
レナ「ふん!」ズズイッ
マストレ「兵藤、お前はもう少し後ろに下がれ。前に出過ぎだ」
レナ「ここで勝負を降りるわけにはいかないわ!」
マストレ「何の勝負だ。仕方ない、松本、もう少し前に出られるか?」
マスタートレーナー(青木麗)(28)
http://i.imgur.com/OQI4cMu.jpg
沙理奈「礼さんの歩幅が大きいのよね。美里、菜帆、いけそう?」
美里「わ、私は大丈夫だけどぉ、菜帆ちゃんは……」ハア、ハア
菜帆「ちょ、ちょっと…、しんどいです~……」ゼエゼエ
沙理奈「無理ね。レナ、悪いけどここは引いてくれる?アピール出来るポイントは
まだいくらでもあるから」
レナ「……わかったわよ」スッ
沙理奈(一応言う事は聞いてくれるけど、ステップを合わせるだけでこの調子だと
先が思いやられるわ……)ハア
マストレ「くっくっ、真面目にリーダーをやってるじゃないか」ニヤニヤ
沙理奈「うるさい。トレーナーなら何とかしてよ」
マストレ「私に出来るのはレッスンだけだ。ユニットをまとめるのはお前の仕事だぞ」
沙理奈「わかってるわよそんな事。足並み揃えるのすっごく時間かかりそうだから、
しっかり頼むわよ」
マストレ「そっちは任せろ。私も久々に腕が鳴るよ」
―――
沙理奈「ウチのユニットのアピールはこんな感じよ。やってみて」ウフ~ン♥
礼「ビジュアルレッスンなら得意よ。こうかしら?」ウフ~ン♥
菜帆「ほわ~、完璧です礼さん……」
美里「これ、私達が教わる立場じゃないかなぁ……?」
レナ「私も負けないわよ。アブないオトナの魅力なら任せなさい!」アハ~ン♥
沙理奈(さすがベガス仕込みだけのことはあるわね。アタシも気合いを入れないと
リーダーの立場がヤバいわ……)タラリ
礼「悪いけどここは譲れないわ。女のプライドにかけてね」ウフフフ~ン♥
レナ「私と張り合おうなんて良い度胸じゃない。かかってきなさい」アハハハ~ン♥
礼「お子様は引っ込んでなさい?」ウフフフフフフフフフ~~~ン♥ ♥ ♥
レナ「あんた私と同じ歳でしょうが!」アハハハハハハハハハ~~~ン♥ ♥ ♥
マストレ「やりすぎだお前ら。それ以上は公然わいせつ罪で捕まるぞ」
菜帆「な、なんだか恥ずかしくなってきました~……」カアア
美里「ついていける気がしないよぉ……」モジモジ
沙理奈(アタシのセクシーアピールが…… もうやだこの2人……)
―夜・居酒屋にて―
瑞樹「あっはっは!それはすごいことになったわね!」ゲラゲラ
比奈「礼さんとレナさんどっちか1人でも大変そうなのに、両方とかどう考えても
無理ッス。ご愁傷様ッス」ナムナム
沙理奈「もうマジで無理なんだけど。あのユニットやだ~!」ジタバタ
瑞樹「沙理奈ちゃんセクシーボンテージすごく気に入ってたじゃない。ブルナポは
小学生の千枝ちゃんがいるからあまり過激なパフォーマンスは出来ないけど、
セクボンはやりたい放題だって喜んでたのにいいの?」
沙理奈「イヤだけど、あの2人に引っ掻き回されるくらいならユニットを解散して
リセットした方が菜帆と美里もダメージ少ないと思うし……」
荒木比奈(20) 川島瑞樹(28)
http://i.imgur.com/i1waNho.jpg
比奈「菜帆ちゃんと美里はどんな様子だったんスか?」
沙理奈「2人とも最初は先輩として色々教えてあげなくちゃって意気込んでたけど、
レッスン終盤はすっかり自信を失くしてたわ。新人なのにレナも礼さんも
ベテランの風格が漂ってるし、どっちが先輩かわからないわ」ハア
瑞樹「無理もないわね。レナちゃん達の方がだいぶ歳上だし」グビッ
比奈「女としても勝てる気がしないッス。レナさんって水着姿がスゴすぎて、逆に
ナンパ男達がビビって寄って来なかったって伝説があるくらいッスよ」
沙理奈「礼さんも170超えてるしスタイル抜群だし、オンナの完成形に近いわよ。
たまに礼子さんよりもあの人の方が色っぽく見えるわ」
瑞樹「隣に並ばれると自信なくしちゃうわよね。わかるわ」ウンウン
沙理奈「あーもう、明日からどうしよ。アタシやれるかなあ……」
比奈「……ブルナポに入ったばかりの時のアタシも、そんな感じでしたよ」フフッ
沙理奈「え……?」ピク
比奈「おっぱいのデカいリア充っぽいチャンネーといきなりユニットを組めなんて
言われたら、普通のオタクは逃げたくなるッスよ」グビ
瑞樹「チャンネーって、里奈ちゃんみたいな喋り方ね」ケラケラ
比奈「同じハマっ子ッスからね。アイドルなんて場違いな世界に踏み込んだんだし
ある程度覚悟はしてましたけど、あの時に会ったチャンネーの沙理奈さんが
一番怖かったッス」
沙理奈「アタシそんなにとっつきにくかった?」
比奈「第一印象の話で、中身とはまた別ッスよ。アイドルにでもならなかったら
沙理奈さんみたいなタイプの人とは絶対に知り合わなかったと思いますし、
アタシと違い過ぎて一緒に活動するイメージが出来なかったッス」
瑞樹「わかるわ。私もアイドルになったばかりでいきなり千枝ちゃんとユニットを
組むなんて思わなかったもの。自分よりも若い子達と仕事する事はわかって
いたけど、いくら何でも若すぎるでしょ!ってツッコミそうになったわ」
沙理奈「じゃあ2人は、どうやってそれを乗り越えたの?」
瑞樹「乗り越えたっていうか、開き直ったわね」
比奈「アタシもダメ元で、なるようになっちまえって感じッス」
沙理奈「参考にならな~い!」
瑞樹「人生なんてそんなものよ。私もアナウンサー時代は自分よりも若くて優秀な
後輩が毎年入社してくるから大変だったわ。言っとくけど女子アナの戦いは
アイドルよりずっとハードでシビアだからね?」
比奈「女子アナって基本スペック高いッスもんね。でも瑞樹さんはそんな後輩達に
負けなかったんスよね?」
瑞樹「ええ、女子アナ辞めるまで自分の担当番組は全部死守したわ。自分よりも
若くて可愛い後輩達と時には仲良くしたり、時には経験の差を見せつけて
ビビらせたりしながら何とか踏ん張ったわよ」グビッ
比奈「アタシもココが人生の踏ん張りどころかなって思ったッス。沙理奈さんと
うまくやれたらアイドルやっていけそうな気がして、レッスンもですけど
メイクとかオシャレも勉強したんスよ?」クス
沙理奈「そうだったんだ。ちょっとづつあか抜けてる気はしてたけど……」
比奈「沙理奈さんがリーダーだったから、ついて行ってみようって思えたんスよ。
何だかんだでブルナポも沙理奈さんを中心にしてうまくまとまりましたし、
そっちのユニットもきっと大丈夫ッス」
沙理奈「その『何だかんだ』ってところ詳しく教えてくれないかしら?アタシって
どうやってブルナポまとめたんだっけ?」
瑞樹「それはP君の宿題だから教えられないわ。まあ、いっぱい悩みなさい」
沙理奈「う~!瑞樹のいじわる~!」
比奈「ヒントくらいは教えてあげてもいいんじゃないッスか?」
瑞樹「そうねえ、それじゃ私が元アナウンサー目線で見た礼ちゃんとレナちゃんの
人物評でも聞いとく?」
沙理奈「なになに?教えて!」ガバッ!!
瑞樹「その前に聞いておきたいんだけど、沙理奈ちゃんの目から見たレナちゃんと
礼ちゃんってどんな印象なのかしら?」
沙理奈「レナは見たまんまの負けず嫌いで、礼さんは……よくわかんないヒトかな。
プロデューサーは怖がりって言ってたけど」
瑞樹「それで合ってるわ。でも単純に負けず嫌いと怖がりで片付けるんじゃなくて、
2人を知る為にはもう少し掘り下げが必要ね」ニヤリ
沙理奈「ど、どういうこと?」
瑞樹「例えばレナちゃんだけど、勝負を成立させる為に仕事の中にゲームを作って、
そのゲームのルールを絶対に破らないって気付いてた?今回のレナちゃんの
ゲームはユニットで礼ちゃんより目立つことだから、ゲームの大前提にある
ユニットを壊すような無茶な真似は絶対にしないわ」
比奈「ギャンブラーの性ッスかね。ゲームが台無しになったら勝者も敗者もいなく
なりますから、あくまでユニットの枠内で戦うってことッスか」
沙理奈(あの時レナが引いたのは、菜帆がついていけなかったから……?)
瑞樹「次に礼ちゃんだけど、あのコあんなに大きい体してるのに意外と臆病なのよ。
基本的にいつも一歩引いてるし、自分から率先して何かしようとはしないわ。
自分に自信がないわけじゃないからたまに大胆な行動をすることもあるけど、
そこさえ気をつければ怖くないわよ」
比奈「確かに言われてみれば、礼さんはいつも周りから一歩離れた所にいるッスね。
色々大きくて威圧感のある人だからそんな風に見えないッスけど」
瑞樹「ああいうタイプは加減を知らないから、暴走したら止めるのは難しいけどね。
つまりレナちゃんも礼ちゃんも見た目よりずっと子供っぽいのよ♪」クス
沙理奈(ステップの時は前に出るようにマストレさんに注意されていたし、レナと
セクシー勝負をしていた時は歯止めが利かなかったの……?)
沙理奈「でも頭ではわかっても、あの2人をコントロールする自信な~い!」
瑞樹「そこは沙理奈ちゃんが頑張るしかないわね。心配しなくてもあなたは私達の
自慢のリーダーよ♪」クス
比奈「そうッスよ。孫子曰く『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』ッスよ。
沙理奈さんの実力はアタシ達が太鼓判を押すッス」ニコ
沙理奈(礼さんと勝負したがるレナと、消極的で時々暴走する礼さん。2人同時に
ユニット内でコントロールするにはどうすれば……)ウ~ン…
沙理奈「マジメなのはアタシのキャラじゃないのになあ……」ハア
***
―翌日・レッスンルーム―
沙理奈「オフなのに来てもらって悪いわね」
美里「いいよぉ、特に何もしてなかったしぃ……」ドヨーン
菜帆「私もやけ食いする気力もなくて……」ズーン
沙理奈「そんな気力はいらないわ。それで連絡した通り、レナと礼さん……」
沙理奈「……いえ、レナと礼のことなんだけど」
美里(呼び捨てぇ?)ピク
沙理奈「昨日一晩考えたんだけど、あの2人とユニットを組む為にはアタシ達も
レベルアップしないといけないのよ。今日はその方法を考えてきたから、
自主練じゃないけどちょっと付き合ってくれない?」
菜帆「自主練じゃないんですか~?ジャージに着替えちゃいましたけど~」
沙理奈「ちょ、ちょっとくらい動くから別にいいのよ!言っとくけど自主練じゃ
ないからね!そんなのアタシのキャラじゃないし!」カアア
美里・菜帆「…………」ポカーン
沙理奈「な、何よその目は…… あんた達だって、あの2人にこのまま好き放題に
されたくないでしょ!アタシはリーダーとしてね……」
美里「ふふ、わかりましたリーダー♪」ニコ
菜帆「今日はとことん付き合いますよ~♪」ニコ
沙理奈「ああもう……っ!調子狂うわねホントに!」ガシガシ!!
―――
~♪ ~♪♪ ~♪ ~♪(BGM)
沙理奈「はいフィニッシュ!」キュッ、キュッ、ピタッ
美里「ほっ、えいっ」キュッ、キュッ、ピタッ
菜帆「よっと、ふう…」キュッ、キュッ、ピタッ
沙理奈「どうかしら美里、問題なく踊れた?」
美里「いつものダンスだし、全然だいじょうぶだけどぉ?」
沙理奈「アタシと菜帆の動きもちゃんと見えてたわよね?」ズイッ
美里「う、うん、菜帆ちゃんも昨日より余裕があるっぽく見えたけどぉ……」
沙理奈「菜帆はどうだった?無理してない?」
菜帆「はい~、3人で何十回も練習したステップですし~」
沙理奈「ホントよね?ウソじゃないわよね?」ズイッ
菜帆「レ、レッスンでうそはつけませんよ~!」フルフル
沙理奈「そうよね、あんたはそういうコよね。じゃあこうやって3人で踊る分には
もう少しハードでも問題ないわけね……」ブツブツ
美里「でも沙理奈ちゃん、問題はレナさんと礼さんが加わったパターンでしょぉ?
私達だけなら大丈夫なのはわかってるしぃ……」
沙理奈「本当にわかってる?昨日は忘れてたんじゃないの?」ジロリ
美里「えぇ……!? そんなことは……」
美里「……あれぇ?言われてみれば確かにぃ」
沙理奈「菜帆もそうよね?レナ達に合わせようとしてペースが乱れたんじゃない?
いつものあんたならもう少し体力が持つはずだもの」
菜帆「で、でも私一番年下ですし、私が皆さんに合わせていかないと~……」
沙理奈「関係ないわそんなの。あんたとアタシがセクボンの第一期メンバーなのよ?
むしろレナと礼があんたに合わせるべきなのよ」
菜帆「そ、それは、そうかもしれませんけど~……」
沙理奈「あの2人が入ったからやりづらくなるんじゃなくて、アタシ達のペースが
乱れるからやりづらくなるのよ。つまりこれはリーダーとしてユニットの
主導権を握れなかったアタシのせいだわ……!」ギリッ
美里「そ、そんなことないよ!私も昨日は余裕なかったしぃ……」
菜帆「そ、そうですよ~!私がトロいのがいけないんです~!」
沙理奈「自分の課題はひとまず置いといて、まずこの3人なら確実に踊れる事を
体で憶えましょう。そうすればレナがいようが礼がいようが、ペースを
乱される事はないわ」
沙理奈(まずはアタシ達3人で、今よりももっと強固な連携を作る。そしてこれが
このユニットの『ルール』だとレナに教え込ませて、アタシ達が主導権を
握ればレナは抑える事が出来るわ)
沙理奈(そしてそれは同時に礼への牽制にもなる。アタシ達3人にスキがなければ
礼も冒険しようとしないはず。引っ込み思案でストレスが溜まってるなら、
様子を見て適度にガス抜きさせればいいわ)
沙理奈「あの2人のことはひとまず忘れて、今は3人の体制を完璧にしましょう。
2人のことはその後で考えればいいから。わかった?」
美里「今日の沙理奈ちゃんは熱血だぁ。そんな沙理奈ちゃんもカッコいいよぉ」クス
菜帆「私も燃えてきます~!今日は普段よりご飯がおいしく食べられそうです~!」フンス
沙理奈「よ、余計なことは言わなくていいのよ!言っとくけど、今日のことは誰にも
言っちゃダメだからね!」カアア
<モウイッカイサイショカライクワヨ―!! <ハーイ♪
―レッスンルーム外―
P「沙理奈のヤツちゃんとリーダーしてるじゃないか。あいつは自覚がないだけで、
リーダー適性はウチのアイドルの中でもかなり高いんだよな」コソコソ
P「どうです?なかなかやりがいのありそうなユニットでしょう?」クルッ
レナ「ええ、瑞樹さんがいるユニットをまとめてるだけのことはあるわね」コソコソ
礼「最初は大丈夫かしらと思ったけど、美里ちゃん達も元気になったわね」コソコソ
レナ「ところでPさん、私達も鬼じゃないし、少しくらい沙理奈ちゃんに合わせる
心の準備はあるけど本当にこのままでいいの?」
P「ええ、構いませんよ。沙理奈はそんなに弱くありませんし、ユニット経験の浅い
お二人は自分の魅力をアピールする事に専念して下さい。お二人が思っている
よりも専用ユニットはずっと大変なんですよ?」
礼「あら、Pさんったらこんなにサービスしてるのにまだ足りないの?」ウフ~ン♥
P「はい、礼さんならもっと出来るはずです。頑張ってください」ニッコリ
礼「プライドを傷つけられたわ……」ショボン
レナ「調子に乗りすぎるからよ。私達もジムにでも行く?」
礼「私達って勝負の最中じゃなかったかしら。仲良くしてもいいの?」
レナ「勝負はユニットの時だけよ。言っとくけど今回は負けないからね?」ニヤリ
礼「ふふ、あんたって本当に変わってるわね。いいわよ、付き合ってあげる♪」
レナ「そういうことだから私達は帰るわ。沙理奈達に無理させないでよ?」
礼「ユニット活動楽しみにしてるんだからね?ちゃんとプロデュースしてくれたら
Pさんにもいっぱいサービスしてあ・げ・る♪」チュ☆
P「期待してますよ。みんなで良いユニットに育てましょう」ニコ
礼「もう、またそうやって流すんだから。イジワルな人……」
~~~
沙理奈『えと、アイドルになったばかりでいきなりユニットのリーダーやれって
言われて、よくわかんないけどとりあえずよろしく』ペコ
沙理奈『アタシもこんなんだし、マジメとか熱血とかガラじゃないからあんまり
うるさく言うつもりはないけど、言いたいことはガンガン言ってくから。
だからみんなもエンリョとかしないでガンガン言ってね』
沙理奈『千枝、あんたはこのオトナのオンナだらけのユニットの中でただ1人だけ
選ばれた小学生なんだから、もっと自信を持ちなさい。小学生組の中では
間違いなくあんたがNo.1だからね?』
沙理奈『春菜、あんたがメガネにこだわりがあるのはよくわかるけど、メガネ以外
手を抜きすぎよ。メガネが100点でも服が0点なら世間では0点女なの。
はっきり言ってあんたの女子力千枝以下だからね?』
沙理奈『瑞樹、何でみんなを後ろで見守るお姉さん的立ち位置に収まろうとするの?
自分ではお姉さんのつもりかもしれないけど、そこにいると普通にオバサン
だから。わかったらもっと前に出てガンガン勝負しなさい。このユニットの
リーダーはあんたじゃなくてアタシなんだからね?』
沙理奈『比奈、アタシもマンガくらい読むけどオタクじゃないし、オタクの友達も
いないからあんたのことはわからないわ。あんたも感じてるだろうけれど
アタシ達は住んでる世界が違い過ぎるみたいだし、悪いわね』
沙理奈『だからあんたのことぜーんぶ教えてくれない?絶対キモいとか言わないし
バカにしないからさ。そうしてくれないとアタシあんたとどう付き合って
いけばいいかわかんないし、オタク女じゃなくて荒木比奈っての女の子の
ことをアタシはちゃんと知りたいのよ』
沙理奈『アタシのことだったら何でも教えてあげるわ。おすすめのヘアサロンから
最悪だったデートプランまで話すネタはいくらでもあるから、全部聞いて
あんたもアタシのこと知ってくれたら嬉しいな―――――♪』
おわり
セクシーボンテージいいですね。菜帆のサスペンダー素晴らしいですが、美里と
礼さんのロングスカートも捨てがたい。肌の露出が少ない方が魅力的に見えるのは
何故だろう?ちなみに今回の元ネタは昔見たN〇Kのコントですw
二次界隈でやたらお色気担当のさりーなですが、セリフを見てると面倒見の良い
しっかり者じゃないかと思ったり。聖來さんのわんこも懐いてるしね!では
このSSまとめへのコメント
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