『逸-ITSU-』の番外編です。
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【咲-Saki-安価】逸-ITSU- 山梨県大会編・第二局【オリキャラ】 - SSまとめ速報
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玄音お誕生日おめでとう!!
こちらのスレは不定期更新になりますが、よろしくお願いします。
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さあ行こう
「麻雀って楽しいよね!」
あの頃は、皆一緒に麻雀を楽しめていた。
一局一局の緊張感とリスキーな切りが純粋に面白い。
運の要素の多いゲームだから小学生には難しいと言われたが、
あの頃は学校から帰って見るテレビにプロ雀士が映ることが少なくなかったし、
何よりもそういう人たちに憧れていたのだ。
あの頃は確か、御影プロが12冠を達成していた頃だったかなぁ。
その打ち筋が人間離れしていたから、皆が打ち方を真似してた。
......もちろんできませんでした。
半荘一回全局プラスマイナス0。
正直、小六の私には気持ち悪いともとれた。
そんな打ち方があり得る訳がない。
幼き日の私は、オカルトを信じなかった。
後で意図的にやっていた事を知ったのは内緒である。
幼き私はツイていた。
何だかんだいって、最終的にはプラスマイナス0だった。
自分でも気持ち悪いと思ったが、楽しめるからよしとしていた。
「玄姉はさー、大人になったら何がしたいのー?」
幼なじみの辰美にふと問われ、動揺を隠せない私。
(そういえば......私夢なんて持ったことなかったなぁ)
辰美の言っていることは図星だった。
私は夢を持ったことがないのだ。
「辰美......私、まだそういうのは」
「ほほー、玄姉ももうすぐ中学生だから何かあると思ったんだけどな」
「ないよそんなの......」
「へぇ~」
私は夢を持たない。
夢なんてなくても、人生なんとかなる―――そんな風に考えていたからだ。
今はもちろん違うけど。
正直言って、私は麻雀を職業にすることには抵抗があった。
麻雀は確かに好きだ。でも、プロになることは考えてはいない。
あくまでも趣味の範囲である、仕事にはならない。
小学生なりに、考え抜いた結果だ。
「あ......ツモ、16000オール」
「ええっ......」
「これは酷い」
麻雀は一年生から始めた。
頭のキレは良かったし、大人相手にもよく勝った。
六年生になる頃には、県の大会で優勝し、地元では敵無しとなっていた。
中学生になっても、きっと続けるだろう。
周りの評価もどんどん高くなっていった。
それと引換に、普通の生活は送れなくなっていた。
山梨県最強。
その称号は枷となり、邪魔となる。
それでも取り外せない、損なものである。
栄誉ある称号なのに、本人には価値がない。
中学校に入学すると、私を止められる人は山梨県にはいなかった。
インターミドル無差別級優勝(次の年からは御影プロの息子に負けたが)。
インターミドル個人戦優勝(次の年は負けたが)。
新人戦優勝(次の年も)。
一年生時に輝かしい経歴を手にいれてしまった私は、麻雀において死んだ。
次の年から、私は一度も入賞しなかった。
大会では輝かしすぎる実績のせいで霞み、
まともな麻雀が打てなくなっていた。
そ し て 私 は 絶 望 を 深 く 体 に 刻 ま れ た
犯人は御影桐人。
あいつは人間ではない。
魔王だとか、白い悪魔とか、そんな生易しいモノでは太刀打ちできない。
例えるとすれば......あらゆるものを滅ぼし尽くす滅竜とでも言えようか。
それほどにヤツの打ち筋はおかしかった。
毎局ダブルプンリー、その一巡後に数え役満をアガる。これの繰り返し。
当然、すぐに死んだ。
こんな化け物には歯が立たぬ。
幼き(そんなでもない)私は、絶望を深く刻み込まれたのだ。
例えるとすれば、血に飢えた野獣のごときレイパー。
処女がレイプで奪われた時以上の絶望だ。
はっきりいって、精神障害や不信に陥った。
何せ処女を奪われたのだから(このくだりでちょっと興奮してる玄音ちゃん好き)。
自分の大切なモノがぐちゃぐちゃに荒らし回される、掻き乱される、破られる。
まさしく絶望。よくぞ生きて帰ってきたぞ私。
てゆうかちょっとムラムラしてきた、虎~来て~。
やっぱり処女の時って幸せだなぁ(使うだけ使っておいて出すしょうもない結論)。
中学生では結果を残せず、私は卒業した。
何もかも、あの化け物だ。
恐ろしい。
歯が立たない。
投げ出したい。
高校に入って私は驚愕した。
麻雀部が、なかった。
迫り来る絶望。
恐怖心と、悔しさと。
あの化け物との対局で味わった絶望と同じものだった。
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