男「いきなりどうしたんだよ」
友「まあ、良いから聞けって」
男「ちょっと待て」
友「だからとりあえず聞けって」
男「いや待って、なんで俺の家に居るんだよ」
友「窓の鍵開いてたぞ、戸締りには気をつけろって何万回と言ったでしょ!」
男「お前は俺のおふくろか」
友「落ち着け、とりあえずは携帯を手放すんだ、警察に電話をしようとするな」
男「納得はいかんが俺にも確かに落ち度があったな、許してやる」
友「反省したか?」
男「やっぱ警察呼ぶわ」
友「ごめん、いやマジで」
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友「話を戻すぞ」
男「なんで居るんだよ」
友「もうちょっと前」
男「友くーん、遊ぼーよー」
友「戻し過ぎ、いくつの時だよ」
男「懐かしいな」
友「本当にな」
男「で?昔話の一部を本当とするってどういうことだよ」
友「思いつきだよ、話が広がりそうだなーって思ったからわざわざ来てやったんだ」
男「ありがとなー」
友「じゃあ、まず手始めにかぐや姫だな」
男「おう」
友「例えば竹から生き物が出てきた部分と金持ちが集まった部分、月に帰った部分を本当とすると」
男「すると?」
友「竹からめっちゃ珍しい生き物、仮に宇宙人としようか、が出てきてそれを聞きつけた金持ち達が買おうと集まったけど宇宙に逃げられた話になるんじゃないか?」
男「なんでそうなる」
友「じゃあお前ならどうするんだよ」
男「んー、そーだなー」
友「ゆっくり考えるが良い」
男「例えばな、めっちゃ綺麗な女性が老夫婦に養われていた事を事実としよう」
友「すると?」
男「その女性を利用して金儲けをして最後は金持ちに売り払う話になる」
友「酷い話だな」
男「お前の三流SFよりはマシだろ」
友「平安時代の昼ドラみたいな話よりはマシだ」
友「まあいい、次は……桃太郎にしようか」
男「友からどうぞ」
友「鬼ヶ島に仲間を連れて攻め込んだ事を本当だとすると」
男「すると?」
友「鬼ヶ島の財宝を奪っていく悪役が桃太郎だ」
男「ひどい話だな」
友「話なんてもんは大体が書いた側の都合のいいように改変されてるものなんだよ」
男「ひどい話だな」
友「全くだ」
友「さあ、ゆあたーん、つまりお前の番だ」
男「発音ひっでえな」
友「いいだろ、別に」
男「いいけど、別に」
友「さあ考えろ、悩み苦しめ」
男「うるさい天に昇れ、よしじゃあこうしよう」
友「どうするんだよ」
男「桃太郎が犬猿雉を連れて旅をした事を本当としよう」
友「すると?」
男「桃太郎は旅のサーカス御一行」
友「ひどい話だな」
男「稼ぎは全部育ててくれた老夫婦にあげている」
友「いい話だな」
男「そうだろう」
男「例えば俺が今喪服な事を事実とするとな」
友「いきなりだな、聞いてやるよ」
男「俺は今葬式から帰ってきたんだよ」
友「そうなるな」
男「そしてその葬式の主役が友だった事を事実とするとな」
友「うんうん」
男「お前は幽霊なんだよな?」
友「正解!成仏する前にお前と馬鹿な話でもしようかなってね」
男「そうか……」
友「まあ、あれだ」
男「ん?」
友「あの世がある事を事実とするとな」
男「すると?」
友「またあの世で会えるさ」
男「50年待ってろ」
友「なるべくゆっくり来いよな」
男「任せとけ」
友「じゃあな」
これにておしまい
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