初ssです。
青みがかった美しい黒髪をなびかせながら、少女が夕暮れの廊下を歩いていく。彼女はただの国立音乃木坂学院の女学生ではない。
学校の図書室の番人、図書室警察なのだ。
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ここ数年、青少年による凶悪犯罪、性犯罪の増加が社会問題となった。
それを受け「青少年に有害な影響を与えうる図書に問題があり規制すべき」という世論が高まり、その世論に押され、
国会で青少年の成長に悪影響を及ぼす可能性のある図書を取り締まるメディア改良法が制定され、後に執行機関であるメディア改良委員会が設立された。
改良法の施行後は委員会の検閲に合格した図書のみが出版を許された。
施行以前の図書に関しては機関によって対応が異なった。
書店や学校以外の公的機関の図書は新しく出版を予定している本同様の徹底した検閲がなされた。
学校に関してはタイトルにNGワードが含まれるもの及び、検閲不合格図書を多く執筆した著者の執筆した本のみが検閲対象となった。行われた検閲は教育委員会とその学校の図書室の担当者と委員会から派遣された人員(一人)
で会議を行って有害かどうかを検討するという緩いものであった。理由はそもそも学校には性的な内容のものや、極端に思想が偏った内容の図書はないだろうということだった。
改行しようぜ
>>4 アドバイスありがとう。なかなか難しいな。
それゆえ、学校には直接的な表現こそないが百合やボーイズラブをテーマにした青春小説がたくさん残っている。
これらの本は委員会によって新たにR-18に指定され、一部の限られた書店でしか販売されておらず女子高生が購入するのは難しい。
女子高である音乃木坂学院ではこれらの本の盗難が問題となっている。
この問題に危機感を感じた理事長(親鳥)が奪われた本と図書室の秩序を取り戻すために、秘密裏に結成した学生組織こそが「図書室警察」である。
授業の終わりの鐘が放課後を告げる。
図書室警察を務める少女、園田海未は友人に挨拶を済ませ、パトロールに向かった。
音乃木坂学院の図書室は木の質感が暖かい、郊外にある小洒落たカフェのような空間だ。
飲食は禁止されているが生徒からの人気は高い。今日も自習用の机のほとんどは埋まっていた。
海未は入り口の司書に会釈した後、ゆっくりした足取りで図書室内を歩き始めた。
時々本棚の前に立ち止まって、本を探す素振りをするのも全て演技だ。
周りに目を配りながら奥の方へ進んでいく。
通路を右に曲がろうとしたところで、足を止める。
通路の奥に不審な動きをする人影が見えたからである。
よく見ると、見覚えのある赤髪の美少女は本棚に向かって何やらもぞもぞしている。
そしてお腹に手を当てながら、入り口の方へ向かっていそいそと歩いて行った。
彼女が去った本棚は海未の目線の少し下の段に、一冊分スペースが空いていた。
海未は赤髪の美少女を尾行した。
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