KING OF BANDIT if…… (19)








 盗賊と
     滅びの都の
           鍛冶職人








SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443107996



滅びた都の鍛冶職人を知っているかって?

私も鍛冶職人だ、彼の噂…逸話は勿論知っているよ。

何千何万の刀剣を造り、都が滅びた今でも鉄を打ち続けている永遠の職人……



不死の鍛冶職人と呼ばれてるらしい。



今も生きているのかと言われれば、私には分からないがね……

実際に会った職人は殆ど他界しているし、私も父から聞いたんだ。




……確かに、言われてみれば奇妙な話しだ。

そうなんだよ……

彼の噂は一度たりとも跡切れたことがない。

だからこそ、今の君のように彼を捜す人は後を絶たないのだろうね。

剣士、冒険者…他にも色々な人がいたよ。

彼に会えたのかどうかは知らないが……



では、彼の話しを続けるよ?



彼は生涯を剣のみに捧げたと言われている。

彼の造り出した何千何万の剣は何千何万の命を奪った。



けれど彼は、そんな些細なことは気にしていなかったようだ。

いや、彼にとってはほんの些細な事なんだろう。

ただひたすらに業の極みを追い求めていたんだよ 。

もっと斬れる剣、もっと頑丈な剣を……ってね。



ただそれだけを追い求めていたんだろうさ。



彼は自分の作品で誰が死のうが何人斬られようが知ったことじゃなかった。

そう!その通り!



『天才の中の天才』は迷わない!悩まない!



彼の頭の中は寝ても覚めても剣のことだけだったのさ。

剣にのみ生き、常に勤勉、飽くなき探求心を持った孤高の天才。

いやはや、同じ職人として尊敬するよ。



しかしながら、そんな彼にも妻子がいたようなんだよ……



ははっ、驚いただろう?

鍛冶一筋の彼が一体何の為に家庭を持ったのか、私も疑問でならない……



まあ家庭云々は置いといて彼は以前と変わらず剣を造り続けた。

言い忘れていたけれど彼の評価は今でも非常に高いんだよ?

いや、そうでなければ君のように彼の幻影を追う者はいないだろうが…

とにかく、当時は名高い剣士達が毎日のように訪れていたそうだ。

きっと職人として誇りに思っていただろうし、幸せだったことだろう。



何せ自分の作品が認められ

それを求めて遠路はるばるやってくるのだからね。


そんな職人の絶頂とも言える最中、ある事件が起きる。

いつもの彼なら気にしない事件さ。



先程言ったように、彼は自分の作品で人が死んでも何とも思わない人物だ。

しかし殺されたのが家族、しかも愛する一人娘なら話しは別だ。

彼の唯一愛した一人娘は、彼の作品によって斬り殺された。



普通……

いいや、通常の人間なら鍛冶職人など辞めてしまうのだろうが彼は違っていた。



その逆だよ…

彼は以前にも増して鍛冶に力を注ぐようになった。

ほぼ不眠不休で鎚を振っていたという話しだ……



『止まぬ鐘の音、彼の鎚』



なんて詩もあるくらいだからね。

現実逃避か気が触れてしまったのか分からないが、彼は次々と名剣名刀を造り出した。

一説によると彼の造り出した剣が都を滅ぼしたと言われている。



詳細は定かではないが

貴族と民の対立、内乱、革命が起きたのではないかと言われてる。

結果、その都は滅びたのだが……

その際に両陣営共に彼の造った剣を手に戦っていたようなんだ。



そう!

だからこそ『彼の剣が都を滅ぼした』と言われているんだ!! 

彼が如何に多くの剣を造り出したのかが分かる逸話だね!!




あっ…つい興奮してしまった……済まないね。

ともかく私が知っているの彼はこれくらいかな。




……あ、そうだ!!   

ちょっと待っていてくれないか?君に見せたい物があるんだ。


はははっ、どうだい驚いただろう?

これは彼が造った短刀、我が家の家宝なんだ。


何故?

さあ何故だろう、君になら見せてもいいかと思ってね。

どうだい?

こんなにも美しい物が命を奪う武器だとは思えないだろう?




……持ってみるかい?

はははっ、頼むから盗まないでくれよ?

私も歳だ、逃げられたら君になんて追い付けっこないからね。

おっ、とても似合うね。


何と言うか、収まりが良いというか絵になるというか……

あれ?

何だか急に眩しく……っていない!!?



………まあいいか、どうせ贋作か模造品か何かだろうし。

……折角のカモを逃がしたのは痛いけれど、まあ良しとしよう。

あの短刀、以前から薄気味悪かったし……


短いけどまた明日。

タイトル詐欺ですがジンとキールは出ません。

Ging好きだけど、あんな掛け合いは書けません。

だから主人公はいつも通り『盗賊』にするつもりです。

Ging再開しねえかなあ…

Gingじゃねえjingだ、すいません

潔くJingで書いてみる
こんなの読みたいなあと思って書いてきたし

潔くJingで書いてみようかなと思う
今まで書いた盗賊の話しもこんなJINGがあってもいいなと思って書いてたし。

でも赤い風車と恋愛税、蒸発王と千年シチュウとかタイトルからして格好いいんだよなあ……

あの発想がどこからくるのか知りたいです、熊倉先生。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom