御子柴「佐倉頼む! 俺の買い物に付き合ってくれ!!」 (21)

野崎くんSS、みこちよ

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御子柴(来たぜ! アニメヘブン◯◯店!!)

御子柴(今日もここで美少女フィギュアを……ん?)

『期間限定!! ◯◯店限定フィギュア』

御子柴(!!! こ、これは……)

御子柴(数年前に数量限定で販売された幻のフィギュアじゃねーか!!)

御子柴(期間限定で……しかも明日までかよ!?)

御子柴(こりゃ買うっきゃねえ!! ……ん?)

『当フィギュアは二人組の学生のみ販売しています』

御子柴(はぁ!? なんでそんなピンポイントなんだよ!!?)

御子柴(……いや、よく考えたら妥当かもしれねえ)

御子柴(なんせこのキャラはウサギみたいに一人ぼっちだと死んじゃうキャラで……そんでいつも主人公にくっついてる永遠の女子高生って設定のキャラなんだよな)

御子柴(販売方法まで原作を再現しようってことか……やるじゃねえか!!)

御子柴(二人組か……つーことはもう一人連れてこなきゃいけねえな)

御子柴(鹿島……いやダメだ、俺がオタクってあいつには言ってねえしな)

御子柴(だったら……明日野崎に頼むっきゃねえな!!)















次の日

野崎「すまない、今日は剣さんと打ち合わせしないといけないんだ」

御子柴「!!?」

御子柴「野崎……なんとか断れねえか?」

野崎「無茶言わないでくれ、剣さんに嫌われたらどうするんだ」

御子柴「そうか……無理言って悪かったな」

野崎「夜には終わると思うが……夜でもいいか?」

御子柴「いや、確か今日の午後5時までだったからな……それじゃ間に合わねえ」

野崎「協力できなくてすまないな、俺も買いたかったんだが……」

御子柴「!! お、お前ももしかして美少女フィギュアが好きだったのか?」

野崎「お前が買おうとしているフィギュアをマミコの資料用として借りたかったんだ」

御子柴「資料用かよ!!」

御子柴(くそ……野崎がダメなら……俺はどうすれば……)

御子柴(……)

御子柴(……あいつしかいねえ!!!)

御子柴(……)

御子柴(いや、これは寧ろ……野崎が行けなくて逆にラッキーだったかもしれねえ)

美術部

佐倉(ここに来るのも久しぶりだなぁ……最近は野崎くんのアシスタントで行けなかったからね)

ガラッ

御子柴「……」

佐倉「みこりん!?」

御子柴「……今日はお前を指名するぜ、赤いリボンが似合うお嬢ちゃん……それ以外のやつはどっかに行きな」

佐倉「大事な話があるから来てくれってことだね!! 今行くね!!」

佐倉「すいません、ちょっと抜けます!!」

部長「はーい」

御子柴「冷静に分析するなよ……///」

佐倉「普通に『ちょっと話があるから来て』って言えばよかったのに」

御子柴「いや、いつも部室入ったらいきなりモデル頼まれるからよ……だからほかのやつは受けつけないように言ったんだ」

佐倉「そっか……ええと、話って?」

御子柴「佐倉頼む! 俺の買い物に付き合ってくれ!!」

佐倉「買い物?」

御子柴「お前がいねーと美少女フィギュアが買えねーんだよ!!」

佐倉「え、ええっ!?」

御子柴「……つーわけなんだ」

佐倉「そんな売り方してる店があるんだね……」

御子柴「もしかして……部活途中で抜けるのはまずいか?」

佐倉「ううん! そんなことないよ! 美術部は自由参加だからね!!」

御子柴「! じゃあ……」

佐倉「うん! 今すぐ行こう!! 今日は野崎くんのアシスタントもないしね!!」

御子柴「マ、マジでいいのか!? サンキュー佐倉!!!」

御子柴「やったぜ!!」ピョンピョン

佐倉(みこりん、小学生みたいだなぁ……それだけフィギュアが買えるのが嬉しいんだね)

御子柴(二人きりでどっか行くって初じゃねえか!?)ピョンピョン

店員「ありがとうございましたー」

御子柴「おお……遂に手に入れた……すげえ幸せだぜ///」

佐倉「みこりん、買う前からずっとニヤニヤしてたもんね……」

御子柴「!! お、俺……ニヤニヤしてたか?」

佐倉「うん、ずっと」

御子柴「そ、そうか……」

佐倉「……?」

御子柴「な、なあ佐倉……お礼に今日はなんか奢ってやるよ!」

佐倉「ええっ!? いいの!?」

御子柴「お、おう!!」

佐倉「でも……さっきのフィギュアすごい高かったし……私は気持ちだけでも十分嬉しいよ?」

御子柴「えっ……ダメか?」シュン

佐倉「!!……い、行く!! そこのカフェでいいかな!?」

御子柴「お、おう!! どこでもいいぜ!!」パァァ

佐倉(落ちこんでるみこりんを見ちゃったらなんか申し訳なくなっちゃった……でも本当にいいのかな?)

カフェ内

佐倉「ほ、本当にどれでもいいの?」

御子柴「当たり前じゃねーか!! どれでもいいぜ!!」

佐倉「ありがとうみこりん……じゃあこのチーズケーキがいいかな」

御子柴「おし!……すいません、チーズケーキ一つ!!」

佐倉「ええと……じゃあケーキがくるまでの間に……」

カシャッ!!

御子柴「……なんで周りを撮ってるんだよ? ブログにでも載せんのか?」

佐倉「ううん、私はブログはやってないよ」

御子柴「じゃあなんでだよ?」

佐倉「背景の資料用にね!!」b

御子柴「背景の資料って……描くのは背景担当の人じゃねーのかよ?」

佐倉「背景を描けるようになれば……」










佐倉『背景描けました!!』

野崎『ありがとう佐倉!! お礼に膝枕だ!!』











佐倉「えへへ〜///」

御子柴「すげえ想像力だなお前……」

御子柴「……なんつーかさ……あれだよな……」

佐倉「?」

御子柴「俺とお前だけでなんか食べるのって初めてじゃねーか?」

佐倉「あ……そういえばそうだね」

御子柴「……野崎とは二人きりで食べに行ったりとかはしたのか?」

佐倉「外食は一回しかないけど……野崎くんの家で余り物のご飯を二人で食べたことは何回もあるよ!!」

御子柴(残飯処理じゃねーかよ……)

佐倉「あ! 聞いて聞いて!! この間、野崎くんの作ったご飯がね……」

御子柴「お、おう……」

御子柴(また始まったか……)

佐倉「それで野崎くんがね……」ペラペラ

御子柴「……」

佐倉「あの時の野崎くんは……」ペラペラ

御子柴「……」

佐倉「やっぱり野崎くんは……」ペラペラ

御子柴「……」

佐倉「……みこりん? もしかして何か嫌なことでもあった?」

御子柴「えっ……な、なんでだよ?」

佐倉「なんか……私が野崎くんの話を始めたあたりから……急にさっきまでの元気がなくなってるような……」

御子柴「……!! き、気の所為じゃねーか?」

佐倉「ほ、本当に? 何かあったら言ってよ? 友達でしょ?」

御子柴「し、心配いらねえよ!! 永遠のラブハンターには悩みなんてねえ!!」

佐倉「そっか……ならよかった」ホッ

御子柴「おう気にすんなって!!」

御子柴「……」

御子柴(今に始まったことじゃねえよ……けどよ……やっぱ妬んじまうじゃねえかよ……)

御子柴「……佐倉、お前本当に野崎が好きなんだな」

佐倉「うん! 大す……はっ!!」

御子柴「?」

佐倉「みこりん、もしかして野崎くんがどこかに隠れてる?」ボソボソ

御子柴「は? なんでだよ?」

佐倉「アシスタント全員を対象にした意識調査を密かに……」

御子柴「しねーよ」

佐倉「ほ、本当に?」

御子柴「つーかもしやってたとしたら俺もアシスタントだろ? 俺も知ってたら変じゃねーか」

佐倉「確かに……言われてみればそうだよね」

御子柴「考え過ぎなんだよお前は……」

佐倉「そうだね……じゃあ改めて……野崎くんが好き!!」

御子柴「……」

佐倉「みこりん、私は野崎くんに直接言うからね!! 絶対に私が野崎くんのことが好きだって言わないでね!!」

御子柴「分かった分かった」

佐倉「それでね、原稿が終わった時の野崎くんのあの嬉しそうな顔を見たら私まで嬉しくなっちゃった!!」

御子柴「……やっぱ自分も嬉しくなるもんか?」

佐倉「もちろんだよ!! 私ね、自分がどんなに苦しい時でも……好きな人の幸せな姿を見ると幸せになれると思うの!!」

御子柴「!」

佐倉「それでね、野崎くんが……野崎くんって……」ペラペラ

御子柴「……なあ佐倉」

佐倉「?」

御子柴「もしもよ……野崎が浪漫学園にいなかったらさ……野崎以外の誰かを好きになってたのか?」

佐倉「……みこりん?」

御子柴「いや、野崎の話をしないお前が想像できなくてよ……もしいなかったらどんな風に過ごすんだろうなってよ」

佐倉「野崎くんのいない高校生活かぁ……」

御子柴「……やっぱ鹿島とかに惚れたりするのか?」

佐倉「どうだろう……分かんないや」

御子柴「……そっか。 悪いな、変なこと聞いちまって」

佐倉「……」

御子柴「……佐倉?」

佐倉「野崎くんがいなかったらって言ってたけど……野崎くんがいなかったら私とみこりんもこうして話したりしてないよね」

御子柴「まあ……確かにそうだよな」

佐倉「だから野崎くんには感謝しないとね!」

御子柴「……もう一人感謝するやつがいるだろ」

佐倉「えっ……誰?」

御子柴「……運命ってやつによ☆」

佐倉「……あ、結月からメールだ」

御子柴「せめて反応しろ!///」

佐倉「みこりん、今日はありがとう! 凄く楽しかったよ!!」

御子柴「いや、お礼を言うのは俺の方だ。 こんなフィギュア、滅多に手に入らねーからな」

御子柴「今日は佐倉のおかげで助かったぜ!! ありがとな!!」

佐倉(私、ただ着いてきただけだけどね……)

御子柴「じゃあ……また明日な!!」

佐倉「うん! また明日ね!!」ニコッ

御子柴「!!」ドキッ

佐倉「……みこりん?」

御子柴「……!! お、おう! じゃーな!!」ダッ

佐倉「……??」

御子柴「……」







佐倉『私ね、自分がどんなに苦しい時でも……好きな人の幸せな姿を見ると幸せになれると思うの!!』











御子柴(『好きな人の幸せな姿を見ると幸せ』、か……確かにそうかもしれねえ)

御子柴(だったら俺は……この恋を諦める方が……俺にとってもあいつにとっても幸せなのかもな)













佐倉『うん! また明日ね!!』ニコッ











御子柴(やべえ……頭から離れねえ///)

御子柴(……)

御子柴(俺があいつのためにできること……)

別の日

御子柴「なあ野崎、今日泊まっていいか?」

野崎「ああ、いいぞ」












御子柴「風呂あがったぞー」

野崎「分かった、じゃあ俺が入る」

バタン

御子柴「……」

御子柴(佐倉は野崎がどんなパンツを履いてるか知らねえはずだ)

御子柴「……」キョロキョロ

御子柴(佐倉が知りたくても知れねえことを知る……それが俺にできることだ!!)

御子柴「聞いてくれ佐倉! 野崎のパンツの柄は……」









御子柴「佐倉!! この写真、資料になるぞ! 野崎にあげてやれよ、喜ぶぞ!!」









御子柴「佐倉!!! やべえぞ!!! 野崎のやつでけえ!!!」











佐倉「み、みこりん……最近、野崎くんに物凄く詳しくなったね……」

御子柴「そ……そうか?」

佐倉「……はっ!!!」

御子柴「……?」

佐倉「の、野崎くんは渡さないよ!!」

御子柴「ちげえよ!! つーかまだお前の物にもなってねーよ!!」

〜終わり〜

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