東京 某コンビニ
八幡(おいおい、ここにもサンデー置いてないのかよ)
八幡(発行部数だいぶ減ったっていうのは本当なんだな)
八幡(メジャー見たかったんだがコミックス買うしかないか)
三浦「……ヒキオ」
八幡「……三浦」
三浦「……」
八幡「…………それじゃ俺はこれで」
三浦「ちょっと待った」グイッ
八幡「な、なんですか……」
三浦「なんでそんなに怯えてるし。ちょっと聞きたいことあんだけど」
八幡「……なんだ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443883700
三浦「ガンガンオンラインって雑誌ってどれ」
八幡「」
三浦「彼氏に頼まれて買いにきてんだけど見当たんなくて。あーし、漫画雑誌とか詳しくないし」
八幡「いや置いてあるわけないだろ」
三浦「なんで」
八幡「Web雑誌だし」
三浦「……え」
八幡「お前の彼氏って馬鹿なの」
三浦「……」
八幡(あ、怒られる)
三浦「……そっか。売ってるわけないよね」
八幡「……?」
三浦「教えてくれてありがと」
八幡「お、おう」
三浦「ていうかヒキオ全然変わってないし」
八幡「人間そうは変わらんだろ。三浦は縦ロールやめたのか」
三浦「ゆるふわウェーブだし。縦ロールとかウケるし」
八幡「いやウケないから」
八幡(このやり取り誰かさんとやってたような気がする)
三浦「ヒキオってここら辺住んでんの」
八幡「ああ。大学も近いからな。俺もってことは三浦もここら辺か」
三浦「ま、まぁね……」
八幡「もしかして同じ大学だったか」
三浦「…………違う」
八幡(なんだ。聞いてほしくないような顔だな)
三浦「それより結衣に会ってんの」
八幡「そこそこな。月一で飯を食うくらいだがな」
三浦「そう。結衣、元気にしてる」
八幡「相変わらずな。なんか読者モデルしてるようだが。三浦は由比ヶ浜と会ってないのか」
三浦「うっ。そ、その、あーし、忙しくて……」
八幡「そうか。大学生となるとサークルやバイトで時間も潰れるからな」
三浦「……」
八幡「なあ、三浦」
三浦「なに」
八幡「暑くないか。真夏に上下ジャージ着て」
三浦「……っ」
八幡(三浦がジャージとはギャップが凄いな。高校生の時はピンクのごほんごほん!)
三浦「ひ、日焼け対策だし!」
八幡「なるほど。女子は大変だな」
三浦「そ、それじゃ、あーしはそろそろ行くから」
八幡「おう」
一週間後 居酒屋
葉山「やあ」
八幡「おう」
葉山「久しぶりだな」
八幡「二週間前にも会っただろ」
葉山「そうだったな。何飲む」
八幡「オレンジ」
葉山「わかった。俺はウーロン茶にするか」
八幡「……なあ、お互い未成年なのになんで毎回居酒屋にするんだ。サイゼでいいだろ」
葉山「個室の方が落ち着くだろ。特に人の視線に敏感な君は」
八幡「お気遣いどうも」
葉山「どういたしまして」
八幡「ていうか何で俺をいつも呼び出すんだ。戸部達はどうした」
葉山「戸部は浪人だろう。大和は浪人だろう。大岡は浪人だろう」
八幡「……」
葉山「全員浪人生じゃないか!」
八幡「お、おう……」
葉山「それに大学の知り合いは少し苦手なんだ」
八幡「なんだ。俺みたいなのが沢山いるのか」
葉山「俺は君が嫌いだが苦手ではないよ」
八幡「……」
葉山「エリート意識が強くて、他人を見下す思考の持ち主が多くてね」
八幡「天下のT大だからな」
葉山「俺も君と同じK大にしとけばよかったかもな」
八幡「大学までお前と同じは勘弁だけどな」
葉山「それもそうだな」
葉山「なに、優美子に会ったのか」
八幡「ああ。偶然コンビニでな」
葉山「そうか。……元気にしてたか」
八幡「どうだろうな。あまり元気には見えなかったな。一年半経ってもお前に振られたのがきいてるのかもな」
葉山「……」
八幡「いや、冗談だ。そんな落ち込むなよ……」
葉山「すまない」
八幡「由比ヶ浜とは連絡取ってないようだが、お前も当然」
葉山「ああ。M大に進学したのは知ってたんだがな」
八幡「M大。あいつ、遠いところから通ってるんだな」
葉山「家まで知ってるのか」
八幡「お互い近所に住んでるみたいだ」
葉山「なるほど。比企谷の家に泊まりに行くときは鉢合わせしないように気を付けないとな」
八幡「いや来ないでくれない」
翌日 バイト先
八幡(ここでバイトを始めて一年半)
八幡(まさかこの俺がバイトでこんなに続くとはな)
八幡(物品の仕分けという単純な仕事だが案外向いてるのかもしれない)
八幡(周りは家庭教師やら塾の講師をしてる奴らが多いようだが俺には無理!)
八幡(知らない人に勉強を教えるなんて絶対無理!)
チーフ「比企谷くん」
八幡「お疲れさまです」
チーフ「お疲れだぜ。今日から一人新人さんが入るんだぜ」
八幡「新人すか」
チーフ「三浦優美子ちゃんだぜ」
八幡「」
三浦「よ、よろしくお願い、ってヒキオ!?」
八幡「まさかバイト先が一緒になるなんてな」
三浦「う、うん。ヒキオはここ長いの」
八幡「一年半だ」
三浦「てことは上京してからずっと続いてんだ」
八幡「ああ。自分でも驚いてる」
三浦「K大通ってるんならもっと稼げるバイトあんじゃん」
八幡「あるが俺には向いてない。それに携帯代と遊ぶお金があればいいからここで十分だ」
三浦「ヒキオって遊ぶ人いんの」
八幡「……一人でも遊べるし」
三浦「冗談だし。ふふっ」
八幡(今日は元気そうだな。俺の気にしすぎか)
>>12修正
八幡「まさかバイト先が一緒になるなんてな」
三浦「う、うん。ヒキオはここ長いの」
八幡「一年三か月だ」
三浦「てことは上京してからずっと続いてんだ」
八幡「ああ。自分でも驚いてる」
三浦「K大通ってるんならもっと稼げるバイトあんじゃん」
八幡「あるが俺には向いてない。それに携帯代と遊ぶお金があればいいからここで十分だ」
三浦「ヒキオって遊ぶ人いんの」
八幡「……一人でも遊べるし」
三浦「冗談だし。ふふっ」
八幡(今日は元気そうだな。俺の気にしすぎか)
三浦「ていうかここってお喋りしてても平気なの」
八幡「ああ。仕事をこなしてれば問題ない」
三浦「そっか。いいバイト見つけたかも」
八幡「そういえば三浦ってM大に進学してたんだな。もっと近くにアパート借りればよかったんじゃないか」
三浦「……っ」
八幡(ん。なんだ、急に様子が)
三浦「べ、別に住むところなんてあーしの勝手だし!」
八幡「そうだな。すまん」
三浦「あっ。……あーしも大声出してごめん……」
八幡「とりあえず仕事しようぜ」
三浦「うん」
八幡(なんだ。大学のことになると様子がおかしくなるみたいだな)
八幡(もしかして葉山みたいに大学で交友関係が上手くいってないのか)
八幡(だから高校時代に親しくなかった俺にこうも絡んでくるのか)
八幡(そういえばコンビニで会った時、三浦から話題を振ってきまくってたな)
八幡(地元の人間が恋しかったのかもしれない。じゃなければ三浦が俺に積極的に絡んでくるわけがない)
三浦「ヒキオ、これどうすればいいの」
八幡「あー、これはだな」
八幡(バイト先が同じになった以上は高校時代よりも絡むことは確定か)
翌日
八幡「三浦、今日もシフト入ってるのか」
三浦「うん。ヒキオは週いくつ」
八幡「俺は週四だ。三浦は」
三浦「あーしも。本当は週五は入りたかったんだけど」
八幡「ここは人手が足りてるからな」
三浦「そうなん。なんで募集してたんだろ」
八幡「先月に一人辞めたんだよ。その穴埋めだろ」
三浦「ふーん。あーし、ラッキーだったんだ」
八幡「ああ。ここは働きやすくて辞める人も少ないからな」
三浦「確かにいいところだよね」
八幡「三浦、体痛むのか」
三浦「え」
八幡「さっきから腰浮かしたりしてるんだけど。座るが辛いのか」
三浦「ち、違うし! 昨日のバイトで筋肉痛になっただけだし!」
八幡「そ、そうか……」
翌日 サイゼ
結衣「ヒッキー、ここここ!!」
八幡「おい、大声出すな。恥ずかしいだろ」
結衣「あ、ごめん!」
八幡「ったく」
八幡(やっぱり居酒屋の個室の方が落ち着くかもしれない)
結衣「お腹減っちゃったからさっそく頼も」
八幡「おう。俺はミラノ風ドリアな」
結衣「もう決まってるんだ!?」
八幡「当たり前だろ。俺はサイゼリストだぞ。なめんな」
結衣「何かカッコいいし!?」
結衣「そういえばゆきのんからメール来た」
八幡「ああ。アメリカで元気そうで何よりだ」
結衣「バイトすることも言ってた」
八幡「いや、それは初耳だ」
結衣「なんかパンさんのぬいぐるみを作ってる会社の事務をやるみたいだよ」
八幡「パンさん」
結衣「凄いよね。本場のパンさんに会うためにアメリカ留学なんて」
八幡「……」
結衣「ゆきのん、バイトで結果を残してそのまま就職する気みたいだよ」
八幡「そ、そうか……」
結衣「あたしも読者モデル頑張らないと」
八幡「楽しそうだな」
結衣「うん。楽しいよ。東京に来てから喫茶店、コンビニ、薬局、本屋って長続きしなかったけど、やっとあたしにあった仕事が見つかったかも」
八幡「凄いな」
結衣「うん。自分にあった仕事が出来るなんて凄いよね」
八幡(短期間でそれだけのバイトを解雇になるなんて中々出来ることじゃないよ!)
八幡「あ」
結衣「どうしたの」
八幡「そういえば三浦に会ったぞ」
結衣「え」
八幡「お互い忙しくて会えてないみたいだな」
結衣「ヒッキー、本当!?」ガシッ
八幡「うぇ」
結衣「本当に優美子に会ったの!?」
八幡「あ、ああ。ていうかバイト同じだし」
結衣「そっか。優美子、バイトしてるんだ。……よかったぁ」ヘナヘナ
八幡「どうしたんだ」
結衣「優美子、5月に大学辞めたみたいでさ」
八幡「……なに」
結衣「それから番号もメアドも変えたみたいで急に連絡取れなくなったんだよね」
八幡「……」
結衣「姫菜も優美子の連絡先知らなくて」
八幡「家にはいかなかったのか」
結衣「一回行ったけど引っ越してたの」
八幡「……」
結衣「大学を辞めて、あたし達に会い辛かったんだと思う。ただ連絡が取れないし、引越しもしてたし心配してたの」
八幡(大学を辞めて引越しか)
結衣「でもバイトする気力があるなら大丈夫だよね。優美子、元気だった」
八幡「……ああ。バイトも順調にやってる」
結衣「よかった。……会いにいっちゃ駄目かな」
八幡「どうだろうな。ただ自分からお前たちを遠ざけたんだ。もう少し待った方がいいかもしれない」
結衣「だよね」
八幡「俺からもお前が心配してたこと伝えておく」
結衣「うん。優美子のことよろしくね」
二日後 バイト先
八幡(三浦、遅いな。もう5分前だぞ)
三浦「おはよ」
八幡「おう。今日は遅かったな……ってその顔どうしたんだ」
三浦「あ、これ。えっと、ドアに顔ぶつけちゃってさ……」
八幡「……」
三浦「大したことないし。あーし、意外とドジみたいでさ」
八幡「そうか」
三浦「やっぱ顔に湿布って目立つ」
八幡「思い切りな」
三浦「そう。すぐ治るし気にしないでくんない」
八幡「ああ」
三浦「ほら、そんなことより仕事するし」
八幡「……」
今日はここまでです
多分100レス以内で終わると思うんで気軽に読んで臭い
自宅
八幡「うーん」
八幡(夏なのに長袖。顔の湿布。体を痛がる素振り)
八幡「……」
八幡(どうしてもあれしか思いつかない)
八幡「DVだよな」
八幡(いや、しかし、アブノーマルなプレイをしている可能性も……って変な妄想をするな)
八幡「……流石に本人に聞けないからな」
八幡(由比ヶ浜に三浦のことをよろしく頼まれたがどうしたものか)
八幡(三浦が現状で幸せであるのならこのまま触れない方がいいのかもしれん)
八幡「……相談するか」
三日後 自宅
戸塚「それで僕に相談って何かな」
八幡「これは他言無用で頼む」
戸塚「わかった」
八幡「三浦優美子って覚えているか」
戸塚「覚えてるよ。当たり前じゃない。八幡、僕のこと馬鹿にしてる」
八幡「してないです!」
戸塚「冗談だよ。それで三浦さんがどうしたの」
八幡「実はバイト先が一緒でな」
戸塚「へー。偶然だね。元気にしてるの」
八幡「それがだな……」
戸塚「そっか。大学辞めちゃったんだ。それに……」
八幡「あくまで俺の考えなんだが」
戸塚「いや、流石に八幡の考えで合ってると思うよ」
八幡「……だよな」
戸塚「それで八幡はどうすればいいのか悩んでるんだね」
八幡「ああ。三浦から助けを求められてるわけじゃない。そもそもそこまで信頼はされてないだろうが」
戸塚「難しいところだね」
八幡「しつこく本人に聞くわけにもいかない。せっかく三浦が見つけたバイト先なんだ。居辛くさせたくはない」
戸塚「相変わらず優しいね。八幡は」
八幡「俺の半分は優しさで出来てるからな」
戸塚「逆に頭痛が酷くなりそうだよ」
八幡「酷い」
戸塚「……よし。僕が三浦さんに聞いてみるよ」
八幡「」
戸塚「三浦さんのバイト帰りに偶然を装って食事に誘ってみる」
八幡「……」
戸塚「僕が聞けば八幡との関係が悪くなることもないだろうし。まずは三浦さんの状況を確認して……」
八幡「戸塚さん?」
戸塚「なに」
八幡「いや、話がどんどん進んでいてだな……」
戸塚「ごめん。八幡に頼られたからつい。えへへ」
八幡(やだ可愛い)
戸塚「とりあえず三浦さんがDVされてる可能性は高いけどまずは本人の口から」
八幡「聞かないとだな」
戸塚「うん。そういえば葉山くんや由比ヶ浜さんに相談しなくていいの」
八幡「葉山は自分が振ったせいだ、とか自己嫌悪に陥りそうだからな。由比ヶ浜には余計な心配はかけたくない」
戸塚「そっか。わかったよ。とりあえず三浦さんのシフトわかる」
八幡「ああ」
翌日 帰り道
三浦(20時か。確か今日は飲みに行ってるって言ってたから外食して帰ろうかな)
戸塚「あれ? 三浦さん?」
三浦「戸塚?」
戸塚「うわ、久しぶりだね」
三浦「う、うん。戸塚も東京の大学なんだっけ」
戸塚「そうだよ。A学院大学。三浦さんはM大学だよね」
三浦「まあ」
戸塚「せっかく再会したんだし、この後ご飯でもどうかな」
三浦「え」
戸塚「奢るから」
三浦「…………わかった」
お店
三浦「戸塚ってここら辺に住んでるん」
戸塚「ううん。今日は親戚の家に遊びに行ってきてその帰りだよ」
三浦「ふーん」
戸塚「三浦さんはバイト帰り」
三浦「まあ」
戸塚「そっか。お疲れさま」
三浦「戸塚はバイトしてんの」
戸塚「してるよ。お互い学業とバイトの両立をしながらの一人暮らしは大変だよね」
三浦「あーしは彼氏と同棲してるし」
戸塚「……そうなんだ」
三浦「戸塚は彼女出来ないの」
戸塚「僕はまだ。今は生活で精いっぱいだし」
三浦「ふーん」
30分後
戸塚(八幡の言った通り結構自分から話題を振ってくれる)
戸塚(僕もそこまで親しくなかったのに誘いにも乗ってくれたし)
戸塚(さてとそろそろ仕掛けようかな)
戸塚「三浦さん」
三浦「なに」
戸塚「ここのお店あまりエアコン効いてないよね」
三浦「まあ、少し暑いかも」
戸塚「だったら上着脱いだら」
三浦「……」
戸塚「暑いのに我慢するのは体に良くないよ」
三浦「そこまで暑くないし……」
戸塚「そっか。……それより顔の痣。それって殴られた後だよね」
三浦「……ッ!」
戸塚「ファンデーションで隠してるようだけどわかるよ」
三浦「ち、ちが……」
戸塚「身内に同じ目にあってる人がいたからわかるんだよ。三浦さん、彼氏に暴力を振るわれてるんじゃない」
三浦「あっ……」
戸塚「服で隠してる腕や足にも痣があるんじゃないかな」
三浦「……っ」
戸塚「違う」
三浦「……だったらどうなの」
戸塚「……」
三浦「あーしが彼氏に暴力を振るわれてるとして戸塚には関係ないっしょ!」
戸塚「そうだね。でも三浦さんはこのままでいいの」
三浦「だからアンタには関係ないって言ってるし!!」
戸塚「三浦さん。もし助けてほしいなら周りの人を頼って……」
三浦「あーしの周りに人なんていないし! もう帰る!!」
戸塚「……」
三浦「二度と話しかけんな!」
戸塚「……怖かったぁ……」
戸塚(でもこれで確定したね。後は八幡に任せるよ)
帰り道
三浦(あー、マジイライラするし!)
三浦(なんであんなに突っ込んでくるし!)
三浦(……ていうか戸塚ってあんな感じだったっけ)
三浦(もっとおどおどしてたような)
戸塚『助けてほしいなら周りの人を頼って』
三浦「……」
三浦(頼れる人なんていないし……)
三浦(……コンビニ寄って帰ろうっと……)
コンビニ
三浦(はぁ。久しぶりにファッション雑誌でも立ち読みして)
八幡「……よう」
三浦「ひ、ヒキオ!?」
八幡「バイト帰りか。その割には遅いな」
三浦「あ、アンタには関係ないじゃん。てかヒキオは何してんの」
八幡「サンデーを探しに来た」
三浦「そ、そう。それであったん」
八幡「ない」
三浦「マイナーな雑誌なんだ」
八幡「結構メジャーだぞ。メジャーが載ってるだけにな」
三浦「……は? 意味がわかんないんだけど」
八幡「何でもありません」
三浦「あっそ。あーし、もう帰るわ」
八幡「何も買わないのか」
三浦「気が変わった」
八幡「そうか。なら送ってく」
三浦「え」
八幡「夜遅いからな。女一人じゃ危ないだろ」
三浦「……」
八幡「ほら行こうぜ」
三浦「…………うん」
三浦「ヒキオ、結構気が利くんだ」
八幡「俺ほど気が利く男はいないぞ。気が利きすぎてうざいと思われるまである」
三浦「なにそれ」クスッ
八幡「東京は物騒だからな。そういえば彼氏はバイト先まで迎えに来てくれたりしないのか」
三浦「え、あ、うん。忙しいみたいだし……」
八幡「そうか」
三浦「……ヒキオ、あのさ……」
八幡「なんだ」
三浦「その、あーし、実は……」
八幡「……」
三浦「ううん。何でもない。もう近いからここでいいから」
八幡「わかった。また明日な」
三浦「うん。送ってくれてありがと」
八幡「あいよ。じゃーな」
三浦「……」
また明日か明後日ララバイ
自宅前
三浦「……」
三浦(ヒキオって結構優しいんだ)
三浦(バイトでも丁寧に教えてくれるし。結衣が惚れたのもわかるかも)
三浦「……ってあーし、何を言ってんだろ……」
三浦(今日のあの人が帰ってこないうちにシャワー浴びて寝よ)
三浦「……あれ。……鍵が開いてる」ガシャ
三浦(鍵かけ忘れちゃったん。やばっ)ギー
彼氏「……おかえり」
三浦「」
彼氏「随分遅かったじゃねぇか」
三浦「な、なんで……」
八幡宅
八幡「悪かったな。戸塚」
戸塚「ううん。でもやっぱり三浦さんは怒ると怖いね」
八幡「ああ。俺もいつも怖がってたよ」
戸塚「あんな気が強い三浦さんでも男には逆らえないんだね……」
八幡「……」
戸塚「それでこれからどうするつもりなの」
八幡「……戸塚に手伝ってもらったのに悪いんだが直接聞いてみる」
戸塚「え。でもそれじゃ……」
八幡「今日、三浦を送って別れるときに言おうとしてくれたんだ」
戸塚「彼氏に暴力を受けてることを」
八幡「多分。三浦は助けを求めてると思う」
戸塚「それが八幡の勘違いだったら」
八幡「俺の勘違いだったら謝るさ。もし一緒にいるのが気まずくなるならバイトを辞める」
戸塚「……わかったよ。それでこの後すぐ聞くの」
八幡「いや、三浦の連絡先は知らないからバイトの時に聞く」
戸塚「メアド交換してなかったんだ」
八幡「ああ」
八幡(……そういえば、三浦が携帯を弄ってるところ見たことがないな)
八幡(休憩の時も一切弄ってなかった。高校の時は年中弄ってたはずだ)
八幡「……」
翌日 バイト先
八幡「え。三浦、休みなんすか」
チーフ「そうなんだぜ」
八幡「理由、聞いてます」
チーフ「夏風邪引いたみたいなんだぜ。明日には出れるみたいだぜ」
八幡「そっすか」
八幡(夏風邪ね。……まさか俺と一緒にいるとこを彼氏に見られたってことはないよな)
八幡(もしそうだとしたら今頃三浦は……)
八幡「……チーフ」
チーフ「どうしたんだぜ」
八幡「三浦の住所教えてくれないっすか」
三浦宅
三浦「げほっ、ごほっ」
三浦(あーあ、まさか飲み会がキャンセルになって帰ってきてるなんてついてないし)
三浦(ドタキャンされたのと、あーしの帰りが遅かったから、いつもより長かったし)
三浦(せっかく痣が治りかけてたのに……)
三浦(バイトも休んじゃった。解雇にならなければいいんだけど……)
ピンポーン
三浦「」ビクッ
八幡『三浦、俺だ』
三浦「ヒキオっ!?」
八幡『ああ』
三浦「ち、ちょっと待って。今開けるから」ギー
八幡「……よう」
三浦「なんでここが」
八幡「チーフに教えてもらった」
三浦「勝手に個人情報教えるとかありえないし」
八幡「チーフは悪くない。俺が嘘をついて教えてもらった」
三浦「……なんでうちに来たの……」
八幡「三浦が心配だったら来た」
三浦「…………は?」
八幡「単刀直入に聞くぞ。お前は彼氏にDVを受けている。間違いないな」
三浦「……っ!」
八幡「ていうか今のお前を見れば聞かなくてもわかる。口に血がついてるぞ」
三浦「もしかして戸塚から」
八幡「そうだ。元々感づいてはいたがな。戸塚に手伝ってもらって三浦の口から聞き出したかったんだ。お前がDVを受けてることをな」
三浦「…………それで」
八幡「……」
三浦「戸塚にも言ったけど、あーしがこんな目にあってるとしてヒキオには関係ないじゃん」
八幡「……」
三浦「……確かに、たまに暴力を振るうけど、普段は優しいし。だからあーしは現状に不満なんて……」
八幡「……」
八幡「本当にそうか」
三浦「え」
八幡「お前、さっき言ったじゃないか。こんな目にあってる、ってさ」
三浦「…………あ」
八幡「俺の勘違いだったらすまない。お前は助けてもらいたいんじゃないのか」
三浦「……」
八幡「昨日、別れ際に俺に何か言いかけただろ。……助けて欲しいと言いたかったんじゃないのか」
三浦「……ッ」
八幡「三浦、言ってくれ」
三浦「……で、でも……」
八幡「俺に迷惑がかかるとか考えなくていいぞ。迷惑ごとなら部活動で慣れたからな」
三浦「……っ」
八幡「む、むしろ迷惑ごとに巻き込まれないと活躍出来ないキャラまである」
三浦「……助けて……欲しい……」グスッ
八幡「……」
三浦「あーしを助けて……」ポロポロ
30分後 八幡宅
三浦「ここがヒキオの」
八幡「シンプルな部屋だろ」
三浦「うん」
八幡「麦茶でも飲むか」
三浦「いい。口の中が切れてて痛いから」
八幡「……わかった」
三浦「それよりあーしの話を聞いて欲しい」
八幡「ああ」
10分後
三浦「……まあ、こんな感じ」
八幡「なるほど。同棲してから豹変したのか。いや、本性を現したと言うべきか」
三浦「うん。結局、あの人の言いなりになっちゃってさ。大学も辞めさせられて、携帯も解約されて……」
八幡(あいつじゃなくあの人、ね……)
三浦「本当に酷いし。専業主婦になれって命令して自分から大学辞めさせたくせに、家事してたらお前も働けって殴られてさ」
八幡「それでうちのバイト先に来たわけか。携帯は何で解約されたんだ」
三浦「お前は俺以外の人間に付き合う必要がないから携帯も不要だって……」
八幡「それで由比ヶ浜や海老名さんとも疎遠になったわけか」
三浦「うん。携帯本体も壊されちゃったから連絡先もわからなくて」
八幡「もし連絡先がわかっていれば由比ヶ浜や海老名さんに助けを求めたか」
三浦「連絡先はわからなくてもアパートは知ってたし。最初は助けてもらおうと思った。けど……」
八幡「由比ヶ浜と海老名さんに迷惑がかかると思ってやめたか」
三浦「そう。結衣や海老名にあの人を絶対関わらせたくなかった」
八幡「……そうか。お前は優しいな」
三浦「べ、別に優しくないし」
八幡「ちなみに実家に帰るつもりなかったのか」
三浦「……勘当された」
八幡「…………は」
三浦「大学、勝手に辞めちゃったから勘当された」
八幡「」
三浦「あーしの両親結構厳しくてさ」
八幡「いや、厳しいってその金髪は……」
三浦「これはテストで上位に入り続けることを条件に許してもらったし」
八幡「なるほど」
三浦「まあ、M大学に進学した時から険悪な雰囲気になってたんたけど」
八幡「なんでだよ」
三浦「両親はもっと上の大学に進学してほしかったみたい」
八幡「……」
三浦「とりあえずあーしの話はおしまい」
八幡(友達にだけでなく家族も頼れずにずっと一人で耐えてきたんだな)
三浦「ヒキオ?」
八幡(戸塚が三浦は気が強いと言っていた。確かに見た目は怖いし、気が強く見られるかもしれない)
八幡(でもそれが自分を強く見せるために虚勢を張っていたとしたら)
八幡(本当の彼女はすぐに泣いたり、恋に臆病なか弱い女の子だったんじゃないか)
八幡「……三浦」
三浦「ん」
八幡「よく頑張ったな」ポンッ
三浦「え」
八幡「偉かったな」ナデナデ
三浦「ちょっ。髪が崩れるからやめるし!」
八幡「いや、もう崩れてるから」
三浦「うるさい!」
八幡「三浦が頑張った」
三浦「……っ。そんなこと言われたらあーし……」グスッ
ここまで
また明日かな
100レス以内は無理だった
八幡「落ち着いたか」
三浦「」コクリ
八幡「よし。それじゃこれからのことを話し合うか。まず三浦の意思を確認したい。彼氏とは別れたいってことでいいんだよな」
三浦「うん」
八幡「彼氏のDVが治ったらよりを戻したいとも思わないか」
三浦「思わない。……もう会いたくないっ!」
八幡「」ホッ
八幡(よかった。共依存にはなっていないみたいだ)
八幡「それじゃ彼氏がどうなってもいいわけだな」
三浦「どうなってもって」
八幡「警察に被害届を出すんだ」
三浦「え」
八幡「理想は傷害罪で逮捕されればいいんだが」
三浦「え、ちょっ、警察!?」
八幡「ああ。何をそんな驚いてるんだ」
三浦「だって警察って流石にそこまで……」
八幡「三浦。お前はそこまでのことをされているんだ」
三浦「……」
八幡「こういう時こそ国家権力を使わないでどうする。これから俺たちは税金払ってくんだぜ」
三浦「……」
八幡「それとも彼氏を前科持ちにさせたくないか」
三浦「……ううん。あいつを罰して欲しい」
八幡「だよな」
三浦「それで明日、警察に行けばいいわけ」
八幡「いや、その前に病院に行こう。保険証は持ってるよな」
三浦「持ってるけど」
八幡「とりあえず治療もだが診断書を書いてもらう。それを警察に提出するんだ」
三浦「DV被害の証拠ってこと」
八幡「効力がどれほどかはわからんがないよりマシだろ」
三浦「そっか。なら昨日、ボコられたのはちょうどよかったわけ」
八幡「……」
三浦「いや、冗談だし。そんな顔すんな」
八幡「あ、ああ。後は三浦の避難場所なんだが……」
三浦「あーし、ヒキオ以外に頼れる人いないんだけど……」
八幡「安心しろ。お前がよければここにいていい。それとは別にシェルターってのがある」
三浦「シェルター?」
八幡「ああ。保護施設だよ。三浦と同じ目にあってる女性を保護してくれるんだ」
三浦「それって相手にばれないわけ」
八幡「そうだ。……まあ、ばれて車で引かれたって事件もあったがな……」
三浦「え」
八幡「ただその女性は親しい知人に自分から居場所を教えてみたいでな。それが恋人まで知れ渡ってしまったのが原因だ」
三浦「つまり誰にも言わなければ安全ってこと」
八幡「そういうことだ。だから保護施設で匿ってもらうか、うちにいるか、好きな方を選んでいい」
三浦「……ヒキオが迷惑じゃなければ、ここにいさせてほしい……」
八幡「わかった。後は確認なんだが彼氏はお前のバイト先を知っているか」
三浦「……しってる」
八幡「そうか。なら間違いなく三浦を探しに来るだろうな」
三浦「」ビクッ
八幡「三浦。このことをチーフに話して力になってもらおうと思うんだがいいか」
三浦「チーフに」
八幡「そうだ。と言っても口裏を合わせてもらうくらいだが」
三浦「……わかった。てかあーし、バイト行けなくなっちゃったし……」
八幡「それもチーフに相談してみる」
三浦「うん。あんがと」
八幡「さてと、そろそろお昼にするか」
三浦「あ、その前にシャワー借りたいんだけど」
20分後
三浦「ふぅ。さっぱりした」
八幡「……ッ!?」
三浦「ヒキオ、どした。……ってこんな体見たら引いちゃうか」
八幡(思ったより酷いな。それにこの腕は……)
三浦「あ、これ。これは煙草を押し付けられちゃって。めっちゃ熱くて痛かったし」
八幡「……」
三浦「やっぱジャージ着たほうがいい」
八幡「いや、暑いだろ。それじゃ適当に昼飯作るか」
三浦「ヒキオって料理出来んだ」
八幡「人並み程度にな。味は保証せん」
三浦「ならあーしが作る」
八幡「いや、安静にしてた方が」
三浦「料理位出来るし。それともあーしの手料理食べたくないわけ」
八幡「食べたいです!」
三浦「なら待ってな」
八幡「お、おう」
八幡(少しは元気になったようだ)
夜
八幡「それじゃそろそろ寝るか」
三浦「ほんとにあーしがベッド使っていいわけ」
八幡「ああ。布団もあるから問題ない」
三浦「布団って誰か泊まりに来んの」
八幡「葉山がたまにな。……あっ」
三浦「……」
八幡(しまった。三浦の前であいつの名前出しちまった)
三浦「なんだ。隼人となんだかんだ仲良くやってんじゃん」
八幡「……あ、ああ」
三浦「隼人も元気してる」
八幡「元気だぞ。大学では親しい友人はいないみたいだが」
三浦「そうなんだ。意外だし」
八幡「三浦。その、葉山のことは……」
三浦「もう引きずってないし。心配しなくていいから」
八幡「そうか。ならいいんだが」
三浦「それより明日病院って近くの大学病院に行くわけ」
八幡「いや。もう少し遠い病院に行く。近隣だと彼氏に鉢合わせする可能性があるからな」
三浦「……多分、あいつに鉢合わせしたら殺されるかも……」
八幡「そうならないために人事を尽くすのだよ」
三浦「なにそれ」
八幡「それと病院も車で行く。公共機関も使いたくない」
三浦「ヒキオ、車持ってたっけ」
八幡「免許はあるが車は持っていない。だから戸塚に送ってってもらう」
三浦「戸塚!?」
八幡「戸塚は事情も知ってるしな。嫌か」
三浦「嫌じゃないし。ただ戸塚が車を運転って想像出来ないっつーか……」
八幡「意外と運転上手いぞ。それで病院に行った帰りに警察に寄って被害届を出す」
三浦「わかった。……あーんさ、疑問に思ってたんだけど」
八幡「なんだ」
三浦「なんでヒキオ、そんなDV被害に詳しいわけ」
八幡「……俺はDVをしたことはないぞ! むしろ被害者だ!」
三浦「いや、疑ってないし。てか被害者って……」
八幡「戸塚が身内にDV被害者がいるみたいでな。後はネットで色々調べた」
三浦「そうなんだ。昨日こと戸塚に謝らないと」
八幡「別に戸塚は怒ってないけどな」
三浦「それでもあーしがいけないんだから謝るべきっしょ」
八幡「……ふっ」
三浦「何で鼻で笑うし!」
八幡「いや、三浦は三浦だなと思ってな」
三浦「はぁ? 意味わからないんですけどぉ?」
翌日 病院
三浦「んじゃ行ってくる」
八幡「おう」
戸塚「いってらっしゃい」
八幡「今日は車まで出してもらって悪かったな」
戸塚「ううん。それで彼氏から連絡は来てないの」
八幡「ああ。ていうか三浦に連絡の取りようがないんだがな」
戸塚「どういうこと」
八幡「彼氏に解約されて携帯を持っていないんだ」
戸塚「」
八幡「自分以外の相手と付き合う必要はないんだとさ」
戸塚「そこまで……」
八幡「ああ。相当独占欲も強いと見た」
戸塚「そうだね。後は警察がすぐに動いてくれるいいんだけど」
八幡「……そうだな」
1時間半後
三浦「お待たせ」
八幡「おう。どうだった」
三浦「それがさ。……ふふっ」
八幡「ん」
三浦「ヒキオが彼氏と思われたみたいでさ。ヒキオ、危うく警察に逮捕されるところだったかも」
八幡「」
三浦「ちゃんと違いますって言っといたから安心しなって」
八幡「……おぅ……」
三浦「戸塚は」
八幡「戸塚はトイレにいってる」
三浦「そっか」
八幡「それより体の方はどうだったんだよ」
三浦「肋骨にヒビ入ってるって。後は打撲。全治二週間だってさ」
八幡「……」
三浦「そんな顔すんな。後はヒキオがあーしを守ってくれるんしょ」
八幡「ああ。三浦は俺が守るし」
三浦「口調真似んな!」
以上
翌朝
三浦「ヒキオ、朝だよ」
八幡「」スースー
三浦「ヒキオ、起きなって。今日バイトあるっしょ」ユサユサ
八幡「……おぅ……」
三浦「凄い寝ぐせだし。朝食出来るから顔洗ってきな」
八幡「……あぁ……」
三浦(いつもより目が腐ってるし)
八幡「んじゃ起きるかぁ……」
八幡「三浦って本当に料理出来んだな。夕食もおいしかったし」
三浦「一人暮らししてれば嫌でも覚えるし」
八幡「由比ヶ浜は未だにまともな料理出来ないようだが」
三浦「結衣は不器用だから」
八幡「不器用で暗黒物質作っちゃうのかよ」
三浦「……ねえ、本当に大丈夫……?」
八幡「何がだよ」
三浦「あいつ、絶対バイト先に来るし」
八幡「チーフには口裏合わせてもらうし大丈夫だろ。俺と一緒にいるところを見られたこともないんだろ」
三浦「うん」
八幡「上手くやるさ。心配すんな」
三浦「……わかった」
八幡「しばらく引きこもり生活で暇だろうがテレビ見たり読書したり好きに寛いでてくれ」
三浦「パソコンも貸してほしいんんだけど」
八幡「いいぞ」
八幡(見られてはいけないデータはバックアップ済だから問題ない)
三浦「あ、エロ動画とかあっても気にしないから安心しな」
八幡「ぶふっ!」
お昼頃 バイト先
チーフ「比企谷くん、たまには一緒に昼飯でも食べに行くんだぜ」
八幡「うっす」
彼氏「あの……」
チーフ「何か用だぜ」
彼氏「こちらに三浦優美子はいらっしゃいませんか」
八幡「……」
チーフ「三浦ちゃんなら昨日から風邪でお休みしてるんだぜ」
彼氏「……そうですか」
八幡「……もしかして三浦さんの彼氏ですか」
彼氏「ええ、まあ」
八幡「ここに訪ねてきたってことは三浦さんが何処かに行かれたってことっすか」
彼氏「……はい」
八幡「そりゃ大変だ。警察には連絡しました」
彼氏「……っ。いえ。警察なんて大げさですよ。どうせ友人の家に遊びに行ってるんでしょう。よくあるんですよ」
八幡「……そうっすか」
彼氏「それではお邪魔しました」
八幡「……」
夜
八幡「今日、あいつ来たぞ」
三浦「やっぱし。どうだった」
八幡「三浦がいないか聞かれだけだ。外見は優男にしか見えんな」
三浦「まあ。いい会社に勤めてるみたいだし」
八幡「ほーん。いい会社ねぇ」
三浦「警察、動いてくれてんのか心配だし……」
八幡「まあ、熱心に聞いてくれてたし動いてくれんだろ」
三浦「……」
八幡(後は決定的な証拠が欲しい。あいつが三浦にDVをしたという決定的な何かが)
八幡「……」
八幡「三浦」
三浦「ん」
八幡「あいつの連絡先って知ってるか」
三日後 千葉
八幡「久しぶりだな」
戸部「久しぶりすぎっしょ!」
大和「ヒキタニが俺たちを呼び出すなんて珍しいな」
大岡「てか初めてだろ」
八幡「二浪してるところ悪いがお前たちにお願いがあるんだ」
「ぐはっ!」グサッ
八幡「三浦のことなんだが……」
五日後 某所
八幡「やっと来たな」
彼氏「君は確か優美子のバイト先の」
八幡「先日はどうも」
彼氏「君が優美子を連れ出したのか」
八幡「合意のもとですけどね」
彼氏「優美子はどこにいる。優美子を返してくれ」
八幡「DV彼氏に教えるわけないでしょ。馬鹿なの」
彼氏「僕はDVなんてしていない!」
八幡「いやいや、三浦本人が言ってるからね。あんな傷だらけの身体にしておいてよく言えるな」
彼氏「……っ。いいから優美子の居場所を教えろ!」
八幡「だから教えないって言ってんだろ。今日は取引をしに来たんだ」
彼氏「取引?」
八幡「そう。三浦に今後一切近づくな。そうすればこの後、警察に届け出は出さないでやる」
彼氏「け、警察っ!?」
八幡「ああ。何を驚いてるんだ。あれだけ暴行をすれば傷害罪で捕まるぞ」
彼氏「なっ……」
八幡「既に病院に行って診断書も書いてもらっている」
彼氏「くっ!」
八幡「三浦から聞いたけどいい会社に勤めてるんだって。こんなことが会社にばれたら解雇になっちゃうんじゃないかな~」
彼氏「僕を脅してるつもりか」
八幡「脅しじゃない。取引だ。アンタが三浦に暴行したことを認めて手を引けば、この後に警察に届け出は出さない」
彼氏「……」
八幡「別にいいだろ。あんたほどの男なら三浦以外にも女なんかすぐ作れるだろ」
彼氏「…………わかった。認めよう」
八幡「三浦に日常的に暴行したことを認めるんだな」
彼氏「……ああ」
八幡「よかったよ。アンタが思ったよりサイコパスじゃなくて」
彼氏「……」
八幡「それじゃ取引はこれで完了だ。それじゃーな」スタスタ
彼氏「待ってくれ。最後に優美子に会わせてくれないか」
八幡「何のために」
彼氏「最後に謝りたいんだ。頼む」
八幡「わかった。……とでも言うと思ったか馬鹿」
彼氏「……っ!?」
八幡「謝りたいなんて嘘だ。自分をこんな目に合わせた三浦に制裁を加えたいんだろ。自業自得のくせにな」
彼氏「ち、ちがっ……!」
八幡「バレバレなんだよ。……なあ、楽しかったか」
彼氏「……」
八幡「女に暴力で従わせてさ。なに三浦を支配したつもりだったの」
彼氏「……」
八幡「どうせアンタは自分より弱い奴にしか手を出せないんだ。現に華奢な俺にも殴りかかってこない」
彼氏「……」
八幡「三浦の居場所を本当に知りたいんなら俺を暴力で屈服させればいいんじゃないのか。三浦にしたみたいに」
彼氏「黙れ」
八幡「ほら、どうした。怖くて出来ないか」
彼氏「黙れぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!」
ドンッ!!
彼氏「ごっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ズシャー
八幡「……」
大和「しまった。勢いつきすぎた」
八幡「いや、ナイスだ」
戸部「っべー。大和の殺人タックル見たの高校生以来っしょ」
大岡「やばいな」
葉山「ちょうどラグビーブームだからな」
戸塚「それは関係ないんじゃないかな」
彼氏「な、なんだ……」
八幡「いつからここに俺一人しかいないと錯覚していた」
彼氏「……なん……だと……」
八幡「ていうかなんで葉山までいるんだよ」
葉山「戸部から今回のことを聞いてね。少しでも力になれればと思って」
八幡「戸部」
戸部「うっ。いや、隼人君だけ仲間外れもわりぃじゃん!?」
八幡「……まあ、いい」
戸塚「八幡、この人どうするの」
八幡「ん。警察に捕まえてもらうさ。さっきの会話も録音したしな」
彼氏「なっ!?」
八幡「これもいい証拠になるだろ。なにせ本人が認めてるんだからな」
彼氏「警察には届け出は出さないって言ったじゃないか! 僕を騙したのか!!」
八幡「騙してない。俺はこの後に警察に届け出は出さないと言ったんだ」
彼氏「……?」
八幡「だからすでに警察に被害届は出してるんだよ」
彼氏「」
八幡「」チラッ
戸部「」コクリ
戸部「いやいや、女に手を出す最低野郎を警察に任せるわけにはいかないっしょ」
大和「だな」
大岡「え? どういうこと?」
八幡「大岡、お前は黙ってろ」
戸部「ヒキタニくん、こいつは俺たちで片づけちゃおうよ」
八幡「そうだな。届け出を取り下げて俺たちでやっちまうか」
八幡(もう取り下げは無理だけど)
大和「それじゃ俺は佐天製の金属バットで」
戸部「とりあえず人相わからないように顔を火で炙っちゃう」
彼氏「ひっ」
八幡「そうだな。後は俺たちがわからないように両目も潰しておくか」
彼氏「や、やめっ……」ガクガク
八幡「まずは歪んだ性欲を治すために急所とバットで潰すか」
彼氏「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
八幡「大和、バッチを貸してくれ」
大和「ああ」
彼氏「あぅ、うぁ……」
八幡「それじゃ行くぞ。3,2、1……」スッ
彼氏「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」
グシャ!!
彼氏「」ピクピク
八幡「気絶したか」
戸部「……」
八幡「どした」
戸部「いや、今はマジでやると思ったわ」
八幡「やらねぇよ。俺も傷害罪で捕まっちゃうでしょ」
一週間後
三浦「ヒキオ、バイト行こ」
八幡「おう」
八幡(結局、あの男は傷害容疑で逮捕され拘留されている)
八幡(告訴については葉山の父親の弁護士事務所が協力してくれることになった)
八幡(そうだよね。あいつの父親弁護士だったんだよね。もっと早く思い出せばよかった)
三浦「ヒキオ、聞いてんの」
八幡「お、おう。弱虫ペダルの三期が決まったんだっけか」
三浦「はぁ!?」
八幡「すみません冗談です」
八幡(あれから三浦は俺の家に居候し続けている)
八幡(流石に元の家に戻すわけにはいかないからしばらく面倒を見るつもりだ)
八幡(まあ家事は全部してくれるから俺が面倒見てもらってるんだが)
三浦「だから今日は何を食べたいかって聞いてんの!」
八幡「そうだな。今日はハンバーグがいいな」
三浦「わかった」
八幡「それと帰りにコンビニも寄っていいか」
三浦「いいけど」
八幡「悪いな。今日はサンデーの発売日なんだ」
おわりです
御粗末!
三浦と同棲生活もやった方がいいだろうか
第2部 やはり俺が三浦優美子と同棲するのは間違っている
8月某日
三浦「ヒキオ、洗濯するから早く着替えな」
八幡「今日はバイトないからこのままでいい」
三浦「だーめ。寝てるときって結構汗かくの知らないわけ」
八幡「……わかったよ」
三浦「よし」
八幡(一時的に匿うつもりがそのままずるずるいって同棲することになるとは)
八幡(まあ経済的に余裕が出来るまで仕方ないか)
三浦「それと今日買い物行くから」
八幡「いってらっしゃい」
三浦「はぁ? ヒキオも一緒だし」
八幡「こんな暑い日で外に出たくねぇよ」
三浦「ヒキオ」
八幡「俺は行かないからな」
三浦「今日水曜っしょ」
八幡「……っ!?」
八幡(水曜。そうだった。今日は水曜だった!!)
三浦「どうせコンビニ行くんしょ。なら買い物も付き合え」
八幡「仕方ない。ただしサンデーを立ち読みしてからな」
三浦「はいはい」
10時
三浦「ほら行くよ」
八幡「おう。……三浦、その格好でいいのか」
三浦「は? あー、腕の火傷のこと」
八幡「あ、ああ」
三浦「これくらいなら目立たないから大丈夫だし」
八幡「そうか。ならいいんだが」
三浦「ヒキオ、気にしすぎだし」
八幡「悪い」
三浦「……でもありがと」
八幡「お、おう……」
30分後
八幡「んで何買うんだ」
三浦「化粧台だけど」
八幡「化粧台。……おい、部屋に置く気か」
三浦「部屋以外何処に置くわけ」
八幡「洗面台があるから必要ないだろ」
三浦「洗面台じゃ化粧し辛くてしかたないし。それにヒキオの部屋広くてスペースあるんだからいいっしょ」
八幡(くっ。あそこは新しい本棚を置こうと思っていたのに)
三浦「駄目」
八幡(仕方ない。ここは怒られるのを覚悟して……)
八幡「いや、やっぱ化粧台は必要ないだろ。三浦、化粧しなくても可愛いし」
三浦「」
八幡(やっぱり駄目か。こういうのは黒の剣士さんや幻想殺しさんが言わないと効果がないのか!!)
三浦「か、可愛いって……///」
八幡「……?」
三浦「そ、それなら洗面台は我慢してもいいし///」
ショッピングセンター
三浦「ボディタオル、バスタオル、トリートメント。こんなもんか」
八幡「タオル類は前の家から持って来ればよかったんじゃないのか」
三浦「あいつに買ってもらったものなんて使いたくないし!」
八幡「そ、そうか。すまん……」
三浦「あ、いや。あーしもごめん……」
八幡「……とりあえず買い物済んだから飯でも食べてくか」
三浦「うん」
八幡「サイゼでいいよな」
三浦「やだ」
八幡「……ッ!」
夕方 八幡宅
三浦「とりあえず生活に必要なものは全部買ったけど」
八幡「どうした」
三浦「一番必要なものが足りない気がすんだけど」
八幡「そうか。足りてると思うけど」
三浦「うーん」
八幡「あ」
三浦「思いついた?」
八幡「馬鹿が読んでそうなファッション雑誌か」
三浦「違うし!」
19時
三浦「ねえ、ヒキオ」
八幡「なんだ」
三浦「このアニメ。昨日も見てなかった」
八幡「……展開は似てるが違うアニメだ」
三浦「そうなん。あーしには違いがよくわからないんだけど」
八幡「まあ、興味ない人からするとそうなんだろうな」
三浦「……あっ!」
八幡「どうした」
三浦「思い出した。足りないもの」
八幡「何だったんだ」
三浦「ケータイ!」
翌日 携帯ショップ
三浦「どれにしようか迷うし」
八幡(凄い混んでるな。今日は半日ここで潰れそう)
三浦「ヒキオはどれがいいと思う」
八幡「俺は電池持ちがいいやつがいいからこれだな」
三浦「これだと色が微妙だし」
八幡「前は何色使ってたんだ」
三浦「ピンク」
八幡「ピンクか。下着もピンクだしピンクが好きだな」
三浦「うん。……って何であーしの下着の色知ってるわけ!?」
八幡「」ギクッ
三浦「着替え覗いたっしょ!」
八幡「の、覗いてないし。下着見たのは高校生の時だし……」
三浦「は? 高校の時?」
八幡「ほら、あれだ。葉山が海浜総合の女子と遊んでた時に」
三浦「あ」
八幡「ブーツはいたまま転んでただろ」
三浦「っ///」
八幡「よって俺は着替えなど覗いてない。Q.E.D. 証明終了」
三浦「……そっか。あん時ね。なんか懐かしい」
八幡(あれ怒ってない。ハチマン、ツイテル☆)
二時間後
三浦「久しぶりに携帯持つと変な感だし」
八幡「電話帳に俺だけというのも悲しいな」
三浦「うっさい。帰ったら結衣と海老名の連絡先教えてほしいんだけど」
八幡「由比ヶ浜は知ってるが海老名さんは知らんな」
三浦「そっか。……あっ」サッ
八幡「急に背中に隠れたどうした」
三浦「大学の同級生。あんま顔見られたくない」
八幡(そういうことか)
三浦「通り過ぎるまでこのままでいさせて」
八幡「ん」
三浦「……」
八幡「大丈夫だ」
三浦「ありがと」
八幡「やっぱ顔合わせ辛いか」
三浦「まーね。ここら辺で見かけるとは思わなかったし」
八幡「……」
三浦「ほら行くよ」
22時 八幡宅
八幡「なあ、三浦」
三浦「なに」
八幡「これからどうするんだ」
三浦「これから」
八幡「ああ。今のバイト先で働き続けるのか、大学に入りなおすのか」
三浦「入りなおすってそんなの無理だし……」
八幡「……だよな」
三浦「とりあえず今のバイト頑張ってお金貯めようと思うけど」
八幡(そうだな。まだあれからそんなに経っていないし焦らずに決めさせる必要はない)
三浦「……やっぱ迷惑」
八幡「……は?」
三浦「あーしみたいな女と一緒にいるとかいやっしょ」
八幡「そんなこと言ってないだろ」
三浦「でも……」
八幡「前にも言っただろ。俺に迷惑とか考えなくていい」
三浦「……」
八幡「一人で頑張ってきたんだ。なら今くらい他人に甘えてもいいだろ」
三浦「……うん」
八幡「それに家事も全部してくれるし俺は助かってる」
三浦「ホント」
八幡「本当。ハチマン嘘ツカナイ」
三浦「な、なら。あーしがずっと……」
八幡「ずっと?」
三浦「な、なんでもない!!」
八幡「お、おう……」
三浦(あーしは何を言おうとしてっ///)
ここまで
御粗末!
8月某日 八幡宅
三浦「ヒキオさ」
八幡「あん」
三浦「もうすぐお盆じゃん」
八幡「そうだな」
三浦「実家に帰んないの」
八幡「……帰らないな」
三浦「別にあーしに気を使わなくてもいいんだけど」
八幡「別に気は使ってない。お盆だと親戚とも会うから面倒なんだよ」
三浦「ホントに」
八幡「ああ。下旬位には帰る」
三浦「そっか」
八幡「三浦、両親には連絡してないのか」
三浦「うん。つーか勘当されたって言ったじゃん」
八幡「いや、そうなんだが。事情を言えばわかってくれるんじゃないのか」
三浦「それはないし。馬鹿な男に引っかかったって余計に落胆させるだけだし」
八幡「そんなもんか」
三浦「そんなもん。それよりそろそろバイト行く時間だし」
八幡「おう。今日も労働するか」
バイト先
チーフ「比企谷くん、今日こそラーメンを食べに行くんだぜ」
八幡「いいっすね」
三浦「ちょい待つし!」
八幡「なんだ。三浦も一緒に行くか」
三浦「行かないし。えっと、その、今日はお弁当を作ってきたんだけど……」
八幡「……俺に?」
三浦「ヒキオ以外に誰がいると思ってんの」
八幡「そうか。だから今日朝早く起きてたのか」
三浦「うん」
チーフ「比企谷くんはいい彼女を持って幸せなんだぜ」
三浦「っ///」
八幡「いや、彼女じゃないですから」
チーフ「チーフは一人で寂しくラーメンをすすりに行くんだぜ」
八幡「ねえ、聞いてる」
三浦(彼女。やっぱあーし達ってバイト先でそう見られてるんだ)
八幡「行っちまった。……まあ、いいか。三浦、食べようぜ」
三浦「あ、うん」
休憩室
八幡「しかし三浦が弁当を作ってくれるなんてな」
三浦「毎日コンビニ弁当じゃ飽きるっしょ。外食も金がかかるし」
八幡「そうなんだよな」
三浦「ヒキオって料理出来んのに弁当作ろうと思わなかったん」
八幡「面倒臭い」
三浦「ならあーしが毎日作ってあげる」
八幡「いや、そこまでしてくれなくても」
三浦「もう決めたし。大学が始まっても毎日作るから」
八幡「作ってくれるのは助かるが毎日は大変じゃないか」
三浦「別に大変じゃないし。それにヒキオには世話になってるから少しくらい尽くさないと駄目っしょ」
八幡「」
三浦「ヒキオ?」
八幡「三浦、お前が初めてだ」
三浦「初めてっ!?」
三浦(初めてってなにが。あーしとヒキオはまだ何もやってないし。それともあーしが寝てる間にっ!?)
八幡「尽くしてくれるなんて言ってくれた人はお前が初めてだ」
三浦「」
八幡「お喋りはここまでにしてさっそく食べるか」
夜 八幡宅
TV<おあがりよ!
TV<お粗末!
八幡「……」
三浦「ヒキオ、もうすぐ出来るからテーブル拭いといて」
八幡「」ジー
三浦「な、なにじっと見てんの……」
八幡(三浦が調理服を着たらえりな様っぽく見えるんじゃないのか)
八幡(胸もあるし金髪だし)
三浦「ちょっ、見すぎだし!」
八幡「……ありだな」
三浦「いいからさっさとテーブル拭け!」
食後
三浦「そういえばさ」
八幡「なんだ」
三浦「ヒキオってバイトしかしてないけどサークルとか入ってないわけ」
八幡「俺がサークルに入ってると思うか」
三浦「思わない」
八幡「なら聞くな」
三浦「うん。やっぱ大学でもつるむ人少ないの」
八幡「そうだな。高校の時よりは確実に少ないな」
三浦「ヒキオ、高三になってから戸部とよくつるんでたっしょ」
八幡「あいつが絡んできただけだ」
三浦「でも仲良さそうに見えたし」
八幡「それはない。戸部じゃなくて戸塚と同じクラスがよかった……」
三浦「ヒキオと戸部だけ見事に違うクラスになったしね」
八幡「クラス発表を見たときは危うく不登校になるところだったぜ」
三浦「それはさすがにおおげさっしょ」
八幡「まあ、戸部のおかげでチャラ男に対する耐性は出来たな」
三浦「大学にもいるの」
八幡「少しはな。大学デビューというかなんというか」
三浦「へー、意外だし。あーしの大学にはたくさんいたけど」
八幡「だろうな。三浦もいるわけだし」
三浦「は?」
八幡「なんでもありましぇん……」
三浦「あーしってやっぱチャラく見える」
八幡「まあ、金髪だからな」
三浦「高校の時もそう思ってたわけ」
八幡「最初はな。でも由比ヶ浜と話してる時や依頼の件があったから大分印象は変わったな」
三浦「どんな風に!?」
八幡「見た目は怖いが意外と泣き虫だったり、意外と気が弱かったり」
三浦「な、泣き虫じゃないし!」
八幡「いや、雪ノ下と川崎に泣かされてただろ」
三浦「うぐっ」
八幡「依頼の時なんか由比ヶ浜に強くものを言われてたじろいてたしな」
三浦「……」
八幡「後は面倒見がいいことだな」
三浦「……ヒキオ、結構あーしのこと見てたんだ。ふーん」
八幡「いや、そこまで見てないから」
三浦「嘘。だってあーしが実は気が弱いとか誰にも言われなかったし」
八幡「そうなのか」
三浦「うん。中学の時にテニスやってたけど本当は辞めたかったし」
八幡「でも県選抜に選ばれたんだろ」
三浦「それは顧問の腕がよかったから。あーし以外にも沢山選抜に選ばれた子もいたし」
八幡「強豪だったんだな」
三浦「まあね。でも本当はずっと辞めたかった。練習はきついし顧問はすぐ怒るし」
八幡「……」
三浦「部活を辞めようと何度も思ったけど、言って先生に怒られるのが嫌だったから最後までずるずる続けてただけ」
八幡「だから高校では帰宅部だったのか」
三浦「テニスは好きだけどね。それに部活を辞めて部員の子たちに裏切者扱いされるのも怖かったし」
八幡「……」
三浦「だから高校では自分を強く見せるために金髪にしたり、口調もきつくしたりしたわけ」
八幡「なるほど」
三浦「……今思ったら前に結衣にイライラしてたのも昔の自分に重なって見えたからかもしんない……」
八幡「あー、あの時か。懐かしいな。あの時も雪ノ下に論破されてたな」
三浦「うっ」
八幡「川崎には枕投げで負けて泣かされたんだっけか」
三浦「もうその話はいいし! シャワー浴びてくる!」
八幡「い、いってらっしゃい……」
風呂場
三浦(ヒキオ、あーしのこと苛めるの絶対好きっしょ!)
三浦(いちいちあーしの傷を抉ってくるし!)
三浦(でもあーしのこと結構見ててくれたのは嬉しいかも)
三浦(てかあーしの泣き顔を二回も見たのってヒキオだけかも……)
三浦(一回目は依頼した時。二回目はこの前の……)
三浦(隼人にもあいつにも見せたことなかったのに)
三浦(ヒキオならあーしの弱い部分も全部見せられるかもしんない)
三浦「」ドキッ
三浦(あれ。あーし、もしかしてヒキオに惹かれてる!?)
おまけ
葉山「比企谷も今週末に実家に帰るのか」
八幡「ああ。お前はまだ帰ってなかったのか」
葉山「色々あってね」
八幡「ちなみに車で帰るのか」
葉山「そうだよ」
八幡「なら乗せてってくれると助かる」
葉山「悪いな、比企谷。俺の車で一人乗りなんだ」
八幡「死ね」
以上!
8月中旬
結衣「優美子、本当に心配したんだからね!」
三浦「ご、ごめん……」
結衣「でも元気そうでよかったよ」
三浦「うん。ヒキオのおかげ」
結衣「それで今はどこに住んでるの。今度遊びに行きたいんだけど」
三浦「ヒキオの家だけど」
結衣「」
三浦「ヒキオから聞いてない」
結衣「……聞いてないし!」
三浦「」ビクッ
結衣「ヒッキー、肝心なこと教えてくれないんだから」
三浦「……結衣、まだヒキオのこと好き」
結衣「うーん、どうだろう。今は仲間って感じかな。高校生の時に振っちゃったし」
三浦「あー、雪ノ下さんとどちらか選べなくて二人で振ったんだっけ」
結衣「うん。懐かしいなー」
三浦「モデルの仕事はどうなん」
結衣「楽しいよ。色んな服も着れるし、たまにそのまま貰えるし」
三浦「そっか」
結衣「優美子はこれからどうするの」
三浦「あーしは……」
結衣「ねえ、もしよかったら優美子も読者モデルしてみない」
三浦「え」
結衣「あたしをスカウトしてくれた人がね、新しい読者モデル探してるみたいで。友達にいい子がいないか探してるの」
三浦「あーしが読者モデル?」
結衣「うん。優美子、可愛いしスタイルもいいから。あたしよりモデルに向いてると思うんだー」
三浦「……」
結衣「それに今のバイトより稼げると思うよ」
三浦「……うん。考えてみる」
八幡宅
三浦「たーいま」
八幡「」スヤスヤ
三浦「……寝てるし」
八幡「」スースー
三浦(ヒキオってけっこう顔が整ってるんだ。目を閉じてれば結構カッコいいかも)
三浦(意外にまつ毛も長いし、綺麗な黒髪だし)
八幡「……ん……」
三浦「」ビクッ
八幡「……三浦か。帰ったのか」
三浦「う、うん。たーいま」
八幡「おかえり。……今何時だ」
三浦「17時。何時から寝てたわけ」
八幡「お昼過ぎだな」
三浦「寝すぎだし」
八幡「仕方ないだろ。昨日は好きなアニメの一挙生放送があったんだ」
三浦「だからずっとパソコン見てたわけ」
八幡「そういうこと。久しぶりに由比ヶ浜に会ってどうだった」
三浦「少し怒られた」
八幡「だろうな。凄い心配してたからな」
三浦「うん。そういえば帰りにナンパされたんだけど」
八幡「」ピクッ
三浦「何か高校の同級生って言われたんだけど、あーし、まったく覚えてない奴だった。これもナンパの手口とか」
八幡「いや、俺はナンパしたことないし」
三浦「ヒキオがナンパしてたらマジうけるし」
八幡「いや、ウケねーから。ていうか悪い男にナンパで引っかかるなよ」
三浦「引っかからないし。ていうかそんな心配なら今度から迎えに来いっつーの」
八幡「……そうだな。そうするか」
三浦「え」
八幡「どうした」
三浦「な、なんでもないし!」
八幡「そうか」
三浦「それより今日は何食べたい」
八幡「んじゃ肉料理で」
三浦「了解。親子丼でいい」
八幡「……卵あったか」
三浦「帰りにスーパーに寄って買ってきたし」
八幡「おう。さすがおかん」
三浦「誰がおかんだし! あとさヒキオに相談したいことが……」
八幡「どうした。もしかして体が何処か痛むのか!?」
三浦「体は大丈夫だから。えっとね……」
八幡「何だよ」
三浦「……やっぱ何でもないし。大したことじゃないから自分で考えてみる」
八幡「そ、そうか……」
三浦「自分で結論出たらヒキオに言うから」
八幡「わかった」
22時位
八幡「」ホジホジ
三浦「ヒキオ、耳かゆいの」
八幡「いや、なんか音がして」
三浦「耳かきしてあげよっか」
八幡「え」
三浦「指でほじるのはよくないから。ほらここに頭乗せな」
八幡「あ、いや……」
三浦「早く」
八幡「はい……」
三浦「痛かったら早く言いな」
八幡「痛くしないでくれよ」
八幡(まさか三浦に膝枕をされるとは)
三浦「結構溜まってるし。こういうのは定期的にしないと駄目じゃん」
八幡「お、おう。かゆい時くらいしかしないからな」
三浦「ならあーしがこれからもしてあげる」
八幡「……は?」
三浦「自分でするよりいいっしょ」
八幡「とすると俺も三浦に耳かきをしてあげないといけないのか」
三浦「あーしはいいから」
八幡「俺だけかよ」
三浦「だって耳感じやすいし」
八幡「」
三浦「はっ///」
八幡「いきなり性癖カミングアウトするなよ」
三浦「う、うっさい!」グサッ
八幡「痛っ!?」
三浦「あ、ごめん!」
二日後 居酒屋
葉山「優美子との同棲生活はどうだい」
八幡「三浦の性癖が一つわかった」
葉山「ぶふっ!」ブシャー
八幡「おい、吹くな。汚ねぇな」
葉山「わ、悪い。まさかそこまで進んでるとは思わなくて」
八幡「勘違いするな。三浦が自分でカミングアウトしただけだ」
葉山「……まさか優美子と何もないのか」
八幡「ないけど。別に付き合ってないし」
葉山「」
八幡「何だよ」
葉山「女性と一か月近く同棲していて何もないのか」
八幡「だからないって言ってるでしょ」
葉山「……」
八幡「いや、一回あったな」
葉山「何があったんだ」
八幡「俺がつい癖で鍵を掛けないでトイレしてたら三浦に見られた」
葉山「」
八幡「生まれて初めて排尿してるところを見られたぜ」
葉山「うわっ」
八幡「んだよ」
葉山「悪い。貞操の危機を感じてきたから先に帰らせてもらうよ」
八幡「おい」
30分後
葉山「そうか。優美子が毎日弁当を」
八幡「意外と家庭的なんだな。高校の時は料理が出来ない子だと思ってたが」
葉山「一人暮らしして覚えたのかもしれないな」
八幡「結構エプロン姿も似合うんだよな。それと料理する時はポニーテールにしてるんだが綺麗なうなじでな」
葉山「そうか」
八幡「ああ。この前は膝枕をしてもらったんだが太ももが気持ちよくて」
葉山「……」
八幡「それと見た目と違って気が弱いからつい苛めたくなる」
葉山「……なあ、比企谷」
八幡「何だ」
葉山「優美子のこと好きなのか」
八幡「」
葉山「違うのか」
八幡「……は? 俺が三浦のことを?」
葉山「ああ。俺から見たら好きなように思えるんだが」
八幡「おいおい、冗談は俺のアホ毛だけにしとけよ」
葉山「それじゃ一つ質問だ。優美子に彼氏が出来たらどうする」
八幡「あ? 今の三浦を他人に任せられるか。却下だ」
葉山「」
八幡「………………あれ?」
おまけ
高校時代
結衣「隼人くんってもしかしてヤンキーやギャル男だった?」
葉山「結衣、いきなり何を言ってるんだ」
三浦「結衣、隼人がヤンキーやギャル男のわけないし」
結衣「なら何で金髪にしてるの」
葉山「」
三浦「」
結衣「優美子は虚勢を張ってるだけでしょ」
三浦「うっ」グサッ
結衣「隼人くんは何で金髪にしてるのかな。地毛じゃないよね。中学の卒アルは黒髪だったもんね」
葉山「そ、それは……」
結衣「それは」
葉山「すまない……」
結衣「何で謝るの。あたしは理由を聞いてるだけだよ」
葉山「ゆ、許してくれ……」
以上!
二人が付き合ったら終わりにするか第3部イチャコラ編にするか
23時
八幡「ただいま」
三浦「おかえり」
八幡「おう」
三浦「……酒臭くない。飲みに行ったんじゃないわけ」
八幡「居酒屋には行ったが酒は飲んでない」
三浦「飲まないのになんで居酒屋行くし」
八幡「葉山が指定してんだよ」
三浦「ふーん。てかヒキオって酒苦手なわけ。それとも未成年だから法律守ってるとか」
八幡「苦手というか興味がない。それとこの前成人したぞ」
三浦「………………は?」
八幡「ん?」
三浦「この前っていつ!?」
八幡「今月の8日だけど」
三浦「」
八幡「どうした」
三浦「過ぎてるじゃん! なんであーしに言わないし!」
八幡「いや、聞かれなかったですしおすし」
三浦「言ってくれたら誕生日プレゼントとか渡せたじゃん……」
八幡「家族以外に祝ってもらったこともないし気にしなくていいぞ」
三浦「あーしが気にするの!」
八幡「まあ、三浦には毎日飯作ってもらってるしそれで十分だ」
三浦「それは一緒に暮らしてれば女のあーしが作るのは当たり前だし」
八幡(女のあたしがって意外と古風な考えをお持ちで)
三浦「よし。明後日バイトないし一緒に出掛けるから」
八幡「えー」
三浦「これは決定事項だし」
八幡「……はい」
三浦「ヒキオ、欲しいの決めときな」
八幡「欲しいものか。それより血界戦線の最終回が見たい」
三浦「なにそれ」
八幡「何でもない」
0時
三浦「ヒキオ、まだ起きてる」
八幡「寝てる」
三浦「起きてんじゃん。あーんさー」
八幡「なんだ」
三浦「もし欲しいものがないならあーしにして欲しいことない」
八幡「三浦にして欲しいこと?」
三浦「うん。あーしが出来ることなら何でもするし」
八幡「毎日俺に味噌汁を作ってくれ」
三浦「いいよ」
八幡「え」
三浦「え」
八幡「……」
三浦「……」
八幡「三浦、今のはその……」
三浦「いいよ。あーしが毎日味噌汁作ってあげる」
八幡「……」
三浦「今のってあーしに告白してくれたんしょ」
八幡「いや、あのな……」
三浦「もしかして冗談だった」
八幡「……すまん」
三浦「……そっか。ごめん。あーし勘違いしちゃった……」
八幡「……」
三浦「ヒキオがあーしみたいな女を好きになるわけないよね。結衣に頼まれたり、あーしが可哀相だから置いてくれてるだけだもんね」
八幡「……」
三浦「真に受けちゃってごめん。あーし、寝るね……」
八幡「三浦、聞いてくれないか」
三浦「……なに」
八幡「確かに最初は由比ヶ浜に言われたからお前のことを探ってみた。友達さえも利用してな」
三浦「……」
八幡「けど違うんだ。傷ついてる三浦を見て放っておけなかった。だから俺の意思でお前を助けたいと思った。だから可哀相だからここに置いているわけじゃない」
三浦「うん」
八幡「そして一緒に暮らしてみて少しは三浦のことを理解出来たと思う」
三浦「あーしもヒキオのこと前より理解出来てると思う」
八幡「この前葉山と飯を食べたときに言われたんだ。俺は三浦のことが好きじゃないのかって」
三浦「隼人に?」
八幡「ああ。確かに三浦と一緒にいることが当たり前に思っている自分がいた」
三浦「……」
八幡「三浦と一緒にいると結構楽しいし、三浦を見ていると苛めたくなるんだよ」
三浦「やっぱヒキオってSだったんだ」
八幡「うっ。まあ、それはいいとして。それに彼氏でもないのに独占欲が出てきてるんだよ」
三浦「独占欲? ヒキオがあーしに?」
八幡「ああ。気持ち悪いだろ」
三浦「別に気持ち悪くないし。あーしは嬉しいよ」
八幡「そ、そうか」
三浦「それでヒキオはあーしのこと好きなわけ」
八幡「……多分、好きだと思う……」
三浦「多分って微妙なんですけど」
八幡「悪い。俺は本当に人のことを好きになったことがないみたいなんだ」
三浦「ないみたいって誰かに言われたん」
八幡「高校の時に葉山に言われた」
三浦「……隼人ってヒキオに結構ずばずば言うんだ……」
八幡「あいつは俺のことが嫌いだからな。俺も嫌いだけど」
三浦「ならなんで仲良くしてるし。意味わからないから」クスッ
八幡「うるせぇ。話戻すぞ。多分俺は三浦が好きだ。けどこの状態で三浦に告白していいのか判断が出来ない」
三浦「……そっか。あーしはヒキオのこと好きだよ」
八幡「」
三浦「自分の気持ちに自信がないならあーしが自信つけさせてあげる。だからあーしの彼氏になって下さい」
八幡「いいのか?」
三浦「それはあーしの台詞だし。あーしみたいな中古でいいの」
八幡「中古って……」
三浦「ネットで見たことあるし。あーしみたいなのってオタクの間じゃ中古って言うんしょ」
八幡「いや、それは一部のネットユーザーだけだから。別に俺は思ってないから」
三浦「ホントに!?」
八幡「ああ。だからあんま自分のこと中古って言うなよ」
三浦「うん。ヒキオもこれからは自分のことを卑下しちゃ駄目だかんね」
八幡「……わかった。ていうかいい加減ヒキオってやめてくんない」
三浦「それじゃ八幡でいい」
八幡「比企谷でいいんじゃないか」
三浦「彼氏を名字で呼ぶとかおかしいっしょ。今からあーしは八幡って呼ぶから」
八幡「わ、わかった……」
三浦「八幡はあーしのこと優美子って呼ぶこと」
八幡「それはハードルが高いな。自慢じゃないが妹以外の女子を名前呼びしたことないぞ」
八幡(けーちゃんはカウント外だよな)
三浦「ならあーしが八幡の初めてってわけ」
八幡「……三浦」
三浦「優美子」
八幡「三浦」
三浦「次に三浦って言ったら結衣に八幡に変なことされたって言うから」
八幡「うぐっ。……優美子」
三浦「うん!」
八幡「まあ、これからよろしく頼む」
三浦「あーしこそ。そんじゃさっそく一緒に寝るし」
八幡「…………え?」
三浦「ほら一緒にベッドで寝るよ」
八幡「いや、心の準備が出来てないよぉ……」
三浦「なにキモイこと言ってるし。一緒に横で寝るだけだから」
八幡「あっ……」
三浦「ほら早く!」グイッ
八幡「わ、わかった。わかったら引っ張るな!」
5分後
三浦「えへへ」
八幡「なあ、狭くないか」
三浦「狭い?」
八幡「シングルベッドだから狭いだろ。だから俺は布団に……」
三浦「ならこうくっつけば問題ないっしょ」ギュッ
八幡「ひうっ」ビクッ
三浦「何感じてんの。明日はバイトあるんだからそろそろ寝るよ」
八幡「待て待て。そんなくっつかれちゃ寝れないから! 八幡、経験値ゼロなんだからね!」
三浦「毎日こうして寝るんだから慣れてもらわないと困るんだけど」
八幡「」
三浦「それじゃおやすみ。八幡♪」
第2部 やはり俺が三浦優美子と同棲するのは間違っている
おわり
第3部 やはり俺が三浦優美子と付き合うのは間違っていない
よろしく
翌日
三浦「はい、あーん」
八幡「自分で食べれるからいいです」
三浦「いいから黙って食べろ!」
八幡「んぐっ」
三浦「へへっ。美味しいっしょ」
八幡「……美味しい。ていうかこういうの恥ずかしいんだが……」
三浦「誰も見てないからいいっしょ。外ではやんないから」
八幡「うーん」
三浦「八幡はこういうの嫌い?」
八幡「嫌いというより初めてのことばかりだから戸惑っている感じだ」
三浦「初めてって中学の時に彼女いなかったん?」
八幡「俺にいるわけないだろ」
三浦「そっか。それじゃあーしが初カノなんだ」
八幡「そういうことになるな」
三浦「めっちゃ嬉しいかも」
八幡(俺は優美子にとって何人目の彼氏なんだろうか。流石に直接は聞けないが気になるな)
三浦「ちなみにあーしは八幡で二人目だから」
八幡「」
三浦「あいつじゃなくて八幡と最初に付き合えたらよかったかも……」
八幡「……そんなこと言っても意味ないだろ」
三浦「うん」
八幡「それに許せないが一応俺と優美子が付き合うきっかけになったんだから結果オーライでいいんじゃないか」
三浦「そんなもん?」
八幡「そんなもんだろ。それよりさっさと朝食済ませようぜ」
バイト先
チーフ「比企谷くん、三浦ちゃん、おはようなんだぜ」
八幡「おはようございます」
三浦「おはよーございまーす」
チーフ「今日は忙しくなりそうだからよろしく頼むんだぜ」
八幡「うす。三浦、今日は残業覚悟しとけよ」
三浦「」ムスッ
八幡「三浦さん?」
三浦「ふん!」
八幡「何で怒ってんの?」
三浦「だってあーしのこと三浦って……」
八幡「いや、バイト先ですしおすし」
三浦「別にいいじゃん。それとも八幡は人前じゃあーしのこと名前で呼んでくれないわけ!?」
八幡「……はぁ。わかった。優美子」
三浦「うん!」
昼休み
三浦「そういえばあーしと八幡が付き合ったこと結衣と海老名に言ったから」
八幡「…………え?」
三浦「こういうのは早めに報告するべきっしょ」
八幡「何か言ってたか?」
三浦「二人とも祝ってくれたけど」
八幡「そうか」
三浦「ただ結衣が八幡と付き合うのは超面倒かもしれないって言ってた」
八幡(面倒くさい男で悪かったな)
三浦「もちろんあーしは上等って返信したけどね」
八幡「上等か」
三浦「八幡は隼人や戸塚に報告してないん?」
八幡「してないな。……こういうのってやっぱした方がいいのか?」
三浦「もちろんだし。それに二人にはあーしのことで迷惑かけたから」
八幡「そうだな。近いうちに三人で集まって言うか」
三浦「電話やメールで知らせないわけ?」
八幡「まあ、直接言った方がいいかと思ってな」
三浦「そっか」
八幡「ちなみに昨日から俺たちは付き合ってるわけだが具体的に何が変わるんだろうな」
三浦「え」
八幡「いや、俺たちの場合は付き合う前から一緒に暮らしてるわけだろ」
三浦「うん」
八幡「付き合ってこれからどうのような変化があるのかと思ってな」
三浦「変化ね。とりあえず一緒に寝るようになったじゃん。それは変化って言っていいんじゃない」
八幡「今日も一緒に寝るのか?」
三浦「当然だし。一人で寝るより二人で寝る方が気持ちよく寝れるっしょ」
八幡「俺は緊張して中々眠れなかったけど」
三浦「そのうち慣れるっしょ。後はあーしは八幡の彼女なわけだからあーしを好きにしていいよ」
八幡「」
三浦「嫌なことは嫌って言うからさ。八幡がしたいことがあるならちゃんと言ってよ」
八幡「お、おう……」
一週間後 居酒屋
八幡「今日は集まってもらって悪いな」
戸塚「集まると言っても三人だけどね」
葉山「比企谷に人を集める人脈はないからね」
八幡「……それはどうも」ヒクッ
戸塚「それで僕たちに報告したいことがあるってなに?」
八幡「ああ。それなんだが……」
葉山「優美子と付き合うことになったか」
八幡「……何でわかった」
葉山「いや、それくらいしか比企谷が俺たちに報告することなんてないだろ」
戸塚「あはは。そうだね」
八幡「」
葉山「おめでとう」
戸塚「八幡、おめでとう。三浦さんを泣かせちゃ駄目だからね」
八幡「あ、ありがとな……」
葉山「ついに比企谷も彼女持ちか。戸塚は彼女いないのかい」
戸塚「いないよ。葉山くんもいないんだ」
葉山「ああ。俺は雪ノ下さん一筋だからね。ストーカーでも人気女優と結婚出来るんだ。俺にもチャンスはある!」
八幡「ストーカーにはなるなよ」
葉山「善処するよ」
戸塚「八幡、小町ちゃんには報告したの?」
八幡「いや。来週あたりに実家に帰るからその時に言うつもりだ」
戸塚「そっか。お盆は実家に帰らなかったんだっけ」
八幡「ああ」
葉山「はぁ。来週は辛気臭い男と千葉までドライブか……」
八幡「悪かったな!」
23時 八幡宅
八幡「ただいま」
三浦「おかえり。今日も飲まなかったん?」
八幡「ああ。シャワー浴びてくるわ」
三浦「うん。……一緒に入る?」
八幡「……は? はぁぁぁぁっ!?」
三浦「冗談だし。八幡、てんぱりすぎっしょ」
八幡「くっ。あんまからかうなよな……」
三浦「ごめん。でも八幡が一緒に入りたいなら一緒に入ってもいいけど」
八幡「……き、今日はいいでしゅ……」
三浦「んじゃ明日は一緒に入るし」
八幡「」
10分後
八幡「ふぅ。さっぱりした」
三浦「八幡、髪濡れっぱなしだけど」
八幡「ちょっと面倒くさいから今日はいいや」
三浦「ちゃんと乾かさないと駄目っしょ。髪が痛むよ」
八幡「一日くらい平気だろ」
三浦「だーめ。あーしが乾かしてあげるからこっち座りな」
八幡「……わかった」
三浦「結構素直じゃん」
八幡「逆らっても意味がないことに気づいたからな」
三浦「そっか」
三浦「八幡、髪染めたりしないん?」ブォォォ
八幡「しないな。興味ないし」
三浦「ま、あーしも八幡には黒髪が似合ってると思うよ」
八幡「そうか」
八幡(さっきから背中に柔らかいものが二つ当たってるんだがこれは堪能していていいのだろうか)
三浦「あーしもそろそろ金髪は引退した方がいいんかな」
八幡「就職するなら金髪はアウトだろ」
八幡(何も言わないからいいんだよね。どこぞの雑兵じゃないけどおっぱいが好きだと叫んでいいんだよね)
三浦「だよね」
八幡「由比ヶ浜みたいにモデルになれば気にしなくていいんだろうけどな」
八幡(由比ヶ浜ほど大きくないが優美子も大きいよな。ナイスおっぱい!)
三浦「……だね」
八幡(雪ノ下は結局卒業まで絶壁のものだったな。本場アメリカの、その空気を吸うだけで雪ノ下はおっぱいが大きくなると思っていたのかなぁ)
三浦「あーんさー」
八幡「」ビクッ
三浦「あーし、結衣から読者モデルやらないか誘われてるんだけど……」
八幡「そうなのか。それで優美子はどうしたいんだ」
三浦「やろうと思ってる。今のバイトだけじゃ週四だから稼ぎ少ないし」
八幡「バイトと両立できるのか?」
三浦「うん。結衣に聞いたら撮影は週に一、二回だから。シフト調整すれば大丈夫っしょ」
八幡「あんま無理すんなよ」
三浦「大丈夫だし。……ただ八幡と一緒にいる時間が減るのは嫌だけどね」
八幡「……」
三浦「でも将来の為にも貯蓄もしなきゃいけないし」
八幡「将来の為か」
三浦「そう。八幡は学生なわけじゃん。大学が始まったら収入も減るっしょ。だからあーしが頑張らないとじゃん」
八幡(随分近い将来の話だった)
三浦「八幡が欲しいものとか、それと服も買ってあげたいし」
八幡「え」
三浦「あーし、八幡の為に頑張るから」
八幡「い、いや、欲しいものは自分で買うし服も十分あるから」
三浦「でも八幡の服ってちょっとダサいじゃん」
八幡「」グサッ
三浦「だからあーしがコーディネートしてあげんの。それにあーしもペアリングとかペアネックレスとか欲しいし」
八幡「ペアリング、ペアネックレス」
八幡(リア充の必須アイテムだな)
三浦「だからいいっしょ。それともこういうの重い?」ウルッ
八幡「うっ。……い、いや。重たくないぞ。二次元には第三位とか閃光さんとかもっと重たい女がいるからな」
三浦「八幡もペアリングとか欲しい?」
八幡「お、おう。欲しいなー」
三浦「よかった。それじゃ早速結衣に返事するから」
以上!
あーしさん、食蜂、肉、アルミンといい金髪キャラはたまらんですね!
8月下旬
三浦「ねー」
八幡「どうした」
三浦「もう8月も終わりじゃん」
八幡「そうだな」
三浦「八幡も千葉から帰ってきたわけだしさ」
八幡「ああ」
三浦「プールでも行かない?」
八幡「え」
三浦「あーし、今年はプールも海も行ってなくてさ。行かないとじゃない?」
八幡「別に毎年海やプールに行く義務はないだろ。それにあんな人多いところなんて勘弁だ」
三浦「……八幡はさ、あーしの水着姿見たくないわけ?」
八幡「いや、すでに全裸も見てますし」
三浦「そうだけど!! そういうことじゃないっしょ!!」
八幡「それに俺は水着持ってないしな」
三浦「水着ならあーしが買っておいたけど」
八幡「え」
三浦「八幡が千葉に帰ってる間に買っておいたし」
八幡「……」
三浦「んじゃ明日行くから」
翌日 プール
八幡「本当に来てしまった」
三浦「結構人多いし」
八幡「まだ夏休み期間中だからな。帰るか」
三浦「帰らないし!」
八幡「冗談だ。でも嫌な未来が想像つくんだよ」
三浦「どんな?」
八幡「優美子がナンパされるだろ。そこで俺が彼氏として登場するわけだが、『えー、あれが彼氏?』などと酷評される」
三浦「具体的過ぎだし。ならあーしの手をずっと握っててよ」
八幡「…………え?」
三浦「そうしればあーしがナンパされることもないっしょ」
八幡「ずっとか……」
三浦「何なら腕組でもいいいけど」
八幡「手でいいです」
三浦「んじゃ行くよ。これ、八幡の水着ね」
八幡「これは出番が少ない主人公みたいに学校指定の水着じゃねぇよな」
三浦「いや、大学に指定の水着なんかあんの?」
10分後
八幡(本当に人が多いな。帰りたい)
三浦「八幡、お待たせ」
八幡「おう。……っ!?」
三浦「へへ、どう?」
八幡(黒に花模様が入っている黒ビキニ。これはなかなか……)ゴクリ
三浦「感想聞いてんだけど」
八幡「……凄くいいです」
三浦「当然だし。でもありがと」
八幡「とりあえず適当に入るか」
お昼頃
三浦「八幡、あーん」
八幡「またかよ。ここは家じゃないんだぞ」
三浦「そんなの知ってるし。てか他のカップルたちもしてるじゃん」
八幡「……」
三浦「それに八幡はあーしにナンパされたくないっしょ。ならあーし達も周りにアピールしないと」
八幡「……わかったよ」アーン
三浦「最初から素直にあーんされろっつーの」
八幡「」モグモグ
三浦「あーしにもあーんして」
八幡「」
八幡「それで読者モデルの方はどうだ?」
三浦「うん。楽しくやれてる。結衣もいるしね」
八幡「そうか」
三浦「早ければ来月の雑誌に載るみたいだし」
八幡「そんなすぐに載せてもらえるもんなのか」
三浦「さあ。あーしもよくわからないし」
八幡「そうか。由比ヶ浜はそのまま専属モデルになったりするのだろうか」
三浦「どうだろ。結衣ならグラビアの方が向いてると思うけど」
八幡「そうだな。あいつ、胸大きいしな」
三浦「むっ。あーしだって大きいほうだし」
八幡「お、おう……」
三浦「それにあーしの方が柔らかいっしょ」
八幡「いや、由比ヶ浜の胸が柔らかいかわからないですしおすし」
三浦「いいからあーしの方が柔らかいの。てか八幡はあーしの胸だけ揉んでればいいし」
八幡「声が大きいから……」
夕方
三浦「あー、疲れた。今日はたっぷり遊んだし」
八幡「本当に疲れた……」
三浦「八幡、疲れすぎっしょ。明日のバイト大丈夫なん?」
八幡「大丈夫じゃない。帰って早く寝たい。眠たくてしょうがない」
三浦「なら夕食は軽めにする?」
八幡「そうだな」
三浦「んじゃスーパー寄らないで冷蔵庫にあるもので適当に作るけどいい?」
八幡「問題ない。優美子の料理は何でも上手いからな」
三浦「そ、それほどでもないしっ///」
八幡「美味しい人間が作ると料理も美味しくなるんだな」
三浦「……それってあーし自体が美味しいってこと?」
八幡「ああ。昨日も美味しかったぞ」
三浦「っ///」
八幡(やべえ。うとうとして変なこと言ってるぞ俺)
9月上旬 いつもの居酒屋
葉山「へえ、プールに行って来たのか。楽しかったかい?」
八幡「ああ。人が多くなければもっと楽しかっただろうな」
葉山「優美子の水着姿どうだった?」
八幡「何かエロかった」
葉山「そうか。高校の時に俺も水着姿を見たことがあるけど確かにエロかったかもしれない」
八幡「キャンプの時か?」
葉山「ああ。それ以外にもいつものメンバーで海に行った時もかな」
八幡「ほーん」
葉山「俺がみんなの葉山隼人じゃなければやばかったよ」
八幡「お前も人並みに性欲があるんだな」
葉山「当たり前じゃないか。最近、雪ノ下さんに似たAV女優を見つけたんだ」
八幡「」ピクッ
葉山「胸が大きいんだけど顔と髪型が似ていてね。毎日お世話になってるよ」
八幡「そ、そうか……」
葉山「……貸してほしいのかい?」
八幡「貸してくれるのか!?」
葉山「悪いな、比企谷。このAVは一人しか見れないんだ」
八幡「ぶっ殺すぞ」
同時刻 おされな飲食店
結衣「ヒッキー、また隼人くんとご飯食べてるんだ」
三浦「うん。だから今日は結衣を誘ったわけ」
結衣「優美子、寂しがりやだもんね」
三浦「うっさい」
結衣「それでヒッキーとはうまくいってるの?」
三浦「うん」
結衣「デートかしてたりする? ヒッキー、本当にヒッキーだから外出たがらないでしょ」
三浦「確かに出たがらないけどあーしがお願いすれば付き合ってくれるし」
結衣「そうなんだ」
三浦「先週は一緒にプールに行ったし」
結衣「プールか。あたしは今年は行ってないや」
三浦「そうなん?」
結衣「大学の友達に誘われたけど撮影と被っちゃってさ」
三浦「ふーん。結衣、大学は楽しい?」
結衣「楽しいよ。女子大だから男の人にいやらしい目で見られないし」
三浦「いやらしい目か……」
結衣「……あのさ、優美子」
三浦「ん?」
結衣「その、聞きたいことがあるんだけど聞いていいのか……」
三浦「はっきし言えっつーの」
結衣「んと、ヒッキーともうしてたりする?」
三浦「したけど」
結衣「」
三浦「なんで驚いてんの?」
結衣「う、ううん。驚いてないよ。ただやっぱヒッキーも男の子だったんだなーって」
三浦「そりゃそうっしょ」
結衣「でもヒッキーって理性の塊って二つ名がついてたみたいだし」
三浦「確かに普段は理性の塊っぽいけど」
結衣「けど?」
三浦「なんでもないし」
結衣「気になるから言ってよ!」
三浦「結衣には刺激が強いかも」
結衣「大丈夫だし! あたしだってもう二十歳だし!」
三浦「ならいいけど。えっと、八幡は夜になると獣だし///」
結衣「獣!?」
三浦「あーしがいつも虐められながらやられてるっていうか///」
結衣「ふぁっ!?」
帰り道
三浦「あ、八幡」
八幡「お。優美子も今帰りか。奇遇だな」
三浦「うん。話が長くなっちゃって遅くなったし」
八幡「俺もつい長話をしてな。まあ、明日はバイト休みだからいいけど」
三浦「あーしも明日はバイトも撮影もないよ」
八幡「なら明日はゆっくり過ごすか」
三浦「最近出かけてばっかだからたまにはいいかもね。帰ったら一緒にお風呂入る?」
八幡「そうだな。二人で一緒に入った方が効率いいからな」
三浦「そういう意味で言ったんじゃないし」ムスー
八幡「どういう意味で言ったんだ?」
三浦「それあーしに言わせる気?」
八幡「だって八幡わからないもの」
三浦「むぅ。その、えっと……」
八幡「……」
三浦「今日もあーしを沢山苛めて欲しいっていうか。……てか言わせんな!」
以上!
あーしさんの水着はhttp://i.imgur.com/L5lTZJ3.jpgを偶然見つけたので
10月上旬 大学
八幡(長い夏休み終わってしまったか)
八幡(まあ夏休みは終わってしまったが秋アニメも始まるからプラマイゼロだな)
城廻「あ、比企谷くんだー」
八幡「城廻先輩。どうもっす」
城廻「7月以来だね。元気にしてたー?」
八幡「ええ。城廻先輩は?」
城廻「わたしも元気にしてたよ。就職活動が大変だけどねー」
八幡「就職活動か……」
城廻「それじゃまたねー」
八幡「うす」
とある事務所
結衣「優美子、昨日ドラマ見た?」
三浦「ドラマ。ごめん、最近あーしドラマ見てないんだよね」
結衣「そうなんだ。高校の時は沢山見てたのに」
三浦「八幡はあんまドラマとか見ないから。でもアニメなら少し見てるし」
結衣「優美子がアニメ!?」
三浦「あ、でも八幡が掟上今日子の備忘録は見るって言ってたからそれは見るかも」
結衣「ヒッキーがチャンネルの選択権握ってるの?」
三浦「当たり前だし。だって八幡の家だし」
結衣「そ、そうなんだ。意外かも」
三浦「別に好きな番組を見せてくれないわけじゃないから。あーしが少しTV離れしてるっつーか」
結衣「あ、それあたしもかも。前より見る番組少なくなったし」
三浦「海老名はどうなんだろ」
結衣「姫菜はアニメは沢山見てると思うよ。それより今日の撮影先ってヒッキーの大学の近くだよ!」
三浦「そうなん? なら八幡を迎えにいこっかな」
結衣「うん、そうしなよ」
三浦「結衣もどう?」
結衣「あたしはその後も仕事あるんだー」
三浦「そっか。結衣、めっちゃ忙しくない?」
結衣「うーん、でも楽しいし!」
三浦「ならいいけど。あんま無茶しちゃ駄目だし」
結衣「優美子に心配されたくないなー」
三浦「うっ。ご、ごめん……」
結衣「いや、冗談だから!」
夕方 大学前
三浦(ここが八幡が通ってる大学)
三浦(なんかあーしが通ってた大学より自意識高い系が多そうだし)
三浦(てか八幡まだかな。もう終わってるはずなんだけど……)
三浦「あっ」
城廻「そういえばこの前平塚先生にあったんだよー」
八幡「平塚先生、元気にしてました?」
城廻「うん。お昼からラーメン食べながらビールを飲んでて元気いっぱいだったよー」
八幡(まだ彼氏いないのか……)
城廻「……あれ。あなた、どこかで……」
八幡「……優美子?」
三浦「……うん」
城廻「えっと、確か総武高の……」
八幡「三浦優美子です。俺の同級生だった」
城廻「あ、そうだ。文化祭でバンドのヴォーカルしてた子だよねー」
三浦「ま、まぁ」
城廻「三浦さんもここの大学に通ってたの?」
八幡「違います。多分、俺を迎えに来てくれたんですよ」
城廻「え」
八幡「撮影終わったのか?」
三浦「うん。撮影場所がここの近くだったから迎えに来た」
八幡「そっか。それじゃ城廻先輩、また明日」
城廻「う、うん」
八幡「ほら行くぞ」
三浦「ん」
城廻「……」
城廻(比企谷くん、一緒に帰ってくれる友達がいたんだ。よかったー)
帰り道
三浦「……」
八幡「何で怒ってんだ」
三浦「別に怒ってないし」
八幡「いや、怒ってるでしょ」
三浦「別に。ただ大学に仲が良い女がいるなんて知らなかったから……」
八幡「いや、城廻先輩は高校からの顔見知りなだけで仲が良いわじゃないから」
三浦「あーしには仲良く見えたし」
八幡「あの人は誰にでもあんな感じだ」
三浦「でもあーしがいないところでよく話してるんしょ」
八幡「学年も違うからたまにだよ」
三浦「ホントに? 二人で遊んだりしてない?」
八幡「してない。それに城廻先輩は就職活動中で遊んでる余裕はないだろ」
三浦「……」
八幡「そんなに心配なら俺のスマホ見るか。メールもラインも彦一並にチェックしていいぞ」
三浦「……わかった。信じる」
八幡「ていうか俺に対してそんな心配はしなくていいぞ」
三浦「心配するし。だって高校時代周りは可愛い女ばっかだったじゃん」
八幡「……今思えばそうかもしれない……」
三浦「八幡の男友達なんて戸塚とデブくらいだったし」
八幡「デブは別に友達じゃないから」
三浦「だから大学でももしかしてと思って不安になっちゃって……」
八幡「安心しろ。大学で俺に声を掛けてくるのは城廻先輩くらいだ」
三浦「そっか」
八幡「この話はこれくらいにして帰りにコンビニ寄ってこうぜ。今日は水曜日なんだ」
10月中旬 八幡宅
三浦「ねー、明日服買いにいかない?」
八幡「服なら買っただろ」
三浦「それ秋服だし。もう冬服買わないとじゃん」
八幡「去年のがあるからそれでいいし。ていうかジャージで十分だし」
三浦「流石に外でジャージは駄目っしょ」
八幡「今の時代神様もジャージですしおすし」
三浦「いいから行くよ。ギャラも入ったから買ってあげるから」
八幡「……そんなにモデルって儲かるの?」
三浦「普通にバイトするより儲かる。でも貯金もちゃんとしてるから」
八幡「自分の服は買わないのか?」
三浦「買うけど撮影で着たのも少しもらえてるから大丈夫だし」
八幡「はぁ。モデルっていいな」
翌日 おされな服屋さん
三浦「八幡、これとかいいんじゃない?」
八幡「そうか。俺はよくわからないからな」
三浦「八幡はやっぱ黒が似合うと思うんだよねー」
八幡「まあ、そこは優美子のセンスに任せる。信じてるぞ」
三浦「う、うん。あーしに任せて」
八幡「てか俺の服は後回しでもいいんだけど」
三浦「八幡の服が優先だし。八幡も欲しいのあったら言ってね。買ってあげるから」
八幡「お、おう……」
客1「やーね、ヒモですわ」
客2「きっと彼女を風俗で働かせてるゲスよ」
八幡(まあ、ヒモに見られても仕方ないよな)
三浦「」ギロリ
客1「ひっ」
客2「行きますわよ」
三浦「……ふん」
八幡「風俗嬢は酷いよな」
三浦「別に。あーしのことは何言われても平気だし。ただ八幡がゲスって言ってたのが気に食わなかっただけ」
八幡(やだこの子愛くるしい)ギュッ
三浦「ちょ、八幡っ///」
八幡「……あ、悪い」
三浦「べ、別にいいけど。ただ急に抱かれたからびっくりしただけで」
八幡「人前だもんな。ごめんな」
三浦「別に怒ってないし。その八幡がいいなら、その更衣室で///」
八幡「優美子、落ち着け」
某日 いつもの居酒屋
葉山「そうか。通りで最近の比企谷はファッションセンスがよくなったと思ったよ」
八幡「結局三万円も使わせてしまった」
葉山「いいんじゃないか。優美子が自分で決めたことなんだし」
八幡「そうなんだけどな」
葉山「それと最近肌の艶もよくなってないか。俺の気のせいかもしれないが」
八幡「優美子の指示で毎日洗顔、化粧水、乳液をしてるからな」
葉山「比企谷が?」
八幡「ああ。それまでは夏は肌水、冬はアロエクリームだったんだがな」
葉山「なるほど。今流行の女子力高い男子だな」
八幡「女子力高いは別にして将来の為に肌のケアはしっかりした方がいいと意識は変わったな」
葉山「優美子も凄いな」
八幡「ちなみに葉山はどういうの使ってんだ?」
葉山「俺は化粧水と乳液が一緒になってるやつかな。よくわからないけど」
八幡「そんなもんだよな。俺も優美子が使ってるのを借りてるだけだし」
葉山「比企谷」
八幡「あん」
葉山「今のまま行けば夢の専業主夫になれるんじゃないのか」
八幡「……そうかもな。現に俺が社会人になっても優美子の方が収入良さそうだしな」
葉山「そのうち専属モデルになるかもしれない」
八幡「でも俺は働くぞ。優美子に専業主婦になってもらいたいからな」
葉山「へぇ。どうしてそう思ったんだい?」
八幡「いや、単純に優美子が台所に立ってる姿を見るのと、おかえりと言ってもらえるのが嬉しいからだ」
葉山「そうか。……ちっ、リア充爆発してくれないかな」
八幡「え」
以上!
あーしさんも可愛いけど1期2話で回想に出てきた好きな人がHくんの女子も可愛いよね
10月下旬 八幡宅
八幡「そろそろこたつ出すか」
三浦「え。炬燵あったん?」
八幡「ああ。日中はいいが夜になると寒くなってきたからな」
三浦「それじゃ明日こたつ布団を洗濯して干さないとじゃん」
八幡「別に大丈夫だろ」
三浦「駄目だし。一年近く使ってないんだから」
八幡「そういうもんか」
三浦「そういうもんだし」
八幡「それじゃよろしく頼む」
三浦「うん。てか今日も夜冷えてるじゃん」
八幡「寒いならエアコンつけるか」
三浦「エアコンよりもっと簡単に温まる方法あるっしょ?」
八幡「ハチマン、ワカラナイナー」
三浦「ちゃんと言わないと駄目?」
八幡「駄目」
三浦「そ、その、あーしを抱きしめて温めて下さい///」
八幡「素直にそう言えばいいのに」
三浦「やっぱ八幡ってSっ気あるっしょ」
翌日
三浦「それで昨日はずっと八幡に後ろから抱いてもらってTV見てたわけ」
結衣「そ、そうなんだ……」
三浦「んでたまにあーしの耳に息を吹きかけてくるわけ。あーしが耳弱いの知ってるくせに」
結衣「ふ、ふーん……」
三浦「あーし、こたついらないかも。八幡に温めてもらえるから必要ないし」
結衣「あ、そう。……優美子とヒッキーって凄い仲良いよねー」
三浦「まーね。でもこの前少し喧嘩しちゃってさー」
結衣「そうなんだ」
三浦「八幡があーし以外の女の子可愛いって言ったの。ありえなくない?」
結衣「ヒッキーが素直に可愛いって言うの珍しいね。誰?」
三浦「ハイキューの新しいマネージャー」
結衣「」
三浦「でもあーしの金髪の方が綺麗だし、胸も大きいって言ってくれたからいいけど」
結衣「…………もうなんなの!!」
三浦「」ビクッ
結衣「さっきから惚気話ばっかして! あたしを糖尿病にしたいの!?」
三浦「ゆ、結衣?」
結衣「もう十分だから! ヒッキーと優美子がラブラブなのは十分わかったから!」
三浦「ら、ラブラブって死語……」
結衣「うるさぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁい!!」
三浦「ひっ」ビクッ
結衣「こっちは彼氏いない歴=年齢なの! キスもしたことない処女ですけど何か!?」
三浦「な、なんでもありません……」
その日の夜 八幡宅
三浦「結衣に凄い怒られちゃったし」
八幡「俺もこの前葉山に怒られたぞ」
三浦「そんなに怒ることない思わない」
八幡「そうだよな」
三浦「結衣、仕事忙しくてストレス溜まってのかも」
八幡「なら優美子がサポートしてあげないとな」
三浦「当然だし」
八幡「それよりそろそろどいてくれないか。膝の上に座られてて動けないんだが」
三浦「だーめ。このままがいいし」
八幡「でもこたつ出したし」
三浦「こたつよりこっちの方がいいっしょ。あーしは八幡の温もりを感じれて、八幡はあーしの温もりを感じれるじゃん」
八幡「まあ、そうなんだけどな」
三浦「あーしはこれ気に入ったの」
八幡「はぁ。トイレに行くときはどいてくれよ」
某日 大学
八幡(今日も飯が美味い)
男子「お、比企谷くんじゃん」
八幡「おう」
八幡(誰だっけ。確か同じ学部の……)
男子「今日も愛妻弁当?」
八幡「まだ結婚はしてねぇよ」
男子「この前一緒にいた金髪の子だよね」
八幡「ああ。見てたのか」
男子「うん。確か三浦優美子でしょ」
八幡「知ってるのか」
男子「読者モデルでしょ。雑誌に載ってるの見たことあるよ」
八幡「ほーん」
男子「どうやって知り合ったの?」
八幡「高校の同級生だよ。読者モデルになったのも付き合った後だ」
男子「同級生か。羨ましいよ。あんな可愛い子が彼女で」
八幡「お前の彼女も可愛いだろ」
男子「いや、見たことないでしょ?」
八幡「……」
男子「ていうか彼女いないし。比企谷くんって結構適当なんだな。それじゃ俺は食堂行くから」
八幡「ああ」
男子「あ、そうだ。今日はサンデー立ち読みしなくていいと思うよ」
八幡「何でだ?」
男子「メジャーが休載してたから」
八幡「マジかよ……」
男子「んじゃまたね」
八幡「……いいやつだな」
八幡(ん? なんで俺がメジャー好きなこと知ってんだ?)
その日の夜
三浦「それってもしかして海老名が好きなアレじゃん?」
八幡「アレって?」
三浦「BLってやつ。もしかして八幡を狙ってるホモなんじゃん」
八幡「」
三浦「やっぱ実際いるんだ」
八幡「待て待て。そうとは限らないだろ。もしかしたら俺と友達になりたいのかもしれん」
三浦「八幡と友達になりたい同性っているわけ?」
八幡「…………いないよな」
三浦「それにあーしのこと知ってるんしょ。つまり女性向けのファッション雑誌読んでるわけじゃん」
八幡「……」
三浦「怪しくない?」
八幡「そ、そうだな……」
三浦「八幡、気をつけなよ」
八幡「わかった。貞操は死守する」
三浦「意味が違うし!」
一週間後 コンビニ
八幡(あれからたまに話掛けられるが特にボディタッチはしてこないな)
八幡(やっぱり優美子の考えすぎじゃないのか)
八幡(とりあえず立ち読みに集中するか)
男子「またメジャー読んでるの?」
八幡「うわっ!?」ビクッ
男子「やあ、比企谷くん」
八幡「お、お前。何でここに!?」
男子「何でってこの格好見てわかんない?」
八幡「……ここでバイトしてたのか」
男子「まあ、親が経営してる店なんだけどね」
八幡「そうか。だから俺がサンデー読んでるのを知ってたのか」
男子「まあね。ついでにメジャーのコミックスも買ってたから」
八幡「全部見られてたわけだ」
男子「そう。ちなみに彼女と一緒にいた時も俺がレジ打ちしたんだけど」
八幡「マジかよ」
男子「比企谷くんって大学じゃクールだけど、立ち読みしてる時は表情豊かだよね」
八幡「え」
男子「前から話しかけようと思ってたんだけど中々機会がね」
八幡「そ、そうか」
男子「まあ、これから大学でもよろしく頼むよ」
八幡「お、おう」
男子「あと立ち読みしてもいいけどなんか買ってから退店してよね」
八幡「」
その日の夜 いつもの居酒屋
葉山「そうか。比企谷にもとうとう男友達が出来たか」
八幡「いや、友達っていうか」
三浦「よかったじゃん、八幡。ホモじゃなくて」
八幡「ホモと言ったのは優美子だろ」
三浦「うっ。ご、ごめんなさい……」
八幡「あんま人を決めつけるなよ」
三浦「はい……」
葉山「……それより何で優美子もいるのかな?」
八幡「いや、それが……」
三浦「だって八幡の傍にいたかったし。一人で家で待つとか無理っしょ」ギュッ
八幡「だそうだ」
葉山「……」
三浦「八幡、今日は一緒に風呂入ろ」
八幡「いいけど入るだけだぞ」
三浦「えー。洗いっことかしないん?」
八幡「したら変なことするだろ」
三浦「するのは八幡の方だし」
八幡「うっ」
葉山「……」
三浦「まあ、あーしはされても全然いいけど。風呂場ならシーツ汚れる心配もないし」
八幡「今日はしないからな」
三浦「ふーん。どうせあーしの裸見たら気が変わるくせに」
葉山「もういい加減にしてくれないかな」
二人「」ビクッ
葉山「ただでさえ惚気話聞かされてイラついてるのに、目の前でイチャイチャされる身にもなってくれ!」
三浦「ひっ」
八幡「おい、大声出すなよ。優美子が怖がってるだろ」
葉山「それに何で俺には出来ないで比企谷に友達が出来てるんだ! 本当にリア充爆発してくれ!」
以上!
このSSまとめへのコメント
是非に
続き、読みたいです!
続きはよ
続きオナシャス
面白かった!是非続きを!
大和強そう
結婚して幸せな家庭を持つまで
もしこのままあーしさんendにいったら、渡米してる誰かさんがかわいそうでしょ
俺ガイルもオワコンか
面白いわ
雪乃ンゴwwwww
あーしさん良いね! 頑張ってくれ
続き見てー!!!
この葉山ならうまい酒が飲めそうだw
葉山かなかなか良い
でも八三が甘くてよい続き見たいです
おもしろい!更新がたのしみや