女騎士「くっ、火を放て!」(10)
女騎士「…」
そう言いながら女騎士は
ケーキに刺さった蝋燭に火を灯した。
女騎士「一人誕生会は寂しいなぁ…」
フーッ
女騎士「儚く消えた。こうやって毎年無駄に老いていくのか」
ケーキ パクパク
女騎士「何やってんだろ、私…」
女騎士「同僚は皆結婚してしまった。残されたのは私だけ…同窓会に顔を出すのも辛くなってきた…最近じゃ外出するのも怖い…嫌だ…もう誰にも会いたくない…」
女騎士「ピザの配達とAmazonさえあれば生きていける。そんな気がしてきた」
女騎士「そもそも乙女の十代、二十代を魔物退治に費やしたのが間違いだった。今思えば、周りに上手いこと煽てられたんだなぁ」
女騎士「しかも私はまだ処女…このまま男も知らずに枯れていくのか…」
グスッ
女騎士「泣けてきた」
グスッグスッ
女騎士「くそぅ…なんだかたまらなく悲しい…そして憎い…私を女騎士という存在に縛り付けた奴らが…国が…世界が!」
女騎士「そうだ…決めた…これは八つ当たりだ、逆恨みだ…世界に対しての…!」
ククッ
女騎士「くっ、かかかっ…あはははは!国王も!大臣も!姫も!兵士も!勇者も!その仲間も!民も!その家族も!」
女騎士「ぐちゃぐちゃの肉団子にして、火を放ってやろう。そうだ、そうしてやろう。そうだ、それは素晴らしいことだ」
女騎士「あはははは、はは」
それから数日後
王の寝室に侵入した不届き者が
意味不明な奇声を上げながら
斬首された。
その者は首を跳ねられる瞬間
恐怖のあまり失禁してしまったらしい。
おもらし、おもらし。
【完】
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