美城常務「エースをねらえ!」 (24)
常務(プロジェクト・クローネの始動は上々だ。私の目指す理想にまた一歩近付いた)
常務(トライアドプリムスの抜擢にアナスタシアの引き抜き。完璧なメンバーを揃えたと言って良い)
常務(珍しく高鳴っているのが自覚できる。思わず鼻歌でもこぼれ出しそうな気分だ)
常務「常務♪ 常務♪ 常務ゥ~♪ 常務ゥゥ~を目指せ~♪」ハナウター
ガタンッ
常務「!!」
常務「誰だッ!?」
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常務(くっ…居ない…)
常務(不味い…)
常務(今のを聞かれるのは非常に不味い…!!)
常務(高垣楓の勧誘の失敗から始まった346の改革。今回の成功で周りの見る目がようやく変わってきたというのに…)
常務(このままでは常務(笑)などと呼ばれていたあの日々に戻ってしまう……!!!)
常務(立場上私に反意を持つ者は多い。弱みはなるべく見せたくない…)
常務(そう、例えばシンデレラプロジェクトの面々だ)
常務(万一彼女らに伝わったとすれば…)
莉嘉「やっほー☆美城常務だよー。カリスマJM(常務)目指して頑張るよーっ!」
みりあ「みりあも常務!みりあも常務を目指すー!」
李衣菜「常務を目指す……ウッヒョー、ロックだね!!」
みく「李衣菜ちゃん何を言ってるにゃ!?常務になんてロックの欠片もないにゃ!!!」
常務(なんてことに……)
常務(……………)
常務(………)
常務(…)
常務「聞いた者を至急見つけねば!」
武内P「…という訳でシンデレラの舞踏会への中間監査の一環として、本日は美城常務が視察に入るそうです」
武内P「自然体の皆さんを見てみたいとの事なので、普段通りにして頂ければ」
常務(建前としてはこんなものか…)
武内P「しかし宜しかったのですか?今は新田さんと本田さんのお二人だけなのですが…」
常務「スケジュールの都合が急に付いたものでな」
武内P「そうですか。それでは私は事務仕事の方に戻りますので…」テクテク
常務「説明の通りだ。私の事は居ないものとして扱ってくれて構わない。今日はよろしく頼む」
常務(……さて、もし聞かれていたのなら何かしら反応があってもおかしくはないが)
美波「は、はいっ」
未央「了解です!」ビシッ
美波(うーん、それだけなのかしら。他部署でも時々視察に入るとは聞くし)
美波(346全体での新プロジェクト、それに伴う人材の発掘とかも兼ねているのかも)
未央(うーん、よく分からないけど普段通りで良いんだよね?よし、常務はイナイモノイナイモノと)
未央「いやあ、それにしてもみなみん」
美波「ん、どうしたの未央ちゃん」
未央「お互い独り身は辛いですなあ」シミジミー
美波(ちょっと!)
未央「しぶりんもアーニャも新ユニットでの活動でしばらくは忙しいし」
美波(その原因が目の前に居るのに今する話かな!?常務は…)
未央「ソロだと覚えること減ったのに苦労が倍で大変大変。皆に支えられての本田未央だったんだなと」
美波(ああ表情が少し曇ってる。へえそういうのは顔に出るんだ……じゃなくて!)
未央「ユニットの楽しさを知っちゃったからね。だからその内再結成!そのためにも打倒常務!!」
美波「ちょっと!!」
未央「急に大きな声出してどうしたの?みなみん……あっ(忘れてた)」
常務「………」ギロッ
未央「あー…」
美波「………」
常務「……前にもした話だが、」
常務「私の目指すところは346のブランドイメージの確立だ」
常務「必要なのは成果だ。成果を上げるために適材適所、その道のプロがレールを敷きそれに応じたアイドルを起用する」
常務「一人一人の個性を伸ばす以前のやり方ではは非効率だ。だが成果を出せるのなら認めると猶予は与えている」
常務「無論、私のやり方がそのための最善だと自負しているが」
常務「……以上だ。私はもう話さない」フンッ
未央「え、えーと?」
美波「結果さえ出せるのならユニットは好きにしていいってことだよ、未央ちゃん」
未央「おおっ、常務意外と話が分かるっ!本田未央燃えてきたよ!!」
美波(舞踏会を成功させたらってことだから状況は変わってないんだけどね…)アハハ
未央「とりあえずは目の前の事からだねっ。いつもの私達を見せつけていかないと…!」
未央「それでみなみんはラクロスが趣味なんだっけ」
美波「え、そうだけど…」
美波(また唐突に雑談に戻したわね…)
未央「ラクロスと言ったらあれだね…」
未央「みなみん!エースをねらえ!」ババーン
常務「!?」ガタッ
美波「それはテニスなんじゃ…。あら、常務どうかされましたか?」
常務「いや何でもない」
常務(何だ、偶然か…?)
蘭子「煌めく風が走る!太陽が燃える!! (涼しくなってきたけれど外はまだ暑いよ~…)」バタンッ
未央「お、らんらんお帰りー!」
蘭子「む、何奴!?」ビクッ
美波「舞踏会への中間監査で美城常務が…」
常務(いや偶然じゃない…!?態々元の曲の歌詞を引用して…)
常務(こいつら、遠回しに私を馬鹿にしているのか……!?)
武内P「おや神崎さん、お戻りになられましたか。丁度良いですね」
武内P「三人に次のお仕事のお話が。良いステップアップの機会です」
武内P「ベストを尽くして、頑張ってください」
常務(ベストを尽くせ……まただ…間違いない…)
常務(聞いたのはこいつらだ!)
常務「おい君達。聞いたんだろう」
武内P「はい?」
常務「だから聞いたんだろうっ!」
武内P「何を…でしょうか?」
常務(くっ……どこまでも馬鹿にして…もういい!)
常務「私が歌っていた鼻歌のことだ!」
常務「常務ゥ♪ 常務ゥ♪ 常務ゥゥゥ~♪ 常務ゥゥゥゥゥ~を目指せ~♪ほら、聞き覚えがあるだろう!」
武内P「いえ、ありませんが……」
常務「………」
武内P「………」
未央「………」
美波「………」
蘭子「た、魂の導…」
常務「今日の事は忘れろ。他言無用だ。良いな」バタン
美波「あ、行っちゃった……一体何だったんだろうね?」
未央「……さあ?」
常務(彼女達ではなかったのか…くっ、これでは余計な事をしただけではないか!)
常務(しかしそれなら一体誰が…?)
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後日、スタジオ
司会「本日のゲストは346プロ、プロジェクト・クローネより速水奏さん、塩見周子さん、宮本フレデリカさんです」
司会「そういえばフレデリカさんはよく鼻歌を歌っているとお聞きしたんですが…」
奏「そうね。本当に話聞いてるのかしらって位にはいつも歌っているわ。ね、フレちゃん?」
フレ「フンフンフフーン♪ん、何?そうだねーそう思うよー」
奏(聞いてなかったわね…)
周子「あはは、フレちゃんちょっと歌ってみてだってさ」
フレ「ん~、良いよ♪それじゃあね…」
フレ「常務♪ 常務♪ 常務~♪ 常務~を目指せ~♪」
周子「あー、お偉いさんを弄っていくかー……そういや歌詞も自分で考えてるんだっけ」
フレ「そうだよー。まあこれは常務が歌ってたんだけどね~」
司会「へえそうなんですか。美城常務、なかなか愉快なキャラクターですね!それではそろそろステージの準備を…」
奏(……ああ………)
奏(これは帰ったら雷が落ちるわね……)
以上で終わりになります
見ていただいた方はありがとうございました
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