メリー「あたしメリーさん。今あなたの後ろにいるのよ!承太郎ッ!」(32)

~某ホテルの一室~


とうおるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる


承太郎「む」

「おーい、承太郎!電話が鳴ってるんじゃねえか?」

「おれは今トイレに嵌っててでられねえから、代わりに出てくれよ」

とうおるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる


ガチャ


承太郎「……」

『……』

承太郎「モーニング・コールを頼んだ覚えはねえぜ」

『あたし、メリーさん』

承太郎「……メリー?」

『今、日本にいるの』

承太郎「日本だと? おい、てめーは」

プツッ


承太郎(……切れたか)


ジャ――――


ポルナレフ「あースッキリした。やっぱり便所はホテルの水洗に限るぜ」

承太郎「……」

ポルナレフ「おう、承太郎。用件は何だって?」

承太郎「ポルナレフ、お前の知り合いにメリーとかいう名前の人間はいるか?」

ポルナレフ「メリーだって?」

承太郎「今、日本にいるらしいが。それだけ言ったらプッツンしやがった」

ポルナレフ「日本に住んでるメリーさん? おれにゃ全く心当たりがねえが」

承太郎「そうか」

ポルナレフ「イタ電か何かじゃねーの?」

承太郎「かもしれねえが、向こうが『日本にいる』っていうのが気になってな」

ポルナレフ「まあ、フロントに聞いてみりゃ何か分かるだろ。直に掛けてきているわけじゃあ有るまいし」

ポルナレフ「ぼちぼち朝食の時間だな。ジョースターさん達を待たせるわけにもいかないし、とりあえず下の階に下りようぜ」

承太郎「ああ」

フロント係「……いえ、こちらではそのような電話はお取次ぎしておりませんが」

承太郎「……」

ポルナレフ「いやいやいや、待てよ!確かに備え付けの電話が鳴ったんだぜ」

ポルナレフ「承太郎が受話器を取って受け答えをしていた音は、便所のドア越しにおれも聞いてるんだ」

フロント係「そういわれましても……」

承太郎「ここの客室の電話機には外から直接掛けられるのか?」

フロント係「いえ、できません。当ホテルの客室の電話機はすべて内線電話になっておりまして」

フロント係「外からの電話を受信するには一旦代表電話(フロント)を通して客室に転送するという形になります」

ポルナレフ「こりゃあ、おかしな話だな。掛かってくるはずのない電話を取った上に」

ポルナレフ「どこの誰とも知れない相手と会話しちまったってのか?」

ポルナレフ「気味の悪りい話だぜ」

承太郎「……」

ポルナレフ「まさかそのメリーって娘、幽霊とかなんじゃあ……ハハ、まさかな」

承太郎「いや」

承太郎「あながち間違っていないかも知れねえ」

~レストラン~


ジョセフ「何ぃ、メリーさんじゃと? マザー・グースの話か?」

承太郎「違うな」

花京院「『日本』にいる『メリーさん』となると、例の都市伝説だろう」

ポルナレフ「何か知っているのか、花京院」

花京院「ぼくに限らず、日本人ならたいてい誰でも知っている怪談の類ですよ」

アヴドゥル「承太郎も知っているのか?」

承太郎「まあな」

花京院「メリーさんと名乗る女性が繰り返し電話をかけてくる。彼女はその都度自分の現在の居場所を伝えてくるんですが」

花京院「彼女の居場所は徐々に電話の受け手のいる所に近くなっていく。そして、最後の電話で彼女はこう言う」

花京院「今、あなたの後ろにいる――とね。そして、振り向いたものは」

ポルナレフ「振り向いた者は……?」


ジリリリリリリリリリリリリリリリリ


ポルナレフ「電話!?」

ジョセフ「店内に設置してある電話が鳴っているの。あそこか」

花京院「……」

アヴドゥル「……」


ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリ  

ガチャ


案内役「はい、こちら――」

承太郎「貸しな」

案内役「あ、ちょっとお客様!」

『……』

承太郎「……おい、てめーは何者だ」

『あたし、メリーさん。今、香港にいるの』


プツッ

ツーツーツー


承太郎「……」

ポルナレフ「承太郎! また、メリーからなのか」

承太郎「今、香港にいるそうだ」

ジョセフ「ほおう、さっき日本にいたのにもう香港まで移動したとな」

アヴドゥル「うーむ。俄かに信じがたいが、今の電話のタイミングといい、ホテルの電話の一件といい普通じゃあ考えられない」

ポルナレフ「やっぱその都市伝説通り、本物なんじゃあねえか?」

ポルナレフ「なあ花京院、さっきの話の続きは? 後ろを振り向いたら――どうなるんだよ?」

花京院「いくつかのパターンがあったかと思うが、一番オーソドックスなのは」


花京院「振り向いたら殺される、という結末さ」

アヴドゥル「!」

ポルナレフ「なんだと!」

承太郎「……」

ポルナレフ「まずいぞ承太郎、このまま放っておいたら……」

ジョセフ「まあまあ、そう慌てるな。結末が分かっているのなら、逆に対策がしやすいというものよ」

アブドゥル「……確かに、ジョースターさんの言う通りだ」

アヴドゥル「仮に殺される条件が『振り向くこと』ならば逆に『振り向かなければ殺されない』ことになる」

ポルナレル「ああ、なるほど。それもそうだな」

ポルナレフ「仮に背後を取られたとしても、『スタープラチナ』のスピードをもってすれば返り討ちは容易いだろうし」

花京院「そもそも掛かってくる電話を取らなければ、それ以上メリーさんは追跡してこないという説もある」

ジョセフ「……だが。問題は、相手がただの都市伝説とは限らないということじゃ」

花京院「確かに。むしろ、その線のほうが濃厚でしょう」

承太郎「……」

ポルナレフ「ん? 何だ、その線ってのは」

アブドゥル「おいポルナレフ。今置かれている状況を忘れたのか」

ジョセフ「メリーとやらはDIOが差し向けた刺客――新手のスタンド使いの可能性があるッ!」

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